第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第20号 令和5年6月8日 令和五年六月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月七日     辞任         補欠選任      三宅 伸吾君     武見 敬三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 宮崎  勝君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房行政改        革推進本部事務        局次長      湯下 敦史君        法務省民事局長  金子  修君        外務省大臣官房        審議官      原  圭一君        外務省大臣官房        参事官      宮本 新吾君        外務省大臣官房        参事官      片平  聡君        外務省経済局長  鯰  博行君        財務省主計局次        長        寺岡 光博君        農林水産省大臣        官房新事業・食        品産業部長    宮浦 浩司君        水産庁漁政部長  山口潤一郎君        国土交通省航空        局安全部長    平井 一彦君        環境省大臣官房        審議官      針田  哲君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      上田 幸司君        防衛省大臣官房        審議官      北尾 昌也君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省地方協力        局長       深澤 雅貴君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○調停による国際的な和解合意に関する国際連合  条約の締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○二千二十二年の国際コーヒー協定の締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付) ○世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正  する議定書の締結について承認を求めるの件(  内閣提出、衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、三宅伸吾君が委員を辞任され、その補欠として武見敬三君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房行政改革推進本部事務局次長湯下敦史君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件及び世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○岩本剛人君 おはようございます。自由民主党の岩本剛人でございます。  質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。よろしくどうぞお願いしたいと思います。  時間がありませんので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。  まず、調停に関するシンガポール条約に関する件でありますけれども、今回のこのシンガポール条約につきましては、締結する一つの意義、大きな意義として、我が国への投資への誘致に資することが挙げられております。  この金融分野を含めて、政府は対内直接投資の推進に向けて取組を進めているということは承知をしておりますけれども、この本条約の締結がどのような対内直接投資に促進に資するのか、締結の効果について具体的にまず伺いたいと思います。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  調停に関するシンガポール条約は、商事紛争の解決方法である調停の利用を促進するため、調停による国際的な和解合意の執行等に関する枠組みについて定めるものでございます。  調停に関しては、これまで国際的な執行の枠組みが存在しなかったため、調停と、仲裁と比較しまして国際的な利用が余り進んでおりませんでした。本条約が採択され締約国数が増加することにより、今後はその国際的な利用が進んでいること、進んでいくことが予想されます。  こうした中、我が国が早期に本条約を締結することは、商事紛争を適切に解決するための環境を整備し、外国企業による投資活動の予見可能性を高め、ひいては、外国からの投資の呼び込み及び我が国企業の海外展開に資するものであると考えております。  このように、この条約の早期締結は我が国の経済発展に寄与するものであると考えております。 ○岩本剛人君 この条約の署名国は五十六か国というふうに伺っておりまして、締約国は途上国中心に十一か国というふうに伺っております。この締約国を、この五十六か国の署名国でありますけれども、締約国をもっと増やしていかなければならないと思いますし、その国際的な今答弁のありました調停の利用促進を進めていかなければならないというふうに考えておりますけれども、この点について政府としてどのように考えているのか、伺いたいと思います。  またあわせて、当委員会におきまして租税条約についても今回三本質疑をさせていただいたんですけれども、投資関連協定でアクションプランというのを作られておりまして、その投資関連協定の中では交渉中の協定も含めて対外の直接投資で九十四の国がカバーされているという答弁だったんですけれども、このこれらの国のその対外投資と、今アクションプランでは投資立国に向けてということで貿易収支を改善しようという取組でありますけれども、そうした中での関連性についてはどのように考えているのか、併せて伺いたいと思います。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  調停に関するシンガポール条約は、二〇一八年十二月に採択された比較的新しい条約であることもありまして、現時点で締約国数は十一か国と、それほど多くはございません。本条約の締結について国会において御承認いただける場合には、まずは、締約国の拡大に向けて積極的に政府として取り組んでいきたいと考えております。  また、本条約の締約国が増加することにより、国内的にも国際的にも調停の利用が進んでいくことが期待されます。政府として、関係省庁間でよく連携しつつ、国内外のビジネス関係者や法曹関係者への広報活動を通じて、調停による商事紛争の解決のための環境整備に努めていきたいと考えております。  具体的には、例えば、本条約の交渉が行われた国際連合国際商取引法委員会、UNCITRALと申しますが、が主催する定期会合や関連イベントのような様々な機会を捉え、我が国から国内の関係者や関係各国に積極的な働きかけや意見交換を行うなどが考えられます。  さらに、委員御指摘のとおり、我が国と投資関係条約、協定を締結した又は交渉中の多くの国々についても、日本の投資家がより積極的に調停を相手国政府や相手国のビジネス関係者との間で活用できるようにするため、本条約の締結に向けた働きかけについて政府として取り組んでいきたいと考えております。 ○岩本剛人君 時間がありませんので、次に、コーヒー協定、伺いたいと思います。  自分もコーヒー協定があるというのを初めて知りましたけど、大変勉強になりました。  この国際商品協定という、いわゆる一次産品ですね、一次産品の国際需給調整、価格の安定、市場拡大のための開発協力に主たる目的とした協定、輸出入国との協定ということでありますけれども、なぜかココアと砂糖は協定外なんですけれどもね。自分もコーヒーをよく飲むんですけれども、このコーヒー豆を輸入を、ほとんど御承知のとおり国内では作っておりませんので、沖縄で一部栽培が始まったというのは、ちょっとそういうCMを見た、テレビを見たことがあるんですけれども、安定的にやはりコーヒー豆を輸入するということは大変重要なことだというふうに思います。  この今回のコーヒー協定、国際商品協定を締結する意義について、アメリカは入っていないんですけれども、意義についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。 ○政府参考人(鯰博行君) お答え申し上げます。  世界のコーヒー市場において新興国のコーヒー需要の高まり等により需給が逼迫している中、コーヒーを輸入に大きく依存する我が国としては、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結により、国際コーヒー機関を通じた生産国、消費国の政府や民間部門等との間での緊密な情報交換、連携を行うこと、あるいは、我が国に輸入されるコーヒーの安全性や品質等の確保のために、コーヒーに関する国際的な政策協調の場において我が国の声を反映させることを通じて、高品質で安全なコーヒーを安定的に輸入することが重要であると考えております。  委員御指摘のとおり、アメリカは現在この国際コーヒー協定を締結しておりませんけれども、我が国としては、このような二千二十二年の国際コーヒー協定の意義に鑑みて本協定を締結いたしたいと思います。 ○岩本剛人君 このICOの事務局に日本の女性の職員の方がいらっしゃるとお伺いしたので、大変頑張っておられるということもありますので、是非その点も外務省としてしっかりバックアップをして、この協定の締結に向けて是非努力をしていただきたいというふうに思います。  最後なんですけれども、このWTOの協定改正議定書、いわゆる漁業補助金協定についてお伺いをしたいというふうに思います。  この今回の協定改正議定書、漁業補助金協定でありますけれども、その交渉過程の中で盛り込まれなかった内容について、今後、WTOの中でも議論を継続して、本協定に盛り込むことを加盟国で合意されて採択される、することを目指しているというふうに理解をしているところであります。  この今回のそのいわゆるIUU、いわゆる違法、無報告、無規制の漁業ですけれども、このルールがまず百六十四か国、加盟国にしっかり適用されることになれば、大変大きな我が国にとっても効果が現れるというふうに思います。この点についてはどのように考えているのか。さらに、今回積み残しになった過剰な漁獲能力につながる補助金の禁止に関する規定の交渉について、我が国としてどのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今御指摘がありましたように、漁業補助金協定、これは我が国を含む関係国にとってIUU漁業につながる補助金の撤廃等を掲げた国連の持続可能な開発目標の達成に資するものであり、世界的な漁業資源管理の促進に寄与するとの意義を有しておるわけでございます。  過剰なこの漁獲能力につながる補助金の禁止に関する規定など、今お話があったように、交渉の過程で本協定に盛り込まれなかった内容につきましては、この二〇二二年六月に本協定が採択された後もWTOにおいて引き続き議論が行われているところでございます。この漁業補助金に係る包括的な規律の作成は世界的な漁業資源管理を更に促進するものにもし得ると考えられるところでありまして、包括的な規律の作成に向けた議論に我が国政府としても積極的に参画してまいりたいと考えております。 ○岩本剛人君 時間になりましたので終わります。  ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。  議案の条約の前に、条約関連ということで、沖縄復帰のときの日米の確認について質問させていただきたいと思います。  外務省に質問をいたしますけれども、一九六九年の佐藤総理、ニクソン大統領の共同声明の中には、韓国の安全は、あるいは台湾地域における平和と安全というふうに韓国、台湾に言及をしながら、共同声明の第七項で、施政権返還に当たっては日米安保条約及びこれに関連する諸取決めが変更なしに沖縄に適用されるというふうに書いてあり、また続いて、沖縄の施政権返還は日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではないというふうに佐藤総理の見解として示されているところでございます。  実は、この共同声明によって、私もこの委員会で質問したことがあるんですが、日米安保第五条に基づくアメリカ軍が日本の在日米軍基地を使うに当たっての事前協議、戦闘作戦行動に係る事前協議、それが沖縄の基地においては政治的に事前協議が免責されているかのような効果があるんじゃないか、あるいは密約があるんじゃないかというようなことがあるんですが、そういう問題意識で質問させていただきたいと思います。  まず、外務省、米国が負っている国際義務、この文言の趣旨について説明してください。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  御指摘の米国が負っている国際義務に関しましては、例えば日米安全保障条約や米韓相互防衛条約に基づく義務が含まれると考えております。  なお、米国の国内法である台湾関係法に関しましては、米国が国際義務を負っているか否かという点も含めまして、政府として有権的に申し上げる立場にはございません。  以上でございます。 ○小西洋之君 じゃ、次、もう一つ大事な言葉、効果的遂行の妨げという言葉があるんですが、この趣旨を説明していただくとともに、この言葉が入っている共同声明の第七項、沖縄の施政権返還は日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではない、この記述の趣旨について説明をしてください。  また、この記述は、じゃ、まとめて聞きますが、先ほど私の問題提起ですけれども、日米安保五条に基づく岸・ハーター交換公文に基づく米軍の在日米軍基地使用の戦闘作戦行動に係る事前協議に際して何らか法的な効果あるいは政治的な効果を有するものなのか、あるいはこれに係る両国間政府の密約なるものがあるのか。日本側がノーと言う権利を放棄している、あるいは協議の前から何らかの政治的な保証といったような事実上の留保があるといったような指摘があるんですが、これについて答えてください。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  効果的な、効果的遂行の妨げとなるようなものではないということの趣旨については、こちらは字義どおりの意味でございまして、沖縄の施政権返還によって米国が負っている国際義務の遂行が妨げられることはないという認識を示したものでございます。施政権が返還された後の沖縄に所在するものを含めまして、我が国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用は事前協議の対象でございます。  なお、この点につきましては、当時の愛知外相が説明したとおり、現行安保条約及び関連取決めはそのまま何の特別取決めなしに沖縄に適用されることが日米間でも確認されたものでございます。  事前協議に関しましては、我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して我が国が自主的に判断して諾否の決定をいたします。こうした我が国の自主的な判断の結果としてイエスと答えることもあればノーと答えることもあり得る、こうした政府の立場は従来から変わっておりません。 ○小西洋之君 密約はあるんですか、二〇一〇年に調査もされていますけれども。(発言する者あり) ○政府参考人(宮本新吾君) あっ、恐縮でございます。  いわゆる密約問題に関しましては、外務省におきましては四千を超えるファイルを対象に徹底した調査を行いまして、その結果及び多数の関連文書を二〇一〇年三月に公表したとおりでございます。  政府としては、今後とも、情報公開法及び公文書管理法等の関連法令に基づきまして、行政文書の公開を適切に行ってまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 配付資料の七ページに愛知外務大臣の共同声明の説明要旨というのがあって、線引いてあるところの二行目の、秘密の了解というようなものは全然ありませんと言っているんですけれども、秘密の了解、すなわち密約はないというふうに当時の外務大臣が言っているんですから、今の日本政府、外務省の立場も密約はないということでよろしいですね、本件に関する。それをはっきり言ってください、イエスかノーかで。 ○政府参考人(宮本新吾君) 愛知外務大臣が当時御説明されたとおりでございます。 ○小西洋之君 いや、日本語で密約はないというふうにおっしゃってください。 ○政府参考人(宮本新吾君) 密約問題に関しましては、かつて四千を超えるファイルを、先ほど御説明しましたとおり、徹底した調査を行いまして、そのとき結果を公表させていただいたとおりでございます。我々として承知しているのは、そのとおりでございます。 ○小西洋之君 いや、秘密の了解、すなわち密約はないというふうに日本語で言ってください。三回目です。言えない理由があるんですか。 ○政府参考人(宮本新吾君) いわゆる密約問題に関しましては、かつて調査して結果を報告させていただいたとおりでございます。 ○小西洋之君 いや、これで時間、この秘密の了解というものは全然ありませんというのは今の日本政府の見解だというふうにさっき言ったんですけど、それをあなたの、政府の言葉で言ってください。言えない理由があるんですか。四回目です。 ○政府参考人(宮本新吾君) 愛知外務大臣の説明の要旨のとおりでございますけれども、沖縄の本土並み返還につき両首脳の意見が一致したことを明らかにしたもので、共同声明の中核的部分の一つでございますけれども、秘密の了解というようなものは全然ございませんと、当時御説明しているとおりでございます。 ○小西洋之君 次の質問ですが、今この御覧いただいている外務大臣の説明要旨、当時の愛知外務大臣、ここに書かれてあることは全てこれ両首脳の共同声明の説明になるわけですが、ここに書いてあることは全て今の日本政府の見解と全く同じであると、そういうことでよろしいですね。はっきり答えてください。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  共同声明に関します愛知外務大臣説明要旨は政府の見解でございます。現在もその見解に変更はございません。 ○小西洋之君 大事なことなので一つ一つ確認しますけれども、四ページから。私が、この線引っ張ってあるところなんですが、今読み上げますけれども、よろしいですか。この交渉に当たって日本側主張たるいわゆる七二年、核抜き、本土並みの三つの基本原則が全て実現することができたという部分。  大丈夫ですか。次、五ページ。通告していますけど。見てくださいね、五ページね、五ページ。線引っ張ってある部分ですが、これ、三項の極東情勢に係るところなんですが、とにかく密約はない、事前協議に対しては何の留保もないということを繰り返し繰り返し丁寧に当時の日本政府は説明を繰り返しているんですけれども。以上はいずれも米軍の極東における存在一般の評価を述べたもので、米軍の具体的な配備ぶりとか装備ぶりについて論じたものでないことは言うまでもありません。また共同声明の後の部分に出てくる沖縄返還の態様、あるいは事前協議制の運用の問題と直接関係がないことも同様でありますというところ。  次、四番の地域別の情勢の検討という第四項ですね。特に韓国に対する武力攻撃が万一発生すれば、これは当然我が国の安全に重大な影響を及ぼすものであります。したがって万一かかる事態が起こった際、これに対処するために、仮に米国より安保条約上の事前協議が行われれば、政府はこの一般的認識を判断の重要な要素として、その態度を決定することは、もとより国益上当然のことと考えられます。また、台湾地域に対する武力攻撃発生という事態は、幸いにして当然予見されませんものの、これも我が国の安全にとって重要な要素であり、我が国はこのことを十分認識しておく必要がありましょうと。  更に飛んで、ここで一つ特に強調しておきたいことは、事前協議において政府が取るべき態度の決定は、あくまで我が国益、すなわち、日本の安全にとって必要か否かの判断に立って行われることで、米国が他国と防衛条約を結んでいるがゆえに当然行われるものではないということです。共同声明の表現もまさにかかる見地に立っているものでありますと。  今私が読み上げたところは、今の日本政府と基本的に認識は同じだということでよろしいですね。 ○政府参考人(宮本新吾君) 結構でございます。 ○小西洋之君 では、次ですね。飛んで、次、六ページ。ここに言う協議とは、安保条約に関する事前協議ではありません。これはベトナムに関わる問題なんですが。  次、七番、一番重要なところ、さっき読み上げていただいたところ。読み上げていただいたところは飛ばしますが、まあ読みましょうか。沖縄の本土並み返還につき両首脳の意見が一致したことを明らかにしたもので共に、共同声明の中核的部分の一つであります。秘密の了解というものは全然ありません。この項に明らかなように現行安保条約及び関連取決めはそのまま何の特別取決めもなしに沖縄に適用されるという、我が国の基本的立場を米国が受け入れたことがはっきりしました。かくて返還後の沖縄に事前協議制が全面的に適用されますので、いわゆる自由使用、自由発進などは全くなくなります。ここに言う関連取決め、まあ関連取決めは下に書いてあることですが、これに関連して、総理は極東諸国の安全は日本の重大な関心事であるとの日本政府の認識を明らかにした上で、かかる認識に照らせば、本土並みの態様による沖縄の返還は、米国が極東諸国の防衛のために負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるものではない旨の見解を表明し、大統領が同意見の旨述べております。このことは当然ながら個々の具体的事態につき事前協議の際の許諾をあらかじめ予約したり保証したことではございません。  今私が読み上げた箇所は、全て今の日本政府の今の見解であるということでよろしいですね。 ○政府参考人(宮本新吾君) はい、結構でございます。 ○小西洋之君 じゃ、その上で、ちょっと確認なんですが、外務省の事務次官を務めて駐米大使もやられた栗山尚一さんという方が、これインターネットでも今見れるんですが、日米の首脳の共同声明によってこの事前協議が影響を受けているというようなことをおっしゃっているんですね。具体的には、ノーと言う権利は留保しているんだけれども、実際にその権利を行使する可能性は極めて小さいという政治的保証をアメリカに与えたというようなことを言っているんですが。  これについてお聞きしたいところなんですが、一般論としてですね、一般論として、一般論として、今私が読み上げた第七項についての最後のところ、あらかじめ予約したり保証したことはございませんと、保証していないというふうに言っているんだから、一般論として、日米の当時の、この一九六九年の佐藤、ニクソンの共同声明によって安保条約五条の事前協議制について何らか政治的な保証が日米間にあるとかないとか、そういうことはもうないと、政治的な保証はないということでよろしいですね。一般論です。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  御指摘の文書は、既に退職いたしました元外務省職員が個人の見解を民間の発行物に寄稿したものであると承知しておりまして、そのような個人の見解についてコメントすることは差し控えたいと思います。  その上で、先ほど来御説明申し上げているとおりで、繰り返しで恐縮でございますけれども、愛知外務大臣説明要旨でも述べているとおり、佐藤・ニクソン共同声明というものは、事前協議の際の許諾をあらかじめ予約したり保証したりするものではございません。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっと林外務大臣に。  今、外務省の大臣官房の宮本参事官がるる答弁していただいた答弁というのは、外務大臣以下の日本国政府の見解と全く同じということでよろしいですね。 ○国務大臣(林芳正君) 今、政府参考人の答弁のとおり、政府の見解でございます。 ○小西洋之君 ありがとうございます。  じゃ、議案の前にもう一題です。  連合審査で、四十三兆円の防衛費の内訳、百五十ぐらいの事業項目と、そこに、まあお豆腐じゃないんですけど、一兆円とか二兆円とか〇・三兆円とか、数字だけが載っている資料しか国会に出されていないということなんですが、連合審査で理事会協議事項にして、前回出さず、そして今日、この午後に向かっても、何か二件だけしか、百五十件のうちのたった二件だけしか出していないんですが、防衛省、なぜ資料を出さないのか、その内訳と数字。  かつ、それが各五年ごと、五年間の間に一年ごと、どういう計画でどういう予算が張り付けられているのか、これが二つ目ですね、次年以降。  三つ目は、この本委員会でも取り上げていますが、極めて現実的なシミュレーションの中身が全く分からないので、もう少し国会に説明できる限りのものを説明するようにということで。  この三つを理事会協議事項について出しているんですが、二と三については今回も回答ができないということなんですが、これ、連合審査ですから、我が委員会の在り方に係る重大極まりない問題であって、なぜ出せないのか、簡潔に説明してください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 御説明いたします。  まず、小西先生から、五月二十六日あるいは五月三十日において資料の提出の御要望があり、五月三十日につきましては、参議院の財金、外防委連合審査会におきましてそれに応えまして、スタンドオフ防衛能力の情報収集・分析機能の強化の内訳をお示ししたところでございます。  また、本日も提出させていただきましたが、これは、あの五月三十日に小西議員から同様のお求めがあった、更にあったということを受けまして、財金委員会の理事会において与野党間で御議論いただいた結果として防衛省にこれを出せというふうに承ったというものであろうと、あると聞いております。  本日、防衛省より、無人アセットに関する研究開発及び需品・化学・衛生器材等の内訳をお示ししたところであります。具体的に……(発言する者あり)要らない、はい。 ○小西洋之君 だから、全部で百五十の事業項目があって四十三・五兆円なんですけど、そのうち、前の連合審査で一件出して、それで今回二件出して、それ合計で〇・三と〇・二と、だから一・一兆円ですよ。しかも、それを更に内訳出したと言っても、私、今、資料ありますけれども、目の前に、一つは、〇・六兆円の内訳が出てきたのが三千億円と二千億円と一千億円ですから、だから大きな特盛りどんぶりになっているものを、じゃ、内訳出すといったら並丼よりもっとすごいどんぶりが出てきて、もうどんぶり、どんぶりなわけですよ。このどんぶり、どんぶりでこの外交防衛委員会や連合審査をやれというのは、これもう議会政治と財政民主主義、成り立ちませんから。  これ、もう外交防衛委員会の、委員長、沽券にも、ここで、理事会でも先ほど皆様にお話をさせていただきましたので、改めてこの本委員会に対して政府の方から、この四十三・五兆円の、百五十余りの各事業を構成する具体的な主たる施策とそれに張り付けている予算、で、各その施策ごとに、それ五年間で、各年、一年ごとにどういう計画でどういう予算を五年間張り付けているのか、そして極めて現実的なシミュレーションのより具体的な中身、この三つを本委員会に資料提出することを求めます。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○小西洋之君 もうこんなことをやっていたら本当に国を誤りますので、しっかりとした対応を政府については求めます。  私も十三年間議員やっていますけど、こんなのないですよ、こんなもの。何千億円という、一行ごと数千億というだけで、予算決めてください、政策判断してくださいというのはむちゃくちゃということを申し上げなければいけません。  次、反撃能力について、前回局長が答えなかったので聞きますけれども、もう答えだけ言ってくださいね。  存立危機事態に際して反撃能力の実力を使えるというふうに政府は言っているんですけれども、その存立危機事態の、存立危機事態武力攻撃ですね、日本に密接に関係ある他国に対してある国がやっている武力攻撃は、それはミサイル攻撃だけに限られるのか、あるいはミサイル攻撃以外の武力攻撃も含めて反撃能力の実力を限定的な集団的自衛権で行使できると考えているのか。結論だけ答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  まず、結論だけ申し上げますと、弾道ミサイルによる攻撃以外もあり得るということでございます。  御説明申し上げます。(発言する者あり) ○委員長(阿達雅志君) 発言は委員長の指名を受けてからお願いいたします。 ○政府参考人(増田和夫君) 存立危機事態を認定した後の反撃能力の運用につきましては、実際に発生した状況に即して個別具体的に判断すると、これが政府が従来から御説明しております。反撃能力につきましては、ミサイル攻撃への対応が現実的課題と整理しているところでございます。  一方、将来の技術革新の可能性などによっては、攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として反撃能力を行使しなければならない状況が弾道ミサイルによる攻撃以外にもあり得ると、ミサイルによる攻撃以外にもあり得るということは否定できません。 ○小西洋之君 今の答弁は、だから、日本の密接な関係にある他国に対する武力攻撃、存立危機事態の武力攻撃も、いわゆるミサイル攻撃、弾道だけじゃなくて各種ミサイル、そういう各種ミサイルではない武力攻撃、それも、そういう場合でも政府は使える、使うということは排除していないということでよろしいですね。それを答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃、これはミサイル攻撃以外もあると思います。が、しかしながら、それだけで我々がそのいわゆる武力の行使、反撃能力を含む武力の行使をするというわけではなくて、他国に対する武力攻撃でありまして、これにより我が国の存立を脅かすような国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの、すなわち存立危機武力攻撃を排除するためにやむを得ない必要最小限度の措置としての武力の行使ができまして、その中には反撃能力も含まれるということでございます。 ○小西洋之君 結局、これまでの私の質疑で、反撃能力の実力というのはもう存立危機事態で制限なく使えるということが分かりました。  じゃ、今日の議題の条約なんですが、もう一と二をまとめて質問するので、順次政府参考人に御答弁いただきたいんですが。  国際コーヒー協定について、近年、コーヒー豆の、先ほども御質問であったんですけれども、安定供給について、この協定がその課題をどういうふうに解決する効果が期待されるのか、これが一。あと、WTOの協定の漁業補助金ですけれども、過剰な漁獲能力の禁止の規定がないと思うんですが、その理由。あと、調停シンガポール条約について、我が国として、国際商事分野の司法基盤整備の方針、取組、どういうところを頑張っていこうというのがあるのか。この三つについて答えてください。 ○政府参考人(鯰博行君) まず、二千二十二年の国際コーヒー協定につきまして、同協定に基づく情報共有、調査研究、コーヒー生産者の生活向上を目的とした支援等を通じましてコーヒー豆の安定供給に資することができるというふうに考えております。  次に、漁業補助金協定につきましては、同協定において過剰な漁獲能力につながる補助金の禁止が規定されなかった理由は、協定の交渉過程ではそのような補助金の禁止等を含む包括的な規律の作成を目指していましたが、交渉が難航し、最終的に合意できなかったためでございます。 ○委員長(阿達雅志君) 時間ですので、答弁は簡潔に願います。 ○政府参考人(片平聡君) 調停に関してお答え申し上げます。  本国会には、条約の実施法や仲裁法の一部を改正する法案が提出されて成立したところでございます。  政府としては、国際仲裁や国際調停に関する法制を最新の国際水準に対応させるための取組を進めているところでございます。今後も引き続き環境整備に努めていく考えでございます。 ○小西洋之君 終わります。ありがとうございました。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  今、小西委員から、大変大事な四十三兆円を超えるこの防衛予算について、やっぱりしっかりと内容を私たちも承知しない限りなかなかまともな審議ができないというのはもうおっしゃるとおりですので、是非とも今後とも説明をお願いしたいと思います。  早速ですが、調停に関するシンガポール条約について質問させていただきます。  本条約は、国際商事紛争を解決するために、調停人の支援を得て、紛争当事者同士が書面で締結した国際的な和解合意について適用されると理解しております。  まず、本条約と経済連携協定の関係について伺いますが、CPTPPなどの経済連携協定には、協定の解釈、適用に関する国対国や国対投資家の紛争における調停の利用について規定しているものもあると承知していますが、このような調停にも本条約が適用されるのか、政府参考人の御説明を求めます。 ○政府参考人(鯰博行君) 御指摘のとおり、我が国が締結しております経済連携協定には、国対投資家の紛争における調停の利用について規定しているものがございます。例えば、御指摘のありましたCPTPPでもそのような調停の利用に関する規定を設けてございます。  経済連携協定の関連する紛争において調停が行われた場合、当該調停による和解合意がシンガポール条約の締約国において執行されるべき内容であり、かつ商事紛争に関する紛争であるなど、同条約が規定する要件を満たす場合には、当該締約国における執行についてシンガポール条約が適用されるというふうに考えてございます。 ○羽田次郎君 本条約は経済連携協定との、本条約と経済連携協定との関係というのは、特に経済団体にとっても重要な論点だと思いますし、外務省からしっかりとした説明を経済団体に対しても行っていただければと思います。  外務省の資料によると、本条約の早期締結の必要性が記載されておりますが、これは国際調停が国際仲裁と並んで重要な紛争解決手段となっているからなのだと理解しておりますが、そうであるならば、外務省には、国際調停の活性化に向けた環境整備まで主体的にお取組をいただきたいと思います。  その点で、国際仲裁については、二〇一七年に閣議決定されたいわゆる骨太の方針に、国際仲裁の活性化に向けた基盤整備を記載していると承知しております。このことにより、政府が一丸となって国際仲裁の活性化を推し進める意思が各方面に明確になって、経済団体も骨太の方針に記載されたことを重く受け止められたのだろうと思います。  昨日、今年の骨太の方針の原案が公表されたと承知しておりますが、国際調停についてどのような取扱いになるのでしょうか、伺います。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  国際調停に関しましては、これまで国際的な執行の枠組みが存在しなかったため、調停と、仲裁と比較してその利用が余り進んでいなかったという事情がございます。しかしながら、今後、調停に関するシンガポール条約の締約国が増加することにより、国内的にも国際的にもその利用が進んでいくことが期待されます。  委員御指摘の、骨太の方針において国際調停について取り上げるべきか否かにつきましては、政府全体として判断すべき事項であることから、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと存じますが、本条約の締結について国会において御承認いただける場合には、まずは、国際調停の利用を促進する観点から、締約国の拡大に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。また、関係省庁間でよく連携しつつ、国内外のビジネス関係者や法曹関係者への広報活動を通じて、調停による商事紛争の解決のための環境整備に努めていく考えでございます。 ○羽田次郎君 国際商事紛争が起きた際に国際調停の活用のための環境整備を推進するのであれば、国際仲裁のときと同様に、骨太の方針等の閣議決定文書に今後の措置を記載することで政府の意思を、決意を見せることができるのではないかと思いますが、外務省が積極的に他省庁も巻き込んで閣議決定文書の記載に向けた働きかけを進めてもよいのではないかと私は考えますが、林大臣の御見解はいかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このシンガポール条約は、商事紛争の解決方法である調停の利用を促進する目的を有しておりまして、この締結によりまして我が国の経済発展にも寄与するものであると考えております。  この調停と仲裁、それぞれ特徴がありまして、紛争の当事者がその特徴を踏まえて自由に選択できるということが重要だと思っておりまして、そうした観点から、この条約の締結について国会において御承認いただける場合には、我が国の締結を契機に、国際仲裁とともにこの国際調停の活性化、これについても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 ○羽田次郎君 骨太の方針に盛り込むというお話までは行かないかもしれませんが、いずれにしましても、おっしゃるとおり、我が国の経済発展にも寄与することだと思いますので、この分野で日本がリーダーシップを発揮することを期待しております。  次に、二千二十二年国際コーヒー協定について伺いますが、私も毎日一、二杯は必ずコーヒーを飲んでいて、生活に欠かせない必需品だと思っておりますが、世界のコーヒー消費量が増加傾向にある中で、本協定の重要性は増していると思います。しかし、最大のコーヒー消費国である米国は、二〇一八年にトランプ政権下で国際コーヒー協定から脱退したということは、先ほどもお話にありました。  トランプ大統領は、お酒もたばこもコーヒーも召し上がらないと聞いたことがあるので、そうしたことも影響したのかもしれませんが、米国の脱退について、衆議院での質疑で政府は、主要なコーヒー輸出国の多くが加盟し、輸入国につきましてもアメリカ以外の主要なコーヒー輸入国のほとんどが加盟していると説明しています。しかし、最大の消費国が国際コーヒー協定に参加することは極めて重要なのではないかと思いますので、政府は、米国が国際コーヒー協定から脱退した理由をどのように分析し、今後の復帰の見通しについてどのような認識をお持ちでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) 委員御指摘のあったとおりでございます。アメリカは、二〇一八年三月に二千七年の国際コーヒー協定から脱退する旨の書簡を送付しておりまして、その中では脱退の理由については示されておらないわけで、現在も脱退の理由を明らかにしてございません。  その後、二〇二一年にはバイデン政権が発足いたしましたけれども、残念ながら現時点におきましても米国が国際コーヒー機関に復帰する動きは見られていないところでございます。 ○羽田次郎君 その、何で脱退したかという内容について表明はされていないけど、何か外務省としての分析というのは特にないということでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) 外務省としてこう考えるということについては、特に公表するようなものはございません。 ○羽田次郎君 バイデン大統領は、二〇二一年の就任直後から、WHOからの脱退を撤回して、温室効果ガス排出削減等の国際枠組みであるパリ協定への復帰も果たすなどして、国際協調を重視する姿勢を示していらっしゃいます。岸田政権は、こうしたバイデン政権との間でハイレベル会談を繰り返していますので、日米間の信頼関係は十分に醸成できているのではないかと思われますが、第四位のコーヒー消費国である我が国主導で米国にコーヒー協定への復帰を促してもいいと考えますが、外務大臣としてのお考えをお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) この世界最大の輸入国であるアメリカがコーヒーに関する国際的な政策協調の場である国際コーヒー機関に復帰するということは望ましいことであると考えておりまして、我が国としても、機会を見ながら、そうした立場に基づいて米国としっかり意思疎通を図っていきたいと思っております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。是非とも林大臣のリーダーシップに期待しております。  コーヒー産業は生産者を始めとした民間部門で成り立っておりますので、各国政府だけでなく幅広い関係者の声を聞くことが非常に重要だと考えます。現行の二千七年協定においても、民間部門諮問委員会やコーヒー産業における金融に関する協議のフォーラムといった民間部門を含む機関が設置されていますが、二千二十二年協定では、これらの機関を停止して、賛助加盟員会やコーヒー官民作業部会が新設されると承知しております。  本協定により民間部門の関与が一層促進されるとの認識か、政府参考人の御説明をお願いいたします。 ○政府参考人(鯰博行君) 二千二十二年の国際コーヒー協定では、国際コーヒー機関の効率的、効果的な運営を行うため、また民間部門との協力関係の一層の充実を図るために、同機関を構成する助言機関等の構成が改められるとともに、その中で民間部門の参加に係る規定が一層強化されております。  具体的には、民間事業者や市民社会は賛助加盟員として機関の活動に関与することができる規定を設けたほか、官民連携の主な枠組みとして、加盟国政府の代表と民間部門の代表から構成されるコーヒー官民作業部会が新設されてございます。  全ての賛助加盟員で構成する賛助加盟員会は、諮問機関として理事会の要請に応じて勧告を行うこと等ができるほか、その議長及び副議長は、国際コーヒー機関の意思決定機関である国際コーヒー理事会において発言権を有しております。また、コーヒー官民作業部会は、コーヒー産業に関する官民対話等を行い、その討議の結果や勧告等を理事会に提出することになっております。 ○羽田次郎君 丁寧な御説明をありがとうございました。  国内でも全日本コーヒー協会を中心とする民間団体や商品を生産、流通する各社がコーヒー産業に携わっておりますが、こうした民間部門から政府に対してどういった意見や要望が出されているのか、また、政府は、これまでそのような声を国際コーヒー機関の活動においていかに反映し、新たな協定の下で今後どのように生かしていこうとお考えか、政府参考人の御説明をお願いいたします。 ○政府参考人(宮浦浩司君) お答えいたします。  コーヒーの主要メーカーなどが参加しております全日本コーヒー協会におかれましては、現在、国際コーヒー機関の取組に参加をいただいておりまして、国際的な需給安定等に貢献をいただいておるところでございます。  この全日本コーヒー協会におきましては、今回の協定の締結に当たりまして、継続して協定に加盟するようという要望をいただいております。また、協会といたしましても、引き続きICOの取組に参加したいという意向を示されておられるところでございます。  政府といたしましては、今後、この全日本コーヒー協会から賛助加盟員として参加するという要望がありましたらICO理事会の議長に申請書を提出するということになりますが、その際に必要な加盟国としての支持、あるいは理事会での決定を得るために必要となります他の加盟国への働きかけ、こういったところに取り組んでいきたいと考えているところでございます。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  先ほど申し上げたとおり、私、毎日おいしくコーヒーを飲ませていただいておるんですが、劣悪な環境、労働条件の下で栽培されているコーヒーもたくさんあると承知しておりまして、飲みながらたまに後ろめたさも感じておるんですが、協定の第二章は持続可能な開発について規定されていて、コーヒー産業に従事する方々の生活水準や労働条件の向上についても考慮すると条文化されておりますので、そうした取組についても是非とも推進していただくことをお願い申し上げます。  最後に、漁業補助金協定を追加するWTO協定改正議定書についてお伺いいたします。  本協定第三条で、違法、無報告及び無規制、IUU漁業への補助金交付禁止措置の適用対象から一定期間除外されるなど、後発開発途上加盟国を含む開発途上加盟国が交付する補助金には配慮規定が盛り込まれております。  こうした配慮規定が設けられた経緯について、政府参考人にお伺いいたします。 ○政府参考人(鯰博行君) 漁業補助金協定は、開発途上加盟国に関し、一定の規律については本協定の効力発生の日から二年間に限りその適用を猶予するといった優遇措置を設けております。これは、開発途上加盟国の早期締結を促し、同協定の早期発効につなげていくための仕組みとして設けた規定であるというふうに認識をいたしております。 ○羽田次郎君 一つ先に、水産庁の方来ていただいているみたいなのでお伺いしますが、本協定に違反した国に対して我が国はどのような対策を講じているのか、参考人の方から御説明をお願いいたします。 ○政府参考人(山口潤一郎君) お答えいたします。  IUU、いわゆる違法操業等によりまして漁獲された漁獲物、こちら本協定とは関係ないエリアでございますけれども、マグロ類を含む一部の魚種は地域漁業管理機関による国際的枠組みに基づき管理が行われておりまして、例えばマグロ類の輸入に関しましては、IUU漁船によって漁獲された漁獲物でないことの確認を輸入段階で行ってございます。  また、昨年十二月には、水産流通適正化法が施行されておりまして、外国漁船により違法な採捕が行われるおそれが大きいと認められる幾つかの魚種につきまして、輸入の際に適法に採捕されたものであることを証する外国政府機関等により発行された証明書等を添付しなければならないということにしてございます。  今後とも、IUU漁業撲滅の流れに寄与すべく、違法な漁獲物の流通防止対策を推進してまいりたいと考えてございます。 ○羽田次郎君 御説明ありがとうございました。  WTO協定上、後発開発途上国の定義は国連の定義が準用されておるんですが、開発途上国は各国の自己申告制となっております。十分な経済成長を遂げているにもかかわらず開発途上国と自称している国の扱いについて、政府の見解をお伺いいたします。 ○政府参考人(鯰博行君) 委員御指摘のとおり、漁業補助金協定には、開発途上国、開発途上加盟国の定義についての規定はございませんで、WTOにおける運用上、開発途上国であるということを自ら表明する加盟国を開発途上加盟国としております。  本協定は、開発途上加盟国に関し、一定の規律については協定の効力発生の日から二年間に限りその適用を猶予するなどの優遇措置を設けておりますけれども、一定の規定の猶予が、適用が猶予されるのは二年間ということでございまして、二年後には基本的に開発途上加盟国も他の加盟国と同様に義務を負うことになります。  我が国としては、WTO加盟各国はそれぞれの状況に、現状に応じた責任と義務を果たすべきであり、本協定における優遇措置につきましても真に必要とする国に認められるべきと考えております。  我が国といたしましては、各国が締結した後にどのような対応を取るかを見つつ、要すれば、関係国と緊密に連携し、その旨の働きかけを行っていく所存でございます。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  本協定の第七条では開発途上加盟国を援助するための任意の資金供与の仕組みが設置され、日本は、WTO全加盟国の中で最初の拠出国として九千万円を拠出したと承知しております。  拠出金額の算定根拠について簡潔に御説明をお願いします。 ○政府参考人(鯰博行君) 漁業補助金協定の第七条によりまして、本協定に基づく規律の実施のために、開発途上加盟国を援助する任意の資金供与の仕組みが設置されております。  この仕組みは本協定の発効前でも拠出を行うことができることとなっておりまして、我が国は、本年二月に九千万円を他国に先駆けまして拠出をいたしました。  我が国の拠出金額につきましては、この仕組みの設置の意義及び重要性に加え、WTO事務局が設置した全体の目標、関連国際機関や他の主要加盟国の拠出予定額を含む拠出状況、我が国の予算状況等を総合的に勘案し、決定したものでございます。 ○羽田次郎君 承知しました。  最初の拠出国になった意義について、最後に、林外務大臣にお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) この資金供与の仕組みですが、開発途上国による漁業資源管理を促進するということを通じて、IUU漁業や乱獲された資源等に関する補助金に係る国際的な規律の実施に貢献するためのものであります。  我が国としてこうした持続可能な形での世界的な漁業資源管理に積極的に貢献していく考えでありまして、こうした観点からも、我が国が最初の拠出国として主導的な役割を果たした意義は大変大きいと考えております。 ○羽田次郎君 時間になりました。  ありがとうございました。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  まず初めに、国際コーヒー協定からお伺いをしていきたいと思います。  私自身もコーヒーの愛好家でありまして、自分でコーヒー豆を買ってきて、毎朝ひいて、ミルで、一杯入れて目覚めるというのがルーチンになっているんですけれども、日本は本当に世界中から安定的に良質な豆を輸入しておりまして、かつ、この焙煎の技術が高いということで、どこでもいつでもおいしいコーヒーを安価に楽しむことができる、すばらしい環境が整っているというふうに思っています。  そして、その大きな要因というか、支えている一つの要因がこのコーヒー協定なんだろうというふうに思っているんですが、先日、ある会合に出席をしたときに、その会場でコーヒーの二〇五〇年問題ということを一生懸命訴えている方がいて、ちょっと初耳だったんですけれども、どういうことだろうと思って、いろいろ調べてみました。  調べますと、これいろんなところが言っているようなんですが、アメリカの例えばワールド・コーヒー・リサーチというところが、気候変動などに伴って、コーヒーの生産の約六割を占めているアラビカ種、この豆について、二〇五〇年までに栽培に適した土地がおよそ半分失われるというような、そういうレポートを出しているということでありまして、これは本当にただならないことなんだなというふうに思っております。  コーヒー協定の議論を党内で行ったときにも、主に御説明を受けたのは、いわゆる現状の需給について、世界的な需給についていち早く情報を手に入れて、例えば、今ブラジルの方でちょっとコーヒー豆が不作だとなったら、コロンビアの方に早めに買い付けに行くとか、そういったところで主に活用されているんだという説明を受けて、まあそれはそれでとても大事だなというふうに思ったわけですが、同時に、やはり長期的な視点でこのコーヒー産業の健全な発展ということ、持続可能性をしっかり確保していくという視点はやはり欠かすことができないんだろうと思っております。  実際に、協定の中にも、この短期のものと併せて、長期の具体的な目標というのも言及がありまして、例えば、前文にも、次世代のコーヒー栽培者及びコーヒー産業の将来を確保する構造上の状況をつくり出すと、持続可能なコーヒー産業の発展ということが明記をされているわけであります。  改めて、これ是非、林大臣にお伺いしたいんですけれども、この持続可能なコーヒー産業への転換ということに向けて、日本も世界第七位のコーヒー輸入国でありますので、しっかり責務を果たしていただきたいと思っております。どのような形での国際協力ができるのか、また、この日本が本協定に加盟することの意義ということと併せて、是非御答弁いただけたらと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 世界のコーヒー市場におきまして、この新興国のコーヒー需要の高まり等によりまして需給が逼迫しておる中で、我が国へのコーヒーの安定的輸入を確保するという観点から、この二千二十二年の国際コーヒー協定を早期に締結するということが重要だと考えております。  今、平木委員からございました前文について、持続可能な開発目標をというようなことで、前文でございますが、この前文に加えて、実はSDGsに関係する規定も協定の中に設けられておりまして、例えば国際コーヒー機関が中小規模のコーヒー生産者を含むコーヒー農業従事者や利害関係者の生活向上を目的として加盟国を支援することができると、こうされておるところでございます。  我が国は、現行の二千七年の国際コーヒー協定の下でも、加盟国の一員として、国際コーヒー機関が実施をいたします病害虫対策とか市場構造の改善、さらには品質向上といったコーヒー生産国への支援の取組に貢献してきておりまして、今回の二千二十二年の協定の下でも、SDGsの達成にも貢献し得るコーヒーに関する諸課題解決するため、コーヒー輸入大国としての責務を認識しながら、コーヒー産業が引き続き持続可能なものとなるようにコーヒー生産国への国際協力等を進めていきたいと考えております。 ○平木大作君 もう是非よろしくお願いいたします。  日本の品種改良技術ですとか様々応用が利くだろうというふうに思っています。今、病害虫対策とかいろいろ今大臣からも御答弁いただきましたが、アラビカ以外の品種でより適地を広げるとかいろいろな今取組もあるようでありますので、日本政府としても是非お取り組みいただきたいと思います。  時間が限られておりますので、もう一つ、WTOの漁業補助金協定についてもお伺いしておきたいと思います。  今回のこの協定、なかなかWTOが機能不全だと言われている中にあって、自由で公正な貿易をこれからも推進していく上で、やはりWTO欠かせないんだろうと思っています。日本としても、しっかりWTO改革、これリードをしていただきたいと思っているんですが、この中で一つちょっと気になっていますのが、マリン・ポリシーという専門誌があるんですけれども、そこで世界の漁業補助金というのが大体三百五十四億ドルぐらいあるんだというふうにありまして、これ二〇一九年のデータなんですけれども、支給額が大きい国として挙げられているのが、中国、EU、米国、韓国、そして日本ということでありました。  これ、漁業補助金については当然、いわゆる全てが違法な補助金じゃないわけでありますけれども、同時に、これ出すことで、補助金を出すことで結局資源が減ってしまって、長期的にはむしろ漁業者にとって収入減なんだと、こういう分析、指摘もなされているところであります。  政府として、今日水産庁来ていただいておりますので、持続可能な漁業に向けて今どういう政策展開に取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(山口潤一郎君) お答えいたします。  今般のWTO協定改正議定書におきましては、過剰な漁獲により資源状態が悪化した魚種については、資源の持続可能な水準への回復に向けた措置が実施されていれば漁業者に対する補助金が交付できることになってございます。  我が国におきましては、平成三十年に改正をいたしました漁業法によりまして、資源評価の対象魚種を約二百種まで拡大をいたしております。この評価結果等に基づきまして、主要な魚種については漁獲可能量、いわゆるTACによる管理を、それ以外の魚種につきましては漁船の隻数や規模、漁獲期間の制限等を行い、さらに、これらに加えまして、必要に応じ、漁業者の自主的な取組、これを組み合わせて管理すると、こういった仕組みを構築してございます。国際的に遜色のない資源管理措置を実施しておるということから、我が国の漁業補助金は継続できるものと考えてございます。  さらに、令和四年三月、昨年三月に策定いたしました水産基本計画に即しまして、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施や水産業の成長産業化の実現に取り組んでおりますことに加えまして、昨日公表しておりますが、海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会を開きまして、こちらにおきまして、適切な漁業経営、操業の在り方についての提言を受けております。こちらも踏まえまして、今後、持続可能な漁業に向けた更なる政策の推進に取り組んでまいりたいと考えてございます。 ○平木大作君 もう一問だけお伺いしたいと思います。  この協定十二条に、協定発効後四年以内に、過剰な漁獲能力につながる補助金の禁止等、本協定に盛り込まれなかった内容も含む包括的な規律が採択されない場合、協定を直ちに終了すると、ここまで決めているわけであります。  これ、最後に、そうしたことの理由とともに、この部分、包括的な規律を目指すというところについては先般のG7広島首脳コミュニケの中でも言及がありますので、ここに向けた政府の見解あるいは決意、お伺いをして、終わりたいと思います。 ○政府参考人(鯰博行君) 漁業補助金協定第十二条には、協定発効後四年以内に包括的な規律が採択されない場合には、WTOの一般理事会で別段の決定が行われない限りということではございますが、同協定は直ちに終了するという旨の規定がございます。  このような規定が設けられた経緯といたしましては、本協定の交渉過程では過剰漁獲能力等につながる補助金の禁止等を含む包括的な規律の作成を目指していましたが、交渉が難航し、最終的にこれらの内容が盛り込まれなかったため、本協定が採択された後もこれらの内容について加盟国間の議論を促すという目的でこのような規定が設けられたということでございます。WTOでは、現在、これらの内容について引き続き議論が行われております。  漁業補助金に係る包括的な規律の作成は、世界的な漁業資源管理を更に促進するものにもし得ると考えられておりまして、また、委員御指摘のとおり、G7広島サミットのコミュニケにもこのような、このために各国が協力するよう求める旨が盛り込まれております。  これらを踏まえて、包括的な規律の作成に踏まえた議論に我が国政府としても積極的に参画いたしていきたいと思います。 ○平木大作君 持続可能な漁業というものは今後四年間に懸かっているということでありますので、是非お取組しっかり進めていただきたいことをお願いして、終わりたいと思います。 ○金子道仁君 おはようございます。日本維新の会、金子道仁です。  早速、条約の審議の方、入らせていただきます。  最初に、WTOの協定の改定議定書、漁業補助金協定について御質問させていただきます。  今回、IUU漁船リストの資料を配付資料一として配付させていただきました。外務省にIUU漁船リストの提出をお願いしたところ、オフィシャルなものはないということで、このIATTC、全米熱帯まぐろ類委員会のホームページに御自身のリスト及びほかのRFMO、地域漁業管理機関のリストを掲載しているので、それが最もオフィシャルに近いものじゃないかということでリストをいただいて、かなり大部だったのでそれを一枚にまとめて作成したものでございます。どこかから勝手に取ってきたというものではなくて、オフィシャルに近いものであるという認識で今回は使用させていただきたいと思います。  これを見ると、意外とインドが多いなという印象です。あとは、アジア中心で、アフリカ、中南米少しというようなリストになっていますが、まさにこのリストに掲載されている船籍国こそがこの漁業補助金協定に加入していただくことが重要だと思うんですが、その国々の加入や加入の手続状況について最初にお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) この地域漁業管理機関のIUU漁船リストには、今お示しいただきましたように、例えばインド、スリランカ、オマーン、カメルーン、ガンビア、トーゴ等の船籍を有する漁船が掲載されております。  この漁業補助金協定を締結した国は、昨年六月十七日に採択されてまだ約一年ということもありまして、現時点で七か国と限られておりまして、ただいま申し上げた国々の中には漁業補助金協定を締結した国がない状況でございます。  この協定は、IUU漁業につながる補助金の撤廃等を掲げた国連の持続可能な開発目標の達成にも資するものであり、国際社会全体の利益となるものであります。こうした観点から、IUU漁船リストに掲載されている漁船の船籍国を含む全てのWTO加盟国が本協定を早期に締結することが望ましいと考えておりまして、本協定の我が国による締結について国会で御承認をいただければ、我が国として関係各国に様々な形で積極的に締結を働きかけてまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 御説明ありがとうございます。  まさに、まだ加盟国が非常に少ないと。この加盟国を増やすために開発途上加盟国への特別待遇等が設けられていると思いますが、この特別待遇の意義ということについて、また逆に、この特別待遇があるということや、また、先ほど羽田委員からも御質問ありましたが、開発途上加盟国については自己申告であると、自分が開発途上加盟国と申告すればこの特別待遇を受けられるということで少し危惧があるんですが、本協定の実効性に問題がないかどうか、確認させてください。 ○国務大臣(林芳正君) この漁業補助金協定は、開発途上加盟国に関して、一定の規律については、協定の効力発生の日から二年間に限りその適用を猶予する等の優遇措置を設けております。これは、まさに、開発途上加盟国の早期締結を促して同協定の早期発効につなげていくための仕組みとして設けた規定であると、そういう認識を持っております。  今お話がありましたように、WTO協定には開発途上加盟国の定義についての規定がないわけでございまして、このWTOにおける運用上、開発途上国であることを自ら表明する加盟国を開発途上加盟国としておりまして、そうした国が優遇措置を享受することになると考えられます。  いずれにいたしましても、本協定によって一定の規定の適用が猶予されるのは二年間のみでございますので、二年後には基本的に開発途上加盟国も他の加盟国と同様に義務を負うことになりますので、本協定の実効性には問題は生じないと考えております。 ○金子道仁君 その辺りのバランスが非常に難しいところだとは思いますけれども、加盟国が増えて、この違法なIUU漁船の取締りというか、その漁獲の管理ができることは非常に望ましいことだと理解しております。  第七条にはこの協定履行を支援するための配慮規定が盛り込まれ、途上国の資源管理能力の向上のための技術支援をFAOを経由して支援していく任意の資金供与の仕組みが設置されていると承知しています。我が国は、先ほども羽田委員からありましたように、最初に九千万円を拠出した国であるというふうに聞いております。  ただ、この供与、途上国の資源管理能力向上のための資金供与というのは、これ、バイでも実際やっているような内容ではないかと思うんですが、このFAOを通したマルチでの供与と各国バイでのODA、技術供与も含めたODA供与との連携、すみ分けはどのようになっているんでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) 委員御指摘のとおり、漁業補助金協定第七条には、本協定に基づく規律の実施のために、開発途上加盟国を援助する資金供与の仕組みを設置する旨規定しております。この仕組みは、WTO事務局が世界農業食糧機関、FAO等の関連する国際機関と連携して実施することになっております。  我が国は、海洋生物資源の持続可能な利用に貢献するとの本協定の意義及び開発途上加盟国による本協定の実施を支援することの重要性に鑑みまして、本年二月に九千万円を他国に先駆けて拠出した次第でございます。また、我が国は、開発協力大綱に基づき、資源管理やIUU、違法、無報告、無規制漁業対策等に関する研修や、専門家派遣を含む技術協力を実施しております。  我が国が行う協力につきましては、当然、我が国の厳しい財政事情を考慮すべきでございます。同時に、IUU漁業対策を始め、海洋生物資源の持続可能、持続的利用に向けて取り組むべき課題は多く、我が国はこれまで、FAOの取組への協力、地域漁業管理機関における資源管理、二国間でのODAを通じた技術協力など、様々な取組を行ってきております。  本協定に基づく新たな取組を活用していくとともに、バイ及びマルチの協力のそれぞれの目的、特徴、知見等を踏まえつつ、様々な枠組みを通じた協力において、それらの相乗効果が得られるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○金子道仁君 バイとマルチがいかに明確にすみ分けられるか。限られた予算の中で資金を拠出する、まあ九千万、多くないかもしれませんけれども、やはり明確に、バイはバイの役割、マルチはマルチの役割としてすみ分けをしっかりとしていただきたいと思います。  少し質問、派生しますが、このリストの不明のところ、つまり船籍が分からないところが圧倒的に多いわけですよね。この不明なIUU漁船をいかにして取り締まっていくかということが今後非常に重要だと思いますが、その点について、今協定の議論、どのようなことになっていたでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) 委員の御指摘、認識を共有いたします。  御指摘のとおり、地域漁業管理機関が示しておりますIUU漁船の中には、国籍が不明とされているものが非常に多うございます。  政府としては、関係省庁が協力して、我が国取締り船による公海乗船検査により得られた情報等を踏まえ、IUU漁業に従事したことが疑われる漁船につきましてIUU漁船リストへの掲載を積極的に提案するなど、IUU漁船リストの措置の、リスト措置の適切な運用に引き続き努めていく所存でございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  まさに、今我が国はそのような取締りをして取組をしていく、ただ、世界全体でこのIUUの中の不明国籍船が非常に多いということで、これは我が国が単独でも、またバイで、おたく取締りやりなさいよとODA出すこと難しい、これこそがまさにマルチでやるべき、拠出をしてやるべき案件ではないかと思うんですね。  その辺り、マルチでやる、バイでやる、その辺りのすみ分けを明確にして、更に一層このIUU漁船の取締りに資する施策を進めていただければと思っております。  続けて、調停に関するシンガポール条約について御質問したいと思います。  この条約に関して、調停によって国際的な和解合意ができた、それに強制執行が行われるというのがこの条約の新しい点だと理解しております。そのため、今国会で国内法の整備もされたと理解していますが、ただし、条約の一条二で、離婚調停などの家族関係に関する和解、雇用関係に関する和解合意、こういったものは条約は適用されないような内容になっていますが、こうした合意について条約上除外された経緯についてお聞かせください。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、シンガポール条約の下では、個人、家族又は家庭に関する紛争を解決するために締結された和解合意や、親族法、相続法又は雇用法に関する和解合意は、その適用対象から除外されております。  まず、家庭に関する紛争については、身分関係を形成又は変更し、その結果が当事者以外の第三者に効力を有するものであるという点において、公益性、後見性を有する紛争類型であること、特に強制執行の場面において各国固有の法的な文化や公序と衝突しやすいことから、本条約の作成過程において本条約の対象から除外されたものでございます。  また、紛争、労働紛争に関しましては、一般的に労働者と事業者との間には交渉力や情報等の不均衡があることが想定され、当事者の真意に基づかない和解合意が成立するおそれが類型的に高くなると考えられることから、本条約の成立過程に、作成過程において本条約の対象から除外されたものでございます。 ○金子道仁君 配付資料の二を御覧いただきながら次の質問をしたいと思いますが、我が国は、この条約の批准に合わせて国内法の整備をしたと。で、今回は企業間の国際的な商事紛争のみを対象とした国内法を整備したとありますが、この条約批准に伴う、まず条約実施法、括弧、新法とADR法の改正の概要についてお聞かせください。 ○政府参考人(金子修君) お答えいたします。  条約実施法及びADR法改正法は、いずれも、裁判所外の民間調停において成立した和解合意に基づく強制執行を可能とすることを内容とするものでございます。  このうち、条約実施法は、条約の的確な実施を確保するために制定され、事業者間の国際性を有する紛争に係る和解合意について強制執行を可能とするものでございます。条約実施法では、条約の内容を踏まえて、個別労働関係紛争や人事、家庭に関する紛争に係る和解合意については強制執行を可能とする対象から除外しております。  他方で、ADR法の改正は、国際性を有しない和解合意も含め、我が国で法務大臣の認証を受けた民間事業者が行う調停において成立した和解合意について強制執行を可能とするものでございます。そして、改正ADR法においても、条約実施法と同様に、個別労働関係紛争及び人事、家庭に関する紛争に係る和解合意については、基本的に強制執行を可能とする対象から除外しております。  ただし、認証ADRにおきましては、国際調停とは異なりまして当事者双方が個人であることも多く、そのような紛争について強制執行を可能とするニーズが高い上、法務大臣の認証を受けた民間事業者が行うADRであり、手続の公正かつ適正な実施が担保されていると評価することができることも踏まえまして、強制執行を可能とする範囲を、事業者間の紛争に加え、個人間の紛争に係る和解合意にまで広げているものでございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  まとめて言うと、この上の部分、国際調停、条約実施法、括弧、新法の制定、これが今回の条約に合わせた国内法の整備であると。ただ、同様な法律として、我が国国内には、ADR法、つまり裁判以外の紛争解決の手続の利用の促進に関する法律があるので、そのADR法もこの条約新法に平仄を合わせる形で改正をしたというのが二つの立て付けであるというふうに理解をしております。個人的には、このADR法の認証紛争解決事業者の中にその国際機関の認証も入れてしまえばADR法の改正一本で済んだのではないのかなというふうに思いますけれども、まあ内容として二本立て付けをしたということでも同じことなのかとは思います。  そして、このADR法ができた由来、裁判外の調停をより促進していく、裁判所に行きにくいような方々が裁判所じゃないところでも和解、調停が進むようにということでしていったわけですけれども、私も個人的に離婚調停とかの関わりをする中で、やはり結局、ADRの方に行ったとしても強制力がない、親権についてとか養育費であるとかそういったものについて、合意はしたけど執行されない、そんな手続であれば余り利用する意義がないということで、ADRの利用が非常に少なかったと。  今回、この条約法の制定に伴って、この調停による和解合意についても一部強制執行力が出たということは望ましいことなのではないかと思いますが、ただ、ここも条約に平仄を合わせる形で、人事、家庭に関する紛争、例えば離婚や相続に関しては基本的には強制執行はしないと。  ただ、ADR法の改正の方は、条約と平仄を合わせつつ、一歩前に進んだところが、この黄色いハイライトで赤線を引いてある、養育費に関しては強制執行を適用するということは非常に一歩前に進んだ良いところだと思いますけれども、もう一歩進んで、ADR法について、人事、家庭、全てに関して合意の強制執行を認めるという法整備を行う、そのような検討というか、考えはあるんでしょうか。 ○政府参考人(金子修君) 人事、家庭に関する紛争について、条約もそれから条約実施法も除外している理由は、先ほど外務省から、それから私からも御説明したとおりで、基本的にはやはりこの問題というのは国内の場合であっても当てはまるというものなんだろうと思います。  養育費に関しては、これまでも民事執行の場面でこういう金銭債権についてはいろんな特例を設けているということから一歩進めるということが容易であったわけですけれども、家庭に関する紛争全般、一般的な議論ということになりますと、やはりいろいろ問題が多いということになろうかと思います。 ○金子道仁君 我が国でも国際結婚、非常に広がっています。残念ですけれども、それに伴い国際的な離婚調停も非常に増加していて、親が海外に連れ帰ってしまって親権が混乱してしまったりとか、そういうケースも非常に増えてきていると思いますので、この点についても是非議論を進めていただきたいと思っております。  続いて、サイバー防衛について、昨日、質問、用意していただいたんですが時間がなかったので、本日、続けて御質問させていただきたいと思います。  資料の三の方に進ませていただきたいと思います。サイバー能力の向上のためには、官民を超えた人材の流動化が非常に重要だということをまず最初に御説明させていただきたいと思います。  先ほども、火曜日にもお話ししました、イスラエルに行ってまいりまして、民間の企業、サイバージムというイスラエルでも日本にも出店しておられるような企業ですが、そこのトップの方は、軍との交流の中で、行ったり来たり、二回ほど軍のサイバーのトップのところに勤務した経験があるというようなことを聞きました。  やはり、イスラエルでも、官民、人材が非常に流動的に動いていることによって情報も非常に共有化が進んでいるということを印象を受けましたが、他方で、自衛官に関しては、従来の自衛官の採用試験と異なる採用基準を設けて、専門的な知識、技能を有する外部人材の登用を図るという意図は表明されていますが、この採用基準の導入時期はいつ頃になるんでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊としては、サイバー要員の大幅な拡充に伴う人材の確保に当たり、陸海空自衛隊の学校における課程教育を中心に置きつつ部外の教育機関も活用するといった、部内育成を主とし、併せて外部人材を活用するなど、取り得る手段を全て取ることとしております。  この一環として、専門的知見を持つ外部人材の活用を促進すべく、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備を検討しており、その際、体力面に関しては緩和することも視野に検討を進めています。四月二十六日、そして五月の三十一日に開催されました第三回そして第四回の防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会においても、高いスキルを有する民間の即戦力を自衛官として登用する新たな人事制度について、検討の方向性を御説明し、有識者の皆様に御議論いただいております。  現時点では、新たな人事制度に基づく採用基準も含めて詳細は検討中であり、その導入時期についても決まっておりませんが、サイバー人材の確保の強化に向けて鋭意検討を進めていく考えです。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  時間がないので、最後の質問になります。  一つ飛ばして九番のところに進む前に、済みません、今の答弁に関して。  今の採用の形ですと、本当に一桁しか毎年入ってきていないと。これで八百九十人を四千人という数字を目指すのであれば、ほぼほぼ、このまま行くと、外部人材なしで、内部の育成のみで育てていく。非常にこれは心配がありますので、是非早急にこの新しい採用制度の導入を図っていただきたいと思っております。  最後に、内部での育成が中心になる、それはもちろん必要なことだと思います。そうすると、どうしても通信分野の方々をそちらに回していくということが中心になると思いますが、それによって通信分野の人材不足になる、そのような懸念はないんでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) 防衛省・自衛隊におきまして、サイバー専門部隊の拡大に当たりましては、計画的に人材育成、人事管理を行うことにより、通信を担う、御指摘いただきました通信を担う部隊などサイバー部隊以外の部隊も含めて隊務に支障が生じないよう、そのようにして要員選考をしていくと、努めてまいる考えでございます。 ○金子道仁君 通信以外のところからも人を集めるということであれば、そのサイバー適性の把握が非常に重要だと思いますが、全自衛隊の中にそのスクリーニング、サイバー適性の把握というのは行っているんでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  自衛官の職域を決定するに当たりましては、規則に基づき職務検査を行っております。具体的には、職業適性検査、作業素質検査等を実施しております。これらの結果を踏まえつつ、組織全体としての人材の需給を踏まえた総合的な観点から、隊員の職域、特技を決定しております。また、部隊等の具体的な配置に当たっては、当該隊員が経験した教育や勤務の内容を踏まえて適切な人材を配置しております。  サイバー専門部隊の人材につきましても、以上のようなプロセスに基づきましてこれまでも適切に人材の選定、配置を行ってきたところであり、サイバー専門部隊の拡充に当たっても、引き続き適性のある人材を充てることができるよう努めてまいります。  なお、令和四年度から、防衛省・自衛隊に勤務する職員を対象に、サイバーセキュリティーの能力のある人材を発掘することを目的としたサイバーコンテストを実施しております。この当該コンテストは、職域を限定せず、幅広く参加者を募ることとしており、能力と意欲のある隊員を職域の枠にとらわれることなく登用する契機として活用していく考えであります。 ○金子道仁君 時間が参りましたので、是非、過去のスクリーニングではなくて、これからのスクリーニングを行って適正な人材を集めて内部研修を進めていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  我々は、本三条約に賛成でございます。  ただ、もう六人目になりますと、大分論点が尽くされてまいりまして、めげずに頑張りたいと思いますが、まず、漁業補償協定についてお伺いしたいと思います。  本協定、義務に違反した国々への罰則規定など、履行措置が明文化されていないんですけれども、この協定の実効性をどのように担保するんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 漁業補助金協定におきましては、加盟国は、IUU漁業に従事したと決定した船舶、本協定の実施及び運用を確保するための措置等に関する情報、これを本協定に基づき設置される漁業補助金委員会に通報することになっております。  本協定の締約国である加盟国がこうした情報についてWTOに通報いたしますと、漁業補助金委員会において、多くの加盟国のいわゆる同調圧力、ピアプレッシャーの下に協議をされることになるわけでございます。  このようにして本協定の義務履行監視を図ることによって協定の実効性を担保しようと、こういう仕組みになっておるところでございます。 ○榛葉賀津也君 大臣、ありがとうございます。  二〇二三年三月に発表された自由で開かれたインド太平洋、FOIPのための新たなプランというのがあるんですが、この中の柱の四本目の中に、海洋法執行能力の強化という欄がありまして、その中にIUUの漁業対策というものがございます。  日本として、途上国含めた他国への支援の実例なんというのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  違法、無報告、無規制漁業、いわゆるIUU漁業でございますけれども、水産資源の持続可能な利用に対する深刻な脅威でございまして、国際社会の共通の課題でございます。  我が国はこれまで、漁業監視のための船舶供与のほか、各国関係当局の職員に対する研修等を通じた人材育成に努めてきたところでございます。具体的な支援事例としましては、例えば、インドネシアに対して、IUU漁業の監視における衛星データの取得、活用のため、専門家派遣と日本での研修を組み合わせて実施しております。また、別の事例としましては、アフリカの沿岸国から研修員を受け入れまして、日本のIUU漁業対策を共有するとともに、各国のIUU漁業に関する具体的な課題を整理いたしまして、現地で導入可能な対策等について検討するための研修を実施しているところでございます。  政府としては、このようなIUU漁業対策を含む支援を通じまして、今後も自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて更に取り組んでいく考えでございます。 ○榛葉賀津也君 まさに日本らしい支援の在り方だと思いますので、是非、このIUU分野でも、日本外務省、JICA等も使って、是非リーダーシップを発揮してほしいと思います。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  次に、私も御多分に漏れずコーヒー協定についてお伺いしたいと思うんですが、大臣、外務省のポンチ絵、コーヒーでした。なかなかしゃれていますよ、これ。これ作った人、なかなかセンスがあるなと思いまして、こういう部下を褒めなきゃ駄目ですよ。心の余裕がなきゃ駄目ですから。外務省も大したもんだなと思ったら、調査室もコーヒー色でした。すばらしい、参議院外交防衛調査室、こういうウイットが私大好きでございまして、このポンチ絵見ているとコーヒー飲みたくなるんですけれども。  実は、文献上、最初にコーヒーが出てくるのが十世紀初め、まあ九〇〇年頃でございまして、何とアラビア人のイスラム教徒のお医者様ラーゼスさんが患者さんにコーヒーを飲ませている。狭心であるとか消化にいいとか利尿作用がある。まさにもうこの頃からコーヒーが利用されていたわけでございまして、日本には一六〇〇年代の出島に来たというふうに聞いております。  実は、アメリカが最大の消費国で、先ほど私が質問しようとしたアメリカが入っていないということはもう羽田さんが聞いてしまったので、無理やり時間を引っ張るわけではないんですけれども、なぜアメリカが一番の消費国になったかというと、実はイギリスがオランダやフランスとのコーヒー貿易競争に負けまして、そして紅茶に、イギリスは紅茶を飲むようになるんです。で、そのお茶をアメリカにどんどん輸出して、税金をめちゃめちゃ高くして取ったんですね。これに現地のアメリカ人怒って、いわゆる一七七三年のボストン茶会事件が起こりまして、船のお茶を全部ボストンの海に投げ捨ててアメリカ人がコーヒーを飲むようになったという歴史があるわけでございます。  まあ、たかがコーヒー、されどコーヒー。お茶やコーヒーで戦争があったり国が独立するわけでございますから、イギリスのお茶がなかったら今のアメリカはなかったということかもしれませんが。  そこで、実はアメリカだけじゃないんです。カナダも入っていなければ、中東の国々、このコーヒー発祥の中東の国々もオーストラリアもニュージーランドも中国も、この輸入国としての加盟入っていないんですね。これもうちょっと加盟国増やして、この価格の安定等々の実効性を高めるべきだと思うんですが、どうなんでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) 先ほど、最大の輸入国のアメリカについて、機会を捉えて我が国としても、もちろんこの協定の締結について御承認いただいた後に締結を働きかけていきたいということを御答弁申し上げましたけれども、これはアメリカだけに限ったことではございませんで、その他の国々、今おっしゃったような国々についてもできるだけ加盟、輸入国ないし、まあ輸出国側はかなり入っておりますけれども、特に輸入国について加盟国を増やしていくことができれば望ましいというふうに考えてございます。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕 ○榛葉賀津也君 まさにBRICSを始めとする新興国がどんどんコーヒーを消費するようになったり、やはりコーヒーというのは、何でしょうね、常習性がありますから、これからやはりコーヒー協定というのはなるべく多くの皆さんに加盟していただくということが大事なんだろうと思います。  実は、我が家は茶農家の端くれでございまして、コーヒーも飲みますが、お茶も飲みます。一万平米足らずのお茶を今でも仲間と一緒に栽培しているんですけれども、その私が以前コーヒー屋をやっておりました。コーヒー屋を始めた理由は、お茶の需要がなかなか伸びないんですね。お茶の消費がなかなか伸びないんで、仲間と一緒に、コーヒーを飲む国々の方々にも日本茶を飲んでもらおうじゃないか、そのためには、飲め飲めじゃなくて、我々がコーヒーを飲む代わりに皆さんもお茶を飲んでくださいという運動を始めたんですが、このオペレーションはまだ成功していません。なかなか難しいオペレーションでございます。  私が始めたコーヒー屋はアレフコーヒーという言葉でございまして、先ほど金子先生がイスラエルの話をいたしましたが、ヘブライ語の最初のレターがアレフという言葉で、生命の起源とか命の始まり、全ての始まりというのがアレフという言葉でございまして、若干ヘブライ語を話すものですから、アレフという言葉を使ってアレフコーヒーという会社にしたんですが、何とオウム真理教がアレフになりまして、静岡県警から変えてくれと、名前を、言われまして、泣く泣く変えたわけでございますが。  私が始めたのは、世界に一つしかないコーヒーを作ろうと。コーヒーというのは奥が深うございまして、先ほど平木大作先生が毎朝コーヒーをひいて飲んでいらっしゃると言いましたが、平木さん、ひきたてでは駄目なんです。煎りたてでないと、コーヒーは。ひいた瞬間から劣化が始まりますから、いろんな豆を、煎りたて、ひきたて、入れたてと、これが一番おいしいわけでございまして、様々な豆や煎り方、ひき方を工夫して、小野田先生だけにしかない例えばコーヒーを私が作りますよというビジネスをやっておりました、余りもうかりませんでしたが。  実は、コーヒーの産地には、ブラジル、ケニア、エチオピア、コロンビア、インドネシア、これ産地でございます。そのほかに、豆で、キリマンジャロとかブルーマウンテン、モカ、ブラジル、コロンビア、グアテマラとかあるんですが、後段の方はもう国の名前がそのままコーヒーの豆の名前になっています。モカというのはイエメンにある港、そこからコーヒー豆が出荷されたので、モカというのは港の名前で、キリマンジャロ、ブルーマウンテンというのは、言うまでもなく山の名前がそのままコーヒーの名前になっているわけでございます。  先ほど、平木先生がおっしゃったように、コーヒーのこれ原種というのは三つあるんですね。それがアラビアカとロブスタとリベリカという、大体三種類なんです。このアラビアカというのが一番メインでございまして、おおむねの六割がアラビアカ種でございまして、これが実は病気に弱くて栽培が一番難しいんですけれども、一番おいしいんです。だから、我々が飲んでいるほとんどがこのアラビアカ種でございまして、何が大変かというと、標高千メートル以上のところで作らないとおいしいアラビアカの品種ができないので、それで、二〇五〇年問題で、気候温暖化の環境問題でコーヒーが大変になるぞということを質問しようとしたんですが、もうさっきやっちゃったので、ちょっとうんちくを述べてみたわけでございます。  是非、大臣、コーヒーを飲む際は、ボストン茶会事件を始めとしていろんな歴史があると同時に、コーヒーもいいですけど、緑茶もおいしいですよ。是非緑茶も消費していただくよう、大臣、最後コメントいただいて、私、今国会最後の質問に代えたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○国務大臣(林芳正君) 榛葉委員はいろんなことにお詳しいのは承知しておりましたが、コーヒー屋を展開されて、コーヒーについてこれだけ博識であるというのは今日初めてお聞かせをいただいて、ただただ感服して聞いておった次第でございますが、私も、外務大臣というよりも元農林水産大臣として、やはり国産のお茶、これは輸出にもたしか尽力をしてきて少しずつ輸出も増えてきているとは思っておりますが、産地のいろんな状況も当時聞かせていただいて、環境整備等もやってまいりましたので、コーヒーを飲むからお茶を飲んでくれということに加えまして、いろんなことを展開していくことによって、コーヒー、紅茶、日本茶、いろんな個人の嗜好に応じて消費が高まっていく、これを需給安定させていくためにも、このコーヒー協定、更に広げてまいりたいと、こういうふうに思っております。 ○榛葉賀津也君 コーヒー、紅茶、緑茶にかかわらず、様々な農産物が作られ、我々は嗜好がどんどん高くなっていくわけでございますが、流通するにせよ消費するにせよ、常に生産家の方々に、国内外を問わず、中南米やアフリカで豆を栽培し収穫をされている生産家、農家の方々に思いをはせて、コーヒーを楽しみたいと思います。  以上でございます。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  三つの条約については、我が党も賛成です。  つい先ほど、法務委員会で入管法改悪案が怒号の中で採決をされました。国際人権水準に遠く及ばない難民認定の行政の在り方について、私はこの委員会でも質疑をしてきましたが、それを更に後退させるような法案を乱暴に通そうとすることには断固抗議を表明したいと思います。  その上で、その人権に関わっては、これは自衛隊内でも深刻な実態があります。昨日は、海上自衛隊佐世保基地を母港とする護衛艦で勤務していた海士長が長時間労働やパワハラを苦に自死したことについて裁判が始まりました。  防衛省に伺いますが、ハラスメントを理由とする裁判で現在係争中のものは何件あるでしょうか。そのうち現役の自衛隊員が原告となっているのは何件でしょうか。 ○政府参考人(芹澤清君) お答え申し上げます。  自衛隊員又は元自衛隊員がハラスメント被害に遭ったと主張している訴訟につきましては、令和五年五月末現在でございますが、二十件が係属していることを確認しております。また、現役の自衛隊員が原告となっている訴訟につきましては、このうち三件が係属していると確認しております。 ○山添拓君 裁判に行き着くまでというのは氷山の一角ですが、それでも一般の組織では考え難い件数だと思います。  そのうちの一つが、四月十一日の当委員会で取り上げた航空自衛隊那覇基地の事件です。セクハラ被害を訴えたにもかかわらず適切に対応されなかったとして、現役自衛官が国賠訴訟を提起しています。今日はその裁判の期日で、ちょうど今、報告集会が行われている頃かと思います。  被害者は法務部門に相談したのですが、個人のセクハラには対応していないと言われたそうです。ところが、被害者が加害者を相手に、加害者個人を相手にですね、裁判を起こしたところ、その加害者側は全面的に支援していたというんです。  前回質疑の後、防衛省から出された資料が今朝の理事会に提出をされました。法務部門が隊員の個別の法律相談に応じる法的根拠は、規則にある法令の調査及び研究に関することだと伺いました。訴訟に関する具体的な相談まで、この法務部門は乗るんですか。 ○政府参考人(芹澤清君) お答えいたします。  今委員の方から御指摘ございましたように、防衛省・自衛隊におきましては、防衛省組織令、それから各種の規則に基づきまして、陸海空各幕僚監部、それから陸海空自衛隊の部隊の司令部に法務部門が置かれております。そこにおきまして、法務部門で法律相談の対応をしてございます。  他方、一般論として申し上げますと、自衛隊の法務官が実施する法律相談は、法律、訴訟に関する一般的な内容でございまして、隊員個別の訴訟につきましては、具体的な相談につきましては専門家である弁護士の方に依頼するように助言しております。 ○山添拓君 ちなみに、この法務部門の法務官は誰の指示で動くんですか。 ○政府参考人(芹澤清君) 各司令部には法務官が置かれておりますけれども、各部隊の司令部の事務全体につきましては、その司令官が掌理するとなってございます。 ○山添拓君 つまり、相談者よりも組織の都合を優先する立場にある方だということです。  資料を御覧ください。相談しても対応してもらえなかった被害者は、弁護士に依頼して問題の対応を求める内容証明郵便を送りました。すると、那覇基地では全隊員を対象とするセクハラ教育が行われました。その資料を今日はお配りしています。これも、前回の質疑後、防衛省から出されたものです。  例えば、二枚目を御覧ください。左側のページ、黒塗りがありますけれども、加害者はAと匿名です。被害者は実名が書かれていると伺いました。これは事実でしょうか。なぜそうしたんでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  まず、教育に関する資料の作成経緯でございますが、今般御提出させていただきました教育資料におきましては、弁護人代理士、代理人弁護士を通じて、セクハラ被害隊員から、本セクハラ行為とその後の経緯について那覇基地全隊員への書面による説明を求められたことから、部隊が那覇基地全員に、全隊員に対する教育資料として作成したものでございます。 ○山添拓君 いや、その資料で、なぜ加害者は匿名で、被害者は実名なのかと伺ったんです。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  御指摘の資料には被害隊員の名字を記載しておりますが、これは、当該被害隊員から弁護人、代理人弁護士を通じて、勤務内外を問わず、被害隊員に対して仕事以外の私的な話をしないこと、被害隊員が当面の間、職場の宴会に参加しないことを航空自衛隊那覇基地全隊員に周知し、被害隊員の心情に配慮した職場環境を形成することなどを求められたことから、被害隊員を特定するため、名字を記載しなければならなかったものであります。 ○山添拓君 こういう資料で説明することを本人には確認取られたんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 恐縮ですが、これ以上のことにつきましては、係属中の裁判であることから、今後の裁判に影響を与えないことから、お答えできないことを御理解ください。 ○山添拓君 これは後から知られて、驚愕されたそうですよ。事前に相談もなければ、調整もされていない。  この説明資料はセクハラがあったことを前提に作られていますが、ところが、加害者を匿名にし、被害者を実名にする、これは二次加害に等しいですね。セクハラ教育をその後やり直したかどうか、これは御承知ですか。 ○政府参考人(町田一仁君) そのセクハラ教育、どのように行われたかということにつきましても、係属中の裁判に関することでございますので、今後の裁判に影響を与えかねないことから、お答えできないことを御理解ください。 ○山添拓君 では、こういう説明会の仕方、ほかの基地でもやっているんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 説明会を行っているか否かにつきまして、今後の裁判に係ることでございますので、お答えできないことを御理解ください。 ○山添拓君 ほかの基地のことですからね。  これ、最後のページに内容証明郵便について解説があるんですよ。法的な効力がないので法律家の間ではただのお手紙と言われることが多いなどと書いているんですね。これは完全に被害者を愚弄するような説明会資料だと思います。  まだあるんですよ。関係者から提供された組織内の調査資料をこの被害者が裁判所に証拠として提出しました。すると、それが情報漏えいに当たるとして警務隊に告発されて、取調べを受けることになったそうです。検察はこの事件を不起訴にしたそうですが、それから三年もたった昨年の七月になって訓戒処分を受けました。  裁判所に資料を出したのは二〇一六年です。処分は昨年ですから、資料を出してから五年もたって訓戒がされたわけですね。これは被害者がセクハラ被害を訴え続けたことへの報復だと受け止められても仕方ないんじゃないでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  御指摘いただきました訓戒処分でございますが、まず、この訓戒とは、訓戒等に関する訓令に基づく措置でございます。隊員の規律違反があった場合に、当該違反が軽微であって懲戒処分を行うまでに至らないと認めるとき、当該職員の懲戒権者及びその指示又は承認を受けた者は、当該職員に対して訓戒を実施することができるとされており、その手続に従って実施したものと承知しております。 ○山添拓君 ですから、軽微なものだったわけでしょう、懲戒処分に至らないような。にもかかわらず、五年もたってわざわざ訓戒処分を行ったと。これは、単に職場における改善更生を図る目的というよりは、自衛隊として、被害者に対して被害を訴え続けることに対しての報復だと受け取られても仕方ないと思うんですよ。  裁判を受ける権利ですから、これは主張、立証を十分に行えてこそ保障されるものだと思うんです。その際、この被害者が被害を訴えて、ところが、こんな説明資料で説明会を行われたものですから、周りの隊員たちの中にも違和感を覚える方がおられたそうなんですね。そこで、いろんな自衛隊内で行われている調査、そこでの資料について情報提供も受けることになったと。そうやって入手した、つまり、被害者の側ですから資料は圧倒的に少ないわけですよね、その中から書証として裁判所に資料を出したらそれが犯罪扱いされたというんですよ。  これはやはり処分は撤回すべきじゃないですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、その行為を、当該職員の懲戒権者及びその指示又は承認を受けた者が調査を行い、軽微であって懲戒処分を至らないというふうに認めたときに訓戒を実施することができるとされていることを踏まえ実施したものと承知しております。 ○山添拓君 撤回を検討されないですか、こういうやり方について。 ○政府参考人(町田一仁君) 今の訓戒につきましては所要の手続を踏んで実施されたものと承知しております。 ○山添拓君 そういうことをいつまで繰り返されるのかということですよ。  海上自衛隊で、部下からパワハラを相談された自衛官が、懲戒処分の申立書を海上幕僚監部などに送ったところ、この件について、警務隊が虚偽告訴だと、つまり、パワハラの被害を、懲戒処分をするべきだと訴えたこと自体が虚偽告訴だという容疑で逮捕し、自宅を家宅捜索したという事件まで起きています。この方は既に釈放されて、一度も取調べされることなく不起訴となったようですが、この事件も、逮捕それ自体が不当だとして国家賠償請求の裁判になっています。  自衛隊は、ハラスメント被害の当事者やその協力者を犯罪者として扱うんですか。こうしたケースで警務隊が立件し送検した件数をお示しください。なぜそんな対応を行うんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) ただいまお尋ねいただきました加害者の懲戒処分を申し立てた者、そしてハラスメントの当事者ないし申告者を警務隊が立件し送検した件数につきまして調べました。  現時点で確認した結果、お尋ねの警務隊が立件して送検した件数は、過去五年間、これを調べることができましたが、二件が該当しているところでございます。 ○山添拓君 その二件を今御紹介したということになるようですが、これはやはりやること逆ですよ。被害者の被害の申告あるいはその協力者に対して誠実に対応するべきだと思うんですよ。  大臣に最後に伺いたいと思いますが、自衛隊におけるハラスメント、後を絶ちません。それだけでなく、お聞きいただいたように、組織的な隠蔽が常態化していると思います。なぜだとお考えですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 相次いで明らかになるハラスメント事案については、従来行ってきた防衛省のハラスメント防止対策の効果が組織全体で行き届いていなかったことの表れであり、極めて深刻で、誠に遺憾であります。  ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものであります。そうしたことを各自衛隊員が改めて認識し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築することが必要であると考えます。  そのため、現在、ハラスメント防止に係る有識者会議において新たなハラスメント防止対策について検討を行っているところでありますが、これを確立の上で、全ての隊員に徹底させるとともに、さらに時代に即した対策が講じられるよう、その見直しを継続的に行ってまいります。  大変この件に関しては我々とすれば深刻に受け止めております。 ○山添拓君 あってはならないとおっしゃるんですけれども、既にこれだけ繰り返されているわけですね。そして、裁判でもまだ争い続けておられます。規模ありきで軍事費を倍増しながら、ハラスメントが横行する実態は変わっていません。これでは自衛官の中途退職は決して減らないと思います。  安心して相談できるような第三者機関の設置など抜本的な対策を取るべきですし、これはやはり自衛隊の組織としての問題だということを重ねて指摘して、質問を終わります。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  三条約案については特に異論ありません。  国家安全保障戦略では、「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を維持・擁護する形で、安全保障政策を遂行する。」と表明しています。しかし、日本政府の安全保障政策は、少なくとも沖縄では普遍的価値を擁護するものにはなっていません。  辺野古新基地計画では、支出に対する民主的コントロールが全く及んでいません。  配付している令和元年十二月二十五日付けの資料①では、軟弱地盤工事を含めて工期は九・五年、新基地の提供まで十二年、総経費は約九千三百億円と公表されました。  しかし、当初の平成二十一年、二〇〇九年当時、防衛省は総経費を資料②のように約三千五百億円と示していました。内訳は、埋立費用二千三百十億円と飛行場施設建設費五百億円、シュワブ再編経費六百億円及び環境影響評価経費の百億円です。  ところが、この五月に防衛省から提供された資料③では、平成十八年度、二〇〇六年度から、令和三年度、二〇二一年度までの工事費用の支出済額は約三千四百九十七億円です。二〇二一年までに既に当初計画の総経費三千五百億円を使ってしまっています。  あわせて、今年四月末時点での事業進捗は、事業全体に対する埋立土量で約一五%と公表されました。地盤改良が必要ない辺野古側だけで当初予算の二千三百十億円を超え、二千四百四十八億円が支出されています。  沖縄県は、二〇一八年に、辺野古新基地建設を実現したとしても少なくとも二兆五千五百億円以上掛かるという試算を公表しましたが、政府はこの数値を否定してきました。しかし、この事業進捗率、埋立土量一五%で支出済額が三千四百九十七億円というのは、約七分の一と考えると、三千四百九十七億掛ける七で二兆四千四百七十九億円となり、沖縄県の試算した数値と極めて近く、正確な試算だったと言えます。  防衛省は毎年度の国会での予算審議を経ているので問題ないとの説明を繰り返していますが、今、総工事費、総工事額三千五百億円の事業で一五%しか進んでいないのに、既に三千四百九十七億円を超える支出をしています。政府の誰も、事業費の全体像を把握していません。政府が幾らになるか分からないような事業に限られた予算を無駄遣いすべきではありませんし、日本にそのような余裕はありません。実態を調査して、早急に事業を見直すべきと考えます。  財務省として、普天間飛行場代替施設事業について、事業費の全体像を把握すべきではありませんか。辺野古新基地計画を予算執行調査の調査対象として厳格にチェックしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  普天間飛行場の代替施設につきましては、平成十八年五月の日米安全保障協議委員会の際に発表された再編実施のための日米ロードマップに基づき、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため工事が進められているものと承知しており、その経費の総額の見積りについては、防衛省により令和元年十二月に約九千三百億円と示されたと承知しております。  この経費につきましては、財務省といたしましては、各年度の予算編成過程において、防衛省から提出された概算要求を受け、実効性や効率性などの観点から精査し、必要な調整を行った上で予算案に計上して国会で御審議をいただいており、かつ支出負担行為の実施計画に係る手続においても、個別の工事の見積りでありますとか進捗状況を含め、予算の執行状況については確認をさせていただいているところでございます。  なお、予算執行調査でございますが、財務省の予算担当職員自らが予算執行の実態を調査して、改善すべき点を指摘し、執行の効率化や予算のより効果的な活用等につなげていくといった取組でございますが、その対象とすべき事業については適切に選定してまいりたいと考えてございます。 ○伊波洋一君 回答ございましたけれども、実際、防衛省に聞いても財務省に聞いても、総額幾らになるかというのは誰も言えないんですよ、分かっていないんです。毎年予算をただ付けているだけにすぎない。  しかし、その予算が既に一五%の、簡易な辺野古側埋立てでしかないのに、それだけでもう三千五百億のお金は使ってしまっている。一体これから幾らになるんですか。これから、大浦湾側はまだ承認もされていません、様々な困難がある、何度も。そうすると、はるか二兆をも超えて三兆も超えるかもしれない。そういうことを考えますと、そもそも、行政事業レビューというのもあります。防衛省自身がまずそれを点検をしていく、総額幾らなのかというのを毎年毎年しっかり確かめることが必要だと思います。  行政改革推進本部に伺いますが、特に外部の目も入れて点検する必要があると考えます。秋のレビューで取り上げてはいかがでしょうか。 ○政府参考人(湯下敦史君) お答えいたします。  今先生御指摘のとおり、行政事業レビューというものは各府省が自発的に点検を行うものでございます。あと、外部の視点も活用されるということで、普天間飛行場代替施設移設事業につきましても、令和四年の点検で外部の方の点検を行われたというふうに承知しております。  秋のレビューにつきましてお尋ねをいただきましたが、概算要求提出後、各府省庁の点検が十分なことになっているか等につきまして行政改革推進会議が検証を行うこととしております。その一環として行う秋のレビューでございますが、その都度、重要な課題について同会議の決定を経て議論しております。  本年三月の行革推進会議におきましては、今後の改革の柱として、行政事業レビューへのEBPMの導入と基金の点検の強化について具体的な方針を決定しておりまして、行革事務局としては、今年度はこの方針に沿って取組を進めてまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 今申し上げましたように、一五%の進捗しかないのに総予算額もう使ってしまっている現実がある。今回、四十三兆円という五年に及ぶ予算計画を防衛省は持って臨んでいるわけですね。しかし、それに対する具体的な質問に対しても答え切れないでいる。  私は、やはり防衛省自身が自らの予算執行の能力、その精査のありよう、それをしっかりやらないと、この四十三兆円が一体幾らまで膨らんでいくのか分からないと思いますよ。防衛大臣も含めて、是非今回のこの秋のレビューでしっかりとその全体像を明らかにしていただきたいと思います。  次に、二〇一九年二月の県民投票では、投票総数の七二%が辺野古埋立てに反対の意思を示しました。普遍的価値を擁護する安全保障政策が事実なら、辺野古新基地計画は既に断念されているはずです。辺野古新基地計画がこれ以上の税金の無駄遣いにならないよう、今が引きどきではないでしょうか。  普天間飛行場の危険性も辺野古新基地を口実に放置され続けています。一方、防衛省は、普天間返還の必要性については、普天間飛行場は市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、これを利用する航空機が市街地上空を飛行するため、世界で最も危険な飛行場と言われています、と、はっきり普天間飛行場の危険性を認めています。  米国連邦航空法は、米軍用飛行場で最も事故が発生する危険性が高いとされる滑走路の両端から約九百メートルの前方の区域については、一切の構造物がないクリアゾーンとして指定し確保することが義務付けられています。  二〇一二年の四月のオスプレイ環境レビューでは、普天間飛行場について、「基地外まで伸びるクリアゾーンは、基地外にある居住区域や商業区域といった適合的でない地域も含んでいる」、「全ての固定翼の使用滑走路に必要とされる大きなクリアゾーンは、滑走路〇六/二四の両端から基地外に広がっている。」などの記載があり、米国連邦航空法に求められるクリアゾーンが普天間飛行場には確保されていないことを在日米軍も認めています。  最も危険なクリアゾーン内には、現在、普天間第二小学校を始め、公共施設、保育園、病院など十八か所も立地しており、住宅約八百戸、約三千六百人を超える宜野湾市民が住んでいます。その資料については、皆さんお手元の⑤、⑥にありますので、見ていただきたいと思います。  米国連邦航空法のクリアゾーンと同様に、安全規制として日本の陸上飛行場において、航空法第三十八条一項で、滑走路端安全区域、RESAの確保が求められています。  国交省にお聞きしますが、RESAとはどんなものですか。具体的にどのような対策が求められていますか。 ○政府参考人(平井一彦君) お答えいたします。  滑走路端安全区域、RESAでございますが、航空機がオーバーラン又はアンダーシュートを起こした場合に、機体の損傷を軽減し人命の安全を図るため、滑走路両端に設けられた過走帯と呼ばれる長さ六十メートルの区域より先に設ける安全区域となっております。  RESAの長さは、国際民間航空条約に基づく空港等の設置に係る基準として、通常少なくとも九十メートル以上の長さを確保することを求めております。なお、可能な限り最大二百四十メートルを確保することを推奨しております。RESAが確保されていない空港においては、対策として、用地拡張、滑走路の移設、アレスティングシステムの導入又は滑走路長の変更を求めております。  国土交通省としては、RESAの早期確保に向けて、引き続き、空港管理者への進捗状況の確認を行うとともに、技術的な支援を行っているところでございます。 ○伊波洋一君 在日米軍については、日米地位協定に伴う航空特例法が適用され、日本の航空法三十八条一項のRESAの規定も適用除外となっています。  防衛大臣、日本政府として、これまで在日米軍など米軍に対して、普天間飛行場内において米国連邦航空法に基づくクリアゾーンや航空法に基づくRESAを確保するよう求めたことがありますか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  米側との間におきましては、普天間飛行場の運用について平素から様々な意見交換を行っているところですけれども、その個別の内容についてお答えすることは、米側との関係もあることから困難であることを御理解いただきたいと思います。  その上で、米国連邦航空法などにおいてクリアゾーンの設置に関する規定が存在することは承知をいたしておりますけれども、防衛省といたしまして、米国の法令などについて網羅的に把握をし有権的に述べる立場にない、ございませんし、その解釈、適用等についてお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。  また、御指摘の我が国の航空法に基づきますRESA、滑走路端安全区域でございますけれども、普天間飛行場につきましては航空法第三十八条第一項の適用を受けるものではございませんが、防衛省として、提供施設・区域内において航空法で最低限必要とされる長さ九十メートルのRESAに相当するスペースがあるものというふうに認識をいたしてございます。仮に、その普天間飛行場の航空機の運用に際しまして周辺住民及び航空機の飛行の安全に問題が生じる場合には、米側と相談を行いつつ、適切に対応を行っていくことになるというふうに考えてございます。  過去にそのような対応を行った例といたしましては、普天間飛行場の提供施設・区域の外におきまして、防衛省では、航空法に規定する建造物の高さ制限を踏まえまして、周辺住民及び航空機の飛行の安全が損なわれるおそれがあったことから、普天間飛行場近傍に所在するアパートの移転費用でございますとか民間鉄塔の撤去費用の補償を行ったことがございます。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、米側との間において、普天間飛行場の航空機の運用に際しまして、日米間の合意を遵守をし、安全面に最大限配慮しつつ周辺地域に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続きしっかりと申入れをし、地域住民の方々の安全確保に向け緊密に協力をして取り組んでまいります。 ○伊波洋一君 求めたのは、皆さんがRESAやあるいはクリアゾーンを確保するよう求めたことがありますかということなんです。あるんですか、ないんですか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  繰り返しになりますけれども、米側との間では、普天間飛行場の運用について平素から様々な意見交換を行っているところでありますけれども、その個別の内容についてお答えすることは、米側との関係もあることから困難であることを御理解いただきたいと思います。 ○伊波洋一君 今、普天間第二小学校というのがクリアゾーンの中にあるんですね。その上を飛ばさないようにすることすら言い切れていないわけですよね。まあ、基本的に求めたことがないんだといったことを答えていると思っております。  私は、やはり今のような状況、まさに国内航空法も連邦航空法も何の担保もされていない、そのような公共の安全の空白地帯になってしまっている。いわゆる地位協定上は、本来、公共の安全を保つべきだというのが義務化されているんですけれども、それに対して、日本政府は結局やっていないわけですね。どうなんでしょう、日本政府として、宜野湾市民の普天間飛行場の公共の安全はどのように担保されていると考えているんでしょうか。外務省、お答えください。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  一般に、受入れ国の同意の下でその国で活動する外国軍隊は、当該受入れ国の法令を尊重する義務を負っておりまして、日米地位協定にもこれを踏まえて第十六条が置かれております。そのため、米軍も我が国の国内法令を尊重する義務を負っております。  また、そもそも米軍が我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは当然でございまして、米軍機による飛行についてもこの点は同様でございます。  また、日米地位協定第三条三が、米軍が使用している施設・区域における作業は公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならないと規定していることからも、施設区域ではない場所の上空における飛行に際しても、公共の安全に妥当な考慮を払われることは当然であると考えております。  その上で、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、これは政府と地元の皆様との共通認識であると考えております。政府として辺野古移設に向けて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものと考えております。 ○伊波洋一君 防衛省の答弁も外務省の答弁もそのまま放置しますというのにしか聞こえないですよ。実際何もやっていない、何もやれない、そういう状況なんですね。  私は、やはりこのようなことを放置したら日本政府の本当にメンツは潰れるんだと思いますね。日本政府は米軍のための安全は担保するけど、米軍が言えばそれはなくす、それは分かります、宜野湾市に住んでいますので。建物一か所だけ買いました、土地も買いました。でも、宜野湾市民の安全のためにはやらないというのが今までの取組なんですね。本当にそれでいいんでしょうかね。  外務大臣、辺野古工事はこれから幾ら掛かるか分からないです、もう今の状況は。だから、全体像も不明、予算の効率化も必要ですが、政府にはその手だてがないんですね。今、辺野古にこだわり続けて普天間の危険は放置され、そして様々な意味でいろんなものがもう破壊もされている。そういう中で、もう既に三千八百億円入れてグアムに基地も造っているんですよ。移転先もあります。来年からは移転が始まります、海兵隊の移転もですね。日米での交渉を通じて底なしの辺野古を断念し、普天間の危険性除去に向けた新たな解決策に向けた話合い、アプローチに踏み出すタイミングではないかと考えますが、外務大臣の答弁を求めます。 ○国務大臣(林芳正君) 今やり取りをいただいたように、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないわけでございまして、これは地元の皆様との共通認識であると考えております。日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であり、米側との間でもこの点を累次にわたり確認してきております。  外務省といたしましては、普天間飛行場の辺野古移設を始めとする在日米軍再編、米軍の運用や日米地位協定をめぐる課題について米側と連携して一つ一つ前に進めてきておりまして、引き続き、沖縄を始めとする地元の皆様の負担軽減に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 辺野古では、ジュゴンが新たにまたその存在が確認をされています、ふんを通してですけれども。  そういう意味で、実はJEGSという日米間の日本環境管理基準がございます。二〇〇〇年九月十一日に環境原則の共同発表を通して合意されたJEGSという基準、これが適用されています。そういう中で、二〇一六年九月のこの委員会において、当時の岸田外務大臣は、「米側がJEGSに基づいてしっかりと対応するよう働きかけていく」と、「あるべき姿として重要である」と、こういうふうに答弁しました。  現在も、このJEGSに関して、外務大臣、外務省は同様な方針で変わりありませんね。 ○国務大臣(林芳正君) 米側による日本環境管理基準の発出及び維持については、二〇〇〇年の環境原則に関する共同発表において日米間で確認し、二〇一五年に締結された日米環境補足協定においても規定をされているところでございます。  在日米軍がJEGSに基づき環境保全及び安全への取組を適切に実施すること、これは重要だと考えておりまして、本年一月の日米2プラス2においても、私から米側に対しまして、環境問題についても改めて要請をした上で、日米双方が緊密に連携していくことを確認したところでございます。  外務省としては、今後とも関係省庁と連携しつつ、様々な機会を捉えて米側に働きかけてまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 辺野古の基地建設も、あるいは高江等のオスプレイ、ヘリパッド建設も、実はJEGSの下で行われたんですね。そのスタートの時点でJEGSは適用されていました。しかし、そこには希少種が存在している。ジュゴンがいる、あるいは多くの希少種がいる。両方ともそうなんですよ。片側は世界遺産ですよ、自然遺産ですよね、もう。そういうものを、今壊されていない部分があります。壊されていない部分をしっかり保全する意味からも、いま一度JEGSを確認をして、ここには基地を造らせることができないんだということを日本政府として確認するよう求めて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御発言もないようですから、三件に対する質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。  これより三件について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会