第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第18号 令和5年6月1日 令和五年六月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月三十日     辞任         補欠選任      宮崎  勝君     山本 香苗君      青島 健太君     松野 明美君  五月三十一日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     宮崎  勝君      松野 明美君     金子 道仁君  六月一日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     山本佐知子君      松川 るい君     井上 義行君      金子 道仁君     青島 健太君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 井上 義行君                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 山本佐知子君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 宮崎  勝君                 青島 健太君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務副大臣    武井 俊輔君        文部科学副大臣  井出 庸生君        防衛副大臣    井野 俊郎君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  近藤 正春君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       加野 幸司君        内閣法制局第一        部長       木村 陽一君        警察庁長官官房        審議官      早川 智之君        警察庁警備局警        備運用部長    迫田 裕治君        消防庁国民保護        ・防災部長    田辺 康彦君        外務省大臣官房        審議官      石月 英雄君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        参事官      池上 正喜君        財務省主計局次        長        寺岡 光博君        文部科学省大臣        官房審議官    奥野  真君        農林水産省大臣        官房総括審議官  杉中  淳君        経済産業省大臣        官房審議官    恒藤  晃君        経済産業省大臣        官房審議官    門松  貴君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     猪狩 克朗君        海上保安庁警備        救難部長     渡邉 保範君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省防衛政策        局次長      安藤 敦史君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君        防衛装備庁長官  土本 英樹君        防衛装備庁装備        政策部長     萬浪  学君        防衛装備庁プロ        ジェクト管理部        長        坂本 大祐君        防衛装備庁技術        戦略部長     堀江 和宏君    説明員        会計検査院事務        総局次長     篠原 栄作君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のた  めの基盤の強化に関する法律案(内閣提出、衆  議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官加野幸司君外二十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  今日は、基盤強化法についていろいろと質問をさせていただきたいと思います。  今回、防衛基盤、防衛産業を強化するということでございますけれども、当然防衛産業の方も大事なんですけれども、やっぱり防衛省が抱える課題というのも幾つかあるというふうに言われております。その一つが、本当に有事前提に必要な装備品を必要な数だけしっかり発注しているのかと。一定数量を防衛産業に発注し、それを安定的な数量が来るというふうに予見ができれば防衛産業もそれなりの対応ができると、これは当たり前のことでございます。  これ、大和統括官にお伺いします。  ミサイル防衛で、国民保護訓練でJアラートが鳴った場合、避難訓練を自治体でやるようにということで政府の方はお願いしておりますけれども、統幕あるいは内局等でこのJアラートが鳴った場合の避難訓練、やったことがありますか。 ○政府参考人(大和太郎君) 済みません、今、私、委員の御質問に答えることのできる材料を持っておりません。確認をさせていただければと思います。申し訳ありません。 ○佐藤正久君 少なくとも、じゃ、大和統括官が内局の次長、あるいは統幕来てからやったことありますか。 ○政府参考人(大和太郎君) ございません。 ○佐藤正久君 多分ないと思いますよ。  私の経験上も、実は、ミサイル防衛と国民にお願いしておきながら、大体中央が一番やっていないんです。私も陸幕勤務をしました。師団の訓練班長、方面の訓練班長、陸幕でも訓練班長をやりました。一番訓練していないのが上の方なんです。一番訓練していないのが上の方なんです。だから、市ケ谷は安全だという安全神話、市ケ谷安全神話に若干陥っているという部分もあろうかと思います。  じゃ、PAC3が、今、市ケ谷に中部高射群の一部が展開しておりますけど、何のために展開しているんでしょうか。副大臣、お願いします。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  PAC3は、御承知のとおり、弾道ミサイルに対処するためにまさに市ケ谷に存在しているということで、首都圏を防衛するという観点で、イージス艦の高いところにおける迎撃、それからPAC3による低いところによる迎撃、この二つを併せまして、我が国の弾道ミサイル対処、こういうものが成り立っているわけでございます。 ○佐藤正久君 委員の先生方、今聞いたとおり、PAC3が防衛のために立っているんですよ。普通、相手からすると、今ロシアの、キーウでも行われているように、PAC3を潰すために、ロシアが無人機とか、あるいは巡航ミサイルと弾道ミサイルを指向しているわけであります。  にもかかわらず、市ケ谷の方に、今までJアラートが鳴った場合どうやるかという訓練ってほとんど行われていない、どこに避難するかと。国民には避難してくださいと、窓の近くには寄らないでください、できるだけ堅固な建物、地下の方に逃げてくださいと言っておきながら、やっていないんですよ。つまり、PAC3を潰すためにいろんなことが想定されます。  じゃ、副大臣、副大臣は、私は防衛大臣政務官のときにヘルメットとか防護マスク、これは支給されていませんでしたけれども、副大臣は支給されていますか。 ○副大臣(井野俊郎君) 私個人というよりも、防衛省幹部については、戦闘を行うことを想定しておりませんで、個人装具は定数化されておりませんので、装備品については保有をしておりません。 ○佐藤正久君 これが実態なんですよ。PAC3は立っている、狙われる可能性がある、だけど、別に戦闘を行うわけではなくても、自分を、身を守るためのヘルメットもあるいは防護マスクもないんです。これ発注すべきだと思いませんか。整備計画局長。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  今副大臣から御答弁申し上げましたように、いわゆる市ケ谷に所在する部隊では、任務遂行上必要と考えられる部隊に対して防護マスクやヘルメットなどの個人装具が定数化されており、それに、数に応じた個人装具は保有しているところでございますが、内部部局や各幕僚監部等、設置法上に基づく組織にあっては、専ら事務を行う組織ということで戦闘を行うことを想定しておらず、個人装具は定数化されていないことから、同装備品については保有しておりません。  それで、先ほども、このような状況でございます。現状これらの装備品は定数化されておりませんので、必要な場合には借り受けることとしておりますが、今委員の御指摘もございまして、今後定数化し常備する必要性について検討してまいりたいと考えているところでございます。 ○佐藤正久君 これは平和ぼけというんですよ。国民から考えて、今回非常に日本を取り巻く環境が厳しいと。今まで目をつぶっていたところをしっかり手当てをすると。弾薬も部品も、そしてまた燃料も含めてしっかり整備すると言っているにもかかわらず、肝腎の市ケ谷が部隊によってばらばら。しかも、PAC3がある部隊があると。で、サイバー防衛隊も実は市ケ谷なんです。統合司令部、これも市ケ谷ですよ。当然、統合司令部は部隊並みですから、当然フル装備で、ヘルメットもないと困ります。システム通信団も持っていると。市ケ谷の中でそういう装備を持っているところと持っていないところが混在していると。だから、向こうのミサイルとかガスが内局や各幕は狙わずにほかのところに狙う、そんなことが、副大臣、考えられますか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  市ケ谷地区に所在する部隊には、各部隊の任務や特性を踏まえて必要な数量の小銃なり拳銃なりを保有させてございます。他方、市ケ谷に存在するのは、部隊は、部隊は存在いたしますけれども、それ以外に、部隊じゃないものとして、内部部局、各幕僚監部、これは統合幕僚監部も含みます、情報本部、防衛監察本部、防衛研究所、そして防衛装備庁、こういうものが存在しております。これは小銃や拳銃を保有しておりません、保有させておりません。これは、任務上野外で戦闘することを想定している自衛隊の部隊とは異なりまして、防衛省設置法あるいはその下にある防衛省組織令、こういったものに基づく組織であるからであります。  したがって、設置法上の組織については、部隊とは異なり、小銃なり拳銃も含めて、いわゆる編成装備品の定数はございません。 ○佐藤正久君 今の、今回、防衛三文書を作ったその趣旨からいって、それで本当にいいと思いますかという話なんですよ。それは昔の話で、今回抜本的に強化するわけでしょう。今まで目をつぶっていたところを直すわけでしょう。  市ケ谷にはPAC3の部隊もあり、サイバー防護隊も、防衛隊もつくるというときに、本当に自分の身を守る、身も守るような防護マスクというものがなくて本当に大丈夫ですかという話なんですよ。  副大臣、これは政治家として、まさに国民に増税までお願いして防衛力の強化しようと言っているときに、肝腎要の市ケ谷の中枢等が自分の身を守れなくてどうするんですか。そう思いませんか、政治家として。 ○副大臣(井野俊郎君) 先生御指摘のように、安全保障環境というのは刻一刻と変化しているわけでございます。我々としては、そういった状況に対応し、そして、今の時点では必要な場合に借り受けるということとしておりましたが、今後定数化し常備する必要性については検討すると先ほど土本長官も申し上げたとおりで、今後、そういった状況を確認しながら検討してまいりたいと思っております。 ○佐藤正久君 川嶋局長の答弁と副大臣の答弁が全然違うじゃないですか。やっぱり環境変わったんだから、目をつぶったところをちゃんと見てやらないといけないと。  川嶋局長は眼鏡を掛けています。防護マスク、借り受けてすぐ対応できると思いますか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 眼鏡を着けたままでその装具を着けることは想定されていないんじゃないかというふうに考えております。新しいタイプは眼鏡がなくても対応できるようになっているとも聞いたことがございますけれども、一般的には、眼鏡を掛けているとなかなか顔面に装着するものは装着しづらいと、こういうことだと考えております。 ○佐藤正久君 あなたは整備計画局長で、隊員がしっかり任務遂行するために必要なものを整備する立場でしょう。今の答弁だと、任務遂行できないじゃないですか、眼鏡掛けている人間。それじゃ困るわけでしょう。  だから、今眼鏡掛けている人は、眼鏡補助具というものがあって、防護マスクにそれ付けて、自分で移動するときに持っていくようなことになっているわけですよ。もう変わって、多分、先ほど意見交換したら、実は知らなかったみたいでしたけれども、そうなっているんですよ。だから、いきなり借り受けるといったって間に合わないじゃないですか。  井野副大臣、これが実態なんですよ。市ケ谷が一番そういう危機感があってやらないと。市ケ谷がそういう感覚だと、部隊の方に必要なものが行かないんですよ。眼鏡を掛けている人間がマスクしたときに眼鏡が見えなかったら話にならないでしょう。  そういうふうなことをやっぱり、別に鉄砲とかそういうものを持たせって言っているわけじゃなくて、ボディーを守るようなものは、救急品関係のものとかありますよね、個人守るという部分、こういうものをしっかり、今回せっかく日本有事ということを想定しながら穴を埋めようとしているわけですから、今。そのために必要なものを発注するというのは、足らないものを発注するということは防衛産業の強化にもなるわけですよ。  じゃ、副大臣、伺いますけれども、今、部隊は、部隊の方は、小銃あるいは拳銃、一人一丁なんです。これ、何でこう決まっているんですか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  まず、陸上自衛隊におきましては、幹部自衛官の装備する個人装備火器の装備基準の考え方については、基本的には、尉官は、小隊長などとして小隊と行動を共に戦闘しつつ部隊を指揮するという観点から小銃を持たせております。佐官は、指揮官、幕僚ということで活動し、敵との近接戦闘を前提としないことから、自衛用火器として拳銃を装備することとしております。これらは訓令において決められており、必要な数量等もまた訓令等に記載されてございます。  海上自衛隊と航空自衛隊につきましては、基地警備等々のため戦闘に従事する場合もあるという観点から小銃を配備しておりまして、基本的には、曹、士クラスの隊員がこれを装備しております。他方、幹部自衛官、海空の幹部自衛官につきましては、指揮官、幕僚等として活動し、敵との近接戦闘を前提としないということで、自衛用火器として拳銃を装備することとしておりまして、海上自衛隊は、陸上部隊等の小火器配備基準等についてという通知文書によりまして、航空自衛隊は、訓令、航空自衛隊の編成等に関する訓令におきまして必要な数量等を規定しているものでございます。 ○佐藤正久君 別に、副大臣、これ法律で決まっていないですよ。自分で自己規制しているだけなんです。何で一人一丁なんですか。  私は、イラク・サマワに行ったとき、当然、拳銃というのは当たらないんですよ、二十メーター、三十メーター先当てるというのは至難の業ですから。だけど、小銃は当たりますから。三十メーター、五十メーター、すぱすぱ当たります。二百メーター、三百メーターになるとちょっと違いますよ。だけど、なぜかって、小銃ってライフルでしょう、銃口が長いから弾道が安定するから当たるに決まっているんですよ。だから、どうしたかと。ダブル装備ですよ、拳銃と当然小銃、ダブル。外務省のサマワ事務所を守っていた民間警備会社、一人八丁持っていました、いろんな種類のやつ。  自分で自己規制しているんですよ。だから、それはお金がないから、こういう、国、一人一丁って分けたんでしょう。でも、本当に実際の、川嶋局長専門のシミュレーションをやれば、近接戦シミュレーションやれば拳銃で戦えないということが分かりますよ。実際、戦車だって、戦車部隊はみんな拳銃ですよ、佐官も尉官も。  というふうに、どうやってやるか、まさに今回は抜本的に見直しするわけですから。過去の慣例に引きずられて一人一丁と。いざというときにダブル装備もできないんです、物がないと。だから、そういうのはしっかり、本当に有事に必要なものをちゃんとしっかり部隊感覚でシミュレーションやって、やるということが私は大事だと思いますよ、副大臣。本当に拳銃で戦えますかと。下士官がいなくなったら、佐官はもう拳銃しかないと。そんなの、戦争の実態で、日本有事のときに本当に大丈夫ですかと。  実際、サマワではそんなものは通じませんでしたから。ほかの部隊は何丁も持っていますよ。イスラエルの師団長、ゴラン高原行ったときに、普通の戦闘服で、小銃とやっぱり拳銃持っていますよ、師団長だって、ゴラン師団の師団長が。  というふうに、やっぱり、これ外務省と連携しながら実態調べて、海外も含めて、一人一丁という、そういうお金がないからどうのこうのという自己規制、これやめた方がいいですよ。副大臣、どう思われますか。 ○副大臣(井野俊郎君) これも、ヘルメット等とも同様かと思います。安全保障環境等を、現実をしっかりと確認しといいましょうか、そういった変化する中において必要なもの等をしっかりと検討していくことはとても重要だと思いますので、御指摘いただいた点含め、今後もよく検討していきます。 ○佐藤正久君 必要なものを必要な分だけやっぱり与えないと、これは実際戦えないと。任務が遂行できない、国民が守れない、日本が守れないということにつながる。だから、お金がないからどうのこうのではなくて、やっぱり必要なものを洗い出すという作業が今回必要なんですよ。防衛産業の方にみんな責任を押し付けるんではなくて、やっぱり防衛省側が必要なものを発注するというその謙虚な態度、これが大事だと思いますよ。  今、ほかの軍隊で、昨日のレクで質問通告しましたけど、ほかの国の主要な軍隊で、小銃の口径が違うものが武装、装備で混在しているような軍隊ってあります。 ○政府参考人(安藤敦史君) お答え申し上げます。  公刊情報によれば、米国、フランス、ドイツなどの軍隊は、五・五六ミリ及び七・六二ミリと口径の異なる小銃弾を保有しているものと承知しております。 ○佐藤正久君 じゃ、米軍は主はどちらですか。七・六二はほとんどないはずですよ。 ○政府参考人(安藤敦史君) お答え申し上げます。  申し訳ございません、どちらが主かということについてこの場にちょっと情報を持ち合わせておりません。 ○佐藤正久君 これが実態なんですよ。普通の軍隊で小銃の口径が違うものを、陸海空違うのはあり得ませんから。  今自衛隊で何が起きているかというと、陸上自衛隊は、今、八九小銃から二〇小銃に今替わりつつあります。ただし、口径は五・五六です。海上自衛隊、航空自衛隊は、ほとんどが六四式、一九六四年式のものを持っています。これは口径は七・六二です。一緒に統合作戦やろうといったって、陸海空で弾の口径が違ったら交換できないんですよ。  で、どういうことが起きているかと。陸上自衛隊のお古を海空に渡そうとしている。そうではなくて、二〇式小銃がいいんであれば、いいものを造ったというんであれば、二〇式小銃も、陸上自衛隊だけでなく海空の方にもこれ渡すのが当たり前で、そういう方向にかじを切るべきで、そのやり方も、十年、二十年掛けてやるんではなくて、できるだけ早めにやらないと意味ないでしょう。日本の環境が厳しいといって国民にいろいろ防衛力強化をお願いし、説明して、理解してくださいと言いながら、全然口径が違うものを持っていると。これでは実際、相互運用性ありません。  統幕の大和次長、統幕なので分かると思いますけれども、なぜ南スーダンPKOで韓国の部隊が恥を忍んで自衛隊の方に弾を下さいと言ったのかと。それは、日本の派遣隊以外は全て発展途上国等の軍隊で、口径が七・六二だったからですよ。五・五六の弾を持っているのは、派遣部隊では日本だけ。あとは一部、ジブチにあるアメリカ大使館を警備している海兵隊だけだったんです。  口径が違ったらどんなことが起きるかと。同じ作戦をやっておきながらこれが違うというのは、これは、部隊運用上、やっぱりこれは大きな問題なんです、実際は。  大和統括官、そう思われませんか、統幕の観点からしても。 ○政府参考人(坂本大祐君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、二種類の口径の異なる銃を持つということになりますと、弾薬の補給上の問題、それから、特にその古いものを持ち続けるということになりますので、部品管理、部品の枯渇といったような、これもやはり補給管理上の問題が生じる可能性があるというふうに認識をしてございます。 ○政府参考人(大和太郎君) 我が国の防衛の実を上げる上で、統合、三自衛隊の統合運用というのはもう極めて重要になってまいります。その重要性はこれからも上がっていくと思います。  統合幕僚監部としては、運用面から、主に運用面ですけれども、三自衛隊の共同統合というものの実が上がるように様々な努力をしていきたいというふうに考えております。 ○佐藤正久君 やっぱりニーズは各部隊から、現場なんですよ。装備庁がニーズを出すんではなくて、まさに統幕とか各幕の方から、現場から来ないと意味がないわけでしょう。副大臣、違いますか。 ○副大臣(井野俊郎君) 我々としてもその課題というのは認識をしておりまして、陸上自衛隊が二〇式更新を実施しておりますし、海上自衛隊においても令和四年度から二〇の調達を開始しております。そしてまた、航空自衛隊についても五年度から二〇式への更新を開始しておりますので、今後、よりそういった問題は解消されていくんだろうと思っております。 ○佐藤正久君 何年でこれ解消されるんですか。 ○政府参考人(土本英樹君) 済みません、今後、この辺り、今の委員の御指摘も踏まえまして、我々としてはできるだけ速やかに、先ほど言いました海上自衛隊及び航空自衛隊での二〇式小銃の取得に努めてまいる所存でございます。  ちょっと済みません、現時点で何年計画ということはまだ確定しているものではございませんが、いずれにしましても、本日の議論を踏まえまして、速やかに調達できるよう省内で検討させていただきたいと思います。 ○佐藤正久君 委員の先生方、これで本当に皆さんが、小銃を造る会社、予見性を持って造れますかという話なんです。  そこが非常に、やるやるでは、それを十年掛かっては意味ないわけでしょう。本当にもう抜本的に強化すると言っておきながら、国民に協力をお願いしておいて、これってあり得ないんですよ。本当に市ケ谷が平和ぼけではなくて、本当に市ケ谷もミサイルが飛んでくるかもしれないという危機意識の下に現場と同じような感覚でやらないと、これ、物というのは簡単にできませんから。  その典型例が、この資料一の、あるいは陸上自衛隊新制服、この品目。これ、元々、制服、十一年掛けてやると、十一年、十二年掛けて二着整備するという。十二年ですよ、先生方。それを自民党の国防議員連盟の方でかなり御議論して、やっぱり駄目だと。みんな制服がばらばらだと、これは不審者が入ってきても分からないし、そういう可能性もあるし、十二年とは遅過ぎると言って、やっと九年になったんです。でも、それでも九年ですよ。  で、この資料一を見てください。まだ、令和四年度、これは六年目です、六年たってこの状況なんです。まだ六年たっても全部の隊員に制服が行き渡っていないんですよ。  この一つの原因に、やっぱり今までそういう被服関係の防衛産業を十分育ててこなかったと。行ったら、びっくりします。本当に町工場みたいなところで一生懸命、職人さん等が一生懸命作っています。で、年によってこの発注数がいろいろ増減するということもあって非常に不安定ということもあって、六年掛かってもまだユニホームになっていない、ばらばらなんです、これ前から指摘しているように。  というふうに、小銃だって、やると言っても、まだどれぐらいでこれを整備するか決まっていないと、これでは国民に全然説明ができないですよ。本当にやる気あるんだったら、大臣が防衛力抜本強化元年と言っているんだったら、やっぱりやらないと。  本当、忙しいと思いますよ。でも、市ケ谷の方々が頑張れば頑張るほど現場は、現場は良くなるんですよ。私も陸幕のときに先輩から言われました。もう徹夜かもしれない、でも頑張れ、おまえが頑張れば頑張るほど部隊が、部隊のためになるんだと、そういう気概でみんな頑張ってきたわけですよ。そうでしょう。  だったら、ここも、小銃もそう、この制服もこういう状況、これは防衛産業がやっぱり一つネックなんです、お金だけじゃないと思いますという部分で。しかも、この隊員の待遇の処遇改善と声高によく人教局長も言われます。でも、隊員の処遇改善といっても、六年たってまだ制服がそろっていないと。全然迫力ないですよ。  しかも、例えばこの制服、陸上自衛隊の制服の長袖と半袖のシャツがあります。この半袖シャツ、耐用年数何年ですか。 ○副大臣(井野俊郎君) 第三種夏服上衣、半袖ワイシャツの耐用年数は、陸上自衛隊が四年、海上自衛隊が三年、航空自衛隊が五年となっております。 ○佐藤正久君 何で陸海空でそのシャツがばらばらなんですか。 ○政府参考人(土本英樹君) 今委員御指摘のところでございますが、第三種夏服につきましては、基本的に各幕僚監部等において恒常業務を行う場合などに着用するというもので、耐用年数はそれぞれ、大変恐縮でございますが、陸海空幕僚監部で別個に、陸海空自衛隊とそれぞれ別個に設定されたということがその要因でございます。 ○佐藤正久君 おかしいでしょう。国民が見ても、ほとんど理解できないですよ。  幕僚監部だけじゃないです。各学校なんかもみんなそうですよ、機関は。毎日、夏は毎日着るんですよ、これ。同じやつ着るとやっぱり臭いですから、洗うんですよ。二着ですよ。  じゃ、現場どうしているかというと、長袖もそうです。私物買うんですよ。トイレットペーパーと同じですよ。トイレットペーパーを隊員が私物で、お金を自分の自腹を切って買うのと同じように、制服も、私もそうでした、もういっぱい買いましたよ、三種も、この半袖も長袖も。じゃないと、臭くて着れませんから。  演習はともかく、学校とかそういう幕で勤務するときぐらいやっぱり臭くないようにしたいですよ。なかなか風呂に入れないから臭いというのはありますよ、一週間徹夜する、一週間泊まるとシャワー入れませんから。でも、やっぱりそこは、処遇改善と言いながら、土本局長、ワイシャツ毎日替えるでしょう。同じように替えるんです、隊員も。  それに、見てください、これ。二回目の方では、これを見ると、長袖シャツも半袖シャツも貸与がないと。九年間二着で頑張れという話です、極端なことを言うと。これはやっぱり余りにもおかしい。必要なものを必要な分だけ、初めから数を増やせばいいんですよ、基本的に。  そういうふうに隊員の処遇改善と言うなら、もうこの際全部洗い出しをやって必要なものを、しかも、一回洗ったら伸びるようなものじゃなくて、そういうものをやるとか、そういう部分にも、隊員のそういう、本当に日々のそういう被服というものにも目を向けませんか。 ○政府参考人(土本英樹君) 今委員の方からいろいろ御指摘いただきました。  現在、我々防衛省、防衛装備庁におきましても、同様の問題意識の下、部隊等における被服の使用の実態等につきまして、現在アンケート調査というものを各自衛官の方にやらさせていただいております。これを今現在実施中でございまして、その結果を踏まえまして、今委員御指摘がありましたような、例えば耐用年数を統一したりとか短縮したりとか、あと配付数を増加したりとか、こういう必要があるかをしっかり、我々、そのアンケート結果等も踏まえて、各幕僚監部とも協議しながら我々対処方針を決めていきたいと思っておるところでございます。 ○佐藤正久君 では、お願いします。  私、連隊長やりました。連隊長のときは制服は余り着ません、はっきり言って。着るのは戦闘服です。戦闘服用の下の下着とかあるいは靴下は使います。だから、部隊によって、毎日制服を着るような部隊とそうではないところってやっぱり違うんですよ。部隊の方はできるだけ迷彩服の数を増やしてもらった方が有り難いし、迷彩服の更新を多くしてもらった方がいいというように思います。  ただ、余りこれ細かくやると、実は弊害が起きています。今回陸上自衛隊の新しい制服は非常に、上と下、上がA4だったら下がABでも、あっ、4Bでもいいと。A4、4A、4Bでもいいとか細かいんです。だから、人によってかなり違うんですよ。航空自衛隊は、男性の自衛官の場合はそんなわがままはなくて、上と下、関係ないと。上が4Aなら下も4Aと。これ、違うわけです。  非常に今回陸上自衛隊が遅れている一つの原因に、非常に人によってみんな違うと。しかも、補給の仕方も、この前、先週会った人は、正帽の記章とネクタイとベルトがまだ来ていないから着れませんと、ほかは来ていてもという。いろんな、実際これは、ただ渡せばいいというものじゃなくて、実際目詰まりしている部分を、補給処とか部隊の補給係って本当忙しいですから。私も中隊長で見ましたけど、一番本当に、中隊本部の事務局で一番忙しいのは補給係ですから、含めて、しっかりやっていただきたいと。  資料二、これを御覧ください。資料二、委員の先生方、この右下の方に下衣とあります、下衣と。これは戦闘服の下に着るシャツです。これ不思議なのは、陸上自衛隊と海空はあって、航空自衛隊はないんです。なぜですか。 ○政府参考人(坂本大祐君) お答えを申し上げます。  戦闘服の下に着用するいわゆるTシャツ、これを自衛隊では下衣と、このように呼んでございます。委員御指摘のとおり、陸上自衛隊、海上自衛隊におきましては貸与がございますけれども、航空自衛隊においては貸与をしていないところでございます。  この下衣の貸与につきましても、先ほどの耐用年数、シャツの耐用年数と同様に、各自衛隊ごとにそれぞれ自衛隊の中での必要性を考えて個別に定めた結果として、現在、航空自衛隊では貸与されていないということでございます。  こういったような点も、先ほどお話のございましたアンケート調査の中で含めて調査検討してまいりたいと考えてございます。 ○佐藤正久君 副大臣、これどうなるかというと、また自分で買うんですよ。買わざるを得ないんです、支給されませんから。  航空自衛隊、視察行ったと思いますけれども、みんな迷彩服着ているでしょう、航空自衛隊だけは迷彩服着ないというわけはありませんから。しかも、海上自衛隊はこういうふうに砂漠用のやつがあるんですよ。だから、ジブチにこの前、武井副大臣行かれて、ジブチ、陸上自衛隊いましたよね。陸上自衛隊、海上自衛隊もいます、ジブチには。海上自衛隊にはこういう砂漠用、酷暑地用の下衣があって、陸上自衛隊にはないと。  これ、武井副大臣、現場を見られてどうでした。やっぱり一緒に、海上自衛隊も陸上自衛隊も一緒にやっていたわけでしょう。そういう部分にやっぱり、これは一個人の見解でも結構です、やっぱりそこはしっかり、差を付けるのではなくて、しっかり物は補給すると、処遇変えるのが大事だと思われませんか。 ○副大臣(武井俊輔君) この点につきましては防衛省さんの方で取り組まれるということだというふうに理解をしておりますが、確かにおっしゃるとおり、現地が非常に、気温でいくと五十度を超えるような酷暑の状況、そしてまた非常に砂ぼこりも舞う非常に厳しい環境であるということは事実であるというふうに思いますので、そういった中で隊員の皆様が、非常に重要な任務でありますので、快適に勤務されるということが非常に重要だということは個人的には感じておるところであります。 ○佐藤正久君 いや、私がイラクに派遣されたときは、ちゃんと上も下もありました。パンツの方も実は支給されました。というふうに、その任務によって違うのかもしれませんけれども、やっぱり今こういう時代ですから、やっぱり非常にどんどん温暖化、気候変動で暑くなっていますから、そういう部分は柔軟にやっぱり考えるというのは私は大事だと思います。じゃ、土本長官。 ○政府参考人(土本英樹君) ありがとうございます。  大変申し訳ございません。今、佐藤委員の方から、陸上自衛隊における砂漠用の下衣がないということでございまして、これはちょっと我々の、当方の事前の御説明が大変間違っておりまして、恐縮しておりました、恐縮でございます。  実は、砂漠用の下衣につきましては、現在、陸上自衛隊において、ジブチに派遣されている隊員一人当たり七着貸与しているということでございます。海上自衛隊においては隊員一人当たり六着ということで、またこれもある意味下衣の貸与数が違うという、陸上自衛隊は貸与しているんですが、貸与数が陸海空で違うという問題がございますので、これにつきましても、先ほど全体の検討の中でこの辺りの数字の統一性についても検討させていただきたいと思います。 ○佐藤正久君 何でこうなったかというと、把握していなかったからなんです。これは防衛省の資料ですから。これ、昨日出てきた資料です。なので、要は、十分日頃から掌握していない。だから、私が、問題意識は、必要なものを必要数しっかり隊員に届けるためには、その分を防衛産業に発注しないと無理なんですよ。防衛産業頑張れ頑張れ言ったって、発注する側がしっかりそのニーズに応えていなければ意味がないと。  副大臣には事前にざんごう足の写真を見てもらうようにお願いしていましたけど、御覧になったと思います。御感想をお聞かせください。 ○副大臣(井野俊郎君) この写真の、ざんごう足の写真、私も初めて拝見させていただきましたけれども、大変、水膨れといいましょうか、これは歩くのが大変だろうなというふうな感覚、感情を持ちました。 ○佐藤正久君 陸上自衛官はほとんど経験していますよ。私もしました。  当然、演習一週間やれば、当然雨も降ります。場合によっては、一週間ずっと雨のときもあります。それで、ざんごうの中に行動すれば、当然、靴下含めてぐじゅぐじゅになります。さらに、それで歩かないといけないとなると、まめがすごくできます。そのために隊員はどういう対策しているというふうに、副大臣、お考えになりますか。 ○副大臣(井野俊郎君) 大変、私自身はそういう経験もなく、また部隊視察等もしたことないものですから、本当に個人的にはといいましょうか、ちょっと想像ができていないというのが現状でございます。 ○佐藤正久君 これ、さっきと同じ、自分で自腹、自腹を切って、いい靴下買うんですよ。そういう登山用のやつとか、環境省お勧めの靴下とかありますよね、あえて民間企業の名前は言いませんけれども、レンジャー用の。大体六千円とか七千円ぐらいします。非常に通気性が良くて、いい靴下です。そういうのをはきます。四十キロの荷物しょって、八十キロを雨の中歩くんですよ。どれだけ足が、幾ら半長靴とか良くなっても、やっぱりいい靴下があれば全然違いますから。  でも、自衛隊が支給している靴下は、これ見てください、副大臣、百八十五円の靴下です。百八十五円の靴下で、これでそんな優れ物だったら、多分ほとんどみんなこのメーカーのやつ使いますよ。だから、はかないんですよ、これ。とても、百八十五円の靴下でそれに耐え得るかと。無理です。  だから、そういうの含めて、それは、それはいいでしょう、その隊に必要なものがあれば。でも、それだけじゃ全然足らないと、やっぱり必要なものを。しかも、今回聞いたところによると、半長靴用の靴下、たった二足です、百八十五円のやつ。短靴用の、この普通の革靴用の靴下も百二十五円と、陸、なっていますけれども、これもたった二足。どうなるかと。二足じゃ臭くて仕方ありませんから、当然自腹で買うわけですよ。  女性自衛官の場合は、靴下というわけにはいかないでしょう。だから、ストッキングでしょう。ストッキング二着で我慢しろと言います。これ、小野田政務官おられますけれども、やっぱり女性自衛官の目から見ても、こういう辺り、男性、女性含めてやっぱり、スカートの場合はやっぱりみんな今ストッキング渡しているそうですよ。  というふうに、こういうふうに、副大臣、百八十五円の戦闘靴用の靴下で本当にそのざんごう足対策含めて対応できるというふうに、普通に考えて思われますか。 ○副大臣(井野俊郎君) ちょっと私自身も、この百八十五円の靴下の性能等も、済みません、確認をしておりませんでして、今後そういったことを含めてしっかりと、現場、アンケートを含めて確認をさせていただきたいと思っております。 ○佐藤正久君 副大臣、言いたいことは、やっぱり、何回も言います、必要なものを必要な数だけしっかり把握をして発注するということが大事だと思います。男性も女性も、しかも機関で働く方と部隊に入るとでみんな違います。陸海空でも違うでしょう。そういう部分、そういうものをやっぱり発注すると。この手袋の方も、これは定数一、この軍手一着だけですから、一着で本当に足りますかと。軍手ぐらいもう少しあげたっていいと思いますよ。  陸海空のこの二百二十円、二百十九円、百九十五円、何で軍手の値段が違うかも不思議ですけれども、入札の結果、値段が微妙に違うんでしょうけれども、それを、一つしか軍手与えないというのも、これも何か非常に部隊の特性を考えていないような感じがします。というふうに、こういうふうにやっぱり洗い出してほしいと。  同じようなことが、今度は防衛省が、ほかの役所についても、防衛省のものがいいんであれば、ほかの役所にも使ってくださいと言うことが防衛産業の支援にもなると思うんです。  例えば、外務省、お伺いします。外務省が大使館の方で使っている、装備している防護マスク、これ自衛隊のものと違うと聞きましたけれども、そのとおりでしょうか。 ○副大臣(武井俊輔君) 自衛隊のものとは異なるものであります。 ○佐藤正久君 その理由は何でしょうか。 ○副大臣(武井俊輔君) 外務省としては、各公館のそれぞれの情勢等も考慮して、それぞれの状況を把握した上で判断をして調達をしておりますので、防衛省のものとは異なるということであります。 ○佐藤正久君 防衛省に伺います。  防衛省の防護マスク、自信ありますか。野外用で使うという自信ありますか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  自衛隊の防護マスクにつきましては、NBC攻撃下でも活動できることを念頭に開発されたものでございまして、高い防護性能を有しておるというふうに考えているところでございます。 ○佐藤正久君 武井副大臣、自信持っているんですよ。私、元化学科隊員なので、私も自信があると思います。  であれば、そういうもの、海外のものを使うのもいいでしょう、でも、やっぱり自衛隊のものがいいんであれば自衛隊のものを使うということも、やっぱり公館の館員の安全確保でもいいと思うんですよ。今まで防衛省の方からそういう、こういうのを使ってほしいと問合せが今までありましたか。 ○副大臣(武井俊輔君) そのような形での防衛省からの問合せはないというふうに把握をしております。 ○佐藤正久君 井野副大臣、やっぱり自衛隊のものがいいんであれば、その自後のいろんなものを追装するにしても何にしても、そういう部分も、今一例ですけれども、ほかの役所についてもこれ売り込む。やっぱりいいものであれば使ってもらった方がいいと思いませんか。 ○副大臣(井野俊郎君) 当然、他の省庁のニーズに適合しているということであれば、その活用を図っていくことは我々としても大変有意義であると思っております。  今後とも、そういう装備品を通じて省庁間の連携は今後図っていきたいと思っております。 ○佐藤正久君 実は、警察は連携しているようなんですよ。警察、自衛隊のこの防護マスク等、そういう一部のものについては自衛隊のものをやっぱり調達しているというふうに聞いていますけれども、間違いありませんか。 ○政府参考人(迫田裕治君) お答えいたします。  警察が保有する装備資機材について個別具体的にお答えすることは差し控えたいと存じますけれども、警察の一部の装備資機材については自衛隊に配備されているものと同一のものを保有していると、そのように承知しております。 ○佐藤正久君 じゃ、海上保安庁はいかがでしょうか。 ○政府参考人(渡邉保範君) お答えいたします。  海上保安庁では、一部において自衛隊が保有する防毒マスクを製造する企業から防毒マスクを調達し、装備しております。 ○佐藤正久君 武井副大臣、そうなんです、実態は。だから、いいものがあればやっぱりよくて、特に海上自衛隊と海上保安庁、同じ船にいて、催涙ガスとか投げられたときに、やっぱりそこで、やっぱりいいものの方がいいに決まっていますから。であれば、この在外公館含めて、こういうものをやっぱり一つのこの政府のニーズとして、そういう部分で政府一丸となってこういう防衛産業基盤を強化するということも大事だと思います。  井野副大臣、やっぱりこういう部分を防衛省側から各役所の方にやっぱり売り込まないと、それはいけないと思いますよ。向こうから、ほかの役所から来るやつをずっと待っているんではなくて、せっかくいいものを装備庁の方が作ったんであれば、それをできるだけほかの役所の方に、ほかの役所だってやっぱり命は大事ですから、是非、井野副大臣、検討を加速化してほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○副大臣(井野俊郎君) 当然そのことは大変有意義でありますので、今後、どういう形で、役所間の連携を深めて、よくニーズを拾っていきたいと思っております。 ○佐藤正久君 是非、今までるる言ってきましたけれども、やっぱり非常に今まで目が届かなかったところ、隊員の処遇改善といっても、やっぱり実際に着る服という部分が自腹を切って買わないといけないというのは、やっぱりそこは直さないといけないと思います。  次に、この防衛産業の方に目を向けたいと思います。  農林水産省にお伺いします。食料自給率と食料自給力、この定義について簡単に御説明ください。 ○政府参考人(杉中淳君) お答えいたします。  食料自給率につきましては、国内の食料消費が国内生産でどの程度賄われているかを示した指標でございます。  また、食料自給力につきましては、肥料や燃料などの生産資材の制約がなく、国内の農地、農業者等を最大限活用すると仮定した場合に、国民一人につきどれだけの食料を供給できるかをカロリーで示した指標でございます。 ○佐藤正久君 まさにこれは食料安全保障の考え方で、これ実は防衛にも全く適用される考え方だと私は思います。どれだけ、日本の国内における防衛自給率、それぞれの装備品ごとにどれだけ防衛自給率があるのかと。場合によっては、食料自給力と同じように、有事のときにいろんな日本の産業というものをどういう形でシフトすればどれだけ日本で賄えるのかと。これ、食料を防衛に置き換えれば結構適用される概念だと思います。  要は、農地をいかに守るか、あるいはその担い手をどうやって守るかという部分で、これを維持するためには一定程度はやっぱり必要だということで、食料自給率とか食料自給力という概念を農林水産省は打ち出しました。  じゃ、私の今までの経験だと、日本の主要な装備品で部品まで含めて一〇〇%日本のもので造れるというものというのは余り聞いたことがないんですけれども、一〇〇%ある装備品等について、主要な、昔でいう旧甲類等において、一〇〇%日本で造れると、防衛自給率は一〇〇というものはございますか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  今委員御指摘の点については確認されておりません。 ○佐藤正久君 これが実態なんで、分からないんです。これからまさにこの法律に基づいてサプライチェーン調査をやるというふうになっていますけれども、今、主要な例えば戦車、戦車であれば、戦車がどれだけ、その戦車の部品、素材含めて国産の率がどれだけあるって分からないんです。これは、本当にこういう状況というものはやっぱり良くないと。  今回、アメリカの方でも、一説には、ジャベリンという対戦車火器、この一部にロシア製のチタン等が使われていたということが判明したということも後で分かったということもあったように、やっぱり調べないと分からないんです。本当にいざというときに、継続的にその物を調達しようというときに、やっぱり実態調査やらないと分からないという意味では、非常に、今回、サプライチェーン調査というのは大事だと思います。  ただ一方で、もう一個、食料自給力と、観点のときにここに関わってくるのが、安全保障会議設置法の第二条第三項、産業等の調整計画の大綱と。つまり、日本有事のときに、あるいは緊張状態が高まったときに日本の産業をどういう形で防衛の方にシフトしていくかということを、これ、安全保障会議の方で議論をしてこの計画を作るとなっています。  今まで安全保障会議で、この第二条第三項の産業等の調整計画の大綱、これを議論されたことはございますか。 ○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。  今委員から御案内ございましたけれども、産業等の調整計画の大綱でございますが、こちら、有事におきまして自衛隊が装備品などを調達する際に、自衛隊の需要が民間の需要に大きな影響を与えるほど大きな場合などに両者の調整の基本方針などについて定めるということを想定したものでございます。  これまでにつきましては、この計画につきましては、国家安全保障会議等において議論したことはないというふうに承知をいたしております。 ○佐藤正久君 これが実態なんですよ。ないんですよ。  でも、今回、安全保障環境が厳しくなって、まさに今サプライチェーン調査もやると。経済安全保障の方でも今いろいろ動いています。であれば、やっぱりどういうふうに、有事にこういう継戦能力を維持するという観点から、この食料自給力という発想があるんだったら、同じように、じゃ、どういうふうに産業をシフトさせるのかと、これは非常に民間と調整しないといけない、難しいという問題があると思います。  でも、実際今起きているんで、ウクライナへのロシアの侵略によって、アメリカもイギリスもフランスも今それが起きているんです。非常に今、有事の方にそういう産業をどうやってシフトするかと、みんな頭悩ませています。  まさにこれが今回、議論、装備移転の見直しの方にも影響しているという話も一部有識者言っていましたけれども、やっぱりこの部分、どうやって有事にシフトするかという部分、これは極めて実は大きな課題で、民間の方に頭越しでこうやれと言ってもなかなか難しいという状況なので、これは日頃からこういう計画をしておかないといけないし、特に今回の、ウクライナは陸戦ですけれども、日本の場合は四方を海に囲まれていますので、ウクライナとは違うという状況、まさにそのシミュレーション、想定をしながら、どういう部分がやっぱり非常にニーズが高いのかと。  その場合、弾や装備品含めて実際サプライチェーン調査をやって、どれだけ国産の技術があるんだと、じゃ、その弱点はどこなんだと、場合によってはほかから持ってこれるのか、日本企業のシフトをすればできるのかという部分、これは非常に今からやらないといけない大事な課題だと、国民に対する責任だと思いますけれども、内閣官房のお考えお聞かせください。 ○政府参考人(加野幸司君) お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、この大綱につきましてはこれまで作成をされておりませんで、基本的には武力攻撃への対処の一環として作成されるものであるというふうに認識しているわけでございますけれども、ただ、委員御指摘のとおり、現在の安全保障環境といったものを踏まえますれば、平素から、有事の際の自衛隊の需要、それから民間の需要の調整の在り方についてどう考えるべきか、どうあるべきか、今般策定いたしました安保三文書、あるいは変化する戦闘様相等も踏まえながら検討するというのは大切なことであるというふうに考えております。  今後、このような認識を踏まえまして、防衛力を支える様々な国内基盤、これを強化していくための取組の一環としてよく考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○佐藤正久君 是非、これは非常に大事なところで、急には無理なので、実際、今、アメリカは一番今頭を抱えているということで、今韓国の方にも支援を求めたりとかいう状況が実際発生しています。何かあってからでは遅いので、是非お願いしたいと思います。  ただ、その前提として、今の防衛産業、これは本当に実態を把握して強化しないといけないと。この前、今年一月ですか、護衛艦「いなづま」の事故が瀬戸内海でありました。ただ、一月に事故がありました、それによってソナードーム等が損傷したということなんですけれども、この修理に数年は掛かるというふうに聞いています。これは間違いございませんか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  まず冒頭、防衛省・自衛隊といたしまして、海上自衛隊の艦艇がこのような事故を起こしたことは国民の皆様の信頼を著しく損なうものであり、改めておわびを申し上げます。  護衛艦「いなづま」の損傷につきましては、両軸及びプロペラが使用不能であり、ソナードームを損傷しております。このうちソナードームに関係する特定の部品の製造に長期間を有するため、現時点では「いなづま」の修理に約四年を有するという見積りを得ているところでございますが、詳細、現在精査中でございます。 ○佐藤正久君 委員の先生方、四年掛かるんですよ。今、平時ですよ。だけど四年掛かるというのを聞くと、そのソナードームを、ソナードームというものはソナーをカバーするもので、それはゴム製と、強化、まあゴムなんでしょう。で、それを鉄の船体とくっつけるという部分をできる会社が一社しかないと。それも、待ち時間がある関係もあって、それで非常に四年と。これ、普通に考えて、平時でこれ四年、少なくとも修理に四年、一部の修理に四年掛かると。これが防衛産業の実態というと、やっぱり本当に今から強化していかないと、それを複数社持っておかないとやっぱり無理だということが分かると思います。  もう一つは、今回ショック私受けたのは、次期陸上自衛隊の装輪装甲車の選定の結果、三菱重工がフィンランドのパトリア社と競合して、結果で、防衛省は三菱重工ではなくてフィンランドのパトリア社のものを採用すると決めました。選定理由はいろいろあるんでしょうけれども、多くの人が聞いても断トツで、やっぱり圧倒的に評価的にはこのフィンランド製がいいと。つまり、三菱重工が負けたんです。私は、今はどちらかというと三菱重工というのは戦車、戦車を含めていろんな実績があって相当なレベルが高いと思っていたら、意外にもあの小さな、フィンランド、国のものに負けたと。  これがやっぱり非常に、どんどん技術力が、これまで二十数年にわたって防衛産業をずっと支えてこなかったツケがやっぱり来ていると。技術者がいないんですよ。技術者がいないと、こうなってしまうと。  今回、いろんなスタンドオフミサイル、相当なものを国産にすると、四種類、五種類もやるというときにネックになるのは技術者で、今防衛産業に何が起きているかというと、技術者の奪い合いだそうです。有名なある防衛産業のメーカーの技術者をある会社が引き抜くとか、それをやらないと、今非常に足らないと。こういう状況というのは、やっぱり本当実態調査を、副大臣、今やって、やらないと、幾ら予算を付けても、修理ができないと、物が入ってこないと、これではやっぱり国民に申し訳がないと私は思います。もう政治の責任でもあります。  今回、非常にこれ大事な法律なんです。百点満点とは言わずに、一歩進むということが大事で、防衛産業を本当に強化する上で大事だと思います。  今回、サプライチェーン調査で、例えば、護衛艦製造に約八千三百社あって、一〇の戦車で約千三百社、F2戦闘機で千百社があると。このサプライチェーンの実態調査をやるというふうに聞いていますけれども、これ、副大臣、本当に護衛艦八千三百社と言われているもの、どこまで調べるんですか。プライムメーカーありますよね、そこから一番下まで全部合わせると八千三百社らしいんですよ。  どこかにネックがあったら、サイバーセキュリティー上の問題があるという場合、あるいは、どこかの部品がネックになって、さっきの「いなづま」のように、そういう部分にネックになるとありますけれども、これどこまで、一応、八千三百社、あるいはこの一〇なら千三百社、これどこまで今回サプライチェーン調査をやる予定なんでしょうか。 ○副大臣(井野俊郎君) 本法律案のサプライチェーン調査については、政府側に企業情報の守秘義務を課すことにより、企業が安心して回答できる環境が整うというふうに考えております。  そして、調査に回答した企業は本法律案に基づく様々な取組の対象となり得ることも回答の動機付けとなり、これらによってサプライチェーンの状況や抱えるリスクをしっかりと把握していきたいというふうに考えています。 ○佐藤正久君 できればね、できればサイバーやりたいと思いますよ。でも、なかなか、今お願いベースでしょう、お願いベースで本当に二次請け、三次請け、四次請け、五次請けの部隊が、五次請けの企業がそこまでできるかと、これは非常に私は不安を持っているんですよ。  しかも、これ、防衛省がお金を払ってサプライチェーン調査やるわけじゃなくて、お願いなんですよ。お金払わないんですよ。本当にそれができますかという部分です。これ、さっき言ったように、内閣官房の方は、そういう産業計画等の調整の大綱を作りたいといったときに、防衛産業の実態調査がなければ、これなかなか実際作れないと思うんですよ。  これ本当に、このお願いベースではなくて、今回やってみて、場合によっては、やっぱりなかなか難しいねとなったらやっぱり有償でやるということも視野に入れるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  サプライチェーン調査につきましては、本法律により、調査の根拠や政府の、政府側の方に守秘義務が法律に、守秘義務が課されるということが法律に明記されることで、企業がまず安心して回答できる環境が整い、協力を促進すると考えております。  さらに、調査に回答した企業が本法律案に基づく様々な取組の対象になることも回答の動機付けとなると考えております。  以上のような点につきまして企業側によく周知し、調査の実効性が確保できるよう努めてまいります。その上で、実効的な調査を行う上で、御指摘の、今、有償というものも含む追加的な措置が必要であるかどうかにつきましては、今後、本法案に基づく調査を実施した上で、結果を検証し、不断に検討してまいりたいと考えているところでございます。 ○佐藤正久君 今の長官のその答弁というのは、本当に企業が協力してくれるという性善説に立てばそうなんでしょう。でも、ただじゃないんですよ、調査するってすごい手間暇掛かりますから。千三百、八千三百社ですよ。こんな、慈善事業じゃないので。しかも、これに今度セキュリティークリアランスの調整も関わってきますから、すごい負担ですよ、はっきり言って。  今回、今、防衛省が研究開発や調達上でいろいろ、こういうクリアランス制度を持っています。その一方で、内閣官房の方の経済班等で、経済安全保障でセキュリティークリアランスをつくろうとしていると。これ、マッチングをしていないんですよ。これからどう、でも、大事なことは、企業側からすれば、防衛省で今までやっていたものと経済安全保障で今やろうとしているものというのがばらばらだと非常に困ると。  本来は経済安全保障のその枠に防衛省が全部入れてもらえればよかったんでしょうけれども、いろんな理由で防衛省ははじかれたというのであれば、そのクリアランスの部分をいかに整合させるかと。これは有識者も非常に重要な視点というふうに言っていますけれども、この点について、これ、内閣官房でも、防衛省、どちらでもいいので、この考え方についてお聞かせください。 ○副大臣(井野俊郎君) まず、防衛省としての考え方を申し上げさせていただきます。  防衛省においては、従来から、セキュリティークリアランスを含め、情報を保護するための厳格な保全措置を適切に講じているところでありまして、我が国防衛の観点から必要なセキュリティークリアランス、保全体制を維持強化しているところでございます。その上で、現在、内閣官房の有識者会議において、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度について、主要国の情報保全の在り方、産業界のニーズを踏まえ、検討がなされていると承知をしております。  我々としては、防衛省としては、経済安保、経済安全保障分野における情報保全体制の強化については重要な課題と認識しておりまして、こういった政府全体の検討には当然今後も協力していきたいというふうに考えております。 ○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。  セキュリティークリアランスの関係につきまして、私、直接担当しているわけではございませんけれども、ただ、内閣官房としての立場でお答えをさせていただきますが、セキュリティークリアランスというのは大変重要な課題であるということでございまして、政府としても、全政府的な観点からしかるべく取組をさせていただいているのは委員御案内のとおりでございます。  制度の設計等につきましても、これから有識者等のお話を伺いながらやっていくわけでございますけれども、それぞれの目的、それから性格に応じてしっかりした制度の設計がされていくということになろうかと思います。  ただ、その上で、両者の整合性、あるいはそごがないのかどうか、そういった点については、制度設計、運用を通じてきちんと考えていくということが大切なのであろうかというふうに一般的に考える次第でございます。 ○佐藤正久君 副大臣、これ実は非常に重要な問題で、今までの防衛省、ずっと今まで何十年間走ってきているものがあるんです。今度、内閣官房は、今の時代に合うやつへ、諸外国の状況を見ながら新たなものをつくろうとしています。これは相当、これを合わせるというのは企業側にとっては結構大変で、加えて、日米共同開発やろうと思うと、アメリカの基準というものとはこれ違いますから。今回、戦闘機の共同開発やるときにも同じように、イギリス、イタリアはまた若干違うんです。いろんなものが防衛省の方で、Aキャップ、Bキャップ、Cキャップ、Dキャップという重なりの部分というのが出てくるので、本当にこれは難しい問題です。  だから、サプライチェーン調査をただでやれと、お願いベースでやれと言うだけでは、このクリアランス制といろんな面でこれ整合が重なってきますから、調査の段階で。本来であれば、しっかりそういうものを合わせながら一体でやるのが、本当、企業は負担が少ないと思います。取りあえずサプライチェーン調査だけやって、クリアランスの後のこのすり合わせは後ほどというと、これは二度手間になります。含めて、この辺りというのをうまくやっていただきたいと併せて要望します。  最後のジャンルの質問として、防衛装備庁、これができて十年ですかね、非常に大事な役所だと思っています。ただ、やっぱり人が非常に、この前、榛葉委員の質問にもあったように、人が足らないという話で、研究職が全然足らないと。今日説明を聞いて、やっぱり研究職がこれしかいないのかと、もう悲しくなるぐらいやっぱり少ないと。令和三年度までは採り方がどんどん減っていて、令和四年から若干増えているんです、研究職。で、研究職は若干一般職よりも基本給は高いと。でも、スズメの涙程度です。これ、本当にいい人材が、研究職が集まるかと。これは無理ですよ。  ところが、サイバーについては、中途採用で結構給与いい値を設けると言っていますけれども、今聞いたら、余り、AI担当も五十名いないと。量子は約十名、サイバーもたった十五名、光電融合はゼロだと。光電融合はこれからといっても、そういう専門家がいないと目利きができないんですよ。これは、いろんなものを防衛産業が持ってきたときに、これをうのみにしないといけないと。何でこんなレベルが低いことを受けてしまったのと。受けてしまったら、契約した後は終わりですから。  やっぱり、しっかり研究職というのを増やす。しかも、処遇という部分も、副大臣、やっぱりこれからAIもロボットも量子も、この光電融合も、これから軍にとってはもう欠かすことができない技術というふうに一般には言われています。自衛隊も同じですよ。この辺りについてはもう真剣に、優秀な人間を企業と取り合いになると思います、採らないと本当に戦える自衛隊になりませんから。  この研究職に対する処遇、これについて御見解をお願いします。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、私の方からお答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、防衛省の研究開発をリードし、技術の目利きとして期待されている役割を果たすためには、研究職技官の確保と育成が極めて重要であると考えているところでございます。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、研究開発の強化に対応すべく優秀な人材をしっかり獲得できるよう、装備庁、防衛省一丸となって取り組み、研究開発体制の充実強化を実施してまいる所存でございます。  それに当たりまして、具体的にいろんな人事の制度を活用しながら、しっかり優秀な研究者、研究職の人間を確保していきたいと考えているところでございます。 ○佐藤正久君 研究開発費は結構増えました。今じゃもう、この数年で格段に増えました。だけど、人がそんなに増えていないのと、人の処遇が全然なんですよ。だから、装備庁に行っている自衛官、残業時間が二十一・五時間で頭打ちです。今、装備庁の方に行くと、一緒に働いている事務官の方が給料が上で、同じ仕事でも自衛官の方が低いということも起きているんです。  というふうに、その装備庁で働く方々の、研究職もそうですけれども、手当の部分、手当の部分というのは、これは、副大臣、やっぱり政治がリードしないとこれは絶対無理ですよ。同じ仕事をして、同一賃金同一労働と、同一労働同一賃金と言いながらも、事務官の方が高くて自衛官が低いと。このぐらい装備庁って忙しいんですよ、すごく。研究職についてもそれなりのやっぱり処遇というものを与えないと、これは駄目ですよ。やっぱりそれじゃ集まりません。ここは、研究職やそういう装備庁で働く方々に対する処遇の面、はっきり言って手当ですよ、手当、これはやっぱり防衛省の中で検討するということが大事だと思いますけれども、副大臣の御見解、これを最後に聞いて、私の質問を終わりたいと思います。 ○副大臣(井野俊郎君) 防衛省・自衛隊として、全てのことに言えるかと思うんですけれども、人材をいかに確保していくかということはとても重要な面でございます。  人材強化というものも今回の三文書にもうたわれておりますので、そういった点で処遇改善、そして今日先生から御指摘いただきましたこういう被服だとかのそういう支給品等についてもしっかりと検討を重ね、防衛省・自衛隊の優秀な人材確保に向けて取組を進めていきたいと思っております。 ○佐藤正久君 終わります。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  防衛生産基盤強化法案ということで、防衛産業の位置付けを法律に明記をする、加えて技術基盤強化に取り組む初めての法律であるということであります。昨年末に改定をされました国家安全保障戦略の中で、我が国の防衛生産・技術基盤は言わば防衛力そのものと位置付けられると、こう明記をした上で本法案が提出をされることになりました。  このステートメント、ああ、なるほど、そういうことかと思いながら、よくよく考えてみると恐ろしい話だなともちょっと思うところがあります。要は、衆議院における議論でも、拝見をしておりますと、よく防衛産業の競争力とか国際競争力という言葉が使われているんですが、そもそも輸出実績がほぼゼロということは国際競争力もゼロなんじゃないかというふうに思ってしまう。そういう中にあって、じゃ、我が国の防衛力って一体どうなっちゃっているんだということに改めて愕然とするわけであります。ある意味このままでは必要な防衛生産・技術基盤が国内から失われてしまうという、こういう大きな危機感の下にこの法案も出てきたんだろうというふうに改めて思うわけであります。  法案の中でも、やはり様々、企業が例えば撤退する際に、この承継する企業が現れるまでの間は国による製造施設の保有と、こういったところまで踏み込んだ内容にもかなりなっているというふうに思います。  ある意味産業としてはもう瀕死の状況、この中で、答弁ぶりを拝見いたしましても、この例えば国内防衛産業の維持ですとか支援をしていくことの重要性、これは語られていて、そのとおりだなと思うわけでありますが、一方で、ちょっと私欠けているなと思うのは、そもそも今政府として、じゃ、今すぐじゃないかもしれないけれども、十年先とか、こういう将来的に目指している防衛産業の在り方みたいなものって余り語られていないんじゃないか。また、産業の在り方自体を語り過ぎるというのはやっぱり難しいところあると思うんですが、とはいっても、政府における、じゃ、基盤強化のいわゆる機関ですとか出先みたいなものを今後つくっていくのか、つくっていかないのか、ここについてはまだまだちょっと明らかになっていないところがあるんだろうと思っています。  実際に衆議院の議論をやっぱりいろいろ探してみたんですけれども、日本においては、国内においては、欧米で起きたような大規模な統合再編は見られないとか、ちょっと観察をしている、何かちょっと人ごとみたいなフレーズ、やたらと出てくるんですけれども、あとは、力強く持続可能な防衛産業を構築するという抽象的なスローガンは聞かれるわけですけれども、果たしてそれで大丈夫なのか。  先ほども少し言いましたけれども、瀕死の状況なわけで、この法案というのは恐らく例えば止血をするとか延命措置をするという意味合いなんだろうと思うんです。この法案で、何か国内の防衛産業が今後どんどんどんどん例えば元気になって成長して海外に出ていくというところまではやっぱりちょっとなかなか見えてこないなというふうに正直思っております。  法案の審議に際して、先日、有識者の皆様に来ていただいて参考人質疑を行いました。私、とても、通常と順番が違うかもしれませんけれども、とても結果としてよかったなと思いまして、いろいろ御指摘もいただいたし、今回も、例えば日本版DARPAみたいな話ですとか、あるいは日本版のDIUですね、ディフェンス・イノベーション・ユニット、こういった政府機関の新設ということ、あるいは大学ですとか学術機関、こういったところとどう連携をして知的基盤みたいなものを民間のものも含めて活用していくのか、こんなある意味広義の防衛産業の在り方ということについても具体的に御提言をいただいて、とても参考になったわけであります。  改めて、これ、この法案の中にはそこまで書き込んでいないわけでありますけれども、今日、井野副大臣にも来ていただきました。この将来的な防衛産業の在り方について、現在の御見解をお伺いしたいと思います。 ○副大臣(井野俊郎君) 将来的な見通しといいましょうかビジョンということだと思います。  まずは、やはり防衛産業がしっかりと維持されるということで、防衛省としては、我が国の防衛産業が力強く持続可能な体制となるように、十分に生産力、技術力を向上させることで将来性や収益性の確保やサプライチェーンのリスクへの対応ということがとても重要である、まずはこれが前提ということで重要であるというふうに考えております。  その上で、当然、これが将来的にも成長していくという分野でなければならないと思っておりますので、将来にわたってまた技術的優越を確保するために、防衛力整備計画という形で長期の計画によって、研究開発費として、三一中期防に比べて四倍以上というのは、約三・五兆円の研究開発費予算を確保いたしました。令和五年度予算においても八千九百六十八億円という形で計上しております。  こういった長期の見通しが立つことによって、画期的な装備品や防衛イノベーションに投資が行われてそういったものが実現されるということになり、令和六年度以降にも、また、先ほど御指摘がありましたが、新たな研究機関の創設なども検討しております。こういう形で、投資が行われてしっかりと成長していく、長期の見通しで成長していくという環境をつくっていくことが大事だと思っております。  さらに、その上で、防衛産業への新規参入も重要であるというふうに考えておりまして、我々としては、マッチング事業の拡大であったり、先進的な技術を持つ企業などと防衛産業を結び付け、防衛産業への参画も促進する先進技術の橋渡し研究であったり、革新的、萌芽的な技術を発掘、育成する安全保障技術研究推進制度という制度もございまして、こういった民間の新しい先端技術の活用であったり、新規参入を促していきたいというふうに考えております。 ○平木大作君 産業として成長するには、恐らくその新規参入みたいなものが、してくださいとお願いしなくても出てくるぐらいにならないと、やっぱりなかなか、そういう意味でいくと成長とは言えないんだろうと思っております。  ちょっと卑近な例で恐縮なんですけれども、私、かつて、ブーズ・アレン・ハミルトンという企業に在籍をしておりました。この会社ちょっとユニークで、基本的に半分は民間の事業者向けのいわゆる戦略コンサルティングをやっているんですが、もう半分の方は、その売上げのほぼ一〇〇%が米国政府、もっと言うと、そのほとんどが米国防総省に対するコンサルティングという会社でありました。  ちょっと変な組合せだなと思う方ももしかしたらいるかもしれないんですが、そもそも企業経営の専門用語って、割といわゆる軍事の方から借りてきているものって多いんですよね。日本政府も大好きな戦略という言葉がありますけれども、まさにこういったものも含めて割と実は親和性が高くて、民間企業のコンサルティングにおいても、いわゆる軍隊における部隊の行動みたいなものを模して組織を変革するみたいなことというのは実は行われておりまして、そういう意味でいくととても親和性が高い。  私のいたこのブーズも、古くは現在のインターネットの基となったと言われているあのARPAネット、これはDARPAと一緒に開発したことで知られているところでありますし、最近では、余り胸を張れるわけじゃないんですけど、エドワード・スノーデンが最後に在籍をしていた会社でもありまして、それだけ国家安全保障局とも親密にというか、緊密に連携をしながら仕事をしていた会社でありました。  日本にはこの米国防総省当てのビジネスというのはありませんでしたので、私いたときもなかったんですけれども、これ、何が言いたいかというと、これ守秘義務が当然掛かっていますので、各、例えば民間のビジネスに対するコンサルティングにおいて、いろいろな企業の例えば先端のいわゆるシーズ、技術みたいなものというのは我々も触れるわけです。で、触れたものを持ち寄って、これ世界中に事務所ありますから、それを社内の中に知的基盤としてためて、そういったものが活用されてアメリカの国防総省に対するコンサルティングも行われますし、時にその民間の方のビジネスに携わっているコンサルタントが直接携わることもあるわけですね。こういう形で、ある意味米国においては、この民間の技術シーズみたいなものがある意味時として防衛産業にひも付けられていくという、こういうエコシステムができ上がっているわけであります。  そういう意味でいくと私も広義の意味での防衛産業出身なのかもしれませんが、残念なことに、私がこのブーズに入った直後に実は会社として大きな決定をしまして、今の時代において、この防衛産業と民間のビジネスコンサルティングというのはシナジーがだんだん小さくなってきているんじゃないかということで分社を決定しまして、それ以来、実は基本的にはこのブーズ・アレンという今会社も完全に国防総省だけを相手にするビジネスの会社になってしまいまして、日本のオペレーションも閉じちゃっていましたので、そういう意味でいくと日本にないんですけれども。  改めて、でも、こういう、何というんでしょう、今申し上げたかったのは、よく政府のいろいろな検討の書類の中にも、今、井野副大臣から御答弁いただいたような、シンクタンクの機能をもっと活用していこうとか、民間の学術機関とあるんですけど、実際にそれで本当に、ある意味そこからどう力を引き出すのか、あるいは知見を引き出すのかというところについて、米国では実際にこういう形でぐるぐるとエコシステムができて回っているというものは是非頭の片隅にでもとどめておいていただきながら、いろいろ具体的な検討というのは進めていただけたらなというふうに思っております。  ちょっと長くなってしまいましたが、続いて、海外への装備品の移転ということについてもお伺いをしていきたいと思います。  浜田大臣も、御答弁の中で再三にわたって、自分がトップセールスについても意欲があるということで御答弁をされておりました。セールスということに関して言うと、基本的には相手のニーズということがあって、それに即したものをということに当然なるんだと思っていますが、ただ同時に、これ、今、先ほど申し上げたように、輸出の実績がほぼない中にあって、自分の持っている手札の中で強い手札が一体何なのか、それって自分でもちゃんと分かっていなきゃいけないですし、当然相手にもある程度伝わっていないとそもそも交渉にならないわけであります。私みたいな素人にも、例えば、じゃ、日本の潜水艦技術はすばらしいんだみたいなことは仄聞はしたりするんですけれども、実際に、でも輸出できていないという中で、果たして本当にそうなのかみたいなことが、なかなかこれ外にも分かりづらいんだろうと思っております。  改めて、これ井野副大臣にお伺いしたいと思いますが、現時点における日本のこの防衛産業の得意分野とか、そもそも強みって一体どこら辺にあるのか。セールスポイントについてはそもそもどの程度、これ全部明らかにすること当然できないと思いますが、どの程度発信をできているのか、伝えることができているのか。海外での、これ当然、先ほども言いましたように、市場の、向こうのニーズということも含めて、分かりながらちゃんとやらないと意味がないわけでありますけど、そういったところのお取組と併せて是非御答弁いただけたらと思います。 ○副大臣(井野俊郎君) 我が国の防衛生産・技術基盤についてでありますけれども、当然我が国は科学技術立国ということでありましたので、そういった技術が、生産能力であったり技術水準については、民生品の製造業における高い技術水準や産業競争力などを背景として国際的に高い評価を受けているものというふうに認識をしております。  実際にも、二〇一四年に防衛装備移転三原則の決定した後、米国のみならず、英国であったりオーストラリアなどの先進国を中心に国際共同研究などが進んでおりまして、装備移転についても、艦艇、航空機、レーダーなどについて一応諸外国から問合せなどの引き合いを受けているところでございます。  その上で、じゃ、どういう今後、取組、発信をしていくのかということなんですけれども、しているのかということですけれども、装備移転については、官民連携の下、具体的には、例えば商社の持つネットワークを利用して相手国の潜在的なニーズ把握などを行う事業実現可能性調査をやっていたり、はたまた、世界中で実施されております国際装備展示会、つい最近日本でもやりましたけれども、こういった場所での相手国とのニーズを踏まえ意見交換していきながら、相手国のニーズを踏まえた効果的な情報発信などについてやってきたところでございます。  今後、防衛省としても、装備移転の更なる促進のため、こういった取組を進めていきたいというふうに考えております。 ○平木大作君 実際に、輸出、本当に甘くないんだろうと思っております。  展示会等の中では、当然日本の装備品に対して高い評価も寄せられれば厳しいお声もいただくのかと思っております。そういったものもしっかり踏まえながら、なかなか、その最初の一つというか、一つは出ているんですけれども、その一歩を踏み出すというのは難しい挑戦、じっくりこれ取り組んでいただきたいというふうに思っております。  次の質問に移りたいと思います。  ちょっと具体的なところ入っていきますが、今回、第四条の中で、自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品を指定装備品等に指定して、サプライチェーンの強靱化や製造工程の効率化などの基盤強化の措置をとれるようになっております。具体的に、この指定装備品、どういったもので、全体でどの程度の指定を見込むのかということについて、まずお伺いしておきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  指定装備品等は、専ら自衛隊の用に供するものである装備品等のうち、まず一点目といたしまして、自衛隊の任務遂行に不可欠であり、かつ、二点目といたしまして、その製造等を行う特定の防衛関連事業者が製造等を停止すると調達に支障が生ずるおそれがあるものとして、本法律案に基づき、防衛大臣が指定したものになります。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  防衛装備庁では、令和四年度までに、戦車、護衛艦、潜水艦、固定翼哨戒機、ヘリコプター、戦闘機、レーダー、誘導弾、弾薬等の六十九品目の、言わば任意の調査である、任意の調査であるサプライチェーン調査を実施しておりまして、今後、これら調査実施済みの六十九品目を参考に、指定装備品等の指定について検討を進める予定でございます。 ○平木大作君 今具体例で御紹介いただいたものだけでも、大分幅広めにある意味最初は検討を始められるんだなということが分かるわけであります。  具体的な指定はこれからに当然なるわけでありますが、今このことを確認をさせていただいた上でちょっと質問進めていきたいと思うんですけれども、国内にあるこのデュアルユース技術をどう活用していくのかというテーマに関して幾つかお伺いをしていきたいと思います。  今回、特に今ウクライナで行われている戦闘に投入をされましたロシアの無人偵察機、オルラン10、ここにはキヤノン製のカメラと、それから斎藤製作所製の模型用のエンジンが使用されていたと、こういうことが大変話題になったわけであります。そのほかにもいろいろ、パナソニックのあのタフブック、土木とか建築の現場で使われている非常に壊れにくいパソコンですけれども、これがアメリカの潜水艦で使われているとか、まあいろいろいろいろあるわけでありまして、純粋な民生品もこの日本の大変高い技術力みたいなものが実際に使われているということがあるわけであります。  そもそもこうした防衛装備品に転用可能なデュアルユース技術というのは、海外から多分いろいろ引き合いってあるんだろうと思っています。最初からいわゆるこれを兵器に使いたいですよみたいなことは言ってこないんだと思いますけれども、いろんな引き合いがある。一方で、政府がそれをじゃ網羅的に把握できるかというと、まあ基本的に不可能なんだろうとも思うわけであります。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  これ、概して、この日本の、特に中小企業が持っているような技術というものに対しては、これ民生品も含めればもうこれ世界的に関心はやっぱり高いんだろうと思っていまして、かつて、例えばiPod、音楽を聴くためのあのiPodでありますけれども、あれも、背面の鏡面の部分、ここの磨く技術は新潟県燕市の技術がとにかく世界一なんだということをアップルが自分で突き止めて世界に知らしめたということがありましたけれども、そうやって、ある意味世界中から日本の中小企業の技術を発掘して実際に自分のところのビジネスに使おうとしているものがあるわけであります。  アップルの事例だけにとどまらず、やっぱり本当の意味でこのいい技術というものを見極めて、発掘して、そして今までに使われていないような用途に転用しようと思ったら、やっぱりこれは足で稼ぐしかないんだろうとも思うわけであります。  世界に誇るようなこの日本の技術というものについて、これ当然、この中小企業やスタートアップが持っているこういったデュアルユース技術の装備品への活用ということは、これ防衛産業が今後成長のきっかけをつかむ上でもやっぱり極めて重要なんだろうと思っております。  今日、経済産業省にも来ていただきましたので、こういった取組、今、具体的に何かあるのか、どういう考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。 ○政府参考人(恒藤晃君) 今御指摘のとおり、我が国の中小企業あるいはスタートアップ企業の中には、積極的に技術開発を行いまして、優れた技術を生み出し、保有している企業も多くございます。こういったスタートアップ企業等が有する優れた技術を日本政府として安全保障分野において活用していくということは、私ども経済産業省としても重要なことと考えてございます。  また、優れた技術を有するスタートアップ企業を成長させていくという観点でも、安全保障分野も含めまして、政府がこうした企業から積極的に製品等を調達するということも重要と考えてございます。  こうしたことから、経済産業省といたしましては、優れた技術を持つスタートアップ企業をJ―Startup企業として認定をいたしまして、そうした企業などについては公共調達に関します入札参加資格について特例措置を講じるといった制度の導入などによりまして、その促進に取り組んでいるところでございます。  これに加えて、経済安全保障重要技術育成プログラムという制度も創設し、例えば、新しいセンサーの技術ですとかあるいは人工衛星開発技術の開発など、そういった技術開発に、そういった安全保障分野にも資する技術開発に取り組むスタートアップ企業などに対する支援制度を進めているところでございます。  こうした取組によりまして、防衛省とも密に連携しながら、こうしたスタートアップ企業等あるいは中小企業等の優れた技術が安全保障分野に活用されるように引き続き取組を進めてまいります。 ○平木大作君 今、具体的な様々な取組、J―Startupみたいなものもあれば、この安全保障の分野に活用できそうなものについても、いろいろ調査あるいは育成等に取り組まれているというお話がありました。  先ほどの斎藤製作所みたいな、いわゆるラジコンを作っている会社なんですけれども、こういったところも含めて、ちょっと今改めて確認なんですが、現時点でこういったいわゆる純粋な民生品、ここについては自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品となっていないわけでありますので、そうすると、本法上、指定装備品には指定されないということになるのか、防衛省に確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  指定装備品等は、あくまで製品、部品単位で検討するものであり、それに使用されている技術がデュアルユースか否かについて判断するものではない、ございません。そのため、デュアルユース技術を用いている装備品等であっても、専ら自衛隊の用に供するものであって、自衛隊の任務遂行に不可欠であること等の要件を満たしている場合に指定装備品等に指定することは想定されるところでございます。  なお、半導体などのいわゆる民生品の製造基盤の強化は本法律の対象としているところではないため、これらを指定装備品等に指定することは基本的には考えていないところでございます。 ○平木大作君 基本的な、特に初期の頃のシーズの技術自体は、最初からそれ向けに開発したのであればともかく、自衛隊の任務遂行に不可欠と最初から多分カテゴライズされるようなものって多分ほとんどないんだろうというふうに思うわけであります。  そして同時に、先般の参考人の皆様からいただいた御意見も、そういったまさにデュアルユース技術、様々日本にあるんだけれども、それを実際に規制で縛っていくというのはなかなか難しいんだろうという御意見もいただいたところでありました。  先ほど来言及させていただいている、例えば、模型のエンジンを扱っている斎藤製作所は、実際にロシアの方に活用されてしまっていたということでいろいろインタビューを受けていらっしゃるんですけれども、そこの中では、ロシア軍にどう供給されたのかは分からないということで、一つその可能性として言及をされていたのは、ロシアの商社に確かに販売実績はあると。ただし、そのときには、森林火災の防止とか国境の密漁とか密航の監視のためにそのラジコンを使いたいという話があったということで、一応その軍事用途は認めないよというところも確認をした上で輸出をした件があったということであったわけでありますけれども、なかなかこういう、この用途を確認しても、その先にまたどういう流通の仕方、流れ方をしていくのかということまではなかなかやっぱり追いかけることが難しいんだろうとも思うわけであります。  また、こういった、まあラジコンですから、その他のものも含めてそもそももうネットで買えてしまうみたいなことも含めて、やはり単純に規制で網を掛けるというのは対応としても難しいんだろうと思っております。  経済産業省に改めてお伺いしますが、こういったいわゆる純粋に今のところ民生で使われているものについて何か規制が課されるようなことってないのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(猪狩克朗君) お答えを申し上げます。  一般論といたしまして、日本から輸出される貨物や提供される技術の軍事転用を未然に防ぎ、また国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、先進国を中心とした国際的な枠組みでございます国際輸出管理レジームにおける合意等を踏まえ、外為法に基づきまして、規制対象品目を定め、輸出管理を行っております。  具体的には、無人航空機用のエンジンを含めまして、民生用部品であってもその性能、仕様により規制対象に該当する場合には、これ輸出する際に許可の取得が必要とされてございます。また、仕様、性能上は規制対象に該当しない場合であっても、輸出時点で大量破壊兵器等の開発、製造等に用いられるおそれがあることを輸出者が認識されている場合には、これはいわゆるキャッチオール規制に基づきまして許可を取る必要がございます。  今後どのような品目が規制対象となるかにつきまして予断を持ってちょっとお答えをすることは差し控えたいと思いますが、引き続き、国際情勢の変化や技術の進歩に応じまして、国際社会と協調して規制内容を不断に見直してまいりたいと考えてございます。 ○平木大作君 その上で、先ほどの新規参入という方にやっぱり戻していきたいんですけれども、大変高いハードルなんだろうと思っております。現時点では、この法律がまだ通っていない現時点においては、やはり防衛産業は利益率が低いと言われ、そしてレピュテーションリスクを抱えると言われ、そして、今のところ顧客は防衛省のみだと、アップサイドがないということでありますから、放っておいて新規参入をしていただけるような状況にはないわけであります。  そういう中において、まさに今いろいろ質問させていただきましたけど、一方で、このデュアルユース技術の芽みたいなものは、シーズみたいなものは国内に様々今あるわけでありまして、ある意味こういう、例えば、経済産業省とのいろいろやり取りの中で、この技術というのは実はほかの分野にも使えるんだと、あるいは防衛産業に我が社は参入することが可能なんだと多分気付く企業も当然出てくるんだろうというふうに思っております。  こういうとき、そういう意味でいくと、まだ現時点では、技術はあるけれども防衛産業のカテゴリーには入らない会社になるわけでありますけれども、こういう気付きがあったときに、政府としても、やはり、例えば相談に乗る、あるいは支援を積極的に取り組む、こういったことは是非必要じゃないかと思うんですが、この件について防衛省からお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  防衛産業への新規参入を促進する施策といたしまして、中小企業等が防衛事業に新規参入する機会を創出するため、防衛省・自衛隊や防衛関連のプライム企業と中小企業等との間のいわゆるマッチング事業というものを平成二十八年度から実施してきております。  このマッチング事業につきましては、これまで年一回、東京で実施してきましたが、本年度、令和五年度につきましては、マッチングの機会を拡大するため、年二回、東京に加えまして別の場所でも実施していくことなどにより、多くのスタートアップ等の中小企業にマッチングの機会を提供できるよう検討しているところでございます。  また、先ほど副大臣からも御答弁申し上げました先端技術の橋渡し研究の予算につきましては、令和四年度では約九億円であったものを、令和五年度では約百八十八億円とする大幅な拡充といったものや、安全保障技術研究推進制度、いわゆるファンディングの制度を実施を通じまして、先進的な技術を有する企業等の発掘、育成を進めることとしておるところでございます。 ○平木大作君 続いて、サプライチェーンの問題についてもお伺いしていきたいと思います。  本法案の中では、国内のサプライチェーン調査について定め、そして回答の努力義務ということを定めたわけであります。一方で、先日もお話をお伺いした識者の皆様からは、これは是非外国の防衛当局についても、日本のいわゆるサプライチェーンにどの程度依存しているのか、このことはしっかり見える化した方がいいんであるという御指摘をいただきました。  例えば、北朝鮮の極超音速ミサイルだとか、衛星、無人機、こういったものに日本の半導体って使われていないのか、日本の技術って転用されていないのか、こういったことも含めて、しっかりと専門家の目で見てチョークポイントを把握をしておく、このことが大事なんだという御指摘をいただいたわけであります。  こうした御指摘も踏まえると、ある意味国内のサプライチェーン見ていくというのも当然大事なわけでありますが、逆のこと、要は、日本の防衛当局も海外のサプライチェーンにも依存をしているわけであります。改めてそういうところ、国内外にわたってこのサプライチェーンにしっかりと目を凝らしていくということが大事なんだなということを学ばせていただいたわけです。  そこで、防衛省にお伺いしたいんですが、こうした御指摘も踏まえながら、今後、この同志国や友好国との内外にわたるサプライチェーンの協力関係、これをどう築いていくのか、どう活用していくのか、この点についての見解をお伺いしておきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) 本法案によって、防衛省の行うサプライチェーン調査について根拠や政府の守秘義務が明記されることから、より効果的な調査によってサプライチェーンにおける様々なリスクやその重大性を明らかにすることができると考えているところでございます。これらの情報は、他国の防衛産業等の脆弱性を把握する場合にも参考になり得るものと考えているところでございます。  また、サプライチェーンリスクへの対応は、我が国のみで完結するとは考えておらず、アメリカやオーストラリアを始めとする同盟国や同志国等との、同志国等の当局との間でお互いのサプライチェーンについて理解を深め、サプライチェーンの相互補完を目指していくことも重要であると考えているところでございます。 ○平木大作君 そういう意味でいくと、今回努力義務にとどまったわけでありますけれども、これは丁寧に説明をして、なるべくやはり多くの御回答いただけるような努力もお願いしておきたいと思います。  続いて、本法第二十九条では、指定装備品を製造する企業に対して必要な財政上の支援等も行ってもなお事業継続が困難、こういう場合には、装備品の適確な調達ができない場合、国がその施設を取得し、他の製造事業者に管理委託をすることができると、こう定めたわけであります。  これ、ただ、必要な措置だなと思いつつも、適確な調達ができず国が取得するほかに手段がないと判断する基準がやっぱりちょっと分かりにくいわけであります。改めて、この点について御説明をいただきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法律案第二章で規定する防衛産業への措置等を講じてもなお他に企業が安定的な製造等を図る手段がない指定装備品等につきまして、これの製造等をする施設等を防衛省が取得することができることとしているところでございます。  具体的なケースということでございますが、例えば、装備品等の製造等からの事業撤退に際しまして、自ら指定装備品製造施設等を所有するリスクを負わないのであれば装備品等の製造等の事業を行える防衛産業が存在する場合とか、事業承継先の防衛産業が存在するものの、撤退に係る現在の指定装備品製造施設等が耐用年数を経過し老朽化しており、承継先の事業者がこれを新規取得することは困難なため国が新規に建設する場合、そのほか、指定装備品製造施設等が事故や災害で消滅し、防衛産業による復旧のめどが立たない場合に国が新規に建設する場合などが想定されますが、個別具体的に検討していくことが必要と考えているところでございます。 ○平木大作君 具体的なケースを幾つか想定できるということでありましたが、やはり、仮に国がこのじゃ施設を所有した後にやはり次の疑問が生まれてくるわけでありまして、これ結局、国が持つのは基本的には一定期間、要は次に承継する企業が現れてくるまでということなわけですけれども、実際にこういった事業者が現れなかった場合、これは結局国が工廠を持っているということと同じじゃないかという、こんな御批判も出てくるんじゃないかと思います。  こういった御懸念に対して、現在の政府の御見解をお伺いしておきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  国が取得するのは、製造施設、土地、設備に限られておりまして、当該施設で装備品等を製造する事業主体はあくまで民間企業であります。従業員の確保や管理も民間企業が自身で行う必要があり、民間企業そのものを国有化するわけではありませんし、国がこれらを取得する前提として、当該施設等を使用して装備品等、装備品を製造する事業者が存在していることが必要でございます。  また、取得した製造施設等につきまして、国は早期譲渡に努めることとしておりまして、民間の事業者が自ら製造施設等を保有して製造等が行われるよう、様々な取組を通じ防衛事業の魅力化を図ってまいる所存でございます。 ○平木大作君 防衛産業からの撤退リスクへの対応というところについてもお伺いをしておきたいと思います。  現在、実績ベースでは、利益率は二、三%ということであります。そういう意味でいくと、プライム企業も含めて、これ撤退のリスクに大きくさらされた産業なんだろうと思うわけです。  実際に政府のこれまでの御説明をお伺いしていると、プライム企業、基本的に大企業ですけれども、プライム企業において防衛事業の比率というのは基本的に一割未満、かつ、そもそも大企業ですから、いわゆるコングロマリット・ディスカウントというのがありまして、いわゆる株主から、切り離すように圧力を受けやすい産業になってしまうわけです。しかも、低利益率で、顧客が防衛省のみと。先ほども少し言いましたけれども、なかなかこれ退出圧力は強いんだろうというふうに思っております。  改めて、ここについて、これまでも、衆議院の議論でも、適正な利益の確保に取り組むんだということはお伺いをしてきました。  これは本当に大事なんですけれども、ここに加えて、結局、株主だとか社会のステークホルダーからの退出圧力、ここにしっかりと耐え得るためには、この、改めて、防衛産業の持っている社会的な意義、こういったことも含めて社会にしっかりと発信をしていくということも重要だろうというふうに思っております。  この点について、防衛省から見解をお伺いしておきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  防衛省といたしましては、将来性や利益率が低いとの指摘を受け、予見可能性に配慮することや、コスト上昇要因を取り除く取組の徹底、さらには、企業の努力に応じた適正な利益率の算定を通じまして、防衛事業の魅力化に取り組んでいるところでございます。  これに加えまして、我が国の防衛産業につきましては、先端的な防衛装備品の開発、生産により、高い技術水準を保有しているといったことや、機微な情報や技術を守るための高度なセキュリティー体制の整備を通じ、防衛産業が高い組織的信用度を有していると言える点などの優位性を保有していると考えられるところでございます。  このような点につきまして、諸外国を含む各方面に対しまして積極的にアピールしていきたいと考えているところでございます。 ○平木大作君 先日の参考人質疑の中でも、やはりこの防衛産業というものに対する理解というのをしっかり深めていかなきゃいけないんだなということは痛感をしたわけであります。  また、ちょっと例として適切かどうか分かりませんが、我が国においても、家庭用のロボット掃除機でなじみの深いルンバ、アイロボット社ですけれども、あのアイロボット社は、二〇一六年にいわゆる防衛事業から撤退をしたんですね。元々、アイロボット自体は、家庭用のいわゆるロボットと、それからいわゆるイラクのような戦闘地において遠隔で操作をするロボットの事業、最初から二つ持っていたんですけれども、イラク等で有名になって、そういったいわゆる大変過酷な場所でも安定的に操作ができるという技術が、あの三・一一のときに、福島の原子力発電所の爆発直後の原子炉の周辺にもアイロボットの機械というのは入っていただいた、そういったこともあったわけでありますけれども、結果として、二〇一六年、これは理由がよく分からないんです。  一つは、よく言われておりますのは、売上げにおけるだんだん家庭用掃除機のシェアというのが高くなってきました。九割を超えてきたので、やはりこの一割の事業について今後の成長というところで疑問符が付いたとも言われていますが、株主からの圧力が大きかったということも言われているわけであります。  改めて、プライム企業がそういった退出圧力にさらされている中で、防衛産業のやはりこの社会的な意義、そういったところについて政府としてもしっかり発信に努めていただきたい、このことを申し上げまして、少し早いですが、終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会 ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、松川るい君が委員を辞任され、その補欠として井上義行君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 休憩前に引き続き、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○福山哲郎君 お疲れさまでございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。  昨日、国連安保理決議違反である北朝鮮の軍事偵察衛星の打ち上げがありました。結果は墜落、失敗に終わったという判断だと思いますが、二回目の打ち上げを強調しています。引き続き警戒が必要だと考えますが、大臣はどのように考えているのか。また、二回目の打ち上げはいつ頃を想定しているのか。まあ言えること言えないことあると思いますが、お答えいただけますでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 五月二十九日、北朝鮮からの通報を受け、万が一我が国の領域に落下する場合にイージス艦及びPAC3部隊による迎撃が行えるように、弾道ミサイル等の破壊措置命令を発出をいたしました。この命令の下、防衛省・自衛隊として、各種情報を踏まえた総合的な分析、評価などに基づき適切な態勢を構築していたところであります。  昨日朝、北朝鮮から一発の弾道ミサイルの可能性があるものが南方向に向け発射されていましたが、これは黄海上で消失したものと推定しております。引き続き、必要な態勢を構築して、情報収集、警戒監視に万全を期してまいりたいと思います。  再度発射の可能性については、防衛省として、北朝鮮の軍事動向について平素から重大な関心を持って情報収集、分析に努めているところですが、個々の具体的な情報の内容については、事柄の性質上、お答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。 ○福山哲郎君 引き続き、警戒態勢、よろしくお願いしたいと思います。  一方で、もう報道にも出ていますが、今大臣が言われた適切な警戒態勢を指示をしていたけれどもということで、石垣島では展開が予定されていたPAC3は配備されていなかったと。それから、今日、これ提示するのを理事会でお許しをいただいたので提示しますが、(資料提示)これ宮古島です。宮古島で元々配備されていたものが、昨日はこういう建物の横に、ある意味で言うと撤収されて、そして発射機は畳まれて置いてあったと。これ、配備されていた後とこの撤収の後、両方確認をされている住民がいらっしゃって、SNSでは写真がこういう形で出ています。自民党の党内からも問題視する声が上がっているというふうに報道を見ましたけれども、台風が接近したので強風の影響で展開せずというような話が流れています。  一方で、官房長官は適切だったと言っているんですが、これ、台風だと駄目だとどうするんだという話なんですけど、雨が降ったらどうするんだと。ミサイルが降ってくるかもしれないのに、雨が降ってくるかもしれないから撤収されたんじゃ、何のための装置なんだと、配備なんだという話になるわけですけれども、これ、どういう状況でどういう判断でこのPAC3を撤収しているのか、お答えいただけますか。 ○政府参考人(大和太郎君) 部隊運用の詳細についてはなかなかお答えが難しいことを御理解願いたいと思います。  その上で、一般論として申し上げますが、部隊運用は、天候、気象を含め、そのときの様々な状況を踏まえて最適な形で行うということになります。防衛省と自衛隊としては、こうした観点も踏まえながら情報収集、警戒監視に全力を挙げるとともに、各種情報を踏まえた総合的な分析、評価などに基づき、当日、態勢を構築していたところでございます。  以上です。 ○福山哲郎君 いや、だけど、これ、PAC3部隊、石垣も宮古もですが、配備の指示は、破壊措置命令が五月二十九日出ていますから、配備の指示は出ていたのではないんですか。 ○政府参考人(大和太郎君) 破壊措置命令は二十九日に出てございます。  繰り返しになりますけれども、部隊運用の、その時々の部隊運用というのは、天候、気象を含めた様々な条件を踏まえて行うものでありまして、そういったことを踏まえて昨日の態勢を構築していたということでございます。 ○福山哲郎君 そうすると、昨日の軍事偵察衛星の発射の前に、防衛省は、我が国の領土内にはミサイルが飛んでくるリスクはないということを判断をして、こういう、住民から見ても明らかに撤収しているような状況なわけですけど、それを判断して撤収したということなのか、台風の天気予報だったから撤収したのか。具体的に撤収するということは合理的な理由がなきゃいけないわけですよ、だって、国民の安全に関わっているわけだから。その理由は何ですかと聞いているんです。 ○政府参考人(大和太郎君) 四月の二十二日の準備命令に基づきまして、イージス艦の展開、それからこういったPAC3の南西諸島への展開を進めてきたところであります。イージス艦による高層防衛、高層防衛、それからPAC3等による下層防衛、これを全体でミサイル防衛の目的を達成していこうということであります。  繰り返しになって大変恐縮ですが、この部隊運用の実際においては、もちろんそもそもの情勢、それから、先ほど申し上げました天候、気象といった条件、これは部隊運用のそもそもの安全性につながるところでもあります。こういったことを全て勘案した上でそのときの態勢を構築していくということであります。  このことは三十一日も同様であったということでございます。 ○福山哲郎君 いやいや、それは、いろんな状況鑑みて部隊配置しているのは、それは分かります。しかし、現実に軍事偵察衛星打ち上げがあったわけです。で、相手からの予告もあったわけです、もちろん期間はありましたけれどね。そのときに、破壊措置命令が出ている状況でPAC3を引き揚げているということは、何らかの合理的な根拠がないと国民に説明付かないんです。その根拠は、部隊の詳細を打ち明けられないという話ではなくて、じゃ、合理的な根拠があってPAC3を撤収したんだなと、じゃ、日本政府にとっては一定の判断材料があったというふうに説明してもらわないと、少しそれは説得力に欠けるのではないかなと思うんですが、いかがですか。 ○政府参考人(大和太郎君) 先ほどお答えしましたように、例えば軍事動向については常に情報収集、分析に努めているところであります。  本当に繰り返しになって恐縮なんですが、実際の部隊運用、もうこの命令下にあっても、実際の部隊運用については、運用の安全性、それに関わる気象、天候の条件というものも考慮要素になります。  実際に昨日どういった態勢が具体的に取られたかということは、事柄の性質上、恐縮ですが申し上げることできないんですが、そういった考慮をして態勢を構築して選択しているということで御理解をいただければというふうに存じます。 ○福山哲郎君 運用の安全性とか天候とか言われると、本当に台風だったから撤収したと思われますよ。手のうち明かさないっていつも言っているくせに、逆に言うと、これだと、天候の悪いときは迎撃態勢取れないんだって相手にさらしているようなもんじゃないんですか。  私は別に防衛省の弱点をここに明るみにしたくて質疑しているわけじゃないんです。じゃ、例えば、そのときには日本の領土内には落ちてこない、与那国とか宮古は安全だという判断をしたというんだったら分かりますよ。だけど、これ前の日に撤収しているからね。そうしたら、相手撃ってきたわけでしょう。だから聞いているんで、今の答弁で、大臣、いいんですか。これ以上突っ込みようないと思いますけど、大臣、今のだと納得しようがないですよ。 ○政府参考人(大和太郎君) 一言だけ。  先ほど申し上げましたように、ミサイル防衛の態勢というのは、上層の防衛を担うイージス艦、これはもうかなり広いエリアを担当することになりますが、それとPAC3の組合せで行っております。今回の北朝鮮の衛星発射と称するこの事態に対しての我々の対応というのも同様でございます。こういった全体の態勢をもって破壊措置命令の執行をしようというふうにしているところであります。 ○福山哲郎君 いや、だから、それだったらPAC3を要らないというふうに判断した理由は何かと聞いているんです。それが天候だとか安全性だとかって言うから、だからPAC3が要らないと判断したって、それは判断したんでしょう。その判断の理由は何かと、それを国民に説明してもらわないと、台風のときには配備できませんって北朝鮮に言っているようなものですよ。  大臣、いや、もう僕は余り、何というか、弱点をさらけ出したくて言っているんじゃないんですけど、それならそれでちゃんと言ってもらわないと。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今、御指摘の点、合理的な理由を説明しろということでございますが、我々とすると、今回の状態で、前日に撤収をしたということについて、我々とすれば、皆様方に誤解というか、自衛隊大丈夫かというような御指摘を受けてしまうわけでありますが、今回の場合については、我々とすれば、今回このことについて我々とすると説明をするのが大変難しいわけでございまして、そういう意味で、大変、逆に言えば、そういったことを皆さん方に御心配を掛けてしまったことに対しては、我々とすると、私とすると大変申し訳ないというふうに思っている次第であります。 ○福山哲郎君 大臣が今正直に説明のしようがないと言われたので、もうこれ以上言っても仕方がないんですが、やっぱりこういったことは、沖縄への配備も含めて、安全保障環境は厳しいと言われている中で、相手側から予告があって、そして破壊措置命令が出ているときに、台風だからといって、こういう形で目に見える形で撤収されたら、みんな、えっ、大丈夫かって思うのが普通なんじゃないですか。それに対してちゃんと合理的な説明もしていただけないというのは非常に遺憾でございますし、ほかの審議もあるので、一応今日はこのところ、今日はこれでとどめますけれども、そこは大臣しっかりと、なぜこういう事態になったのかについて省内で検討いただいて、次の対応について、やっぱり何らかの形でこの外交防衛委員会でも説明していただかないことには納得しにくいので、大臣が正直にお答えをいただいたのでこれでやめますが、次に行きますが、何とぞよろしくお願いしたいと思います。  現在の装備移転三原則は、共同開発を除き、救難、輸送、警戒、監視、掃海の五つの種類に限られています。殺傷能力のある装備品の移転は基本的に認められていません。自公、与党は、安保三文書に書かれた装備移転三原則の見直しの議論があって、まあ見直すんだという議論があると思いますが、私は、装備移転は殺傷能力のあるものに広げるべきではないと思います。紛争を助長したり、戦争、紛争状態をエスカレーションするような装備は、我が国は移転するべきではないと考えています。  平和主義を掲げているこの国が、戦後、先人が積み上げてきた世界からの信頼を壊すべきではないと考えています。たとえ装備移転をするにせよ、これまでの原則、そして慎重に、殺傷兵器ではなく守る分野、これ参考人の議論もありました、紛争を抑制する分野、情報収集、分析、監視等々に特化するべきで、日本の専守防衛の国是に合致するような形での装備移転の状況を維持していただきたいということは、私強く求めていきたいと思います。  自公で議論が始まっていると聞いておりますが、そこは、私の思いとしては、日本の専守防衛、まあ専守防衛、大分、敵基地攻撃能力で危うくなっていますけれども、それでも、それに見合う形でお願いをしたいと思います。  大臣、いかがですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) いずれにしても、今御指摘の点については我々も大変慎重に取り扱うべきというふうに思っておりますし、今後、与党の議論、そしてまた、いろいろな形で我々もまた議論に参加をさせていただく中で、今後ともしっかりとやっていきたいと思います。  防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しに関わる具体的な内容については、先ほども申し上げたとおり、まだ決まっておりませんし、内容に関すること、内容に関しても、これは私どもの方からお答えをすることは困難でありますが、今後とも、引き続き関係省庁としっかりと議論をしてまいりたいというふうに思った次第であります。 ○福山哲郎君 防衛装備は会社の数が非常に多いと言われていて、委員の方もう御存じのとおりで、F2戦闘機は下請が一千百、護衛艦八千三百、戦車においては千三百社、戦車は千社と言われているような状況で、たくさんの企業が関わっています。  その中で撤退が相次いでいるということでございますが、これ、なぜ撤退するというふうに防衛省は考えているのか、簡潔にお答えください。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  昨今の企業経営におきまして、キャッシュフローが重視されたり高い利益率が求められる傾向にありますが、防衛事業は、高度な要求性能や保全措置への対応に多大な経営資源の投入を必要とすると、この一方で収益性が低いと言われております。  また、現状では、販路が自衛隊に限られ成長が期待できないなど事業としての魅力が乏しく、一方で、サイバー攻撃とかレピュテーションリスクなど多様な課題があるとともに、それらがより顕著になっているということが委員御指摘の背景にあると考えております。 ○福山哲郎君 まさに御答弁のとおりで、衆議院の委員会見ると、深山装備庁の前の長官が反省して言っているんですよ。下請企業のケアは主契約企業に委ねていたと、それから、防衛省自身が防衛産業いじめをしていたのではないかということをはっきり言われているわけです。これは、今回の安保三文書の問題じゃなくて、元々の専守防衛の日本の安全保障戦略上、変える前からずっとこの問題はあるわけです。  私の地元も、日立造船さんというのが、当選した頃は大きかったんですけれども、合併や、社名を変えて、もう違う社名に二回変わりました。それから、御案内のように、地元の島津製作所も若干撤退を考えていると。  先ほどもお話があったように、利益率が低いのと、全体の企業の中の売上高における防衛産業の、防衛事業の比率というのはもう一〇パーとか、一〇パー以下です。  私、ある下請の防衛産業のところで直接ヒアリングをしてきたんですけど、いわゆるプライム企業が、一〇〇あったとしたら、原価が、五〇取ると。そこに、管理費が三〇で、利益が二〇乗せると。残りの五〇を下請にやれと言ってくると。利益なんか上がるわけがないと。もうこれが実態だって言うんですね。で、単純な機械加工というのは安いから、もう請ける下請企業はどんどんなくなっている。技術を持っている下請はまだ利が取れるので何とか継続できるけど、そうじゃなければ、もうこんな商売なんかやってられないと言うんですね。  現実の問題として言えば、例えばプライム企業なんかは、上場しているようなところが多いので、物言う株主が、こんな採算の悪い事業はもう撤退しろと、撤退してその工場とかその人員を収益性の高い業種に、業務に振り分けろと、そうしたら配当を出せるじゃないかという議論になるわけです。これはやっぱり株主の言うことだから、聞かざるを得なくなると。  このことを本当にどの程度、まあ多少今回の基盤強化の法律で意識はされているんですけれども、これ調査なんかしたって、悪いですけど、教えてくれといったって、みんな企業秘密ですよ。利益の配分なんか下請の人が言ったら、上から怒られるに決まっているじゃないですか。そんなこと、こんな、自主的に言ってくださいと、善意で言ってくださいなんといったって、言ってくれるわけないですよ。  これ、下手すると、プライム企業に発注するけれども、逆に下請にも直接発注するような状況をつくらないと、下請どんどん疲弊しますよ。そして、プライム企業の方だって収益性低いんだから。  皆さん御案内だと思いますけど、お久しぶり生産、私、日立造船とか地元にあったときによく聞いていました。艦船、発注が来ると、三年から五年掛けて造る間、ずうっと資金調達して回していると。そのうちに材料費とか上がったら一気にコストもより高くなる。その分、人材確保しなきゃいけない、部品も確保しなきゃいけない。次、五年後に発注が来るのか三年後に来るのか分からない。だから、メンテナンスとかでとにかく日々日銭は稼ぐと。それは企業もたないですよ。  これは、僕は安保三文書に関して言っているんじゃないです。これまでずっと日本の安全保障を支えてきてくれた方をほったらかしてきたことに対して、こういうことに対しての、防衛省、反省はあるのかと。もちろん、この法律を出しているから反省はあるけど、私はこの調査でまともな調査結果が返ってくるとは思えない。  それから、基盤強化に補助金出すけど、補助金出すような企業が国際競争力が付くわけがない。輸出と言うけど、そんなもの、軍事のものの輸出なんて、どれほど大変な手間が掛かってコストが掛かるか。簡単に成長とか輸出とか言っちゃ駄目ですよ。  まさに、そのことについて今どう考えているのか。大臣、まあ官僚の方でも結構ですけど、私の今申し上げたことについて、もし何らかのコメントがあれば答弁してください。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、委員の方から、今まで、これまでの防衛装備庁といいますか、防衛省の対応についての反省という点の御指摘がございました。  我々といたしましても、まさに一つ、今回の法案というものは、これまでなかなか防衛産業を対象とした法律というものを防衛省が出してこなかった、今回まさにこういう形で御審議いただいているということで、我々としても、累次、防衛関係企業とも意見交換を重ねた結果、今回の法案を出させていただいたということは、まず冒頭申し上げたいと思います。  その上で、委員御指摘の、いわゆるプライム企業ではない、いわゆるサプライヤー、いわゆる下請の関係でございますが、若干テクニカルな話でございますが、今回の法案で規定させていただいております財政上の措置、四つの措置がございます。供給網の強靱化、製造工程効率化のための措置、特定サイバーセキュリティー強化のための措置、それと事業承継のための措置、これらにつきましては、プライム企業のみならず、計画を出していただいて我々の方で認定すれば、それは下請企業の方にも必要な経費をお支払いするという枠組みをつくらさせていただいたところでございます。  それに加えまして、いわゆる、先ほど私の方から申し上げました、いろいろな利益が上がらないという点に関しましても、従来の利益率の算定方法を見直しまして、一つ、物価上昇等をあらかじめ制度的にビルトインするコスト変動調整率というのを設けるとともに、企業の御努力をしっかり評価する、クオリティー、コスト、デリバリー、これを評価するQCD評価ということで五%から一〇%の間で利益率を設定するといった取組もしっかりさせていただいているところでございます。 ○福山哲郎君 僕、何時まででしたっけ。(発言する者あり)二十四、あっ、もう終わりですね。  まだ質問たくさんあったんですけれども、先ほど言われたように、補助金とか、例えば事業継承のときにお金を渡すとか、やめるときにその工場を何とか国が持つとか、これ、どんどんどんどんモラルハザードも起こってくるんですよ。  だから、ちゃんと、さっき申し上げたように、例えば、プライムが圧倒的に管理費とか利益を取って、下請に全然その利益が上がらない構造が出ているとか、この調査では私出てくるとは思わないけど、そういうところでちゃんとまともに利益が下請にも出るような、お金の流れる構造をつくった方がいいと思う。やめたら工場を引き受けますとか、絶対モラルハザード起きますよ。余り単純に輸出でもうけましょうみたいな話はしない方がいい。国内でも、逆に言うと、日本の防衛機器はコスト高いでしょう。高いんだから、外へ行って国際競争力なんかあるわけないんですから、まずは今の体制をどう健全に構築するか、お金が流れるか。  私は、この防衛装備の強化については賛成するか反対するか、実は非常に悩んだんです。しかし、この問題は、ずっと日本の安全保障に関わってきた企業が四千社近くあって、そこが今厳しい状況になっている。特に材料費とか上がっているから、多分全然今までの発注金額だと利益が上がらない状況になっていると思うから、そこについては、まあ第一歩ということで今日はこういった質疑をさせていただきましたけれども、このことにおいては、大臣、ちょっと一言だけ言っていただいて質問終わりたいと思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今委員から御指摘のあったとおり、今まで我々取組がなかった部分というのをどのようにこれをしていくのかという中で今回の法案を出したわけであります。  いずれにしても、問題の認識は全く同じでありますので、しっかりと対応したいと思います。 ○福山哲郎君 終わります。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。  まず、内閣法制局長官に伺います。  憲法九条の第一項の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」の文言の趣旨について、前文の平和主義との関係も含め、説明ください。 ○政府特別補佐人(近藤正春君) 御指摘の憲法第九条の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」とは、戦争放棄、そこで定められております戦争放棄等の動機を示すものであり、国際平和の実現を念願する趣旨を明らかにしたものであると解しております。  また、憲法の基本原則の一つである平和主義について、憲法の前文第一段及び二段においてその立場に立つことを宣明し、御指摘の箇所を含め、憲法九条がその理念を具体化したものであると解しております。 ○小西洋之君 簡潔な説明でしたが、初めてですよね、これ。この言葉の趣旨を、実は、委員長、初めての、非常に阿達委員長の下での歴史に残る質疑でございますが、じゃ、次、問いのちょっと三番にもう時間なんで行かせていただきますが。  歴代政府は、防衛大臣も含めて、憲法前文、憲法の平和主義とは、九条ではなくて、九条の法的な母体である三つの理念が憲法の前文に書かれていると。全世界の国民が平和的生存権を持つことを確認する、あるいは政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意しといったような文言なんですが、防衛大臣に伺いますが、憲法前文の平和主義、さらには、その法的な母体としての結晶である憲法九条とこの本法案、基盤強化法案との関係について、政府としてどのように理解しているのか。特に防衛装備の海外移転などもあるわけでございますけど、答弁お願いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、政府として従来から答弁しておるとおり、防衛装備の移転は、それ自体は憲法第九条に直接関係するものではないと考えております。その上で、防衛装備移転三原則においては、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することとされており、防衛装備移転については移転三原則に従って対応してきております。  この点、国際の平和及び安全を維持することや国際紛争の平和的解決等を定めている国連憲章を遵守することは、憲法前文において宣明している平和主義に沿うものであると考えております。  この点も含め、本法案は憲法第九条や憲法前文において宣明している平和主義に反するものではないと考えております。 ○小西洋之君 この間、参議院の本会議で、憲法前文の平和主義に沿うというような答弁を防衛大臣されているんですが、念のための確認なんですが、これまでは、かつての武器輸出三原則は憲法の平和主義の精神にのっとったものであるというふうに言っていて、実は、横畠法制局長官からも、現在の移転三原則についても同様であろうと思いますという答弁をいただいているんですが、念のため、現在の防衛移転三原則、そしてこの基盤強化法で様々措置されている政策というのは憲法前文の平和主義にのっとったものであると、のっとったものでなければいけない、そういう理解でよろしいですか。防衛大臣、あるいは法制局長官でも結構です。 ○国務大臣(浜田靖一君) この法案は、法律案は、我が国の防衛に必要となる装備品等について、その適確な調達を行うため、装備品等の開発及び生産のための基盤を強化するために必要な措置や制度を定めるものであり、これは憲法の平和主義に沿ったものであると考えております。 ○小西洋之君 防衛装備の移転も振興する法律なんですが、平和主義にのっとると平和主義に沿うって何か違いがあるんでしょうか。平和主義にのっとったものが今の移転三原則であるというふうには、横畠長官の答弁もあるので、平和主義にのっとる以外の政策が憲法の下で、法治国家ですから日本国でできるわけはないので、この基盤強化法の全ての政策というのは憲法前文の平和主義にのっとったものであるということでよろしいですね。何でしたら長官でも。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  憲法の平和主義に沿ったという表現と憲法の平和主義にのっとったというものは同義と考えております。 ○小西洋之君 念のため、法制局長官、今、政策担当省庁がそういうことを言っているんですが、それは法制局としても是認し得る見解、解釈であるということでよろしいですね。 ○政府特別補佐人(近藤正春君) 委員御指摘のとおりだと思います。 ○小西洋之君 じゃ、大臣に伺いますけれども、憲法の前文の平和主義ですね、今回の法案も含めてのっとっているものなんですが、先ほど申し上げましたように、全世界の国民の誰もが、全世界の人類の誰もが戦争によって殺されてはいけないと、戦争による恐怖と欠乏から免れて、平和のうちに生存する権利を有することを確認すると書いてあるんですね。  とすると、よろしいですか、殺傷能力のある、自衛隊法でいうところの、火器を中心にした、人を傷つけ、殺す力のある、そうした殺傷する兵器を日本が他国に輸出して、そこでこの殺傷行為に使われてしまうというのは、一般的に、憲法前文の平和主義に反する、抵触する事態となり得るということでよろしいですね、一般論として。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、防衛装備移転三原則や運用方針を始めとする制度の見直しに関わる具体的な内容については、我々とすると、まだ今現在議論の最中でありますが、その上で、憲法九条はいわゆる戦力の不保持や武力の行使について規定するものであり、装備品の移転それ自体が憲法九条に直接関係するものではないと考えております。  この三原則は、我が国や国際社会の平和と安全の維持を期するとともに、外国貿易及び国民経済の健全な発達を図るという目的を持った外国為替及び外国貿易法の運用基準を定めたものであり、憲法九条も含め、それ自体が憲法上の問題はなく、当然、憲法の平和主義の精神にのったものであると考えております。 ○小西洋之君 ちょっと全然かみ合ってないので、装備庁長官、よろしいですか、長官、よろしいですか。  今、大臣の答弁の冒頭で、先ほどの福山先生の質疑にもありましたが、今、与党、また今後政府も新しい移転三原則を検討するということですが、よろしいですか、新しい移転三原則も、当然、憲法前文の平和主義にのっとったものでなければいけないという理解でよろしいですね、長官。 ○政府参考人(土本英樹君) 防衛装備移転三原則におきましては、まず、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することとされており、防衛装備移転については、移転三原則に従って対応してきているところ、今般の議論においても、平和国家としての基本理念を堅持することに変わりはない、ありません。 ○小西洋之君 国連憲章より日本の憲法の平和主義はもっと深く、もっと優れたもの、進んでいるものなんです。  よろしいですか、今、何か憲法の基本、何かに基づかなきゃ、堅持しなきゃいけないと言いましたけど、もう簡単ですから、長官、イエスかノーかで、よろしいですか。  新しい移転三原則も憲法前文の平和主義にのっとったものでなければならないと、それが政府としての見解であるということでよろしいですね。イエスかノーかで。 ○政府参考人(土本英樹君) 先ほど御答弁申し上げたつもりでございますが、まさに今、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、今いろいろな具体的な内容について議論しているところでございますが、今般の議論におきましても、平和国家としての基本理念を堅持することには変わりはないということでございます。 ○小西洋之君 その平和国家としての基本理念ってごまかすんじゃなくて、憲法前文の平和主義にのっとったものでなければいけないと考えている、政府として、それをちゃんと答えてください、イエスかノーかで。  今のものはのっとっているというんですから、今後ものっとるんでしょう。のっとらなければいけないということをちゃんと答えてください。 ○政府参考人(土本英樹君) 委員御指摘の、今の御説明のとおりでよろしいかと思っております。 ○小西洋之君 じゃ、長官に伺いますが、さっき大臣答えなかったので、よろしいですか。  全世界の国民が平和的生存権を有することを確認している平和主義の下で殺傷兵器を他国に輸出するということは、その殺傷兵器が使われて人が殺されてしまうことが起こり得るわけですから、一般的に、憲法前文の平和主義と抵触する、そういう可能性がある、リスクがあるということでよろしいですね。ちゃんと答えてください、それだけ。 ○政府参考人(土本英樹君) 大変恐縮でございます、繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、今回の議論においても、平和国家としての基本理念を堅持するということには変わりはないというところでございます。  あと、憲法九条のいわゆる戦力不保持や武力行使との関係につきましては、先ほど大臣の方から御答弁申し上げたとおりでございます。 ○小西洋之君 もうずっと答えていない。  法制局長官、よろしいですか。さっき戦後初めての答弁いただいたんですが、九条第一項のあの文言の趣旨ですね、長官がおっしゃるとおり、国際平和を念願する、日本国民の国際平和を念願するという趣旨なわけですね、を含むわけですね、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求すると。  そうすると、法制局長官、難しいか、じゃ、装備庁、土本さんに聞きますが、土本さん、九条第一項の文言というのは、国際平和を念願するという趣旨なわけですよ。とすると、あの九条と防衛装備の移転は関係ないというのが政府の答弁なんですが、それは私違うと思うんですよね。今まで政府は、九条二項と、戦力の不保持と防衛装備の移転は関係ないと言っているんですけれども、私は一項との関係だって関係あると思うんですよね。当たり前じゃないですか、国際平和を念願するという趣旨なわけですから。  ですので、今後は九条一項のそういう趣旨も踏まえながら防衛移転の在り方というものを考えていくということでよろしいですね、長官。憲法を踏まえて在り方考えるのは当たり前だから、それはイエスと言ってください。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  まず、先ほど来の累次の答弁になりますが、憲法九条がいわゆる戦力の不保持や武力の行使について規定するものであるため、防衛装備移転それ自体が九条に直接関係するものではないと考えているところは累次御答弁申し上げているとおりでございます。  その上で、その上ででございますが、憲法の基本原則の一つである平和主義につきましては、憲法前文においてその立場に立つことを宣明したものであり、憲法九条がその理念を具体化した規定であると解しているところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと、委員長、先ほどからもう五回、六回、何にも答えていないので、じゃ、もう委員会に説明資料を出していただきたいんですが、よろしいですか。  憲法九条の第一項の趣旨からすると、これは防衛装備移転の在り方についても、それは九条の一項の趣旨を踏まえなければいけない。そして、今の移転原則、あるいは今政府・与党が検討して将来作るいかなる移転原則であれ、憲法の前文の平和主義にのっとり、またその結晶である九条にのっとった、精神に、九条は精神的なものもあるはずですから、のっとったものでなければいけないということについて政府がどう考えるかについて、委員会への資料提出を求めます。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○小西洋之君 憲法の魂を考えながら政策やらないと駄目ですよ。国を誤りますよ、国の形を、もう変えちゃっているんですけれども。  会計検査院にお越しいただいているんですが、ちょっと時間なんで、会計検査院、私が言うんですけど、今から言うこと間違いないか聞いてもらえますか。  会計検査院法上、会計検査院は合規性の観点で検査をすることになっているんですが、合規性の観点には、憲法に違反するかどうか、それも含まれる、それが一つ。そして、じゃ、憲法違反を誰が判断するかというと、会計検査院は憲法上の独立機関であるので、内閣や国会の多数派等の解釈にとらわれることなく、会計検査院が主体的にその憲法解釈を行うということでよろしいですね。イエスとだけおっしゃってください。 ○説明員(篠原栄作君) 一般論で申し上げますと、合規性の観点からの検査におきましては、関係法令等を所管している府省の見解を聴取したり、関係する判例等の内容を検討したりするなどした上で、最終的には会計検査院として判断することとなります。  なお、これは憲法についても同様であると考えております。 ○小西洋之君 実はこれ、予算委員会、決算委員会。ここでやったのは初めてかもしれませんが、実はそうなんですよ、皆さん。  じゃ、会計検査院、もう一つ。  会計検査院が検査を行うに当たって、先ほど防衛省ずっと、他国との関係だとか何か、防衛秘密だとかいろんなことを言うんですが、会計検査院が外務省や防衛省などの会計経理を検査するに当たって、法令上、その実施を妨げるものは法令上はないということでよろしいですね。 ○説明員(篠原栄作君) 憲法第九十条により、国の収入支出決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査することとされております。  会計検査院は、与えられた権限の下で、法令上の制限なくこれまで会計検査を実施してきており、会計検査の過程において、会計経理の疑義の解明等のために必要が生じた場合には、必要な資料等の提供を受けるなどの対応を取ってきているところでございます。 ○小西洋之君 じゃ、財務省、問いの七番なんですが、今回の本法案、装備の移転基金ということで、令和五年度四百億、五年間で二千億を積んでいるわけなんですけれども、その積算根拠、こういう国にこういうニーズがあるということを財務省としてちゃんと査定をしているのか、それが一つ。で、それはちゃんと令和六年以降の残り四年間についても、具体的なそういうニーズというものをちゃんと査定して、残りのお金をちゃんと認めているのか。それを簡潔に答えてください。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  防衛装備移転推進のための基金の御質問でございますが、この経費につきましては、防衛省からは、過去のフィリピンへの警戒管制レーダーの移転等に係る開発、製造の実績や、現時点で諸外国から引き合いを受けている案件に係る品目や件数、安全保障の観点から必要と想定される仕様調整の見込みの費用、そういったものをお聞きし、我々としましては、事業の実効性、効率性、実現可能性等の議論を行い、令和五年度予算では、お示しいただきましたように、この基金への拠出として四百億円を計上し、防衛力整備計画においては、五年間の経費として〇・二兆円程度を見込んでございます。  しっかりと査定しているのかといった御趣旨の御質問であると理解してございます。我々といたしましては、新たな計画に基づき、将来にわたって先々装備品の適切な海外移転を推進していくということでございますので、そのための具体的な事業の在り方や議論を行い、これまでの実績や想定される案件を見た上で、できる限りの調整を行っているということでございます。  さらに、六年度以降につきましては、先々の、実績も積み上がってまいりますし、安全保障上の環境も変わってまいりますので、そうした状況も見ながら毎年度の予算編成において的確に調整をさせていただき、御審議をいただくものだと、このように理解してございます。 ○小西洋之君 実績が一件しかなくて、福山先生もおっしゃっていましたけど、本当に輸出というのは非常に困難な産業分野だと思うんですが。  ちょっと連合審査でも聞いたんですが、財務省、続けて問いの八番なんですが、この防衛力整備計画、四十三・五兆円ですけれども、歳出改革なるもので年二千百億円ずつ財源を確保するといっているんですが、それが千五百億、六百億とそれぞれ分かれるんですが、これについて、令和六年度、どういうやり方で千五百あるいは六百を確保するのか。あるいは、令和六年から令和九年までこれやり続ける、令和十年以降はめどが立っていない、やらないつもりだという初めての答弁前回いただいたんですが、具体的にどういうやり方で幾らのお金を確保しようとしているんでしょうか。具体的な、これだったら確保できるという項目はあるんでしょうか。 ○政府参考人(寺岡光博君) 今般の防衛強化に当たりましては、国民の皆さんの御負担をできる限り抑制するといった観点から歳出改革を徹底すると。毎年度の予算編成過程の中で非社会保障関係費全体を見直すことで、令和九年度の時点において対令和四年度比で一兆円強の財源を確保するという全体の計画でございます。  令和六年度以降におきましては、まさに歳出改革の取組を継続していく中で、現時点で具体的な対象を定めているわけではありませんが、同様の考え方の下、各省庁の要求も踏まえ、毎年度の予算編成において検討してまいりたいということでございます。  そして、委員お尋ねの物価動向への対応でございますが、こちらも現時点で特定の見込みを前提としているわけではありませんが、こちらも必要に応じ、令和五年度の取組を参考にして、毎年度の予算編成過程において検討してまいりたいと、このように考えてございます。 ○小西洋之君 今答弁のとおり、極めて現実的なシミュレーションを遂行するために必要な予算といいながら、その財源確保はちっとも現実的でないんですね。  防衛大臣に伺いますが、連合審査と私の今の質疑によって、実はこの四十三兆円、総額積み増す分のですね、これは令和九年度の姿なんですが、歳出改革で一兆円ですね、これ実は、今の答弁のとおりですが、めどが全く立っていないんですよね。決算剰余金、これ分かりませんよね、どうなるか。そして、防衛力強化資金の九千億円、これも令和十年度以降はめどが全く立っていないというふうにおっしゃっているんですね。  そうすると、令和四年度の当初予算と比べて三・六兆円積み増す、八・九まで行くんですけれども、三・六兆円のうちの単純に言って一・九兆円は令和十年度で全く何の財源の手当ても付いていないんですね。もちろん、令和、今年度からも含めてだと思うんですけど、五年から九年間、毎年そういう財源確保できるかどうかも分からないわけです。  そうすると、大臣、よろしいですか、この財源確保法案なるものは、財源空っぽ、そして増税確定法案、増税確保法案と言うしかないんじゃないんですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛力を抜本的に強化し、令和十年度以降もこれを維持強化していくための財源確保に向け、政府として国民の御負担をできるだけ抑えるため、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の活用といったあらゆる工夫を行う考えであり、必要な金額を確保できるよう行政改革の努力を最大限に行っていくことが政府の方針と承知しています。  その上で、委員御指摘の財源確保法案については、現時点で確保した財源を令和五年度予算に計上するに当たり、法律上の手当てが必要となる特別会計からの繰入れ等の税外収入の確保と、確保した税外収入を令和六年度以降に活用できるようにするための防衛力強化資金の創設について所要の措置を講じるものであり、増税確保法案と言うべきとの御指摘は当たらないと考えております。  防衛省としては、防衛関係費の財源を捻出するために各分野の歳出改革を含めた様々な工夫をしていただいている中で、関係者や国民の御理解をいただくためにも、防衛省が自ら大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えており、徹底したコスト管理、抑制や長期契約を含む装備品の効率的な取得等の装備調達の最適化等を通じて一層効率化、合理化を徹底してまいります。 ○小西洋之君 今大臣が答弁いただいた内容の、聞いていたんですが、八割、九割というのは根拠がないんですね。それが今もう明らかになっているわけです。  会計検査院、伺います。会計検査院。  今回、五年で四十三兆円、途方もない、日本の戦後の政府の財政史においても例がないような莫大な予算が想定されて、そして、会計検査院も当然見ていただいていると思うんですけれども、そこの財源の根拠があるのか、あるいは先ほどの、今回の法案の関係ですと、プライム企業のサプライヤーとの関係の問題ですとかあるわけですが、会計検査院として、ちょっともう簡単に一般論で結構なんですが、この四十三兆円の予算についてはしっかりと会計経理について検査をしていくと、まあ当然のことですけど、それでよろしいですね。一言だけ答えてください。 ○説明員(篠原栄作君) お尋ねの事項を含みます防衛省の会計経理につきましては、国会での御議論等も踏まえつつ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 国会での御議論で、今おっしゃったんでちょっとお願いしたいんですが、その検査するに当たって、さっきの四つの観点ですね、合規性や経済性や効率性などの観点の中で、特にこの憲法との関係の合規性の観点、会計検査院、をしっかり検査していただきたいんですね。  憲法前文の平和主義あるいは憲法九条が持っている理念に、防衛省のこの政策を、それを裏付ける会計経理が反していないのかということについても当然、一般論で結構ですから、前文の平和主義や憲法の九条を含めた憲法に係る合規性の観点についても防衛省の予算をしっかりと検査していくということでよろしいですね。簡潔に答えてください。 ○説明員(篠原栄作君) 繰り返しになりますけれども、防衛省の会計経理につきましては引き続き適切に検査をしてまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 だから、その適切には、申し上げた憲法に係る合規性の観点というのは当然含むということでよろしいですね。 ○説明員(篠原栄作君) 多角的な観点から適切に検査してまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 独立機関なんだから、頑張りなさい、頑張ってください。  だから、憲法に係る合規性の観点からも当然検査をするということでよろしいですね、一般論として、防衛省の会計経理。当たり前のことを言っていますから、はい、そうですと言ってください。時間がないんです。 ○説明員(篠原栄作君) お尋ねの点も念頭に置きながら、適切に検査をしてまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 ちょっと時間が本当になくなるんで、法案の中身に行きますが、十八条の九項に移転支援法人の基金業務の報告書、国会提出があるんですが、長官に聞きますけれども、簡潔に、今国会にどういう提出を考えているんでしょうか。ちゃんと審議を求めるということを政府として考えているのか、お答えください。 ○政府参考人(土本英樹君) 委員御指摘の点でございますが、本法律案におきましては、その移転支援法人に造成する基金につきまして、執行の透明性と適正性を確保するため、毎年度、法人から防衛省への事業報告を義務付けた上で、これに防衛省として意見を付して国会に報告することとしております。  この報告の国会における取扱いにつきましては国会において御判断されるものと考えておりますが、他の法令でも同様に基金についての国会報告の仕組みが設けられているものがあると承知しているところでございます。 ○小西洋之君 少し急ぎます。  問いの十二番ですけど、長官で結構なんですけれども、この装備品の確保計画の認定に当たって、法四条三項の基本方針への適合性あるいはその計画を円滑、確実に実施されるかどうかというのを判断することになっているんですが、それについて、どういう理由でそういう判断をしたかはちゃんと公表されるのか、また、そういう判断基準というのは文書で作成し、それも公表されるのか、それを答えてください。 ○政府参考人(土本英樹君) 装備品安定製造等確保計画は、防衛大臣が、基本方針におきまして装備品等の安定的な製造等の確保を図るための装備品製造等事業者に対する財政上の措置その他の措置に関する基本的な事項を定め、これを公表した上で、指定装備品等の安定的な製造等に関し、各種取組の実施によって対処すべき装備品等の製造等のリスクが存在している場合に、当該基本方針に照らして防衛大臣が認定するものです。  そのため、当該計画の認定の可否の理由を公表することはその当該リスクの所在を推察されるおそれがあるため、これを公表することはないというものでございます。 ○小西洋之君 長官、十三番なんですが、この…… ○委員長(阿達雅志君) 申合せの時間が参りましたので、おまとめください。 ○小西洋之君 はい。  第八条について、このサプライチェーン調査できることになっているんですけれども、この四条四項のこの文言、いろんなことが書いてあるんですが、この趣旨を簡潔に説明した上で、この調査が同条同項以外のものにも使うことができるのか、法的に。法的にだったらできないんですけど、できなかったらできないでいいんですが、それについて答えてください。 ○政府参考人(土本英樹君) 第四条第四項の趣旨は、防衛省におきましてサプライチェーン上の装備品等の安定的な製造等を妨げる各種リスクを把握している状況で、供給網の強靱化、製造工程効率化、サイバーセキュリティー強化といった取組が防衛関連事業者においてなされていない場合に、当該リスクが存在し続けることになるため、これを解消すべく、防衛省からこうした取組に係る計画の作成、提出をお願いするというものです。  サプライチェーン調査は、このような計画の作成、提出をお願いする前提といたしまして、サプライチェーン上の各種リスクを防衛省として把握するために必要な情報を対象として行われるものです。  あと、委員御指摘の点でございますが、サプライチェーン調査の回答に係る情報は、防衛省における厳格な管理の下、防衛生産・技術基盤の維持強化のための施策の検討に用いるということは想定されるところでございます。 ○小西洋之君 もう終わりますが、なかなか、答弁拒否されたんで全部質問をできなかったんですが、まあ次回以降にやっていきますけれども、憲法前文の平和主義と憲法九条の理念の下でこの法案も運営されなければならない。当たり前のことですが、かつそれも、会計検査院も、そうした観点も含めて、四十三兆円も含めてしっかりと検査をしていくということは確認をされましたので、防衛省、ちゃんと長官とそういう魂を抱いて、大臣もやっていただきたいと思います、憲法の。よろしくお願いいたします。  終わります。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  早速ですが、議題となっている法案について質問させていただきます。  本法案は、我が国の防衛装備品の技術開発や生産基盤を防衛力そのものと位置付けて、防衛産業を支援、強化することにより我が国の平和、安全を維持するとの、そういう趣旨のものだと理解しております。ただし、先日の参考人質疑においても双方相入れないレベルの両論があり、議論すべき課題も多いと感じております。国民の理解を深めるためにも、慎重な議論を重ね、政府が丁寧に説明することが重要だと思いますので、いつにも増して誠意ある御答弁をお願いいたします。  そもそも、我が国の防衛装備品や防衛装備技術の輸出については、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法によって管理されています。外為法の第四十八条第一項には、国際的な平和及び安全の維持を妨げる輸出について、経済産業大臣の許可を受けなければならないと規定しておりますが、その趣旨について御説明をください。 ○政府参考人(猪狩克朗君) お答え申し上げます。  外為法の目的は、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もって我が国経済の健全な発展に寄与することと規定されております。  この法目的に照らしまして、国際的な紛争の発生若しくはその拡大を助長すること、我が国を含む国際社会の安全保障に重大な影響をもたらすことなどを未然に防ぐため、武器並びに大量破壊兵器や通常兵器の開発、製造などに用いられるおそれが高い特定の貨物の輸出や技術の提供を行う場合に経済産業大臣の許可の取得を必要としているものでございます。 ○羽田次郎君 丁寧な御説明をありがとうございます。  本法案では、基金をつくり、仕様、性能等を変更した費用を助成し、装備品等の移転促進を図る措置等が規定されています。私自身も、憲法の平和主義に基づく専守防衛のための防衛産業の基盤強化についてはその必要性を認めておりますが、本法案における装備移転の円滑化措置は、これまで武器の輸出を厳しく自制してきた我が国にとって適切と言えるのか。  この法案で規定される措置は国際紛争を助長するものではないということ、そして国際的な平和及び安全の維持を妨げるものではないということを確認したいと思って、浜田大臣の御答弁を求めたいところでしたが、先ほど小西先生の御質問で憲法に反するものではないというふうに明確な御答弁をいただいておりますので、その点は省かせていただいて、ただし、この装備移転というのは、場合によっては我が国の平和を脅かすことにつながりかねないという懸念がございますので、是非慎重な御検討の上で進めていただきたいと思います。  本法案で規定する移転対象物品を相手国に提案する当事者というのは、日本政府、まあ外務省とか防衛省になるのか、それともサプライヤーの民間企業になるのか、その点について御説明をお願いします。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、本法案におきましては、装備移転に取り組む企業に対しまして助成等の措置を講じるものでありまして、防衛装備移転を実施する当事者は事業者となるところでございます。  一方で、防衛装備移転につきましては、これまでも官民が連携して様々な取組を行ってきているところでございまして、相手国への提案というものを含めまして、相手国とのやり取りにつきましても、官民一体、官民一体として進めていくことになると、なります。 ○羽田次郎君 先ほど小西委員からも福山委員からもお話あったとおり、商社機能を持つ既存の大企業であれば海外取引も慣れたものだとは思うんですが、新規参入企業にとっては海外での営業活動等はかなりハードルが高いというふうに考えられますが、そうした企業の海外進出の支援というのは指定装備移転支援法人が行うという理解でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(萬浪学君) 先ほど装備庁長官から答弁いたしましたように、この移転、本法律案に基づく移転の支援、助成につきましては、防衛省、防衛装備庁が、求めに応じて企業の方がなさるということでございます。  ただし、御指摘のように、それに当たっては移転支援法人の方から助言、技術的な助言等をいたすことになっておりますので、そうした体制を取りながら進めてまいりたいと考えてございます。 ○羽田次郎君 今の質問は、実は次の質問の答えで、私が問うたことと全く趣旨が違うんですが、そういう意味では、この新規参入企業が海外進出する場合というのは、この指定装備移転支援法人が行うのでしょうか。それとも、ほかに何かお考えがあるのでしょうか。 ○政府参考人(萬浪学君) 大変失礼いたしました。  装備品の海外への移転そのものは事業者の方、すなわち企業が行われるわけでございますけど、それを支援するという立場が移転支援法人でございます。 ○羽田次郎君 ちょっと、それでは、先ほどの質問は答えていただいたので、その次に行きますが。  装備移転仕様等調整計画の記載事項として、仕様等調整を行うために必要な資金の額及びその調達方法が記載事項として含まれているんですが、資金の調達方法として指定装備移転支援法人からの補助金を記載することは適当なのでしょうか。また、必要な資金の額の妥当性をどなたが何を根拠にして判断するのでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法案に基づく仕様等の調整につきましては、安全保障上の観点から装備移転を適切なものとするため防衛大臣が事業者に求めて実施させるものであることから、そのために必要な資金の調達方法として指定装備移転支援法人から支払う助成金を用いることに問題ないものと考えているところでございます。  また、防衛省・自衛隊は、仕様等の調整も含めまして、装備品について豊富な知見を有していることから、必要な資金の額の妥当性、必要な資金の額の妥当性につきましても、防衛省におきまして個別の案件に応じて適切に判断できるものと考えているところでございます。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  この指定装備移転支援法人についてですが、これ社団法人か財団法人が想定されていると思うんですが、この支援法人を全国に一つしか指定しないのはなぜなのかということをちょっと更問いとしてお聞きしたかったんですが、法案作成の際に複数の法人を指定するというようなことは検討されなかったんでしょうか。 ○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。  本法律案におきましては、この装備移転支援業務を行うための基金を、御指摘のその移転支援法人をつくりましてそこに任せるということにいたしておりますけれど、これ、相当規模の資金をあらかじめ準備して助成金交付等に支出に弾力的に対応できるようにするという基金の趣旨に照らせば、その造成先を複数の指定法人に分散させることは適切でないと考えまして、一個に限定をしたというものでございます。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  防衛費の倍増に伴って今後海外からの装備移転も増加することが考えられると思うんですが、国内産業の基盤強化をするつもりが国内の産業を圧迫することにつながらないか、その点について政府の認識をお伺いします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 昨年末閣議決定した防衛力整備計画において見積もられている防衛力整備の水準は四十三兆円程度であり、さきの中期防、防衛力整備計画に記載された水準と比べおおむね一・六倍の規模となっています。このうち、約八割程度が国内向け支出となっております。  いずれにしても、防衛産業は言わば防衛力そのものであり、防衛省として、将来にわたって必要な装備品等を適切に取得できるよう、国内の防衛生産・技術基盤の抜本的強化に取り組んでまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 衆議院の安全保障委員会で、国内調達と海外調達の比率について、浜田大臣、八割という御答弁をされていまして、先ほども小西先生の質問でもそうした議論もありましたが、今の調達の比率の現状と、今後国内調達の比率を増やしていくのか、政府の方針を伺います。 ○政府参考人(土本英樹君) 先ほど御答弁申し上げたとおり、各年度の予算の物件費全体に占める国内向け予算の割合は近年八割程度で推移していると把握しておりまして、この割合につきましては、予算額が増加しました今年度においても同様でございます。  防衛産業は言わば防衛力そのものでありまして、防衛省として、将来にわたって必要な装備品等を適切に取得できるよう、国内の防衛生産・技術基盤の抜本的強化に取り組んでまいります。  また、装備品等の取得につきましては、国内基盤を維持強化する観点を一層重視した取得方式の採用とか、FMS調達に、FMS調達する装備品等の国内企業の参画促進などにも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  加えまして、本法律案では、供給網の強靱化、製造工程効率化やサイバーセキュリティー強化、事業承継等といった取組を促進して我が国の防衛生産・技術基盤を強化するとともに、本法律案に基づく基本方針で国内基盤強化と装備品等の調達の基本的な方向性というものを明らかにしてまいる所存でございます。 ○羽田次郎君 そういう意味では、今後、基本方針も踏まえて明確にしていくということで理解いたしました。  先ほど来質問を続けておりますが、その私の思いというのは、やはり、先ほど装備庁の長官からも御答弁でございましたが、官民一体化ということ、昨日の防衛省からの御説明でも官民一体化ということを繰り返しお話をいただいたんですが、本法案の第七条では財政支援についても規定してありまして、事業者が財政支援を受けるには装備品安定製造等確保計画の認定が必要になって、認定を行うのは防衛大臣で、その実務については防衛装備庁の長官が行うんであろうというふうに承知しておりますが、参考人質疑でも触れましたが、防衛装備庁と事業者の間で癒着や不正があってはならないと思います。  癒着や不正を防止するための仕組みをどのように構築されていくのか、そうした方策について御説明をお願いします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  防衛産業と防衛省との適正、公正な関係の維持につきましては、日頃より徹底してきているところでございます。その上で、委員お尋ねの認定事業者である防衛産業と指定法人との関係、及びこれらとまさに防衛省、防衛装備庁との関係につきましても、指定法人制度の透明化、合理化に係る基準というものにのっとり、防衛省から指定法人に対しまして、その中立公平な運営を確保するための監督指導を行うこととしているところでございます。  これに加えまして、基金に係る業務に関しましては、本法律案において毎年度国会報告を防衛省に義務付けているほか、さらに、行政事業レビューによる検証も含め、二重三重の監視の仕組みというものを設けることによりまして、執行の適正性に懸念を生じることのないよう措置してまいる所存でございます。 ○羽田次郎君 厳しく取り締まっていても、残念ながら過去にも癒着や不正というのが起きておりますので、先ほど指定装備移転支援法人も資金があるんで一つに絞ったというお話もございましたが、そうしたこの法案で取り組まれる措置が不正の温床にならないように、浜田大臣にしっかりと監督をしていただきたいと思います。  そういう意味では、外国政府とか外国企業とも、こうした事業者、そして外務省や防衛省ももしかしたら官民一体となってそうした政府ともやり取りをするのかもしれませんが、そうする中で、やはり相手国の大臣等から賄賂を求められたりとか、様々不正の温床になるようなことが持ちかけられたりする可能性もあると思うんですが、そうしたことに対する防止策について、お考えがあればお願いします。 ○政府参考人(土本英樹君) 委員お尋ねの点につきましては、防衛装備移転というコンテクストのものだと考えているところでございますが、まさに防衛装備移転につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、官民が一体となって進めていくこととしているところでございますが、まさに委員御指摘のとおり、我が国の政府や企業も、癒着や不正を防止し、透明性を持って取り組むことは重要であると考えておりまして、防衛省としてもしっかり対応していきたいと考えているところでございます。 ○羽田次郎君 何かその具体的な対策みたいなものは、考えあるんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) 先ほど基金に関する業務に関しては御答弁申し上げたところでございますが、実運用上、例えばの例で申しますと、私もいろいろ海外の政府の関係者とか直接お会いするような機会もあるわけなんでございますが、できるだけ一対一で会うような機会はもう、何というんですか、そこで誰も、第三者の目が入っていないのでもう避けるとか、そういうような細かいところの運用というところは我々としても気を付けているところでございます。 ○羽田次郎君 なかなかそれだけでいろいろな不正が防止できるかどうかというのはちょっと疑問が残るところでありますが、時間もございますので、最後に、本法案に基づいて採算の取れなくなった防衛産業生産施設等を国が取得する処置について伺いたいんですが、この取得した施設等の譲渡も想定されていますけど、採算が取れなくて国が取得する事業に買手が現れるとも限らないので見通しが甘いという指摘もありますが、国による保有が長期化することによる負担増加のリスク対策をどのような状況で、どのようなリスク対策と、どのような状況でどのような事業者に譲渡されると見込まれているのか、御説明をお願いいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) 本法律案におきましては、保有が長期化しないよう、製造施設等の管理委託契約の期間満了前に当該製造施設等を買い受ける事業者を公募いたしまして、現行の管理委託契約終了後に応募した当該事業者に製造施設等を売却するということを想定しておるところでございます。譲渡先といたしましては、当該製造施設等を用いて装備品等の製造等を行うことができる事業者というものでございます。  製造施設等の国による取得及び管理委託は、装備品等の安定的な製造等の確保を進めることを目的とし、一律に早期譲渡しなければならないとすることはこの目的を妨げる場合があることから、装備品等の安定的な製造等の確保という目的を果たす限りで早期譲渡を目指すこととするため、努力義務として法律上規定しているところでございます。 ○羽田次郎君 時間となりましたのでここで終わりにしますが、やはり、応募をしても募集、募集をしても応募がないケースというのも考えられるので、そうしたことに対する対策もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  以上です。 ○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  議題にあります防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について、私からも何点か質問をさせていただきます。  本法案では、まず条文に明記する形で、国際社会の安全保障環境の複雑化及び装備品等の高度化に伴い、装備品等の適確な調達を行うためには、装備品等の開発及び生産のための基盤を強化することが一層重要となってくることを明確化しております。  一方で、この法案を通して見ますと、経営難の際の国有化など、既存産業を守ることが大きく意識されているようにも感じます。大臣も衆議院の御答弁で、主要プライム十五社の社長との意見交換を強調されておりました。それもまさに大事で、日本企業の防衛部門からの撤退を防ぐ必要性は十分に理解ができます。  しかしながら、現下のウクライナの事情を見ますと、防衛技術のイノベーションに追い付くための施策は非常に重要となっています。新興技術は、スタートアップ企業、新興企業から生まれることが多く、特に昨今の防衛上必要な新技術は、AIやロボットなど、シビルにもミリタリーにも使えるデュアルユースです。  そこで、本法案の基盤強化にロボット技術やAIあるいは量子技術などの新技術を研究開発、製造している新興企業は射程に入っているのかどうか、まずこの点を防衛省に確認します。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法律案では、装備品等の製造等の事業を新たに行おうとする事業者が作成、提出したサイバーセキュリティー強化や事業承継等の計画を防衛大臣が認定し、かかる取組を促進する措置を定めております。  本法律案における製造等の定義には、製造、研究開発及び修理並びにこれらに関する役務の提供をいうため、これまでの防衛産業に加えまして、法令にのっとった計画認定の際には、委員御指摘のロボット、AI、量子技術といった新技術を研究開発、製造する、言わば新興の事業者も射程に入ることとなります。  その際、専ら自衛隊の用に供するものであって、自衛隊の任務遂行に不可欠であること等の要件を満たしている場合に指定装備品等に指定することが想定されるところでございます。 ○音喜多駿君 当然入っているということでありまして、すると、そうしたスタートアップ企業への防衛産業への参入を促していくこと、これが必要になってくると思います。後ほどその点は質問させていただきますが、その前提として、AIの産業戦略について、一点、経産省さん来てもらっていますので伺います。  AIについては、著作権法上のリスクや行政での利用といったソフト利用の議論が多く進んでいることは承知をしておりますが、チャットGPTのようなモデルが国内発で生まれてこない現状にもこれはじくじたる思いがございます。  国内の基盤モデル開発、ハードの開発も必要と考えるところ、政府の予算スピードあるいは政策スピードではかなり現状厳しい部分もあるように思いますが、政府の現状の取組方針について経産省に確認をさせてください。 ○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。  基盤モデル開発、まさに先生御指摘のとおり重要だというふうに認識をしておるところでございます。  まず、AIに関する政府全体の方針につきましては、昨今の国内外における生成AIの利用拡大、これを受けまして、有識者が参画するAI戦略会議が新たに立ち上げられ、先日開催された第二回においては、AIの利用やリスク対応、開発の促進など幅広い論点の議論がありました。  経済産業省といたしましては、AIの抱えるリスクも考慮しながら将来にわたってイノベーションを興していくことが重要だというふうに承知をしております。また、その中で、AI戦略会議や国際的な議論も踏まえつつ、AIの利用を促すとともに、先生御指摘のとおり、基盤モデル等の開発能力、これを速やかに国内に醸成していかなければならないというふうに承知をしています。  そのため、まずは昨年度の補正予算を活用いたします。産業技術総合研究所が既に開発しているAI向けの計算基盤であるABCIの拡充、また民間企業への支援を通じまして、大規模なAI開発に必要な計算資源を早急に整備をしてまいります。加えて、AI利用の期待が大きい分野の変革に向けたデータの整備、市場原理を最大限尊重した民間の取組の加速、将来に見据えた研究開発を進めていくため、今後、施策を具現化してまいりたいと思います。 ○音喜多駿君 今御答弁にもありましたように、今重大な危機感を持って取り組んでいらっしゃっているんだと思いますが、周辺支援や国際的なルール作り程度で終わってしまうんじゃないかというような懸念も指摘をされているところであります。AI技術は産業政策においては極めて重要で、これゲームチェンジャーとなり得る技術です。国際的な競争力を高めリードするまで、この伴走と申しますか、イノベーションを妨げないような環境整備、これを是非経産省にはお願いをしたいというふうに思います。  経産省さん、これで御答弁ございませんので退席いただいて結構です。 ○委員長(阿達雅志君) 門松審議官、御退席していただいて結構です。 ○音喜多駿君 法案の中身の話に戻りますが、そうしたAIのような新興技術を持つ企業の情報をこれは防衛省はどれぐらい把握をしているのかという疑問がございます。  一昨日の本委員会で参考人の方に、防衛省が民間企業の最先端の技術力、これを適正に評価できているのかという点を伺いましたが、尾上参考人は、端的にできていないと、佐藤参考人も、将来の戦術運用構想においてどれだけの可能があり、その可能性に対してどれだけの技術を活用することができるかというところについては十分に評価ができていないというようなお答えでございました。中でも、佐藤参考人のお答えで個人的に衝撃的であったのが、防衛省は、今の防衛大綱に書いてあるか、今の自衛隊の運用構想の中にあるかという点で新しい技術の活用と調査を考えているのではないかという指摘でありました。  これでは、到底世界の軍事技術に追い付くはずがない。今の箱の中にあるところで議論やこれは想定していても、世界の技術には追い付けるはずがありません。そもそも防衛省は、民間企業の科学技術力、新興企業の最先端技術についてどのように調査、把握をされているのか、まず防衛省にお伺いいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) まず防衛装備庁におきましては、連携すべき相手を見極める観点も踏まえ、平素から様々な取組を通じまして技術に関する情報収集、分析を行っております。  例えば、防衛装備庁におきましては、技術シンクタンク機能を実現するため、装備庁の研究職技官とアカデミアや研究機関の第一線の研究者や企業OB等から成る活動体を令和三年に創設したところでございます。ここでは、民生の先端技術が将来の戦い方をいかに変革させるかといった観点から、キーとなる技術の特定、技術進展の予測、定量分析などを行いまして、戦略的な技術育成につなげていくための活動を行っているところでございます。  また、防衛装備庁のいわゆるファンディング制度によりまして、将来の防衛用途につながることを期待し、大学や研究機関、スタートアップを含む企業等から広く研究課題を公募して、革新的、萌芽的な技術を発掘するという取組も進めているところでございます。  さらに、この投資成果は、先端技術の橋渡し研究により防衛装備品という形、実装を目指した更なる育成を図っているところでございます。この橋渡し研究というものを通じまして試作事業のプライム企業のサブコントラクターとして参加してもらうことなどによりまして、スタートアップ企業等を防衛産業に結び付けまして民生先端技術の取組を可能にしておりますが、その中で先端技術の可能性を言わば開花させるためにどのような技術を橋渡すかを見極めることが重要となります。  今申し上げたような取組には、いずれも民生技術を応用した場合に防衛上どのようなインパクトがあるかを構想するといった目利きの力が必要となるものでございます。これはまさに装備庁の研究職技官がその任務を遂行する中で養われるものだと考えております。  このように、防衛装備庁におきましては、先ほど述べた研究者や企業OBから成る特別研究官の支援も得ながら、装備庁の研究職技官が主となって技術の目利きとしての役割を果たし、先端技術の把握を行っているところでございます。 ○音喜多駿君 先ほども述べましたように、現在のウクライナにおけるハイブリッド戦で使われる技術というのは、ほとんど民間企業が民生用にそもそも開発をしている技術です。こうした新しい技術の防衛への転用についても、これ是非感度を高めていただきたいというふうに思います。  そして、そこから重要なのが、まさか自分たちが防衛産業に参画できる、関わるとは思ってもいないと、新技術を持った民間企業とこの防衛省や政府とのマッチングです。すなわち、防衛産業強化の実効性を高めるには、国内の民間企業の科学技術と自衛隊が求めるニーズとをマッチングさせる必要があると考えます。  これ、大臣、自衛隊のニーズに関する情報を収集するとともに、民間企業との間で情報交換や連携を促進するべきと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 科学技術の急速な進展が将来の戦闘様相を一変させ得ると考えられる中で、有望な先端技術やその技術を持つ企業等を生み出すことは極めて重要だと考えます。  先ほど政府参考人から答弁したとおり、防衛省においては、平素から様々な取組を通じて技術に関する情報収集、分析を行っております。こうした把握、蓄積した情報や知見を基に自衛隊のニーズの実現に必要となる技術を見極めた上で、先端技術を有する企業と防衛産業を結び付けて技術を取り込む研究開発事業を実行していくこととしております。  防衛省としては、先端技術を有する企業との連携を一層強化してまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 日本の科学技術の水準、これ依然として世界的に見ても高いはずですが、この防衛の技術面ではゲームチェンジャーの技術が残念ながらここまではまだ生まれていないと。大臣は是非この点も追求して改善していただきたいというふうに思います。  一昨日の参考人の方からは、自衛隊のOBがこうしたマッチングにも役に立つというようなお話もいただきました。また、アメリカには国防高等研究計画局のような専属組織があって、ここが軍と企業とをつなげる媒体になっているというお話も伺いました。  こうした海外の取組についても注視をするとともに、自衛隊のニーズをしっかりと民間に説明そして共有できるよう、常日頃から最新動向を追って準備をしていただきたいというふうに思います。  この法案の背景には、防衛産業の魅力が低下している、企業が撤退しているという点も挙げられます。後ほど防衛装備移転のテーマでも議論させていただきますが、民間企業が海外市場に参画していく、この支援も非常に重要です。この法案でも海外輸出に向けた助成金交付などのメニューもありますが、ほかに、有望な技術を有する民間企業の海外市場参画を政府が主導して支援すること、海外政府や海外企業と国内企業との接点を拡大させることなども必要だと考えますが、この点、どのような構想があるか、これも大臣に伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛装備移転については、政府が主導し、官民一層の連携の下に推進する考えであり、防衛省としてこれまでも様々な取組を進めてきております。  具体的には、例えば、我が国と相手国との間で双方の政府と企業が一堂に会して装備移転に関する意見交換を行う官民防衛産業フォーラムを開催してきており、また、各国の政府関係者等が多数参加する国際装備品展示会に防衛省からブースを出展し、企業にも参加をいただいております。  防衛省としては、今後ともこうした取組をしっかりと進めていくことにより防衛装備移転を推進していく考えであります。 ○音喜多駿君 ありがとうございます。  これも一昨日の参考人で来られた方々の提言でございますが、海外の需要家と国内の安全保障産業関連企業の接点を拡大し、装備品の国際展開を支援する輸出機構を新たに設置をしてはどうかといったような提言もなされています。民生品の輸出に大きく貢献するジェトロを模した組織の樹立、こうしたものも一案として、これ、新たな天下り先をあるいはつくるだけというようにならないように留意は必要でありますけれども、そうした組織体も検討課題に挙げていただきたいというふうに思います。  防衛産業の科学技術力を上げるためには産学連携も欠かせません。  長らく我が国は、日本学術会議の影響下、防衛省の予算による研究が敬遠をされてきたという歴史を持っていると認識をしています。近年ようやく予算も確保され、また学術会議側もデュアルユース技術の研究を事実上容認するような新たな見解も出されましたが、これ、より一層防衛省における科学技術関係予算の確保を進めるべきだと考えます。  そこで、まず、科学技術関係の予算に占める割合、これに拡大していく目標、そういったものはないのか。この点、防衛省に確認をいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  新たな防衛力整備計画の研究開発費は、三一中期防の各年度予算の合計額と比べて四倍以上となる約三・五兆円を確保し、令和五年度予算でも、契約ベースで前年度と比べまして三倍以上となる八千九百六十八億円の研究開発費を計上したところでございます。  委員から御指摘のありました産学官連携の観点も踏まえた投資の強化につきましては、防衛省としましても大変重要なことであると考えております。防衛力整備計画に基づきまして、今後も必要な研究開発予算をしっかりと確保できるよう、省一丸となって取り組んでまいる所存でございます。 ○音喜多駿君 数値目標のようなものはないけれども、必要な予算はこれしっかりと確保していくという御答弁でありました。  我々も、財源論では、これ、増税などを前提としている今の政府の方針には強く反対をしておりますが、これ、防衛予算を増やしていくという点については賛成の立場ですので、しっかりとこういう科学技術、こうしたところにも使っていただきたいというふうに思います。  その上で、研究は薄く広く、開発は選択と集中という格言もございます。研究の裾野を広げ、イノベーション、技術的ブレークスルーを生ませる、そういう環境を防衛省が支援をしていく、考えていく必要もあるのではないでしょうか。  これも大臣に伺いますが、防衛省において基礎研究予算を増やすこと、また、大学が企業との協力による集中的な研究開発、海外留学制度の拡充による人材育成の支援など、防衛産業強化のために産学連携、これを具体的に構想していく、広げていく必要があると考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 先ほども答弁したとおり、民生の先端技術を防衛用途に活用していくことは極めて重要だと考えます。その中で、委員が指摘されたように、産学官の連携を深化させていくことは必要不可欠と考えております。  こうした認識の下、将来の防衛用途の直結し得る技術分野に重点的に投資するほか、革新的、萌芽的な技術を発掘、育成し、企業やアカデミアの研究者が持つ先端技術を取り込むための取組を進めているところであります。また、研究職技官の育成、確保を含めた研究開発体制の充実強化を実行することとしております。  防衛省としては、今後も防衛産業、スタートアップ企業、アカデミア等との、緊密に連携しつつ、研究開発の取組を一層強化してまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 是非、もうやられている部分もあると思うんですけれども、そうした民間企業の開発現場であるとか、あるいはアカデミアの方々との意見交換、これを大臣自らやっていただいて、現場の方だけではなくて、大臣自ら行って、そしてその様子を発信していくと。こういうことで、日本が、防衛省が本気で民間企業との研究開発の連携、あるいはアカデミアとの連携、これを進めているということが印象付けられると思いますので、是非大臣にも先頭に立っていただきますようにお願いをしたいと思います。  次に、法案の第二十七条、第二十八条の装備品等契約における秘密の保全措置について幾つかお伺いしたいと思います。  本法案で、省秘、省の秘密について、この秘密の保全措置が制度化されたことにより、我が国の防衛産業に従事をする民間人も責任を持つことになり、国際的な信用度も増すと考えられます。  そこでまず、守秘義務が課されると見込まれる事業者の業種、事業者数、従業員数等について、概要を防衛省にお伺いをいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法律案によりまして、装備品等秘密を取り扱う契約事業者数は約百四十社程度、これらの事業者において装備品等秘密を取り扱う従業者数は約一万五千人程度が見込まれます。  また、委員御指摘の業種につきましては、様々ございますので一概には申し上げられませんが、装備品等の製造や研究開発を行う事業者が見込まれるところでございます。 ○音喜多駿君 この制度により、日本の防衛産業に従事をしている方々の信用度が増して、世界の防衛産業コミュニティーにようやく入っていけると、その面で非常に有意義だという声もありますが、一万五千人に影響があるということでありますから、これ取締りにも大きな課題や影響が出てくると思います。  そこで、警察庁さんに来ていただいておりますが、本法による守秘義務違反者の取締り、この実効性はどのように高めていくのか、この点、現状の見解をお伺いいたします。 ○政府参考人(早川智之君) お答えいたします。  警察におきましては、諸外国の機関等による違法な情報収集等の対日有害活動に関しまして、平素から情報収集、分析に努めるとともに、法と証拠に基づき取締りを行っているところでございます。  今回新たに設けられる守秘義務につきましても、我が国の国益が損なわれることのないよう、その違反行為に対しては防衛省とも連携し、厳正に対処することが重要であると認識しているところでございます。  警察といたしましては、今後とも、関連情報の収集、分析に努め、本法を含めましてあらゆる法令を駆使し、違法行為に対して厳正な取締りを行ってまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 具体的にどう取り締まるかということまでこの場では言えないという事情は分かるんですけれども、もう取りあえず厳格にやっていただきたいと思います。ただ、これまでの延長線上で対応していくというだけではやはり不十分で、これ、マンパワーであるとか専門性をより高めていく必要があるのではないでしょうか。  その上で、守秘義務違反者だけではなく、漏らした先への取締り、こちらはどうなっているでしょうか。本法によって守秘義務違反者は罰せられますけれども、省秘を漏えいした先の者について何か罰則の規定はあるのか、この点を防衛省に確認いたします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法律案における装備品等秘密の漏えいに対する罰則につきましては、漏えいの企て、教唆、幇助についても対象といたしております。  したがいまして、仮に守秘義務が掛かっている者に対しまして漏えい先の者が装備品等秘密の漏えいの企て、教唆、幇助をした場合には、罰則の対象になり得るというところでございます。 ○音喜多駿君 教唆した者には罰則があるということでありましたが、仮に諸外国、中国や北朝鮮のような覇権国家の関係者に省秘を渡してしまった場合、これなかなか網を掛けるということができないのが実情ではないでしょうか。特に従業員側からそうした方へアプローチをして渡してしまった場合、これは罰則の適用が難しくなってきてしまいます。スパイは、教唆以外でも様々な方法で秘密を入手しようとします。  やはり、これはいつもと同じ提案になりますけれども、抜本的にここに網を掛ける法律、つまり、諸外国並みのスパイ防止法、この制定が急がれると思いますが、この点、いつもの御質問、申し訳ございませんが、大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) いわゆるスパイ防止法の制定の必要性については様々な御議論があることを承知をしております。また、この種の立法は、政府全体として多角的な観点から慎重に検討すべきものであり、国民の十分な理解を得られることが望ましいものと考えております。  その上で、防衛省としては、安全保障に関する情報を始め、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要と考えており、引き続き、カウンターインテリジェンスを始め、情報保全に係る取組を徹底してまいります。  さらに、関係行政機関と緊密に連携して、我が国の重要な情報等を保護するための取組にしっかりと貢献してまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 今、この法律でも、働きかけをした者については一年以下という比較的軽い刑しか準備をされておりません。これ、日本がスパイ天国だと言われるゆえんにもなりかねない状態でありますので、これ実態を把握した上で制定に向けた検討を積み重ねていただきたいと思います。  いつもこれは大臣には御提案させていただいていますけれども、国民の理解、これは非常に重要だと思います。ただ、今これだけ世界環境が、安全保障環境が緊迫化してきて、国民の理解も大分深まってきているというふうに思いますし、スパイ防止法、そしてインテリジェンス機関の創設、この必要性はもう待ったなしという状況でありますので、検討を加速していただきたいということをいつもどおり強くお願いを申し上げたいと思います。  警察庁さんの、これ答弁ございませんので御退室いただいて結構でございます。 ○委員長(阿達雅志君) では、早川審議官、御退室いただいて結構です。 ○音喜多駿君 そして次に、先ほど少し触れましたが、防衛装備移転の推進についてお伺いをいたします。  空自のF15戦闘機九十九機が今後十年程度で用途廃止、退役されることに伴い、使用可能な中古エンジン約二百機の行方が課題となっています。  この点、政府はどのように対応する考えか、海外輸出に向けての議論はあるか、防衛省に現状の検討状況を伺います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  航空自衛隊F15戦闘機のうち、近代化改修に適さない非近代化機九十九機につきましては、F35戦闘機の増勢による代替を進めることとしております。このため、今後、F15非近代化機の用途廃止が見込まれますが、現時点で具体的な用途廃止のスケジュールを決定しているわけではございません。  その上で、F15非近代機に搭載しているエンジンの取扱いにつきましては、例えば補用エンジンとして使用する等、様々な活用の可能性があると考えられることから、今後しっかりと検討してまいる所存でございます。 ○音喜多駿君 検討中で現時点で決まっていないということで、この点、防衛装備の輸出ルールを定めた防衛装備移転の三原則によって、殺傷力のある兵器たる戦闘機につき、エンジンも原則では輸出ができないということも一つの背景にあるのだと思います。  しかしながら、この中古エンジン、F15やF16戦闘機を保有する他国の空軍で再利用ができ、台湾や韓国、インドネシア、サウジアラビアほか、欧州などでも需要が見込まれています。この点、やはり運用の見直しが必要になってくるということもあると思いますので、この点についてはまた後ほど大臣にもお伺いしたいと思います。  少し角度を変えて確認させていただきますと、これも一昨日の参考人の質疑で話題になりましたが、そもそも防衛装備移転のビジョンが見えてこないということが我が国の課題の一つとして指摘をされております。  ロシアによるウクライナ侵略で世界的にこの軍備、防衛品の需要が高まる中、お隣韓国は装備品の輸出を活発化させています。昨年十月末までの年間契約額で、韓国は前年の約七十二億五千万ドルを大きく上回る百七十億ドル超という形になっております。  日本は、韓国にいかに対抗という、争うものじゃないかもしれませんが、こうした動きに対してどう対応していかれるのでしょうか。防衛装備品の海外展開戦略におけるビジョンはどうあるのか、防衛大臣に見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、我が国の主権と独立の維持、自由で開かれた国際秩序の強化など、望ましい安全保障環境の創出に向けて取り組むことが必要であると考えます。こうした認識の下、そのための手段の一つとして、国家安全保障戦略等において防衛装備移転の推進を位置付けたところであります。  また、本法案においても、装備移転に当たり製造事業者に対し仕様等の、仕様等調節に係る助成金を交付するといった装備移転の円滑化のための措置について規定をしているところ、今後、官民一体となって防衛装備移転を推進していく考えであります。 ○音喜多駿君 韓国では、もう産学官でかなり売り込みをやったということも伺いました。この点、他国から学べる点もあるかと思いますので、これはいい意味で競い合っていただくこと、また、スタートアップ企業や技術優位のある中小の装備品企業の活用を検討し、国際的な装備品市場への参画の支援をしていただきたいと思います。  装備品移転は現下のウクライナに対してもやっていただきたいところであります。大臣も、衆議院の御答弁で、防衛装備品の海外への移転は、ちょっと中略して、国際法に違反する侵略を受けている国への支援等のための重要な政策手段であるということを強調されておりました。  そこで伺いますが、本法案によって、ウクライナのように国際法に違反するような侵略を受けている国への防衛装備品の移転、これに対してどのような影響があるのか、スムーズになるのかどうか、この点、まず防衛省参考人にお伺いいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  まず、本法律案におきましては、装備移転を安全保障上の観点から適切なものとし、これを適切な管理の下で円滑に実施するための基金、助成金の制度について定めておりますが、これはあくまで装備移転に取り組む企業に対する措置を講じるものでございます。  その上で、仮にでございますが、仮に企業がウクライナ政府に対しまして防衛装備移転三原則の下で装備移転を行うことが見込まれる場合において、本法律案に規定する要件を満たすときには、本措置の対象に当たり得るものと考えております。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、困難に直面するウクライナの方々を支えるため、引き続き可能な限りの支援を行っていきたいと考えておるところでございます。 ○音喜多駿君 そうなんですよね。この点は企業に対する基本は法律であって、これは、ウクライナの支援について自衛隊云々ということになると、これは自衛隊法の縛りというまた別の問題が出てくると思います。  この点、先日の予算委員会でも指摘をさせていただいたんですけれども、今回、政府、総理は、新たにウクライナの支援として、自衛隊の車両、中古トラック百台ということを表明されて、このこと自体は高く評価をしておりますけれども、やはりこの日本の経済力や貢献度、期待される貢献度を考えれば、百台というのはまだ心もとないというのが我々の意見であります。これ、支援の拡充を進めるに当たって課題となっている制度や法律はあるか、この点について確認をさせてください。 ○政府参考人(土本英樹君) 今般新たに決定いたしました自衛隊車両の提供について申し上げれば、いずれも陸上自衛隊での供用が終了したもののうち、必要な修理、整備を行った上でウクライナに提供することが可能な数量を見積もったところ、百台規模の車両について提供することが可能と判断したところでございます。  防衛省といたしましては、今般決定した自衛隊車両の提供を含め、困難に直面するウクライナの方々を支えるため、引き続き可能な限りの支援を行っていきたいと考えているところでございます。 ○音喜多駿君 御答弁では自衛隊、法律の話は出なかったんですが、今、自衛隊法のルールによると、中古品が出せるけど新品は当然出せないと、そして、新品出してしまったり、あるいは中古品をこれ過剰に出しても、当然自衛隊の戦力というか、自衛隊の能力自体が下がっては仕方がありませんから、そうした点でも一定の制限が掛かるんだろうなという話は事前の打合せでも少し意見交換をさせていただきました。しかしながら、できる限りの支援をしていくということは、G7サミットの成果を次につなげるためにも必要不可欠と考えます。  一つネックになっているのが先ほども触れた防衛装備品移転の三原則、この現状の三原則かと思いますが、この防衛装備品移転の三原則、この見直しを含めて、ウクライナ支援の拡充、どう図っていくかについて、この点、防衛大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 国家安全保障戦略に記載しているとおり、防衛装備品の海外への移転は、望ましい安全保障環境の創出や国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのため重要な政策手段となります。防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的な内容は何ら決まっていませんが、防衛省としても、こうした観点から関係省庁としっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。  また、防衛省としては、困難に直面するウクライナの方々を支えるため、引き続き可能な限りの支援を行ってまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 装備品移転は、この供給を通じて安全保障上のパートナーの国を増やすとともに、国内の防衛産業活性化にもつながるということでございますから、政府、防衛省としてより主体的な取組を進めていただきたいと期待をしております。  最後のテーマとして、経営難の際の国有化についてお伺いをいたします。  装備品等の安定的な供給を図ることは重要であります。法案では、関連企業の事業継続が難しい場合は、国が生産施設を買い取り、生産、管理を別の民間企業に委託が可能ということになっております。  これまで政府は、国有化の対象は企業全体ではなく施設や設備だけで、別の企業に早期に再譲渡して一時的な措置にするというような説明もされていますが、製造ラインだけの切り出しが果たして現実的なのか、採算が取れずに国有化する事業に買手が現れる保証はないのではないかといった懸念や指摘も示されております。  この点への見解をお伺いしますのと、また、国有化が長引けば赤字事業に国民の税金が使われ続けるというような事態も考えられますが、こうしたものをどう対処していくおつもりなのか、併せて防衛省に見解を伺います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法律案におきましては、管理委託の対象の指定装備費製造、失礼しました、製造施設等を譲渡する場合は、これを用いて装備品等の製造等を行うことができる事業者に施設や設備を一体として譲渡することを想定しておりまして、これにより引き続き装備品等の安定的な製造等を確保するものでございまして、御指摘のように、製造ラインだけ切り出すことを通常想定しているものではございません。  また、指定装備品製造施設等の取得及び管理委託の制度は、他の措置でも安定的な製造等の確保が困難な装備品等につきまして、防衛関連企業が固定資産を保有することによる負うリスクを軽減して、装備品等の製造等の事業継続を確保し供給途絶を防ぐことを目的とするものであることから、我が国の防衛のため必要やむを得ないものでございます。  他方、防衛省としましては、防衛関連企業の適正な利益を算定する仕組みの導入等によりまして防衛事業の魅力化にも取り組んでおり、こうした取組によりまして指定装備品製造施設等の買手が現れることを期待するところではございます。 ○音喜多駿君 生産施設の国有化については、支援策を尽くしてもほかに手段がない場合などに限定され、民間企業そのものを国有化するということではないということでありますが、そもそも採算が合わないから撤退するということは当該の装備品や素材等に残念ながら需要がないということの裏返しである可能性も考えられます。  歴史を顧みれば、国有化ということにはやはりデメリットや弊害もあることは明らかであって、この国有化をする場合には、これ、常態化はさせない、出口戦略が極めて重要ではないでしょうか。例えば、二年間など年限を区切り、延長する場合は国会などしかるべきところに諮るなど、この説明責任やビジョンを明確化すべきであると考えますが、防衛省に見解をお伺いいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  管理委託の契約期間につきましては、製造される装備品等の製造期間などを踏まえ、個別具体的に判断していきます。また、この国による保有の制度につきましては、令和五年度予算に事業費を計上しておらず、本制度を新たに適用する事例がある場合やその期間を延長する場合は、あらかじめ必要な予算を国会で御審議いただくこととなります。  さらに、製造施設等の管理委託契約の期間満了前に当該製造施設等を買い受けて装備品等の製造等を行う事業者を公募し、常態化しないためあらゆる可能性を検討してまいります。 ○音喜多駿君 国有化には、国民の税金、これが一部投入されるわけですから、必要性や国有化の状況を厳格にチェックをしていただきたいと思います。  最後に、防衛大臣、政府は、国内防衛産業の支援の必要性を強調するだけでなく、防衛産業のあるべき将来像とその実現に向けたロードマップについて、産業の規模や成長率等の具体的な数値目標も含め、国民に対して明確に示し、国民的な議論の土台をつくっていくべきであると考えますが、防衛大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省としては、我が国の防衛産業について、企業が新規の参入、投資を活発に行い、十分な生産力と国際的にも高い技術を有すること、企業にとって魅力となる将来性、収益性が十分なこと、様々なサプライチェーンリスクへ適切に対応することといった、力強く持続可能な状態となることを期待しております。  そのため、防衛産業の魅力化に向けて、今回の法律案を始め、様々な取組が必要となっており、本法律案に基づき策定する予定の基本方針においても、今後の防衛産業の在り方を踏まえた基盤の強化の方向性をしっかりとお示ししていきたいと考えています。  加えて、私の記者会見や防衛問題セミナー等においても、我が国の防衛産業の重要性や優位性等について御説明するなど、広く国民の皆様に対して理解の促進を図ってまいります。 ○音喜多駿君 ちょうど時間になりました。皆さんの簡潔明瞭な御答弁で、今日は用意した質問全て行うことができました。今後もしっかりと議論をしてまいりたいと思います。  ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  今朝の佐藤筆頭理事、自由民主党の佐藤先生の質問から今の音喜多先生の質疑まで、今日ずっと聞いていて、こういう議論がやっとできるようになったんだなというふうに思います。詰めるところはたくさんございますが、こういう当たり前の議論が前向きにできるようになったことは万感胸に迫るものがありますが。  話は変わりますけど、私は比較的本を読むのが好きで、新しい新刊を読むのもいいんですけれども、かつて読んだ本でいいなと思う本を何度も読み返すのもいいものでございまして、私がよく読む本に、まあこれ最近の本なんですけれども、元防衛事務次官の黒江哲郎先生の書いた「防衛事務次官 冷や汗日記 失敗だらけの役人人生」という。花井秘書官、読みました、いい本ですよ、朝日新書から出ていますから。自分のCDじゃないんで宣伝してもいいとも思うんですけれども、全ての官僚が読んだ方がいい本だと思います。この中で、政治家への説明がいかに分かりやすくすることが大事かと、そして、文書、ポンチ絵がいかに大事かという話を聞きました。  この防衛装備の調達の強化法が出るということを聞いて、どえらい法律が出るなと、どのように理解したらいいんだろうというときに、装備庁の松本課長と先任部員の方がこのポンチ絵持ってきていただいて、よくできていますよ、大臣。このポンチ絵は、久しぶりにいい資料を部下の皆さん作ったなと、是非原課の皆さんを褒めてあげていただきたいと思いますが。  この中の基本的な点お伺いしたいんですけれども、第一条、第三条の防衛産業の位置付けの明確化と基本方針、そして八条のサプライチェーン調査、四条から七条の基盤強化の措置、九条から二十五条の装備移転円滑化の措置、二十六条の資金貸付け、そして二十九条から三十三条の製造施設等の国による保有、そして二十七条、二十八条の装備品契約における秘密の保全の措置、これらパッケージでいわゆる基盤強化法だということなんですけれども、先ほどいみじくも平木先生が御指摘されましたが、この法律は、強化法というよりは、弱った産業を何とか殺さずに生かすと。人間でいうと、いつ動脈破裂や心筋梗塞のあるかというのを、バイパス手術やったり、手足はもう霜焼けなんで温めたり、いろんなことやって、点滴したり、薬飲んだり、そこまで分かるんです。やっぱり強化法という限りは、この先どうやって元気で筋肉質な基盤をつくっていくかというところがまだ見えないんですね。私、ここが大事だと思うんです。  これは最低限のベースロードで、これから先どういう筋肉質な防衛装備体系や基盤をつくっていくか、そこのところが余りよく見えないんですけれども、土本長官、これからこの問題どうなっていくんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、我が国の防衛産業につきましては、先ほどちょっと大臣の方からも御答弁申し上げましたが、防衛省といたしましては、まず、企業が新規の参入、投資を活発に行い、十分な生産力と国際的にも高い技術力を有すること、企業にとって魅力となる将来性、収益性が十分なこと、様々なサプライチェーンリスクへ適切に対応することといった、力強く持続可能な状態となることを期待しております。  このため、防衛産業の魅力化に向けて、今回の法律案を始め、様々な取組が必要となっておりまして、本法律案に基づき策定する予定の基本方針におきましても、今後の防衛産業の在り方を踏まえた基盤の強化の方向性をしっかりとお示ししていきたいと考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 これ、施行後五年をめどに、五年を目途に内容を見直すということなんですが、この見直した検討内容、これ公表するのか。そして、このPDCAサイクルが五年ということなんですが、これ五年でいいんでしょうか。もっと早く見直し、検討することも必要なんではないでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、五年をめどに内容を見直す点の公表の関係でございますが、装備品等の開発及び生産のための基盤を強化するための施策は、防衛省が装備品等の適確な調達をすることができるよう、我が国の防衛に際しての重要性、装備品製造等事業者の経営環境、装備品等に用いられる技術の発展といった様々な事情の変動を踏まえた見直し、検討が必要と考えられるため、附則に検討規定を置いたところでございます。  その見直しの結果、防衛省が実施することとなる基盤強化に係る施策につきましては、立法措置の要否を問わず、これまでと同様、国民の皆様の御理解を得るべく、国会における御質疑等を通じまして適切に説明してまいりたいと考えているところでございます。  あともう一点、委員の方から御指摘がございました五年という点でございますが、これは、この法律上の考え方は、防衛力整備計画がおおむね五年を一つの区切りとして策定されていることを踏まえまして、附則におきまして五年後の見直し規定というものを置いたところでございますが、他方で、様々な情勢の変化に対応して年限に縛られず政策を随時見直していくことは、これは当然のことでありまして、防衛省といたしましても、本法律の施行状況を踏まえながら柔軟に対応してまいりたいと考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 そうですね、是非柔軟に対応していただきたいと思います。  そして、第八条のサプライチェーンの調査、そして、第四条―第七条の基盤強化の措置の対象にある、任務に不可欠な装備品を製造する企業とありますが、この定義についてお伺いしたいんですけれども。  これ、非常に定義が広いと思うんですね。これ、ほぼ全部じゃないかって言えるんですけれども、これサプライチェーンの調査の対象が任務に不可欠な装備品を製造する企業、この対象の定義が曖昧だと、サプライチェーンの調査そのものの確実性が担保できなくなるし、この基盤強化の措置の対象が任務に不可欠な装備品を製造する企業、これが何だということを明確にしないと、どこまで基盤の強化の措置の支援をするんだと、直接支援ですから。  この定義について、もう少し分かりやすく明確に具体的に教えてください。 ○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。  御指摘のように、この本法案におきましては、支援のこの措置の対象といたしまして、指定装備品等というのを定義してございます。これは、御指摘のその任務の遂行に不可欠であるという点と、専ら自衛隊の用に供するものであるというもののうちということと、さらにはその製造等が停止すると調達に支障が生じるおそれがあるものと、こういったものを対象としているということでございます。  これにつきましては、委員からもサプライチェーンの調査のことに御言及いただきましたけど、我々は今まで任意の形でサプライチェーン調査をしてございまして、これでございますと、戦車でございますとか、護衛艦、潜水艦、固定翼哨戒機、ヘリコプター、戦闘機、レーダー、誘導弾、弾薬等々の六十九品目をこれまでサプライチェーン調査の対象としておりましたので、こういったものが射程に上ってくるであろうと、さらには、それの部品につきましても必要に応じて入ってくるということを考えてございます。 ○榛葉賀津也君 是非、そこのところは分かりやすく明確にしていただきたいと思います。  続いて、先日の代表質問でも行いましたが、レピュテーションリスクについて少しお伺いしたいと思います。  先日の参考人質疑でも、杉原参考人から、防衛産業について死の商人という御指摘がありました。まだ一部でこういうステレオタイプの評価をされる方もいるかもしれませんが、私は、防衛省・自衛隊の努力によって大分そのイメージは私は変わってきていると思いますし、変わる努力もしなければならないと思います。  他方で、考えなければならないのが別のレピュテーションリスクでございまして、いわゆる、代表質問でも触れましたが、企業内のレピュテーションリスクでございます。いみじくも福山委員が先ほど触れていただきましたが、防衛産業に携わっている会社が中国など他のビジネスが極めてやりにくくなるという評価もありますし、他の部署から、防衛部門のおかげでビジネスがやりづらいんだという声も上がるやに聞いています。  ロッキード・マーチン、ボーイングとか、レイセオンとか、他国の防衛産業はこれに特化しているんですね。仕事の九九%が防衛産業、国防産業、軍事産業。これはいいんですが、日本の場合は、他の仕事がメインで、その片隅で防衛産業も、片隅と言ったら変ですけれども、防衛産業が主流ではないばかりにこういうレピュテーションリスクが社内であると。  日本の企業は防衛産業だけで食べていけないのが実は実情で、本業とのシナジー効果も余りないと。そういう中でどうやってこの部門を守り育てていくかというのは、企業側だけの問題ではなくて、防衛省、装備庁にも大きな責任があるんだろうと思います。  特にこの業界、この分野が、売上げの利益率が低い、そして成績が悪いとなれば、まさに先ほど委員が言ったように、株主が黙っていないんです。経営者も黙っていないんです。これをどうするのか。これ、精神論ではなくて、具体的なですね。で、これが企業撤退の一つになっているんです。コマツさんも撤退しちゃった。  具体的にこういう問題をどう考えていくかというのは大きな問題だと思うんですけれども、装備庁、どのように考えていますでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、政府といたしましては、委員御案内のとおり、昨年の戦略三文書におきまして、防衛産業は防衛力そのものであると明記しまして、本法律案におきましても、防衛産業基盤の重要性を規定することによりまして、防衛産業は国家にとって極めて重要な存在であることを対外的にも明確にお示ししたところでございます。  委員から御指摘ありました具体的な施策という点でございますが、従来より、先ほども御答弁申し上げましたが、防衛産業の抱える課題といたしまして、将来性や利益率が低いといったところがございましたので、具体的には、コスト上昇要因を取り除く取組の徹底とか、先ほども申し上げました企業の努力に応じた適正な利益率の算定といったこと、そのほか予見可能性に配慮すること、具体的に申しますと、近々、我々といたしましては、今後、我々の方が今考えている研究開発の将来の方向性みたいなものを企業側にもお示しできるように今ちょっと事務的に準備しているところでございまして、こういうことをお示しすることにより予見可能性というものを企業の方にもしっかり我々の考え方をお示ししていくと、こういった防衛事業の魅力化に取り組んでいるところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、やはり、私、装備庁長官、一年弱やらさせていただいていますが、大事なことは、やはり企業との意見交換といいますか、よくコミュニケーションといいますか、よく意見を聞いて、具体的にどういうところに課題があるのか。本年に入りまして、大臣とプライム十五社の企業社長との意見交換もさせていただきましたが、私レベルとか、装備庁の中でも、課長レベルでも、いろんなレベルで、とにかく企業側の意見、考え方というものをしっかりお聞きして、対応をしっかり考えていきたいと考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 是非、長官、民間の方々とよく話合いをしてですね。で、OBの先輩方が、退官されてから気が付くことがたくさんあるというんですね。先日、実質利益率が七から八取ってあっても、様々な理由で結果二とか三とかなってしまっているということを本会議で申し上げましたが、それと同様に、企業側のニーズに合った取引の在り方、こういうのもやっぱり模索する必要があるんだろうと思います。  皆さんの先輩である元防衛審議官の真部朗さんも指摘をされているんですが、例えば、近年の企業経営の主流がキャッシュフロー経営になっていると。しかし、防衛調達の場合、全くこれに逆行しているんですね。つまりは、ゼロゼロポンというそうなんですけれども、国庫債務負担行為で装備品を調達するときなんかは、予算さえ、しかも天井があるんで、キャッシュが回らないんですよ。これでは企業やっていけないというんですね。経営者とか株主からすると、こういうことをやっているとますますお荷物部署になってくるんですよ。こういう具体的なことを是非改善していただきたいと思いますが、どうでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) キャッシュフローの問題、いわゆる前金率の問題というふうに理解しておりますが、今委員御指摘の点につきましても、いろんな意見交換の場で我々の方も承知しておりますので、一つずつそういう点について着実に、解決策について大臣の御指導をいただきながら模索していきたいと考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 とにかく、やはり防衛産業側に立った、基盤を守ってくださる側に立ったですね、ある意味ボランティアやこの国のためにだと思って利益度外視して踏ん張ってくれているんですから、是非企業側に立った考えも、大臣、してほしいと思います。  というのも、装甲車やりゅう弾砲とか迫撃砲、砲弾造っていたコマツさんが撤退をして、コマツというと装甲車を造っているんだろうという思いが多いんですが、実は砲弾の方が圧倒的に売上高が高いんですね、装甲車の倍ぐらいあったので。艦艇を建造していた三井E&Sが三菱重工に売却されたり、本当に深刻な状況だと思います。  企業側も、各幕のOBヘッドハンティングしたりして、いろんなことをやっているんですけれども、私は逆があってもいいんじゃないかと。つまり、防衛産業側にいる専門家やこの分野に明るい民間人を装備庁に招き入れて、官と民が一緒にこの新しい装備庁と新しいベースをつくっていくと、そういう努力も必要だと思うんです。  というのも、土本さんの先輩でいらっしゃった深山延暁元装備庁長官が対談で、御自身が言っているんです。自分も含めて、日本の役人は、民間経済がどういう仕組みで動いているのか、ほとんど理解できていなかったと。正直だと思いますよ。これは大きな、私、ターニングポイントだと思うので、こういう発想で、是非民間の発想や民間の人材や民間の仕組み、これを活用するべきだと思いますが、どうでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、現在、防衛産業を始めとする民間等の人材を登用する方法といたしまして、国と民間企業との間の人事交流に関する法律に基づく採用、このほか、任期付隊員又は非常勤隊員として任期を定めて採用する方法がございます。また、民間での職務経験を有した者を選考採用試験によりまして常勤職員として採用することも可能となっております。実際、防衛装備庁におきまして、過去このような枠組みで採用した実績はございます。  いずれにしましても、委員御指摘のとおり、防衛産業との連携はこれまで以上に重要となっていることも踏まえまして、これまでにない民間の発想とかビジネス習慣などの知見を持つ民間人材の活用を促進すべく、具体的に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 井出庸生文科副大臣、お久しぶりでございます。知らない間にそちらに行っていらっしゃって、頑張ってほしいと思いますが。  自動ドア、パソコン、インターネット、カーナビ、テレビゲーム、携帯電話、腕時計、長靴、懐中電灯、ティッシュペーパー、缶詰、我々の身の回りにいろんなものがあるんですけど、これ実は全部軍事から出てきたものなんですね。軍事からのスピンオフで、若しくはデュアルユースでありとあらゆる我々の身近なものが実は誕生し、我々の暮らしを支えていると。軍事産業と我々の生活ってもう切っても切れない歴史があるんです、事実として。  これから、先ほど音喜多先生もおっしゃっていたんですけども、大分アカデミアと産官学連携、変わってきたとはいえ、まだまだ、日本学術会議を始めとして、この軍事の部分、国防に関する連携がまだまだ薄いです。ここのところをしっかり、産官学の連携が必要だと私は思うんですけれども、アカデミアと安全保障分野、この産官学の連携を副大臣はどう考えていますでしょうか。 ○副大臣(井出庸生君) お答えを申し上げます。  まず、その科学技術研究分野と安全保障との関わりでございますが、最近では令和三年に策定された第六期科学技術・イノベーション基本計画におきまして、様々な脅威に関する総合的な安全保障の実現を通して、我が国の平和を保ち、国及び国民の安全、安心を確保するため、関係府省、産学官が連携をして我が国の高い技術力を結集するとしております。その上で、先生の御指摘のアカデミアというのは主に大学のことなのかなと受け止めておりますが、大学における研究の在り方については、各大学の責任において自主的、自律的に判断されるべきものであります。  文科省としては、先ほど申し上げたその第六期の基本計画で示された社会的要請も踏まえ、広く大学の理解を得た上で先端技術の研究開発を進め、その研究成果が国民の安全、安心の確保に資するよう、関係府省庁、産学官と連携をして進めてまいりたいと思います。 ○榛葉賀津也君 防衛装備の基盤強化法というのは、防衛省や装備庁のためにあるんじゃなくて、この国のためにあるんですね。装備庁を強くしようとか、防衛省や自衛隊を強くしようではなくて、全てこの国を守るための基盤を強くしようというものなので、是非、文科省も経産省も、そして国交省もですよ、ありとあらゆる役所が指をくわえて防衛省、装備庁のお手並み拝見ではなくて、我が事としてこの国そのものを強くすると、基盤を強くすると、そういう認識を持って、文科省は我が国の頭脳であり未来ですから、是非文科省ができることを全て前向きにやっていただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  安保三文書の改定に向けて政府が設置した、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議、昨年九月の第一回では、日経新聞の喜多恒雄顧問がこのように述べています。長い間、日本は武器を輸出することを制約してきた、それが日本の防衛企業の成長を妨げてきた、この制約をできる限り取り除くべきだと、こういうふうに述べています。武器輸出の拡大で販路を広げ、軍需産業を成長させようという狙いが露骨に語られているわけです。  大臣に伺います。  現在の防衛装備移転三原則とその運用指針では殺傷能力のある兵器は輸出の対象から除外をされています。これはなぜですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、防衛装備移転三原則及び運用指針においては、御指摘の殺傷能力のある兵器の移転が可能か否かについて言及されておりません。  その上で、運用指針においては、完成装備品の移転を認め得るのは、基本的に救難、輸送、警戒、監視及び掃海に該当する場合に限定されています。また、実際の防衛装備品の海外移転については防衛装備移転三原則等に従って個別に判断することとなるため、予断を持ってお答えすることは困難であります。 ○山添拓君 今でも禁止されていないかのような言いぶりなんですが、五分野に限定されているゆえに原則として殺傷能力のある兵器についての輸出はできないという立場を取ってきたはずです。  大体、この武器輸出禁止三原則を防衛装備移転三原則に変えた際には、その呼び名を変えたこと自体をもって、ブルドーザーのような重機も対象にしていくんだと、だから武器ではなく装備品と言うんだと、こういう説明、皆さんされていたわけですよ。  それを今度、いや、今でも殺傷能力ある兵器も排除しているわけじゃありません、そのようにおっしゃる。そして今度、またなし崩しに拡大しようとしています。そして、いよいよ公然と殺傷能力のある兵器まで海外で売りさばこうとするなら、これは死の商人国家への堕落と、この参考人質疑でも指摘がありましたが、そう評価されるのも私は当然だと思います。  与党間の見直し協議で念頭に置かれているのが日本、英国、イタリアで共同開発を進める次世代戦闘機です。現在の三原則と運用指針では、日本からはもちろんですが、日本製部品を含む兵器を共同開発国から輸出することもできないはずです。  資料をお配りしています。  日本政府の開発責任者である防衛装備庁の射場隆昌事業監理官がNHKのインタビューにお答えになっています。イギリスとイタリアには輸出にこだわりがある、たくさん売れば売るほど単価が下がるので、産業の観点から、たくさんの機数が出ることは非常に大事だと。  三原則を変える前から第三国への輸出ありきで進めているんですか、防衛省。 ○政府参考人(坂本大祐君) 次期戦闘機の将来的な第三国への輸出に関しましては、イギリス、イタリア両国が次期戦闘機の輸出を重視しているという点は事実でございまして、その可能性については三か国におきまして検討はしております。しかしながら、現時点においては何ら決定したものはないというところでございます。  このため、現時点で予断を持ってお答えすることは困難でございますけれども、いずれにしましても、防衛装備品の海外移転に際しては適正管理が確保される場合に限定されておりまして、今後とも厳正かつ慎重に対応してまいります。  なお、委員お配りになりましたこのNHKのインタビューの資料でございますけれども、これは、仮に第三国に輸出がされた場合にどのようなメリットがあるのかということを一般論として述べたものであるというふうに承知をしております。 ○山添拓君 一般論じゃないですよ。開発を行っていく次期戦闘機について言われているんですね。今予断を持って話せないとおっしゃいましたが、国会ではそうおっしゃり、NHKでは、輸出すればするほど、売れれば売れるほどいいのだと、こういうことをおっしゃっているわけですよ。それは余りにも国会と国民を軽視した立場だ、姿勢だと思います。  防衛省、伺いますけれども、共同開発するこの戦闘機が輸出された場合には、その第三国によって武力紛争に使われる可能性、これは否定できないですね。 ○政府参考人(坂本大祐君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、現在、三か国で戦闘機に関する輸出に関して検討はされておりますけれども、現時点において何ら決定したものはございません。したがいまして、現時点で予断を持ってお答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。 ○山添拓君 一般論でも構いませんよ、テレビでは一般論でおっしゃっているんですから。国会で言えないということないでしょう。 ○政府参考人(坂本大祐君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども……(発言する者あり)はい。三か国で検討はしておりますけれども、まだ決定したものはございません。 ○山添拓君 私は、今の段階で否定されないということも重大だと思うんですよ。輸出は検討していると、そして輸出されたときにその先の第三国で武力紛争に使われるかもしれない、否定できないわけですね。これ、一般的に考えても、それはそうだと思うんですよ。輸出先の国での使い方を縛る、これは事実上できないでしょう。  伺いますけれども、イギリスやイタリアがこれまで共同開発に関わった兵器で、第三国へ輸出されて武力紛争に使われた事例、把握していますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お尋ねの点でございますけれども、公刊情報に基づきますと、英国、イタリア、ドイツ、スペインの四か国が共同開発した戦闘機ユーロファイター・タイフーンについては、共同開発を行った四か国のほか、オーストリアや中東諸国が導入しているものと承知しております。また、英国、イタリア、ドイツの三か国が共同開発しましたりゅう弾砲FH70については、我が国のほか、エストニアやマレーシアなどが導入しているものと承知しております。  これらの装備品が導入された各国においてどのように使用されているのかということにつきましては、必ずしも明らかにされておらず、防衛省として確定的にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。 ○山添拓君 今おっしゃったユーロファイター・タイフーン、二〇一五年三月二十六日、サウジアラビアやUAE、クウェートなど有志連合がイエメンに対する空爆を開始しました。ここに参加した戦闘機百七十機中百機がサウジアラビアです。そのうち七十二機を占めたのが今紹介のあったユーロファイター・タイフーンでした。イギリス、イタリアなどの共同開発です。そして、英国政府の許可でサウジに輸出されていたものでした。  日本とイギリス、イタリアが開発する戦闘機もこのように輸出され、武力紛争に使われる可能性、やはり否定できないですね。 ○政府参考人(坂本大祐君) 何度も繰り返しで恐縮でございますけれども、三か国で様々な検討は行っておりますけれども、何ら決定したものはございません。現時点で予断を持ってお答えすることは困難であるということを御理解いただければと存じます。 ○山添拓君 同じことおっしゃるので伺うんですけれども、何ら決定していないのに、なぜNHKではこのように露骨におっしゃることができるんですか。 ○政府参考人(坂本大祐君) これも繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、このNHKのインタビューでは、仮に移転がされた場合、輸出をされた場合に、まあ工業製品でありますので、一般的に単価が下がるであるとかといったようなメリットを述べたものというふうに承知しております。 ○山添拓君 単価の話だけじゃないですよ。日本の戦闘機を使っている国が出れば、その国との連携は今まで考えられなかったほどに強固になる、国際安全保障環境の安定を生み出す上でも非常に重要なツールだ、こういうふうに述べられているんですよ。  逆のことはおっしゃらないんですか、一般論で。逆に国際紛争に使われる可能性もある、その可能性についてはお答えにならないんですか、隠したまま進めるんですか。 ○政府参考人(坂本大祐君) あくまでもこれはインタビューの記事で編集をされておりますので、この中でどういった議論行われたか、つまびらかではございませんけれども、ここでは移転された場合のメリットについて書かれているというふうに認識しております。 ○山添拓君 要するに、メリットだけを語って、デメリットは語らないということですよ。  このイエメンでの空爆は、攻撃から一か月で軍事目標はほとんどなくなったというんです。道路、橋、ガソリンスタンド、民間の標的も攻撃されて、現地の人権団体によれば、六月十一日までに空爆が二千七百二十四回、無差別的な方法にもエスカレートし、一般市民に大量の犠牲を出しました。資料の二枚目は、今も被害が続いている、国際人道法の明白な違反に使われたわけです。  これはちょっと大臣に伺いたいんですけど、日本政府がイギリスやイタリアと共同開発する次世代戦闘機は、このユーロファイターの後継機とされているんですよ。文字どおり戦闘行為のために使われる兵器をどんどん輸出していくんですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 基本的に、我々とすれば、自分たちの国を守るために造るものを、守るためのものを開発しようとしているわけであります。  今後、その点について、まだ、我々のこの造るものが世に出て、これが売られていくということに関して、まだ我々とすればそこまでの議論はなっておりません。技術開発の面で今議論をしているところでありますので、将来的にそれがどのように使われるかについてはこれからの議論だというふうに思います。 ○山添拓君 イギリスやイタリアが輸出に関心を持っているということは既に御答弁もされているんですから、共同開発をしたその戦闘機が輸出の対象になっていく、これ十分あり得るんだと、いや、むしろそのために開発を進めていると言っても言い過ぎではないと思います。  本法案は、こうした武器輸出を行う企業を支援する、そのための基金に今年度四百億円が積まれました。助成金の交付や相談、助言を行うのは防衛大臣が指定する法人で、一般社団法人又は一般財団法人を全国で一つ指定するとされています。この指定法人は、兵器に精通している必要があるでしょう。それは企業側と利害関係のある者が関わるという可能性を意味しますが、指定法人が企業側と資本関係や人的関係を持つなら、不正の温床となりかねないと思います。  防衛省に伺います。  この法案には、そうした資本関係や人的関係、排除するような規定はありますか。 ○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。  この法案に御指摘の指定装備移転支援法人につきまして規定はございますが、その中におきましては、民間事業者が装備移転を行うに当たって、それを我が国の安全保障上の観点から適切なものとするため、この装備移転支援法人が基金の、助成金を交付するための基金の管理でございますとか、仕様等の調整でございますとか、あるいは事業者からの質問、相談に応じて助言すること等ができるものとして指定することといたしているものでございます。  他方、私ども、この法人を指定するに当たって、先ほど申し上げましたように、公募により全国から求めました上で、全国で、日本で一つ指定するわけでございますけれど、この法人が業務を適正かつ確実に実施できるというのを判断した上で指定するということを考えているものでございます。 ○山添拓君 ですから、企業側と資本関係や人的関係を持つ、持ってはならないというような規定はないですよね。 ○政府参考人(萬浪学君) 現時点であるわけではございません。  他方で、先ほど申し上げましたように、適正に業務が遂行できるようなところを法人として選ぶというものでございます。 ○山添拓君 同時に、この武器輸出は、在外公館を通じて政府が相手国のニーズをつかんで促進するとされています。ですから、政府側が持っている情報も重要になります。  防衛省の職員が天下りをしたり、官製談合を生んだりしない、そういう保証は、法案上は、法文上はどこにありますか。 ○政府参考人(萬浪学君) 法文上にその天下りという御指摘につきましては特にございませんが、一般的に申し上げまして、防衛省の職員、すなわち隊員でございますけど、これらの再就職に関しては、これ、再就職等の規制はございますので、これを遵守した上で、我々、そのOB、退職した後の職務に対して規制が掛かっておるというものでございます。  で、この規制を遵守した上で、この一般社団法人につきましても、その一般社団法人が成り立っているということでございまして、この本法案には書いてございませんけれど、公務員全般におきます再就職規制をきちんと遵守した上でやると、これ当然のことでございます。 ○山添拓君 新しい仕組みをつくるのに法文上明確にされていないわけですね。  大臣は本会議で、本法案によって汚職や腐敗の危険が高まるとの指摘は当たらないと断言されましたが、私はむしろ穴だらけだと思います。  この法案は、自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品等について、サプライチェーンの強靱化や製造工程の効率化といった基盤強化措置を支援し、その経費を政府が負担します。しかし、企業のサプライチェーンや製造ラインは軍需品のためだけに使われるとは限らず、民需品と共用しているということもあるかと思います。  防衛省に伺いますが、そうした共用の場合にも本法案の支援の対象にはなるのでしょうか。 ○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。  先ほども、先ほど別のところで答弁申し上げましたけれど、この装備品の安定製造等確保計画の対象になるものにつきましては、専ら自衛隊の用に供するものの中から任務遂行上不可欠なものを選ぶというものでございまして、自衛隊の用に供するものが選ばれるというものでございますが、民用のものと重なるところがないというわけではございませんが、我々は、装備品の安定的製造の観点からこの支援を、ここに定められた財政上の措置をとることを予定しているものでございます。 ○山添拓君 いや、観点はそうなんですけれども、製造ラインやサプライチェーンは、軍需、民需両方を対象としているということもあるでしょうから、その場合には支援の対象となり得るわけですね。 ○政府参考人(萬浪学君) 先ほどお答えしたとおりでございますが、支援の対象になり得るというところでございますが、適正にこれを執行していく予定でございます。 ○山添拓君 軍需品ではない、民需品製造のための供給体制や製造ラインをも軍事費で支えていくということになるわけです。  加えて伺います。先ほどもありましたが、防衛装備品は利益率が低く、撤退企業が相次いでいる、それが立法事実だと説明されてきました。一方、本法案による支援は、軍需品の製造ラインの採算が取れないことが要件とされているわけではないかと思います。したがって、黒字であっても支援は行えると、こういうことですね。 ○政府参考人(萬浪学君) 御指摘の点で申し上げますと、赤字、黒字がメルクマールになるわけではございませんでして、ここに、法に書かれているとおり、例えばサイバーセキュリティーでございますと、サイバーセキュリティーを、防衛省の物品を調達するに当たって、その製造に必要なレベルのもの、通常の産業よりも高いものをお願いしておりますけれど、それを達成するに必要なものを財政上我々は支援しつつ、この計画を達成していくという仕組みでございます。 ○山添拓君 仮に兵器の製造ラインが赤字であっても、民生部門を合わせると莫大な経常利益と、こういうケースもあるかと思うんですね。そういう場合であっても支援はしていくわけですね。 ○政府参考人(萬浪学君) 御指摘でございますけど、先ほど答弁申し上げましたように、企業全体において赤字か黒字かというところではなくて、その防衛部門において我々の必要な製造、装備品の安定製造に資するかどうかという観点から、先ほど申し上げたような必要な措置を、限定的ではございますけど、それを実施していくというものでございまして、これには公正、適正に実施していきたいと考えているところでございます。 ○山添拓君 公正、適正と毎回答弁されなければならないところ自体に、何というか、どうしても説明しなければならないという思いをされているんだということを感じるんですが、これは、つまり不採算部門どころか黒字企業までも支えていくということですよ。  本法案について、三菱重工の泉澤清次社長が、事業計画を立てやすくなると歓迎しています。民間機のMRJの開発を将来戦闘機に転用しようともくろんで莫大な補助金を受けながら頓挫した三菱重工が、今度は軍需品への支援を受け利益の拡大を狙うといいます。  先ほどの次世代戦闘機、この機体を担当するのも三菱重工ですね。ですから、軍需産業の大企業支援となっていくのは明らかだと思います。  支援を行うに当たって、企業に計画を出させて防衛大臣が認定する仕組みとされています。しかし、この出てきた計画が不十分だといって認定しなければ企業側は支援が受けられない、それなら撤退しようと、こういうことになりかねないでしょうから、大臣による認定というのは、事実上、企業が出してくる計画をそのまま認めていくと、こういうことにならざるを得ないんじゃないですか。 ○政府参考人(萬浪学君) 繰り返しになりますけれど、これは、企業全体を支援するというわけではなくて、我々がその防衛装備品を調達するに当たりましてその製造等を安定的にするためでございます。  したがいまして、支援するところは、撤退対策でございますとか、先ほど申し上げましたように、サイバーセキュリティーのレベルの向上でございますとか、製造効率の、製造の効率化でございますとか、あるいは製造に当たってのサプライチェーンの安定化、リスクを減らすというところに限定して、それに対して我々が必要な財政上の措置を行うものでございます。 ○山添拓君 いや、私が伺っているのは、認定をするのは大臣なんですが、その認定をする際に防衛省の側が認定を拒めば企業は撤退してしまうわけですから、大臣としては出てきたものをそのまま認定せざるを得ないということになりかねないではないかと、そういうことを言っているんですよ。いかがですか。 ○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。  御質問の中で、企業がこの支援を受けなければ、あるいは財政上の措置を受けなければ撤退するかどうか、そこまでは分かりませんでして、それは企業の方に、私申し上げたような、サイバーセキュリティー上あるいはサプライチェーン上のリスクがある場合に我々が財政上の措置をとりまして、その安定化のための措置をとってもらうというものでございます。  また、我々、おっしゃいましたこの認定に際しましては、まず、防衛大臣がこの法律に基づきまして、法成立後ではございますけれど、基本方針を作りまして、その中において装備品等の安定的な製造等の確保を図るための装備品製造等事業者に対する財政上の措置その他の措置に関する基本的な事項を定めまして、これは公表をさせていただくことになってございますが、その上で認定事業者を選ぶというような形を取ってございまして、これは、申し上げたように、公正、適正にやっていくというところの一環でございます。 ○山添拓君 いや、公正、適正にとおっしゃるんですけど、計画の認定要件は、法律上は、基本方針に照らして適切か、計画が円滑かつ確実に実施されると見込まれるかというぐらいですから、これ極めてルーズな要件だと思います。こうして必然的に甘くなる認定の下で支援を受けながら、それでもなお事業者が撤退する場合に備えて国有化のスキームが用意されています。  法案は、防衛大臣が装備品等の適確な調達を図ることができないと認める場合に施設や設備を取得できるとしています。しかし、現実に想定されるのは、この製造ラインでは採算が取れない、あるいは承継先も見付からない、民生部門への転用も考えられない、企業側から買い取ってくれと懇願されて取得すると、そういうことになるんじゃありませんか。 ○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。  御指摘のありました指定装備品製造施設の国による保有のところでございますけど、この手段につきましては、御指摘もございましたように、ほかに企業が安定的な製造等を図る手段がない場合、私申し上げましたように、認定事業者としての支援を受ける等々の手段がない場合につきまして、その場合において、製造する施設等がほかに流れないようにといいますか、我々の安定的な装備品の製造に資するように防衛省の方でこれを取得とするものでございます。  その例示といたしましては、私ども考えてございますのは、事業撤退等がございました場合に、自ら指定装備品製造施設等を所有するリスクを負わないのであれば装備品等の製造の事業が行える産業があると、防衛産業がある場合でございますとか、あるいは、その事業承継先の防衛産業はありますけれど、撤退に係る現在の指定装備品の施設等の耐用年数が既にもう経過しておって老朽化しておると、したがって、それを、承継先の事業者がこれを新規取得することは難しいといった場合に国が新規に建設する場合、あるいは、こういった施設等が、製造を行う施設等が事故や災害で滅失してしまいまして防衛産業による復旧のめどが立たない場合に国が新規に建設する場合などが想定されているところでございます。  他方、これにつきましては個別具体的に検討していくということでございまして、先ほども別のところで答弁いたしましたように、予算上はこれは計上しておりませんでして、このようなニーズがあった場合に予算を計上いたしまして、それぞれの予算におきまして、この立法府、国会におきましても御審議をいただきながら、その予算を執行する中で実現していきたいと考えておるところでございます。 ○山添拓君 時間になってしまいましたので終わりますけれども、いろいろおっしゃったんですけど、しかし、これはやっぱり、支援についても国有化についても、企業から言われたらそのとおりに受け止めるしかないと、そういう形になっていかざるを得ないと思うんですよ。事業者側のリスクを減らすとおっしゃるんですが、あの手この手で支援をし、しかも大軍拡と武器輸出、莫大な需要を用意しようとされている。軍事最優先で産業や経済をゆがめてはならないということを重ねて指摘して、質問を終わります。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として山本佐知子君が選任されました。     ───────────── ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  装備品基盤強化法案は、安保三文書に沿って軍需産業を支援するものです。  本日は、安保三文書における外交の役割、今後の日本の将来像などについて考えたいと思います。  二〇二三年五月十二日発売の米国タイム誌は、日本の安全保障政策について、日本の選択と題し、岸田総理が長年の平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる、と紹介しました。政府が最大の友好国と考える米国のタイム誌ですら、日本が平和主義を打ち捨てて軍事大国を目指していると認識しています。ましてや、安保三文書で事実上敵国とされた中国、ロシア、北朝鮮から見れば、日本が大きな安全保障上の脅威と認識されたことは想像に難くありません。  日本と中国との間には、相互に武力に訴えないことを約束した一九七二年の日中共同声明や七八年の日中平和友好条約があります。政府が日中両国に懸念があると考える今こそ、これらを含む四つの基本文書を対話外交を通して繰り返し確認することが両国の緊張関係をコントロールし、緩和することにつながるはずです。  一方で、二〇一五年に安倍政権が強行した安保法制によって、日本は集団的自衛権行使を可能にしました。さらに、今回の安保三文書では、我が国が直接武力侵攻を受けなくても、集団的自衛権の名の下に、反撃力の行使として、中国の領土に達する長射程のミサイル、いわゆるスタンドオフミサイルを敵国に撃つことができると表明しています。  そこで、外務大臣にお聞きします。  相互の武力行使を条約上の義務として規定するような相手国、この場合は中国ですが、それに対し、我が国に対する直接の武力行使が行われていない場合にも、存立危機事態として、集団的自衛権を理由として、反撃力として武力を行使することに問題はないのでしょうか。日本と中国の間の、相互の武力不行使の条約上の義務と存立危機事態における反撃力の行使のどちらを優先するのか、その際、どのような基準で判断するのでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 日中平和友好条約第一条の二は、国際連合憲章の原則に基づきまして、日中両国が、相互の関係において、全ての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認しております。この規定は、国連憲章第二条三に言う紛争の平和的解決と同二条四に言う武力による威嚇又は武力の行使の禁止、これを確認したものでございます。  今先生の御質問は、中国が他国に対して武力攻撃を行うことを想定されていると理解をいたしますが、そうした仮定の御質問についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。 ○伊波洋一君 日中平和友好条約や日中共同声明は国連憲章の解説のための条約ですか。まさに当事者としての我が国がそこにいるのではありませんか。我が国が日中共同声明を通して日中の国交を回復し、そしてさきの大戦の問題を含めて、要するに、武力を相互に行使しないということを相互に二国で確認したのではありませんか。国連憲章の解釈を合意したということなんですか。お答えください。 ○政府参考人(岩本桂一君) 今、先生御指摘の日中共同声明、そして日中平和友好条約でございますが、日中共同声明では、該当の部分、両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、全ての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する旨定めております。  また、日中平和友好条約も同様に、両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、同様に、相互の関係において、全ての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する旨規定をしております。  したがいまして、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、その国連憲章の原則、これを念頭に置きながら両国の間で先ほど申し上げたような原則を改めて確認している、こういう組立てになっております。 ○伊波洋一君 この場合の紛争とは、日本と中国の紛争のことでしょう。当事国における、二国間における紛争を武力では解決しない、その紛争を。他国との関係ではないわけですよね。それをそうでなくするためには、一年前に通告をして破棄をすればいいわけでありまして、いま一度、この条約が日中間の条約であって、相互に縛っているということを是非しっかり確認をしていただきたいと思います。 ○政府参考人(岩本桂一君) 委員御指摘のとおり、この日中共同声明、そして日中平和友好条約、いずれも日本と中華人民共和国、両国の間で先ほど来申し上げている原則を確認しているものですので、両国との間の文書ということは間違いございません。 ○伊波洋一君 林大臣にお伺いしますが、答弁の中で、この問いは、中国による攻撃を前提として、というような表現があったように思いますけれども、それは私は聞いておりません。いわゆる存立危機事態ということを二〇一五年の新たな法制の下で想定をして、その時点で集団的自衛権を行使し得るという法律が、今、状況になっているわけであります。  そこで、中国が攻撃をして、ということを聞いておりませんので、それはなしで、いわゆる存立危機事態というのを日本が認定をした場合に、という意味で言っているわけでありまして、そのことをいま一度答弁し直していただけませんか。 ○国務大臣(林芳正君) 存立危機事態が発動された場合にという御質問の通告では必ずしもなかったわけでございますが、存立危機事態ということになりますと、何もないところで存立事態ということはないということでございましょうから、その場合に、先生の御質問は、我が国が中国に武力を行使すると、こういう前提に立っておられると、そういうふうにお聞きしましたので、先ほどのような、そういうことを想定、想定されていると私は申し上げましたが、そういう前提でお答えしたところでございます。 ○伊波洋一君 我が国が直接的な武力攻撃がされていない場合でも、ということが存立危機事態などの集団的自衛権の行使における要件なんですね。そのことを言っているわけです。ですから、その際に、今一般的に言われておりますのは、要するに、集団的自衛権の行使も、この安保三文書は集団的自衛権の行使にも該当するとちゃんと書いてあるんですよね、文脈は違っていますけれども、場所はですね。でも、それは何度も確認をしておりまして、いわゆる日本が攻撃されていなくても攻撃し得るという話なんですね。でも、そのこと自体がやはり大きな問題ではないかと、このように思います。  防衛省は、抑止が破れたという仮定のシナリオに沿って、岸田首相も国会でしっかり言いましたけれども、現実的なシミュレーションを実施していると。この現実的なシミュレーションには、外務省や外交の問題は出てきません。外務省はそれに含まれないんですね。つまり、外務省こそが主体になって、戦争に至らせないためにシミュレーションを実施する必要があるのではありませんか。もし実施しているのなら、外務省から国民にきちんと説明をすべきです。  私は、少なくとも、日本が直接武力攻撃を受けていないならば、相互に武力を行使しないという条約を優先すべきだと思います。集団的自衛権を行使し、日本の自衛隊が戦争に介入すれば、要するに平和友好条約を破られた相手国からすれば、より厳しい反撃が予想され、自衛隊員や基地周辺住民の生命が犠牲になります。いわゆる集団的自衛権という抽象的な国家の利益と、戦争による具体的な国民の命、どちらが優先すべきですか。言うまでもなく、国民の生命を最優先に判断をすべきです。  二〇一三年十二月に閣議決定された国家安全保障戦略は、敵国を名指しせず、近隣諸国との全方位外交やグローバルな平和と安定を志向するような外交方針を示していました。ところが、二〇二二年の国家安全保障戦略は、配付資料一のように、同盟国米国や有志国との連携強化による対中国、ロシア、北朝鮮封じ込めのような、日米の同盟国側にいかにグローバルサウスを取り込むかという外交方針を示しています。また、我が国に望ましい環境を能動的に創出するための力強い外交を展開するために防衛力を整備する、と表明しています。  どんなふうなことが書いてあるのか。皆さん、お手元に資料一がありますけれども、二〇一三年の当時の国家安全保障戦略、そして二〇二二年十二月十六日のその戦略です。  変わったこと、主にやっぱり目立つところを言いますと、まず、これは全部、外交という文言が入ったところなんですけれども、我が国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための力強い外交を展開する。  自分の国は自分で守り抜ける防衛力を持つことは、そのような外交の地歩を固めるものとなる。  総合的な国力の最大限を活用し、国家の安定を高次のレベルで統合させる作戦が必要である。  国家としての力の発揮は国民の決意から始まる。国民が我が国の安全保障政策に自発的かつ主体的に参画できる環境を政府が整えることが不可欠。  一部の国家が、自国の勢力を拡大し、一方的な現状変更を試み、国際秩序に挑戦する動きを加速させている。軍事、外交、経済、技術等の幅広い分野での国家間の競争や対立を先鋭化させ、国際秩序の根幹を揺るがしている。  核兵器を含む大規模な軍事力を有し、普遍的価値やそれに基づく政治・経済体制を共有しない国家や地域が複数存在する。  我が国の主権と独立を維持し、我が国が国内、外交に関する政策を自主的に外交できる国であり続け、我が国の領域、国民の命、身体、財産を守る、と。  第一に外交力であると。国家安全保障の基本は、予見可能性が高い国際環境を能動的に創出し、脅威の出現を未然に防ぐことである。我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や他国との共存共栄のための国際協調を展開する。  根本的に強化される防衛力は、我が国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための外交の地歩を固めるものとなる。  日米の戦略レベルでの連携を図り、米国とともに、外交、防衛、経済等のあらゆる分野において日米同盟を強化していく。  影響力が高まっている途上国への外交的関与を強化する。そのことにより、多くの国とともに、法の支配に基づき自由で開かれた国際秩序を強化する。  中国が力による一方的な現状変更の試みを拡大していることについては、強く反対し、そのような行為を行わないことを強く求め、冷静かつ毅然と対応する。  これらの文言は、前回はほとんどなかったものなんです。前回のものは普通の外交なんですよ。  ですから、こういう中で国家安全保障戦略の外交方針が二〇一三年と二〇二二年とでこのように大きく転換した理由は何でしょうか。お答えください。 ○国務大臣(林芳正君) まず、我が国の安全保障政策は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておらないところでございます。その上で、我が国周辺には強大な軍事力を有する国家などが集中をいたしておりまして、また、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の透明性を欠いた軍事力の急速な増強などによりまして、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしております。  こうした中で、我が国は、昨年末に新たな国家安全保障戦略等を策定いたしました。同戦略において、今御紹介をいただきましたが、外交力は我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素としてまず挙げられており、戦略策定の過程においても、外交努力に関わる検討を行いました。その結果として、戦略において、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するための様々な外交的取組等について記載をいたしました。同時に、このような外交には裏付けとなる防衛力が必要であり、防衛力の抜本的強化を決定したところでございます。  いずれにいたしましても、この同戦略に基づく施策、これはあくまで憲法の範囲内で行うものでありまして、平和国家としての我が国の歩みをいささかも変えるものではございません。平素から、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋実現に向けた取組の更なる推進を含む同志国等との連携、周辺国・地域との外交などの戦略的アプローチを着実に実施することによって、我が国を取り巻く安全保障環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 どの国を相手にしているわけじゃないと言うけど、しかし、事実上、中ロ、北朝鮮を明記しているし、米誌タイムも、安保三文書が、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる、と評価しています。  安保三文書のメッセージは間違いなく中ロ、北朝鮮敵視、世界の分断、軍事大国化の思考で、この現状を、この安保三文書が、今後五年間具体的に整備が進み、そして更に十年間、合わせて、そういう中で私たちの国が一体どう変わっていくのか、そのことをやはり考えなきゃいけないと思います。  実は、皆さんに以前の委員会でもお示しをしましたが、このシミュレーションで、実は、要するに反撃力という名の敵基地攻撃能力がどこで使われるのか。(資料提示)これは、まず「我が国への侵攻そのものを抑止するために、遠距離から侵攻戦力を阻止・排除」するというところのスタンドオフ防衛の能力が使われることになっています。さらに、統合防空ミサイル防衛もありますね。その後、抑止が破られるわけです。抑止が破られて、そして、現実の問題として、前回指摘をした十五兆円による「持続性・強靱性」の、要するに三百の自衛隊基地の強化が行われるわけです。そういうことになる前には、本来外交が出なきゃいけないと思うんですよ。  しかし、前回の防衛大臣の答弁は、日本全国が戦場になるというようなお話がありましたが、そういったことをシミュレートする前の段階のシミュレーションを我々はしなければならない、と。なぜならば、そのような状況になるまで我々が手をこまねいているような状況であってはならない、とし、あらゆる手段を使ってでもこの国という国家の領土が戦場になるようなことを我々としては当然のごとくシミュレーションとするようなものではない、と、こうお答えになりました。  でも、戦争が始まったら、防衛省がそういったことをやれる話じゃないと思うんですよ。戦争をやらないための取組が全く今回の国家安全保障戦略の中から抜けているわけですよ。戦争に至らないような、近隣諸国との平和をどう実現するかという問いがですね。私は、やはりそこをしっかりやらなければ私たちの外交が日本の国を誤ってしまうと、このように思います。  先日、参考人質疑がありました。そういう中で、現状のウクライナの状況について、かつての空将をやった防衛省関係者が何と言ったかというと、冒頭、先生がおっしゃられたウクライナの状況ですねと。ウクライナは、残念ながらロシアに攻め込む能力を持っておりません。したがって、今のような惨状がウクライナの国内で広がっているわけです。私は、あのような状況を日本の国内で絶対に起こさせてはいけないと思っておりますので、この三文書を早く実効性のあるものにしたいと思っています。しかし、本当にそれで我が国が国土が戦場にならないことが保証できるのかと、こういうことについて極めて疑問に思うんです。  今先ほどの議論のように、国内の要するに防衛力産業のありようもそうですし、私たちの国自体が、これから質疑をしますけれども、今どういう方向に向かっているのか、そういうことも踏まえながら、日本として中国との間で培ってきた四文書、そしてまた、私たちが決して中国とは敵対していないという今の現状、これをどう生かしていくかということがやっぱり問われているんだと思います。ですから、是非、このような状況であと五年進めば、もうますます中国や周辺三か国と日本の間には話すらできない状況になってしまうんじゃないかと、このように懸念します。  是非、外務大臣には、二〇二二年の国家安全保障戦略の下でどのような外交を展開しようとしているのか、そして、昨年の安全保障戦略そのものに沿った外交は二〇一三年の戦略に基づく外交方針よりも国民の安全にとってより優れているとお考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほども冒頭申し上げたとおり、この我が国の安全保障政策は、特定の国や地域を脅威とみなして、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておらないということを申し上げたところでございます。  その上で、まず中国との関係でございますが、これは引き続き、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含めて対話をしっかりと重ねまして、共通の課題について協力する、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めてまいらなければならないと思っております。  そして、ロシアでございますが、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものでありまして、これに対して引き続き毅然と対応してまいります。同時に、漁業などの経済活動といった日ロが隣国として対処する必要のある事項、これにつきましては、我が国外交全体において、何が我が国の国益に資するかという観点、これもしっかり考えながら適切に対応してまいります。その上で、北方領土問題に関しては、領土問題を解決して平和条約を締結するという方針、これは堅持をしてまいります。  北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないわけでございます。そして、岸田内閣の最重要課題である拉致問題、これは時間的制約のある人道問題であります。我が国としては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案、これ包括的に解決をし、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を目指すと、こういう考えでございます。  そして、今御指摘のありました国家安全保障戦略でございますが、我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素として、まず外交力を掲げているところでございます。我が国の長年にわたる国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や経済活動の実績、これを糧に、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために、力強い外交を展開してまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 あと一つだけ掲示します。  これ、アメリカ軍の関係者が、エコノミスト誌が掲載しているんですけれども、中国のミサイルの要するに範囲の中にも入れなくなっていると、空母打撃群も含めて。ですから、要するにミサイルギャップが米国と中国の中にあって、そのミサイルギャップを埋めるための二千発か千五百発かの今回のいわゆるミサイル、長距離敵基地攻撃能力だろうと私は理解しておりまして、それが使われるタイミングというのがいわゆるここら辺のスタンドオフなんですね。つまり、まだ日本は攻撃されていないかもしれないけれども、攻撃をしていくことができる、攻撃することによっていよいよもう地上戦が始まっていく、こういう中に、日本が計画の中に入れてしまっている。つまり、そういう戦略を日本は取るべきではないと私は思うんですよ。  つまり、中国が日本を攻撃するというのは、米軍基地云々というのはありますけれども、でも、そのことを前提にしての話では必ずしもなくて、いわゆる日米の共同作戦の中の一つのこまとして、この千五百のミサイルを使うということになれば、まさに私たちはそのことを起こしてしまう当事者になっていく。しかし、日本はそれだけの力があるんだろうかということを引き続き質疑をしてまいりたいと思います。  四月二十六日、国立社会保障・人口問題研究所が、配付資料二のように、日本の将来推計人口の結果を公表しました。  この中で、出生数は下がるものの、外国人の流入により、二〇七〇年の人口は、二〇二〇年の一億二千六百十五万より三千九百十五万減って、八千七百万人になると推計されています。実に人口が四千万人減るのです。  沖縄は、今年で施政権返還から五十一年です。この四十七年後は、この沖縄の五十一年を超えているわけで、あっという間にすぐ来ます。この推計自体、新興国の賃金上昇による外国人の日本離れを考慮していないことや、足下の出生率低下を軽視していることなど、楽観的という批判もあります。それでも、このままいけば、五十年後は日本の人口は四分の三になり、GDPも大きく減少します。  以前にも御紹介した、配付資料三のように、米国ゴールドマン・サックスの投資部門は、昨年十二月六日、将来の各国GDPの長期予測を発表しました。  二〇三五年には中国のGDPが米国を上回り、これは購買力平価じゃないですね、ドルベースで、二〇七五年にはインドも米国を上回ると予測しています。また、日本については、現在の世界第三位から、二〇七五年には十二位に落ちると分析されています。メキシコの次、ロシア、フィリピンの前です。  また、配付資料四のように、今年三月に、野村総合研究所未来創発センターは、研究レポート、「先進国から滑り落ちる日本。復活のカギは社会のマインドチェンジ」を公表しました。  レポートは、「日本経済の地盤沈下が進む。一人当たりのGDPも、給与も全く伸びず、もはや先進国の座から滑り落ちそうな状況にある。それなのに社会の危機感は一向に高まらない。変革の最初のステップは危機感の醸成であり、このステップを飛ばして変革の成功はない。リーダーには日本復活に向けたあるべき論を説いて満足するのではなく、社会の危機感、変革マインドを高めるための戦略を練り上げ、実行していくことが求められる。」という書き出しで始まり、統計データを基に日本経済の厳しい現実を指摘しています。  日本の一人当たりGDPは、二〇〇〇年には世界第二位だったのが、二〇二二年の予測値ではランク外の三十位まで落下します。去年は二十二位です。レポートは、これで先進国と呼べるのか、G7のメンバーでいていいのかというレベルと酷評しています。一人当たり賃金も全く伸びておらず、一人当たりGDPも、かつてNIESと呼ばれた韓国、台湾、香港、シンガポールに追い抜かれていることを認識すべき、と指摘しています。  ほかにも、かつて、時価総額ランキングで世界トップ五十で一九八九年には三十二を占めていた日本企業は、二〇二二年にはゼロ、スタートアップ企業、ユニコーン企業についても日本の存在感は極めて薄い、製造業の国際比較でも生産性が低い、科学技術力も低下傾向、経済の成長なしには財政がもたないところまで来ている、にもかかわらず、日本社会のムードは、世の中は良くならない、今の状態でも十分、など、変革への意欲が乏しく、危機感が高まらないことに警鐘を鳴らしています。  アベノミクスの十年は、世界の中心で輝く日本だとか、美しい国日本などのありもしない過去の大国意識の幻影に取りつかれて、経済の衰退や社会の閉塞を見ないできた時代でした。今の防衛費四十三兆円、六十兆円も、まさに同じ延長線上で、かつての経済大国であるとの幻影から、米中対立の大国間競争に当事者として関わろうとするものです。まさにマインドチェンジが必要です。  林大臣は将来の総理候補と度々表現されていますが、先進国から滑り落ちる日本という現実、こうした厳しい指摘についてどのような御所見をお持ちでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 必ずしも外務大臣としてお答えをすることかどうかちょっと自信がございませんけれども、私もかつて党で成長戦略の責任者もやっておりました。  今御指摘のあったいろんなことは、そういう場でいろいろ議論してきたということは事実でありますが、これをどう受け止めてどういうふうにしていくかということが大事なことではないかというふうに思っておりまして、岸田内閣においては、内外の諸課題の解決に向けた取組それ自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置付けております。  GXを例に取りますと、気象、気候変動対策というのはどちらかというとコストで見られることが多かったわけですが、これを、新しい技術を使って、いわゆるGX、グリーントランスフォーメーションをやっていくことによってこれを成長のエンジンにしていこうと、例えばこういうことでございます。  そうしたことを、官民が協働して重点的な投資と規制・制度改革、これを中期的、中長期的かつ計画的に実施するということで課題を解決しながら経済成長を同時に実現すると、そのことを通じて経済社会の構造を変化に対してより強靱で持続可能なものに変革する新しい資本主義を起動すること、これを内閣として掲げておるところでございます。  そうした中で、外交分野においては、まさに世界に開かれた貿易投資立国であるということをこれからも維持をしながら、厳しさを増す東アジア情勢、そして権威主義的国家の台頭といった国際環境の変化に応じた戦略的な外交・安全保障や同志国との連携強化、経済安全保障等に取り組むことでその実現に貢献をしてまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 外務省が発行する外交専門誌「外交」は、「外交」編集委員会が幅広い視点から日本を取り巻く国際情勢の現状、外交に関する各界各層の様々な議論を広く紹介する国内唯一の外交専門誌です。  この二三年三・四月号に、九州大学の益尾知佐子教授による「「冷戦後」中国の脅威認識」という論文が掲載されています。配付資料五に示しています。  益尾教授は、中国の認識では脅威は常に国内にあるとして、結論で、「中国は世界覇権を樹立しようとしてアグレッシブになっているのではなく、自分の安全保障を守ろうとして攻撃的な行動に出ていることを理解すべきだ。」、さらに、「さらなる問題は、中国と同じような不満を、インドやインドネシアなどの多くの非西側諸国が共有していることだ。彼らの目から見て、「冷戦後」は決して「ルールに基づく国際秩序」の時代ではなかった。なぜウクライナへの軍事侵攻はダメで、イラクやアフガニスタンならいいのか、多くの発展途上国は心の底では納得していない。だからこそ、ウクライナ問題に関する国連総会の決議は票が割れる。国際秩序が機能しなくなった理由の一端は、西側諸国の側にもあることを直視すべきである。」と指摘しています。  「中国と同じような不満を、インドやインドネシアなどの多くの非西側諸国が共有している」という現状についてどのようにお考えですか。 ○国務大臣(林芳正君) 委員も御存じのとおり、この「外交」という雑誌でございますが、これは、我が日本政府の見解をここで表明するものでもございませんので、多様な皆様方の意見をここで御紹介をして議論に資すると、こういう性格のものであるというふうに理解をしておるところでございます。  今のお尋ねの他国の情勢認識でございますが、日本政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  その上で申し上げますと、様々な特色を持ったグローバルサウスの国々のパワーが相対的に増してきております。そして、彼らの多くは経済発展に自信を強めておりまして、国際社会でのより大きな発言権を望んでいると思われます。彼らは明確で統一されたビジョンというものを持っているわけでは必ずしもございませんが、我々の価値観をそのまま受け入れさせることもできないというふうに考えております。  一方で、国際社会が直面する主要課題の解決策を見出すに当たりましては、多国間主義の下、価値観そして利害の相違を乗り越える包摂的なアプローチで、できるだけ多くの新興国、途上国と連携していく、このことが極めて重要であると考えております。日本としては、こうした諸国との間で引き続き対話を通じて共通の課題を見出して、相手国の立場を尊重しながら、多様性と包摂性を重視するきめ細やかな外交を推進してまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 私は、今回の安保三文書は、どちらかと言えば先進諸国中心の、G7中心のいわゆるアメリカ秩序を維持するためにかなり多くの文言を割いているし、そのために日本が頑張るというふうになっているんですね。でも、頑張ったら私たちの国は戦場になりますよ。そういうことへの道じゃなくて、アメリカはもう既に中国と雪解けをするという話がありました。  G7コミュニケでも、デカップリングではなくデリスキング、と書かれたように、EUも米国も姿勢を軟化させています。バイデン大統領は、サミットの会見後、中国との対話で雪解けは近い、との認識を示し、配付資料六のように、五月二十五日に米中の商務長官がワシントンで初の会談を行い、今後もブリンケン国務長官、イエレン財務長官らの訪中など、十一月にサンフランシスコで開かれるAPEC首脳会談に向けて米中政府高官の往来が予定されています。  対中強硬姿勢を日本だけが取り続けるとしたら、はしごを外される危険性はますます高まっています。岸田政権の日本だけ対中強硬姿勢の最前線に立たされて、既にはしごを外されていませんか。やはり、その意味では、私は、安倍訪中の成果を生かして、二〇一八年の、新たな日中関係をつくり出すという、そういう決意をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○委員長(阿達雅志君) 時間ですので、答弁は簡潔に願います。 ○国務大臣(林芳正君) はい。  委員も御承知のとおり、デカップリングからデリスキングへという記述のあったG7コミュニケで議長を務めておったのは日本であるということをまず申し上げておきたいと思います。  そして、そのサミットの際、日米首脳会談、外相会談、それぞれ行いまして、中国をめぐる諸問題への対応に当たって、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致し、中国と共通の課題については協力していくことの重要性を確認いたしました。  中国をめぐる諸課題の対応に当たっては、米国を始めとするG7各メンバーと緊密に連携していくということが確認をされておりますので、そういう下でしっかりとやってまいりたいと思っております。 ○伊波洋一君 ありがとうございました。  是非、平和な日本実現を継続させていただきたいと思います。  ありがとうございます。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会