第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第15号 令和5年5月23日 令和五年五月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十六日     辞任         補欠選任      松川 るい君     衛藤 晟一君  五月十七日     辞任         補欠選任      衛藤 晟一君     松川 るい君  五月二十二日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     柴  愼一君      山口那津男君     横山 信一君      音喜多 駿君     梅村  聡君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 金子 道仁君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 柴  愼一君                 羽田 次郎君                 横山 信一君                 梅村  聡君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       室田 幸靖君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        審議官      中村 和彦君        外務省大臣官房        審議官      北川 克郎君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      大河内昭博君        外務省大臣官房        参事官      片平  聡君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   海部  篤君        外務省欧州局長  中込 正志君        外務省中東アフ        リカ局長     長岡 寛介君        経済産業省通商        政策局通商機構        部長       柏原 恭子君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○投資の相互促進及び相互保護に関する日本国と  バーレーン王国との間の協定の締結について承  認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税の除去並び  に脱税及び租税回避の防止のための日本国とア  ゼルバイジャン共和国との間の条約の締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付  ) ○所得に対する租税に関する二重課税の除去並び  に脱税及び租税回避の防止のための日本国とア  ルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結  について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、山口那津男君、福山哲郎君及び音喜多駿君が委員を辞任され、その補欠として横山信一君、柴愼一君及び梅村聡君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に金子道仁君を指名いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とバーレーン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官室田幸靖君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とバーレーン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアゼルバイジャン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○岩本剛人君 おはようございます。自由民主党の岩本剛人でございます。質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。  まず初めに、先般終わりました広島サミットについて一問だけお伺いしたいと思います。  改めてG7広島サミットの報告の機会があると思うんですけれども、ゼレンスキー大統領の訪日が実現しまして歴史的な成果を上げたG7広島サミットを終えて、林大臣のまず所感をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 国際社会が歴史的な転換期にある中で開催されました今般のG7広島サミットでは、G7の揺るぎない結束、これを改めて確認することができました。  G7首脳は、分断と対立ではなく協調の国際社会の実現に向けて、第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと、第二に、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々を始め、G7を超えた国際的なパートナーへの関与を強化することという二つの視点を柱といたしまして、積極的かつ具体的な貢献を打ち出していくことを確認をいたしました。  また、今回の広島サミットでは、八か国の招待国と七つの招待機関を交えまして、食料、開発、保健、気候変動、エネルギー、環境といった国際社会が直面する諸課題について議論を行い、G7を超えた幅広いパートナーが協力してこれらの課題に取り組んでいくことを確認するとともに、今後我々が取るべき具体的な行動を含め、認識の共有を図ることができました。  ロシアのウクライナ侵略に関しては、ゼレンスキー大統領にも議論に参加いただき、G7がこれまで以上に結束をして、あらゆる側面からウクライナを力強く支援し、厳しい対ロ制裁を継続していくことを改めて確認するとともに、G7以外の招待国との間でも、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更の試みは許さず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことが重要であるとのメッセージを発出することができました。  また、核軍縮に関しましても、ロシアによる核の威嚇が行われる中で、広島にG7首脳そしてゼレンスキー大統領等を迎えて議論を行ったということは、力による一方的な現状変更のための核兵器の威嚇、ましてやその使用はあってはならないというメッセージを緊迫感を持って発信することになったというふうに考えておるところでございます。 ○岩本剛人君 改めて機会があると思いますので、そうした中でまた我々もしっかり今回のG7サミットを終えて努力をしていければというふうに思っていたところでありますし、是非、いずれ林大臣も恐らくあの真ん中に立たれるような立場になろうかと思いますので、また今後ともいろんな形で議論をさせていただければというふうに思います。  それで、続きまして、議案について質疑をさせていただきたいと思います。余り時間がないので、できる限り簡潔にと思います。  御案内のとおり、我々の経済を取り巻く状況は大きく変化をしてきております。以前は、貿易立国と言われて、自動車の輸出等大変大きな貿易黒字が記録したところであります。また、その当時は日米の貿易摩擦も大きく取り沙汰されていたところであります。  ただ、最近、新聞報道でもありましたけれども、昨年度の貿易収支は、円安と資源高の影響を受けて、二十一兆七千二百八十四億円という過去最大の貿易赤字を記録したわけであります。また、この貿易収支の赤字基調というのが続いている状況でありまして、また一方で、我が国の貿易、経常収支、貿易収支を支えているのは、当時の貿易立国というより、投資収益が今の貿易収支を支えている状況になってきております。  OECDによりますと、日本の投資活動による収入は世界最大ということでありまして、それによる所得は約五十兆円、すなわち我々GDPの一割に迫る状況になってきております。御案内のとおり、我々日本の企業が所有する知的財産においても収入は増加をしている状況でありまして、この経常収支の構造変化、いわゆる貿易立国から投資立国へシフトしてきているように思うわけであります。  そうした中で、今回、海外投資を保護して促進しているのが今国会にも提出をされております投資協定や租税条約かというふうに思います。  政府は、以前より、アクションプランにおいて、それぞれの条約等に積極的に取り組んでこられてきたわけでありますけれども、今回もこうした協定を締結しようというふうに思います。投資立国であります我が国にとって非常に重要な今回の提案については取組であるというふうに思います。  日・バーレーン投資協定、日・アゼルバイジャン及び日・アルジェリア租税条約について、それぞれ締結をする意義についてはどのようなふうに受け止めているのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答えいたします。  バーレーンは、単なる資源輸出ではなく、付加価値を高めた石油関連製品の輸出や産業の多角化を推進し、外国資本の積極的な誘致を進めてきております。簡素な事業認可手続等、同国には比較的良好な投資環境が整っております。現在、同国には十九社の日本企業が進出しており、今後も投資の更なる増加が見込まれております。  そのため、この日・バーレーン投資協定の締結によりまして、投資環境の透明性、法的安定性及び予見可能性を向上させ、日系企業による投資を保護、促進する意義は大きいと考えております。  次に、アゼルバイジャンでございますが、カスピ海に面し、アジアと欧州を結ぶ要衝に位置しております。天然資源に恵まれ、日本企業も同国最大の油田及び石油パイプラインに従来から権益を保有しております。また、近年、日系企業の進出も増加傾向にあり、両国の経済関係、発展してきているところでございます。  アゼルバイジャンについては、一九八六年に発効しました日ソ租税条約をソ連の解体、独立後に承継してきているところでございますが、日ソ租税条約をアゼルバイジャンとの間で全面改正して新たな条約として締結し、投資所得に対する課税を軽減するほか、条約の濫用防止措置及び租税債権の徴収共助の導入、並びに租税に関する情報交換の拡充を行うことは、両国間の投資、経済交流を一層促進するために大きな意義があると考えております。  最後に、アルジェリアは、エネルギー価格の高騰に伴いまして、現在、国際社会において存在感を発揮をしております。同国には、石油、天然ガス分野を中心に日系企業が進出をしておりますが、現在、産業の多角化を目指してビジネス環境の整備が進められており、更なる日本企業の進出も期待されております。  このような経済関係の発展を踏まえまして、日本とアルジェリアの間で租税条約を締結し、投資所得に対する課税の減免等により、課税範囲についての法的安定性や予見可能性を高めるとともに、国際的な脱税、租税回避に適切に対処するための枠組みを構築することを通じまして、両国間の健全な投資、経済効力を促進することは非常に有意義であると考えているところでございます。 ○岩本剛人君 時間がありませんので、併せてちょっとお伺いしたいと思います。  先ほど大臣から答弁がありましたウクライナでありますけれども、現在、ウクライナを世界各国で支援しようという方向でありますけれども、ウクライナに対しての租税条約の状況というのはどのようになっているのか。是非、妥結、今後の動きに向けて、我々日本の国としても積極的に取り組むべきだというふうに思います。  また、サミットでもお話がありましたグローバルサウスなんですけれども、アクションプランにおいては、中南米、いわゆる等に対して積極的に投資協定の締結を進めていくという方向性が出されているんですけれども、このグローバルサウスに対してどのように取り組んでいくのか、併せてお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) まず、我が国とウクライナの間の話でございますが、一九八六年に締結されました日ソ租税条約が現在まで適用されておりまして、両国において既に一定の課税の軽減が行われております。加えて、お話ししていただきましたように、このウクライナ政府との間で、二〇二一年の三月から現行の日ソ租税条約に代わる新たな租税条約を締結するための交渉を行っております。  個別の国との間の交渉状況については、相手国との関係がございますのでお答えを差し控えさせていただきますが、我が国としては、今後、ウクライナの復興支援を進める中で、ウクライナの投資環境整備も重要であると認識をしておりまして、こうした点も踏まえて、引き続き租税条約の締結に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  また、後段のお尋ねですが、日本政府として、これまで、投資関連協定の締結に向けた交渉、これを精力的に進めてきておりまして、その結果、現在までに五十五本の投資関連協定が発効済み又は署名済みであります。八十の国・地域をカバーしております。これに現在交渉中のものを加えますと、九十四の国・地域をカバーし、我が国の対外直接投資残高の約九三%をカバーすることになります。  今後の見通しでございますが、交渉事であるため予断はできませんけれども、先般のG7広島サミットでも確認をされましたように、我が国としては、グローバルサウスの国々を始め、G7を超えた国際的なパートナーへの関与の強化を重視しておりまして、経済界の具体的ニーズ等も踏まえて、中南米やアフリカを中心に、投資先として潜在性を有する国との投資関連協定の締結に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○岩本剛人君 終わります。ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。  まず、議案の条約について質問させていただきます。  バーレーンとの投資協定でございますけれども、これまで政府が結んできた投資協定は、参入の段階に当たって相手国の企業との同等の条件を確保するいわゆる自由型の投資協定を近年頑張って結んできたというふうに理解しております。しかし、今回、バーレーンとのこの協定というのは投資の設立の後のみに保障される保護型になっているんですが、その理由、経緯、また今後を含めた政府の投資協定の一般についての方針、それについて答弁をお願いします。  また、あわせて、この国会で今審議中ではあるんですが、まあいいことだと思うんですけれども、日本・バーレーン貿易・投資ワーキング・グループ設立が、今月の十日、外務省によって発表されております。このワーキング・グループの設立の経緯と狙い、また中東の他国とのこうした取組の有無について簡潔に答弁をお願いします。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答え申し上げます。  投資関連協定につきましては、自由型とするか保護型とするか、これについては、一般論として申し上げると、我が国経済界のニーズや相手国の事情等を勘案しながら、相手国との交渉を通じて決まるものでございます。  今般の日・バーレーン投資協定については、両国政府間の交渉の結果として、保護型とすることで合意に至ったものでございます。  投資関連協定に関する今後の方針につきましては、我が国経済界の具体的ニーズや相手国の投資協定に関する方針を踏まえながら、今後の投資先としての潜在力の開拓、他国の投資家と比較して劣後しないビジネス環境の整備等に向けて、戦略的な観点また質の確保の観点を考慮した取組を進めていく考えでございます。  また、五月十日に設立に関する文書の交換が行われました日本とバーレーンの貿易・投資ワーキング・グループにつきましては、貿易投資ビジネスにおける更なる関係強化や、両国の中小企業間のビジネス交流を促進するために協議を行う枠組みでございまして、両国の経済関係を更に強化するものでございます。同様の枠組みは、サウジアラビア、UAE、カタール等との間でも設置をされているところでございます。 ○小西洋之君 ありがとうございました。  では次、租税条約ですが、アゼルバイジャンまたアルジェリアとのこの租税条約、両方にこれ共通する措置になっているんですけれども、いわゆる仲裁規定が盛り込まれていないわけでありますけれども、他方、一昨年の九月の一般社団法人の日本貿易会の国際課税連絡協議会が発表した税制改正の要望においては、仲裁規定を盛り込むということが要望で出されているところでありますが、今回、仲裁規定の手続が入らなかった理由、経緯と、あと、一般的に、一般論も含めてこうした条約の今後の見直しの可能性について答弁をお願いします。 ○政府参考人(中込正志君) 申し上げます。  仲裁手続でございますけれども、相互協議手続の円滑化、実効性の向上により納税者の負担軽減を図り、投資環境の整備及び国際的な投資交流の促進に資するものでございまして、我が国としましては、経済界の要望も踏まえまして、租税条約の締結、改正交渉において仲裁手続の導入を積極的に取り上げていくということにしておるところでございます。  しかしながら、一般論としまして、国内法上の制約等によりまして仲裁手続の導入を困難とする国があるということでございまして、今回のお出ししておりますアゼルバイジャン、アルジェリアの条約でございますけれども、交渉の結果、導入に合意できる可能性がないというふうに判断されたところでございます。  他方で、アゼルバイジャン及びアルジェリアとの経済関係の発展を踏まえれば、源泉地国課税の軽減や脱税、租税回避に対処する規定の導入、大きな意味があるというふうに考えておりまして、両国との租税条約の早期締結が重要という観点から、先ほども申し上げました仲裁の意義、効果というのは得られないものの、仲裁手続の導入は見送って租税条約の締結を優先するということにしたところでございます。  将来の見直し、御質問ありましたところでございますけれども、このような仲裁手続ありますと、相互協議手続の円滑化、実効性の向上による納税者の負担軽減、投資環境の整備、国際的な投資交流の促進といった観点から、我が国としましては、一般的に租税条約の新規締結、改正交渉の中で仲裁手続の導入を積極的に取り上げていくこととしているところでございます。  以上でございます。 ○小西洋之君 将来の見直しについて頑張っていただきたいと思います。  我が会派は、この今回の三つの議案に賛成でございます。  残りの時間でG7サミットなどについて質問させていただきます。  先ほどの理事会の決定で、次回、G7サミット、大臣に御報告をいただいて充実審議させていただくことにさせていただいておりますが、その関連ということで質疑をさせていただきたいと思います。  まず外務大臣に伺いますが、G7の首脳が原爆の資料館を訪れているわけでありますけれども、そこの展示物ですね、この展示物はどのような目的で選ばれたもので、この具体的な内容、これは日本政府の責任において選んだものであるのか、また、その目的としては、原爆、核兵器の被害の実相というものを本当に生々しく、一人の人間として政治家として首脳の皆さんに感じていただく、体全体で受け止めていただくということが私は大事だと思うんですが。  そうした中で、特に原爆の熱線などによる悲惨な人体の被害写真、亡くなった方の遺品ですとか破壊されたものですとか、いろいろあるんですが、やはり人体の被害写真というものを見ていただかなければ実相を全身全霊で受け止めていただくことはできないと思うんですけれども、そうした人体の被害写真というものが展示物の中に含まれていたのか、また具体的に、せめて数だけでも何点ぐらい用意をされていたのか、また最後に、G7の首脳が御覧になった展示物と招待国、八か国だったと思いますが、あと、ウクライナのゼレンスキー大統領が御覧になった展示物は同じものであるかどうかについて説明をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 各国のハイレベルを含めまして、国際社会に対して被爆の実相をしっかりと伝えていくということは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要でございます。  このサミット、日程全体を通して時間的な制約がある中で、可能な限り時間を掛けてG7首脳に被爆の実相に効果的に触れてもらいたいと、こうした考え方の下で、資料館の主な展示テーマに即した形で重要な展示品を見ていただけるように準備をいたしました。各国との準備、調整の中で、資料館訪問の内容、そしてやり取りの詳細を非公開とすることにいたしました。したがって、これ以上の詳細は差し控えたいと思います。  いずれにいたしましても、各首脳には、静ひつかつ厳粛な雰囲気の中で被爆の実相への理解を深めてもらいながら、核兵器のない世界の実現に向けたG7としてのコミットメントを確認する機会となったと感じております。その成果は、各首脳が資料館訪問後に記した芳名録におけるメッセージにも明確に表れておりまして、G7広島サミットのホームページでも公開をされておりますので、御覧をいただければというふうに考えております。 ○小西洋之君 例えば、イギリスの首相ですけれども、伸ちゃんの三輪車という、当時三歳の男の子で、一度、私も外交防衛委員会、国会の委員会でも触れさせていただいたことがあるんですが、毎日、家の前で育ち盛りのかわいい男の子が楽しく買ってもらった三輪車で遊んでいたと。ところが、まさにその八月六日の朝、原爆の犠牲になってしまったと。男の子は亡くなり、その壊れた、無残に破壊された三輪車が遺品として残っている。また、血だらけのぼろぼろとなった学生服を御覧になった。あるいは、ゼレンスキー大統領は、原爆が落とされた瞬間、また、その後の広島の町が破壊されるそのシミュレーション、そういうものを御覧になったというふうに言っている。  先ほど大臣がおっしゃった、この展示物を首脳の方々に見ていただく、その目的として、被害の実相に効果的に触れていただくというのは、まさにおっしゃるとおり、原爆、核兵器について国際社会が廃絶を目指して取り組んでいくその原点として、目的としては私も正しいと思うし、共有すると思うんですが、ただ、その展示物に、やはり一番見ていただかなければいけない人体の被害写真、それが含まれているかどうかということを、外務大臣が答弁を控える必要はないと思うし、それを国民や国会に対してきちんと御説明、外交の在り方として御説明をやっぱり私はいただくべきだというふうに思います。  もちろん、原爆の投下国であるアメリカとの日米関係も含めて、日本が今厳しい安全保障環境の中で、現実の国際政治、安全保障政策を遂行していく中で、様々な政治としての考慮事項はあることは重々承知なんですが、ただ、原爆資料館のその展示物を見ていただいた、その中に人体の被害写真があるかないかを答えられないのは、私はやはり国民や国会に対する説明責任の在り方の点、それだけではないですが、においてもやっぱり課題があると思いますので、もう一度明確に、人体の被害写真が含まれていたかどうか。  また、G7の首脳とほかの首脳の方々が同じ展示物を見たのかどうか。ちょっとさっきの答弁では分からなかったので、そこを明確にお願いします。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたとおり、各国との準備、調整の中で、G7首脳に限った形での視察といたしまして、資料館訪問の内容ややり取りの詳細を非公開とすることにいたしました。  その範囲で申し上げますと、例えば、禎子の鶴のストーリーを知っていただきまして、何点かの展示品については岸田総理からも説明を行ったというふうに承知をしておるところでございます。それ以上の詳細は差し控えたいと思います。  また、招待国首脳やゼレンスキー大統領とG7首脳は同じ展示物かと、こういうことでございましたが、各国との準備、調整の中で、首脳に限った形での視察とし、資料館訪問の内容ややり取りの詳細を非公開とすることにいたしたところでございますので、この詳細については差し控えたいと思います。 ○小西洋之君 非常に残念な答弁だと思うんですけれども、では、次に参ります。  問いの二番ですが、外務大臣に伺いますが、原爆慰霊碑に献花をしていただいたG7の首脳の皆様、ほかの方々もでありますが、特にG7の首脳の方々に対して、事前に、またあるいは事後も含めて、この慰霊碑、配付資料でありますけれども、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」、この原爆の慰霊碑のこの意味を政府あるいは広島市などから説明をしているのか。この過ちには、この委員会でかつて何度か取り上げたこともありますけれども、核兵器使用だけではなくて、核兵器が使用されるその原因である戦争そのもの、戦争そのものを二度と繰り返さない、そうした広島のこの心、広島の祈りの意味だというふうに説明されているわけでございますけれども、そうしたこの原爆慰霊碑の言葉の意味について事前にG7の首脳の皆さんに説明をされていたのか、答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) このG7首脳による原爆死没者慰霊碑への献花の後、松井広島市長から、慰霊碑について、慰霊碑に係る説明を行いました。松井市長は、この碑文の趣旨につきまして、全世界の人々が原爆犠牲者の冥福を祈り、人類全体が犯した戦争という過ちを再び繰り返さないという決意表明の誓いの言葉である等の説明を行ったというふうに承知をしております。 ○小西洋之君 確認ですが、その松井市長の御説明というのは、私もちょっと映像で見たんですが、首脳の皆さんが献花をしていただいて、そこで松井市長が説明されているような、その場で説明をされているということでよろしいですね。 ○国務大臣(林芳正君) 小西委員がおっしゃるとおりでございます。 ○小西洋之君 実は、前、オバマ大統領が慰霊碑の前で献花されたときも、これ質問しているんですが、実は、オバマ大統領が来日の前にいろんな手段を使って意味を説明しましたというような、結局理事会協議事項で政府から説明いただいたんですが、そのようなことはありました。  いずれにいたしましても、やはり確認しなければいけないのは、非人道的な兵器であり、そして、それが使われる原因になる戦争、その戦争そのものもこの人間の世界において絶対あってはならない究極の非人道的な行為であって、そうしたもの、核兵器の使用と戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う、それが「過ちは繰返しませぬから」、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という趣旨であるということでございます。  じゃ、このG7のサミット、広島ビジョンなども発表されているわけでございますけれども、そうした議論が、こうした広島の心、広島の祈りを踏まえて、それに基づいてなされているのか。これについては、原爆被爆者の各団体、あるいはICANといったような国際的な団体、様々な批判的な見解を出されております。かつての広島市長の方も非常に厳しい、被爆地の政治利用ではないかというような発言もされていらっしゃる広島の元市長の方もいらっしゃるわけでございますけれども。  外務大臣、問いの三番ですが、このG7で核兵器の禁止条約、これについて議論がされているのかどうか、あるいはいずれかの会議、セッションや二国間など様々な形態があると思うんですが、それで議題に入っていたのか、議論していないのであれば、その理由。また、G7のうちのドイツはこの核禁条約について第一回締約国会議のオブザーバーで参加しているんですが、そうしたドイツの方針や姿勢、取組などについて、私はG7のこの首脳会議で議論するということもあってよかったと思うんですが、以上のことが議論されているのかどうか。また、そうしたことを議長国として提案などしなかった理由について、答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) このG7サミットでは他国の発言は紹介しないということになっておりますので、首脳間の議論の詳細を説明することは差し控えさせていただきますが、この核兵器禁止条約につきまして、我が国は核兵器のない世界の出口とも言える重要な条約であると考えておりますが、核兵器のない世界の実現に向けて、唯一の戦争被爆国として核兵器国を関与させるよう努力していかなければならないと思っておりまして、そのためにも現実的かつ実践的な取組を進めていかなければならないわけでございます。今回のG7広島サミットにおいても、こうした我が国の立場を踏まえて、G7メンバーと、各G7メンバーと調整してこの実際の議論に臨んだわけでございます。  今次サミットにおいては、米英仏を含むG7首脳との間で胸襟を開いた議論が行われまして、核兵器のない世界へのコミットメントを確認するとともに、NPT体制、これを維持強化していくことが唯一の現実的な道であるということを含めて真剣な議論が行われたところでございます。こうした議論の結果として発出されたものが、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンでございます。  なお、ドイツは、核兵器禁止条約第一回締約国会合にオブザーバー参加していらっしゃいますが、その際、あわせて、核抑止力を含むNATO加盟国の地位と相反する同条約に加入することはできないと明確に述べているというふうに承知をしております。  今次サミットの性格を、成果を踏まえ、より多くの核兵器国の関与を得るべく努力を継続しながら、現実的かつ実践的な取組、これを力強く進めていきたいと考えております。 ○小西洋之君 次の質問に行きます。今回のいわゆる核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン、広島ビジョンですけれども、この中で記された核廃絶あるいは核軍縮のための取組で、G7がこれまで主張してきていない新しい取組、つまり今回が新規の取組というのは具体的に何があるのか。  今答弁がありましたけれども、私は、核兵器禁止条約というのはこれは国際条約ですから、そこのG7のこのドイツ、批准することはないにしても、オブザーバー参加しているというわけで、やはりその核禁条約の意義を認めているということだと思うんですが、そうしたものについて一言も言及もなく、また、核廃絶に向けた具体的な決意あるいはその道筋というものの具体的な記載が私はないように思うんですけれども、そうした理由について答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) この核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンにおきましては、核兵器のない世界という理想の実現に向けたG7首脳の決意や、今後我々が取るべき行動を示す力強い歴史的文書になったと考えております。  核兵器のない世界に向けた決意として、例えば冒頭のパラグラフでございますが、「我々は、核軍縮に特に焦点を当てたこの初のG7首脳文書において、全ての者にとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認する。」と述べているほか、最後のパラグラフですが、「我々が望む世界を実現するためには、その道がいかに狭いものであろうとも、厳しい現実から理想へと我々を導く世界的な取組が必要である。」、こういうふうにしております。  また、道筋に関して、第三パラグラフですが、「現実的で、実践的な、責任あるアプローチを通じて達成される、核兵器のない世界という究極の目標」に関して、「日本の「ヒロシマ・アクション・プラン」は、歓迎すべき貢献である。」と述べております。  そして、ヒロシマ・アクション・プランの実施における新たな具体的措置として、今後の核軍縮の基盤を成す透明性に関しまして、中ロを含めて未実施である場合には、核戦力の客観的データの公表、NPT運用検討会議に核兵器国が提出する国別履行報告についての非核兵器国や市民社会との双方向の議論、そして民生用プルトニウムの対IAEA報告等の具体的な措置をとるよう首脳レベルで合意、確認し、呼びかけておるところでございます。  このように、G7首脳広島ビジョンでは、核兵器のない世界に向けたG7の決意、また具体的取組を記載しておりますので、これらについては記載がないという御指摘は当たらないと考えております。  なお、御指摘の核禁条約を含め、個別の事項についての記載の有無を含めて、G7首脳広島ビジョンの文言の調整過程については外交上のやり取りでございますのでお答えを差し控えなければなりませんが、G7首脳広島ビジョンは、軍縮・不拡散に関する我が国やG7メンバーの、各G7メンバーの立場も踏まえたものでございます。 ○小西洋之君 今答弁になかったので、政府参考人で結構なんですが、私の質問は、今回のこの広島ビジョンに、これまでG7が主張してきたものとは明らかに違う新しい取組って具体的に何があるかということなんですが、それを簡潔に答えてもらえますか、政府参考人。 ○政府参考人(海部篤君) 御答弁申し上げます。  先ほど大臣から申し上げたとおりでございますけれども、透明性の問題に関して、中国、ロシアを含めて未実施である場合には、客観的データの公表であるとか国別履行報告についての非核兵器国やそれから市民社会との双方向等の議論、それから民生用プルトニウムの対IAEA報告といった具体的措置をとるよう盛り込んでございます。このような内容を首脳レベルで合意、確認したということが今回の意義でございます。  以上でございます。 ○小西洋之君 ありがとうございます。  今の実は答弁のとおりなんですが、市民社会との連携というのは私は重要なことだとは思うんですが、これはしかし、かねてから日本もこういうことをやろうというふうに主張していたことであって、透明性について、中ロの、個別のですね、中ロという個別の国について入っているのが、今までのG7の主張とは違う新しいものだというので、はっきり言えば被爆地の広島で行っているG7、その成果物の核軍縮、これ、核廃絶、一応理想ということで大臣も言いましたけど、決意は持っているんだというふうにおっしゃっているんですが、その具体的なやはり取組というのは、被爆地でやるG7で、事実上、まあないことはないです。おっしゃるように、中ロの核の透明化という、これ大事なことだと思うんですが、ただ、これが本当に被爆地の日本が主催する、議長国のG7の成果物であるかということについては、被爆地広島の皆さん、あるいは長崎の皆さん、あるいは原爆の犠牲者の皆さん、あるいは一般的な広く日本国民の皆さんも、なかなか理解、納得がし難いといったようなレベルではないかというふうに思うところでございます。  さらに、問いの五番、外務大臣に伺いますが、こうした核兵器の使用や威嚇については、バリ宣言がありまして、そこは、これ岸田総理の主導で入れたというふうになっているんですが、バリ宣言の文言は、外務省の訳ですが、核兵器の使用又はその威嚇は許されないというふうに、これ、何か留保は付いてないんですが、ところが、この広島ビジョンについては、これ各方面から批判も上がっておりますが。あの二〇二二年の、核保有五大国ですね、ロシアも含めた、中国も含めた。我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的、侵略抑止、並びに戦争、そして、ロシアのウクライナ侵略が起きて加わったんだと思いますが、威圧。この威圧以外の、防衛目的、侵略抑止、そして戦争の防止というのは、あの二〇二二年の中国、ロシアも含めた核五大国の共同宣言と同じなんですが、すなわち、その核の保有とその核抑止の効用、必要性についてうたう言葉がこの広島ビジョンには、一ページ目のど真ん中と言ってもいいんですが、入っているわけですけれども。  端的に中身を伺いたいんですけど、このバリ宣言の核兵器の使用又はその威嚇は許されないという文言、意味よりも、この広島ビジョン、私が今申し上げた部分というのは後退しているんではないでしょうか。あるいは、後退してないのであれば、バリ宣言の留保の付いてない、核兵器の使用又は威嚇は許されないというのは、今私が言ったような、戦争目的、あるいは侵略抑止、あるいは戦争、威圧の防止というものは含むものとして意味を成しているんでしょうか、バリ宣言の意味として。それを答弁してください。 ○国務大臣(林芳正君) 核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンにおける今御指摘のありました記載ですが、核兵器が存在する限りにおいて果たすべき核兵器の安全保障上の役割等についてのG7の認識を示している部分でございます。  このG7首脳広島ビジョンは、ここのところとは別に、この今お話のありましたG20バリ首脳宣言、この核兵器の使用又はその威嚇は許されないという文言盛り込んでおるわけですが、このロシアを含む全てのG20首脳によるバリにおける声明を想起するという一文を記載をしておりまして、G7の認識といたしまして、G20のバリ首脳宣言を明確に確認をしておるところでございます。  さらに、G7首脳広島ビジョンは、G20バリ首脳宣言を想起するとの一文に続く別の一文で、ロシアのウクライナ侵略の文脈における、ロシアによる核兵器の使用の威嚇、ましてやロシアによる核兵器のいかなる使用も許されないとの我々の立場、改めて表明をしているところでございます。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなっている中で、国民の生命と財産を守り抜くべく、安全保障上の課題に対処することと同時に、核兵器のない世界という理想に現実を近づけていくべく取り組むこと、これは決して矛盾するものではないと考えております。  我が国として、現下の厳しい安全保障環境の下で国民の安全を守り抜くという厳然たる責任を担いつつ、同時に、核兵器のない世界という理想を見失うことなく、それを追い求め続けるという崇高な責任を果たすべく、引き続き不断の努力を重ねていかなければならないと考えておるところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと時間があれなんですが、問いの六番なんですけれども、先ほど触れましたけれども、この原爆の広島の慰霊碑の言葉ですね、この広島の心、広島の祈り、これを踏まえたG7としての議論をしてその成果物をまとめることが、広島で、被爆地である広島でG7を開催し、そこで核廃絶、核軍縮を議論する私は唯一の意義だと思うんですけれども、そうした議論、そうした成果物になっているのかということなんですけれども、この問いの六に関連して大臣に伺いますけれども、この広島ビジョンの冒頭ですね、冒頭には、広島及び長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人道的な苦難を長崎と共に想起させる広島に集ったと、粛然として来し方を振り返るこの時においてというような表現はあります。ただ、そこから、先ほど大臣が読み上げてくださった部分なんですが、初のこのG7の首脳文書においては、全ての者にとっての安全が損なわれない形、これは先ほど私が指摘した核保有国が核を持つことの合理性、必要性、まあ防衛目的だとかそういうことですけれども、それが損なわれない形で核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認するというようなふうになっております。  私は、この広島ビジョンに根本的に欠けているのは、この核兵器の被害の実相、被害の実相について、世界各国のこのまさにリーダーであるG7の首脳が、もちろんそれぞれ国家を、国民、国家を背負っているんですけれども、ただ、恐らくその国民、国家の皆さんにも理解されるであろうこの原爆、核兵器のこの被害の実相についての政治家、一人の人間としての受け止め、で、そこから、この受け止めから発せられる哲学的な理念、やはり人間のこの世界において、この無辜の民をこれだけ無残に大量に殺りくするこの核兵器というものはもう絶対悪であると、絶対使用されてはならないのだと。  ただ、現実の世界政治の中で、我々は、今このG7の国の何か国かは持っているし、それぞれの国もその核の傘の下にはあるんだけれども、ただ、この核兵器というもののその実相、核兵器というものの本質は何であるかということをやはりしっかりとうたって、そのことを世界各国に呼びかけて、核兵器のこの実相を認識して、それを各国に本質を、訴えを呼びかけるということは、この広島慰霊碑の、この核兵器の使用のその原因になるその戦争、戦争というものを何とか世界人類がこの地球上から撲滅しなければいけない、戦争というものも絶対に許されないものだと、そういうような誓い、あるいはその哲学的な理念をしっかりとうたって、その後いろんなこの核軍縮なりの現実的な取組について私はうたっていく、説き起こしていくんであればまだしもだと思うんですが。  そうしたこの被爆地のこの実相について、あるいはそこから導かれている、あの芳名録には実はそうした各首脳のそうしたような言葉がうかがえる首脳の方々も私いらっしゃると思うんですよね。そうした首脳の方々が率直に受け止めた政治家としての、人間としての思い、これは世界人類みんな認識してもらえるものだと思いますので、そうしたものをこの広島ビジョンでしっかりうたって現実的、具体的なその取組というものを私はやるべきでは、まとめるべきではなかったかと思うんですが、それについての大臣の所見をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 被爆地広島で開催をしました今回のサミットでは、G7首脳は、平和記念公園での献花や原爆死没者慰霊碑の広島市長による説明聴取、そして資料館訪問、被爆者との対話等を行いました。これによってG7首脳に被爆の実相に触れていただきまして、これを粛然と胸に刻む時を共有をしていただいたところでございます。委員からも触れていただきましたように、このことは各々の首脳等が芳名録に記したメッセージにも表れていると感じております。  そして、その後の外交・安全保障のセッションで、平和記念公園訪問の印象が強く残る中でG7首脳の間で胸襟を開いた議論が行われまして、その成果として、核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書である核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを発出したところでございます。  このように、被爆地を訪れて被爆者の声を聞き、被爆の実相や平和を願う人々の思いに直接触れたG7首脳がこのG7広島首脳ビジョンを発出したということは歴史的に意義のあることだと考えております。 ○小西洋之君 今おっしゃったように、被爆者の方の体験談も聞かれているわけですから、やはりそうしたものをG7のこの広島ビジョン、成果物の中にしっかりと政治理念として書いて、その上でこの核軍縮などの戦略的な取組、ただ、それも、中ロの透明化というのは大事だと思いますよ。ただ、被爆地の広島で開催して初めてつくれるような戦略的な核軍縮、ましてや核廃絶の取組というのは示されてないわけですので、まあそこは、私はこれは非常に課題があることだというふうに思います。  では、時間ですので、次の質問に移らせていただきますが、安保三文書ですが、ちょっと前回、防衛省に聞いて、明確に何回聞いても答えなかったので、もう時間があれなのではっきり答えていただきたいのですが、今回、政府がやった極めて現実的なシミュレーションですけれども、我が国が武力攻撃を受けている事態を対象にしているというふうに答弁をしているんですが、この武力攻撃を受けている事態というのはいろんな経緯があると思うんですね。  まず、①、我が国が限定的な集団的自衛権を発動して、その相手国からの反撃になるんだと思いますけど、受ける武力攻撃への対処。あるいは、②として、アメリカとどこかの国が武力紛争状態にあって、その他国による、日本はアメリカへの武力攻撃を排除するための限定的な集団的自衛権は発動はしていないんだけれども、当該アメリカとの紛争国においては、最大の軍事的脅威は在日米軍基地だとすると、在日米軍基地への攻撃、そうした事態への対処。三つ目は、今のと同じ、②と同じ状況なんですが、日本がアメリカの同盟国であることを理由として、在日米軍基地以外の自衛隊基地、あるいは日本の都市や産業基盤、あるいは社会インフラなどを攻撃するような事態。  そのような事態、武力攻撃はいろんなケースがあるわけですが、今申し上げた三つの事態をシミュレーションとしては想定、検討に入っている、あるいは入っていないか、イエスかノーかではっきり答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  これまでシミュレーションの説明に際しましては、ミサイルによる攻撃や島嶼部への着上陸などを例示としてお示ししてきたところでございますが、その説明以外のことについて、これは入っているのか、それは入っているのか、そういうふうにお問合せありましても、その全てについてお答えをするということはできないということにつきまして御理解をいただきたいと思います。  その上で、今般実施いたしましたシミュレーションにつきましては、これまでも説明いたしましているとおり、国民の命と暮らしを守り抜くためいかなる防衛力が必要か検証する、こういった観点から、最も烈度が高いと想定されます我が国への侵攻事態等を想定して行うこととしたものでございまして、御指摘のような事態を含め、存立危機事態における対応能力の検証を行ったものではございません。  また、今般のシミュレーションにつきましては、日米安全保障条約第五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻に対して我が国が防衛を主体的に実施し、米軍はこれを支援するといった日米の基本的役割分担を踏まえて検討を行ったものであり、この文脈におきまして、自衛隊の基地や在日米軍の施設及び区域に対する攻撃も含めて検討を行っておりますけれども、委員御指摘のような、米軍と武力紛争状態にある他国にとって在日米軍が軍事的脅威であるから、だから攻撃を受けるんだとか、あるいは、我が国が米国の同盟国であるから、だから攻撃を受けるんだといったことをシミュレーションの前提としているものではございません。  以上でございます。 ○小西洋之君 答えているのかどうか分かりませんが、もうちょっと時間があれなので次に行きますが。  前回の政府の答弁、国民の被害あるいは被害の程度といった要素については検討の中に入っていないと、このシミュレーションでですね。そうすると、憲法九条において、守るべき国民の生命、身体、これが危険にさらされることから守るために必要最小限度の実力のみが九条の下に認められるんですが、そうすると、その被害、国民の被害を想定していないのであれば、その守るべき必要最小限度の実力も測りようがないわけでありますので、今回のこの五か年の防衛装備計画、その全体、これ反撃能力も含みますが、それは憲法九条の必要最小限度の実力とは言えない、少なくともそれがそうであるという合理的な根拠を欠くので憲法違反になるのではないですか。ならないのであれば論理的な理由を説明してください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  武力攻撃事態に際しまして、自衛隊は我が国の防衛という主たる任務を果たすため、武力攻撃の排除をする必要がございます。これは、我が国では自衛隊のみが対応できる任務でございます。  今般のシミュレーションにつきましても、あくまでも我が国に対する武力攻撃を排除し、国民の命と平和を守り抜く、このために必要となる防衛力を整備する、このために実施しているものでございます。また、ここで言う防衛力は、当然のことながら憲法上認められる範囲内で保有あるいは行使されることを前提として検討しておるものでありまして、防衛力整備計画が憲法に反するとの御指摘は当たらないと考えております。  他方、御指摘の国民の保護につきましては、今般の三文書のうち、国家安全保障戦略に基づきまして、政府全体として、円滑な避難に関する計画の速やかな策定、官民の輸送手段の確保、空港、港湾等の公共インフラの整備と利用調整、様々な種類の避難施設の確保を行っていくこととされており、防衛省もこれに協力して、関係機関と連携向上を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。 ○小西洋之君 いや、だから、被害想定せずになぜ必要最小限度の実力と言えるのかと論理的に説明してくださいと言ったのに、全く論理的な説明がなくて単に攻撃を排除すると言っているだけなんですけれども、被害想定しないんだったら、どこまで何の攻撃を排除するのか説明できないんじゃないんですか。  時間なので、次、外務大臣、大事な質問ですが、この極めて現実的なシミュレーションというのは日本が武力攻撃を受けている事態なわけですが、そのときに日本国の総理、外務大臣、外務省は、日本へのこの武力攻撃、これを止めるために一体どういう戦略的な効果的な外交を行うつもりであるのか。今回の三文書の検討において具体的なこういうシミュレーションの事態における日本外交をどのように構想して策定をしているのか、あるいは策定していないんだったらしていないと、その事実関係も含めて答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) まず、国家安全保障戦略におきまして、外交力は我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素としてまず挙げられておりまして、戦略策定の過程においても、外交努力に係る検討を行っております。その結果として、戦略において、危機を未然に防ぎ平和で安定した国際環境を能動的に創出するための様々な外交的取組等について記載をしたところでございます。  その上で、今お話しになりましたシミュレーションについては、将来の防衛力の在り方について検討を行うため、防衛力の役割に焦点を当てて実施したものでございますので、外交についてこのシミュレーションの中で検討を行っているものではないということでございます。  いずれにいたしましても、戦略にも書かれているとおり、平素から日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組の更なる推進を含む同志国等との連携、周辺国・地域との外交などの戦略的アプローチ、これを着実に実施することによって、我が国を取り巻く安全保障環境の改善に取り組んでまいります。 ○小西洋之君 今の答弁、シミュレーションの一環、シミュレーションの中ではこういう外交は検討していないということなんですが、シミュレーションの外で、シミュレーションの中ではなくて、日本が武力攻撃を受けている事態、状況ですから、その中で日本国としてどういう外交を侵略を阻止するために展開するのか、そういう検討を行ったのかどうかの事実関係、行っているんであれば、どういう外交を展開するのか、答弁お願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど、冒頭申し上げましたように、戦略をつくる過程において、外交力は総合的な国力の主な要素として挙げられておりまして、この外交努力に係る検討を行ったところでございます。個別具体的な状況に応じて外交というのは対応することになるので、予断を持ってお答えすることは差し控えたいんですが、今日のウクライナは明日の東アジアになるかもしれないと、こういう危機感を持って対応してまいりたいというふうに考えております。  その上で、一般論として申し上げますと、武力攻撃が発生した段階においては、個別具体的な状況に応じて事態の改善に向けた外交努力、これは政府として行うということは当然のことであると考えております。 ○小西洋之君 時間なので終わりますが、かつて外務大臣は、安保三文書の改定案を作る前は、中国と日本が最大の貿易相手国で、武力紛争やる国とは誰も思わないでしょうというようなことを言っていて、その後答弁が作った後は変わっている。中国が日本に侵攻してくるという事態を想定して四十三兆円にもなる国防政策を立てているわけです。中国と日本が武力紛争することは中国にとっていかに致命的な、破滅的な危機になるかというようなことを、外交でこういうふうに展開するんだということを、私は必要だと思いますけど、言えばいいんだと思うんですね。  そうした外交を次回は答弁を期待して、終わります。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は時間も限られておりますので、日・アゼルバイジャン租税条約にちょっと絞った形で今日は質問をさせていただきたいというふうに思っております。  アゼルバイジャン、私、本当に僅かながらなんですけれども、少し御縁がありまして、一つは、ビジネススクール時代の大親友がアゼルバイジャンの出身だということで、二人でいろんなところへ旅行したりも含めて、いろいろ個人的に思い入れのある国でもあります。また、そんなこともあってか、五年前、実際に同国は訪問させていただきまして、当時はカスピ海周辺の資源開発の会議等に出させていただきました。そんなこともあって、今日ちょっと、アゼルバイジャンのことをいろいろお伺いしていきたいと思っております。  ちょうど昨年が日・アゼルバイジャンの外交関係樹立三十周年であったということでありまして、この日・アゼルバイジャン友好年として様々な交流行事が行われたというふうにもお伺いをしております。また、年末には両国の間で観光協力に関する覚書も署名をされたということで、なかなかちょっと日本人にとってはなじみは余りない国なのかなというふうにも思うわけでありますけれども、この日本とアゼルバイジャンとの間の交流、政治ですとか経済、様々文化も含めた交流について御説明をまずいただきたいと思います。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  日本は、アゼルバイジャン独立以来、その国づくりを支援し、政治、経済、文化などの様々な分野で緊密な関係を築いてまいりました。今委員の方から御指摘ございましたとおり、昨年、外交関係樹立三十周年迎えておりまして、その際に、現地で記念式典、それから文化行事、様々なもの、開催されております。  それから、アゼルバイジャンでございますけれども、先ほど観光協力覚書の話ございましたけれども、バクーの旧市街を含む三つの世界遺産を有するなど様々な観光資源に恵まれている国ということでございまして、そういう関係もありまして、昨年十二月に両国の観光庁の間で観光協力覚書を署名しております。  それから、政治面でございますけれども、関係深化しておりまして、二〇〇六年にアリエフ大統領訪日しておりまして、我が国からも政務レベルで訪問いただいておりまして、今お話ありましたとおり、二〇一八年に委員に経済産業大臣政務官として御訪問いただいておりますけれども、外務大臣の訪問としましては二〇一八年に河野外務大臣、それから直近の例でございますけれども、今月初めに吉川外務大臣政務官がアゼルバイジャンを訪問してございます。  経済面でございますけれども、日本企業がアゼルバイジャン最大の油田、パイプラインに権益を有するなど、エネルギー分野を中心に緊密な関係を有しておりまして、昨年九月には第十一回日・アゼルバイジャン経済合同会議、開催されるなど、経済関係深化しておりまして、審議をお願いしております租税条約もこうした経済関係の更なる深化に資するものでございまして、政府としては、両国関係の更なる深化に向けて引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。  以上です。 ○平木大作君 ありがとうございます。  私のこのアゼルバイジャン人の親友も大変な親日家でありまして、何で日本に関心を持ったかというと、彼自身が現地の日系企業に実は勤めていたことがあって、勤めながら自分の学費を出してもらえたと、なので、自分の教育というのは日本につくってもらったという、非常に恩を感じている人間でありまして、二〇二一年の時点で現地にまだ進出している日系企業十七社ということでありますから、決して多くはないんだと思うんですが、一方で、こういう長年にわたるこの民間企業の、日系企業の活動というものが両国の紐帯になってある意味大きな役割を果たしてきているんだということは是非御指摘をさせていただきたいと思います。  また、観光、なかなかちょっとイメージないんですが、今三つの世界遺産もということで御紹介をいただきました。私もちょっとイメージがなかったんですが、実際にバクーに入ったときの飛行機に実は日本人のシニアの皆さんの大きなグループが乗っていらっしゃいまして、アクティブシニアの皆さんが実はいろいろそういうところも含めて観光も先頭に立って今お取り組みになっているという、一つ一つ、なかなか縁を感じることの少ない国かもしれませんけれども、交流を活発に是非推進していただきたいというふうに思っております。  その上で、今、じゃ、この投資先としてのアゼルバイジャンの魅力という観点で少しお伺いしていきたいんですが、一つは、これ地域的な問題がありますね。いわゆる旧ソ連の構成国でありますから、今、ロシアが実際にウクライナに侵略をしているということが、これ投資先としても当然いろいろな影響があるんだろうと思っております。  また、そもそもは石油ですとか天然ガス、化石燃料の資源を大変持っている国でありますけれども、ここについても、今国際的なトレンドとして、これ、再生可能エネルギーへの投資ということがあるわけであります。こういったこの地域的な要素、あるいはこの世界的なトレンド、これがアゼルバイジャンに今どんな影響を与えるのかということについてお伺いをしたいと思います。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  アゼルバイジャンでございますけれども、豊富なエネルギー資源を背景に、我が国を含む西側からの投資受入れと資源の輸出によってこれまで経済的に大きく発展してきたわけですけれども、今委員の方から御指摘ございましたように、ロシアのウクライナ侵略がありまして、国際的なエネルギー安全保障に大きな影響、生じております。  そういう中で、アゼルバイジャンですけれども、特にヨーロッパに近いということございまして、欧州向けのエネルギーの代替供給源、輸送路としてその重要性を増しているということでございまして、昨年七月ですけれども、アゼルバイジャンとEUの間で、アゼルバイジャンから欧州に向かう南部ガス回廊というのがございますけれども、この容量を倍増することなどを柱とするエネルギー分野における戦略的パートナーシップに関する覚書というのが署名されております。  それから、委員御指摘ありました再生可能エネルギー分野でございますけれども、アゼルバイジャンでは再生可能エネルギーの割合を二〇三〇年までに現在の一七%から三〇%に増加させるということを目指しておりまして、外資による発電所建設も行われているということでございます。それからさらに、黒海海底の電力通信ケーブル施設プロジェクトというのをやっておりまして、これが実現すれば欧州との間で電力融通の余地が拡大し、通信インフラ整備も加速することが期待されております。  我が国としましても、昨年九月に二国間クレジット制度の構築に関する覚書をアゼルバイジャン政府との間で結んでおりまして、政府としては、従来のエネルギー分野にとどまらず、脱炭素を含む様々な分野で我が国企業の更なる進出を積極的に支援してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 ○平木大作君 今御紹介いただいたように、ロシアの侵略行為ということに伴って、実際にEUからはいわゆるロシア産天然ガスの代替調達先という認識を今されているということで、様々投資が活発になっていると。それだけではなくて、この再生可能エネルギーの件もそうでありますし、今御紹介いただいたようないわゆる通信ですとか電力、こういったところも含めて今大変投資が活発になっている地域なんだということで御紹介をいただきました。  そういう中で、ちょっと今日最後に、懸念の部分も含めて質問させていただきたいと思います。  それが、アゼルバイジャン、隣国アルメニアとの間で長年の係争となっているのがナゴルノ・カラバフの領有権ということでありまして、私も高校生の頃地理で習った記憶がありますので、そういう意味でいくと、本当に長きにわたって大きなある意味両国間の中で火種になっている場所なわけですけれども、昨年の九月にも実は軍事衝突というのが発生をしております。  この衝突をめぐりましては、欧州議会、EUがアゼルバイジャンを非難する決議というのを採択をしております。中は、要は、軍事衝突時にこのアゼルバイジャンがアルメニア国民への虐待など人権侵害行為を行ったんじゃないかということで指摘があると。ちょっと気になるわけであります。先ほども、EUから投資が拡大しているさなかなんですけれども、同時に、EUとの関係悪化みたいなことも指摘をされているわけです。  改めて、今回のこの租税条約の締結によって見込まれる効果ということと併せて、ナゴルノ・カラバフ紛争というものがこの同国の投資、経済環境に与える影響について最後確認させていただいて、終わりたいと思います。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  まず、日・アゼルバイジャン租税条約締結の意義でございますけれども、アゼルバイジャンとの間では、一九八六年に発効しました現行の日ソ租税条約を承継しているということでございまして、日本とアゼルバイジャンとの間の経済関係の発展も踏まえて、早期に現行条約を全面的に改正して、新たな条約を締結する必要性が認識されるに至ったということでございまして、今御審議をお願いしております日・アゼルバイジャン租税条約でございますけれども、例えば配当、利子、使用料といった投資所得に対する源泉地国での課税を軽減することによりまして、我が国からアゼルバイジャンへ、あるいはアゼルバイジャンから我が国への投資、進出する企業や個人にとって投資、経済活動に関する二重課税のリスクが低減される効果があるということでございます。  それから、条約の特典の濫用を防止するための規定も導入しまして、税務当局間の情報交換でありますとか租税債権の徴収、相互支援といった仕組みの導入といったことで、国際的な脱税及び租税回避に関して効果的に対処することが可能になります。  こうした枠組みによりまして、我が国とアゼルバイジャンとの間の課税権の調整が更に図られることになりまして、人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されるということでございます。  それから、御質問ありましたナゴルノ・カラバフ紛争の影響ということでございますけれども、アルメニアとの国境地域、それからナゴルノ・カラバフ及びその周辺の一部地域におきましては、御指摘のとおり情勢不安定なところがありまして、地雷等も残されていることから、外務省としましては、危険情報レベルを二から四にしているということではございます。  その一方でございますけれども、首都バクーを含むその他の地域においては比較的平穏が保たれているということから、これら地域については危険情報はレベル一としておりまして、現に同地で日本企業が活動しておりますから、その地域におきまして投資、経済環境に特段大きな支障は生じていないというふうに理解をしているところでございます。  いずれにしましても、今後の二国間の経済関係を含め、関係強化に向けては、この地域、コーカサス地域の安定は不可欠というふうに考えているところでございます。  先ほどちょっと吉川外務大臣政務官の訪問の話、させていただきましたけれども、その際も、地域全体の平和と安定及び発展に向けたアゼルバイジャンとアルメニアの対話の更なる促進を働きかけているということでございます。  以上でございます。 ○平木大作君 時間参りましたので、終わります。ありがとうございました。 ○金子道仁君 おはようございます。日本維新の会、金子道仁です。  林外務大臣、G7の広島サミット、大変お疲れさまでございました。余りにスケジュールがタイトで、たくさんのことが次々に起こるので、質問したいなと思ったらそれがもう既に過去になるというか、もう随分前のことになってしまうような、そのような気がしております。  G7サミット、たくさんの成果があったと思いますが、その成果の先に更に新しい課題も見えてきたんではないか、そのようなことを思っております。次回、木曜日にG7サミットに関しての一般質疑ありますので、本日は、少し導入というか、問題提起というところで御質問させていただきたいと思っております。  最初に、G7サミットの首脳宣言の中に拉致問題の言及がなされたこと、本当に評価しております。先週の木曜日、私、横田早紀江さんとお会いしたときに、早紀江さんが新聞を見せて、これ出るみたいなんですって言ってすごく喜んでおられたのがすごく印象的でした。  コミュニケの五十三番のところにそれが書かれていますけれども、拉致問題についての認識の共有がなされた、これは非常に重要なことだと思いますが、そこでとどまることなく、情報の共有や交換であったりとか、また解決策に関して連携して検討していく、そのような更に一歩進んだ国際連携を、二国間、例えば同じような課題を持っている日韓であったりとか、マルチの場でそのような情報交換であったり解決策の検討の場を設けることはいかがでしょうか。大臣の見解をお願いします。 ○国務大臣(林芳正君) 拉致問題の解決のためには、我が国自身の主体的な取組に加えまして、国際社会と緊密に連携するということも重要であります。  今御指摘いただきましたように、先日のG7広島サミットにおいては、G7首脳との間で核・ミサイル問題、拉致問題を含む北朝鮮への対応におきまして引き続き緊密に連携することを確認するとともに、拉致問題を即時に解決するよう求めるG7広島首脳コミュニケが発出されました。また、例えばG7広島サミットの機会に行われた日米首脳会談等においても、拉致問題の解決に向けた理解と協力を改めて求めて支持を得たところでございます。  そして、四月には国連人権理事会で北朝鮮人権状況決議が本年も採択され、我が国は共同提案国として尽力をいたしました。その中では、日本人拉致被害者の即時帰国の実現を改めて強く要求するとともに、北朝鮮で組織的、広範かつ深刻な人権侵害、これが長期にわたり現在も行われていることを最も強い表現で非難する等の文言が含まれておるところでございます。拉致問題は時間的制約のある人道問題でありますので、引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、今お話がありましたように、米国や韓国を始めとする各国と連携しながら、またG7や国連等の場も活用しながら、国際社会との連携も深めつつ全力で果断に行動してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  このコミュニケの五十三番のところ、少しお読みしますと、「我々は、北朝鮮に対し、人権を尊重し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決するよう求める。」という言及がございました。この国際人道機関によるアクセス等のこと、是非次回木曜日にお伺いし、更に議論を深めていけたらと思っております。  次の問いに進みます。  G7サミット、ウクライナのゼレンスキー大統領が実際に対面で参加され、様々な会談を持たれたと承知しております。その中で、今日は、グローバルサウス諸国とバイ会談が積極的に行われたその点について御質問したいと思っておりますが、特に今年のG20の議長国であるインドとの会談の内容、どのように承知しておられるでしょうか。  インドメディアによれば、モディ首相は、ウクライナ侵攻は世界の大きな問題だと危機感を示した上で、これは経済や政治の問題だけではなく、私にとっては人類の問題である、インドは解決のためにできる限りのことをするつもりだと述べられたと報道を確認しております。  このインドにとって人類の問題というのはどのような意味だと把握しておられるでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 今委員御指摘の点でございますが、インドの外務省の発表によりますと、モディ首相より、今御指摘のあったとおり、このウクライナの問題、これは政治や経済の問題ではなく、人間性や人間の価値の課題であると強調された、このように承知をしております。  モディ首相の発言につきまして、日本政府として有権的にお答えすることはできないところでございますが、この同じくインドの発表によりますと、モディ首相は、まず、ウクライナにおける紛争が世界全体に大きな影響を及ぼしている、このことを指摘されております。で、先ほどの発言があった後に、対話と外交に対するインドの明確な支持を伝達し、インドがウクライナの人々に人道的支援を提供し続ける旨御発言されたと承知をしておりますので、こうした全体の文脈の中で、インドとしてもこの問題が、委員御指摘のように、人間性や人間の価値の課題、又はこの人類の問題という具合に位置付けられたという具合に理解しております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  なぜこのようなことを聞くかと、お伺いするかというと、G7は一枚岩だと、ただ、G20になりグローバルサウスになると一枚岩とはなかなか言い難い、そのような状況の中にあって、どのようにして我が国がこのG20でありグローバルサウスと価値観の共有する範囲を地道に広げていくか、そのためには、彼らが大事にしている価値観は何であって、我々と共有できるものは何なのか、その辺りを、G7の範囲の視野だけではなくて、更に広げていくことがこれから日本外交で必要なのではないか、そのような問題意識で質問させていただいております。  ウクライナの侵攻の解決に向けて、インドを始めとするグローバルサウス諸国とどのような価値観を共有して、日本として解決に向けてイニシアチブを取っていかれる、そのような考えか、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、まさしく力による一方的な現状変更の試みであります。一日も早くロシアによる侵略を止めるためには、こうした試みを許さないという強い姿勢、これを国際社会全体としてロシアに対して示していく、これが重要であると考えております。  この点、G7広島サミットにおきましては、ゼレンスキー大統領にも議論に参加いただいて、インドを始めとする招待国との間でも、世界のどこであっても力による一方的な現状変更の試みは許さず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことが重要であるという点で一致することができたわけでございます。  我が国として、一日も早くウクライナに公正かつ永続的な平和をもたらすべく、G7を始めとする同志国と連携し、引き続き、いわゆるグローバルサウス諸国を含む世界中の国々がこうした考え共有できるように、外交努力を継続してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 確かにおっしゃるとおり、例えば昨年三月の国連総会決議であれば、ウクライナの侵略に対して、中南米で棄権したのはボリビアだけ、無投票はベネズエラだけ、ほとんどが賛成しているわけですね。アフリカとは違う様相を呈しているわけです。ただ、じゃ、一枚岩かというと、実は中南米諸国のあるところから制裁の迂回が行われているんじゃないか、そのような指摘もなされている。まだまだ、その一枚岩だという建前だけではなくて、実質的にその価値観が共有されていくために、日本外交、努力する必要があるのではないかと考えております。  今回の日・バーレーン投資協定、そして日・アゼルバイジャン租税条約についても少し御質問させていただきたいと思っております。  投資関連協定に関しては、二〇一六年、アクションプランにおいて、百の国・地域の国々と投資関連協定を結ぶという目標設定を政府はなさっています。現在、発効済みが八十、そして交渉中の協定を含めると九十四国・地域、達成率九三%ということで、先ほど岩本委員の質疑の中でもそのような話がありましたけれども、このアクションプランの達成の見通し、また、それに向けて、どの国、どのような新しい交渉開始見込みなのか、その辺りをお聞かせください。 ○政府参考人(大河内昭博君) お答え申し上げます。  日本政府といたしましては、これまで投資関連協定の締結に向けて交渉を精力的に進めてきたところでございまして、まさに御指摘のとおり、二〇一六年のアクションプランにおいて設定された目標値には達成いたしませんでしたけれども、現在五十五本の投資関連協定発効済み又は署名済みということで、八十の国・地域をカバーしていると、こういう状況でございます。  今後のことでございますが、相手国との関係もございますので詳細ちょっと申し述べられないところもございますが、我が国との間で投資関連協定を締結していない国からは様々な機会に投資協定に関する要望を受けることがございます。また、経済界からも、我が国企業による対外直接投資の一層の促進に向けて、投資関連協定を質、量両面で充実させること等について要望があると、こういう状況でございまして、引き続き、経済界の具体的ニーズ等も踏まえて、特に中南米及びアフリカを中心に、今後の投資先として潜在性のある国との交渉開始の可能性、これを検討していきたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  一つ質問飛ばさせていただいて、日・アゼルバイジャンに関してお伺いさせていただきたいと思います。  この日・アゼルバイジャン租税条約、アゼルバイジャンが承継した一九八六年の日ソ租税条約を全面的に改正するというふうに御説明をいただきました。  三点、最初に質問したいんですが、一点目は、この日ソ租税条約、承継したままではまずかったんでしょうか。今回改定する必要性というか、租税条約、旧租税条約の問題点は何だったのか。そして二つ目は、同じように承継したままである旧ソ連邦構成国というのはあるんじゃないかと思うんですけれども、それらの国の有無について。そして三つ目は、じゃ、そのような承継したままの国があるのであれば、今後そのような国々との同様な全面的な改正交渉の見通しについてお聞かせください。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  まず、日・アゼルバイジャンの間の話でございますけれども、アゼルバイジャンは、御指摘にありましたとおり、一九八六年に発効した日ソ租税条約を承継していると。他方で、近年の両国間の経済関係の発展等を踏まえて、可能な限り源泉地国課税を軽減するとともに、近年の租税回避等に関する国際的な議論の成果を反映すること等の必要性が両国政府において認識されたため、現行条約を全面的に改正することにしたという経緯でございます。  それから、今でも日ソ租税条約が有効に適用されている国、どこかという御質問でございますけれども、アゼルバイジャンのほか、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウクライナ、アルメニア、ベラルーシ及びモルドバでございまして、このうちウクライナとは現在条約交渉を行っているところでございます。  政府としましては、相手国との経済関係、我が国経済界からの要望、租税条約の締結、改正から生じる効果といった観点を踏まえまして新規の租税条約の締結や既存の租税条約の改正に取り組んでいくこととしておりまして、日ソ租税条約が今も適用されております今申し上げました国々との租税条約につきましても、こうした観点を踏まえて引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  この日・アゼルバイジャン租税条約、これ仲裁規定が盛り込まれていない、交渉の結果これを取り除いたというふうに伺っていますが、その理由について、また仲裁規定なくて大丈夫なんでしょうか。問題が生じないかどうか、お聞かせください。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  仲裁手続でございますけれども、こういうのがありますと、相互協議手続の円滑化、実効性の向上がありまして、それによりまして納税者の負担軽減を図り、投資環境の整備及び国際的な投資交流の促進に資するということでございますので、我が国としましては、一般的に租税条約の締結、改正交渉におきまして仲裁手続の導入を積極的に取り上げていくということにしておるところでございます。  他方で、国によりましては、一般論としまして、国内法上の制約等によりまして仲裁手続の導入を困難とする国があるということでございまして、アゼルバイジャンにつきましても、交渉の結果、導入に合意できる可能性がないというふうに残念ながら判断されたということでございます。  他方で、アゼルバイジャンとの経済関係の発展を踏まえれば、源泉地国課税の軽減や脱税、租税回避に対処する規定の導入、大きな意義があるということでございまして、租税条約の早期締結重要という観点から、仲裁の効果は得られないものの、租税条約の締結を優先するということにしたということでございます。  以上でございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。実際に運用しながら、またこの点、確認させていただければと思っております。  次の質問に移らせていただきます。  ようやくですが、ゴールデンウイークに外務大臣が中南米に歴訪された、そのことを御質問します、したいとお伝えしながら、こんなに時間がたってしまいましたけれども、もう忘れておられるかもしれませんが、思い出しながら御回答いただければと思います。  中南米、非常に親日的な地域であり、なおかつ自由や法の支配、人権の尊重、そうした普遍的な価値も共有できる地域と私自身理解しておりますが、先般の中南米訪問において、FOIP等の我が国の説明に対して、中南米諸国、特に南米三か国、どのような反応だったか、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 四月の二十九日から五月の七日まで、トリニダード・トバゴ、バルバドス、ペルー、チリ、パラグアイの中南米五か国を訪問いたしました。本年一月の中南米歴訪に続いて、価値や原則を共有する重要なパートナーである中南米諸国との友好関係を深めることができました。  各国とは、ロシアによるウクライナ侵略を始めとする現下の厳しい国際情勢を踏まえまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持、強化するため一層の連携を図るということを確認をいたしました。  そして、このFOIPについてですが、南米各国との会談におきまして私から日本の取組を説明をいたしました。これに対して、例えば、ペルーのボルアルテ大統領から理解を得まして、また、パラグアイのアリオラ外相から我が国の取組に賛同するという旨の発言があったところでございます。また、チリのバン・クレーベレン外相とは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持、強化のために連携していくということで一致をしたところでございます。  我が国としては、引き続き、中南米諸国を含むパートナーとの連携を強化しながら、法の支配に基づく国際秩序の堅持に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  そして、先週というか先日になりますが、G7サミットでも、今度、日伯、日本とブラジルの首脳会談が行われたと思います。その中で、特にウクライナ侵攻に関してどのようなやり取りがなされたか、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) G7広島サミットの機会に、私は、日・ブラジル首脳会談に同席いたしました。そして、同行されましたビエイラ・ブラジル外務大臣と外相会談も行ったところでございます。これらの会談でウクライナ情勢について意見交換を行ったところでございます。  両首脳は、自由、民主主義といった基本的価値の重要性、これを再確認をしつつ、力による支配ではなく法の支配こそ重要であり、法の支配に基づく国際秩序の維持及び強化に向けて協力していくことが重要という認識で一致をしたところでございます。 ○金子道仁君 今の御説明ですと非常に前向きに感じるんですが、ルラ大統領、G7サミットの後、広島で様々な報道がなされていますが、このような発言を聞いています。  ロシアとウクライナが平和を願わず、互いに降伏を迫れば交渉にはならない、ブラジルはインドやインドネシア、戦争に巻き込まれてない中立の国々と和平に向けて話し合う、グローバルノースの国々、先進国の国々ができないことをしていきたいとか、この戦争の話はG7ではなくて国連の場で議論すべきだであったりとか、死者をこれ以上出さないためにすぐにも停戦すべきだという主張であったりとか、この交渉がなければ戦争は長引くだろうということで、中国やインドなどとともに和平に向けて取り組んでいきたいと、そのようないろんな発言をブラジルはしておられます。日伯首脳会談での発言のラインと、少し記事、記者ブリでの話、相違を感じるんですが。  で、このブラジルが来年G20の議長国になり、彼らのリードをしていくわけなので、是非彼らの立場というものを日本として理解すべきだと思うんですが、このブラジルの立場をどのように考えたらよろしいでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) ルーラ大統領によります二十二日の記者会見における発言について、各種報道、承知しておるところでございます。  先ほども申し上げましたが、二十日の首脳会談において、両首脳は、ウクライナ情勢に関連して、力の支配ではなく法の支配こそが重要であり、法の支配に基づく国際秩序の維持及び強化に向けて協力していくことで一致をしたところでございます。ルーラ大統領は、会見におきまして、特にウクライナ和平に向けた対話の必要性、これを改めて強調する発言を行ったと、こういうふうに受け止めておるところでございます。  ブラジルとは、首脳会談やG7広島サミットのアウトリーチ会合で一致した諸点、こうしたところを踏まえながら、引き続き連携をしてまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 この話を是非続けていきたいんですが、時間が近づきましたので、最後に、中南米訪問の中で、パラグアイ、この国は南米で唯一の台湾を承認している国です。そして、今回、台湾との国交の維持を訴えたペニャ氏が大統領選挙に勝利し、外務大臣はペニャ氏との会談を行ったというふうに伺っておりますが、パラグアイにおける中国、台湾承認問題、どのような状況か、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 四月三十日に実施をされましたパラグアイ大統領選挙にてサンチアゴ・ペニャ氏が勝利をいたしました。先般、五月五日、私がパラグアイを訪問した際にペニャ次期大統領の表敬を行いまして、当選の祝意を、当選への祝意を伝達いたしました。  パラグアイの台湾との関係については、日本政府として他国の外交政策について評価をする立場ではございませんが、両岸関係及び地域の平和と安定の観点から、日本政府としても今後も注視していきたいと思っております。  いずれにいたしましても、台湾は日本にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であります。平素からこうした日本政府の立場に基づき関係国とも意見交換してきておりまして、パラグアイ政府に対しても、累次にわたって様々なレベルで我が国の考え方を伝達してきておるところでございます。 ○金子道仁君 時間が来ましたので質問を終わりたいと思います。また次回、木曜日、御質問させてください。  ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  私も一言、G7広島サミットですね、久方ぶりに見応えのある、手応えのある、実りあるG7サミットが行われたなと思います。野党が言うんで間違いないと思うんですけれども、いいサミットだったと思います。サミットがここのところ形骸化したりいろんなことがありましたが、久しぶりに世界にメッセージとインパクトを与えたサミットだったと思います。かつては、何を食べたとかお土産物がどんなものとか、あるときのサミットでは主催国の大統領が自分が経営するホテルを自慢していたり、いろんなことがございましたが、今回は久しぶりに本当に骨太のサミットができたなと思っています。  この件につきましては、明後日、また少し議論したいと思いますが、こうなってくると、我々参議院ですが、衆議院は早く選挙やってくれと与党の皆さん思うのが常だと思うんですけれども、政治は一寸先は闇ですからね、そんな簡単にいかないと私は思いますよ、はい。これはもう総理しか分かりませんが。公明党の山口那津男代表が、サミット効果で支持率は上がると思うが、総理は総合的に考えるだろうと、このことが直ちに解散に結び付くとは考えにくいとおっしゃったんですね。これはさすが山口先生ですね。私もそう思いますよ。我々野党ですからいつでも受けて立ちますけれども。  このサミットの真っ最中に、足立区で区議会議員選挙やったんですね。定数四十五で六十四人が出る大激戦だったんです。自民党さんが現職五人、新人二人、七人も落選しちゃって、サミットの真っ最中ですよ、十七人いた議員が五人減って十二人になっちゃったんです。公明党さんが第一党になりましたよね、第一会派に。維新の会と国民民主党は立候補者全員当選です、うちは一人なんですが。当選率一〇〇%。少し、私も党の幹事長として、この外交と我が国の国内政局も密接に連結しますので注視をしていきたいと思いますが、局長が早く質問しろという顔をされていますので、協定の質問に入りたいと思います。  国民民主党は、日・バーレーン投資協定と日・アゼルバイジャン、日・アルジェリア租税条約には賛成でございます。  湾岸諸国の中で最初に石油採掘に成功したのが実はバーレーンでございまして、一九三二年、昭和七年のことでした。その二年後の一九三四年に初めてバーレーンは石油を海外に輸出するんですが、その最初の輸出相手が日本でございました。以来、バーレーンと日本は石油を通して、また様々な関係を通じて密接な関係にあるんですけれども、昨年はおかげさまで日・バーレーン国交樹立五十周年の節目を迎えることになりまして、その節目の年の二〇二二年に本協定が署名されたということで大変外交的に意味深い、まあ御祝儀とは申し上げませんが、非常に友好関係を確かめ合う私は条約になったんだろうと思います。  二〇一八年四月にバーレーン西海岸沖に大規模な油田及びガス田が発見されまして、推定のシェールオイルの埋蔵量が八百億バレル以上という報道もありました。  今後、日・バーレーン間のこのエネルギー協力において本協定がどんな役割を果たされるんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 今、榛葉委員からお話がありましたように、このバーレーン、これは資源輸出国としてエネルギー安全保障上大変重要な国でございまして、エネルギー分野にも従事している商社を中心に十九社の日系企業が進出をしておられます。  この日・バーレーン投資協定の締結によりまして、投資環境の透明性、法的安定性及び予見可能性を向上させて日系企業による投資を保護、促進することで、今後もエネルギー分野を含む投資が更に増加をするということが期待されるところでございます。 ○榛葉賀津也君 ところが、このGCC諸国との自由貿易協定、この交渉が二〇〇九年を最後に中断してしまっているんですが、この中断の理由と今後の方向性、これについて局長にお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、GCCとのFTA交渉につきましては、二〇〇九年の七月に、GCC側がFTA政策全体を見直すということで、そこで中断いたしました。その後、二〇一四年三月に、GCC側の見直しが終了しまして、その後、各国と交渉再開をする方針を決定をしていると。  それを受けまして、日本政府としては、我が国から、GCCの事務局だけではなくて、各国に対して首脳及び閣僚レベルで早期の交渉再開を累次働きかけておりまして、今後とも、引き続き交渉再開を粘り強く働きかけていく考えでございます。 ○榛葉賀津也君 おおむねいつ頃からこれがスタートするんでしょうか。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答え申し上げます。  現時点でいつ交渉再開ということを明示的にお答えすることはできませんけれども、日本の経済界からも交渉再開を強く望む声ございますので、我々としては更に一層働きかけを強化してまいる所存でございます。 ○榛葉賀津也君 私も、このGCC諸国との自由貿易協定を早くしてほしいという声が聞こえてまいりますので、投資部分も含めて、是非積極的に交渉に取り組んでほしいというふうに思います。  次に、アルジェリアについてお伺いしますが、アルジェリア東部のイナメナス郊外においてイスラム武装勢力によって天然ガス関連施設が襲撃されて、あっという間に十年がたちます。当時、城内外務副大臣が現地に赴いたり、記憶にあるところでございますが、当時、大手プラントメーカーの日揮の社員らが人質に取られまして、日本人十名を含む四十人が死亡されたという衝撃的な事件でございました。  日揮さんは、一九六〇年代後半、六九年辺りからアルジェリアでプラント建設行っていて、アルジェリアで本当に数々のプロジェクトを成功させてきました。また、工事では実際に現地のアルジェリア人のエンジニアを雇ったり教育したり、様々な現地の信頼は厚かったんですけれども、このようなことがあって本当に残念でございました。  この租税条約が締結された場合、より多くの日系企業がアルジェリアに進出するというふうに思うんですけれども、イスラム過激派に対するアルジェリア軍の掃討作戦で国内の治安は改善されたという情報もあるんですけれども、依然、外務省のホームページや様々な情報に接しますと、まだまだテロが絶えず、懸念が払拭されていないという情報もあります。  現在のアルジェリアの治安状況、これどうなっているでしょうか。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答え申し上げます。  いわゆるイナメナス事件から、委員御指摘のとおり十年たつわけでございますけれども、その後、アルジェリア当局は警備強化を行っておるとともに、これまで特にテロリストが多いと言われておりました国境の地帯、それから山岳地帯、そういうところを中心に掃討作戦を継続的に実施をして、治安状況は改善をしております。最近数年間の統計を見ますと、テロの発生件数というのは一桁台にとどまっているという、そういう状況でございます。 ○榛葉賀津也君 そうですか。私は少しそれ希望的観測ではないかなと思うんですけれども。  実際、このイナメナス事件でも、この武装集団はマリで結成して、それでリビアからアルジェリアに入ってきたということで、今でもリビアやチュニジアとの国境周辺、若しくは首都の東部にあるビリー地方等々ではまだテロが継続されているという報道もありますし、フランスが十一月に、昨年十一月に撤退をしたんですけれども、マリから、リビアでまだまだ内戦が続いていますし、リビアではアルカイダ系のテロ集団やイスラム国系のテロ組織が活動を活発化させているということで、治安は相当私は心配だと思うんですけれども、現地の大使館と密に連絡を取っていると思うんですけれども、この周辺国の状況はどうなんでしょうか。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答え申し上げます。  アルジェリアについては、委員御指摘のとおり、南部ないしは東部におきまして周辺国と非常に長い国境線を通じておりまして、その国境線の管理というのは極めて難しいという状況かと思います。  そういうこともありまして、アルジェリア当局は、この国境周辺、それからアルジェの東にありますカビリーといういわゆる山岳地帯、そこもこれまでは比較的テロリストが多いと言われていて、そういうところを集中的にテロリストの掃討作戦を行ってきたという、それで実際の成果が上がっているという実態ございます。  ただ、そういう国境の長い地域、それから、その国境の反対側のマリですとか、あるいはリビアというところの政情というのは決して安定していないわけでございますので、そういうところの状況は外務省としても引き続きしっかりと把握をして、在留邦人の方に情報提供したいと思います。 ○榛葉賀津也君 このイナメナス事件の首謀者がモフタール・ベルモフタール容疑者で、イスラム聖戦士血盟団の指導者だったんですけれども、この男、ニックネームが拘束不可能な男と言われていまして、いつも死んだ死んだと言われても生きているんですね。これ、なかなかしぶといやつでございまして、先日も、二〇一六年にフランス等の空爆で亡くなったと、死亡したという説があるんですが、いまだに分かりません。  この一派と彼自身の消息というのは、外務省、把握されているんでしょうか。 ○政府参考人(長岡寛介君) 委員御指摘のモフタール・ベルモフタール容疑者でございますけれども、二〇一三年ぐらいまでは本人によるものという声明がなされておりましたが、二〇一六年にフランス等の攻撃によって殺害されたという報道もあるというふうに承知をしております。  また、この彼が率いていたテロリストグループにつきましては、治安機関の掃討作戦等によって構成員の多くがアルジェリア国内から排除されたというふうに見られているというふうに我々は承知をしております。 ○榛葉賀津也君 最後に、我々がしっかりやらなければならないのは、日系企業や邦人の安全を確保するということでございます。現地の情報収集体制、十分整っているか、それを確認させてください。 ○政府参考人(長岡寛介君) アルジェリアにおきましては、これまでも、先方政府、それからほかの外交団とかと緊密な情報収集をしておりますけれども、イナメナス事件を受けまして、アルジェリア大使館には新たに防衛駐在官を設置をして、軍との間での情報の共有、交換ルートといったものも構築をして、引き続き、情報の収集、分析、それから広報に努めているところでございます。 ○榛葉賀津也君 防駐官が駐在されたというのは大変頼もしい情報でございますので、しっかり対応してほしいと思います。  終わります。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  G7サミットについて外務大臣に伺いたいと思います。  初めに、先ほど小西議員の質問を伺っていて、私も疑問に感じましたので伺いたいのですが、首脳らが原爆資料館を訪れ、被爆者から証言を聞いたことなど報道されてきました。ところが、視察は完全非公開とされ、何を見たのか、その詳細は明らかにされず、被爆者と会った様子も隠されました。これはなぜですか。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほども小西委員にお答えをいたしたとおりでございますが、この視察に当たっては、各国との準備、調整の中で、資料館訪問の内容ややり取りの詳細を非公開とすることにいたしたところでございます。 ○山添拓君 準備、調整の過程でそのような要望があったということなんですね。 ○国務大臣(林芳正君) 各国との準備、調整の中で、資料館訪問の内容ややり取りの詳細は非公開とすることにいたしました。 ○山添拓君 お答えになりませんが、これはアメリカやフランスなど核保有国の首脳が展示を見る様子が伝わるのを避けたかったということも報じられておりました。被爆の実相に向き合うのを拒むような姿勢を日本政府の側がサポートしたと取られても仕方ないと思います。  しかし、被爆者の証言を聞いた以上は被爆の実相にも触れたはずです。人間らしく死ぬことも人間らしく生きることも許さない核兵器の本質的な非人道性に思いを致さざるを得なかったはずです。だからこそ、いかなる国の使用も威嚇も、いかなる状況の下でも許されないという核兵器の廃絶が当然の道となるべきです。  大臣に伺います。  被爆の実相を踏まえた核兵器廃絶の必要性について、首脳間ではどのように合意したんですか。 ○国務大臣(林芳正君) 被爆地広島で開催されました今回のサミットでは、G7首脳は平和記念公園での献花、資料館訪問、被爆者との対話等を行いました。これにより、世界のリーダーたちに被爆の実相に触れていただき、これを粛然と胸に刻む時を共有していただきました。このことは各々の首脳等が芳名録に記したメッセージにも表れていると感じております。  その後、外交・安全保障セッションで、平和記念公園訪問の印象が強く残る中でG7首脳との間で胸襟を開いた議論が行われ、こうした議論の結果、核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書である核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを発出をしたところでございます。核兵器のない世界という理想の実現に向けたG7首脳の決意や、今後我々が取るべき行動を示す力強い歴史的文書になったと考えております。  同文書においては、G7首脳の総意として、広島、長崎に核兵器が投下されて以来七十七年間に及ぶ核兵器の不使用の記録の重要性、これを強調するとともに、粛然として来し方を振り返るこの時において、途中略しますが、核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認するなどと記載しているところでございます。  このように、被爆地を訪れて、被爆者の声を聞き、被爆の実相や平和を願う人々の思いに直接触れたG7首脳が先ほど述べたような内容を含むG7広島首脳ビジョンを発出したこと、これは歴史的な意義のあることだというふうに考えておるところでございます。 ○山添拓君 今長く答弁をいただいたんですが、その広島ビジョンにもコミュニケにも、被爆者という言葉すら出てこないんですね。また、今省略をされた部分は、核兵器のない世界の実現、その枕言葉として、全ての者にとっての安全が損なわれない形でのと、条件も付しているんですよ。  ですから、今、こうした態度を取ったG7の成果文書とされるものについて、例えばICAN、核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲氏は、被爆の実相と文書が断絶している、被爆地が踏みにじられた感じだと批判をしています。こうした憤りの声が上がるのは当然だと思うんです。  ウクライナへの侵略をめぐって、ロシア・プーチン大統領が、核兵器の使用を辞さない、威嚇を繰り返してきました。核戦争の危機に直面する中で、ロシアであれアメリカであれ、いかなる国であれ、使用も威嚇も許さないための国際社会の対応が問われてきました。ところが、サミットの成果文書、広島ビジョンは、中国やロシアの核政策を批判する一方で、G7側の核兵器は、防衛目的のため、侵略を抑止し、戦争及び威圧を防止するなどと正当化しました。  これは、大臣に伺います。  ロシアによる核使用の威嚇が許されないのは当然です。しかし、G7側にも核軍縮の義務があるはずです。NPT六条の義務です。なぜG7側の義務には触れていないんですか。 ○国務大臣(林芳正君) 核軍縮に関するG7広島首脳ビジョンにおきましては、中ロに対して、第六条を含むNPTの下での義務に沿い、関連する多国間及び二国間のフォーラムにおいて実質的に関与することを求めております。  これは、同ビジョンで記載しているように、ロシアによる核兵器の使用の威嚇やベラルーシへの核兵器配備の意図表明、また、中国による透明性や有意義な対話を欠いた加速している核戦力の増強といった昨今の動向を踏まえたものでございます。  同時に、同ビジョンでは、米、英、仏を含むG7首脳の総意として、核兵器のない世界へのコミットメントを再確認し、世界全体の核兵器数の全体的な減少傾向は継続しなければならないとしております。また、核軍縮を追求するための基礎として、NPTは堅持されなければならないと記載をしておるところでございます。  引き続き、同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、また英、仏とも連携し、G7広島首脳ビジョンも踏まえつつ、中ロを巻き込む形で、軍備管理そして軍縮に係る取組を進めてまいりたいと考えております。 ○山添拓君 いや、今の大臣の答弁された部分は中国、ロシアに対して求めるもので、これもう当然ですが、G7側の核兵器については六条に基づく軍縮義務、これは明記されていないですね。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この同ビジョンに、米、英、仏を含むG7首脳の総意として、核兵器のない世界へのコミットメントを再確認し、世界全体の核兵器数の全体的な減少する傾向が継続しなければならないとしております。また、核軍縮を追求するための基礎として、NPTは堅持されなければならないと記載しておるところでございます。 ○山添拓君 六条という核軍縮義務、それをあえて除外しているわけですよ。加えて言えば、中ロに対しても核兵器廃絶を求めるものとはなっていません。  こうして核保有国がNPT六条に基づく義務の履行に背を向ける中、多くの非保有国が被爆の実相を踏まえて作り上げたのが核兵器禁止条約です。昨年六月の第一回締約国会議では、ロシアのウクライナ侵略に公然とは反対していない国も含めて、全会一致であらゆる核兵器の威嚇を非難しました。既に九十二か国が署名し、国連加盟国の半数に迫っています。この流れにこそ核廃絶へ向かう力があります。  大臣に伺います。  今年、第二回締約国会議が開かれる予定です。政府は参加するんですか。 ○国務大臣(林芳正君) 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約であります。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要でありますが、同条約には核兵器国は一か国も参加をしていないところでございます。  我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければならないと思います。核兵器のない世界の実現に向けて、唯一の同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、今回のサミットの成果も踏まえて、ヒロシマ・アクション・プランを始め、現実的かつ実践的な取組を進めてまいります。 ○山添拓君 いや、それで、第二回締約国会議には、政府としてはどのように対応していこうと今お考えなんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げました基本的な考え方を下に対応をしてまいりたいと思っております。 ○山添拓君 参加をするのかしないのかと、対応について明言することもされない。そして、核兵器のない世界を永遠の目標などと言って、核抑止力論にしがみつく。被爆地広島で核廃絶に背を向ける、開き直ったということは、これは断じて許されないと指摘したいと思います。  残りの時間で、投資協定に関わって伺います。  本日の議題である日・バーレーン投資協定には、ISD条項が含まれています。企業が、進出先の国の制度や政策の変更により損害を受けたと主張し、当該外国政府を相手取り、損害賠償請求ができるようにするものです。  これは外務省でしょうか、経産省がお答えになるでしょうか。これまでISD条項に基づき日本政府が提訴された事例を御紹介ください。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  日・香港投資協定に基づき、日本政府が香港の投資家から太陽光発電の個別案件に関する再エネ特措法上の措置に関する事案についての国際仲裁手続に申し立てられた事案が一件ございます。  仲裁判断の結果につきましては、仲裁手続規則及び仲裁廷の命令により紛争当事者間の合意がないものについて開示が禁じられているため、これ以上の詳細についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、日本政府による賠償金支払が発生する状況にはございません。 ○山添拓君 裁判費用は幾ら掛かったんですか。 ○政府参考人(柏原恭子君) お答え申し上げます。  仲裁手続に関する情報については、仲裁廷の命令により案件の存在自体を除き開示が禁じられており、仲裁費用等、ただいま外務省から答弁のあった内容以上の詳細についてお答えすることは差し控えたいと存じます。 ○山添拓君 いや、日本側で掛かった裁判費用も明らかにできないのですか。 ○政府参考人(柏原恭子君) ただいま申し上げましたとおり、仲裁手続に関する情報については、仲裁廷の命令により案件の存在自体を除き開示が禁じられております。  経産省としましては、仲裁費用の金額についても仲裁廷の命令により開示が禁じられていると理解しており、お答えすることは差し控えたいと存じます。 ○山添拓君 いや、これはちょっと、会計検査院本当に通るのかということを疑わざるを得ないですが。  法規制が争われたわけですね。ところが、費用すら公にできないとおっしゃるわけです。今後、提訴されたような場合も、合意がない限り、仲裁廷の命令によって国民にも国会にも説明しないおつもりですか、外務省。 ○政府参考人(片平聡君) 私の方からは一般論のことを申し上げました。  個別の事案につきましては、経産省の方からお答えしたとおりでございます。 ○山添拓君 公にできない、訴えられたにもかかわらずですね、そのような仕組み自体不合理と言うべきです。  近年、投資協定などでISD条項を採用せず、又は既に締結したISD条項を破棄する動きを見せる国があるといいます。御紹介ください。 ○政府参考人(大河内昭博君) お答え申し上げます。  御指摘のように、投資協定におきましてISDS条項を規定しない方針等を取る国があるということは承知しておりますが、他国の政策判断でございますので、我が国といたしまして認識ないしは見解を示すことは差し控えたいと、このように考えております。 ○山添拓君 ブラジルは、ISDSは憲法に反するとして締結していません。南アフリカ、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル、インドネシアなどで破棄する動きが報じられています。EUでは、ISDSは死んだと宣言し、常設の投資裁判所の設置を提唱しています。アメリカとカナダの間では、発効後三年でISD条項が停止されました。オーストラリアの労働党は、今後の貿易協定にISD条項を含めないと宣言しているといいます。  多国籍企業が国家主権を脅かすISD条項は不当だというのが世界の流れです。これに日本政府が固執し続けるのはやめるべきだということを指摘し、質問を終わります。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  三条約案については、特段異論はありません。  五月九日の委員会で触れたとおり、岸田首相は、防衛力の抜本的強化を具体化するに当たって極めて現実的なシミュレーションを行ったと表明し、このシミュレーションの概要が防衛省から配付資料一、二、三のように示されています。この極めて現実的なシミュレーションの概要資料には、米軍は書かれておらず、その代わり、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には我が国が主たる責任を持って対処すると書かれています。  防衛大臣、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、米軍は頼りにしないで、我が国が主たる責任を持って対処しなければならない状況が極めて現実的な想定であると理解してよろしいのですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) まず、今般のシミュレーションそのものについて申し上げれば、国民の命と暮らしを守り抜くため、我が国の防衛力に不足がないか検証する観点から、最も烈度が高いと想定される我が国への侵攻事態等を想定したものであり、防衛力整備上の検討として現実的なものであったと考えております。  それで、先生御下問の米軍について申し上げれば、日米安保条約第五条が行使されているという、そういう状況の中で、日米間の役割分担と申しますか、我が国への侵攻に対しては、我が国が主体的に行動し、米軍がこれを支援する、こういうことを前提としてシミュレーションを行っているものでございます。  以上でございます。 ○伊波洋一君 ですから、聞いているんですよ。米軍は頼りにしないで、我が国が主たる責任を持って対処しなければならない状況が現実的想定であるということとして理解していいんですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) ただいま申し上げましたとおり、米軍につきましては、日米安保条約第五条によりまして、日米の主たる役割分担、すなわち、我が国への侵略に対しては、我が国が主体的に対応し、米国がこれを支援するということを前提としてシミュレーションしております。  すなわち、我が国が主体的に対応しなければならない我が国への侵攻事態、こういったものを前提としてシミュレーションを行っているわけでございまして、例えば、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻といった状況を想定いたしまして、自衛隊がどのように対応するか検証することをやっております。  それによりまして、我が国への侵攻に対処するために不十分な自衛隊の機能、能力、こういったものを見付け出します。不十分なところがまさに防衛力整備という形になっていくんだと、こういうことでございます。  以上でございます。 ○伊波洋一君 極めてこの現実的なシミュレーションということを基に四十三兆円の予算が成立しているわけです。そのことによって、それが実現した暁には我が国は防衛される、つまり安全保障の道であるというふうな理解の下で当然行われているというふうに理解していると思うんですが。  前回の質問において、浜田大臣が、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、その態様に応じてシームレスに対応し、我が国が主たる責任を持って対処し、同盟国の支援を受けつつ、これを阻止、排除すると明記しているところであります、と、こういうふうに答えられました。  今、日本には五万人を超える米軍がいるんですよ、日常的にですね。その上で、沖縄などを中心に、毎日のように激しい訓練をしているわけですよ。しかし、その訓練に対する私たちの地域からの声に対して、これは抑止力を維持するために大事なんだと。でも、今回の事態は抑止が破れたときの話なんです。つまり、抑止力としての訓練はあるけども、実際に有事になったときには米軍は対応しないという事実がそこにあるでしょう、実際、シミュレーション、これ見てますとね。現実にそのことをやはりお認めになった方がいいんじゃないですか。  大臣にお聞きしますけど、極めて現実的なシミュレーションの概要資料の書面上は米軍が出てきていないということはお認めになりますか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、米軍というのは当然シミュレーションの対象になってございます。それは、日米安全保障条約第五条、それが行使されている状況にあって、我が国が侵略されているその中で、日米の基本的な役割分担、すなわち、我が国への侵攻に対しては、我が国が主体的に対応し、米軍がこれを支援すると。  この我が国が主体的に対応しなければならない事態、これは先ほどるる申し述べましたけれども、それに対して、それを実行するに当たりまして、今々現在の装備品、これで十分なのか足りないのか、足りないとなればどれほど足りないのか、それを明らかにする。これが防衛力整備となっていくわけでございますけれども、そういうことを明らかにする、これがシミュレーションの目的でございます。  それから、一点付け加えさせていただきますと、防衛力整備というのを、確かに今般四十三兆円をいただきまして、これから実施していくということでございますけれども、あくまでもその目的は我が国の抑止力を向上させる、向上させるというのが第一の目的でございまして、もとより、それが万一破れた場合には適切な対応ができるということもありますけれども、まずまずは我が国の抑止力を向上させる、それによって国家と国民の安全を高めると、これが目的であります。以上、申し添えさせていただきます。  以上でございます。 ○伊波洋一君 このシミュレーションの三番、三枚目は、「抑止が破られた場合、」という前提があるんですよ。その上で、「迅速かつ粘り強く活動し続けて、相手方の侵攻意図を断念」させる、そこに「持続性・強靱性」という形で最大の予算、十五兆円が入っているわけです。  前回の大臣の答弁は、日米安全保障条約五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻には、我が国が防衛を主体的に実施し、米軍はこれを支援し補完するといった日米の基本的役割を踏まえて検討を行っているところであります、ということであって、でも検討を行っているわけだから、これは現実的なシミュレーションでしょう。  その上で、この持続性、強靱性の中に十五兆円、三百の、これは予算委員会で大臣が答弁したことですけれども、三百の自衛隊の施設について、戦争をできる持続性と強靱性を備えるように五年ないし十年で実現するんだと。つまり、国内での戦闘を予定しているわけですよ。まさにそういう予算なんです、この予算は。そのことにおいて米軍が見えていないという話は最初からあるわけで、これは結局は我が国もウクライナ型の戦争をしなきゃならないと、こういうことに見えるわけです。  そこら辺については、前回言ったように、そういうことはしっかり明らかにしてくださいと。つまり、私たちの進む道、日本の安全保障の進む道のときにその答えはどうなのか。それで、じゃ、そこに平和があるのか。そのことに対する質疑はしてきたんです、レクで。でも、それでも答えられないわけですよ。でも、大臣は答える立場です。つまり、その道を行けば日本の安全を守れるのだということを言っていかなきゃいけない話でしょう。でも、確かにそういうことは計画を作ったと、四十三兆円、それを着実に実施をしていくんだということまでお答えになっています。  でも、そのこと自体が本当の意味で私たちの国を安全にするのか。そのために反撃力という名のミサイルを、いいですか、ミサイルを周辺諸国に、中国、北朝鮮、ロシアに向けていくということを明確にしているわけですよ。でも、アメリカは一度もそんなことしていません。中国もロシアも北朝鮮も、我が国に対してミサイルを向けるということを明確に言ったことはありません。でも、この計画は明確に向けるということを言っているんですよ。そういう危険な道を本当に歩むべきかということを思って質疑をしています。  日本有事に、今、いろいろ答弁していますけれども、実際、日本有事に米軍が打撃力を行使しないことは、この間、日米戦略でも、二〇〇五年の米軍再編合意でもちゃんと答えているし、合意されていますし、二〇一五年の日米ガイドラインでも表現されているとおりです。安保三文書の前提として、日本有事において米軍が撤収するというのは、国民に明確に説明すべきです。  五年間で四十三兆円の軍拡のうち十五兆円という最大の額が「持続性・強靱性」に充てられています。この「持続性・強靱性」とは、前回、浜田大臣の答弁によれば、自衛隊が粘り強く活動し続けて相手の侵攻意図を断念させる、というものです。極めて現実的なシミュレーションでは、抑止が破れた場合には長期戦に持ち込むことを想定しているということですよね。どのくらいの期間の長期戦で、自衛隊にはどのくらいの被害が出るのでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  防衛力の抜本的強化の検討に際しましては、シミュレーションを行って、御指摘の持続性、強靱性といった分野を重視して、必要となる防衛力の内容を積み上げてございます。  それから、御指摘でありましたけれども、長期戦を防衛省は考えているのかという御質問だったと思いますけれども、防衛省では特定の期間を戦い続ける能力、これを見定めるというやり方は取ってございません。すなわち、持続性、強靱性というのは時間的な概念ではないというふうに考えております。  すなわち、様々な状況において、自衛隊が我が国に対する武力攻撃を排除するなど、求められるその役割を十分に果たし得るか、例えば、我が国に対するミサイル攻撃に対しましてどのような迎撃アセットがどの程度必要か、こういったことを検証することを通じまして、十分な装備品あるいは弾薬、誘導弾等の所要量を見定めているということでございます。  また、したがいまして、先ほどおっしゃいましたその持続性、強靱性というのは、もちろん施設、施設の状況を改善するというのも入りますけれども、あわせまして、弾薬や誘導弾を必要数保有するということ、あるいは機材の様々な維持整備、これをきちんと行って、持っているのに使えないという状況が出現しないようにすること、こういったことも含めまして、多額のお金を用意していただいたということでございます。  それから、先生の御質問の中で特定の国の名前等が出ておりましたけれども、我が国の安全保障政策や防衛力整備は、特定の国・地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではないということでございます。  今般策定されました国家安全保障戦略等に記されております中国、北朝鮮、ロシアといった我が国周辺の軍事動向や将来の技術的水準の動向を踏まえつつ、想定される各種事態への対応についてシミュレーションを通じた分析を行っておりますけれども、あくまでもこれは情報上の、あるいはシミュレーション上の、あるいは周辺の軍事動向という観点から中国、北朝鮮、ロシアという名前を国家安全保障戦略においては挙げておりますけれども、我が国の安全保障政策あるいは防衛力整備そのものは、特定の国・地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくんだと、先生、中国という名前を出しておられましたけれども、中国に軍事的に対抗していくんだと、こういう発想に立っているものではございません。  以上でございます。 ○伊波洋一君 今の答弁を聞いても、結局、それぞれの自衛隊基地、三百の自衛隊基地で戦争ができる状況にするんだということの決意は分かるんです。でも、そのこと自体が国民に十分周知されていないと思うんです。だって、アメリカ軍がいるんでしょう、日米安保があるんでしょう、日米安保は少なくとも日本が攻撃されたときにはアメリカが守ってくれるんでしょう、という話なんですよ。でも、それがなくなっちゃったんですよ、もう。  でも、今実際には、各三百の自衛隊基地の施設の強靱化というのは、そこで戦闘を想定する場合があり得るということを言って予算を付けているということで了解していいんですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 施設について申し上げます。  防衛省には、三百に及ぶ駐屯地、基地、あるいは二万三千に及びます防衛施設、ビルディング、これがございます。こういったものが、あるものはもう非常に古くなり、あるいは昭和五十六年に行われました建築基準法の大改正に従う新しい建築基準、これに合致していないとか、そういう様々な問題がありまして、これを改善する、あるいは、防衛省の施設にふさわしい必要な防護性能を身に付けているものが非常に少ない、これの状況を改善すると、こういう観点で、防衛力の下支えとなる防衛施設を充実を図るというものでございまして、直接的にその三百の防衛施設そのもので戦闘行為を行うかどうかということはまた、これはまた別の問題だというふうに考えてございます。  それから、米軍の話が出てまいりましたけれども、何度も申しますように、安保条約第五条が発動されておるところで、日米間の基本的な役割分担、すなわち日本が、日本への侵略については日本が主体的にこれに対処する、アメリカはこれを支援すると。したがいまして、日本は、我が国に対する侵略に対して主体的に対応しなければならぬということで、アメリカが守ってくれるからいいやと、こういう問題ではないということは当然であろうと考えております。  したがいまして、主体的に我が国を自衛隊が守るに当たって、それじゃ、何が、現有の装備品の何がどれだけ足りているのか足りていないのか、これを明らかにするというのがこのシミュレーションの概要でございます。  以上でございます。 ○伊波洋一君 シミュレーションは、民間人についてどのくらいの被害を想定していますか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) シミュレーションにつきましては、想定される各種事態に対応する過程で生じ得る様々な状況、これを勘案いたしまして自衛隊員の被害につきましては考慮いたしておりますが、国民の被害そのものについては、これをカウントはしてございません。  他方、国民につきましては、国民保護によりまして、政府全体、防衛省だけじゃなくて政府全体の取組として国民保護を図っていく、そのために防衛省を含めた関係省庁が相協力する、様々な公共インフラとかそういったものを活用しながら、あるいは必要に応じて国民に避難していただく、そういうことも含めまして、様々な官庁が力を合わせてこれを実現すべきものと考えて、政府全体としてこれに取り組んでいこうとしておるわけでございます。 ○伊波洋一君 さっきの質問で、自衛隊はどのくらい被害が出るということを想定しているんでしょうか。自衛隊員、自衛隊にはどの程度の被害が出るのか。今、自衛隊を想定しているという話でした。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 想定される各種状況に対応する過程で生じ得ます自衛隊員の被害については、もちろん防衛省として考慮いたしておりますけれども、その詳細につきましては、我が国の防衛上の能力を明らかにしてしまうという観点からお答えできないことにつき御了解をいただきとう存じます。 ○伊波洋一君 ウクライナ戦争では、配付資料四のように、今年二月まででロシア軍の死傷者は十四万五千人、うち死者は六万から七万人、ウクライナ軍死傷者は十万人以上、ウクライナ民間人は二万一千五百人と、うち死傷者は八千人を超えると言われています。  また、資料五のように、特に民間人は、ロシアによる侵攻開始から約一か月の二二年三月末で四千四百二十一人が死亡、三千四百三十九人が負傷しています。今年の三月末までの死傷者はおよそ八千五百人を超えています。負傷者は一万四千三百人を超えています。これは国連難民高等弁務官事務所が確認した数字ですから、実際にはこれを上回る市民が犠牲になっていると思われます。  ウクライナの人口密度はおよそ日本の五分の一、沖縄県の十分の一です。万が一日本が戦場になれば、民間の死傷者だけ見てもウクライナの五倍、十倍の犠牲者が出てもおかしくありません。長期戦を想定するということは、日本全土を戦場にし、自衛隊も周辺の住民も時間稼ぎのために犠牲になるということを受け入れるということです。これが極めて現実的なシミュレーションと私は思っています。日本政府は、五年で四十三兆円、後年度負担も含めて六十兆円を、経済成長に結び付かない防衛費を回す余裕などありません。  配付資料六のように、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、二〇二八年度以降も同水準の防衛費を維持するために、最悪の場合、追加的に二・八兆円の防衛増税、軍拡増税が必要だと試算しています。  大臣、お伺いしますけれども、年末に予定されるという軍拡増税はやめるべきです。その上、二八年度以降も更なる軍拡増税が必要になるのではありませんか。中国など周辺国との軍拡競争や更なる軍拡増税について、日本社会が耐えられるとお考えでしょうか。財政的にも持続可能性がないのではないでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今御質問の件でありますが、その前に、日本全国が戦場になるというようなお話がありましたが、そういったことをシミュレートする前の段階のシミュレーションを我々はしなければならないと思っております。  なぜなら、その状況になるまで我々が事に対して手をこまねいているような状況であってはならないというふうに我々は考えておりますし、あらゆる手段を使ってでも、この日本という国家の、国の領土がですね、で戦場がなるようなことというのは我々としては当然のごとくシミュレートするようなものではなく、しっかりとそれを食い止めるだけのことをやるということが我々に与えられた任務だというふうに考えておるところでございます。  そして、今お話にありました、この防衛増税についてというお話がございましたが、この我々の抜本的に強化する防衛能力は将来にわたって維持強化していかなければならないわけでありますが、この防衛力を安定的に支えるためには、二〇二八年度以降、毎年約四兆円のしっかりとした財源が必要であります。  今般の防衛力の抜本的強化の検討に際しては、防衛力強化の具体的内容、予算、財源を一体的にお示しするとの方針の下、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、様々な検討を行いました。一年以上にわたって活発な議論を積み重ねて、その集大成として国家安全保障戦略等の閣議決定の形でお示しをいたしました。その中で、政府として、能力の抜本的強化の財源確保のために、税制措置を含め、歳出、歳入面の具体的措置について示しております。  防衛省・自衛隊としては、こうした政府の、与党の方針、政府・与党の方針について、国をしっかりと守るために議論を尽くした結果であり、防衛費の財源として最適なものと考えておるわけであります。  いずれにせよ、今般の防衛力抜本的強化に当たり、このように防衛関係費の財源を捻出するために、各分野の歳出改革を含めた様々な工夫をしていただいている中で、関係者や国民の御理解をいただくためにも、防衛省としても自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えており、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底してまいりたいと考えているところであります。 ○委員長(阿達雅志君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。 ○伊波洋一君 もう時間になっておりますので、はい。  旧ソ連は米国との軍拡競争に多額の予算を投入した結果、財政的にも社会経済的にも破綻したと言われています。岸田軍拡が日本を旧ソ連のようにしてしまわないか、大変心配です。引き続き、次回に向けてまた質疑をしてまいりたいと思いますが、無理なことはやはり私たちはしてはいけないと、このような思いを持って終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御発言もないようですから、三件に対する質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。  これより三件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 ○山添拓君 日本共産党を代表し、日・バーレーン投資協定、日・アゼルバイジャン租税条約及び日・アルジェリア租税条約に反対の討論を行います。  日・バーレーン投資協定は、日本企業による投資の拡大を通じた海外進出を促進するため、投資環境を整備しようとするものです。  本協定に盛り込まれたISD条項は、多国籍企業が進出先国の制度や政策の変更により損害を受けたと主張し、当該進出先国の政府を相手取り損害賠償を求め、提訴できるようにするものです。進出される側の国の政府が多国籍企業に提訴されるのを恐れ、自国民の権利保障や環境保全のための国内規制を抑制する萎縮効果を生み、仮に敗訴すれば、自国民より外国企業の利益を優先させ、規制撤廃が求められることになります。国家主権を脅かすことは明らかです。  日・アゼルバイジャン及び日・アルジェリア租税条約は、配当、利子、使用料という投資所得に対する源泉地国での課税限度税率を軽減又は免除するものです。海外子会社による投資所得は課税されないため、親会社である日本の大企業は優遇されています。その上、両条約によって源泉地国での課税が劇的に軽くなり、税制優遇措置を二重三重に享受できることになります。源泉地国の課税権を制限することになるのも妥当ではありません。  経団連など経済界は、投資所得に係る源泉地課税を軽減することは海外からの資金還流及び国内における再投資という好循環の実現に資するなどと主張し、租税条約ネットワークの充実による更なる税制優遇を公然と求めています。  両条約は、こうした財界の要求に応え、国際課税分野での大企業優遇税制を国内外で更に拡大強化するものです。物価高が暮らしと営業を襲う一方、大企業は空前の内部留保をため込んでいます。不公正税制の是正こそ求められており、大企業や投資家への優遇税制を強める両条約には賛成できません。  以上、三条約に対する反対討論といたします。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御意見もないようですから、三件に対する討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とバーレーン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアゼルバイジャン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十一分散会