第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第12号 令和5年5月9日 令和五年五月九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      安江 伸夫君     山口那津男君  四月二十八日     辞任         補欠選任      山本 啓介君     松川 るい君  五月八日     辞任         補欠選任      山口那津男君     横山 信一君      金子 道仁君     石井 苗子君  五月九日     辞任         補欠選任      横山 信一君     下野 六太君      石井 苗子君     金子 道仁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 下野 六太君                 横山 信一君                 石井 苗子君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        経済産業副大臣  中谷 真一君    大臣政務官        財務大臣政務官  宮本 周司君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       加野 幸司君        内閣官房内閣審        議官       室田 幸靖君        内閣官房内閣参        事官       吉住 秀夫君        デジタル庁審議        官        山本 和徳君        外務省大臣官房        審議官      石瀬 素行君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        審議官      中村 和彦君        外務省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        参事官      大槻耕太郎君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      林   誠君        外務省大臣官房        参事官      宮本 新吾君        財務省主計局次        長        寺岡 光博君        財務省国際局次        長        土谷 晃浩君        経済産業省大臣        官房審議官    弓削 州司君        防衛省大臣官房        施設監      杉山 真人君        防衛省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      上田 幸司君        防衛省大臣官房        審議官      茂木  陽君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省地方協力        局長       深澤 雅貴君        防衛装備庁装備        政策部長     萬浪  学君        防衛装備庁プロ        ジェクト管理部        長        坂本 大祐君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○外交、防衛等に関する調査  (国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力  整備計画に関する件) ○平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙  空間の探査及び利用における協力のための日本  国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との  間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連  合との間の協定の締結について承認を求めるの  件(内閣提出、衆議院送付) ○協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイ  バー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結  について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、安江伸夫君、山本啓介君及び金子道仁君が委員を辞任され、その補欠として松川るい君、横山信一君及び石井苗子君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官加野幸司君外二十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査のうち、国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画に関する件を議題といたします。  まず、政府から順次報告を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) 昨年十二月に策定をいたしました国家安全保障戦略について御報告申し上げます。  国家安全保障戦略は、国際秩序が重大な挑戦にさらされ、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、約九年ぶりに策定されたものです。  本戦略は、外交、防衛のみならず、経済、技術等を含む多岐にわたる分野の安全保障上の問題に対し、総合的な国力を最大限活用して、我が国の平和と安全を含む国益を確保するための安全保障に関する最上位の政策文書です。  本戦略では、我が国の国家安全保障上の目標として、主権と独立の維持、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化、国際社会が共存共栄できる環境の実現等を掲げております。  まず優先されるべきは積極的な外交の展開です。我が国は、長年にわたり、国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や国際協力を行ってきました。その伝統と経験に基づき、大幅に強化される外交の実施体制の下、今後も、多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や他国との共存共栄のための国際協力を展開します。  本年三月、自由で開かれたインド太平洋のための新たなプランを発表し、国際社会を分断と対立ではなく協調に導くとの目標に向け、歴史的転換期におけるFOIPの考え方や取組を示しました。FOIPのビジョンの下、戦略的な外交を展開してまいります。  こうした外交を展開するためには、裏付けとなる防衛力が必要であり、本戦略では、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化等の方針を示しております。  その上で、我が国を全方位でシームレスに守るための取組の強化等のため、宇宙、サイバー等の新たな領域への対応能力の向上、海上保安能力の強化、経済安全保障政策の促進等、政府横断的な政策を進めることとしております。  必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国、同志国等との連携を踏まえ、国際比較のための指標も考慮し、我が国自身の判断として、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせ、そのための予算水準が現在の国内総生産の二%に達するよう、所要の措置を講じることとしております。  本戦略に基づく戦略的な指針と施策は、戦後の安全保障政策を実践面から大きく転換するものです。政府として、本戦略に基づき、安全保障に資する取組を着実に進めてまいります。  本戦略で示された方針は、憲法、国際法、国内法の範囲内で実施されるものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての歩みをいささかも変えるものではありません。  本戦略の下で、国民の生命や暮らしを守り抜くという政府の最も重大な責務を果たしてまいります。  皆様の御理解と御協力を賜りますよう、お願いを申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) 昨年十二月に策定しました国家防衛戦略及び防衛力整備計画について御報告申し上げます。  国家防衛戦略は、防衛力整備等の基本的指針である防衛計画の大綱に代わり、我が国の防衛目標、その達成のためのアプローチ等を包括的に示すものであります。  防衛目標として、万が一、我が国への侵攻が生起した場合、我が国が主たる責任を持って対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止、排除するといった三つの目標を掲げております。そのためのアプローチとして、防衛力の抜本的強化を中核に、国力を統合した我が国自身の防衛体制を強化するとともに、日米同盟による抑止力と対処力や、同志国等との連携を強化する方針を掲げております。  特に、防衛力については、相手の能力と新しい戦い方に着目して、抜本的に強化することとしております。そのため、可動率向上や弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、将来の中核となる能力を強化する方針の下、その具体的内容として、スタンドオフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、国民保護、持続性、強靱性の七つの重視分野を示し、その中で、我が国への侵攻を抑止する上での鍵となるスタンドオフ防衛能力等を活用した反撃能力について、その意義や必要性等に関する政府の見解も示しております。  さらに、言わば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤の強化、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための人的基盤の強化などにも取り組んでまいります。  次に、防衛力整備計画は、我が国として保有すべき防衛力の水準を示し、その水準を達成するための計画であり、おおむね十年後の自衛隊の体制や、今後五年間の経費の総額、主要装備品の整備数量を記しています。  例えば、スタンドオフ防衛能力として一二式地対艦誘導弾能力向上型等の開発やトマホーク等のミサイルの着実な導入、弾薬等の早期整備、部品不足による装備品の非可動の解消や可動数の最大化等の取組を示しております。  これらに必要な事業を積み上げ、二〇二三年度から五年間における防衛力整備の水準は、四十三兆円程度としております。  今般、国家防衛戦略及び防衛力整備計画において政府が決定した防衛力の抜本的強化の方針は、戦後の防衛政策の大きな転換点となるものです。我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の生命、財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、防衛省・自衛隊は、今後とも全力を尽くしていく所存です。  皆様の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  日本有事の際の来援軍等と自衛隊との武器、弾薬の相互提供について質問をいたします。  まず、配付資料の一、これを御覧ください。  この資料一は、前回の委員会で、経産省から、来援軍に対する装備移転の、装備の提供は防衛装備の海外移転になると答弁があり、内閣官房からは、ACSAの締約国であるか否かによって法律上提供可能な装備に差異はないと答弁があり、防衛省からは、厳しい安保環境やロシアのウクライナ侵略という現実を踏まえて、国内法で縛られている武器の提供については不断に検討して、関係省庁とも協議するとの答弁がありました。  そこで、外務大臣に伺います。  今回の安保三文書の策定に当たり、日本有事の際の来援軍等との武器、弾薬の相互提供について十分検討をされたのでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今回の防衛力強化の検討に際して、国民の命を守る、守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを行った上で必要な防衛力の内容を積み上げ、必要な装備、数量を積み上げたところであり、まずは、昨年末に制定された三文書等に基づき、いわゆる有事においても武器、弾薬が不足することのないよう防衛力の抜本的強化を実施することが重要であると考えております。  その上で、想定を上回る武器、弾薬が必要となるような場合や防衛力の抜本的強化が完成するまでの間については、我が国が外国軍隊に対して武器、弾薬を提供する場合も含め、ウクライナ情勢も踏まえながら、ACSA締結相手国等を始めとした諸外国との間で武器や弾薬を始めとする物品の提供及び受領についてのニーズを不断に検討していくことは重要であると考えております。 ○佐藤正久君 重要性はそのとおりなんですけれども、なかなかこの三文書にはその部分が明記されていないと、装備移転も今後検討というふうになっています。  要は、ウクライナのドンバス地方のように、仮に西日本の一部が敵国に侵略されたら、自衛隊は奪還作戦、これを行わないといけません。その際に、日本の防衛産業の現状とか自衛隊の備蓄で足りますか、来援軍との武器、弾薬の相互提供なくて奪還できますかという話だと思います。  資料二、これを御覧ください。  これは、防衛省や経産省の資料を基に、相互提供の枠組みを表にしました。日本は、武器、弾薬をもらうことには法的縛りが緩いんですけれども、来援軍への提供はかなりハードルが高いということがこの表から分かると思います。  まず、防衛省に、この資料二の肌色の部分、来援軍等からの受領について伺います。  武器、弾薬を有償で受けたり、あるいは寄附受けをする場合に、そこに殺傷兵器あるいは非殺傷兵器等の縛りや小火器、弾薬に限るなどの縛りがありますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  これまで、他国の部隊が必要とする武器や弾薬は自ら携行するものと考えられたこと、また、米国等との協議の中でも、武器や弾薬の支援の、特に武器につきましてはその支援のニーズがなかったことを踏まえ、ACSA締結国との間では相互に提供する物品に武器は含めないこととしてきたところでございまして、ACSAの手続により、武器はお互いに提供しないこととしてきました。  また、仮にいわゆる有事において他国からの弾薬の提供が必要となった場合、米国を始めとするACSA締結国からは、ACSAの手続で無償による弾薬の貸付けを受けることが可能です。なお、ACSAにおいて、物品の提供はそれぞれの国の法令に従って行われることが規定されているとともに、ニーズ等を踏まえ、米軍とは誘導ミサイル等を、インド軍とは弾薬をACSAの対象外としているところでございます。 ○佐藤正久君 局長、全然違います。質問と全く違う答えで、この資料二のこの肌色の部分です、肌色の部分、もらう方。もらう方について、有償とか無償で寄附受けする場合に、それに、殺傷兵器とか非殺傷兵器とかの武器あるいは弾薬で、小火器とかそういう縛りはありますかという質問です。 ○政府参考人(増田和夫君) ACSA締結相手国を始めとした諸外国との間で、ウクライナ情勢を踏まえながら、武器や弾薬を始めとする物品の受領についてのニーズを不断に検討していくことは重要であると考えておりますが、一般論といたしまして、先生が今おっしゃったような制約はないのではないかと思います。  ちなみに、これは最近私もちょっと承知したんですけれども、自衛隊法第六章に規定される自衛隊の行動に際しての物品の寄附受けにおける基本的な考え方という、これは通知が出ておりまして、平成二十三年五月十七日、これ東日本大震災直後でございますけれども、大臣官房の監査課長と防衛装備庁の長官官房総務官の名前で通知が出ておりまして、この中で、外国等からの提供、国際機関や外国政府等が提供する物品については、任務遂行上必要であり、部隊等で使用することが可能であると判断された物品については受け入れることができるものとするということになっておりまして、それに何らかの制約はないと思われます。 ○佐藤正久君 だから、局長、大臣も、もらう方ですよ、もらう方、自衛隊が来援軍等からもらう場合に、有償とかあるいは寄附でただでもらうという部分については所掌事務の遂行である限り法的縛りないんですよ。非殺傷兵器とか殺傷兵器、これはあげる場合にはいろいろ制約ありますけれども、もらう方については所掌事務の遂行でできると。ただし、これは貸付けになるとACSA等で相互提供で縛りがあるという何かへんてこな状況になっているんですよ。  それで、じゃ、経産省に伺います。  ここでの寄附受け、この肌色の部分ですね、受領の寄附受けの場合、来援軍の方から寄附受けをする場合、各品目ごとに輸入手続を取るのか、それとも包括許可で輸入手続を取って防衛省等が寄附受けの手続を行うのかと。有事にこんな煩雑なことをやったら多分間に合わないと思うんですけれども、これ、寄附受けの場合は輸入手続ということになるんでしょうか。 ○副大臣(中谷真一君) 自衛隊など政府機関が来援軍から譲り受けることを含め、武器、弾薬の提供を受ける場合につきましては、その使用場所にかかわらず、輸入貿易管理令、これ外為法の下位法令でありますけれども、これに基づきましてあらかじめ経済産業大臣に協議することとされております。したがって、自衛隊が領域内で使う場合と領域外で使う場合で、法的根拠又は輸入手続に違いはございません。  輸入貿易管理令に基づきまして経済産業大臣と事前協議を行っていただくということによって、武器、弾薬に対して外為法上の輸入承認義務が適用されないこととなっており、円滑に、円滑な輸入が可能になるというふうに考えているところであります。 ○佐藤正久君 事前協議をしないとこれ駄目で、まさに副大臣も元自衛官ですから、実際有事のときに、その細かい物品一個一個、この輸入手続、かなり難しいんですよ。もうやっぱり包括的な協議体でなければ寄附受けすらできないと。実際にウクライナが、今、ゼレンスキー大統領が各国からもらっているのは、まさにこの無償の寄附受けでやっているんですよ。  そういう部分をしっかりやらないと、いざというときに一回一回手続する、非常に面倒くさい話で、これ逆に、副大臣、この逆に提供する場合、来援軍等に、一緒に共同作戦しますよね、奪還のために。このやるときに、例えば日本の空挺部隊も、あるいはオーストラリアの空挺部隊も、領域外、つまり排他的経済水域の上空をヘリや航空機で飛ぶ場合って十分考えられます。南西諸島はほとんどが公海上ですから、そういうときに、仮にオーストラリアの海兵隊等に、あるいは空挺に武器、弾薬を提供して一緒に作戦する場合、これが公海上でいた場合は、これは装備移転三原則上、手続が必要になるという理解でよろしいんですか。 ○副大臣(中谷真一君) 先生御下問のその領域内で提供をしたものが使用されるかどうかと……(発言する者あり)領域内でということが、なかなか軍事上不確実なことが多いので、先生言われたようなケースはあるというふうに思います。  その際は、法令上、外為法上、輸出に該当する可能性がある場合となってしまいまして、外為法上に基づく許可申請が必要となります。この申請の際については、防衛装備移転三原則との関係で、米軍等行動関連措置法に基づく武器、弾薬の移転を含め、法律に基づき自衛隊の実施する物品又は役務の提供に含まれる防衛装備の海外移転として、三原則の運用指針において移転を認め得る案件に位置付けられております。  ただ、実際におきましてこれをやるというふうになりますと、これは外為法の運用上、米軍等行動関連措置法等に基づきまして自衛隊が行う物品又は役務の提供等につきましては一括して輸出を許可する包括許可の対象となっておりますから、ですから、有事の際は速やかな提供が可能になるというふうに考えております。 ○佐藤正久君 手続はそうかもしれませんけれども、要は、外為法、装備移転三原則に縛られちゃうんだと、これ答弁のとおりなんです。日本有事で一緒に戦うときに、当然、領海だけど、領域内だけではなくて、当然、排他的経済水域、島なんかだと領海もごく僅かですから当然公海上どんどん作戦行動しますよ。そのために装備移転三原則に縛られるということはほとんど想定していないんですよ、今までの議論で。海外移転というと日本の領域外ということですけれども、実は日本の防衛でもこれは海外移転になってしまうという今答弁のとおりで、だから、そこはやっぱり、今回、防衛大臣、せっかく防衛三文書で装備移転見直すというんですから、海外、領土でやる場合だけではありません、日本有事のことを考えておいて、今までにない厳しい環境で抜本的に防衛力強化をすると。まさに同志国、同盟国と連携するというときに、その装備あるいは弾薬のやり取りが物すごい縛りが、この海外移転というものに縛られちゃうと。今答弁のとおりなんですよ。  これ、防政局長、この辺りは真剣に今回の議論で、日本有事と考えたら、ほとんど現場の自衛隊、一緒に作戦できませんよ。日本の領域内で動くなら別です。日本領域内だけということは島国の日本考えればあり得ませんから、この辺りは今回の見直しで真剣にやる必要があると思われませんか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、日本有事の場合を考えた場合の同盟国そして同志国等との物品のやり取りにつきましては様々な課題があろうかと思っております。  振り返りますと、先ほども申し上げました東日本大震災の際にも、未曽有の災害に際しまして諸外国の方々が日本に参りまして、支援をしていただきました。その際に我々自身も様々な物品を受け取るということがあったわけでございまして、そういう中で先ほどの平成二十三年の通知がありまして、寄附受けを受けることができるというふうに明確にしたわけでございます。  また、ACSAという規定ができました。これは、同盟国であるアメリカやインドやオーストラリアなどの国々と共同訓練や共同の行動を行う際に物品、役務の提供をし合うと、相互にし合うと、そのための決済手続を円滑化するために必要があるということで行われたわけでございますけれども、このACSAができる以前は物品管理法や自衛隊法の需品等の貸付けの規定に基づきまして有償で行うというような、手続も煩瑣なものがございました。そういういろんな様々な教訓を経ましてACSAという簡便な手続ができたというふうに承知しております。  そういう中で、先生がおっしゃられたように、ウクライナの教訓もある中で、どのようにしていくかということについては防衛省としても不断に検討していきたいと思っておりますし、また与党の中でも議論が今行われている最中でございましたので、その議論に我々としても参画していきたいと思っております。 ○佐藤正久君 大臣、この表を見てください。非常に何か不思議なのは、日本有事に自衛隊が寄附受けをする場合には法的な縛りがなくて、これ、貸与だと、ACSAを使わない場合は制約がないんですよ。ACSAを使う場合は制約があると。非常に何かへんてこな状況になっているんです。ACSAを使わなければ制約はないんです。ACSAを使うと、手続上簡単だけど、制約が起きてしまうと。  さらに、この灰色の部分、今度は来援軍に自衛隊があげるという部分について伺います。  日本を守るために命を懸けて来援した軍隊に、有償なら提供できますけれども、寄附ならできないと。日本は、来援軍から寄附でもらったけれども、来援軍には寄附しないと。何か違和感ありませんか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、この表に、資料二にございますように、受領に際しましては、このように様々我々として受けることができると。他方、提供する方につきましては、これは既存の、先ほども御説明しました財政法、会計法、物品管理法等の規定に基づきまして、いわゆる血税で購入いたしました防衛省が管理しております物品を渡す場合にはこれ有償でやるという大原則があるわけでございまして、他方、新たな政策目的等があります場合には、先ほど申し上げましたような形でACSAの規定を設けましたり様々なことがあるということでございまして、今後、この点につきましては防衛省としても不断に検討していきたいと思っておりますし、与党における御議論などにも参画したいと思っております。 ○佐藤正久君 この表を見て分かるように、どちらかというと、国有財産を提供するという観点から提供には物すごい縛りを掛けてきたと。無償でこの寄附はできないし、貸与の場合も、米軍等行動関連措置法と、もう八年前、作った当時の環境でこれバツにしているんです、全て、小火器含めて。本当にこれが、先ほど外務大臣から説明があったこれまでにない厳しい安全保障環境の中で、本当にこれが今の環境にマッチングしているのかと。  多分、私はこれは見直すべきだと思います、小火器も、一切武器は駄目なんですから、含めて。それは、米軍はニーズがなくても、あるいはフィリピン軍とか、あるいは海兵隊、イギリスの海兵隊含めて、同時に作戦やる場合においては、その貸し借りという部分はあってもおかしくない話。本当に日本を命を懸けて守ってくれる人間の小銃が壊れたときに、そこで、うち、小銃余っても渡せない、これは変な話だし。  さらに、この前、クレムリンに無人機の攻撃がありました。攻撃がありました。  ただ一方で、防衛省の市ケ谷にはPAC3が今展開中ですけれども、市ケ谷のPAC3では首相官邸に対するドローン攻撃、これは対応できません。PAC3は弾道ミサイル用なので、PAC2と違って巡航ミサイルとかあるいは航空機には不向きです。やっぱり防衛省として、日本の国民の命を守るという観点から、やはり弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンというものからしっかり守らないといけない。ところが、今、PAC3と中SAM、数が全然足りません。日本、北海道、沖縄まであって非常に広くて、都市部もいっぱいあります。そういうときに、本当に今自衛隊が持っているPAC3と中SAMで主要都市が守れるかと、全然足らないと思います。  ウクライナの方では、まさに無辜の国民がロシアのドローン攻撃あるいはミサイル攻撃によって住宅に着弾をして被害が出ていると。日本は、国策として、そういう防空火器、ウクライナの国民の命を守る、そういう火器は渡さないと言っています。でも、日本有事のときは全然足らない。くださいと多分言うでしょう、守らないといけませんから、全然足りませんから。今回の防衛力の整備計画のあのPAC3と中SAMの数では全然守れません。  今、市ケ谷にはPAC3がありますけれども、大阪の方にはPAC3は展開していません。東京だけ守って大阪守らなくていいのかという議論もあってもおかしくない、展開していないんですから。というふうに、やっぱりいざというときに自衛隊とか来援軍の作戦を守るための防空網も大事です。でも、国民の命を守る防空火器も絶対大事なんです。ウクライナの教訓見て分かるように、そういうことが起き得るんです。であれば、やっぱり相互提供という観点から、今回の装備移転の見直しも、自分、日本有事のときにやっぱりもらうと、ギブ・アンド・テークという部分の観点から踏まえてやらないといけないと私は思います。  昨日、外務省の方に来てもらってレクを受けました。こういう、自分はあげないけれども自分はもらうよ、そういう国があるのかと聞いたら、分かりませんという答弁でした。それじゃ、やっぱり、日本の今回の抜本的強化といいながらも、全然そこは、いかにIAMDというきれいなことを言っても、実際の国民の命を守るためにはやっぱりほかの国からもらうということも踏まえてやらないと、日本の防衛産業と、あるいは備蓄、あるいは日本のその装備のサプライチェーン、素材含めて日本だけじゃ作れませんから、いろんな国から素材もらわないと装備品ではできないということを踏まえて、やっぱり日本有事のときにやっぱりもらうということも踏まえた今回の議論というのは、これは精緻に冷静にやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今委員の御指摘にあった点については我々も今後しっかりと対応していかなければならないと思いますし、その装備移転についての議論というのは、今、これからまた議論をされるところでもありますので、しっかりとその点を把握しながら、今後とも検討していきたいというふうに考えております。 ○佐藤正久君 大臣、よろしくお願いします。  今まで、どちらかというと、ほかの国の領土で使う武器をあげるということについては焦点があっても、日本有事で、どうやってこの厳しい環境の中で相互に装備を提供しながら守っていくかという部分については、やっぱり非常にこれからという部分ありますので、是非お願いしたいと思います。  次に、今回の三文書の一つの柱で、人的基盤育成、強化ってあります。  人的基盤で一番懸念しているのは、やっぱり新隊員です。令和四年度、いろんな理由があったんでしょうけれども、曹候補生、一般曹候補生、これについてはほぼ目標が達成できても、自衛官候補生、まさに任期制、二年とか三年契約の隊員については目標九千に対して五〇%を切ったという話があります。これ多分今までにないです。九千に対して五千もいかないと、これは相当若い士が足らないということになります。  そこの、一般曹候補生は採れても自衛官候補生は採れない、この原因というのは、もうやっぱり徹底的に議論をしてこれ対策を取らないと、多分もたないと思います。  そこで、今日、実はうちの党に陳情があったのは、人教局長、陳情があったのは、自衛隊に入りたいんだけれども、タトゥーがあるために削られてしまうと。でも、タトゥーも今いろいろあって、ファッションタトゥーというのもあるんですよ。ちょっとここに花を彫ったとか、あるいは名前をちょっとここに入れたとかという人がいっぱいいると。でも、それを排除するかどうかというのは現場の医務官の判断で、オーケーの場合と違いがあるという話やっぱりあるそうなんです。  でも、本当にやる気があって若い隊員が入りたいと言っても、そういうファッションタトゥー、小さいものがあるからによってこれをはじくということは、これは人的基盤の強化という面でも問題だと思いますけれども、この辺りについても調べて対応するという考えございますか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  いろんな、自衛官を採用するに当たって、これまで身体的な条件であるだとか、そういった今委員御指摘がありました入れ墨の問題とかあろうかと思います。入れ墨をやっていた人、今やっている、また、それをじゃ取ってしまった人、消去してしまった人はどうかということもございますし、そもそも、昨年の例でいきますと、新たに生まれた方が男女それぞれ四十万人ずつという非常に少ない中ですので、そういった点も含めまして、我々、これからの人的基盤のありようというものを検討していかなければならないというふうに考えております。 ○佐藤正久君 最後に、これずっとやり取りしていますけれども、予備自衛官、これ非常に大事で、例えば、国家公務員、地方公務員の予備自衛官の方が、自衛官、招集訓練に参加するときは有休が取れない、しかも給料が減ると。八千百円という手当よりも自分の通常の給料の方がいいので、だから行かないという実際事例。ところが、消防団、公務員の方が消防団の招集訓練行くと、有休が取れてお金も減らないということが実際あります。これは、国家公務員法、地方公務員法の規定によってそうなってしまうと。消防団はよくても、自衛隊の招集訓練だと有休は取れないし給料も減ると、こういう部分、これは改正すべきだと思いませんか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、公務員が消防団員としての活動のために勤務先を離れる場合には、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律に基づきまして、平素の勤務先での職務専念義務を免除されて、勤務時間について給与が減額されないというふうに承知しております。  御指摘のとおり、予備自衛官等が訓練等のために平素の勤務を離れる場合については、現在、有給休暇を取得することで給与が減額されないように処置されている実態が多くを占めていると、これが自衛隊の実態であるというふうに承知しております。  これらにつきましては、私たち、この安全保障環境が急速に厳しさを増す中で予備自衛官等の人材確保、体制強化は極めて重要な課題であると認識しておりますので、その制度を抜本的に見直すこととしております。  御指摘の点も踏まえまして、浜田大臣の下に設置いたしております防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会の提言もいただきながら、引き続き所要の検討を進めてまいりたいと、このように考えております。 ○佐藤正久君 終わります。 ○松川るい君 自由民主党の松川るいです。質問の機会をありがとうございます。  まず、質問、自分のに入る前に、佐藤議員の御指摘はもう全面的に賛成するということを申し上げたいと思います。  本日、国家安保戦略ということなんでございますけど、まず、質問の前に自分の問題意識をちょっと述べさせていただきたいと思います。  私は、日本という国は、歴史を振り返ると、何回か本当の危機に直面したときに自己変革をしてきたと思うんですね。  一番最初は、六百六十三年の白村江の戦いでありまして、当時は倭という国でありましたけど、倭と百済の連合軍が唐と新羅の連合軍に、朝鮮半島まで行って戦って大敗して、負けて、その後、どうしたかというと、律令制を置きまして、そして防人を九州に置いて、名前も倭から日本に変えて、中央集権化というか国の形をもつくったと。  二つ目は明治維新でありまして、もう先生方御案内のとおり、鎖国していたのを開国して、近代化、富国強兵をして日本の発展をつくったと。  その後、日本の国の形を大きく変えたのは、正直、敗戦で、占領期の政策。平和憲法と言われるものもその残滓だと私は思っておりますけれども、それは、でも、自分で選んだわけじゃないんだと思うんですよね。押し付けられたというか、仕方なく敗戦でそうなったと。  私は、今回の国家安保戦略は、日本という国が自分の足で立つ国になる、自分の国は自分で守るという、こういう国になっていくための非常に大きな一歩だというふうに、そういうふうに意義を感じております。  もう一つは、ウクライナ侵略とそれから米中対立によって、時代がやはり、これはもう政府も指摘しているとおりでありますけれども、危機の時代に変わったと思うんですね。そのときに、やはりもう残念ながらリベラル・インターナショナル・オーダーと言われる国際秩序というのはやっぱり後退をしていて、パワーポリティクスの時代になっているんだという現実に直面をしなければならないと。  そうすると、日本の地図をこう頭に思い浮かべていただくと、私は改めて、この戦後の平和な時代は余り関係なかったと思うんですが、九州から三時間しかフェリーで離れていない韓国、朝鮮半島の南側と、あと第一列島線の日本のすぐ隣に位置している台湾というのが、台湾と韓国というのが地政学的に極めて重要だと思うんですね。そういう前提に立って、今日質問させていただきたいと思っております。  昨日、まさに、おとといですか、その韓国に、シャトル外交の返礼ということで早速、私が思っていた以上に早く岸田総理が行かれました。とてもいい、よかったと思っています。これで日韓の正常化の改善の軌道に乗ったなという感じもしております。  この総理の訪韓についての、まず成果についていかが思っていらっしゃるか、御説明をいただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今般の岸田総理大臣の韓国訪問でございますが、日本の総理大臣による韓国への二国間訪問としては約十二年ぶりに行われたものであり、三月の首脳会談の際に両首脳が再開で一致したシャトル外交、これを本格化するものでございます。  首脳会談を通じまして首脳間の信頼関係を更に深めるとともに、政府間の対話の活性化が順調に進展をし、日韓関係の改善の動きが軌道に乗ったということを確認することができたと考えております。  また、日米韓連携につきましても両首脳が地域情勢について意見交換を行いまして、特にこの北朝鮮の挑発行為が継続する中で、日米同盟、韓米同盟、そして日韓、日韓米の安全保障協力によりまして抑止力、対処力を強化することの重要性について一致をし、さらに、G7広島サミットの際に日韓米首脳会合を開催しまして更に議論を深めることとしたところでございます。 ○松川るい君 ありがとうございます。  実は私、この連休中にワシントンDCも訪問させていただきまして、外交、防衛、それから議員の方々、いろいろお目にかかりました。そのときに、今、林大臣も御指摘されたように、日米韓連携ですね、ようやく何か、仲の悪かった何か日本と韓国が正常化したおかげで、日米韓連携が非常に、これからこの厳しい北朝鮮、それから台湾海峡への圧力が増す中でやっていけることを非常に歓迎するということ、こちらが聞く前に異口同音に皆さんがおっしゃったのが非常に印象的でございました。  私は、その日米韓連携というときに、これ、韓国の人に会ったとき私はいつも言っているんですけど、ちょっと順番、二と三、変えさせていただきますが、まあ北朝鮮は当然なんですけど、韓国にとっても、でも、私は、台湾海峡の有事、台湾有事の抑止が当面の日本にとっても地域にとってもボトムラインとしての最大の外交・安全保障上の課題だと思うんですけど、韓国の方が困るんですよね、台湾海峡有事は。なぜかというと、対馬海峡と台湾海峡を通らないで韓国に物資は到達しないからであります。  日本は西太平洋を迂回すれば別に、まあ時間は一週間ぐらい余計に掛かりますけど、別にエネルギーだろうが物資だろうが日本に調達できるんですけど、そういう意味で、私は、韓国への地域の貢献について期待するところの中に、是非、G7のサミットもありますので、台湾有事の抑止、台湾海峡の平和と安定へのコミットメントというのをもうちょっと高めていただきたいという意識を持っております。  この点について、外務大臣の御見解をお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) 韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。特に北朝鮮への対応を含めて現下の戦略環境を踏まえますと、日韓、日米韓で緊密に連携していくということの重要性は論をまたないところでございまして、今委員からお話があったとおりでございます。  七日の日韓首脳会談でも、先ほど触れた北朝鮮の挑発行為とともに、この地域における力による一方的な現状変更の試みが見られる中で、日米同盟、韓米同盟、日韓、日韓米の安全保障協力により抑止力と対処力を強化することの重要性について改めて一致をいたしました。また、自由で開かれたインド太平洋の推進やウクライナ情勢等、国際社会が直面する諸課題についても意見交換をいたしまして、緊密に協力していくということで一致をしたところでございます。  こうしたこの日韓首脳間で共有されました認識に基づいて韓国側とは引き続き緊密に意思疎通をいたしまして、具体的な連携や協力を進めていきたいと考えております。 ○松川るい君 ありがとうございます。  さらに、私、是非、第一列島線連携というのをつくっていただきたいなと非常に思っております。結局、一国で、まあ自分の国は自分で守るという意識は大事ですけど、一国では守れないので、そうするとやはり同志国の連携が必要なんですけど、中でも特にその台湾有事のことを考えたときには、韓国、日本、台湾、フィリピン、ベトナム、そしてインドネシア、また豪州というこのシーレーンを守る立場にある第一列島線国の連携というのは極めて大事だと思っております。  そのときに、やっぱりミッシングリンクは台湾でありまして、台湾とアメリカは話しているけど、日本と台湾は安保関係は余り連携もありませんし、フィリピンと台湾も多分ないと思うんですけど、今後の日本の外交・防衛政策の課題の中で是非この第一列島線連携というのをお考えいただきたいということを申し上げたいと思います。ちょっと時間の都合で、これはもう要望だけにしておきたいと思います。  もう一つ、今回その拡大抑止ということが米韓首脳会談でも非常に取り上げられて、ワシントン宣言というのが出されたところです。ここで出てきたニュークリア・コンサルタティブ・グループという、まあこれはほぼ日米でもやっている拡大抑止協議と大して違いはないと思うんですけど、やはり二月にやったテーブル・トップ・エクササイズですね、これは北朝鮮が核を使用することも想定した上での机上演習だったと思いますし、もう一つは原潜の寄港ということなんですけど、その日本の拡大抑止についても是非、少なくともこのテーブル・トップ・エクササイズというのは踏み込んでやっていただくということも含めて更に強化していただきたいと思いますが、防衛大臣の御見解をお願いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 米韓間で拡大抑止の強化に関する議論が行われることは、日米間での拡大抑止の強化に向けた取組とも相まって、地域の平和と安定に資するものであると考えております。  日米間では、二〇一〇年以降、定期的に日米拡大抑止協議を実施する中で、核抑止を含む拡大抑止の維持強化に向けた取組について議論をしてきております。  また、これまで事務レベルで行ってきた日米拡大抑止協議に加え、一月の日米2プラス2では、拡大抑止を議題の一つとして、まとまった時間を取って突っ込んだ議論を閣僚レベルでも行い、米国の拡大抑止を支える戦略体制について我が方の理解を深め、また我が国の考え方について改めて米側に伝えております。  引き続き、拡大抑止協議及び一月の日米2プラス2でのやり取りのような様々なハイレベルでの協議を通じ、拡大抑止の強化に向けた取組を進めていきたいと考えております。 ○松川るい君 是非、机上演習も実施も含めてやっていただきたいということを改めてお願い申し上げます。  あと、また、原潜寄港というのはいろいろセンシティブなところもありますけど、過去の答弁においても、まあ岡田大臣のおかげで、本当に必要なときには、それは当然そのときの内閣が決断するということも言っているということも御指摘しておきたいと思います。  次に、防衛装備移転についてお伺いしたいと思います。  国家安保戦略で、まさに防衛産業の維持強化ということは、国がもうその前面に立って官民連携で守っていかなきゃいけない、そういう重要な分野だということが示されたことを私は非常に高く評価をしております。  また、その際に、防衛装備移転ができるということは、非常に、防衛協力の深化、その防衛装備品を移転した先の国との防衛協力を深化させる上でも、日本の安全保障上、日本の安全保障にとっても大変有益でありますし、また、防衛産業が、その顧客が自衛隊以上ということでなくて、その移転先があるということは非常にこの維持をする上でも不可欠だと思っておりますが、残念ながら、防衛装備移転三原則の制約が大き過ぎるという問題がございます。事実上ほぼ禁輸状態に置かれていると言っても過言ではないんじゃないかと。  この私がお配りした資料が非常に視覚的に分かりやすいんじゃないかと思っております。これは、元々、内閣参与でありました宮川大使が作られた資料でありまして、御許可をいただいて配付をさせていただいております。  これ、移転を原則として禁止している場合というのは、これは割と当たり前、国際約束に反する場合、安保理決議に反する場合、紛争当事国は駄目よ、これ割とまあどこの国でも割合ある原則でございますけど、じゃ、それ以外だったらいいのかというと、そうじゃないんですよね。それ以外の場合にも極めて運用指針において絞っております。  運用指針はちょっと細かいので全部説明するとちょっと切りがないんですけど、我が国と安全保障協力関係にある国であったとしても、これ、先生方、後ろの方のページを見ていただきまして、cの四が典型的なんですけど、我が国と安全保障協力関係にある国、つまりその国との連携が深まった方が日本の安全にとって資する国であってもですね、そこに出していい装備品というのは、救難、輸送、警戒、監視、掃海というこの五分類に当たるものしか駄目だよとなっているんですね。  これは、八百屋に行ったら五種類しか野菜がないと、そんな八百屋に買物に皆さん行きますかという話。もうちょっと言うと、これ、宮川大使のその表現を私が自分バージョンに変えて言うと、日本に来ていいよって、皆さん、世界の皆さん、日本に来てくださいと言いましたと。分かった、じゃ、日本に行って、どこに行ってもいいのかなと思ったら、大阪しか行っちゃ駄目ですよと。えっ、じゃ、大阪だったらどこでも行っていいのかなと思ったら、これが黄色のところですよね、違うんですよ、緑だけなんですよ。この図でいう緑だけなんですよ。梅田だけですと。えっ、難波は駄目なのみたいな、こんな話なんですよ。これぐらい絞られているんですよ。  これは、自衛隊法もそうなんですけど、日本の良くない癖で、ポジリス式なんですよ。もう、ポジリス思考、ポジティブリスト思考を変えるべきなんですよ。私は、今回の防衛装備移転三原則の中の運用指針を変えるんでしょう、今は与党協議中だと思うんですけど、是非、このポジリス、五分類から一分類増やしましたとか、二分類増やしましたとか、そういうやり方を是非是非やめていただきたい。そうではなくて、日本の安全保障に本当に資するかどうか、それだけを本来基準にするべきだと考えております。  防衛大臣の御見解をお願いします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 委員御指摘の点について、現在の防衛装備移転三原則の運用指針では、国際共同開発・生産による場合を除き、完成装備品の移転を認め得るのは、基本的に、救難、輸送、警戒、監視及び掃海、いわゆる五類型に該当する場合に限定をされております。  この点について、二〇一四年に防衛装備移転三原則や運用指針が作成されて以降、約九年間、九年の間に完成装備品の移転の実績としては、フィリピンへの警戒管制レーダーの移転一件にとどまっていることは事実でございます。  その上で、国家安全保障戦略に記載しているとおり、防衛装備品の海外への移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策手段となり得ます。防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについては、こうした観点から、関係省庁とともにしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。 ○松川るい君 ありがとうございます。  是非これはもう我々国会議員の方も頑張らなきゃいけない話だと当然思っているんですけど、やはり今回、国家安保戦略、そしてその他の二文書も含めてできて、今この防衛装備移転三原則及び運用指針を改定するという非常に重要なタイミングに来ていて、昨日、私、IHIの瑞穂工場に行ってきたんですけど、例えばあのF15のエンジンが、これから退役あと百機ぐらいしていきますから、二百個分ぐらい、要するに、F15を使っている国とか、それに関連する機体使っている国に出せると。でも、今はエンジンすら出せないとか、エンジンの整備をするためにほかの国に出す、で、戻すということをやったら、これが輸出と輸入に、さっきまさに佐藤議員が御議論されたように、輸出、輸入に当たって制限が掛かるからできないとか、もうあらゆるこのよろいを三重、四重に着ているのが今の日本なんですね。これはもう今回の機に一気に変えなければ、私は、日本という国がこの厳しい安全保障環境の中で本当に自分の独立と平和と繁栄を守ってやっていけるのかと非常に危機感を持っておりますので、是非、防衛大臣、外務大臣にも、我々も頑張りますけど、是非よろしくお願いしたいということを申し上げたいと思います。  何かあと三分なのでどうしようかちょっと迷っておりますが、どっちにしようか、残り二問、どっちにしようか迷っていますけど、でも、やっぱりG7サミットが間近でございますので、G7サミットにおきまして、もちろんロシアによるウクライナ侵略への対応も大事ですけれども、私ども日本にとりましては、やはり台湾海峡の平和と安定ということが非常に地域的には大事なことであります。このG7サミットには、インド、それから韓国、島嶼国も含めて、様々日本が大事だと思う国を招待されていると思います。  是非、このG7サミットの場におきまして、ウクライナとともに、この台湾海峡の平和と安定というのを改めてもう一歩具体的な形でこうした多くの国のコミットメントをするものとして確立をしていただきたいと希望しております。  この点に関しての意気込みや御見解を外務大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全と繁栄にとっても重要でございます。我が国の従来からの一貫した立場は、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというものであります。  この点、これまでも米国やG7との間で台湾海峡の平和と安定の重要性について一致しておりまして、先般のG7外相会合においてもこの点を再確認をいたしました。我が国として、こうした立場を中国側に首脳レベルを含めて直接しっかり伝えるとともに、同盟国、同志国と緊密に連携しながら各国共通の立場として明確に発信していくということが重要でありまして、今後ともこのような外交努力を続けてまいります。  その上で、G7広島サミット、これアジアで開催するということも踏まえまして、中国など東アジアを含むインド太平洋の地域情勢についても首脳レベルでもしっかりと議論をするということが重要であると考えております。お触れいただきましたように、今回、G7首脳に加えて、韓国そして豪州を含む八か国の首脳も招待することとなっておりまして、国際社会が直面する様々な課題への対応を中心に有意義な議論が行われるということを期待しておるところでございます。 ○松川るい君 ありがとうございます。  日本はG7唯一のアジアの国でありますし、中国は非常に重要な地理的に永遠に変わることのない隣国ですので、ボトムラインとして、やはり紛争が起こらないということを確保する上でも、対中外交を建設的かつ安定的なことにしていく上でも非常に今回重要なG7だと思います。大臣、御活躍も御期待しながら、質問を終えたいと思います。  で、私がいつもリストアップしている副大臣の活用と外務大臣をもっと外交に活用しようというこの質問は毎回言い続けておりますけど、質問する時間がいつもないんですけど、気持ちを酌んでいただければと思っております。  ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西でございます。  まず、防衛省の政府参考人に伺います。  この安保三文書の前提になっている極めて現実的なシミュレーションについては、存立危機事態を想定したものは検討していないという答弁をこの間政府はしているんですが、その趣旨は、我が国が限定的な集団的自衛権を発動する、そうしたその自衛隊の行動の事態、これを想定していないのか、あるいは、限定的な集団的自衛権を発動すれば当然相手から反撃を受けて日本は武力攻撃を受ける事態になるわけですけれども、そうした事態における自衛隊の行動の対処の事態、そうしたことについても検討を行っていないのか、これについて、事実関係、明確に答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 御答弁申し上げます。  防衛省は、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証してございます。今般策定されました国家安全保障戦略等の策定に際しましても、能力評価等の様々なシミュレーションを通じた分析を行ったところでございます。  今般実施したこれらのシミュレーションは、国民の命と暮らしを守り抜くため、いかなる防衛力が必要か、これを検証する観点から、最も烈度が高いと想定される我が国への侵攻事態等を想定して行うこととしております。  以上でございます。 ○小西洋之君 全く答えていない。聞いたことだけ答えてくれればいいので。  もう聞いたとおりです。だから、存立危機事態は現実的なシミュレーションで想定していない、やっていないということなんですが、その趣旨は、その趣旨は、自衛隊が発動する限定的集団的自衛権の行動、これの事態をやっていないのか、プラス、仮に発動すれば、反撃を受けるわけですから、日本が武力攻撃を受けるんですが、そうした事態の自衛隊の行動の事態も想定していないのか。事実関係ですから明確に答えてください、聞いたことだけ。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 御指摘のとおり、存立危機事態における対応能力の検証、シミュレーションは行っておりませんと。  その理由といたしましては、あくまでもこのシミュレーションは防衛力整備のために行っているものでありまして、したがいまして、最も烈度が高いと想定される我が国が侵略をされる事態、我が国への武力行使が行われている事態、これを想定して行ったものでございます。すなわち、最も烈度が高い状況に対応し得る防衛力を整備したならば、その他の事態に対しても、それらの各種装備品等々を活用いたしまして正しく対応できるだろうという前提でございます。 ○小西洋之君 いや、今の局長の答弁というのは、最も烈度が高い事態ですね、それは、我が国に対する武力攻撃が発生して、我が国が武力攻撃を受けている事態ということですよね。そこはそうなんだろうと思います。  私の質問は、その我が国が受けている武力攻撃、それは、我が国が限定的な集団的自衛権を発動して、その結果ですね、過去、御存じだと思いますが、答弁していますよ、防衛大臣も、政府参考人も。日本が集団的自衛権を発動すれば、その後の推移で、相手から武力攻撃を受けて日本国民に大規模な被害が発生することも政府は想定している、もちろん自衛官が戦死することも想定しているという答弁をしているんですが、そういう限定的な集団的自衛権を我が国が発動した後に日本が受ける武力攻撃、そのことをこの現実的なシミュレーションでは想定して検討しているのかと聞いているんです。答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 要するに、存立危機事態が我が国への武力攻撃事態に先立ってあろうが、あるいは武力攻撃事態からいきなり始まろうが、我々としては、防衛力整備上のシミュレーションというのは、最も烈度が高いものとして、我が国が武力攻撃を受けている事態、これをもう前提にしてシミュレーションを行っているということでございます。 ○小西洋之君 まあ、ようやく明確に答えてくださったと思うんですが、もう少し分かりやすく、もう端的に言ってもらえますか。  要するに、今回の三文書のその現実的、極めて現実的なシミュレーションなるものは、我が国が発動する限定的な集団的自衛権、それが事実として先行していて、現に先にあって、時系列的に、その後に生じている我が国に対する武力攻撃、その事態もこのシミュレーションには想定して、検討してこの三文書を作っていると、そういう理解でよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) いずれにいたしましても、要するに、我が国への武力攻撃事態というものが認定されて、我が国に対して侵略が行われているという事態に対してどうなんだと、足りているのか足りていないのか、それを明らかにするのがこの防衛力整備上のシミュレーションの目的でございます。 ○小西洋之君 さっきより、もうさっき答えているんですよ、これもう一回分かりやすく答えてください、国民がみんな聞いていますから。もう一回だけ、本当に私の質疑時間なくなっちゃいますから。  今回検討している極めて現実的なシミュレーションというのは、我が国が、自衛隊が限定的な集団的自衛権を発動して、それが時系列的に先にあって、その後に我が国に生じている武力攻撃ですね、そうした事態も想定していると、シミュレーションにおいては、そういうことでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 結果として武力攻撃事態ということが認定されるということであれば、その前に先立つものがあろうがなかろうが、防衛力整備上のシミュレーションとしては武力攻撃事態を前提にしておるということでございます。 ○小西洋之君 まあ答えてはいますので次に行きますが、じゃ、よろしいですか。  じゃ、今回の三文書の極めて現実的なシミュレーションには、いわゆる台湾海峡有事ですね、台湾海峡に対し、台湾に対して中国の軍事侵攻が起きて、それに対してアメリカが武力を持って立ち向かうと、で、アメリカと中国の武力紛争が生じる、それに対して、アメリカ軍に対する武力攻撃を排除するための我が国の自衛隊の限定的な集団自衛権を発動する、その後に日本に対して生じる武力攻撃、中国軍による武力攻撃ですが、そうしたことも事態として想定してこの三文書を作っているということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 特定の国、特定の地域というものにつきまして、これを脅威とみなして、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではございません、防衛力整備上のシミュレーションはですね。それは、国民の命と暮らしを守り抜くためいかなる防衛力が必要かを検証する観点から、最も烈度が高いと想定される事態、侵攻、我が国侵攻事態を想定して行っておるというものでございます。 ○小西洋之君 前回の私の質問で、今回の三文書は中国、北朝鮮、そしてロシアを考慮して、まあ考慮というかもう少し具体的な説明を政府していますけれども、それに対するこの日本の武力の対処を定めているということでございますので、じゃ、その中国を少なくとも念頭に置いているのは間違いないんですが、その中国を念頭に置いているというのは台湾海峡有事で、日本がアメリカのために集団的自衛権、まあアメリカのためですが、アメリカへの武力攻撃を排除する集団的自衛権を発動して、それに対する中国の日本への攻撃、それへの対処をする、そうしたための武力というものを検討していると、三文書で。それでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 今、中国という名前が出ましたけれども、中国であれ北朝鮮であれロシアであれ、我が国周辺の軍事動向や将来の技術的水準の動向等を踏まえつつ、想定される各種事態への対応について能力評価等の様々なシミュレーションを通じた分析を行ったということでございますが、ある特定の国をあげつらって、この国が攻めてくるからという形でシミュレーションを行ったものではございません。  他方、例えば、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻といった状況を想定いたしまして、自衛隊がどのように対応するか検証することを通じた、我が国への侵攻に対処するために不十分な自衛隊の機能の、能力の評価、これに加えまして、宇宙、サイバー、電磁波の領域や、無人アセットを用いた非対称な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相等を踏まえた将来の防衛力の検討などの様々なシミュレーションを行ってきたということでございます。 ○小西洋之君 いや、だから、我が国が武力を発動すれば、防衛省も答弁しているように、日本国民の身体に、精神に大規模な被害は生じ得るわけですよね。しかも、向こう五年間で四十三兆円、五年後には十一兆円、このようなこの莫大な国費を掛けてやろうとしていることのその目的を具体的に国民に説明しないというのは、まさにこれは国を誤る行為ですよ、国を誤る行為ですよ、まさに。戦前、アメリカと戦うべきだというような誤ったこの世論、これは政治家や軍人、あるいは報道機関などもやったわけですけれども、その結果何が起きるかということを当時軍人でも分かっていた山本五十六ですとか、そういう人たちは反対していた。ただ、まあ、最後真珠湾攻撃をやりましたけれども。やっぱりこういうちゃんとした事実、ファクトを、政府が何を考えてやっているかということを説明しないということは、私は本当に国を誤る行為だと思うんですね。  先生方、この我が、衆議院では全く駄目で、参議院の外交防衛委員会で初めて中国、北朝鮮、ロシアといった我が国周辺の軍事動向やその将来の技術的水準の動向等を踏まえてこの三文書を作ったという明確な答弁していますから、当然それを踏まえて作ったということはそういう国々と戦火を交える、そういう備えであるということは明らかですから、しっかりと明確な答弁をしていただきたい。  で、局長、前振りはいいですから、聞いたことだけ端的に答えていただきたいというふうに思います。  問いの三番なんですが、要するに、問いの三番、ちょっと質問の角度を変えますが、問いの三番、これは二〇一八年の米朝危機のときに、アメリカが軍事行動を取ることを当時の河野統合幕僚長は六割以上軍事行動を取る可能性があると言っていたと。それを取った場合には集団的自衛権の安保法制を発動することも政府として検討していたという新聞社へのインタビューなどがあるんですね。それについて、私、岸防衛大臣にこれ事実かと確認したら、まあ事実上、事実であると、安保法制の発動を検討していたという答弁があるんですが、よろしいですか。  質問は、今回の安保の三文書は、こうした二〇一八年、まあ一七年からなんですが、当時のアメリカの軍事行動に伴う我が国の安保法制の発動、そうしたようなことも検討して、踏まえながら今回の三文書は作ったと。過去、我が国に生じていた安全保障の重大問題なわけですけれども、そうしたことも踏まえながら今回の三文書は作っているということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 一般論として申し上げれば、国民の命と暮らしを守るためにあらゆる事態に万全の備えを整備しておくことが防衛省・自衛隊にとっても必要であります。  こうしたことから、防衛省は平素から様々な事態への対応について不断の検討を行っているところであります。なかなかその内容についてお答えできないことは申し訳ないんですけれども、その上で、今般実施いたしましたシミュレーションは、国民の命と暮らしを守り抜くためいかなる防衛力が必要か検証すると、こういう観点から行ったことでございます。  また同時に、今アメリカについて御質問がありましたけれども、今般のシミュレーションにおきましては、日米安全保障条約第五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻には、我が国が防衛を主体的に実施し、米軍はこれを支援するといった日米の基本的役割分担を踏まえて検討を行ったものでございます。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっと次の質問に行きますけれども、やはり台湾海峡有事の問題なんですが、台湾海峡有事ですね、アメリカと中国の武力紛争が生じている事態、状態で、ただ、日本は限定的な集団的自衛権を発動していない。  ただ、御案内のとおり、アメリカが持つ、日本が提供している在日米軍基地というのは、このアジア、この領域においてアメリカの軍事行動の最大の基盤ですので、相手から見れば、中国から見れば、当然、この武力紛争の相手国であるアメリカの軍事的な行動の基盤そのものになるわけですけれども、台湾海峡有事が、今回の三文書は、台湾海峡有事が発生して、アメリカと中国の武力紛争が発生して、日本は限定的な集団的自衛権は行使しないんだけれども中国軍が在日米軍基地を攻撃してくる、そうした事態も想定して、それに対処し得る取組を盛り込んである、そういう文書であるということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 何度も御答弁申し上げておりますけれども、我が国の防衛政策や防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなして、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではないということでございます。  また、今先生御指摘の米軍につきましては、先ほど申し上げたとおり、安保条約第五条を前提として活動していると、これはそれを踏まえてやっております。  また、米軍の基地が攻撃されるということは、すなわち我が国の領土、領域に対して攻撃がなされているということでもありますので、当然のことながら、我が国への侵略事態ということで、当然そのシミュレーションの対象に含まれているというふうに考えてございます。 ○小西洋之君 ちょっと最後のところですが、これ一般論で聞きますね。台湾海峡有事においてを一般論として、今回のこのシミュレーションにおいては、米軍と武力攻撃、武力紛争状態になるどこかある他国があるとして、その他国にとっては軍事的な脅威となる在日米軍基地をその他国は攻撃してくる、あるいは、アメリカとのそういう同盟国であるので、日本の自衛隊の基地やあるいは日本の重要な都市や産業基盤などを攻撃してくる、そのようなことも今回は想定して作っているのかどうか、それだけ答えてください。そのシミュレーションの中にはそういう事態は入っているのかどうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先ほども申し上げましたとおり、自衛隊の基地は当然のことながら我が国の領土でありますし、在日米軍の基地、施設及び区域、これにつきましても、当然、我が国が提供はしておりますけれども、我が国の領土であることには、領土、領域であることには変わりはないということでありまして、そこに対して攻撃がなされるという場合については、まさに我が国に対する武力攻撃事態ということで検討を進めてまいったということでございます。  と同時に、先ほどから何度も申し上げているとおり、我が国への攻撃事態、最も烈度が高いと想定されますものですから、それを前提にしてシミュレーションを行ってきたということでございます。 ○小西洋之君 ちゃんと答えないと駄目なんですが、問いの六番に行きます。  今おっしゃっている最も烈度が高いその事態というのは具体的にどういう事態なのかを説明をしてください。  防衛省のこのシミュレーションの概要という資料によれば、島嶼への、島嶼領域への着上陸というのはあるんですが、島嶼じゃなくて、九州ですとかあるいは本州ですとか、そうしたところへの敵軍の、侵略軍の着上陸侵攻ということなども想定をしているのか、あるいは原発などの施設、あるいはその都市、あるいは基幹的な社会インフラなどのこの攻撃が想定をしているものなのか、また、そのときに日本国民の生命や身体にどのほどの被害が生じるということを想定しているのか、それを答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) シミュレーションの概要ということで、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻、島嶼部、島嶼への着上陸といった状況を想定し、シミュレーションを行ってきたというふうに申し上げておりますが、これは言わば例示でございまして、当然のことながら我が国は、我が国はといいますか、自衛隊は日本全国、日本を丸ごと守る必要があるということで、別に南西諸島だけを考えてシミュレーションをやったというわけではありません。 ○小西洋之君 南西諸島以外の着上陸も想定しているということですか。それだけ端的に答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 誠に申し訳ありませんけれども、それは情報上の見積り、どういうふうな相手方の行動があるかということによるところがありますので、ちょっとこれ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと考えておりますが、言うまでもなく、自衛隊としては全国を当然守る任務がありますということは申し上げておきたいと思います。 ○小西洋之君 もう一つ、その最も烈度が高い事態というのは我が国の原発施設、原発ですね、原子力発電所、原発施設への攻撃も想定していると、排除していないということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) そのシミュレーションの具体的な中身につきまして、これは検討しているのか、それは検討しているのか、あれは検討しているのかとお問合せになりましても、なかなかそれに対してお答えをしていくというのは難しゅうございまして、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。 ○小西洋之君 いや、だから、島嶼部の着上陸は想定しているってもう文書の資料にも明記しているんですが、原発を攻撃を受ければ、もう何百キロあるいは何千キロの範囲にわたってもう大規模な、もう筆舌に尽くし難い被害を受けるわけですけれども、原発施設が攻撃されるということは最も烈度が高い我が国に対する武力攻撃、その侵攻事態で当然想定していると、しているのかしていないのか、それを答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先ほど例示といたしまして島嶼部への着上陸といったことをお話し申し上げましたけれども、これは例示でございまして、他方で、それ例示でお話し申し上げたこと以外に、これは入っているのか、それは入っているのか、あれは検討しているのか、何がどうなんだというふうにお問合せでありますけれども、なかなか、その我が国の手のうちを明かすといいますか、我が国の対処能力、対処手法といったものを明らかにしてしまうということにもなることから御答弁申し上げることができないことにつき御理解をいただきたいと思います。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっと質問の角度を変えます。  今おっしゃったように、我が国の本土に敵軍が着上陸するようなことも想定したシミュレーションだというふうに理解していますんですが、ただ現実的に考えると、これはもう政府ずっと答弁しているように、この極めて現実的なシミュレーションというのは、日米安保条約五条に基づいてアメリカが日本を守るための集団的自衛権を発動しているんですね。で、政府もアメリカは世界最強の戦力を持っていると言うんですが、世界最強の戦力を持つアメリカがその国家の存立を懸けて、ちょっともう時間なんで言いませんが、アメリカにとっても世界で最重要の二国間同盟だってことは林外務大臣も答弁いただいているわけですが、日本見捨てることなんて絶対できないし、あり得ないわけですけれども、世界最強のアメリカの戦力の防衛力があってもそれをなお排除して、日本へのこの侵攻をですね、そうした大規模侵攻を試みる国というのは、一体何のために我が国のどこを侵攻しようというふうにしている、どういうシミュレーションを考えていらっしゃるのか、答弁してください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先ほど来申し上げておりますけれども、シミュレーションにつきましては、日米安保条約五条によって米軍が活動しているということを前提にしているということを申し上げました。  と同時に、日米間では、我が国への武力攻撃事態に対して、我が国が侵略されるという事態に対しては、我が国が主体的にこれに対応し、米軍はこれを支援するということでありまして、自衛隊やあるいは日本側が何にもしなくても米軍が守ってくれるということを前提にしているわけではないということでございます。 ○小西洋之君 いや、ですから、日本が何もしない、自衛隊が何もしてないなんて話、言ってません。日本を守るのは自衛隊の任務ですから、そのために服務の宣誓で誓っていただいて、で、国民もそれを支えているわけですので。  ちょっと重ねて今の質問の関連で聞くんですが、政府の国会等に配っているこのシミュレーションの概要では、まず、こういうふうに書いてあるんですね。侵攻そのものを抑止する、それに対してスタンドオフ防衛能力などを使う。で、抑止が破られた場合、そうしたスタンドオフなどの能力に加えて、領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保すると。で、引き続き、第三段で、迅速かつ粘り強く活動する、このためにこの基地の持続性や強靱性などを確保するというふうにしているんですけれども。  局長、よろしいですか。抑止が破られて、その後、この領域を横断する作戦などをして、いずれにしても、この非対称的な優勢を確保すると言っているんですが、世界最強のアメリカの戦力は、日米の、この皆さんが今もなお維持している日米の基本的な役割で、今日資料でも配っていますが、アメリカは必要なその戦力を日本防衛のために速やかに迅速に増強するということも書いてあるわけですよね。世界最強のアメリカの戦力とともに日本が戦っているときに陥る非対称的な優勢を確保しなきゃいけない必要性とか、それって一体どういう事態を想定されているんですか。世界最強のアメリカ軍も破られて、日本の本土など、日本そのものが強力な武力攻撃の侵略にさらされると、そういう事態を想定していらっしゃるということでよろしいですか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 日米安保条約五条に基づいてアメリカが活動をやっておると、その下で、日米間では、日本が我が国侵略事態に対しては主体的にこれを対応する、アメリカはそれを支援すると、こういう基本的な役割分担の中でですね。  したがって、我が国としては我が国防衛を主体的に実施しなきゃならぬということで、したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、海上部隊による海上侵攻等々の状況が想定されるということで、これに対して自衛隊が対応するのに十分であるか否か、十分でないのであればどれくらい足りないのか、その足りないというのが今度は防衛力整備になってくると、こういうことでございましょうけれども、そういった機能の評価をやっております。  さらに、それに加えまして、宇宙、サイバー、電磁波、無人アセット、ハイブリッド戦、こういった新たな戦闘様相等も踏まえて将来の防衛力の検討をしてきたと、こういうわけでございます。 ○小西洋之君 これ、答えていないんですけれども。  日本に対するその抑止が破られて、日本がこれ侵略を受けている事態なんですが、その後、日本はこの非対称的な優勢を確保するために努めるというようなことを書いてあるわけなんですが、私が聞いているのは、そのときアメリカ軍は何をしているかということですよ。アメリカ軍の世界最強の戦力も破られて、アメリカ軍までも非対称的な優勢を確保するような作戦行動をやっているのか、あるいは、世界最強の戦力ですから、本国から増援、増強もできるわけですから、アメリカ軍はこの抑止を取り戻すための正面戦をやり続けて、ただ、我が国の自衛隊は残念ながらそこは侵攻されてしまってそういう作戦をやっているのか。一体どういうことを考えてこうした絵を描いていらっしゃるのかというようなことを申し上げているわけですね。  戦前も非現実的な軍事作戦行動を、軍事構想というものを描いて国を破滅に導くようなことをしてしまったわけですから、次回これ質問しますのでしっかり準備して答えていただきたいんですけれども、聞いたことにはきちんと答えていただけるような対応をお願いをしたいと思います。  ちょっと問いの八番ですが、これ端的に伺いますが、さっきお答えいただいているんですが、在日米軍基地に対する他国の武力攻撃というのは、我が国においては個別的自衛権を発動する事態であって、我が国に対する武力攻撃がもう発生しているわけですから、限定的な集団的自衛権を法理としては発動できない、しないと、そういう事態であるということでよろしいですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、従来から、在日米軍基地に対する攻撃については、我が国の領土、領海、領空に対する侵害なしに行うことはできないため、そのような攻撃が発生した場合、我が国に対する武力攻撃が発生したことになると考えているところでございます。  したがいまして、在日米軍基地に対する武力攻撃が発生し、武力行使の三要件を満たす場合には、個別的自衛権を発動することになるものと考えております。 ○小西洋之君 確認ですが、今の答弁というのは、法理としてですね、在日米軍基地への他国の武力攻撃、その事態においては、法理として我が国は限定的な集団的自衛権は憲法上発動はできないと、そういう理解でよろしいですね。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生今の御指摘の点は、平成二十七年の平和安全法制の国会での議論におきましても幾たびか質疑あったところでございます。  まず、存立危機事態が生じている状況が、他国に対する武力攻撃を契機としており、それによって我が国に対する武力攻撃と同様な深刻、重大な被害が国民に及ぶかという観点から評価するものでございます。  他方、先ほどありましたが、在日米軍基地も含めて、我が国に対する、武力攻撃事態というのは、我が国に対する組織的かつ計画的な武力の行使が発生したかどうかという観点から評価するものでございます。  これらを前提としまして一般論として申し上げますと、武力攻撃事態等と存立危機事態とはそれぞれ異なる観点から状況を評価するものでありまして、相互に排他的ではなく、他国に武力攻撃が発生した状況についてそれぞれの観点から評価した結果、いずれの事態にも同時に該当することはあり得るものと、これは法理的なものですけれども、これは国会でも御説明させていただいているところでございます。 ○小西洋之君 いや、そういう話じゃなくて、今おっしゃるように、我が国に対するそのいわゆる切迫事態と、従来からある安保法制の前からの切迫事態と存立危機事態というのは、それは重なる、事態としては重なることはあるんだと思いますよ、政府の説明によれば。まあそうなんだろうと思います。  そうじゃなくて、在日米軍基地というのは、おっしゃったように、我が国に対する領域の侵略なくして在日米軍基地への攻撃が行えないわけですから、在日米軍基地に対する武力攻撃の発生、そうした状況においては、法理として、我が国に対する武力攻撃はもう発生しているわけですから、発生していない場合しか国際法上も発動できない集団的自衛権は、限定的な集団的自衛権は法理としてはできないと、そういう理解でよろしいですね。ちょっと明確に一言で答えてください、時間なくなるので。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、在日米軍基地に対する武力攻撃が発生し、武力行使の三要件満たす場合には、個別的自衛権、これを発動すること、これで対処するということでございます。(発言する者あり)これで対処するということでございます。 ○小西洋之君 これで対処するというのは、個別的自衛権でしか法理として対処できないということでよろしいですね。明確に答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  在日米軍基地に対する武力攻撃、これが組織的、計画的なものと認定された場合には個別的自衛権によって対処するということでございます。 ○小西洋之君 済みません、時間なくなるので、大事なことなので、文書で委員会に説明要求を求めます、今の質疑の趣旨について。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○小西洋之君 じゃ、次、質問をしますけれども、ちょっと飛ばして十番に行きます、防衛省ですけれども。  四月二十五日の私の質問で、この極めて現実的なシミュレーションにおいては日本国民の被害要素は検討に入っていないというふうに言っているんですが、しかし、同じ日の答弁で、防衛力の抜本的強化の検討に際しましては、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行ったというふうに書いているんですが、国民の被害想定を行わずになぜ国民の命を守り抜くことができるのか、検証を行うことができるのか、それを説明してください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 前回も御質問ありましてお答えいたしましたけれども、武力攻撃より十分に先立って住民の迅速な避難を実施することが何よりも重要であるというふうに、これは政府として考えておりまして、したがいまして、政府全体として、円滑な避難に、国民の円滑な避難に関する計画の速やかな策定、官民の輸送手段の確保、空港、港湾等の公共インフラの整備と利用調整、こういった様々な避難施設の確保等を行っていくということになっております。防衛省・自衛隊としてもこれに協力して、民間の船舶、航空機に加え、自衛隊の各種輸送アセットも利用した国民保護措置を計画的に行えるよう、調整、協力していくというものでございます。  その上で、今般実施したシミュレーションについて言えば、自衛隊の能力を評価し、防衛力の不足等を検証するといった内容に焦点を当てて実施しておりますものですから、想定される事態に対応する過程で生じ得る自衛隊員の被害、自衛隊員の損耗に対しては考慮をしておりますけれども、国民の被害あるいは被害の程度といった要素については検討の中に入っているものではございません。  以上でございます。 ○小西洋之君 ちょっと、今の自衛隊員の損耗というのは、まあ行政用語なんでしょうけど、ちょっと余り、戦前のような響きがあって余り、もう少し尊厳を、尊重するような表現にした方が、またすべきだと思いますが。  それはさておき、次の、それは大事なことなんですが、十一番、質問通告していますが、今局長が答えたように、前回も武力攻撃に十分先立ちまして住民の迅速な避難などを実施するというふうに述べているんですが、要するに、今回の極めて現実的なシミュレーションというのは、こういう国民が既に、この避難計画の避難実施などによって国民は既に安全な環境に避難済みなので、よって、国民が死傷、死んだりけがを負ったりする、そういう被害は発生しないと、そういう想定をしているということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、国民保護については、防衛省のみならず政府挙げてこれを実施して、そのために、防衛省を含む関係機関は常に連携し、その国民保護能力の向上を図っておるということでございます。  その上で、今般実施したシミュレーションについては、そもそもその目的が、自衛隊の能力を評価し、防衛力が足りているのか足りぬのか、足りないならどのくらい足りないのか、それが防衛力整備に結び付くということで、あくまでも防衛力の不足等を明らかにするという目的のシミュレーションでございます。  したがいまして、自衛隊員の被害については当然考慮いたしますけれども、国民の被害の程度といった要素についてはその検討の中には含まれていないということ、防衛力整備を目的としたシミュレーションであるということでございます。 ○小西洋之君 いや、むちゃくちゃな答弁をされているんですが、自衛隊のその能力の評価あるいは自衛隊の能力の不足を検討したというんですけど、自衛隊が何のために存在するかというと、国民の命を守り抜くためにいるわけですよね。その国民の命を誠に残念ながら守り抜けなくて、国民にどれぐらいの被害、命を失う、あるいはけがを負う、そうした者が生じるかということの想定をせずに自衛隊のこの能力の評価だとか不足をどうやって考えるのか理解不能なんですが、もう一回聞きますね、もう一回ですね。  じゃ、聞きますけど、なぜ、なぜですね、今回、その最も烈度が高い事態、日本に対する武力攻撃、相手国の軍が侵攻してくることも含め、そうした事態において国民にどのような被害が生じるのか、それから、対して、国民を守り抜くために自衛隊がどのような装備や実力が必要となるのかを検討するのが当たり前の筋道だと思うんですが、国民の被害を想定せずにこの安保の三文書を作ったというのは、もう一回だけ聞きますね、この避難計画などによって国民が安全な地域に、環境にいるということを前提にしているのか。あるいは、国民は、避難、当然、私はとてもし切れないと思うんですが、これは歴史が証明していますが、避難し切れない国民が大きな被害を受けるわけですけれども、そうした被害は生じるんだけれども、なおその被害も検討しなくていいという考え方で今回の三文書を作っているのか。一体どういう、この国民の被害について、この避難の計画との関係、あるいは避難できない国民に生じる被害についてどういうふうに考えて作ったのか、それを分かりやすく答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) あくまでも防衛力整備の目的は国民を守り抜くために行われる、つまり、適切な防衛力を身に付けることによってまずは抑止力が成立し、あるいは万々が一抑止が破れた場合にも適切な対処行動を取ることによって国民の被害を最小限にとどめる、そういう観点で、あくまでもその国民を守り抜くために防衛力整備をやっておるということを何度も防衛省としては御答弁申し上げているところでございます。  他方で、シミュレーションについては、これは、そもそもその防衛力、主として装備品ですけれども、それが足りているのか足りていないのかということを明らかにするためのシミュレーションでありますものですから、あくまでも主として装備品がこれくらい足りないというのを導き出すためのシミュレーションということで、直接国民の被害の程度を見積もることをその内容としたシミュレーションではないということでございます。 ○小西洋之君 ちょっと防衛大臣、防衛大臣、よろしいですか。防衛大臣に伺いますが、先ほどから政府答弁のとおりなんですが、今回の三文書は国民において生じる被害というのは見積もらずに、想定せずに作られているんですが、よろしいですか、国民において自分たちが受ける被害も想定されずに、よって、それを守るために自衛隊が何が必要かというのも私も想定、検討を実はできていないんだと思うんですが、国民において自分たちが受ける被害を想定せずに作られた安保三文書、でも、これは五年間で四十三兆円、向こう五年後には十一兆円ですよ、そうしたものというのは国民から理解が得られるとお考えになりますか。端的に答えてください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、最大限の努力をしながら説明をしてきているところでもありますし、そしてまた、我々がこの国を守るという際に、その今の被害想定というものを考えながらやるのは当然かもしれませんけれども、しかし、我々とすれば、それをそうならないための努力を今していかなければならないということもこれは事実でありますんで、そういったことも含めて、我々とすれば、様々な検討をした上で、今回の被害想定については我々とすればしてこなかったところでありますんで、その点を御理解いただければということで、今答弁をさせていただいているところであります。 ○小西洋之君 まあ、大臣の御地元、私の選挙区でもありますが、千葉は沖縄に続く地上戦の目的、対象地になっていたわけですよね。いかに国民の被害が生じるかということは常に安全保障政策上の第一、それを検討しない安全保障政策というのは私はあり得ないと思うんですが。  ちょっと時間がなくて、次の質問に行きますけれども、問いの十二と十三まとめて質問をさせていただきますが、今回、反撃能力、反撃という言い方を言っているんですが、この実態、実質というのはいわゆるこの打撃ですよね、打撃。他国領域に対する打撃。なので、今回政府が三文書で認めている反撃能力というのは他国領域への打撃能力と言って何か問題があるのか、他国領域への打撃能力という言葉で何か過不足があるのか、そこを答弁していただきたいのと。  あと問いの十二番ですが、この最も烈度の高い事態などにおける事態というのは、要するにもう抑止が破れて、日本がその日本に侵攻してくる国とミサイルの撃ち合い、いわゆるミサイルの熱戦ですね、熱い戦い。ミサイルの撃ち合いをやっているような事態も当然に想定していると、この二点だけ端的に答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  政府としては、この三文書の検討過程において、いわゆるこれまで敵基地攻撃と言っていたものにつきましては反撃能力と、こういうふうに呼称させていただいてきているところでございまして、年末の三文書におきましてもそのように記述させていただいたところでございますが、委員御指摘の打撃ということの意味するところについては、つまびらかに把握できているわけではありませんが、米軍の打撃力のようなものを念頭に置いているとすると、我々はそのようなものを念頭に置いているわけではございません。それは、先生御案内のとおり、反撃能力は憲法の下でミサイル攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限自衛の措置として行使される、保持する防衛力は必要最小限のものでございまして、活用されるスタンドオフ防衛能力も通常弾頭の精密誘導兵器だからでございます。  そしてまた、ミサイルの撃ち合いということがございますけれども、私たちとしては、この反撃能力の保有目的と申すのは、三文書に書かれておりますように、ミサイル攻撃を抑止するというところにあるのでございまして、我々がこういう能力を保有することによりまして、また、弾道ミサイル防衛能力とも相まって我が国に対するミサイル攻撃を抑止するということが究極の目的でございます。 ○小西洋之君 アメリカ軍が持つ戦力が日本国憲法では違憲になる戦力を含むわけですから、そんなこと分かり切っている。そんな変な、おかしなごまかし答弁をしないでください。  ちょっと次の質問行きますが。  日米のこの基本的な役割分担、三文書で変わらないと言っているんですが、配付資料配っていますけれども、これは日本の、この日本のミサイルの対処というのはあくまで迎撃なんですね、迎撃。飛んでくるものを撃ち落とす迎撃ですね。ところが、今回相手国領域のミサイル装備を破壊する打撃を行うわけですから、そうした意味でもこの日米の役割分担というのは変わってしまっている、アメリカが行う打撃力を日本も一緒に行う、日本のミサイルのこの打撃力にアメリカも協力して連携してやるというふうに言っていますけれども、そうした意味で日米の役割分担というのは変わってしまっているのではないか、それを答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  反撃能力の行使につきましては、委員御指摘がありまして提出をさせていただきました理事会の資料に記載されておりますとおり、我々としては、ガイドラインの考え方に即しましていいますと、日本は、日本の防衛を主体的に実施して、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するために直ちに行動すると。これにつきましては、我が国が行う武力の行使全般について該当するものでございまして、その中には先生御指摘の弾道ミサイルの迎撃も入りますし、また、今般三文書で考え方も明らかにしていただきましたけれども、反撃能力も入るというふうに考えているところでございます。 ○小西洋之君 両局長それなりに頑張って答弁してくださろうとする姿勢は私も常から感じているんですけれども、引き続き真剣勝負の、聞いたことにはちゃんと正面から答えると、また大臣もそうした御指導をお願いいたします。  終わります。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  五月四日に長野県諏訪市霧ケ峰高原で大規模な林野火災が発生しました。五日未明の陸自ヘリによる空中消火活動によって鎮火に多大なる御貢献をいただいたことに対して、県民の一人として、防衛省、陸上自衛官の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。  また、林外務大臣におかれましては、中南米五か国の訪問、大変お疲れさまでした。特に、最終訪問地のパラグアイで当選直後のペニャ次期大統領を表敬されたことは、今後の二国間関係の発展のみならず、メルコスールとの関係強化にもつながるのではと期待しております。  一月にアルゼンチンとブラジルを訪問されているので、僅か五か月でメルコスールの大半の国々を歴訪されたことになりますので、そろそろEPA交渉を始める機が熟したのではと考えますが、林大臣のお考えはいかがでしょう。 ○国務大臣(林芳正君) 四月二十九日から五月五日まで、トリニダード・トバゴ、バルバドス、ペルー、チリ、パラグアイの中南米五か国を訪問いたしました。今お話で触れていただきましたように、今年の一月にメキシコ、エクアドル、ブラジル、アルゼンチンの四か国を訪問しておりますが、これに引き続きまして、価値や原則を共有する重要なパートナーである中南米諸国との友好関係を深めることができたと思っております。  この中南米地域ですが、食料やエネルギー、そして鉱物資源の重要な供給源でございまして、また、我が国と長い信頼と友好の歴史を有し、基本的価値や原則を共有する重要なパートナーであります。こうした中南米諸国との経済関係の強化、これは大変重要であると考えております。  このメルコスールとの経済関係強化につきましては、年始以降、私がブラジル、アルゼンチン及びパラグアイを訪問した際に政府や企業関係者から関心が示されておるところでございまして、メルコスールを始め中南米諸国との経済関係の強化の在り方につきましては、国内の様々な意見も踏まえながら引き続き議論を継続してまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  厳しい民主主義条項を有するメルコスール加盟国というのは、林大臣も繰り返し御答弁されているとおり、同じ価値観を有する国だと言えると思います。そういう意味で、四回開催された日・メルコスール経済関係緊密化のための対話は、二〇一七年の五月を最後に途絶えてしまっております。以前、堀井委員も御質問されておりましたが、国内の様々な意見も踏まえながら引き続き議論を継続してまいりたいと今も御答弁いただきましたが、この交渉をスタートできない意見が強いということなのでしょうか。どういった意見のことを指しておるのか、お答えください。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  メルコスールでございますが、人口約二億七千万人、GDP規模で見ますと約二・二兆ドルという大きな経済規模を有しております。また、メルコスールの構成国は世界最大の日系社会を抱えておりますし、委員御指摘のように民主主義等の価値を共有する伝統的な友好関係にある国々でございまして、こうしたメルコスールとの貿易投資関係の強化は重要であるというふうに認識しておるところでございます。  その上で、日・メルコスールEPAについてのお尋ねでございますので、一般論になりますけれども、経済連携協定でございますので、これにつきましては幅広い国民の皆様に影響がありますことから、貿易、投資の促進等の観点から推進すべきとの声、あるいは国内の産業への影響等に対する不安や懸念の声など、国内には様々な意見がございます。  加えまして、経済関係の強化ということに関しましては、経済連携協定以外にも、経済界の交流促進、あるいは人的交流の拡大など、様々な方法も検討することが重要でございます。  メルコスールとの経済関係強化の在り方につきましては、こうした点も踏まえつつ、引き続き国内で議論を継続してまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 国内の議論、しっかりとしていただきたいですし、やっぱり今まで続けていたそうした交渉、交渉というか対話も今後とも続けていただきたいと思います。  パラグアイは、南米で唯一、台湾との外交関係を維持しております。林大臣が中南米を歴訪する際、国家安全保障戦略に基づいて、日本の外交方針を、普遍的価値や国際法に基づく国際秩序を維持、擁護する、特に、我が国が位置するインド太平洋地域において自由で開かれた国際秩序を維持、発展させると御説明されたり、中国関係についても、力による一方的な現状変更の試みを強化し、日本海、太平洋等でも我が国の安全保障に影響を及ぼす軍事活動を拡大、活発化させている、さらに、ロシアとの戦略的な連携を強化し、国際秩序への挑戦を試みているというような御説明をされているのだと思いますが、では、どうして同じ価値観を持つ台湾ではなくて中国を承認しているのかと問われることがないのかという心配をしておるんですが。  ゴールデンウイーク中に台湾を訪問されていた与党議員が台湾関係法を制定すべきだとの認識を台湾の立法院議長に述べられたように、台湾関係法を制定すべきという声を最近よく耳にしておりますが、林大臣のお考えはいかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 台湾との関係に関する我が国の基本的な立場でございますが、日中共同声明を踏まえて、非政府間の実務関係として維持するというものでございます。政府としては、このような基本的立場に基づいて、これまでも、経済を始めとする幅広い分野で台湾との実務的な協力関係を積極的に推進をしてきております。  この台湾との関係に関する枠組み等について様々な御議論があるということは承知をしておりますが、政府としては、今申し上げた基本的立場に基づいて、引き続き台湾との間で幅広い実務関係を発展させてまいりたいと、そういうふうに考えております。 ○羽田次郎君 当然、日中間の関係もございますので、なかなか法的な部分でいろいろと制定していくのは今の段階で難しいということだと思いますが、本当に体を張って日本の国益のために頑張っておられるというふうに承知しておりますので、引き続き是非とも御努力をお願い申し上げます。  次に、国家防衛戦略の我が国の防衛の基本方針に記載されている内容について伺います。  事態に応じて柔軟に選択される抑止措置、FDOとはどのような活動をいうのか、具体的な内容をお示しいただきたいのと、前の防衛大綱においても、柔軟に選択される抑止措置等により事態の発生、深刻化を未然に防止すると記述されていますが、これまでにFDOとしてどのような活動を実施してきたかについても併せてお示しください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  国家防衛戦略におきましては、力による一方的な現状変更やその試みを抑止するとの意思と能力を示し続け、相手の行動に影響を与えるために、柔軟に選択される抑止措置、FDOを、政府一体となって、また同盟国、同志国等とともに充実強化していく必要がある旨明記しているところでございます。  これまで防衛省・自衛隊として実施してきたFDOについて申し上げますと、例えば、事態の推移に応じた訓練、演習の戦略的な遂行などによりまして、我が国の意思と能力を示し、事態の発生、拡大を未然に防止するといったものが考えられますが、これ以上の個別具体的な内容につきましては、前防衛大綱期間中の取組も含めまして、事柄の性質上お答えできないことを御理解いただければと考えております。  政府としましては、力による一方的な現状変更やその試みを抑止し、我が国への侵攻に至らないようにするため、日米共同で、FDOを含め、引き続きしっかりと取り組んでいく考えでございます。 ○羽田次郎君 詳細についてはなかなか、前回の大綱の後にどうしたことを取り組んできたかということもお答えになれないということだと。やっぱり、大きな防衛力強化をする中で、国民への説明不足ということが最近のアンケート調査でも指摘されておりますので、是非ともしっかりとした御答弁をやはりいただきたいなというふうに私も思います。  次の質問になりますが、戦略的コミュニケーション、SCを政府一体となって同盟国、同志国とともに充実強化していく必要があるとの記述がありますが、具体的な内容をまたこれもお示しいただきたいと思いますのと、こちらも前防衛大綱で、自衛隊の部隊による活動を含む戦略的コミュニケーションを外交と一体となって推進するというふうに記述されておりますので、これまでにSCとしてどのような活動を実施してきたかについてもお示しください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、我が国にとって望ましい安全保障環境を平素からつくっていくための取組の一環といたしまして戦略的コミュニケーションの取組を実施している、することとしておりまして、防衛省といたしましても、例えば、効果的な発信が可能となるような手法やメッセージを選択し、様々な言語や媒体を用いることなどによりまして、自衛隊が実施する様々な活動やその目的について国際社会に対して効果的な発信となるよう努力しているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えばでございますけれども、SNSを積極的に活用して、外務省を始めとする関係省庁と連携して多言語での発信を実施するような取組、また、一般論として申し上げますけれども、共同訓練や演習や海外における艦艇の寄港などに際しまして、先ほど申し上げましたSNSなどを活用した発信などを行っているということでございます。  国家防衛戦略等を踏まえまして、引き続き力による一方的な現状変更やその試みを抑止するとの意思と能力を示すべく、戦略的コミュニケーションを政府一体となって、また同盟国、同志国等とも充実強化していく考えでございます。 ○羽田次郎君 国家のその意思と能力というのを示すことで抑止をするという御答弁繰り返しされていると、何かどうしてもこの憲法九条の武力による威嚇等に当たらないのかということが気になってしまうんですけど、そこには当たらないという当然理解でよろしいわけですね。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりでございまして、憲法で禁じられている武力による威嚇ということを内容とするようなものを実施することはございません。 ○羽田次郎君 それでは次に、総合的な防衛体制の強化のための府省横断的な仕組みの下、防衛省・自衛隊のニーズを踏まえ、政府機関、政府関係機関が行っている先端技術の研究開発を防衛目的に活用していくという記述がございますが、ここで言う先端技術とは何を指すのかということと、また、総合的な防衛体制の強化のための府省横断的な仕組みとはどのようなもので、いつ頃設けられるのか、御説明ください。 ○政府参考人(室田幸靖君) お答えを申し上げます。  先端技術に関しまして政府として統一的な定義があるわけではございませんけれども、種々辞書などにおきましては、例えば、最も進んだ科学技術、あるいは最先端の高度技術の総称といった定義がなされておりまして、ポイントといたしましては、その時点その時点で最も進んでいる技術を指すということがポイントかと思っております。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  そういった最先端の科学技術につきましては、加速度的に進展をしておりまして、民生用あるいは安全保障用の技術の区別が極めて困難となっております。民生用途でのイノベーション、防衛用途でのイノベーションが相互に影響し合う中で発展していくというふうになっていると認識しております。  そうした中におきまして、例えば量子技術あるいはAIを始めとするような急速に進展する先端科学技術につきましては、政府、民間それぞれで活発に研究開発が進められておりますので、そのような中におきまして、成果を防衛目的にも活用するというのも極めて重要であるというふうに認識しているところでございます。  そういった認識に基づきまして、国家安保戦略におきまして、防衛省の意見を踏まえた研究開発のニーズと関係省庁が有する技術のシーズを合致させるという取組を行いまして、総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発を推進するという政府横断的な取組を創設することとしておりますけれども、このような取組につきましては、もう既に政府内で検討の開始が行われているということでございます。  その方向性につきまして簡単に申し上げますと、防衛省が科学技術の諸分野につきましてニーズを提示する、これを受けて関係省庁が自らの持っているシーズを提示して、内閣官房、私ども含めて内閣官房が中心となりまして、国全体の大局的な視点に立った形でのマッチングを進める、そして政府として重要技術課題を設定していくと、こういう取組を想定しておるところでございます。  いずれにいたしましても、政府といたしまして、総合的な防衛体制の強化に向けまして、民間のイノベーションも推進して、その成果を安全保障分野において積極的に活用するために政府一丸となって取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○羽田次郎君 重要技術課題をこれから検討されるということで、その中での先端技術というのをこれから横断的にまとめていくということなのかと思います。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  次の質問でも、既存の空港、湾港等を運用基盤として平素からの訓練を含めて使用するために、関係省庁間で調整する枠組みの構築等、必要な措置を講ずるという記述についての質問なんですが、この関係省庁間で調整する枠組みというのも、やはり先ほど申し上げた今検討に入っている仕組みと同じものなのでしょうか、それとも違うものなのでしょうか。 ○政府参考人(室田幸靖君) お答えを申し上げます。  空港、港湾等の御指摘の点につきましても、これも総合的な防衛体制強化の一環でございますけれども、空港、港湾等の公共インフラの整備等に当たりましても、これも内閣官房、私ども含めて内閣官房が中心となりまして、防衛省、それから国土交通省を始めとする関係省庁との間におきまして府省横断的な仕組みをつくって、防衛省や海上保安庁のニーズに基づきまして空港、港湾等の整備や運用について検討するという仕組み、これもう既に始めているということでございます。  既存の空港、港湾等の運用基盤として平素から訓練を含めていくというような関係省庁の間の調整につきましても、同様に議論が行われているということでございます。 ○羽田次郎君 じゃ、別々の枠組みということで承知をいたしました。  我が国の重要なシーレーンの安定的利用の確保等に取り組んでいくとありますが、この我が国の重要なシーレーンとは具体的にどの航路帯、海域を指すのかということと、また、安定的利用の確保とは具体的にどのような取組をされるのか、武力攻撃事態等に際し外洋で行われる船舶の護衛作戦等も含まれるのかどうかも含めて御答弁をいただけたらと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御質問の我が国の重要なシーレーンが指す具体的な航路帯や海域について網羅的にお答えすることは困難でございますけれども、一般的に申し上げますと、我が国から中東、欧州、豪州、米大陸に至るものは我が国にとって重要なシーレーンであると考えております。中でも、中東、インド洋、南シナ海を通る航路帯は、我が国が輸入する原油の九割が通る航路帯でございまして、エネルギー安全保障の観点からも重要でございます。  こうしたシーレーンの安定的な利用を確保するため、防衛省・自衛隊としましては、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処や中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動、同盟国、同志国との積極的な共同訓練、様々な機会を捉えた海上自衛隊の艦艇による寄港、シーレーン沿岸国に対する能力構築支援、防衛装備・技術協力などを実施してきており、引き続きこうした取組を推進してまいります。  また、武力攻撃事態等に際しての外洋での船舶の護衛につきましては個別の状況に応じて判断する必要があると考えておりますが、一般論としては、事態生起時においても海洋国家である我が国にとって航行の安全を確保することは極めて重要であると考えており、関係機関と連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 是非とも適切に御対応いただきたいのと、まあシーレーン、もちろん日本はほとんど輸入する国ですから、しっかりとそこも守っていただきたいと思います。  国家防衛戦略には、国家の意思決定過程が不透明であれば、脅威が顕在化する素地が常に存在する、このような国から自国を守るためには、力による一方的な現状変更は困難であると認識させる抑止力が必要であり、相手の能力に着目した自らの能力、すなわち防衛力を構築し、相手に侵略する意思を抱かせないようにする必要があるとの記述がありますが、これは、平成二十三年版防衛白書には、東西冷戦時代のような敵味方の対峙構造を前提とし、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗する、いわゆる脅威対抗の考え方には立たないという記述があるんですが、この国家防衛戦略に基づく今後の防衛力整備は、我が国に対し侵略を行うことのできる軍事力、軍事能力にのみ着目し、これをもって脅威とみなし、このような軍事的脅威に対応できる防衛力を整備する考え方である脅威対抗の考え方に立つのかどうか、浜田防衛大臣に御見解を伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、我が国の防衛政策は、防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立つものではないとの考え方については従来から一貫しているところであります。  その上で、基盤的防衛能力構想を採用した一九七六年の防衛大綱、防衛計画の大綱以降の防衛力に関する考え方を振り返れば、民主党政権であった二〇一〇年に策定した防衛計画の大綱においてこれによらないこととし、さらに、二〇一三年に策定した防衛計画の大綱以降、厳しさを増す安全保障環境を現実のものとして見据え、真に実効的な防衛力を構築することとしてきました。  今回の国家防衛戦略及び防衛力整備計画も、これまで進めてきた実効的な防衛力を構築するとの考え方に沿って防衛力強化の努力を加速して進めていくものであり、基本的な考え方を変更したものではありません。 ○羽田次郎君 基本的な防衛戦略は民主党政権時代も今も変わっていないということで理解をいたしました。  国家防衛戦略について、今後、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されないと記載されていますが、これは冷戦期に懸念されていたような主要国間の大規模武力紛争の可能性が排除されないということを意味しているのかどうかということ、国家防衛戦略に基づく相手の能力に着目した防衛力の構築はどの程度の規模の侵略に対して備えを行おうとするものであるのか、防衛大臣に伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の記述については、必ずしも主要国間の大規模武力紛争が発生する可能性を念頭に置いているわけではありませんが、戦後、国際社会が築いてきた国際秩序の根幹を揺るがす事態が欧州で現実に起きていることを踏まえ、東南アジアにおいても深刻な事態が発生しないという保証はないという趣旨で記載したところであります。  その上で、お尋ねの、どの程度の規模の侵略を想定し備えるのかとの点については、事柄の性質上、定量的にお示しすることは困難でありますが、今般の防衛力の抜本的強化の検討においては、弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃、航空侵攻や海上侵攻等の我が国への侵攻が行われる事態や、宇宙、サイバー、電磁波の領域や無人アセットを用いた非対称な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相等を想定し、自衛隊がどのように対応できるか検証するなど、様々な検討を踏まえながら、国民の命と暮らしを守るために必要となる防衛力を積み上げたものであります。  失礼しました。今東南アジア、あっ、東アジアというふうに、あっ、東南アジアというふうに答えてしまいましたが、東アジアでございました。済みません。 ○羽田次郎君 時間となりましたのでこれで終わりますが、先ほど松川先生が日韓関係については質問されていましたので、今回私は省きたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  午前中最後の質疑者でございますので、もうしばらく御辛抱賜りたいと思います。  大臣、自民党というのは今衆参で三百八十三人もいらっしゃって、支持率が四〇ポイント、参議院だけでも百二十人いるんですね。我が国民民主党は二十人しかいないんです。参議院十人ですから、全然規模も支持率も違うんですけれども、何と十代、二十代の支持率が最も高い政党というのは実は国民民主党なんですね。若者からすごい人気があるんです。ですから、あと三十年たってこの若者が成長していくと、うちが恐らく与党第一党になるんですけど、玉木も私も八十歳になるのでもう少し急ぎたいと思いますけれども、実は、大変多くの十代、二十代の若者がこの質問をネットやユーチューブで見てくれているんですね。で、物すごいフィードバックがあるんです。  今日、防衛三文書、これからの若人たちにもとても大事な問題ですので、少し基本的なことを質問したいと思いますので、是非御答弁を賜りたいと思います。  つい先日退官された私が最も尊敬する官僚のお一人であったある方が、防衛三文書に対してこんなことをおっしゃいました。この三文書の大きな成果というのは、日本を守るために、防衛と外交だけではなく、外交だけではなく、省庁横断的で総合的な活力を、総合的な国力を活用するところにあるとおっしゃいました。全くそのとおりだと思います。そういった意味でも、この三文書というのは、我が国の安全保障の歴史的大転換でありまして、まさにこれからの日本を担う若者たちにとっても大変重要なものだと思っています。  そこでまず、基本的な質問一でございますが、今回これだけの大転換でありながら、日米ガイドラインの見直しを行っておりません。この行わない理由ですね、なぜ見直しをしないのか、お答え願いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 日米ガイドラインの見直しについては、同盟関係に関する諸情勢の変化が生じ、そのときの状況を踏まえて、必要と認める場合に両政府が適時適切な形で行うものであり、その上で、あります。  その上で、政府として直ちに日米ガイドラインの見直しが必要だとは考えておらず、まずは、新たに策定した国家安全保障戦略等を踏まえ、今後の日米防衛協力の内容や、日米の役割、任務、能力を含め、日米で幅広く議論していきたいと考えておるところであります。 ○榛葉賀津也君 必要性がないとおっしゃいましたけれども、時間的な理由なのか、今後、日米ガイドラインというのはどうなっていくんでしょうか。時間を掛けてですね、つまりは、相当これ、日米両国の国民のみならず、周辺国へ対してのアカウンタビリティー考えても、ガイドラインの作成をすることは私はベターだと思うんですけれども、今後、ガイドラインというのはどうなっていく可能性があるんでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今私からお答えしたわけでありますけれども、当然のごとく、これは今まで、今回の国家安全保障戦略を踏まえて、今後の日米防衛協力の内容等々、いろいろな部分に関して幅広く議論していくところ、幅広く議論を始めたところであることは事実であります。  しかし、今、日米ガイドラインの見直しについては、こうした議論の経過も踏まえつつ、その必要性について不断に検討していきたいというふうに考えております。 ○榛葉賀津也君 不断に是非検討していただきたいと思います。  二〇一五年の改定以来、やはり大きな変化があったと思いますし、無論、二〇一五年の改定の背景も、中国の海洋進出であるとか、米国の東アジアへのコミットメントが主なポイントでございましたが、実はこの一五年のガイドライン策定時の反省点の一つが、日米間の中国に対する認識のずれが若干あったと記憶をしているところでございます。当時の国防次官補、米国のですね、デビッド・シアーもその旨の指摘をされていますし、日本の国家安全保障局次長の兼原信克さんも、中国を踏まえた戦略のすり合わせが不十分であったというふうに実際発言をされています。  いわゆる日米で積み上げてきたRMCの議論ですね、ルール、ミッション、ケーパビリティー、役割、能力、任務ですけれども、おおむね二十年間、地道にこの議論を積み上げてまいりましたし、こういったものを具現化していくためにも、私は新たな指針を示すことも一つの選択肢ではないかと思いますが、他方、相当時間掛かりますし、エネルギーも掛かりますし、政治的なコストが相当掛かると思いますし、強いリーダーシップも必要だと思います。  であるならば、二〇〇五年の当時やったような中間報告的な何かを日米2プラス2の際に示すというのも一つの選択肢ではないかと考えるんですけれども、大臣の御認識をお伺いします。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほど大臣がお答え申し上げましたように、今、日米両国それぞれが国家安保戦略、そして防衛戦略を策定しまして、それぞれの戦略につきましてすり合わせを行ってやっていくと。そのときに、日米両国間で、今後の日米防衛協力の内容、特に日米の役割、任務、能力と、こういうところについて個別具体的に議論を始めているところでございます。  結論を予断を持ってお答えすることはなかなか難しいわけですが、こうした議論の経過、内容を踏まえながら、何らかの形で、また2プラス2、形でこういう議論の取りまとめをすることがあろうかと思っております。そういう議論の結果を見ながらガイドラインの在り方について不断に検討していきたいと、こういうふうに思っているところでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  今回の防衛三文書の勘どころの一つが、いわゆる統合抑止というものだと思います。米国から新たに出てきた基本戦略でありますけれども、大変これに対する御質問も多くありまして、日米で進む外交・安全保障の今後のキーワードでありますこの統合抑止について、若い国民に分かりやすく御説明願えるでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御指摘の統合抑止、これは用語としましては、アメリカが昨年の十月に公表しました国家安全保障戦略の中で記述されている言葉でございます。  この国家安全保障戦略の中では、まず、従来型の陸上、海上、航空という伝統的な領域だけではなくて、サイバーや宇宙という新しい領域を含めました作戦領域間の統合、そして、国防省だけではなくて、関係する米国政府の全体を統合、そしてアメリカが持ちます同盟国、そして有志国との統合などなどを通じまして侵略行為を抑止するという統合抑止の考え方を打ち出しているところでございまして、抑止力をこれによりまして強化していくという方針を打ち出しているところでございます。  他方、我が国について申し上げますと、これも国家防衛戦略でも書いてございますが、防衛力だけではなくて、経済力、技術力など我が国の国力を総合する。また、同盟国、同志国等とも協力、連携していくと。それによりまして、力による一方的な現状変更及びその試みを抑止して、我が国を守り抜いていくという方針を採用してございます。  我が国としまして、先ほど御説明しました米国の統合抑止という考え方そのものを採用しているわけではございませんが、このように、あらゆるアプローチと手段を統合させて、力による一方的な現状変更を起こさせないということを最優先とする点で日米両国は軌を一にしてございます。こうした日米両国が様々な分野における協力を拡大、深化させることによりまして、日米同盟としての抑止力は更に強化されると考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 増田防政局長、大変分かりやすく丁寧な御答弁ありがとうございました。  この統合抑止を見据えた自衛隊組織の見直しというのも今後重要になってくるんだろうと思います。例えば、米国が参加するNATOであるとか米韓同盟には最高司令部や連合司令部があり、実質トップは米軍の司令官になっているんですけれども、日米間にはこういったものがなく、指揮が別々になっています。  東日本大震災の際もそうでしたが、危機になると、今、幕のトップである統合幕僚長というのは大変様々な仕事に追われます。私が防衛副大臣の当時、そしてその後も、折木良一統幕長から様々な御指導賜り、また当時の岩田陸幕長等からも幕の考え方について様々御指導賜りまして、大変勉強になりました。  そのとき、やっぱり統幕長は、有事の際に、陸海空三自衛隊の統括をすると同時に、首相官邸であるとか防衛大臣への説明、さらには日米、在日米軍やインド太平洋軍司令との調整等々、こういった三つの大きな仕事を同時にこなさなければならないということで、極めて非現実というか、折木さんのような立派な方でもですよ、相当御苦労されていたと覚えています。  やはり、今後、この統合司令部というのをつくって米軍との窓口を担う統合司令官というのを据える方向だと聞いていますけれども、その辺について御説明願いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 常設の統合司令部については、国家防衛戦略の方針の下、統合運用の実効性を強化するために創設することとしておりますが、これは我が国の陸海空自衛隊の一元的な指揮を行うためのものであります。  自衛隊による全ての活動は、米軍との共同対処を含め、我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われており、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動することは常設の統合司令部の設置後も変更することは考えておりませんが、委員御指摘のとおり、日米間の連携強化は極めて重要であり、常設の統合司令部設置に当たっては、米軍との連携の在り方についてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 これ、政府参考人で結構ですけれども、いつ頃までにこれを具現化するお考えでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  常設の統合司令部につきましては、国家防衛戦略等におきまして速やかに設置するということになっておりまして、我々としては、その言葉のとおり、可及的速やかにこれを実現すべく、内容についての検討を今加速しているところでございます。 ○榛葉賀津也君 時期と同時に、場所もとても大事だと思いますので、しっかりと省内で議論していただきたいと思います。  次に、自衛隊の施設についてお伺いしたいと思いますが、一部報道によりますと、全国の自衛隊施設の八割近くがミサイルへの防御性能が不十分で、全体の四割の施設が現行の耐震基準を満たしていないという報道がございました。  現状はどうなっているのか、そして、今後これをどのようなスケジュールで強靱化図っていくのか、御答弁願います。 ○政府参考人(杉山真人君) お答え申し上げます。  安全保障環境が急速に厳しさを増す中、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる防衛施設の十分な機能発揮を確保することは重要であると認識しておりまして、このため、自衛隊施設に関して、武力攻撃等に対する抗堪性の向上、大規模自然災害対策、既存施設の老朽対策及び防護性能の付与等の整備を進めていく考えでございます。  その上で、自衛隊施設の現状について申し上げますと、防衛省は庁舎、隊舎など約二万三千棟の建物を保有しており、このうち、昭和五十七年以前に建てられ、旧耐震基準が適用された建物は約九千九百棟で、全体の約四割存在しております。また、平成十五年に自衛隊施設の性能に関する基本的事項を定め、防衛施設としての必要な性能確保を図ることを目的に自衛隊施設の基本的性能基準を定めておりますが、この制定以前に建てられた建物は約一万九千棟でございまして、全体の約八割存在しているところでございます。(発言する者あり)  お答えいたします。  今後の対応でございますけれども、全国に数多く存在いたします旧耐震基準適用の施設や、施設の機能、重要度に応じた防護性能等の付与が必要な施設につきまして、全国の各駐屯地、基地の整備計画を策定し、集中的かつ効率的に整備を進めていく必要性があります。  整備計画の策定につきましては、各駐屯地、基地の施設の現状を調査し評価した上で、耐震性能など構造物の基本的性能を確保するとともに、施設の重要度に応じた構造強化等の防護性能を付与しつつ、施設の集約化、再配置の検討を行っていくこととしております。  工事の実施につきましては、整備計画策定後、施設の老朽状況や駐屯地、基地の運用等を踏まえまして順次整備していく考えであります。耐震性能及び防護性能につきましては、おおむね十年後に全ての施設に対して措置できるように進めてまいりたいと考えているところでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  耐震や防御性能も大事なんですが、是非、現実的な有事考えると、建物の気密性ですね、NBC兵器であるとか化学物質の流入に耐え得るような施設も大事でしょうし、耐震をしっかりしても建物が密集していると被害が同時に受けるとか、分散化と逆に集約化とか様々な課題もあると思いますので、その点について答弁願いたいと思います。 ○政府参考人(杉山真人君) まず、生物化学兵器についてでございますけれども、昨年十二月に定められました防衛力整備計画におきまして、主要な装備品や司令部などを防護し、粘り強く戦う態勢を確保するため、既存施設の更新に際しては、施設の機能、重要度に応じ、爆発物、核・生物・化学兵器、電磁波などに対する防護性能を付与することとしております。  各種の防護措置の詳細につきましては、明らかにしますと自衛隊の具体的な防護能力を明らかにすることになるため従来からお示ししてはおりませんが、一般論として、生物化学兵器に対する防護としては空気のろ過フィルターや高気密のダンパーの設置などが一般論としては考えられるところでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  最後に、細かい話ですけれども、大事な指摘を幾つかしたいと思います。エアコンとトイレットペーパーと高速道路料金の話です。  実は、寒冷地や標高の高いレーダーサイトの宿舎等はこれエアコンを設置しないという基準だったんですけれども、二〇二二年三月に隊員が生活する隊舎を冷暖房設置という設備に変えていただきました。ありがとうございます。  そして、トイレットペーパーですけれども、安倍総理のとき、二〇一八年の調査で、トイレットペーパーを自腹で購入していた隊員が一三・六%もいたというのが委員会でありまして、当時の総理が直ちに改善させると言ったんですけど、結局自腹がなくなったのは二年後の後半でした。二〇二〇年の後半でした。  そして、これも、この委員会でも同僚委員から指摘がありましたが、高速道路料金です。日米地位協定で米軍は支払が免除されているんですが、自衛隊は違います。予算が限られているので、下道で行ったり、一般道を通ったり、目的地のインターチェンジの手前で降りて節約したり、いろんな工夫しているんですね。  この防衛三文書で、スタンドオフミサイルであるとか艦船であるとか戦闘機であるとか、いろんな議論がありますが、まあフロントも大事ですけれども、やはりこういった人に関する問題、先ほど佐藤委員も士の充足率の話をされましたが、人を大事にする、隊員を大事にするってとても大事だと思います。  是非、そういった環境を整えていってほしいと思いますし、ここにこそしっかりと人を強化するのが最大の我が国の防衛基盤だと思いますし、かつても新聞であったのが、パンと納豆を多めに食べて注意をされたという記事もありましたが、いろいろあったんだろうと思いますけれども、知らない人がそういう記事だけを見ると、自衛官って腹いっぱい食べられないのかというシンプルな疑問が実は持った方もいらっしゃると思います。  やはり国防の基本は人でございますので、大臣以下、現場の自衛官が本当に命を賭して頑張ってくれているわけですから、そういった環境を是非整えていただきたいと思いますが、大臣の決意を最後、お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 委員御指摘のように、大変いろいろな課題を我々も突き付けられておるわけでありますが、まさに自衛官のその環境というのは、これは当然のごとく我々しっかりと整備していかなければならないわけでありますが、今回の予算をしっかりといただくことによってそういったものの解消に当たっていきたいというふうに考えているところでありますので、最優先で考えてまいりたいと考えておるところであります。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  終わります。 ○委員長(阿達雅志君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会 ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、横山信一君及び石井苗子君が委員を辞任され、その補欠として下野六太君及び金子道仁君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 休憩前に引き続き、外交、防衛等に関する調査のうち、国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日、午前中の議論拝聴いたしましても、なかなか様々なところで脅威という言葉がやはり議論をされておりました。これ、昨年の防衛三文書の与党協議の中でも、特に議論の序盤において、何をもって脅威とするのかということが盛んに議論されたというふうにお伺いをしております。  最近私も、この国家安全保障戦略を始め日本の防衛三文書以外に、海外のいわゆる同様の国家防衛戦略に当たるもの、安全保障戦略に当たるものを時々読むようにしているんですけれども、改めてというか、当たり前のことなんですけれども、割と同じような章立てで同じような書き順で書いてあるもんだなということをちょっと思いながら読ませていただいています。特に最初の方に、やはりその国にとってのそもそも安全保障環境って今どういうもので、何が脅威なのかということがやっぱり書いてあるわけであります。  そういうことを考えますと、これやはり、今回の三文書の議論というのは、日本にとっての脅威は何かということと同時に、これ、日本がこうやって今例えば防衛費を上げようとしている、あるいは三文書を改定しているということが他国にとってどう映るのかという視点は、やっぱり忘れてはいけない視点なんだろうというふうに思っております。端的に言うと、日本が他国の脅威になっては当然いけないわけであります。  このこと自体は、国家安全保障戦略の中にも、基本的な原則というところに明記をしてあります。平和国家として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらないと、こう書いてあるわけであります。ここにしっかり明記をしてあるということと同時に、これ、今後の日本の振る舞い、外交・安全保障の様々な取組の中で、これをしっかりとやはり海外の国に対しても発信をしていかなければいけないんだろうと思っております。  従来から、日本がいわゆる何をもって脅威とするのかという議論のときに必ず、意思と能力というこの二つの観点から、二軸で検討されてきたと思っております。そういう意味でいきますと、外務省、外交の部分が主に担っている意思というところと、それから防衛省が担っている能力の部分ですね、この二つの観点から、まず最初の問いとして、日本が他国の脅威とならないんだということ、林大臣、そして浜田防衛大臣にそれぞれお伺いをしていきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性、これは一層高まっておると考えております。  こうした中で、この新たな国家安全保障戦略では、我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素の一つとして、まず外交力を掲げております。危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために力強い外交を展開してまいりたいと考えております。  そして、こうした外交を展開していく上で、この戦略にも明記しているとおりでございますが、我が国が平和国家として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を堅持すると、この基本方針、これは今後も変わることはなく、この点を国際社会に対して丁寧に説明していく構えでございます。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、政府としては防衛力の抜本的強化を進めていく考えでありますが、その内容は、あくまでも国民の命と暮らしを守り抜くために必要なものを積み上げたところであります。憲法の下での専守防衛を始めとする基本方針は何ら変わっておりません。  能力面から申し上げれば、例えばICBMといった性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いる、ためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されないとの一貫した見解を変更する考えはございません。  また、反撃能力に関しても、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置としており、あくまで相手から武力攻撃を受けた場合の必要最小限度の自衛の措置という観点で専守防衛と整合しておると考えます。  防衛省としては、諸外国に対して我が国の防衛政策を透明性を持って説明することを重視しており、今申し上げたような防衛力強化の目的、内容、そして平和国家としての従来からの基本方針に何ら変更がないことを含め、各国との防衛相会談を始めとする様々な場において説明をしてきております。  これまで、首脳会談や外相会談などにおける説明も含め、政府としての様々なレベルでの説明により各国から理解や支持をいただいているところですが、防衛省としても、引き続き、各国との二国間の防衛相会談や多国間の会議の機会も通じて積極的な説明に努めてまいりたいと考えております。 ○平木大作君 両大臣から大変明快な答弁をいただいたと思っております。  先ほど、海外のいわゆる安全保障戦略についてということで少し触れさせていただきましたが、これ、前回の円滑化協定のときにも、私、英国の安全保障、防衛、外交政策等に関する統合レビューについて少し触れさせていただきました。あの中でも、要はインド太平洋への傾斜ということを英国が明記をしてきたということを触れたわけでありますけれども、今日ちょっと言いたいのは、実はそういった方針を示しているのは英国だけではないわけでありまして、近年ですと、フランス、ドイツ、オランダ、こういったEUの諸国が同様の関与を表明しているわけであります。  改めて、これちょっと外務省に確認をさせていただきたいんですが、インド太平洋地域に対する世界的な関心の高まりについての政府の認識をお示しいただきたいと思います。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  自由で開かれたインド太平洋、FOIP、これは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することによって、地域全体、ひいては世界の平和と安定、繁栄を確保していくというビジョンでございます。共有する各国が自らの意思でその実現に向けた取組を進める、文字どおり自由で開かれたものとなっております。  実際、FOIPの実現の要となりますASEANは、FOIPと基本的、本質的な原則を共有するインド太平洋に関するASEANアウトルックを発表しておりますし、今委員から御指摘ございましたとおり、欧州各国などもFOIPと基本的な考えを共有するインド太平洋戦略を発表しております。今や、FOIPは、地域の中にとどまらず、国際社会の多数の国々の支持、賛同を得てきていると認識しております。  我が国といたしましても、FOIP実現のために様々な取組を行ってきておりまして、本年三月には、FOIPのための新たなプラン、これを発表いたしました。その中で、FOIP協力の新たな四つの柱といたしまして、第一に、平和を守るという最も根源的な課題への対処の在り方として法の支配を重視すること、第二に、気候変動、食料安全保障、国際保健、サイバーセキュリティー等の幅広い分野をFOIPの中に取り込んで、インド太平洋流の現実的かつ実践的な協力を推進すること、三つ目といたしまして、多層的に連結性の強化によって、皆が裨益する形での経済成長を目指すこと、第四に、海だけではなく空も含めた安全の取組を強化することといったことを発表させていただいております。  我が国は、引き続き、この新プランの下で、FOIPの実現に向けた取組を拡充するとともに、米国、豪州、インド、ASEAN諸国、太平洋島嶼国、韓国、カナダ、あと欧州など多くの国々と連携を強化していきたいと考えております。 ○平木大作君 改めて、今、世界が、新たな世界の重心という意味でこのインド太平洋というものに大変着目をしている。元々は、そもそもは、多くの国にとって認識はインド洋と太平洋って別物だったわけでありますけれども、そこを一つのコンセプトでつないだFOIPというものの価値というものが実は国内でもなかなか理解されていないんじゃないかなという認識を持っております。  世界中が今注目をしていて、そしてその関与を強めたがっている。そのいろんな背景の中には、当然、今後経済的な繁栄の中心にこの地域がなるだろうという、そういったもくろみもあると思いますし、ただ一方で、成り行きに任せておくと、もしかすると次の世界の火薬庫になるかもしれないという、そういう認識も恐らく働いているんだろうと思っております。  改めて、この中にあって、このインド洋と太平洋、二つの地域を一つのコンセプトで示し、そこに通底している考え方、法の支配ですとか、航行の自由ですとか、様々そういったものを示しながらこの地域の発展のコンセプトというものを示していることの価値というのは非常に大きいんだろうと思っています。もっともっと、実は日本がそのことを意識的に自覚をして今後この地域に関わっていかなければいけないんだろうということを思うわけであります。  そういう中で、今日ちょっと幾つかの問いをこれからもまたお伺いするんですが、一つのコンセプトとして、これは多分安全保障なんかのプロの方は使わない言葉なのかもしれませんが、防衛外交という観点から少しお伺いをしていきたいと思っています。  これ、一部の識者の方がその定義をいろいろされているんですけれども、簡単に言うと、平時において軍事アセットを協調的な活動に用いて行う外交、これを防衛外交だということをおっしゃっていまして、その重要性ということを最近指摘をされております。  例えば、報道等で、例えば軍隊ですとかあるいは自衛隊、こういったところの海外における活動等を、これ断片的にはいろいろ報道されるわけですね、ある国の空母が日本に寄港しましたよとか、自衛隊がアデン湾で海賊対処していますよとか、共同訓練をどこどこでしましたみたいなことはあるんですけど、なかなかこの切れ端切れ端の情報の中で、それが持つ意味ということについて一貫したストーリーが伝わっていないんだろうと。いわゆる何のためにやっているんだろうということが、何かあったときのための訓練でしょぐらいなことは何となく分かるんですけれども、その自衛隊が例えば海外に出ていったときにそこにはどういう意図があるのか、どんな意義があるのかということは、実はもっともっとこれ国内に向けても発信をされていかなければいけないんだろうと思っています。  ちょっとそういった意味でいくと、一義的に定義が決まっているわけじゃないんですけれども、日本の防衛当局として、このインド太平洋地域において外交、防衛にどう取り組んでいるのかということを少しお聞かせいただけたらと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  インド太平洋地域には大規模な軍事力を有する国家等が集中している一方、安全保障面での地域協力の枠組みが十分に制度化されておりませんで、各国の安全保障観も多様でございます。  こうした中、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、力強い外交努力と相まって、防衛省・自衛隊といたしましても、同志国等との多層的な防衛協力・交流を推進することが不可欠でございます。  この点、委員御指摘のように、我々としてその防衛外交ということについて明確な定義はありませんで、様々な捉え方がなされていると考えておりますけれども、我々としてその防衛外交という言葉は使っておりませんけれども、防衛省・自衛隊はこれまで、我々が有します人的、物的な資産を使いまして、例えば人的交流を通じた相互理解や信頼醸成の促進に加えまして、共同訓練・演習、能力構築支援、防衛装備・技術協力などの幅広い取組を実施してきているところでございます。  今後とも、こうした取組を更に充実させ、多角的で多層的な各国との防衛協力・交流を積極的に推進していく考えでございます。それによりまして我が国にとって望ましい安全保障環境をつくるために、防衛省・自衛隊としても貢献していきたいと思っております。 ○平木大作君 今答弁の中でも、この我が国にとって望ましい安全保障環境ということで答弁いただいたわけでありますが、国家防衛戦略の中にも三つの防衛目標ということが明示をされておりまして、その第一は、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境を創出をするということでありました。当然、何かあったときにどう対処していくのかということが極めて重要なんですが、そもそもそういったことを起こさせない、今のこの平和の状況というものをいかに維持していくのかということがまずは第一に掲げられているわけであります。  この例えば防衛外交というものについても、識者の方の整理によると例えば六つぐらい目的があるんだというふうになっておりまして、それは、その紛争予防と危機管理ということですとか、地域の安定化に向けた能力向上みたいなこともあれば、アクセスやプレゼンスの確保みたいなこともあるわけであります。ちょっと今日全部は説明し切れないんですが、例えば先般の南スーダンにおける邦人の退避、これは結局のところ、この海賊対処の拠点としてジブチに自衛隊がアクセスを持っていたということが極めて有効に効いた好例なんだろうと思っています。  こういうこと一つ取っても、なかなかそのふだんの海賊対処のために行っていますよという話と今回の邦人退避につながったということが一貫性を持ってやっぱり理解をされていないなというふうに感じるわけでありまして、そういった観点から、引き続き、是非これ、防衛省として取り組んでいる様々な平時における防衛アセットを用いた外交ということ、この意義というものをしっかり発信をしていただきたいというふうに思っております。  これに関連してなんですけれども、四月五日に、政府は、開発途上国に対して防衛装備品などを提供する新たな枠組みであります政府安全保障能力強化支援、いわゆるOSAですね、この導入を決められたわけであります。  これもなかなか、ODAとどう違うんだとか、ある意味入口のところで議論が止まってしまっている感じがするんですが、防衛外交という観点からも、それから先ほどの防衛三文書の中で確認をされた地域の平和と安定に資する取組という意味でも極めて重要な取組だと思っています。もっとこれがいろんな角度から検討されなければいけないというふうに思っているわけであります。  改めて、これ林大臣に、今回、このOSAを新設する意義と、この協力の概要について分かりやすく御説明いただけたらと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれております。そうした中で、力による一方的な現状変更を抑止をしまして、特にこのインド太平洋地域における平和と安定を確保して、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加えまして、この同志国の安全保障上の能力、抑止力、これを向上させるということが不可欠であります。  こうした観点から、軍等に対する資機材の供与やインフラ整備等を通じまして、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化、これに貢献することによって、我が国との安全保障協力関係の強化、また我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際的な平和と安全の維持強化に寄与するということを目的とする新たな無償による資金協力の枠組み、これを導入したところでございます。  この支援の枠組みにつきましては、昨年十二月十六日に閣議決定されました国家安全保障戦略に盛り込まれまして、令和五年度外務省予算に二十億円が計上されておるところでございます。また、今年の四月五日でございますが、OSAの実施方針、これを国家安全保障会議で決定をいたしまして公表したところでございます。 ○平木大作君 今日細かいところまでなかなか議論はできないんですが、今大臣からおっしゃっていただいたように、また提供先の選定も含めて、基本的には厳しい基準を設けたというふうに認識をしております。この相手国に対して、民主化の定着度合いですとか、法の支配、基本的人権の尊重の状況等、様々一つ一つ、やはりこれは国民の皆さんにも国際社会からも納得していただけるような、そういう基準の下でなされるものだということは、これもある意味重ねてしっかりと説明を尽くしていただきたいというふうに思っております。  そして、今回、次の問いにもこれまたがるところなんですけれども、このOSAの提供自体は、防衛装備移転三原則及びその運用方針の枠内で協力を実施をするということになったわけであります。  そこで、これ内閣官房にお伺いをしておきたいと思うんですけれども、現在、この防衛装備移転三原則の運用指針の見直しの議論というのが与党内で行われていると。なかなかその議論の内容については、午前中の答弁でもちょっとタッチをしないというか、踏み込んだ形の答弁でなかったわけでありますが。  これ、改めて国家安全保障戦略にどう書かれているかというのを確認させていただきますと、三つの原則そのものは維持しつつ、防衛装備移転の必要性、要件、関連手続の透明性の確保等について十分に検討するとされているんですね。要は、ここがちょっとやっぱり分かりにくいところでありまして、三原則は維持しつつ、運用指針は見直すとした、このことの意味合いがちょっとなかなか分かりにくいところがあるので、改めて御説明いただきたいと思います。 ○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。  ただいま委員から御案内ございましたとおり、国家安全保障戦略におきましては、三つの原則そのものは維持しつつというふうに記載をしております。  この三つの原則そのものでございますけれども、こちらにつきましては、二〇一四年四月に閣議決定されました防衛装備移転三原則、この文書のうち、移転を禁止する場合の明確化、移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開、そして目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保における記載を意味しているわけでございまして、これについては維持をしていこうという考えでございます。  他方、現在、防衛装備移転三原則の運用指針でございますけれども、こちらにおきましては、例えば完成装備品の移転を認め得るのは、国際共同開発・生産による場合を除いて、基本的に救難、輸送、警戒、監視、そして掃海に該当する場合に限定をされているところでございます。また、国際共同開発・生産につきましても、例えば共同開発のパートナー国から第三国への円滑な装備移転、その実施に際しては課題があるというふうに考えているところでございます。  その上で、国家安全保障戦略に記載しているとおりでございますけれども、防衛装備品の海外への移転と申しますのは、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出、あるいは国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段になるというふうに考えております。  防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直し、その具体的な内容につきましては現時点においては何ら決まっておりませんけれども、今申し上げましたような観点から、与党における御検討も踏まえながら今後議論を進めていくという考えでございます。 ○平木大作君 様々な論点があるというふうにも承知をしております。  今、例えば一つの例として引いていただいた共同開発のことにつきましても、そもそもこれ三原則作ったときにも、この共同開発をしたものをどう出していくのかということは、非常にこれ念頭に置かれて作られたわけでありますけれども、結果として、これまでのところフィリピンにレーダーを一件出しただけだと。なかなかその見込んだものも含めて得られていない。課題があるのもよく分かりますので、しっかりと議論尽くしていただきたいなというふうに思っております。  同時に、今特に一方的に侵略を受けたウクライナに対して何らかの支援をしてあげたいというのは、恐らくこれ国民の総意と言ってもいいような思いなんだろうと思っております。  一方で、殺傷能力のある兵器ということを他の欧米の国と同じように出していくということが、果たして国民の皆さんの認識と、そのものと合っていくのかどうか、この視点というのを忘れてはいけないんだろうということだけは申し添えておきたいと思っております。  時間も押しておりますので次の質問に移りたいと思いますが、四月の十七日ですね、第十二回の日韓の安全保障対話が五年ぶりに開催をされました。これも防衛外交の一環であるというふうに思っておりますけれども、この安全保障協力の基盤となるGSOMIAの運用正常化にも合意を見ることができましたし、あるいは、本日の読売新聞の一面なんかにも、日韓でレーダーシステムの接続、六月初旬にも日米韓で合意できるんじゃないかみたいなことの記事が出ていたわけであります。  改めて、これ、核と弾道ミサイル開発に邁進をいたします北朝鮮の脅威に備えるという意味でも、速やかに日韓、そして日米韓の安全保障協力、しっかり着実に進めていただきたいと思っております。浜田大臣にお考えをお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 先ほど来お話がありますように、安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中、日韓、日米韓の連携はますます重要となってきております。  四月十七日に日韓安保対話が行われ、日韓安保・防衛協力の強化に向けて緊密に意思疎通していくことで一致をいたしました。  また、同月には、局長級の日米韓防衛当局実務者協議を開催し、北朝鮮を含む地域における安全保障上の課題について協議するとともに、北朝鮮のミサイル警戒情報のリアルタイム共有について議論をしました。  こうした取組を踏まえつつ、現下の安全保障環境に鑑み、引き続き、日韓、日米韓の連携強化に向けて取り組んでまいりたいと考えているところであります。 ○平木大作君 ちょうど岸田総理によるシャトル外交も始まったわけであります。なかなか、これまでも日韓の関係というのはどうしても歴史の問題を引きずるということで、進んだかなと思うと韓国国内の世論に押し戻されてしまうみたいなことが多々あったわけでありますけれども、改めてこの大事なときに、この日韓の連携というものが、いろいろなこのいわゆる両国内の世論等も、波等もあるとは思うんですけれども、この中でしっかりと今強固なものにつくり上げなければいけない、そういう重要なタイミングに来ているというふうに思っております。  しっかりと日米韓、対話を進めていただきますように浜田大臣に御期待申し上げまして、ちょっと早いですけれども、ちょうどいい切りかと思いますので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  まず、林大臣、ゴールデンウイーク中、お忙しい中、中南米訪問、本当にありがとうございました。このような短期間の間に二度中南米に行っていただく、グローバルサウスに対する重視という点では非常に印象深い外遊であったんじゃないかと思います。今日は一般質疑ではないので、是非、一般質疑の際にしっかりとその辺りお話を伺いたいと思いまして、おります。  本日は、外交ではなくて防衛に関して、防衛の抜本的な強化のための財源の確保について集中してお話をお伺いしていきたいと思っております。  我が党としては、四十・五兆円のこの防衛力の整備のための財源、これを歳出改革、抜本的な歳出改革によってできる限り財源を捻出していくと、この時点で、もう既に令和九年度の時点で税制措置を想定しているということは、歳出改革が十分いかないという、弱腰というんでしょうか、徹底してやるぞという意欲をもう既にここの時点で引いてしまっているんじゃないか、そのような印象を受けております。そういう点で、どのようにしてこの財源確保をしていくのかということをちょっと今日は細かく見ていきたいと思っております。  資料一を御覧いただきたいと思いますが、これは、我々、皆よく見させていただいている資料でございますけれども、こちらの方で、歳出改革、令和九年度の段階では一兆円、そして今年度、令和五年度の予算としては二千億円の歳出削減を計上し、また目標としておられますけれども、その内訳はどのようになっているんでしょうか。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  今般の防衛力強化の財源としての歳出改革でございますが、骨太の方針を踏まえ、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続しつつ、各年度の予算編成での努力を積み重ね、令和九年度時点において、四年度と対比して一兆円強を確保することとしてございます。この水準は、五年間の年平均で、毎年度、前年度比〇・二兆円強の歳出改革でございます。  内容でございます。令和五年度予算においては、足下の経済、物価動向等を踏まえ、非社会保障関係費の増加額を全体で千五百億円とする中で、防衛関係費以外の歳出を六百億円程度に減少させると、そうしたことで二千百億円程度の財源を確保いたしました。様々な増減がありますが、主要経費別で申し上げれば、恩給関係費で二百五十二億円の減、エネルギー対策費で二百十七億円の減、科学技術振興費は百五十四億円の増などでございます。  令和六年度以降については、現時点で特定の経費を念頭に歳出削減を想定しているわけではございませんが、毎年度の予算編成において、社会保障関係費以外の経費について、各府省の要求を受け、各年度の状況を踏まえ、徹底した取組を進めてまいりたいと、このように考えてございます。 ○金子道仁君 御回答ありがとうございます。  資料の二を御覧いただきますと、今の御説明の内容がこちらに書いてあるわけです。  恩給関係費、これはまさに自然減と言える歳出削減でありますし、エネルギー対策費に関してもそれぞれの機構さんからの国庫納付金が非常にあったという、それを回していると。言い換えると、努力しない歳出が削減されたと言われるものを集めただけにしか見えないわけですね。抜本的に歳出を削減して捻出して、それを防衛費に充てるという、そのような努力ではないように見えるわけです。これでは、今後、毎年二千億円ずつプラスアルファ、プラスアルファとして歳出削減をしていく、そのことも限界があるんじゃないか、絞れる雑巾ももう絞れなくなってくる、そして本当に必要な財源に、支出に対しても縛りが掛かるって、これはいかがなものかと考えております。  やはり抜本的な行財政改革が必要だと考えますが、御意見お聞かせください。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、防衛力強化のための財源確保につきましては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、最大限の行財政改革の努力が不可欠であると考えてございます。  令和五年度予算におきましては、受給者の減少に伴う恩給関係費の減額のほかにも、予算編成過程を通じて様々な見直しを行い、精査した必要額を積み上げることによって、非社会保障関係費の総額を抑制し、財源を捻出してまいりました。  令和六年度以降も徹底した歳出削減の努力を行うことが必要と考えてございまして、例えば今年三月末の行政改革推進会議においては、行政事業レビューの抜本的な見直しを図ることが決定され、長年続けられてきた事業であっても時代の変化等により十分な効果が上がっていないものについては廃止や改善を行うと、そうしたことも決められてございます。  こうした方針も踏まえ、令和六年度以降の予算編成過程において行財政改革の徹底を図り、改革を続けてまいりたいと考えてございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  最大限の行財政改革に努力する、その言葉、非常に心強く感じております。  ただ、今の財務省主導の歳出削減、つまり毎年毎年二千億円のマイナスシーリングを掛けて満遍なくあちこちからお金を集めていく、これはやはり限界がある。まあ今年は出せた、来年はもっと厳しく、更に次の年は厳しくなっていくことが考えられますので、抜本的な行財政改革が必要なんじゃないかと考えております。  我が党は、歳入庁、つまり国税庁と年金保険機構の保険料の徴収部門を統合する、そのような、行政の中で類似、重複する、そのような機関を統合し整理することで歳出を削減していく、そのような提案をさせていただいております。  衆議院の方でこの歳入庁について御質問をさせていただいた際には、答弁としましては、業務に対して十分な公務員数を手当てすることが行政改革の取組に逆行すると、言わば、国税庁は公務員、社会保険庁は、ごめんなさい、年金機構さんは非公務員なので、それをがっちゃんこして二つの業務をしようとしたら公務員の数が増える、これは行財政改革の逆行だというような答弁だったんですね。  ただ、これは、部分的に見れば公務員は増えているかもしれませんけれども、全体から見れば業務の統合による財政改革だと思うんですけれども、このような類似、重複するような行政機関を整理すること、これもっともっと進めていくべきだと思うんですけれども、この歳入庁について、もう一度御意見お聞かせください。 ○政府参考人(吉住秀夫君) お答えいたします。  今御指摘のありました歳入庁の設置につきましては、先生御案内のとおり、政府の検討チームで平成二十五年に取りまとめられました論点整理におきまして、今おっしゃいましたように、現在非公務員が行っている年金業務を公務員に行わせることが行政改革の取組に逆行する旨の指摘があったことに加えまして、年金保険料と税は基本的に性格が異なっておりますことから、同一の滞納者に対して同時に納付折衝を行うことは実務上の問題が生じること、また、国民年金保険料の納付率の向上の観点からも、国民年金保険料と国税の徴収対象は重なりが小さく、その効果は限定的であるといった問題点が整理されたものと承知しております。  政府といたしましては、この論点整理を踏まえまして、悪質な年金滞納者について、委任要件を見直すこと等による国税庁への強制徴収委任の強化、厚生年金の適用対策や保険料徴収について国税庁が保有する情報の厚生労働省への提供といった関係当局間の連携の強化といったことの取組を着実に進めてきているところでございます。  今後ともこうした取組を強化していくことが重要であるというふうに考えております。 ○金子道仁君 前回の議論は平成二十五年、つまり二〇一三年なんですね。その時点で論点を整理して、そこで思考をストップしてしまっているというのはいかがなものかと思います。  今、我が国はデジタルトランスフォーメーションをやろうと、そしてマイナンバーカードを導入しよう、これをできるだけ入れ込んで行財政改革をしようとしている、そのような時代に我々はいるわけなんです。  でも、それに対して、二〇一三年で論点整理をしたからもうそれで結論が出ているというようなことであったら、とても、先ほどおっしゃられた最大限の行財政改革の努力と言えないんではないかと私自身は非常にその点は疑問に思います。  そういった点に関しても、我が党としてはどんどんこの行財政改革、今日は歳入庁だけ話しました。もっともっと、こども家庭庁であったりいろんなところで行財政改革できるんじゃないかとは思っていますが、参外防の場所を使うのはちょっとよくないかと思いますので今日はここまでにしたいと思いますが、やはり最大限の行財政改革を行うことによって、必要な予算を削るのではなくて、無駄な予算はどこにあるのかを探していく努力は国全体で是非進めていただきたい、そのようにお願いいたします。  税外収入に関して次に質問させていただきますが、外国為替資金特別会計から三・一兆円の繰入れ、そしてその一部を防衛力強化資金に繰り入れるというふうな措置が今年度、今年度以降とられていきます。  資料の三番の二〇二二年度末の外為の貸借対照表をここに入れましたが、保有資産は百五十八・二兆円、年間収益は二・三兆円、これに対して三・一兆円の繰入れを今年度行うと。この算出根拠はどこにあるんでしょうか。そして、これは本来は為替相場の安定の目的である資金で、これを防衛力強化資金に繰り入れるということはやはり目的外使用にもなると思うんですが、繰入額の基準、幾らを毎年入れていくのが基準になっているのか、その辺りをお聞かせください。 ○政府参考人(土谷晃浩君) お答え申し上げます。  外為特会から毎年度生じる剰余金の処理に当たりましては、その三割以上を外為特会に留保することを基本とした上で、外為特会の財務状況や一般会計の財政状況を勘案して一般会計への繰入額を決定することにしております。  今回、防衛財源としまして、外為特会から合計で三・一兆円を繰り入れることとしたところでございますが、令和四年度分の剰余金におきましては、令和四年度予算で見込んでいた剰余金の七割、〇・九兆円を、これまで同様、一般会計の一般財源として活用することとした上で、外為特会の留保分となるべき残りの三割、〇・四兆円と、予算策定時の見込みからの上振れ分の全額一・五兆円の合計一・九兆円を一般会計に繰り入れ、防衛財源に充てることとしております。  今回、剰余金の全額を一般会計に繰り入れることとしましたのは、外貨建て債券の金利上昇や円安の急激な進行等により剰余金の上振れが見込まれる中、為替介入等により外為特会の財務状況が改善されたことを勘案したものでございます。  また、進行年度となる令和五年度分の剰余金におきましては、現在御審議いただいております財源確保法による特別措置によりまして、現時点で確実に発生が見込まれる一・二兆円に限りまして前倒しして一般会計に繰り入れ、防衛財源に充てることとしてございます。  令和五年度の最終的な剰余金見込額のうち外為特会に留保すべき金額については、令和六年度予算の編成過程におきまして一般会計繰入れルールを踏まえ検討されることとなっておりますが、その検討に当たりましては、外為特会の財務状況、こちらの方も勘案されることとなります。 ○金子道仁君 資料の四のところを今説明していただきましたけれども、通常は、外為特会の剰余金は三割が一般会計だと、七割はその積立ての方に回す。その積立てに回すのにも根拠があって、その積立金が十分ないと、為替、今年度は利益が出ましたけど、損益が出た際に特会自体の債務超過が起こり得るという、そういうことを避けるために、三割は必ずプールして七割、あっ、ごめんなさい、三割は一般財政に戻して、七割はプールしていくという、そういう基準があるわけですよね。それが資料の四の方に書かれているわけです。  財務省としては、三割は一般会計に、七割は必ず、剰余金の方は特会の方にプールしていくと。にもかかわらず、今年度はその七割も一般会計に戻すと。しかも、昨年度分だけじゃなくて、今年度分ももう見込んで先行して入れていく。かなりイレギュラーな外為特会からの繰入れがここで決定されているということがここで分かるかと思うんです。  実際にこの外為特会の積立金は保有外貨の三〇%に達していない段階の中にあって、どうしてこのような一般財源にこれほど繰り入れることができるのか、その点について御説明いただけますでしょうか。 ○政府参考人(土谷晃浩君) 繰り返しではございますが、一般会計繰入れルールにおきましては、外為特会の剰余金について、その三割以上を外為特会に留保することを基本とした上で、外為特会の財務状況や一般会計の財政状況も勘案して、実際の一般会計繰入額を決定することとしてございます。  このルールの下、令和四年度分の剰余金につきましては、先ほどの御説明と重なるところもございますが、一般会計において、厳しい財政状況の中で防衛力強化のための財源確保が必要となっているという一般会計の事情、剰余金の留保がなくとも、令和四年度中に実施した為替介入に伴い令和四年度末の外為特会への内部留保比率が令和三年度末の一八・六%から二〇・一%に上昇し、外為特会の財務状況の改善が見込まれたこと、これらを勘案しまして、全額を一般会計に繰り入れることとしたものです。  今後の予算編成における外為特会の剰余金の扱いにつきましても、一般会計繰入れルールを踏まえ、その時々の外為特会の財務状況や一般会計の財政状況を勘案しながら検討してまいりたいと考えてございます。 ○金子道仁君 時間が来ましたのでこれで質問を終わりますが、今も御説明あったように、基本は三割だけなのが、基本でない、つまり例外的な措置をしているという趣旨だと思います。つまり、かなり無理をして財源を捻出しておられるのは間違いないと思うんですね。これがいつもいつも続くわけではない、この税外収入が来年度、再来年度同じように外為特会から入るとは全く想定はできないわけです。ほかにも、剰余金、ごめんなさい、今日は質問できなかったですが、決算剰余金を活用するであるとか、かなり財源の算出方法としては無理を重ねたものというふうに印象を受けております。  是非こういったことのないように、歳出削減に対して、最大限の行財政改革に伴う歳出削減、抜本的な歳出削減を目指していただきたい、そのことをお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  議題にありますいわゆる防衛三文書について、私からはサイバー防衛について質問をいたします。  政府が昨年十二月に決定した新たな国家安全保障戦略では、武力攻撃には至らないものの、国、重要インフラなどに対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入すると、能動的サイバー防御について初めて言及がされました。  その後、本年一月三十一日には内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室が設置され、松野内閣官房長官は同日の記者会見で、能動的サイバー防御の実施に向けた体制整備を進めていきたいと述べております。  こうした能動的サイバー防御へのニーズや期待が高まる一方で、攻撃者の情報を収集、監視したり、システムに侵入したりする行為が我が国では不正アクセス禁止法などに抵触するおそれがあるということも度々指摘をされているところであります。この点、三文書発表前に本委員会で法改正の検討について質問したところ、大臣より、政府としてあらゆる選択肢を排除せずに検討という力強いお言葉はいただきつつも、現時点で結論について予断を持ってお答えすることは困難というような御答弁でございました。  改めて、この防衛三文書が発表され、能動的サイバー防御という言葉が初めて盛り込まれたことを受け、実効性を高めるためにも不正アクセス禁止法、不正電磁的記録罪の要件を改正して、自衛隊への適用除外、これを認められるよう防衛省として課題を整理していくべきではないかと考えますが、大臣の意気込みと現時点での見通し、見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえ、国家安全保障戦略においては、武力攻撃に至らないものの安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃を可能な限り未然に排除し、発生してしまった場合には被害の拡大を防止するため、能動的サイバー防衛を導入する旨記述されました。  具体的な取組の内容については、安全保障上の必要性と現行法令との関係等を総合的に勘案しつつ、内閣官房が中心となって政府として検討を進めているところであります。  防衛省・自衛隊としても、自らのサイバー防衛能力の抜本的な強化の取組を通じて、このようなサイバー安全保障分野に係る政府の取組に積極的に貢献していく所存であります。 ○音喜多駿君 今、積極的に貢献ということでありますけれども、この検討も期限を区切ってしっかりと前に進めること、そして、やはりこの防衛の実務に当たる防衛大臣がリーダーシップを取っていただくということを是非お願いしていきたいというふうに思います。  このアクティブサイバーディフェンス、能動的サイバー防御を実施するためには、サイバー人材の確保や育成も必要です。  政府は、防衛力整備計画において、二〇二七年度をめどに自衛隊サイバー防衛隊等のサイバー関連部隊を約四千人に拡充するということにしておりますが、今民間企業においてもサイバー人材が不足をしていると指摘をされる状況の中で、これどのように能力が高い人材を確保していくのでしょうか。特に、サイバー職に就業する者にとって民間と比較した場合にどのような魅力があると考え、どのようにリーチをして確保していくのか、防衛大臣のお考えを伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省・自衛隊としては、サイバー要員の大幅な拡充に伴う人材の確保に当たっては、陸海空自衛隊の学校における課程教育、部外の教育機関の活用、そして外部人材の活用などの取り得る手段を全て取ることとしております。その際、部内人材の育成と外部人材の活用を共に推し進めることが重要と考えており、部内人材の育成については専門教育等の養成者数や内容を拡充することとしております。  また、専門的知見を持つ外部人材の活用を推進すべく、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備を検討しており、その際、体力面に関しては緩和することも視野に検討を進めているところであります。  また、国家安全保障戦略を始めとする三文書を踏まえ、引き続き、サイバー人材の確保、育成を実効的に強化できるよう検討をしっかり進めてまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 柔軟な働き方という言及や、あるいは新たな人事制度というコメントありましたけれども、まさに柔軟な働き方を認めていく、こういうの大事だと思いますし、このサイバー防衛人材については給与、待遇面について民間に引けを取らないような魅力のある制度設計をしていただくと同時に、先ほど申し上げたように、こちらもしっかり期限を区切って早急に方針や制度設計を出していただきたいというふうにお願いをしたいというふうに思います。  続きまして、ちょっと順番変えまして、まず外務省のデジタル化について少し積み残しがありますので、先にお伺いさせていただきたいと思います。  外務省は独自のシステムを使っている分野が多いとも伺っておりますが、その一つが公電です。各府省庁において、配付された公電を紙でしか利用することができず、子供を育てている職員も在宅勤務時などに柔軟な働き方をこれによって阻害されている現状があるともヒアリングをしております。  そこで、この公電を他府省庁が用いる場合、電子的に閲覧することは可能なのかどうか、まずこれを外務省にお伺いいたします。 ○政府参考人(大槻耕太郎君) お答え申し上げます。  具体的な府省庁名については答弁を差し控えたいと存じますけれども、一部の府省庁におきましては公電を電子的に閲覧することが可能となっております。 ○音喜多駿君 裏を返せば一部以外認めていないということだと思うんですよね。  まさに公電のような情報の秘匿は国家の信用に関わるから厳重に取り扱っているということは理解をいたします。ただ一方で、電子的な配付や閲覧であれば、誰がいつどのように閲覧、転送したか、これ追跡のトラックして調査が可能である一方、昨今の総務省の行政文書の件を見るに、紙の方がかえって漏えいに無防備であるということも明らかになりつつあると思います。  公電についてこの電子的な閲覧を全面的に認めることを検討するべきではないでしょうか。これを外務省に確認いたします。  その上で、現状、現行の省庁間の政府共通ネットワークにはセキュリティー上の問題があり公電の配信に仮に堪えないということであれば、そのようなシステムは全面的に作り直すべきと考えますが、こちらデジタル庁に伺いますので、それぞれ御答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(大槻耕太郎君) お答え申し上げます。  外務省といたしましては、各府省庁からの要望を受けまして、当該省庁による公電の利用状況などをその都度検討しまして、適切と判断した場合には各府省庁の予算の範囲内で電子的な閲覧を可能とするシステムを構築しております。  今後とも、各府省庁それぞれの必要性及び予算に基づきまして、外務省として適切に対応してまいりたいと考えております。 ○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。  ただいま外務省からもお答えがございましたが、公電の電子的な閲覧については、外務省におきまして現行基盤の上にその電子的閲覧を行うためのシステム整備を行い、各府省において必要に応じ同システムと接続するためにシステム整備を行っておりまして、その電子的閲覧を行っているものと承知しております。  各府省におきまして、機密性の確保、投資対効果等を踏まえつつ電子的閲覧に係るシステム整備を行うわけでありますけれども、デジタル庁といたしましては、外務省と連携して必要な支援を行ってまいる所存でございます。 ○音喜多駿君 今御答弁聞いていただいてもお分かりのとおり、各省庁がばらばらの対応をしているということで、やっぱりこれ一貫性というか統一性がないと思うんですよね。  そうしたものを一気通貫でデジタル化を進めるということが私は一つのデジタル庁の役割だとも思いますので、この外務省さんの個別の取組というのを後押しするのはもちろんのこと、ある意味デジタル庁が部分部分はリーダーシップを取って全庁的にこのデジタル化が進んでいくような動きを見せていただきたいと思いますので、その点は強く要望をさせていただきたいというふうに思います。  このデジタル化のメリットは、働き方だけではなく、合理化、そして意思決定過程が追える、見えるようになるということにもあります。そこで日々行われている決裁について電子化がされていることも重要だと考えます。  以前、総務省において各府省庁の電子決裁率を計測しておりましたが、この点、現在の電子決裁率は外務省で調べているでしょうか。この省内の電子決裁率の現状について、外務省にお伺いをいたします。 ○政府参考人(大槻耕太郎君) お答え申し上げます。  外務省における決裁は、電子、紙を含め様々な方法で行われておりまして、その数をカウントすることは困難であることなどから、電子決裁率そのものの集計、算出はしておりません。  一方で、外務省としましても、決裁の電子化のための取組をこれまでも進めてきているところでございまして、例えば大臣官房におきましては、決裁を原則電子化するパイロットプロジェクトを行いまして省内での決裁電子化を推進していますほか、各種省内広報、啓発活動、研修といった取組を行ってまいりました。引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 ○音喜多駿君 計測はしていないということで、おっしゃるとおり、全ての決裁について改めて調べるということは非常に困難で時間が掛かり過ぎるということも理解はいたします。これ事前の結構レクのときも議論をさせていただきましたけれども、ただ一方で、この意思決定の過程が電子化されているということが、見えるのもこれも重要であって、そのためにやっぱりある程度の外的な指標がないとなかなかこの目標に向かっていくのは難しいというのもまた反面事実であるというふうに思います。  そして、最後、大臣にもお伺いしたいんですが、これどのように電子決裁率、デジタル化の向上を図っていくのか、林外務大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど事務方から答弁いたしましたように、この電子決裁率そのもの、これは集計、算出していないわけでございますが、決裁の電子化というのは、この業務の合理化、それから働き方改革といった観点からも非常に重要であるというふうに認識をしております。これまで様々な取組を行ってきておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。 ○音喜多駿君 外務省さん、パスポートの申請のデジタル化や電子申請など、積極的に取り組んでいる部分もあると思いますので、是非一層のデジタル化の推進の方をお願いしたいというふうに思います。  残された時間で二問ぐらいしか行けないと思うんですが、関連してこの防衛省のデジタル化についてもお伺いしたいと思います。  内閣官房がまとめた令和二年度国家公務員テレワーク取組状況等調査の結果概要、こちらを見ますと、防衛省は他の省庁ほど成績が良くなく、テレワークの実施回数が多い府省としては残念ながら言及がありませんでした。また、自衛隊の退職者及び予備自衛官などを正会員とする隊友会等の政策提言には、このリモートワークの推進に関する要望も入っているところであります。  以上の状況で、防衛省は今後のテレワーク推進をどのように進めるお考えなのか、防衛省の見解をまずお伺いいたします。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊では、テレワークを活用した柔軟な働き方の推進は、非常時における業務継続の観点に加えまして、育児、介護等により時間に制約のある隊員等の能力発揮に資するものであり、ワーク・ライフ・バランスの観点からも重要であると考えています。  このため、令和三年度にテレワーク推進計画を策定したほか、本年三月には防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画を改正し、テレワークの推進及びテレワークの推進に資するペーパーレス化の推進を重点項目として掲げ、取り組むこととしています。  具体的には、テレワークが実施可能な環境を整備するため、テレワークにも利用可能な個人用端末の整備を進めており、令和二年度末には約二千四百台であったところ、令和五年度末には約六万四千台まで増加する予定です。  また、行政文書の電磁記録化などのペーパーレス化、テレワーク推進期間の設定といった取組も行い、多くの職員がテレワークを経験し、業務がテレワークゆえ完結できる、そういった業務プロセスの確立を推進していくこととしております。  防衛省・自衛隊におきましては、引き続き、テレワーク実施のための職場環境の整備など、非常時においても危機管理省庁としての業務が全うできるようテレワークの推進に取り組んでまいりたいと、このように考えております。 ○音喜多駿君 これしっかりやっていただきたいんですが、時間がないので、最後、一問だけちょっと飛ばして伺いたいんですけれども、テレワークと関連して、生活環境改善、備品整備という面においても、ネット環境の整備、WiFiの設置というのは自衛隊にとっても非常に重要だと考えています。  この点、先日、この委員会の理事で視察に、自衛隊の基地などに視察に伺ったところ、自衛隊の駐屯地内の隊舎において、個人が生活する方の隊舎ですね、WiFi設備がないという話を伺いました。この事実関係をまず確認した上で、コミュニケーションスペースみたいなところにはあるんです、ただ、個人個人が生活をしている隊舎の中にはネット環境がないので、恐らく皆さん、自分の携帯電話でインターネットをやるか、あるいはもう諦めているかのどちらかなんだと思います。  もはやこのWiFiというのは現代における最低限のインフラであり、各々個室は用意できなくても、やっぱりネット環境が通じる個室というか居住環境というのは、これは整備していくということは、これは自衛隊員の生活環境改善のために必要不可欠ではないかというふうに考えますが、この点、防衛省の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  防衛力の中核は自衛隊員であり、国家防衛戦略等に基づき、全ての隊員が高い士気と誇りを持ちながら個々の能力を発揮できる環境を整備してまいります。  他方、現在、駐屯地や基地内の隊舎において隊員が私的な通信に使用するためのWiFi設備につきましては、建物の標準設備としては設置しておりません。  WiFi設備につきましては情報保全の観点も含め検討する必要性がありますが、できることはないか検討してまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 できることはないか検討というのは前向きな御答弁と捉えさせていただきます。もちろんセキュリティーの問題がゼロではないと思いますけれども、下手すると個人の端末も全部持ち込めないということになってしまいますので、しっかりと本当に前向きに早急に検討いただきたいということを最後要望いたしまして、時間が参りましたので終了させていただきます。  ありがとうございました。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  安保三文書の一つ、国家安全保障戦略は、戦後の我が国の安全保障政策を実践面から大きく転換するものだと述べています。その中心が、敵基地攻撃能力の保有解禁であります。憲法九条とその下で政府が掲げてきた専守防衛との関係が直ちに問われます。  資料をお配りしています。一九七二年の田中角栄首相の答弁です。専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、専ら我が国土及びその周辺において防衛を行うということとあります。  防衛大臣に伺います。  防衛のためだからといって相手の基地を攻撃することはしない、これが従来の政府の考え方ですね。 ○国務大臣(浜田靖一君) 専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであります。我が国の防衛の基本的な方針であると考えます。  御指摘の田中総理の答弁は、我が国の防衛の基本的な方針としてこうした専守防衛の趣旨を説明するとともに、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は一般に憲法上許されないことについて述べたものであります。  政府は、一九五六年の政府見解以来、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限の措置をとることは、他に手段がないと認められる限り、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解してきており、田中総理は、専守防衛の考え方がいわゆる敵基地攻撃を否定するとの趣旨を述べたものではないと考えております。 ○山添拓君 いや、お答えになっていません。  これは以前に小西委員がこの委員会でも質問された中身ですが、海外派兵の禁止というのは、一九五四年、自衛隊の創設時から政府が説明してきたものです。また、参議院の、自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議でも確認された大前提です。  今の大臣の答弁ですと、専守防衛というのは海外派兵の禁止の言い換えでしかないと、こういうことになるんですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほど大臣が申し上げたとおり、政府は、一九五六年の政府見解以来、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限の措置をとることは、ほかに手段がないと認められる限り、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解釈しており、田中総理の答弁は、専守防衛の考え方がいわゆる敵基地攻撃を否定するという趣旨を述べたものではないと考えております。 ○山添拓君 いや、田中総理の答弁は、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなくと言っているわけですね。これは海外派兵の禁止でしかないんだと、大臣の答弁はそういうことになるんですが、専守防衛とはすなわち海外派兵の禁止でしかないと、こういうことですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 従来から、政府としては、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛隊のための、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきております。  一方で、従来から、政府は、他国の領域における武力行動で、武力の行使の三要件に該当するものであるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと考えてきております。この趣旨は、一九五六年二月二十九日の衆議院内閣委員会で示された政府の統一見解によって既に明らかにされているところであります。 ○山添拓君 いや、それはまだこの先聞く話なんですけれども、お答えいただいていないんですね。  専守防衛の内容として、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなくと、これが政府の答弁だったわけです。一九七〇年には、当時の中曽根防衛庁長官が専守防衛をやはり説明をして、目的において防衛に限る、地域において本土並びにその本土周辺に限る、手段において核兵器や外国に脅威を与える攻撃的兵器は使わない、こういう答弁もしておりますが、海外派兵の禁止とは明らかに異なる防衛の限界、これが専守防衛だったはずです。  先ほど大臣は、田中答弁は、海外派兵は一般的に憲法上許されないことを述べたものだと答弁しました。強弁されたと思います。  では、海外派兵と敵基地攻撃はどう違うんですか。自衛隊員を派遣することは許されないが、ミサイルを飛ばすことは許されるということになるんですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  海外派兵、いわゆる海外派兵は、先ほど大臣も御答弁されたように、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するということでございまして、これは一般に憲法上許されないということでございます。 ○山添拓君 ミサイル、長射程のミサイルを飛ばすのも、武力行使の目的を持って発射するわけですよ。  自衛隊の部隊が行くのは駄目だと、海外派兵の禁止だと。ミサイルが行くのはよいのですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  ミサイルが反撃能力として行使された場合には、それは武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するということとは違うものではないかと思っております。 ○山添拓君 どこがどう違うんですか。有人か無人かで違うんですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、今回、反撃能力の行使に活用されますスタンドオフミサイルですね、これのみが相手の領域に飛翔していくという態様は、武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵には該当しないと、こういうふうに考えております。 ○山添拓君 いや、それは説明になっていないと思います。  効果としては、相手を攻撃するという効果がもたらされている点で変わりはないですよね。片や海外派兵、部隊の派遣は海外派兵だから禁止される、ミサイルによる攻撃はその海外派兵には当たらず許される、これは説明にならないと思うんですよ。  更に伺います。  昨年二月の衆議院予算委員会で、当時の岸防衛大臣は、相手国の領域内に戦闘機が入り、その戦闘機から爆撃するような手段も敵基地攻撃として排除されないと答弁しました。これは、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領域へ派遣する海外派兵そのものではありませんか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  その御指摘の岸大臣の答弁につきましては、ちょっと確認をさせていただきますけれども、一般的な意味で申し上げたものでございまして、ちょっと確認させていただいて御答弁させていただきます。 ○山添拓君 いや、一般的な意味で、相手国に入って爆撃することが排除されない、許容性があると、それは困ると思うんですよ。  これ、大問題になった答弁ですから。海外派兵は禁止される、しかし、ミサイルは可能、しかし、さらに、爆撃機が相手の領域内に入って戦闘を行う、攻撃を行うことは排除されない、これはもう支離滅裂だと思うんですよ。  今整理をされるということでしたから、整理した上で、あっ、答弁されますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  確認させていただきました。岸防衛大臣が令和四年二月十六日の衆議院予算委員会で答弁されたことを指されていると思います。  この御指摘の答弁は、当時、令和四年二月十六日の時点でございますけれども、三文書の政府内で検討を行っておりまして、政府としてあらゆる選択肢を排除せず現実的に検討することとしていた中で、様々な選択肢があり得るという観点から答弁したものでございます。  その上で、今般、政府としては、スタンドオフ防衛能力等の自衛隊能力を活用して反撃能力を保有することとしたところでございます。長射程のスタンドオフミサイルにより自衛隊員の安全を確保しつつ遠方から対処できるという選択肢がある中においては、現実の問題として、自衛隊員の安全リスクがある有人機ではなく、スタンドオフ防衛能力を活用して相手国の領域外から対処することが基本となると考えております。 ○山添拓君 選択肢として排除されないと述べていたのが、検討の結果、排除されることになったのですか。それはどこに書いていますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  国家安全保障戦略、また国家防衛戦略の中におきまして、昭和三十一年の法理に基づきまして検討した結果、我々としては、反撃能力についてはスタンドオフ防衛能力を活用していくというふうに定めたところでございます。 ○山添拓君 排除されたとはおっしゃらない。  確認もされるとおっしゃったんですけれども、改めて、過去に答弁した内容について、安保三文書を閣議決定した後で、それはなお排除されずに残っているのかどうか、そして排除したのは何なのかということは書かれてないですから、分からないですよ。これは整理していただきたいと思います。委員長、お願いします。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 専守防衛も海外派兵の禁止も、これは、歯止めを装いながら、偽りだらけだと思うんです。  七二年の田中答弁は、専守防衛と敵基地攻撃についての重要な認識を示すものです。  防衛省に伺います。  防衛研究所が二〇〇四年に発表した大量破壊兵器を搭載した弾道ミサイルの脅威下における専守防衛の在り方という報告書があります。これはどのような目的で作られたものですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お尋ねの報告書は、防衛研究所の研究者が研究者個人の立場から学術的な分析を行ったものであり、政府としての公式見解を示すものではございません。  なお、当該報告書は特別研究として行われたものですが、これは、防衛研究所が防衛省内部部局等の要請を受け、防衛政策の立案及び遂行に寄与することを目的に実施するものです。その成果報告書は内部部局等に提供されておりますが、内部部局においては、当然のことながら、防衛研究所の報告書に限らず、様々な情報等を勘案し、政策の立案や遂行を行うこととなります。 ○山添拓君 要請を受けて作ったものなんですから、どういう目的で作ったかということを紹介いただくべきだと思うんですが。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  これは、一般に調査研究の一環として行われているものでございまして、御指摘の防衛研究所の平成十六年度特別研究成果報告書、大量破壊兵器等搭載弾道ミサイルの脅威下における専守防衛の在り方ということは、これは特別研究に当たっておりまして、内部部局、統合幕僚監部及び防衛装備庁の要請を受け、防衛政策の立案及び遂行に寄与することを目的に実施するものとされております。 ○山添拓君 お答えいただきませんが、中国、ロシア、北朝鮮が大量破壊兵器を搭載した可能性のある弾道ミサイルを保有する中、日本が敵基地攻撃能力を持つことの実効性と、専守防衛に変更を加える軍事的、政治的コストのバランスを検討するものだとされています。  この報告書では、七二年の田中答弁と敵基地攻撃能力の関係についてこのように述べています。この答弁は近年余り引用されていないが、所信表明演説に対する質問への答弁であり、委員会等におけるアドホックな答弁とは性質が異なる、敵基地攻撃能力保有を検討する際には、田中答弁との整合性の確保又は説明が必要となると。当然の指摘だと思います。  防衛大臣に伺います。  政府は、今度の安保三文書の改定に当たって、専守防衛と敵基地攻撃能力保有との関係についてどこでどう検討したんですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  今般の防衛力の抜本的強化は、昨年から繰り返し答弁してきましたとおり、憲法及び国際法の範囲内で専守防衛を堅持するとの方針の下で政府として検討してまいりました。  御指摘の反撃能力につきましても、まずは防衛省において専守防衛との関係を含め検討し、国家防衛戦略等の案文を策定した上で、関係省庁の確認を経て、政府としてその保有を決定したところでございます。 ○山添拓君 いや、どこでどのようにということなんですね。  そして、今の答弁では、政府部内の検討のみしか行っていないということでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  この安保三文書の策定過程におきまして、まず政府部内で関係省庁とともに専守防衛と反撃能力の保有との関係について検討を重ね、国家安全保障会議等でも御議論を経て、そしてまた与党における御議論、特にワーキングチームにおける御議論などを経まして、最終的に政府として閣議決定をしたものでございます。 ○山添拓君 結局、政府・与党の内部だけだということですよ。  朝日新聞によれば、昨年二月七日の有識者ヒアリングで元防衛事務次官黒江哲郎氏が憲法論議の必要性を提起したといいます。黒江氏は専守防衛が防衛力の保有についても必要最小限に限るとしていることに疑問を持ったと述べておられますので、専守防衛そのものを変えさせようという意図かもしれません。  ともかく、政府はこの問題提起を受け流したというんですね。なぜですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  今つまびらかにその黒江元次官の発言内容について私が今ちょっと記憶を呼び戻すことはなかなかできないんでございますけれども、官職を辞して一般の方となられた方が御自身の見解を表明することはいろいろあるかと思いますけれども、政府の立場からそうしたものの一つ一つについて見解を述べることは差し控えたいと思います。 ○山添拓君 憲法の範囲内だと繰り返しおっしゃるのですが、憲法九条やあるいは政府が主張してきた専守防衛との整合性について議論すらしない。有識者のヒアリングも有識者会議も、憲法学者は一切招いていません。憲法解釈の変更となると世論の批判が更に高まると考えて、憲法論議そのものをスルーしたと言われてもこれは仕方ないと思います。  政府が敵基地攻撃能力の保有を合憲だと主張する根拠は、一九五六年二月二十九日、鳩山一郎首相による政府統一見解です。資料もお配りしています。我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として我が国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうにはどうしても考えられないなどとするものです。  防衛大臣に伺います。  この五六年見解は、我が国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合としています。我が国自身は攻撃を受けていない集団的自衛権行使の場合に敵基地攻撃を行う根拠とはならないですね。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  昭和三十一年政府見解は、誘導弾などによる攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限の措置をとることは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能としたものでございます。  このような考え方は、新三要件の下で行われる自衛の措置、すなわち、他国の防衛を目的とするものではなく、あくまで我が国を防衛するための必要最小限度の自衛の措置における対処の手段、態様、程度の問題としてそのまま当てはまると考えており、これは平和安全法制における審議でも御説明してきたとおりでございます。 ○山添拓君 いや、それは説明になっていないですよ。  元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏は、我が国自身が攻撃を受けているわけではない存立危機事態にこの答弁を当てはめようというのはどう見ても無理な話だと述べています。鳩山見解の射程外だという指摘ですね。  我が国土に対し攻撃が行われた場合と、密接な他国が攻撃された場合とは全く状況が異なりますよ。日本に対する攻撃がないなら、座して自滅を待つことにはならないではありませんか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  存立危機事態について御説明をちょっとさせていただきたいと思いますが、存立危機事態における我が国の武力の行使につきましては、事態対処法、国会で御審議いただき成立させていただきました事態対処法上も、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、武力攻撃だけではなく、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの、すなわち存立危機武力攻撃と、こう定義されております、を排除するためのやむを得ない必要最小限度の措置がとれる旨を規定しているところでございます。  したがって、存立危機事態におきましても、武力攻撃事態における我が国に対する武力攻撃を排除するためのやむを得ない必要最小限度の武力の行使と同様の考え方が当てはまり、法理上は反撃能力を行使し得るというふうに考えているところでございます。 ○山添拓君 いや、それは説明になっていないですよ。  五六年の鳩山見解は、我が国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、今、敵基地攻撃が憲法上合憲なんだという主張をされる際にはこの五六年見解を持ち出されるじゃないですか。しかし、五六年見解のうちの、我が国土に対しというところは省いて説明されるんですね。我が国土に対して攻撃がされた場合に座して死を待つべしではないのだと、こういう説明だったわけですよ。  集団的自衛権の場合には当てはまらないですね。 ○政府参考人(増田和夫君) 御指摘の一九五六年政府見解は、具体的な法律上の定義を示すものではなく、誘導弾などによる攻撃が行われるという一つの状況下における必要最小限度の自衛の措置に係る基本的な考え方を示したものでございます。  その上で、現在では、我が国に対する武力攻撃が発生した場合や、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される場合に対して先ほど述べた基本的な考え方が当てはまるものと考えており、一九五六年見解を変更したり、あるいはこの見解を逸脱しているということではないと考えております。 ○山添拓君 いや、これを勝手に拡大してはいけないと思うんですよ。  宮崎氏は、そもそも、我が国に対する武力行使への対処を超えて自衛隊の武力行使を認めるという存立危機事態武力行使の考え方自体が憲法九条を完全に踏み越えていると述べています。二〇一五年の安保法制自体問題だということが根底にあるというのは、私もそのとおりだと思います。  同時に、当時の政府は、当時というのは安保法制を策定した際の当時という意味ですね、敵基地攻撃能力を我が国は保有していない、したがって集団的自衛権で使うことも想定していないと、こういう説明だったわけですよ。  想定していないと言ってきたことを今度やろうとしている。ところが、その説明がないわけですね。説明できないということじゃないかと思うんです。なぜ、そこについての説明もなく、敵基地攻撃能力の保有、しかも集団的自衛権の行使としても使える、そこまで突き進んでいけるのか、憲法解釈についての、憲法論議についての議論すら行わずに突き進もうとするのか。  これは最後に大臣お答えいただきたいんですが、やはりこのまま突き進むわけにはいかないんじゃないですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) いろいろ御指摘を受けたところでありますけれども、我々とすれば、この今回の反撃能力、そしてまた、以前からあるいろいろな問題についていろいろな御提議があるのは確かにそのとおりかもしれませんが、我々とすれば、これはあくまでも反撃能力、いわゆる我が国に対する攻撃に対するということでございますので、集団的自衛権云々も、それも確かにそうかもしれませんが、我々の国に対してのそういった攻撃に対してそれを反撃するという抑止力を持つことが重要であるというところで我々は整理したというふうに考えております。 ○山添拓君 安保法制による集団的自衛権の行使と敵基地攻撃能力の保有、二重の憲法違反によって、それを公然と行い、説明もなく、軍事一辺倒で突き進む安保三文書は撤回すべきだということを主張して、質問を終わります。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  安保三文書について伺います。  浜田大臣は、所信でも、地元の基地負担の軽減に取り組むことを約束しています。沖縄県は、自衛隊と米軍基地の面積が県土面積の八・五%、沖縄本島だけ見ると一五・一%も占めています。配付してあります資料の一ページ目には、今年の正月の地元紙の記事が載っています。こういった中、先日委員会でも取り上げた石垣駐屯地の違法排水は放置されたままであり、ほかにも基地負担軽減に逆行する動きが進んでいます。  沖縄防衛局では、KC130空中給油機の岩国基地移転やMV22オスプレイの県外移転訓練といった負担軽減の効果を把握するため、二〇一七年度から、県内の嘉手納基地、普天間飛行場では、両基地所属の航空機を対象に二十四時間体制で離着陸時間や機種などを記録し、自治体やメディアからの問合せに、具体的な日時、軍用機の機種、機数、離着陸の別など、個別の情報を回答してきました。しかし、資料二のように、昨年八月以降、沖縄防衛局は、従来回答していた具体的な情報ではなく、時間帯でくくって大まかな回答をする形式に変更しています。  また、沖縄防衛局は、従来ホームページに掲載していた米軍機の航跡図の公表も資料三のように二〇一八年度から取りやめており、過去の掲載分も削除しました。その後、防衛局での閲覧自体も認めない取扱いに変更しています。  航跡図の調査は、二〇〇四年に米海兵隊CH53ヘリが沖縄国際大学に墜落する大事故を受けて、二〇〇五年二月に事故報告書が出され、二〇〇七年八月十日に日米合同委員会において、「普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書」が合意されて、実施に至ったものです。  両調査について現時点でどのように対応していますか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  まず、目視調査ですが、これは嘉手納飛行場と普天間飛行場における航空機運用の実態を把握するため沖縄防衛局において実施しているものであり、報道機関や関係自治体からの日々の個別の問合せに対し可能な範囲で情報提供を行ってきているところですが、委員御指摘のとおり、昨年八月以降、一機ごとに機種と離着陸時間をお答えする形から、基本的にまとまった時間帯の機種と離着陸回数をお答えする形に変更しているところです。  これは、米側が従来から運用情報の保全を求めていることを踏まえ、米軍の運用情報の保全の必要性と関係自治体等へ適切に情報提供する観点とを併せ沖縄防衛局において検討した結果として現在の情報提供内容としているところであります。  一方で、特異な事象が生じた場合には、関係自治体等からの問合せに対しまして、状況に応じて以前と同様に詳細な情報を提供させていただくことといたしております。  こうした対応により防衛省としての航空機の運用実態の把握内容が変わるわけではなく、把握した調査結果の中で引き続き関係自治体等に適切に情報提供を行うことができているものと考えております。  次に、沖縄防衛局において実施をいたしております普天間飛行場における回転翼機等の飛行経路の航跡調査についてであります。  これは、二〇〇七年に日米間で合意をいたしました報告書に記載をされている場周経路等に沿った飛行が行われているかについて、大まかな傾向の把握に努めているところであります。その上で、令和二年度分までの航跡調査の結果については、調査結果の概要を公表するとともに、沖縄防衛局において航跡図の閲覧を行ってきたところであります。  一方、米側からは、国際社会における米軍に対する脅威により航空機の運用に係る情報保全についてより厳しい考慮が必要であること、特に、近年、飛行場周辺において航空機に対するレーザー光発射が行われる事案や小型無人機が飛行場周辺を飛行する事例などが発生しており、これらの行為は航空機の安全運航の支障となり、一歩間違えると大事故につながる危険性があることを踏まえまして、米軍機の運用に係る詳細な調査結果を基に作成いたしました航跡図を公表することについて強い懸念が示され、公表を取りやめるよう要請があったところであります。  こうした米側からの要請を踏まえまして、昨年十二月末の令和三年度分の航跡調査結果の概要の公表から航跡図の閲覧を控えることといたしました。  他方で、航跡図の閲覧は取りやめるものの、調査結果についての地元等への説明の重要性を踏まえまして、引き続き、説明責任を果たすため、関係自治体に対しましてはこれまでどおり航跡図を用いて調査結果の説明を行うとともに、その評価を沖縄防衛局のホームページで公表させていただいているところであります。  防衛省といたしましては、それぞれの調査に関する情報につきまして、引き続き適切に情報提供や広報を行ってまいります。 ○伊波洋一君 今の話を聞いておかしいなと思うのは、航跡図は詳細だから公表できないという話ですが、皆さんはその航跡図を基に、普天間第二小学校の上空を飛んでいるじゃないかという様々な指摘については、これは二百メートルの誤差があるので、それは飛んでいないんだとずっと主張しているんですよね。  あるときには自分たちに都合がいいように全部言い換えていますが、そもそも、こういうものが明らかにされれば、現在問題になっておりますのは普天間飛行場そのものですね。普天間飛行場は、あの飛行場、米軍の軍用機飛行場基準のクリアゾーン内にあるんですね、あの普天間第二小学校が。そして、そのまま放置して、その上を皆さん飛ばし続けているんですよ。それ自体が違法であるから、本来、米軍基地の飛行場として、米軍飛行場として違法性を指摘されるから、それを外すためにやっているんじゃないですか。  つまり、皆さん自身が、米軍、普天間飛行場の違法性を承知して、米軍も承知していますからね、それをあくまで、もういつになったら辺野古が造られるのか分からなくなっている今の状況、そういう中で両者で隠蔽しているんじゃないですか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  先ほど御答弁したとおり、現在のその調査結果のその公表の在り方につきましては、米軍の運用状況の保全を考慮しつつ、関係自治体等への情報提供の重要性を踏まえた対応としているところでございます。 ○伊波洋一君 今申し上げたクリアゾーンの存在については承知していますか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) 申し訳ございません。今、詳細なデータ、資料を持ち合わせてございません。 ○伊波洋一君 いや、それぐらいは知ってくださいよ。普天間飛行場というのは、この二十何年も課題になっていたんです。  それは米軍の連邦航空法上も書かれていまして、要するに、滑走路の真正面に九百メートルの長さで空き空間をつくらなきゃいけない。なぜかというと、それは、墜落したときに、米軍機は弾薬や、あるいはそのそばからジェット噴射をするための大変人体には有害な物質も積んでいる以上、そのエリアを確保しないと連邦航空法上は米軍機が利用できる飛行場としては認めてはならないと書いてあるわけですね。そういうことがあって、現実に飛んでいる状況を把握されたくない、そういうこともあるでしょう。  いま一度、そのことを是非確認をした上で、この委員会に提出していただきたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 いや、現在ですね、要するに台湾有事の問題もありますけども、様々な形で沖縄の基地が大変厳しい状況になっています。岩国に入ったF35がずっと沖縄に入ってきたり、あるいは嘉手納でも同様です。外来機が多いんですね。  このような基地被害が状況がより厳しくなっている中で、飛行状況を明確にしないと、そういう立場の取組を皆さんがやることは、まさに県民をないがしろにすることですよ。子供たちの安全性を本当に無視をするという、こういうことであるということを指摘したいと思います。  大臣、現在の基地被害がひどくなっている中で、負担軽減に逆行するような取組ではありませんか。 ○国務大臣(浜田靖一君) この今御指摘のあった点については、目視調査の問合せ対応は、米軍の運用情報の保全等の必要性、関係自治体等に適切に情報提供する観点と併せて検討した結果、現在の内容となっております。  一方で、特異な事象が生じた場合は、以前と同様に詳細な情報を提供させていただくことになっております。  また、普天間飛行場の航跡調査は、米側の懸念を踏まえ、航跡図の閲覧は取りやめるものの、説明責任を果たすため、関係自治体に対し航跡図を用いて調査結果の説明を行うとともに、その評価を沖縄防衛局のホームページで公表しているところであります。  防衛省としては、関係自治体等への情報提供や説明の重要性を踏まえ、可能な範囲での対応をさせていただいておりますが、引き続き、米側に対し、日米間の合意を遵守し、航空機の運用による周辺住民の方々への影響を最小限にとどめるよう求めるなど、基地負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 二〇〇四年のあのヘリコプター墜落事故以降も、二〇一七年の十二月七日には緑ケ丘保育園にヘリの部品が落下し、その一週間後には、十二月十三日には、普天間第二小学校のちょうど体育の授業中の児童の間に、米軍ヘリの窓枠が落下する事故も起きています。  その後、今、小学校に、宜野湾市としても小学校上空を飛ぶなということを強く求め、禁止を求めたんだけど、日米政府はそれを拒否をしてシェルターを造ったわけですね、シェルターを造って、そこに子供たちは駆け込みなさいと、ヘリが来たらですね。その翌年、一年間に七百回以上も子供たちは駆け込んだわけですよ。今も続いているわけですね。  だから、そういうふうな今の状況、それを更に十何年も継続するということがほぼ明らかですから、そこも含めてやはり考えてもらわなきゃいけないと思っています。  これは継続して話をしてまいりますが、もっと、さらには、普天間飛行場の場合、嘉手納もそうですけれども、夜の十時から翌日の午前六時までは、夜間、早朝の飛行は制限されているんです。しかし、実際は全く守られていません。深夜の飛行も年間に三百回以上あるわけです。ですから、そういう、日常的にも、昼間もそうですけれども、夜はとりわけその苦情が多くなります。年三百回以上の苦情が続いています。  こういう今の状況、日米政府が合意をしても、守らせない、守らないという今の状況をやっぱり変えなきゃいけないと思うんですが、防衛大臣、嘉手納や普天間の航空機騒音規制措置をせめて守らせる努力を払うべきではありませんか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の点、我々も日々いろいろな形で米側に対してお話をさせていただいているところであります。我々とすれば、更に努力をさせていただきたいというふうに考えております。 ○伊波洋一君 現在、基地を抱える自治体は、地域を所管する地方防衛局や現地基地司令と、訓練の回数や時間帯などを含む基地の使用形態と住民生活のバランスを取る、基地使用協定を結んでいる例が見られます。防衛省としても、こうした先進事例を横展開して、自治体や住民が基地負担について自らの意見を表明できるように支援すべきです。  全国ではどういった事例があるのか把握していますか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  防衛施設の運用に当たって施設周辺の自治体や地域住民の御理解を得ることは重要でありますので、防衛省・自衛隊におきましては、日頃から防衛施設の運用に関して、地元に対する説明責任を十分に果たしながら、地元の要望や情勢を踏まえ、必要な調整を行ってきているところであります。  このような中で、個別の自治体のお考えやそれぞれの基地の特性等に応じて、例えば部隊の運用に関して自治体と協定を締結している場合もありますが、これらの内容は基地ごとの固有の状況を踏まえたものとなっております。  具体的には、自衛隊の戦闘機が配備をされております航空自衛隊小松基地におきましては、地元自治体との間で飛行時間帯や訓練実施場所等について協定を締結している例があります。また、陸上自衛隊の立川飛行場の運用開始の際に、地元自治体との間で飛行時間帯や離着陸回数等を確認している例があるところであります。  このような取組を踏まえまして、防衛省・自衛隊といたしましては、引き続き自治体の御要望も伺いながら必要な調整を行っていく考えであり、今後とも、地元の皆様の懸念や不安を踏まえ、更なる負担軽減の実現に向けて取り組んでまいります。 ○伊波洋一君 委員長にお願いしたいんですけど、防衛省において、全国において、どこの基地に、どういった自治体と、どのような内容の協定が締結されているか、協定の主体、締結日、内容などについて網羅的に委員会に提出するようお取り計らいお願いしたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 石垣駐屯地の違法排水問題でも、現在、防衛省は、問題があっても見て見ぬふりをする、情報はなるべく隠すという姿勢です。防衛省が基地負担軽減を言うのなら、具体的な成果を示してほしいと思います。  今年三月三十日、沖縄県議会は、資料五のように、「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書」を可決し、四月二十四日、二十五日には、資料六のように、東京を訪れた県議会の代表団が外務省や防衛省などに意見書を提出しました。  意見書には、安保三文書に基づき、第十五旅団の師団化、うるま市、宮古、八重山のミサイル配備、那覇基地の地下化、沖縄市の弾薬庫建設など、沖縄県の軍事要塞化が進められていること、岸田政権の軍拡が地域の緊張を高め、不測の事態が生ずる危険性、沖縄が再び標的にされるとの不安が県民に広がっていること、日本と中国にはいわゆる四つの基本文書があることなどを指摘し、「アジア太平洋地域の緊張を強め、沖縄が再び戦場になることにつながる南西地域へのミサイル配備など軍事力による抑止ではなく、外交と対話による平和の構築に積極的な役割を果たすこと。」、「日中両国において確認された諸原則を遵守し、両国間の友好関係を発展させ、平和的に問題を解決すること。」の二点を求めています。  外務大臣、この沖縄県議会の意見書をどのように受け止めましたか。意見書は、沖縄を再び戦場にしないよう対話と外交による平和構築の積極的な取組を求めていますが、外務大臣としてどのように取り組むのでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 今委員から御指摘のありました沖縄県議会による意見書に基づく要請につきましては、先月でございますが、吉川外務大臣政務官が対応させていただきまして、私も報告を受けているところでございます。この意見書も指摘しておりますように、沖縄を再び戦場にしてはならないということは当然であると考えております。  我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性がより一層高まっておりまして、まず優先されるべきは積極的な外交の展開であります。外交力、防衛力を含む総合的な国力を最大限活用しつつ、力強い外交を展開し、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出をしていく考えでございます。その上で、防衛力により沖縄を含む我が国に脅威が及ぶことを抑止することが重要であり、防衛力は外交の裏付けにもなると考えております。  日中関係につきましては、日中両国間には様々な可能性とともに数多くの課題や懸案が存在をいたします。同時に、日中両国は地域と世界の繁栄に対して大きな責任を有しております。昨年十一月の日中首脳会談で得られた前向きなモーメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築をしてまいります。 ○伊波洋一君 資料七に掲げてあります四月二十日の中国人民日報電子版は、「沖縄は歴史的要因や地理的環境から、長年軍事問題で害を被ってきた。日米両政府は一貫して沖縄を北東アジアにおける軍事的「橋頭堡」と見なし、同地域への軍事配備を次々に強化してきた。」と述べるなど、沖縄県民の立場に理解を示しています。  中国の軍事的脅威は深刻だ、とか、中国軍による認知戦だ、とかいっても、どちらが沖縄県民の感情に寄り添った言葉かは言うまでもありません。日本政府は、本当に基地負担に苦しむ沖縄県民に寄り添う気持ちがあるのなら、具体的な基地負担の軽減に取り組んでいただきたいと思います。  国家防衛戦力及び防衛力整備計画に関連して伺います。  岸田首相は、一月二十三日の所信表明の冒頭で、五年間で四十三兆円の防衛予算を確保し、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力の保有、防衛体制の抜本強化など、「極めて現実的なシミュレーションを行った上で、十分な守りを再構築していくための防衛力の抜本的強化を具体化」したと述べました。この現実的なシミュレーションについて、政府は、配付資料の八、九、十の三枚の概要で示しています。  その中、資料八が、侵攻部隊の行動とタイプで、我が国の部隊の対応です。資料九が、宇宙、サイバー、電磁波など、将来の防衛力の指針です、検討です。資料十が、その中では、侵攻そのものを抑止するため遠隔地から侵攻戦力を阻止、排除するために、資料、概要三分の三に図示されている分類番号、一、スタンド・オフ防衛能力と、二、統合防空ミサイル能力が使われます。その上で、抑止が破られた場合、一と二に加えて、三の無人アセット防衛能力、四の領域横断作戦能力、五の指揮統制・情報関連機能で非対称的な優勢を確保となっています。そして、迅速かつ粘り強く活動し続けて相手方の侵攻意図を断念させるとして、六の機動展開能力・国民保護、七の持続性・強靱性が取り組まれるようになっています。この六の国民保護と七の持続性・強靱性のフェーズは、抑止が破られていよいよ国内での攻撃が激しくなっている状態のことを指しております。  二〇二二年十二月十六日に閣議決定した防衛力整備計画の概要について説明した財務省の「令和五年度防衛関係予算のポイント」では、岸田首相が説明した極めて現実的なシミュレーションの一から七の段階ごとに必要な総事業費が示されています。配付資料十一に示してあります。一、スタンドオフミサイル、二、統合防空ミサイル、三、無人アセットの防衛力で九兆円、四、五の領域横断、指揮、情報で九兆円、六の機動展開、国民保護で二兆円に対し、七の持続性・強靱性は最大の十五兆円となっており、日本国内での、国土内での戦闘対策の準備に最大限の予算が投入されていることが分かります。すなわち、今回の防衛力整備計画は、反撃力の整備と同時に、それに伴う必然的な国内基地へのミサイル攻撃と国内での戦闘を想定して、施設の強靱化と弾薬、誘導弾及び装備品の維持整備と確保を目的としたものであることが分かります。  防衛大臣に伺います。防衛力整備計画の概要やシミュレーションの概要に示された持続性、強靱性とは日本国土における戦闘を想定したものですね。そして、最大の予算が配分されているということは、防衛省として国内での戦闘継続の決意を示しているということですね。お答えください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛力の抜本的強化の検討に際しては、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行わせていただきました。  こうした検討を通じて、スタンドオフ防衛能力約五兆円、統合防空ミサイル防衛能力約三兆円、無人アセット防衛能力約一兆円、領域横断作戦能力約八兆円、指揮統制・情報関連機能約一兆円、機動展開能力、国民保護約二兆円、持続性、強靱性約十五兆円といった分野を重視して必要となる防衛力の内容を積み上げ、五年間で四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出しております。  御指摘の持続性、強靱性については、迅速かつ粘り強く活動し続けて相手方の侵攻意図を断念させる観点から、弾薬の確保に約二兆円、可動率向上に約九兆円、主要な防衛施設の強靱化への投資約四兆円といった取組により、重点的に強化することとしております。  今後必要なことは積み上げた事業を着実に実施していくことと考えており、引き続き防衛力の抜本的強化の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 防衛大臣も質問の意図についてはそのとおりだとお答えになったと思います。  反撃能力、敵基地攻撃能力を持つから、それが敵のミサイル攻撃の標的になり、それに対し十五兆円以上掛けて持続性、強靱性を高めなければならないという泥沼にはまっています。反撃能力を持つことが日本を戦場にする、日本を戦争に引き込むことになっていないでしょうか。  防衛研究所の令和三年度特別成果報告、将来の戦闘様相を踏まえた我が国の戦闘構想、統合海洋縦深防衛戦略によると、現在は戦域レベルでの打撃力のバランスにおいて中国が優位に立っているとし、中国との間で戦端が開かれた場合の戦略目標として、状況を膠着状態に持ち込み、米軍のグローバルな戦力集中で時間を稼ぐことを基本目標として設定した、としています。いわゆる長期戦にして米軍の来援を待つというわけです。  既に、二〇〇五年の日米再編合意の日米同盟、未来のための変革と再編という合意で、日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部隊への侵略等の新たな脅威や多様な事態への対応について、含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する、としました。  さらに、二〇一五年には、米軍が日本を守るとした一九九七年の日米ガイドラインを変更し、新ガイドラインでは、米国が武力で日本を守ることはないということにしました。  このような中で、防衛大臣に伺います。  岸田首相は、極めて現実的なシミュレーションでは、現在五万人を超えて駐留し、各地で住民に多大な被害を与えた訓練を繰り返している米軍は登場しません、岸田首相のシミュレーションではですね。国家防衛戦略でも、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、我が国が主たる責任を持って対処し、これを阻止、排除する、とあるように、もはや在日米軍は抑止が破れた時点で我が国を守らないのですね。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、国家防衛戦略においては、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、その態様に応じてシームレスに即応し、我が国が主たる責任を持って対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止、排除すると明記しているところであります。  その上で、細部については事柄の性質上お答えすることができないことについて御理解をいただきたいと思いますが、今般のシミュレーションについては、日米安全保障条約第五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻には、我が国が防衛を主体的に実施し、米軍はこれを支援し補完するといった日米の基本的役割分担を踏まえて検討を行っているところであります。  いずれにせよ、政府として、米国が日米安保条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いており、国民の命と暮らしを守り抜くために、我が国が自らの防衛力を抜本的に強化することによって日米同盟の抑止力、対処力を更に強化させていく考えであります。 ○伊波洋一君 先ほど、岸田首相が提起したシミュレーションの概要の話で、抑止が破られた場合の中に米軍がいないということが分かるわけですけれども、そのときに、抑止が破れたときに米軍はいないのではないですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、その態様に応じてシームレスに即応し、我が国が主たる責任を持って対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止、排除するということを決めておるところでございます。 ○伊波洋一君 今、日本には最大五万人超えているわけです。本当に全世界で一番多いんですよね。しかし、その五万人が有事ではいなくなる。日頃私たちにその様々な負担を掛けている訓練は何のためですか。それは、いつも答弁は、有事に対して抑止力になるからと言うんです。でも、実際はいないんですね。いないということも合意されているし、それを、その訓練もしている、米軍自体もですね。  だから、そういう意味で、既に報道されているように、三月二日の予算委員会でも小池共産党委員が質疑の中で、この五年間で、二七年までに七十庫、それから十年以内に百三十、さらにおよそ九千以上の施設を、戦争にも耐えられるようなものに全部防衛省はそれを整備していくと、今日の議論の中にもありました。つまり、皆さんは、この日本全域を要するに戦争状態にしてまでも、この安保三文書の取組が我が国にとって安全保障なんだということを指摘してきたわけですね。  引き続き質疑はしますけれども、しかし、実態、実像を明確にしてください。皆さん、本当のことを言うべきです。一体、日米安保というのは今どうなったのかと。役割は変わっているということはもう既にほかの委員会でも言っていますので、アメリカは日本を守る役割はもうなくなっちゃっているじゃないですか。情報はもらえるかもしれないけど、実力部隊はいないじゃないですか。そういったことを含めて、次回からまた再度質疑をしたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) ただいま議題となりました三件につきまして、提案理由を御説明いたします。  まず、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件は、令和五年一月十三日に協定の署名が行われました。  この協定は、宇宙空間における技術開発競争が活発化する中、日米間の個別の宇宙協力を円滑に進めるため、アメリカ合衆国政府との間で宇宙協力に関する基本事項を規定するものです。  この協定の締結により、日米の実施機関が個別の協力活動を円滑に実施することができる仕組みが確立され、日米間の宇宙協力の更なる促進及び効率性向上が期待されます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和五年二月二十日に協定の署名が行われました。  この協定は、我が国と欧州連合構成国との間の既存の二国間航空協定の特定の規定を、我が国と欧州連合との間の航空関係の現状を踏まえた内容とすることで、航空関係の安定的な発展に向けた基盤を整備するものです。  この協定の締結により、我が国と欧州連合との間の航空分野における協力が一層強化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件は、令和三年十一月十七日に議定書が採択されました。  この議定書は、より迅速かつ円滑な手続による電子的形態の証拠収集を可能にするため、締約国の当局間の協力、他の締約国に所在する団体との直接の協力等について定めることで、容易に国境を越えて広範な影響を及ぼし得るサイバー犯罪に有効に対処するものです。  この議定書の締結は、治安対策に資するとともに、各国と協調したサイバー犯罪対策の一層の強化に向けた強い決意を国内外に示す見地からも有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会