第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第10号 令和5年4月25日 令和五年四月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十日     辞任         補欠選任      下野 六太君     山口那津男君  四月二十四日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     星  北斗君      山口那津男君     上田  勇君  四月二十五日     辞任         補欠選任      星  北斗君     田中 昌史君      上田  勇君     矢倉 克夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 田中 昌史君                 中曽根弘文君                 星  北斗君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 上田  勇君                 矢倉 克夫君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       青柳  肇君        内閣官房内閣審        議官       齋藤 秀生君        内閣官房TPP        等政府対策本部        企画・推進審議        官        道井緑一郎君        法務省大臣官房        審議官      保坂 和人君        外務省大臣官房        審議官      石月 英雄君        外務省大臣官房        審議官      實生 泰介君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        審議官      中村 和彦君        外務省大臣官房        審議官      日下部英紀君        外務省大臣官房        政策立案参事官  岡野結城子君        外務省大臣官房        参事官      宮本 新吾君        外務省大臣官房        参事官      西永 知史君        外務省大臣官房        参事官      片平  聡君        外務省大臣官房        参事官      松尾 裕敬君        外務省欧州局長  中込 正志君        経済産業省大臣        官房審議官    弓削 州司君        国土地理院長   高村 裕平君        環境省大臣官房        審議官      奥山 祐矢君        防衛省大臣官房        施設監      杉山 真人君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省防衛政策        局次長      三浦  潤君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君        防衛装備庁長官  土本 英樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間  における相互のアクセス及び協力の円滑化に関  する日本国とオーストラリアとの間の協定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付) ○日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイ  ルランド連合王国の軍隊との間における相互の  アクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグ  レートブリテン及び北アイルランド連合王国と  の間の協定の締結について承認を求めるの件(  内閣提出、衆議院送付) ○日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間  における相互のアクセス及び協力の円滑化に関  する日本国とオーストラリアとの間の協定の実  施に関する法律案(内閣提出、衆議院送付) ○日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイ  ルランド連合王国の軍隊との間における相互の  アクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグ  レートブリテン及び北アイルランド連合王国と  の間の協定の実施に関する法律案(内閣提出、  衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、下野六太君及び武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として上田勇君及び星北斗君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件外三案件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官青柳肇君外二十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案、以上四案件を一括して議題といたします。  四案件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○佐藤正久君 おはようございます。自民党の佐藤正久です。  日英、日豪RAA四案件の前に、スーダンにおける邦人輸送についてお伺いいたします。  総理は未明に、二十四日に、在留邦人四十一名とその家族四名、四十五名が航空自衛隊のC2輸送機においてスーダンのポートスーダンからジブチの方に退避をしたというふうな説明があり、また、本日未明に、フランス大使館、フランス軍の協力によって、ハルツーム北部の空軍基地から大使館員あるいは退避を希望する邦人等のジブチ退避が行われたというふうに聞いております。  よって、最新のスーダンにおける治安状況、あるいは邦人の退避状況、また大使館の状況についてお伺いしたいと思います。特に、退避を希望される邦人というのはもうこれでごくごく一部の方という認識でよろしいのか、それも併せてお願いします。外務大臣、お願いします。 ○国務大臣(林芳正君) 三日間の人道的停戦の期間中、二十二日から二十四日にかけまして各国が退避支援を実施したと承知をしております。  そして、我が国といたしましても、日本時間で昨晩深夜から本日未明にかけまして、自衛隊派遣のC2輸送機により、在留邦人四十一名とその家族四名、計四十五名がジブチまでの退避を完了いたしました。また、フランスや国際赤十字の協力を得まして、在留邦人十名とその家族三名、計十三名がジブチやエチオピアに退避をいたしました。  引き続き、関係各国とも緊密に連携しつつ、在留邦人の退避や安全確保に全力を挙げて対応してまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 大使館の状況についても説明をお願いします。 ○政府参考人(西永知史君) ハルツームの大使館員につきましても、昨日、仏軍の、仏軍機によってハルツームを退避してございまして、今ジブチにおいて領事業務等を行っている、そういう状況でございます。 ○佐藤正久君 ということは、これからジブチを中心として、退避を希望されるごく僅かな邦人、あるいはまだスーダンに残るという意思を表明されている邦人との連絡は、ジブチを経由していろいろやるということでよろしいでしょうか。 ○政府参考人(西永知史君) 御指摘のとおりでございます。 ○佐藤正久君 ハルツームは非常に危険なので、場合によっては、仮に地方、国境沿いの方で活動されているNGOとか国際機関の方々、これはいろんな選択肢を持って、そのままハルツームでなく国外の方に移動すると、いろんな関係を踏まえながら調整をして対応していただきたいと思います。  ただ、今回、ポートスーダンまでは七百キロの距離があります。その陸路についてはいろんな、国連、あるいは各国の大使館、あるいは軍等の協力の下にコンボイで移動したということだと思います。  ただ、今回、C2輸送機で邦人とその家族は運びましたけれども、八十四条の四で一応運ぶことが認められている余席利用という形でほかの国の方々の退避というのは行ったという報告は今ありませんでした。これは、余席利用という形はこれまでもいろいろ、アフガニスタンでもやっておりますけれども、やはり日本がほかの国の支援を受けた退避をしたということを考えますと、やはり日本もできるだけ、余席というのがあるんであればそういう外国の方々も運ぶということも大事な視点だと思います。それについて外務省の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(西永知史君) お答え申し上げます。  余席利用のことでございますけれども、今回も他国に対して自衛隊機の余席を利用するかという照会を持ちましたけれども、それを利用したいという答えはなかったというふうに承知しております。 ○佐藤正久君 つまり、各国に余席があるのでどうですかと呼びかけたけれども、結果的にその希望はなかったということでよろしいですか。 ○政府参考人(西永知史君) 御指摘のとおりでございます。 ○佐藤正久君 今回は、統合幕僚長によれば、三百七十名体制の統合任務部隊をつくって対応に当たったと、当然陸上輸送も視野に入れたということだったというふうに発言しておりますけれども、今回、結果的に一番早い輸送手段として、各国との連携の下に、ポートスーダンあるいはフランスのハルツームの北部の空軍基地の方まで陸上輸送したということでよろしいですね。 ○政府参考人(西永知史君) ハルツームからの退避につきましては、様々な国から協力を得て御指摘のような形で退避をしたと、そのようなことでございます。 ○佐藤正久君 やっぱり一番大事なのはスピードと安全だと思います。いろんな手段で一番早く安全なそういう輸送拠点の方に運ぶということが肝腎ですので、これはいろんな観点でもう非常に正しい判断だったんではないかと。  場合によっては、今日お配りをしております資料一の八十四条の三という形も法的には可能性はあるというふうに思っております。今回は八十四条の四の準備命令でジブチの方まで派遣をし、結果として八十四条の四を使って邦人を輸送したということですけれども、場合によっては、烈度が高まった場合においてはこの八十四条の三という部分も使えると、これは平和安全法制のときに相当議論いたしました、いう部分も大事だと思います。  ただ、こういうことというのはこれからも、やっぱりアフリカ等では多くの活動をやっているという観点で邦人の輸送というものはあり得ると思います。よって、今回、防衛三文書で、それぞれの文書においても、ジブチを邦人保護の拠点として使うんだという意思が明確に示されました。  ただ、その観点からいうと、まさにこれからだと思います。ジブチ、非常に、米軍もいてフランス軍もいて病院もある、そこに自衛隊が一緒に混在している、情報の面でもいろんな連携でも非常にいい場所だと思います。  ただ一方で、拠点とするには、例えば輸送機、C2とかC130の部品というものを事前にそこに置いておく。あるいは、この委員会でも以前、アルジェリアのときに議論して、MRAPという装甲防護車というものも三両、補正予算で買ってもらいました。そういうものも、まあお金がないわけじゃありませんから、しっかりそういうものも更に追加調達等などして、やっぱりそういうMRAPのようなものをジブチの方に事前に置いておくと。そうすれば、わざわざ日本から運ぶ必要もない。  まさに、そういういいものを持っておりますので、そういうジブチの邦人保護のための拠点化、これについて今後どういうような考えを持っているのか。三文書には書きました。まさにこれからだと思います。これについて防衛省の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  今般のスーダン情勢を受けまして、自衛隊の輸送機等をジブチにおける自衛隊活動拠点に移動させ、昨日、計四十五名の、現地時間でございますけれども、四十五名の邦人等をC2輸送機によりポートスーダンからジブチまで輸送したところでございます。  ジブチ拠点につきましては、二〇一六年の南スーダンの在外邦人等の輸送や、二〇二一年のエチオピアの情勢悪化に伴う調査チームの派遣といった場面でこれまでも活用されてまいりました。こうした経験も踏まえまして、昨年末策定しました国家安全保障戦略において、ジブチ政府の理解を得つつ、在外邦人等の保護に当たっても、海賊対処のために運営されているジブチにある自衛隊の活動拠点を活用していくという方針を示しているところでございます。  今般のオペレーションが終結した後には、その教訓等も踏まえまして、我が国にとって極めて重要な海上交通路における航行の安全確保に万全を期すなどの目的に加えまして、御指摘のありました在外邦人等の保護措置、輸送に備えるために活用することについても更なる検討を進めてまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 是非よろしくお願いします。  そして、まだオペレーションは継続中ということですので、しっかり最後の最後まで、邦人の安全確保、これに御尽力いただきたいというふうに思います。  それでは、法案あるいは協定関係の質問に移ります。  資料二、これを御覧ください。  これは、イギリスとの円滑化協定の第二十一条、これを抜粋したものであります。その第二十一条の三の(b)、ここに赤字で強調しておりますけれども、これは接受国、例えば日本の自衛隊員がフランスの、イギリスの方に行って訓練を行うと。フランスの方で、違う、イギリスで訓練を行ったとき、そこで公務中に例えば交通事故を起こしてイギリスの方等を死亡させてしまったという場合、これは、この(b)を読むと、これはフランスの裁判権の方に属するというふうに理解していいのか。  要は、これでは、日本の場合は国外犯規定が刑法に定められていませんので、結果として、この条文からすると、死亡事故を公務上で起こしたとしても、それはフランスの裁判権の方に属するというふうになってしまうと思います。そういう理解でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、本協定の下で協力活動を行うに当たっては、訪問部隊の構成員等により犯罪が犯されるようなことがあってはならない、この点は申し上げておきたいと思います。  その上で申し上げますと、今御指摘の規定についてはおっしゃったとおりの条項になっております。この規定は、例えば、イギリス又は豪州ということになりますが、これは、両国に派遣されて本協定の下で協力活動を行う自衛隊員が現地で公務執行中に交通事故を起こして人を死傷させ、また派遣国たる日本側に国外犯処罰規定がない状況においては、接受国たる英国又は豪州の当局が裁判権を有することを定めるものとなっております。 ○佐藤正久君 例えば、防衛大臣、やはり向こうで行って公務で死亡事故を起こすということは、実はこれ、カンボジアでもありました。ただ、これは、一般国民も刑法に国外犯規定がありませんから、一般の国民の場合が向こうでそういう交通事故を起こしても日本の刑法には当たらないというようになります。  ただ、自衛隊、この協定ができることによって、自衛隊員だけがそういうイギリスやオーストラリアの裁判権に服すということが生じてしまいますので、これは隊員のやっぱり身分保障という観点からも、これは、一般の人は、一般の日本人はよくても自衛隊だけが駄目だということになってしまいますので、ここは自衛隊の身分保護という観点からも何らかの工夫、今後必要だと思いますが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 国外における自衛隊員の過失行為に関わる国外犯処罰規定の在り方については現在検討中でありますが、自衛隊員については、法令を遵守し任務を行うよう厳しい教育訓練を行っており、過失における事故等についても発生しないよう、部隊において安全管理を徹底するなど指導を行っているところであります。  なお、万一、自衛隊員が国外で国外犯処罰規定のない罪を犯した場合には、個別の事案が発生した状況に応じて、当該隊員が適切に取り扱われるよう協議していく考えであります。 ○佐藤正久君 これは、平和安全法制の頃からずっと、これ国外犯規定についてはいろいろ議論がありました。河野大臣の当時も、これは検討を加速するという形で、河野防衛大臣も記者会見で表明されております。  いよいよこういう協定ができる段階となりますので、やっぱり隊員の身分を保護するという観点から、やっぱり今後何らかの検討というのは必要だと思いますので、今日は局長等もおられますので、是非この検討の方をよろしくお願いしたいと思います。  一方で、この協定がない国との共同訓練も結構行っております。  例えば、おととし、フランスの陸軍が霧島演習場で演習を行ったり、あるいは自衛隊がフィリピンの方に行って訓練を行ったりという、RAAがない国ともいろいろ訓練をしています。  それで、これは外務省の方にお伺いしたいと思います。  フランスとかあるいはフィリピンで訓練やるときには、MOUとかTORとか、あるいは口上書というものをやり取りしているというふうに聞いたことがありますけれども、これで間違いございませんか。 ○国務大臣(林芳正君) 自衛隊が外国で活動するに当たりましては、任務を円滑かつ適切に実施するため、その任務の具体的な内容、受入れ国の意向等様々な点、これを総合的に考慮した上で、派遣される自衛隊員の法的地位を受入れ国との間で適切な形で確認するように努めております。  このお話のあった点については、それぞれの国における自衛隊のこれまでの活動実績、防衛省がどのようなニーズを有しているかといった点も勘案しながらしっかりと検討してまいりたいと思っております。 ○佐藤正久君 外務大臣、フランスの場合はMOUやったり、あるいはフィリピンならTORというものでいろいろやっているというふうには外務省の方から説明がありました。  ただ一方で、私もそうでしたけれども、一番訓練を行うのはアメリカなんですよ。アメリカに自衛隊員が行って、陸上において、あるいは航空機がアメリカ本土の方でいろいろ訓練を行うというときに、このような事前に隊員の身分保障のためのMOUとかTORというのはやっていないというふうにお伺いしておりますけれども、これはそういうことでよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、特別の、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務について受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されると考えられております。その上で、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員は受入れ国の法令を尊重する義務を負います。したがって、自衛隊が受入れ国において訓練を実施する場合にも、受入れ国の法令を遵守、尊重する義務を負っていると考えられます。  いずれにせよ、自衛隊が米国において訓練を実施する場合には、米国との間で必要な調整を事前に行うとともに、米国の法令事項を含む派遣前の教育を行うなどして、訓練を円滑に遂行できるよう、防衛省にて万全の措置を講じられているものと承知しております。 ○佐藤正久君 私の質問は、そういう事前の調査とか準備やるのは当たり前なんです、フランスとかフィリピンのように、そういう外交上の文書のやり取り、こういうのをやって身分保障の担保を取っているかということなんです。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  繰り返しになりますが、事前に米国との間で必要な調整を行っているものと承知しております。 ○佐藤正久君 質問は、調整をやるのは当たり前で、私も担当をやりました、その文書という形で、MOUとかTORのような形でやっていないというふうに昨日説明受けていますけれども、じゃ、昨日の説明は間違いだったということですか。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  必ずしも文書の形でやっているわけではないと承知しております。 ○佐藤正久君 大臣、そうなんですよ。今回、一番訓練をやっているアメリカにおいては、隊員の身分保障がこういうMOUとかいうもので担保されていないんですよ。当然、自衛隊は事前にしっかり訓練をやってそういうことがないようにします。浜田防衛大臣、答弁したとおりです。  今回、日豪、日英RAAによって、イギリスとオーストラリアの間は隊員の身分保障が結構担保されているんです。ところが、アメリカとの関係では、アメリカ軍が日本に来たときには地位協定で身分保障がされています。ところが、自衛隊がアメリカに行ったときは、地位協定ありませんから、RAAもありませんから、そこの部分の保障というのはすっぽり抜けているという部分なので、ここは、やはりこれからいろんな訓練のレベルもどんどん上がっていきます。私は日米担当のもいろいろ企画しましたが、当時から、何か本当に万が一があったら大変だと。実際にアメリカで火力を使った演習もやっています。戦車も撃っています。  ということなので、やっぱりその部分というのは、今回こういう形でRAAをやるという上において、今後日本とアメリカ、イギリス、オーストラリアという部分での共同訓練もいろんなところで増えると思いますので、これは是非この辺り、検討の方をお願いしたいと思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 今、佐藤委員から御指摘のあった点、これはまさに米国における自衛隊のこれまでの活動実績、そして防衛省がどのようなニーズを有しているかと、こういう点も勘案しながら今後の検討課題として受け止めたいと思います。 ○佐藤正久君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  次に、装備移転についてお伺いします。  今回のRAAとACSA、これは車の両輪です。いざというときに、共同活動をやるときに、訓練でもオペレーションでも、このRAAにおけるいろんな通関手続の容易さと身分保障と、あと物、ACSA、これは車の両輪です。  ところが、装備移転、ややもすると海外に防衛省の装備移転するところに目が行きがちですけれども、日本で、日本有事の際、共同対処行動等をいろいろ行うと。米軍とか、あるいはオーストラリア、イギリスがあるかもしれません。そういうときに、日本有事、日本国内で日本有事のときにいろいろ協力するときに、彼らの来援軍に対するこの装備品の提供、これも装備移転になるというふうに理解しておりますけれども、これは防衛省か経産省か、答弁を政府の方でお願いします。 ○政府参考人(弓削州司君) お答え申し上げます。  米軍行動関連措置法第十条の規定に基づきまして自衛隊が行う物品及び役務の提供は、防衛装備移転三原則の運用指針におきまして防衛装備の海外移転を認め得る案件として掲げられている事項のうち、法律に基づき自衛隊が実施する物品又は役務の提供に含まれる防衛装備の海外移転に該当するものと考えております。したがいまして、防衛装備移転でございます。 ○佐藤正久君 そうなんですよ。これ委員の先生方にも御理解いただきたいのは、日本有事の際に来援軍に装備移転するのも、これも装備移転なんですよ。よく海外移転の方ばっかり頭行っていますけれども、実際日本有事のときにどうなんだと。  これを定めたのが、資料三の武力攻撃事態等における関連措置法における第十条。これが、平和安全法制のとき含めていろいろ議論をしました。そこで、アメリカ軍だけではなくその来援軍に対しての物品、役務の協定なんですけれども、ここでは、第四項で補給、これは武器の提供を行う補給を除くとあります。つまり、これ、ACSAではいろいろ弾薬が縛られていますけれども、この十条では弾薬は縛られていません。  ここで、これは経産省か内閣官房、どちらでもいいんですけれども、このACSAの規定があるなしにかかわらず、ACSAというのはただこのやり取りの手続を定めたものですから、なので、ACSAがあるなしにかかわらず、国内法によって弾薬はこれ提供できると、必要があれば弾薬はやり取りできるという理解でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(青柳肇君) お答えいたします。  米軍等行動関連措置法第十条では、自衛隊による物品及び役務の提供として行う業務は、補給、これは御指摘のとおり、括弧、武器の提供を行う補給を除くということ、そして輸送、修理若しくは整備、医療、通信、空港若しくは港湾に関する業務、基地に関する業務、宿泊、保管、施設の利用又は訓練に関する業務等と、付随業務がありますので等としておりまして、我が国と物品役務相互提供協定、ACSAを締結している国であるか否かによって法律上提供が可能な物品及び役務に差異が設けられているということではございません。 ○佐藤正久君 委員の先生方、今答弁のとおり、つまり、ACSAでは弾薬についてはいろいろ規定が取りあえず規定されていますけれども、法律上は弾薬については来援軍に対してはやはりその規定がないと。これ、ニーズがあればできるんですよ。つまり、ACSAというのは貸し借りの世界で、後で返してもらう話なので、本当に必要であればそれはやり取りできると。  弾薬についてはいろいろ柔軟性があるんですけれども、問題はこの武器なんです。ここの十条で言う、この行動関連措置法で言うかぎ括弧武器と装備移転三原則でうたっているかぎ括弧の武器、これは違うというふうに理解しておりますけれども、これは内閣官房、経産省、どちらでもいいですけれども、この武器の定義、これは違うということでよろしいですね。 ○政府参考人(青柳肇君) 米軍等行動関連措置法は、武力攻撃や存立武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国又は外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他のこれらの行動に伴い我が国が実施する措置を定めているものでございます。  当該措置の一つである補給の対象から除外される武器とは、火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等と解しているところでございます。  一方、防衛装備移転三原則は、我が国が国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ防衛装備の海外移転の管理を行うために定められたものであり、三原則において武器とは、貿易、失礼しました、輸出貿易管理令別表第一の一の項に掲げるもののうち、軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるものと規定されていると承知してございます。  これらの武器の具体的な内容は、それが規定されている規範の趣旨、目的に照らして定められるものであり、両者を単純に比較することは適当ではないと考えてございます。 ○佐藤正久君 外務大臣、防衛大臣、非常にこれは分かりにくいんですよ。同じ装備移転であっても、装備移転なんです、装備移転であっても、この装備移転三原則の武器は輸出貿易管理令によって定められる武器であって、ここで、関連措置法の武器は全然違うんです。重なる部分もありますけれども、違うと。同じ装備移転でも極めて分かりにくいと。  今回、三文書によって装備移転の見直しというものをこれから与党協議も踏まえながらやっていくという上において、国内における有事におけるこの武器移転という部分はこれ全然違うんで、武器の定義がそもそも違う。多分、国民はほとんど理解できないと思います。輸出管理の武器、この防衛装備移転の武器、海外移転の武器と国内有事における武器、これが違うと。実際、さらに、この武器の提供を行う補給を除くということですけれども、これは余りにも範囲が狭過ぎると思います。日本有事で来援をする米軍やオーストラリア軍に対して、武器一切全部がやり取りできないと。  多くの国民はウクライナの状況を映像で見ます。例えばアメリカの持っているジャベリン、これは日本の〇一ATMとほぼ同じで、日本の方が若干性能はいいという話もあります。小銃一つ取っても、一緒に戦っている来援に対して小銃一つ渡せないと。小銃が壊れたから、例えば岩本先生がアメリカ軍で、この小銃が壊れたと、ちょっと小銃貸してくれと。渡せないんですよ。ちょっとこれは狭過ぎると。  やっぱり日本有事のときに、本当にどういう状況と。それは当時のいろんな相手国のニーズもあると思います。当然ニーズはありますけれども、ここで法律で全部縛ってしまうと、現場が本当に運用ができません。本当に、このピストル一つ、小銃一つ取ってもやり取りができないとか、本当に共同作戦やるときにおいても、指揮系統は違ったといえども隣接する部隊ってありますから、間違いなく。隣接する部隊同士、それでやり取りができないというものはちょっと幅が狭過ぎると。  これは、防衛政策局長、今回いろいろ見直しをやるに当たって、やっぱりこれ、本当に、これだけ防衛力抜本強化でお金を掛けて防衛力を強化するんだというときに、この法の縛りによって共同作戦が十分できないというのはこれは大きな課題だと思いますよ。これは当然抑制的にやるという部分でしょうけれども、この部分については、今回の見直し等でもやっぱり議論を行って、まあ次の国会になるのかもしれませんけれども、体制を整備することが大事だと思いますけれども、局長の見解をお伺いします。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御指摘の米軍等行動関連措置法第十条に規定されている、武器の提供を行う、補給を除くとの趣旨につきましては、内閣官房から答弁があったとおりでございます。  その上で、先生御指摘のような防衛上のニーズにつきましては、委員御指摘のような厳しさを増す安全保障環境、特にロシアによるウクライナへの侵攻というような現実なども踏まえながら、不断に検討してまいりたいと考えております。その上で、関係省庁とも様々な議論をしていきたいと考えております。 ○佐藤正久君 もう一つ課題になっているのは、資料四、御覧ください。  これは私も当事者だったんですけれども、平和安全法制のときの五党合意なんです。五党合意で、これは、自民党と公明党と日本を元気にする会と次世代の党と新党改革、この五党合意。まあ国民民主はないんです、残念ながら、この中。その五党合意でやった文書がこれです。  そこで、この七項で、弾薬の提供は、これ、緊急の必要性が極めて高い状況にのみ想定されるものであり、拳銃、小銃、機関銃などの他国部隊の要員等の生命、身体を保護するために使用される弾薬の提供に限ると、すごくここで抑制的になっているんですよ。これに基づいて閣議決定していますので、これに縛られるというのは、やっぱり当時の状況と今考えたときでは、この部分も含めて見直すべきだと私は思います。  私も当事者でしたけれども、この七項というのは、どちらかというと、海外における国際平和執行活動のような結構烈度が高いときのやり取りで、まさに向こうの、一緒に戦っている、一緒に行動している国の要員の安全確保のためというイメージで大体強く議論していました。日本有事という部分では余りこの部分は意識して議論してこなかったという経緯もありますので、やっぱり日本有事のというときにこの七で縛られるというのも、これもまた、今このウクライナの状況見ても、これにしちゃうと、スティンガーも渡せないんですよ、対空ミサイル、携帯の、スティンガーも、携帯の火器も、八四無反動砲も、そういうものを全然渡せないというふうになってしまいます。  この五党合意という部分も、やっぱり今回、趣旨を尊重し適切に対応すると逃げは打ってありますけれども、閣議決定の中に、趣旨を尊重し適正に対処すると逃げは打っておりますけれども、やっぱりこの厳しい安全保障環境というふうに考えて、国民に増税もお願いし、そしてこういう防衛力を強化するわけです。であれば、この五党合意、もう相当時間たっていますからこの部分についても見直すべきだし、さらに、この二項目、この存立危機事態については、単独の場合はすべからく国会の事前承認ということも、これもありました。これは前回、臨時国会で、局長、やらしてもらいましたけど、局長もこれについては更に検討を進めるというふうに言っております。  いろんな面でやっぱり時代にそぐわない部分が出てきているので、ここはしっかり、五党合意、これは更に見直すことを含めて閣議決定をし直すということも大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御指摘のいわゆる五党合意は、平成二十七年九月十六日に、自由民主党、公明党、日本を元気にする会、次世代の党及び新党改革、五党により合意されまして、同十七日、参議院の特別委員会において同合意書の内容が附帯決議として議決されまして、その上で、同十九日、平和安全法制が参議院本会議において可決、成立したところでございます。  政府といたしましては、こうした立法府における御議論を踏まえ、平和安全法制の施行に当たっては、いわゆる五党合意の趣旨を尊重し適切に対処するものとしているところでございます。  このいわゆる五党合意におきましては、まずは、附帯決議として議決されました立法府におきます御議論を政府としては注視していきたいと考えております。他方、先ほども申し上げましたとおり、様々な防衛上のニーズということにつきましては、防衛省・自衛隊におきましても、様々な厳しさを増す安全保障環境やロシアによるウクライナ侵略の現実等を踏まえながら、不断に検討してまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 やっぱり、是非、ここまでお金を使って国民の命や主権を守ると言っている以上は、やっぱり見直すべきは見直すという部分は大事だと思いますので、是非お願いします。  次に、もう一つ今喫緊の課題として、北朝鮮が偵察衛星を打ち上げるということについて、防衛省は、弾道ミサイル等破壊措置の準備に関する一般命令を出しております。  外務省に確認します。  今、北朝鮮は、この軍事偵察衛星についてどういうような主張、動きを見せているんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、昨年十二月十八日に北朝鮮国家宇宙開発局が、偵察衛星打ち上げの最終段階の重要試験を行ったとしつつ、二〇二三年四月までに軍事偵察衛星一号機の準備を終えるだろうと発表した旨承知しております。また、今月の十九日には、金正恩委員長が国家宇宙開発局を視察し、四月現在完成している軍事偵察衛星一号機を計画された期間内に発射できるように最終準備を終え、今後、連続的に数個の偵察衛星を多角配置して、偵察、情報収集能力を堅固に構築すべき旨指示を出したと報じられているところでございます。 ○佐藤正久君 まさに、いつ撃たれてもおかしくないという状況で、まして今、軍事関係の記念日でもあります、今日は。含めて警戒態勢やっていると思いますけれども、それに備えて、防衛省がPAC3あるいはイージス艦等を含めた破壊措置の準備に関する命令を出しています。  ただ、懸念をしているのは多良間村なんです。前回、民主党政権のときに、同じように撃たれたときに、実は多良間村だけがすっぽり抜けちゃったんです。宮古島と石垣島にはPAC3を配備をしました。ところが、そこから射程が届かない多良間村には、人が少ないから配置しないというとんでもない答弁がありました。でも、人が少ないから配備しないというのは、これは理由になりません。  ここはまだ、今、与那国島と石垣の方には配備をすると明言されましたけど、前回のときは、前回の発射地点と落下地点というそこを結んだときに、ちょうど多良間村の上空を通過していたわけですよ、前回は。上空を通過している計画にもかかわらず配備をしなかった、これは非常に民主党政権にとっては反省事項だというふうに思っています。  今回、当然、石垣、与那国に配備をするとなれば、前回と同じようなルートを撃つ可能性もありますから、これはいろんな制約はあると思いますけれども、やっぱり特に多良間村、宮古、石垣にあって多良間に置かないということは、これはあってはいけないと私も思います。  この多良間村等への配備、これについての現在の調整状況についてお伺いします。 ○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。  四月十九日の北朝鮮の発表などを総合的に勘案し、今般、沖縄県の地区へのPAC3部隊の展開、それからイージス艦の展開など、所要の準備を実施することとしました。具体的な展開先については地元自治体との調整により決定することとしていますが、現時点では、自治体との調整が完了した与那国駐屯地及び石垣駐屯地について所要のPAC3部隊などを展開することとしています。  その上で申し上げますが、今回の部隊の展開については、あくまで、今後弾道ミサイル等に対する破壊措置を命ずることとなる場合に備えた準備として行うものであります。  今後、防衛省といたしましては、引き続き、米国などとも緊密に連携しながら、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げてまいります。その中で、実際に破壊措置を命ずる場合には、各種情報を踏まえた総合的な分析、評価などに応じ、その体制についても適切に検討してまいります。 ○佐藤正久君 実際その展開って時間掛かるんですよ。もう大和統括官御案内のとおり、まあ役人答弁されましたけれども、本音は多分全部違っていて、運用の現場からするとやっぱりすぐ展開できませんから。  なぜ、大臣、前回、多良間村、展開ちゅうちょしたかというと、インフラなんですよ。港が非常に、護衛艦が入れる、輸送艦が入れる喫水がない、滑走路が短いために、宮古と石垣はやったけれども、そこから届かない、射程届かない多良間村がすっぽり抜けちゃったんです。インフラが非常にネックだったんです。  これは、今から民間フェリーとか使えば運べないわけではありません。すぐは、運べって、無理ですから。ここはしっかり、命を守るなら、現場調整、しっかりやっぱり政務がリードしてもやるというぐらいの覚悟がやっぱり大事だと思います。  最後に、大臣の御覚悟をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我々としても、今御指摘のあった点含め、また今後とも検討してまいりたいと考えます。 ○佐藤正久君 よろしくお願いします。  最後に一言だけ。陸上自衛隊の航空ヘリの捜索救助というのはまだ続いていると思います。これは、全員の早期の発見、救助というものに引き続き尽力をしていただきたいということを述べまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○岩本剛人君 おはようございます。自由民主党の岩本剛人でございます。  経験則から生かされたハイレベルな佐藤委員からの議論なんですけれども、私は、一国民としてのちょっといろんな視点で質疑をさせていただきたいと思います。  まず、今佐藤委員からお話がありましたスーダンの対応ですけれども、映像で見ますと小さなお子さんもいらっしゃったわけでありまして、本当に今回の対応、本当に迅速な対応に心からの敬意を申し上げたいと思いますし、まだ残された方々がいらっしゃるということなので、是非緊張感を持ってオペレーションに臨んでいただきたいというふうに私からもお願いを申し上げたいというふうに思います。  まず、地元でちょっといろいろ、私、北海道ですので、いろんなことを言われまして、前回の委員会で福山委員と羽田委員からも質疑があったんですけれども、四月十三日の北朝鮮の発射した弾道ミサイルの関連で何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  当時、七時二十二分頃、朝の発射ということであったんですけれども、この時間帯というのはまさに出勤、通学をされている時間帯でありまして、社会的に私の地元では大変大きな影響があったわけでありますけれども、どれぐらいの影響があったということは政府として把握をされているのか、まずお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  四月十三日に北朝鮮から発射された弾道ミサイルにつきましては、北海道周辺に落下する可能性がある旨防衛省から伝達があったことから、北海道に対しJアラートを発出したところであります。  当日の社会的な影響につきましては、関係省庁及び北海道庁から聞き取りを行いましたところ、公共交通機関のうち、例えばJR北海道については、七時五十五分頃より北海道内各線区の運転が見合わされた。その後、安全が確認され、在来線は八時十七分頃より、北海道新幹線は八時十九分頃より順次運転が再開された。在来線で約一万一千七百人に、新幹線で約百四十人にそれぞれ影響が生じたことや、学校関係につきましては、道内の小中学校、高等学校及び特別支援学校のうち百一校で始業時間を繰り下げたといった状況を聞き取っているところであります。 ○岩本剛人君 地元の方からもいろんな意見をいただいているんですけれども、大変自分自身も強く感じているんですけど、今回のこの緊急事態、Jアラートに対するいわゆる意識をどのようにしていかなければならないのか、改めて考えていかないといけないのかなというふうに思っております。というのは、Jアラートが鳴って、じゃ何をすればいいんだと、どこに逃げればいいんだと、全く深く理解をしていただいていない方がたくさんいらっしゃる。もちろんお子さんもそうですし、社会人の方々もそういう認識だというふうに思います。  そういうことを考えると、本当にこのJアラートに対する意識の涵養ということをどういうふうに醸成していかなければならないのか、その点に本当に改めて考えさせられますし、もちろん全国で国民保護訓練をやられているというのはもう十分承知をしているんですけれども、まだまだそういったことを考えると足りないようなふうに受け止めざるを得ないというふうに思います。  例えばですけれども、まあ我々昭和の人間です、ほとんど昭和の人間の方々だと思うんですけど、小学校のときに必ず火災訓練ですとか地震の訓練ですとか、必ずやったというふうに思います。火災のときには建物から落ち着いて逃げるとか、窓を開けるですとか、地震のときには机の下に隠れるですとか、そういった訓練を多分されておりまして、必ず皆さん、何かあっても体のどこかで染み付いて覚えていらっしゃる、避難行動ができるというふうに思います。  ですから、ミサイルといいますか、このJアラートに対しても、どういうふうに教育的にも意識を植え付けていかなければならないのか。そこは是非、もちろん事態室もそうですし、消防庁、また学校、いわゆる文科省も含めて、是非できれば、ミサイル防衛といいますか、もう本当に世界が変わりましたので、そういったことを高めていただけるように検討していただければなというふうに思います。  それで、今回のミサイルなんですけれども、吉田統合幕僚長の十三日の記者会見で、日本領域内への弾道ミサイルの落下が予測された戦後初のケースだったというふうに記者会見でおっしゃっておられます。今回の件、ミサイルについては、今までと違って本当に異例のケースだったというふうに認識しているんですけれども、防衛省の方からの公表については、今までと同様な、もう淡々と報告をされていたというふうに思います。  ただ、私の地元の北海道の人は、やはり今回については非常に不安に強く感じていた方々が非常に多かったと、今までとは違ったような声を聞いていたところであります。  今回、本当に我が国土内、領域内に落下するかもしれないという今回のような場合に対して、やはり政府としてより多くの情報を発信するべきだと思いますし、また、今回の事案について、防衛省の情報発信について実際どのように発信をされたのか、事実関係を教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  四月十三日の弾道ミサイル発射事案に際しましても、防衛省といたしましては、ミサイル関連情報を入手次第、直ちにこれを内閣官房に伝達するとともに、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された旨の発表をまず行いました。その上で、北海道周辺に落下する可能性のあるものを探知したことから、限られた時間の中で国民の皆様の安全を最優先する観点から、速やかに当該情報を内閣官房に伝達し、その結果、Jアラートが発出されたものと承知しております。その後、当該物体の我が国領域への落下の可能性がなくなったことを確認しましたことから、改めてその旨国民に情報提供をしたところでございます。  委員に御指摘いただきました北海道の皆様が不安を感じている点やより多くの情報を迅速かつ的確に発信すべきとの点につきましては重く受け止めておりまして、国民の皆様の安全を最優先する観点から、防衛省として、今後より多くの情報を発信するためにどう対応していくべきか、関係省庁とともに不断に検討を行ってまいりたいと思っております。 ○岩本剛人君 是非、先ほども申し上げたんですけれども、Jアラートを発しても、その内容が全く理解されていなければ全く意味がないというふうに思います。ですから、こういう時代でありますから、本当にできるだけ正確な、正確な情報をしっかりとはっきり伝えるということが大変重要なことだというふうに思います。また、実際発信をしても、やはり受け止める側の方々がどう受け止めるかがやっぱり大事なことだと思いますので、そういったことも是非考えて発信をしていただきたいなというふうに思います。  今回のJアラートとエムネットも約三十分後に発信されているんですけれども、まず最初に、直ちに建物の中に避難してくださいと、その後に、地下へ避難してくださいという文言なんですけど、北海道で地下があるのは札幌市だけですから、地下鉄と地下街しかありません。ほかの地域は全く地下がありませんので、そうした今の実際の社会の中で地下に避難してくださいというのはどうなのかなというふうに思いますので、ですから、このJアラートやエムネットのその情報発信の在り方もやはり今の時代に合ったような対応を検討していただきたいと思いますし、是非、そのJアラートに対する認識の在り方というのも是非政府全体で検討していただきたいなということをお願いしたいというふうに思います。  本当に、通学中、通学中だと子供は携帯を持っていませんから実際鳴っても分かりませんので、じゃ、その後、学校できちんとした説明があるのかと。例えば、全校集会やって校長先生が、今日のJアラートの内容はこういうことだったんだからこういうふうな避難をしましょうだとか、そういったことがこれから大切なことなのではないかなと思いますので、是非お願いしたいというふうに思います。  次に、今回も北海道領域内に落ちる可能性があったということなんですけれども、今年に入ってもう既に七回目であります。昨年も渡島半島沖に二発落ちている。そういった状況にあるんですけれども、もちろん、先ほどお話があったとおり、佐藤委員からのお話のとおり、南西地域の方の緊張感は十分理解をしているんですけれども、やはりこの弾道ミサイルが飛んでいく航跡というのは、北海道と青森がやはり航跡の上空の下になる可能性が高いのではないかと思うんですけれども、そうした中で、この弾道ミサイルの脅威に対して、北の、北側の方の守りに対してはどのように対応しているのか、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、我が国として、弾道ミサイルによる攻撃に対しては、我が国全域の防護のため、イージス艦による上層での対処と、拠点防護のためのPAC3の機動展開による下層での対処とを組み合わせた多層防護により対処することとしており、弾道ミサイル等の高度化、多様化する経空脅威に対して引き続き万全を期してまいりたいと思っております。  また、今般のロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであり、また、ロシアは北方領土を含む極東地域においても軍事活動を活発化するなど、中国とも戦略的な連携と相まって、防衛上の強い懸念が高まっているものと認識をしております。  このような戦略環境の変化や我が国の周辺国等の軍事動向を踏まえ、新たな防衛力整備計画においては、北海道について、北海道の良好な訓練環境を踏まえ、高い練度を維持した一個師団、第二師団、二個旅団、第五旅団及び第十一旅団、一個機甲師団、第七師団を保持して、各種無人機の導入、活用による情報収集、警戒監視、偵察、ターゲティングの強化について、戦車については約三百両を維持した上で、最新装備である一〇式戦車への換装を推進しております。火薬庫等の整備等の取組を通じて、北方抑止の体制を引き続き強化していくこととしておるところであります。  防衛省としては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、北の守りを含め、防衛力の抜本的強化を図っていきたいと考えております。 ○岩本剛人君 増加というお言葉をいただきましたので、大臣を信じておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  実は、先週、地元で自衛隊の家族会がありましていろんなちょっと声を聞かせていただいて、前回の委員会で山添委員がちょっと施設整備のいろいろ議論をされていたんですけれども、今回の防衛力整備計画で五年間で四兆円を掛けてというのはもう皆さん御承知のとおりでありまして、全国の駐屯地、基地で約三百地区を対象にというふうに防衛省から伺っております。  この令和五年度予算においては、そのまずマスタープランを作成していくというふうに認識をしているんですけれども、かなりのボリュームになりますので、その進捗状況ですとか管理ですとか、また、実際の計画は地元の地方防衛局でいろいろ検討されていると受け止めているんですけれども、やはり本省、市ケ谷においても、かなりのボリュームですから、施設整備に対してしっかりとした進捗管理を防衛省の中でも体制をつくっていくべきではないかというふうに考えておりまして、そうした中でいうと、前回も質問させていただいたんですけれども、事務官の人材確保ですとか、制服の方々が整備を計画するということにはならないんでしょうから、またさらに民間の活力も是非活用すべきだと思うんですけれども、認識に対してお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  防衛力整備計画におきましては、施設の強靱化の事業費として約四兆円を見込んでおり、五年間で集中して実施していくこととしております。  このため、今月五日、防衛大臣の下に立ち上げた防衛力抜本的強化実現推進本部において、自衛隊施設の強靱化を含めた各事業の進捗管理を徹底し、防衛省一丸となって、速やかかつ効果的、効率的な予算執行に努めていき、防衛力の抜本的な強化を実現していくこととしております。  また、これまでは防衛省職員が実施してきた基本方針の策定や配置計画の検討等について、民間企業に業務委託することとしております。これらの業務委託により、民間の実務者の知見も活用していくことができるものと考えております。さらに、当省の技術職員の人材確保に関しましても、社会人経験を有する方の中途採用を進めているところでございます。  このように、防衛省としましては、先生御指摘の人材確保を含めて、必要な執行、管理体制を整備し、円滑に事業を実施してまいります。 ○岩本剛人君 ありがとうございます。  何でこういう質問をしたかというと、その今人材確保の中に是非女性も入れてほしいんですよね、その施設整備を、進捗、いろんな管理をする中で。  というのは、地元で家族会の方に言われたんですけど、もう御案内のとおり、隊舎は非常に古いです、もうどこの地域も。女性用とはなっていない隊舎が実際ほとんどかと思います。若い女性の自衛官が自衛隊に入って、これから二年後試験を受けて正式に採用されようとしたときに、どうしても生活区画も隊舎も女性用になっていないものですから、やっぱり心が折れて、やっぱり諦めようという女性の隊員の方々がたくさんいるということもちょっとお伺いをしたものですから。  さらに、一方では、令和十二年度までに女性自衛官を全体の一二%まで増やすという目標がある中で、今積極的に採用されているというのも十分承知をしているんですけれども、そういうことを考えると、やはり待遇の、隊員の処遇改善ですとか施設整備ですとか、そういったことを積極的に進めていっていただきたいと思いますし、是非、まあ女性用の区画を専門にとは言いませんけれども、そういったことを積極的に進める上で、今、施設整備課と人事教育局と連携を取られながら進めているということなんですけれども、女性活躍もありますので、人材確保という観点からも含めて、是非、部署連携して積極的に進めていっていただきたいというふうに思いますので、これはもう是非お願いしたいというふうに思います。  先ほど佐藤委員からRAAのいろいろ質疑があったんですけれども、自分からは、一般の方々はRAAって全く分かりませんから、円滑化協定って何だと、一般の方々は全く分かりません。ですから、今回のオーストラリアと英国と円滑化協定をもう締結をされたんですけれども、今回のその意義というのは本当にもうどういうところにあるのか、是非分かりやすく説明していただきたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  円滑化協定は、例えばビザを申請する要件が免除されるなどの出入国手続が簡素化されることや、港や空港を利用する際の条件を定めることなどを通じまして、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施が円滑化されるとともに、部隊間の相互運用性の向上を図ることができるものでございます。この協定の実施によりまして、我が国と豪州及び英国との安全保障、防衛協力が更に促進されまして、インド太平洋地域の平和と安定を強固に支えられることが期待されております。  また、協定実施法はまさにこのような協定の的確な実施を確保するためのものでございまして、今後、日豪、日英部隊間の協力活動の円滑化、より大規模、複雑な協力活動の実施に資するなど、重要な意義を有するものでございまして、防衛省・自衛隊としてのメリットも極めて大きいものと考えております。 ○岩本剛人君 今の防衛政策局長の御答弁も分かりやすいんですけれども、多分一般の方にはなかなか理解が難しいんだというふうに思います。  ですから、本当に誰が聞いても是非分かりやすいような説明をお願いしたいというふうに思いますし、具体的に本当にどこにメリットがあるのか、例えば大規模災害、オーストラリアでは大規模な火災がありましたけれども、大規模災害が発生した場合等、そのRAAによることによってその災害救助活動が容易になると、そういう具体的なメリットというのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答えを申し上げます。  これまで自衛隊が他国の領域内において、又は外国の軍隊が我が国領域内において活動する際には、個別のケースに応じまして両国間で協議を行い、口上書の交換などにより活動の実施に向けたもろもろの調整を行ってまいりました。  具体的に申し上げますと、二〇一一年の東日本大震災におけるオーストラリア軍によるC17輸送機の派遣、そして二〇二〇年のオーストラリア森林火災における自衛隊の国際緊急援助活動、そして二〇二二年のトンガにおける国際緊急援助活動等でのオーストラリア基地を拠点とした輸送活動におきましては、それぞれ受入れのために多くの手続や調整を要したところでございます。  円滑化協定は、一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定め、また同部隊の法的地位を明確にすることにより、協力活動の実施に際する先ほど申し上げましたもろもろの調整を容易にしまして、予見可能性が高められるということとなります。  具体的には、出入国の手続が簡素化されることや、訪問部隊が港や空港を使用する際の条件が定められたりすることで、災害救援活動を含め、協力活動の実施が迅速にそして円滑に実施されることが期待されまして、防衛省・自衛隊としてのメリットも極めて大きいものと考えております。 ○岩本剛人君 ありがとうございます。  もちろん、先ほど佐藤委員からもお話あったとおり、各合同訓練ごとに非常に、RAAがないことによって煩雑な手続を毎回毎回されていたというのは十分承知をしているんですけれども、なかなか本当に一般の方々には分かりづらい活動になるので、その点については、今後、いろんな情報発信の在り方を含めて考え、運用していただければというふうに思います。  次です。オーストラリアはもう今の国際情勢の中で大変重要な、特別なパートナーだということは十分認識しているんですけれども、この今回の円滑化協定が発効されると、具体的にそのこれからのオーストラリアとの防衛協力はどのように強化をしていこうとされているのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  我が国と豪州は、基本的価値と戦略的利益を共有する特別な戦略的パートナーでございます。国家防衛戦略におきましても、豪州との間では、日米防衛協力に次ぐ緊密な協力関係を構築し、共同訓練、防衛装備・技術協力などを深化させるとともに、円滑化協定などの整備を踏まえ、豪州における訓練の実施やローテーション展開等を図るなどとしてございます。  防衛省・自衛隊としましては、日豪円滑化協定を活用いたしまして、より大規模かつ複雑な協力活動を円滑に実施することなどを通じて、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、豪州との防衛協力を一層強化していく考えでございます。  具体的に申し上げますと、従来よりも更にハイエンドな共同訓練を行うことが重要と考えておりまして、円滑化協定の活用を視野に入れまして、オーストラリアへの日本のF35による機動展開訓練、水陸両用作戦演習及び一二式地対艦誘導弾の実射等についての検討を加速してまいりたいと考えております。 ○岩本剛人君 それでは、同じく、今回の英国、イギリスとのその円滑化協定について、このイギリスも大変良いパートナー国になるということでありますけれども、この日英の円滑化協定が発効された場合、どのように防衛協力を進めていこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  英国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであり、インド太平洋地域への一層の関与を国際政策の恒久的な柱としてございます。  二〇二一年、英国は、空母クイーン・エリザベスをインド太平洋地域に派遣するとともに、二〇一八年以降、陸上自衛隊と英陸軍との共同訓練、ビジラント・アイルズを実施するなど、この地域を重視する姿勢を鮮明にしております。日英円滑化協定によりまして、これまで以上に頻繁に多くの部隊要員を伴う共同訓練が可能となることが期待されております。  防衛省といたしましては、円滑化協定を活用しながら、英国との共同訓練の機会を拡大するなどによりまして、二国間の安全保障、防衛協力を更なる高みに引き上げてまいりたいと考えております。 ○岩本剛人君 オーストラリアとイギリスとなりますと地理的な条件も全く違う状況でありますけれども、非常に大きなことだというふうに思います。また、両国の受け止め方、考え方も方向性はある程度違う部分もあろうかと思うんですけれども、今防衛政策局長の御答弁のとおり、是非、今後の対応ですね、非常に重要な国際情勢のパートナー国になりますのでしっかり進めていっていただければというふうに思います。  それでは、今回の豪州と英国なんですけれども、ほかの国との協定を締結するということは念頭に置いていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  豪州及び英国以外の国との交渉につきましては現時点で何ら決まっておりませんで、同種の協定の交渉を行っている国はないと承知しております。  その上で申し上げますれば、フィリピンとの間では、防衛省とフィリピン国防省との間のフィリピンにおける自衛隊の人道支援・災害救援活動に関する取決めというものを既に締結しておりますが、両国の共同訓練等を強化、円滑にするための更なる枠組みを含む方途につきまして検討を進めているところでございます。  また、フランスとの間では、部隊間の共同運用、演習のための手続を改善するための恒常的な枠組みを構築する可能性について検討を進めております。  今後、これらの国を含め、豪州及び英国以外の国と同種の協定を締結するための交渉を行うか否かについて予断を持ってお話しすることは現時点でできませんが、防衛省といたしましては、同志国等との連携強化を効果的に進める観点から、円滑化協定等の制度的枠組みの整備の推進に協力していきたいと考えております。 ○岩本剛人君 先ほど佐藤委員からもお話が出ましたフィリピンとフランスということでありますけれども、やはり今の国際情勢を考えますと、やはり防衛協力の関係を他国、ほかの国とも進めていくということは我々にとっても大変重要なことだというふうに思います。  是非、今後、円滑化協定の締結、更なる締結も含めて、今後、防衛省・自衛隊としてどのような形で同志国との連携強化を図っていく方針なのか、大臣の決意をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 委員おっしゃるとおり、一か国でも多くの国々と連携強化することが極めて重要だと考えます。  防衛省・自衛隊は、これまでも同志国等の間で共同訓練や演習、能力構築支援、防衛装備・技術協力等の幅広い防衛協力・交流を実施してまいりました。これに加え、円滑化協定を締結、実施することは、共同訓練、災害救助等の部隊間の協力活動の実施が円滑化されるとともに、部隊間の相互運用性の向上が期待され、相手国との安全保障、防衛協力関係の更なる発展に資するものであります。  防衛省・自衛隊としては、今後とも、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、円滑化協定の整備を含め、多角的、多層的な防衛協力・交流を積極的に推進してまいりたいと考えております。 ○岩本剛人君 時間になりましたので終わります。  ありがとうございました。 ○福山哲郎君 おはようございます。立憲民主党の福山でございます。よろしくお願いいたします。  まずは、本当にいろんな課題が外交・安全保障ありまして、本当に両大臣におかれましては日々緊張感のある毎日を過ごしていただいていると思います。  RAA法についても質問させていただきますが、まず、直近の課題であります宮古島周辺での陸自のヘリ事故のその後の状況についてでございますが、ヘリに搭乗していた十名のうち六名が見付かって、残念ながら坂本師団長の死亡も確認されたというふうに承っております。痛恨です。御家族のお気持ちを考えると言葉もありません。  まだ発見されていない隊員の捜索を始め、自衛隊は救助捜索活動を続けていただいているというふうに聞いておりますが、大臣、何か新しいこと、それからレコーダー等の発見等、何かあったのならば御報告いただけますでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) この事故に関連してでありますけれども、本日二十五日現在、自衛隊の航空機三機、艦艇二隻に加えまして、陸上自衛隊の宮古警備隊ほか増強部隊が約四百十名態勢で海岸線の捜索などを実施しています。また、四月七日以降、水中の捜索も実施しているところであります。  そして、今月十六日の水中捜索によって、損壊したヘリコプターの一部を発見したところであります。この発見された機体の一部について、なるべく早く、そして確実に機体を引き揚げるべく、知見や技術力を有する民間企業と契約を行ったところでありまして、早ければ今月中にもその作業を開始できるよう、必要な準備を進めております。  引き続き、行方不明者の捜索、それから原因究明のための機体の回収に力を尽くしてまいります。  以上です。 ○福山哲郎君 本当に御苦労さまでございます。  こういう痛ましい事故の後の作業ですから余り前向きではないですけれども、しかし、まだ見付かっていない隊員の方もいらっしゃいます。御家族からすればもう何とも言えないお気持ちだと思いますので、そこは、民間が機体を引き揚げていただければフライトレコーダーの発見もあり得ると思いますので、いつも申し上げますが、残りの本当に隊員の皆さんの救助探索活動、それから原因究明に向けて御努力をいただければと思います。  今の御報告でいうと、まだ、調査委員会、一回目のみで二回目やられていないという判断でよろしいですか。 ○政府参考人(大和太郎君) 調査委員会については第二回を、第二回目を既に開催をしております。済みません、ちょっと。 ○委員長(阿達雅志君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕 ○委員長(阿達雅志君) 速記を起こしてください。 ○政府参考人(大和太郎君) 大変失礼いたしました。  事故調査委員会につきましては、第一回を四月六日に、それから第二回を四月二十一日に実施しております。三回目以降は、事故の原因を調査するために必要な機体の回収の結果を踏まえつつ実施していく考えであります。 ○福山哲郎君 前回の委員会でも、調査委員会は一回目だけで、二回目は機体の回収その他ができてからとおっしゃったんですけど、二回目、これ、二十一日にやられた。  何を議論されたのかは教えていただけますか。 ○政府参考人(大和太郎君) 事故調査委員会の会合自体はこういうふうに間隔を空けて行われるんですが、当然その事故調査委員会の組織としては様々な調査をやっております、今ある材料の中でですね。例えば、一般論ですけれども、どういう教育をそれまで施されていたのか、どういう訓練をしていたのかとか、あと機体の整備の状況がどうだったかとか、そういう細かいことをいろいろ調べているところであります。そういったことをレビューしたと、するというのが一般的なところであります。 ○福山哲郎君 三回目は機体を引き揚げてからということで、先ほど今月中にというお話がありましたものですから、その内容等については、国民もこの問題は非常に痛ましく残念な事案だと思っておると思いますので、調査委員会の中身、それから機体を引き揚げた後の状況等については国民になるべく情報を開示していただきたいというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 委員御指摘のとおり、我々としては、調査委員会又はいろいろな情報の提供に関してはしっかりとさせていただきたい、このように思っております。 ○福山哲郎君 本当に御苦労さまですが、よろしくお願いいたします。  スーダンのことについては先ほど佐藤委員からお話がありましたので余り繰り返すつもりはないんですが、今日未明ですか、岸田首相から退避希望全邦人の退避が完了した旨が表明がありましたので、本当にそれぞれの、外務省領事局そして自衛隊・防衛省の皆さんには本当に御苦労だったというふうに思います。ありがとうございます。  ジブチにある自衛隊初の海外拠点というのは、ソマリア沖やアデン湾において当時頻発していた海賊被害に対応するために二〇一一年に拠点を設置しまして、実は民主党政権でございました。  当時、今日いらっしゃいます榛葉防衛副大臣が拠点整備の事前の調整なり場所の確保なりに御奮闘いただきました。もう御勇退されましたが、小川防衛副大臣がこれのスタートの開所式に、すごい暑かったと思いますが、当時聞いた話だと、五十度ぐらいの猛暑の中でその開所式に小川副大臣が出席をいただいたことを私記憶をしております。小川副大臣から行ってきたよという報告を受けたことがありまして、この拠点が今回の邦人救出に一定の役割を果たしたことは非常によかったなというふうに思っておりますし、国家安全保障戦略の中にも、このジブチの拠点を邦人救助の際に活用するということを安全保障戦略の中にも明記をいただいておりますので、そのことについては本当に我々としても一定評価をさせていただいておりますし、今回迅速にこのジブチの拠点を使って救助に当たっていただいたことについても感謝と御慰労をさせていただきたいと思います。  実は、昨日か何かの毎日新聞のオンラインで、上智大学の東大作教授がこの現地の関係者から直接取材をされて、現地は水道が止まり電気も停電しがちで、戦闘が激しく外に出られない、水や食料も買いに行けない、危険な状況は続いているということを毎日新聞の中で報告をされています。現地からの報告だったものですから私も心配をしていたところ、こういうふうに迅速に退避ができたこと、本当によかったというふうに思っております。  先ほど佐藤委員からお話ありましたけど、防衛大臣、もし何かこのことについての報告があればお願いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 昨晩、総理から発言がございましたが、スーダン情勢を受け、昨日二十四日、現地時間でありますが、在留邦人とその配偶者計四十五名をポートスーダンからC2輸送機によってジブチ共和国に退避させました。  引き続き、防衛省・自衛隊として、予断を許さない現地情勢の中で更なる状況の変化にも対応できるように関係省庁と連携してまいりたいと考えております。  こうした中、万が一にも邦人の安全確保に影響を及ぶようなことは避けなければなりませんので、このため、活動状況の逐一や今後のスケジュールについては現時点ではお答えできないことを御理解をいただきたいと思います。  今委員からお話がありましたように、民主党政権においてジブチというこの拠点があったことというのは大変意味が多く、そしてまた、各国との調整をする場合にでも、我々がそこで参加をさせていただいているということは大変有意義だというふうに考えておりまして、その意味では、このジブチの重要性というものを、しっかりと対応していただいたことを私自身も評価したいというふうに思っております。 ○福山哲郎君 大臣に前向きな評価をいただいたことはとてもうれしく思います。安全保障・外交は継続的な案件が非常に多いですし、殊更に違いだけを強調するわけではなくて、共有できることは共有していくべきだと私はずっと申し上げているので、本当にジブチの拠点が有効に使われたことについては有り難く思っております。  RAAの前に、先週やり損ねた質問をさせていただきます。  お手元にお配りしている資料でございますが、中国による邦人の拘束事案が二〇一五年からでもこのぐらい数があります。非常に懸念をしています。現状でもアステラス製薬の社員の方が拘束をされているというふうに伺っておりますし、林大臣におかれましては、日中外相会談でこのことについても強く申入れをされたというふうに承っております。  私は、実は官房副長官のときに尖閣の問題がありまして、フジタの社員が拘束されたこととレアメタルが禁輸措置になりまして、そのときに、このフジタの社員の拘束を、正直言うと、中身は申し上げられませんが、かなり中国の高官と直接にやり取りをしました。かなり声を荒げて、言葉を荒げてやり取りした記憶もあるぐらいで、まあ内容については当時のことですから申し上げませんけれども、結果として、やり取りがあって、ある一定のディールがあった後、実は、向こうは解放するとは言いませんでしたけれども、一定のディールがあった後に、実は、一週間後ぐらいですかね、二週間後ぐらいですかね、解放されてほっと安堵したことを覚えております。  ですから、この交渉がいかに難しい交渉かということもよく理解をしておりますので、林大臣も、それから現実に交渉に当たっている外務省の職員もなかなか御苦労いただいているんだろうなというふうに思っております。  ただ、やっぱりこれ見ていただくと非常に案件多うございまして、それも驚くんですが、懲役十二年服役中とか、服役中病死とか、懲役十五年服役中とか、いや、これ結構罪としては重いんですよね。実刑食らっているわけですよ。反スパイ法だと思うんですけれども、実際にじゃスパイ行為をこの人たちがやっているかというと、私は到底やっているとは思えないと。これが服役中ということになると、いや、なかなか、在留邦人の身柄がですよ、これ一般の人がやられているわけですから、非常に不安な中で行われているということでございます。  それで、中にはスパイと認定されているとか、中には、民間人の中でもですね、コンサル、それから学者、それからやっぱり民間人、ビジネスマン等いらっしゃったり、中には、私的な旅行中に拘束されると、金品も没収されるということでございますので、非常にちょっと困ったもんだなと思っておりまして、アステラス社の拘束事案について、まず個別にお伺いします。  このことについて、実際に外務省は、どういう事態でどういう形で拘束に至ったのか、どういう形で把握されているのか、お答えいただけますか。 ○政府参考人(松尾裕敬君) お答え申し上げます。  外務省といたしましては、判決公判におきまして大使館員の傍聴が一定の制限の下ではございますけれども認められておりますので、そういった機会に、拘束に至った理由ですとか、そういった中国側の、中国側による説明による事情というのを聴取する機会というのはございます。 ○福山哲郎君 ごめんなさい、ちょっとそれ、質問と答え、ずれていますね。それは最後の判決に至ったところで、判決までは拘束されて、起訴されて裁判に行って、それで最後の、最終公判のところでは、それは公開か非公開かによるらしいんですけれども、その状況では一定のことは、事実関係は分かっていると。それは、申し訳ないけど、もう結論が出たときの話です。違います。  今拘束されているアステラス社の社員について、どういう形なのか、外務省としてはどういう形で把握しているのかについて御質問しています。 ○政府参考人(松尾裕敬君) 今回の拘束事案に至る拘束の事情についてですけれども、外務省としては、いかなる行為がこういった犯罪に該当するかということについては説明を受けておりませんし、事情を把握しておりません。 ○福山哲郎君 事情を把握しておりませんとあっさり言われますが、いやいや、だって、これ、アステラス社から外務省に何らかの報告があったり、まあ私言っちゃいますけど、領事接見もしているはずですよね。領事接見していますよね。していないわけないですよね。これ質問しようと思っていたんですけど、全然答えてくれないので先に言いますが、領事接見しているはずですから、その場合どうなのか。大臣でも結構です。 ○国務大臣(林芳正君) 三月に、中国当局からこの在中国日本国大使館に対しまして、北京市で五十代の邦人男性一名が中国の国内法違反があったとして中国当局に拘束された旨の通報がありました。  政府としては、本件拘束事案が判明して以降、中国側に対して、当該邦人の早期解放を強く求めてきておるところでございます。そして、ちょっと委員からも触れていただきましたが、私が四月一日と二日、この中国訪問いたしましたが、これは中国側に対して抗議をして、当該邦人の早期解放を含め、我が国の厳正な立場、強く申し入れたところでございます。その後、四日に、今ちょっと触れていただきましたが、当該邦人に対し、在中国日本国大使館員が領事面会を実施をしたと、こういうことでございます。  引き続き、邦人保護の観点から、中国側に対して早期解放を強く申し入れるとともに、この領事面会や御家族など関係者との連絡等、できる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。 ○福山哲郎君 大臣は、非常に詳しく、なおかつリアルにお答えをいただいたのはありがとうございます。  まさに大臣おっしゃるとおりなんですね。領事通報ありますから、拘束されたことを向こうは隠したり何かしているわけではなくて、日本国政府に、拘束したということはこちらに通報があって、それで、こちら側とすれば、一般的に言うと、本人が希望するかしないかでしょうけど、領事面会を求めて、そして領事面会ができると。ただ、そこでは、何で逮捕されたかとかどういう状況だったかというのは多分領事面会では拘束された人は言えないと思いますので、そこはなかなか具体的な詳細は分からないと思うんですけど、これ、日本の場合は、逮捕されたら七十二時間以内に、留置の段階で検察に送検するかどうか決めるんですね。  ところが、中国の場合は実はすごく長くて、事実上の身柄拘束が最長六か月、そして拘留に向けた審査があって最長三十日、検察の場合最長七日なんですけど、そこで初めて逮捕。逮捕から二か月以内で起訴審査、そして起訴に、またこれも最長六・五か月なんですけど、起訴になると。これ、すごい身柄拘束までに長いんですね。ですから、今の場合には、実は罪かどうか分からないままずっと勾留されているということになるんです。だから、向こうの司法制度について私は何らかの異議を申し立てるつもりはありません。まあ法治国家です、いや、法治国家というか主権国家ですから、相手もですね。  しかしながら、この状況の中で、今申し上げたように非常に拘束時間が長い中で、本人が例えばやってもいないことを認めざるを得ないとか、これだけ服役しなければいけない懲役の期間が長いと、まあどういう取調べが行われているか僕はつまびらかではないですけれども、何らかの冤罪のような形で認めることが出てきて、認めたらじゃ短くしてやるとか出してやるとかみたいな議論になってくると、そのこと自身が外交的に後々日本利用される可能性もあって、私が少し懸念を持ち過ぎなのかもしれませんが、ちょっと何とも言いようがないなと思っておりまして。  そのフジタの拘束事案のときも相当やり取りしたんですけど、なかなかこっちの言い分も通じないというか、いやいやそれはそれぞれの国の主権国家等の判断ですからという話になってきますので、大臣、向こうの大臣とのやり取りの詳細、私は、承ってもお答えしにくいと思いますけれども、相手側がどういう反応なのかとか、この問題について一度、例えば外務省の中で、これだけ拘束されているわけですから、ちょっとこのままでいいのかどうかみたいなことの研究等をしていただいて中国側と実際にやり取りをするような、それだってなかなからちが明くかどうか分からないですよ、私も、それでその何らかの形のこういう拘束事案が減るかどうかも私は何とも言いようがないので無責任な議論したくないんですが、ちょっと余りにも多いのと、日本の民間人がスパイ活動しているとは思えないので。  で、実際にこれ帰国している人は、懲役がそのままなのか、全部刑を全うしているのか、途中で釈放されているのかもこれ微妙なんですけれども、少し外務省の中でこのことについての対策なり、中国側に何らかの形の、今までのように、外務大臣が拘束事案を何とか解放しろということのやり取りで、向こうはまた相変わらず、いやいや主権国家で中国の法にのっとってやっているみたいなことを言っているのは僕は十分類推できる、するんですけど、そこについてちょっと大臣として問題意識を少し重めに持っていただいた方がいいかなという認識なんですが、大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 今委員から御指摘があったように、中国の国内法について我々が有権的にお答えする立場にはありませんが、この中国の刑事訴訟法上ですね、起訴前段階における拘束期間、先ほど言っていただいたやつで最長六百二十二日なんですね、二十か月以上でございます。それから、裁判も、国家の安全に危害を及ぼす類型の事件等、これ非公開審理と、こういうことになっておるということであります。  その反スパイ法におけるスパイ行為の定義が、中華人民共和国の安全に危害を及ぼす活動から、いろんなことが四つ書いてありまして、五つ目に、その他スパイ活動と、こういうふうになっていると。そういうことでございますので、そもそもどのような行為がこの反スパイ法に違反するとみなされるのかが明らかでないということを踏まえて、そういうことを踏まえて、中国側に対してこれまで説明を求めて、プロセスの透明性の確保ということも働きかけておるところでございます。  さらに、実は最初に着いた晩に邦人の皆さんと、大使館の中ですからある程度自由に意見の交換ができたわけですが、そういう方々からも、こういうことがこれだけあると、自分たちもそう思うし、家族もそうだし、まして本社の方から大丈夫かと、こういう声もあると、こういうお声を聞きましたので、そういうことも含めて、中国にとって、投資をしようと、彼らも、投資をしてくれと、こういう話をしている中でこういうことがあるということも併せて働きかけをしておるところでございまして、また、今までもそうですが、不断にですね、こういうことが起こらないようにするということはいろんなことを踏まえて不断の検討をしていきたいと思っております。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。  これ、ちなみに、中国の在留邦人、今何人いるか、事務方で結構ですのでお答えください。 ○政府参考人(松尾裕敬君) お答え申し上げます。  在留届の届出ベースで約八万人と承知しております。 ○福山哲郎君 八万人ですね。私は、昨日聞いたところによると、二〇二二年の十月現在で約十万二千人と聞いているんですけど、これ、やっぱり十万人単位で日本人がいる中でこういう勾留事案があるというのは、向こうで例えば企業で派遣されている方にとっても、事業をされている方にとっても非常に不安だと思います。  それから、外務省、もう一個。日本人が勾留されている事案は今こういう状況ですけれども、各国ですね、世界の各国でもこういう形で勾留事案が度々起こっているみたいなことは把握されていますか。 ○政府参考人(松尾裕敬君) 恐縮でございますが、それは邦人がほかの国でということでございましょうか。(発言する者あり) ○委員長(阿達雅志君) 発言は、福山哲郎君、質問。 ○福山哲郎君 いやいや違います。日本以外の国の、中国にビジネスとして行っていたり派遣されていた人たちが勾留をされているような事案が各国にも複数存在するのかどうか、外務省は把握されていますかと聞いています。 ○政府参考人(松尾裕敬君) お答え申し上げます。  報道等のベースではございますけれども、日本以外の国におきまして、以外の国民におきましても中国において拘束されているという事例があるということは承知しております。 ○福山哲郎君 これ多分、各国ともこのことについては多分懸念が多いと思うので、それを表立って各国と協議して何らかの申入れをするなんというのはなかなかできにくいと思いますけど、問題意識を、大臣、そこは一定の外交的な中で、それこそ事務方同士でどういう対応をしているのか等の意見交換ぐらいはしていただいて、対処の方法なりを、まあ別に表に出す必要は全くないですけれども、御検討いただきたいなというのは、これは要望でございますので、よろしくお願いしたいと思います。お答えは結構です。  それで、実は外務省の職員も去年拘束されたんですよね。外務省の職員も大使館員が一時拘束をされておりまして、これウィーン条約的には問題だと思うんですけど、この事案については事実関係だけ御報告いただけますか。大臣でも結構でございますし、事務方でも結構です。 ○政府参考人(岩本桂一君) 御指摘のとおり、昨年二月二十一日、北京市内において、在中国日本大使館員がその意に反して中国側当局により一時拘束されるという事案が発生いたしました。  本件は、外交関係に関するウィーン条約の極めて重要な規定である外交官の身体の不可侵に明白に違反するものであり、到底看過できず、断じて受け入れられないことから、様々なレベルで中国側に対し厳重な抗議を行い、謝罪と再発防止を強く求めてきているところでございます。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。非常に懸念をするところでございます。  実は今、中国のことで、台湾有事の議論とかも出ていますし、いろんな課題があるんですけれども、例えば中台で何らかの、大きい戦争とかは別ですよ、何らかの衝突とかがあって、どうなんだという議論が始まって、途端に、実は十万人日本人が中国にいるわけです。こういう拘束事案があるわけです。  これ、いきなり拘束されるような例が出てきたら、まさに有事のときに、存立危機事態とか共同訓練とかおっしゃっていますが、まさにそのときに身動き取れなくなる可能性が非常にあり得ると僕は思っていて、僕は、戦争にならないことが大事だと思いますし、戦争を回避するために動くのが政治や外交の役割だと思っていますけれども、ちょっとやっぱり気になるんですね、このことは。何人かが拘束されただけでもう日本政府は判断できなくなる可能性がある。  十万人のレベルってそう簡単ではないですし、事前にじゃ国内に帰ってこれるかなんていえば、今回のまさにスーダンの状況は、事前把握できなくて、これだけ激しい戦闘状態が起こって、六十人から百人の邦人がその場に居合わせること自身が二十一世紀になって一番多分厳しい状況だったと思います、まあ退避できたことはよかったと思いますが。  つまり、本当の有事、衝突ではなくても、何らかの緊張が出てきた瞬間に何人かの例えば邦人が拘束をされるような事態が起こると、本当に私は日本の政治判断自身がやりにくくなるんじゃないかということを懸念していて、じゃ、おまえどうしたらいいんだと言われたら、なかなか、どうしよう、どうしたらいいんだということは言いにくいですし、逆に経済の相互依存が進めば進むほど、さっき投資の話がありましたけど、投資が進めば進むほど、日本人の経済人、ビジネスマンが中国にいるわけですから、投資が進めば進むほど、相互依存関係が厚くなれば衝突はより蓋然性が低くなると思いますので、それは大事なことなんですけど、全部裏返しの話で、外交は一足飛びにはいかないのは重々承知をしておりますが、先ほど私申し上げたように、大臣におかれましてはちょっとこのことは留意しておいていただければ、もう重々承知だと思いますが、お願いしたいと思います。  それで、この件について最後、追加の質問なんですけど、そんなことを今日やろうと思っていたら、今朝の朝刊に、中国の全人代の常務委員会において反スパイ法の改正案の審議が始まったと。それはより反スパイ法の適用の幅を広げるという議論になっていると、サイバーを始めとしてですね、ITを始めとしてですね。  そうすると、今も、さっき大臣言われたように、何が問題で何が逮捕されているのかが曖昧だと大臣言われましたけれども、それの議論をまた広げようという議論が始まったというふうに今日いきなり朝刊に出ていましたものですから、大臣、やっぱりこの審議の内容等については是非注視をしていただいて、もちろん中国の大使館のメンバーも分かっていると思いますけれども、そのことについては外務省内での議論をよろしくお願いしたいと思いますが、もし何か答弁があればお願いします。 ○国務大臣(林芳正君) 中国側は、四月二十四日から二十六日まで開催をされます第十四期全国人民代表大会常務委員会第二回会議においてこの反スパイ法の改定について審議を行うと発表しております。他国の法律でありますので有権的にコメントするということではございませんが、やはりこの法案の改定をめぐる審議の動向等について政府として高い関心を持って注視をしてまいる、してまいりたいと、こういうふうに思っております。  先ほどもちょっと申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、この法律について詳細に説明を求めるということ、そして執行と司法プロセスの透明性を求めていくこと、今までも求めてきておりますが、そして同時に、在留邦人への注意喚起、これも行っておるところでございまして、こういう取組、しっかり続けていきたいと思っております。 ○福山哲郎君 大臣に前向きに御答弁いただいたので、是非そこは、答えのない世界ですが、よろしくお願いしたいと思います。  まだ審議続きますので、RAAについて冒頭の質問からさせていただきます。  実はこれも我々関わっていまして、東日本大震災のときに、さっきちょっと御紹介ありましたけど、オーストラリアがC17輸送機を日本に派遣したいという申入れがありました。そのときに、一応軍用機を派遣を受けるわけですから、そのことについては若干、実は私官邸にいまして、やっぱり他国の軍隊が領土内に入ってくることについては私自身は相当抵抗がありました。  実は今回、我が党は賛成をしていますけど、やっぱりオーストラリアとイギリスとはいいながら、他国の軍隊が入るということについては相当慎重にやるべきだと思っていまして、この東日本大震災のときのC17のときには、結局地位協定が、まず国連軍の地位協定しかないのでどうするんだという議論になりました。で、国連軍の地位協定は、人道支援、災害救援を想定したものではありませんでした。結果として、日本のいわゆる一般的な空港や航空自衛隊の基地が使えないので、在日米軍の横田基地を利用して着陸許可を外務省とか防衛省とかで相当協議をしていって、入っていただいたんです。  このとき他国も、軍隊を日本の東日本大震災の救援のために派遣したいという申入れ、いろんな国からあったんです、僕、どことは言いませんが。ただ、相手国の軍隊が日本の領土内に入ることについては相当僕は抵抗があったので、外務省や当時の官房長官の枝野さんや菅総理とも相談をして、このC17の入国は何とか調整をしたんですが、ほかについてはなるべくやめようという議論をさせていただきました。  ここからスタートして、実は当時のオーストラリアのミラー大使が、こんなに手続掛かるのはちょっと余りにも時間が掛かり過ぎるので、円滑化ができるよう、お互いの自衛隊とオーストラリア軍の間で何らかの調整しようではないかというのをミラー大使が問題提起をされたんですけど、今度はオーストラリア側が、簡単に言えば同盟関係ではないわけですね、日本と豪州は、まあ悪い関係とは言いませんが。そういう状況の中で実はこの議論が始まって、二〇一四年、自民党政権下になって実際の交渉が動き出したと。更に言えば、そこから先、今年、二〇二三年ですから、やっぱりかなり時間を要しているんですね。  そのぐらい僕は、やっぱりそれぞれの軍隊がお互いの領土、領海、領域内に入ってくるということに対しては手続上は大変だというふうに思っていて、ここ、まとまったことについては了としますが、いろんな思いがありますので、次の委員会でもし質問できる機会あれば聞かせていただきたいと思いますし、一個だけ聞いて今日は終わりたいと思いますが。  同志国という言葉が国家安全保障戦略に実は十か所以上出てきました。これ、実は二〇一三年の国家安全保障戦略には一回も出てきません。突然十三か所も同志国という言葉が生まれているんですが、私は、同盟国はもちろん分かりますが、同志国というのは一体どういう議論なのかと。新聞では準同盟というような表現もされるんですが、準同盟も何だか分からないし、衆議院の議事録見ると、準同盟という表現は外務省使っておられないと。  これ、同志国というのは、一体どういう形で今この国家安全保障戦略や外務省としては使用されているのか。そこだけお答えいただいて、今日の質問は取りあえず終わりたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この同志国という用語でございますが、これは一般に、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知をしております。  いずれの国が同志国に当たるかについては、それぞれの外交課題について日本と目的を共にするかという観点から個別に判断をしているところでございます。 ○福山哲郎君 今日のところはこれで終わります。  ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西でございます。  与野党の先生方からお話がありましたが、私の方からも、宮古島沖での非常に悲痛な事故について引き続きの捜索、また、スーダンについてはまた引き続きの取組をお願いをさせていただきたいと思います。  議案の協定について質問をいたします。  協定第六、七におきましては、接受国の入国については、全ての場合において、検疫に関する接受国の関係法令を適用する旨規定されています。  これについて、なぜこのような規定にしたのか、日米地位協定のこの規定の考え方も含め、答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  日米地位協定でございますけれども、その枠組みにおける検疫手続につきましては、日米地位協定に基づき設置されている日米合同委員会において一九六六年に作成されました合意に規定されております。  具体的には、米軍関係者が日本の民間空港から入国する場合には日本国政府による検疫が行われ、米軍関係者が直接在日米軍施設・区域から、あっ、六九年でございます、失礼いたしました、日本政府による検疫が行われ、米軍関係者が直接在日米軍施設・区域から入国する場合には米側は、あっ、九六、大変失礼いたしました、米軍関係者が直接在日米軍施設・区域から入国する場合には米側が検疫手続を行うことになっております。  この日米合同委員会合意では、米軍関係者が直接在日米軍施設・区域内から入国する場合において検疫伝染病の患者等が発見された際の米国から日本への検疫所長、日本の検疫所長への通報など、日米間の連携についても定められております。  日米間でこのような体制が整っておりますのは、日米安全保障条約の目的を達成するために我が国が米国に対してその使用を許している施設・区域から米軍人等が日本に入国する場合が想定されているためでございまして、これを前提として日米間で連携する体制が整えられているためでございます。  読み間違いがございまして、失礼申し上げました。 ○小西洋之君 今回の二つのこの協定については、全ての場合について接受国の関係法令を適用すると、このようにしたことについては、理由は説明できますか。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  日米安全保障条約の目的達成のために我が国が米国に対してその使用を許している施設・区域を有する米軍と、部隊間協力円滑化協定に基づいて接受国たる我が国が全般的な管理に責任を負う施設・区域に滞在する訪問部隊とでは、入国に係る原則が異なりますので、検疫の実施の対応についても差異が生じているものと考えております。 ○小西洋之君 では、外務大臣に伺いますけれども、今、原則が異なるということ、まあ原則が異なりかつ運用も異なるのかもしれませんが、そこは私は分かりませんが、いずれにしても、今回この二つの協定で、全ての場合において日本の関係法令をこの検疫において適用するとしております。  ただ、この日米地位協定においては、在日米軍基地から入国する場合ですね、米軍関係者が、これはアメリカが検疫手続を行うことになっております。これについては、同僚の先生方も御記憶あるかと思いますが、このコロナ禍の中で沖縄あるいはこの岩国の関係から感染が広がったのではないか、国会でも議論がされたところでございます。  なので、外務大臣にお伺いしますが、これを機に、今回の二つの協定を機に、日米地位協定のこの検疫のこの在り方、在日米軍基地から入国する米軍関係者についてアメリカ側が検疫手続を行う、この原則を変える、そうした問題提起をアメリカ側に対して行っても私はいいんじゃないかと思うんですが、大臣の見解をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) この日豪、日英の部隊間協力円滑化協定は、今説明がありましたように、派遣国部隊が一時的に接受国に滞在する際の共同訓練、災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にすること等を目的とするものであります。これに対しまして、このアメリカの場合は対日防衛義務を負って我が国に駐留をしている米軍の円滑な活動を確保するということで、前提が異なっていると、今答弁があったとおりでございます。  その上で申し上げますと、検疫に関しては、この一九九六年の日米合同委員会合意に基づいて、先ほど説明が少しありましたが、米軍関係者が日本の民間空港から入国する場合には日本国の当局による検疫を受けると、米軍関係者が在日米軍施設・区域から入国する場合には米軍の実施する検疫手続の適用を受けると、こういうことになっております。  この同合意においては、米軍関係者が在日米軍施設・区域から入国する場合におきましてこの検疫伝染病の患者等が発見された際の米側から日本の検疫所長への通報など、日米間の連携についても定められております。  二〇二二年一月ですが、まさに今委員がおっしゃったようなこともあって、それを受けたということですが、新たに検疫・保健分科会を日米合同委員会の下に設置をいたしまして、この検疫手続、感染症対応等々について日米双方の保健当局の参加を得まして議論を行う体制を整えるなど、日米地位協定の下の日米合同委員会合意に基づいて日米間で連携して対応する枠組みをより一層強化してきておりますので、今後も日米が連携して適切に対応していきたいと考えております。 ○小西洋之君 日米安保条約と本協定では、前提、原則ともおっしゃったと思いますが、違うということとおっしゃっているわけなんですが、それが現実のところでどこまで合理性があるのかについては私も疑義がありますので、引き続き質問を重ねさせていただきたいと思います。  次の質問に行きますけれども、協定第十四条は、接受国において、接受国が決定する手続及び要件に従って、訪問部隊が武器、弾薬、爆発物、危険物を輸送し保管、及び取り扱うことができる旨規定しています。実際のこの、じゃ運用に当たって、このオーストラリア軍あるいはイギリス軍がこうしたものを輸送、保管などする際には、どういう手続及び要件に従うことになるのか。今の自衛隊のこの国内における手続、要件、これに、必要があればこれにも触れながら説明をしていただきたいと思います。政府参考人です。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、円滑化協定第十四条の二におきまして、接受国が決定する手続及び要件に従うと、こうされておるところでございます。  接受国たる我が国が決定する手続及び要件につきましては、軍隊の性質に鑑み、自衛隊が行っている輸送、保管等に関する手続と類似の水準であることを想定し、弾薬等の火薬類の安全な輸送や保管に必要となる運搬、積載の方法、積載量、運搬する車両の標識、関係機関への通知等の事項が含まれるべきものと考えております。  具体的に申しますと、自衛隊の場合は、弾薬等の輸送や保管に当たっては、火取法のように一部は適用除外となっているものもありますが、民間と同様の規制が適用されているものがございます。  このように、自衛隊は関係法令に従って弾薬等の輸送、保管を行っておりますが、その手続を規定する関係法令は多岐にわたるのでここで全てを網羅的にお答えすることは困難でございますが、その上で一例を申し上げますと、民間船舶による弾薬輸送に当たっては、危険物船舶運送及び貯蔵規則などに従いまして、危険物運送船適合証を有する船で輸送を実施しております。また、車両による弾薬輸送につきましては、火薬類取締法、道路法等の関係法令に定められた手続に従い、輸送を実施してございます。  このように、自衛隊が行っている輸送、保管等に関する手続と類似のものとしていることで、派遣国が自らの責任で弾薬等を輸送し、保管し、取り扱うということを考えているところでございます。 ○小西洋之君 じゃ、重ねてですが、訪問部隊の輸送、保管などを、これは自衛隊が行うことも想定しているのか。で、それをする場合には、その法令上の根拠をどのように考えているのかを答弁願います。 ○政府参考人(増田和夫君) 繰り返しになりますけれども、本協定の第十四条は、訪問部隊は、接受国において協力活動を実施するため、接受国が決定する手続及び要件に従うことを条件に、派遣国自らの責任において武器、弾薬、爆発物を輸送し、保管し、及び取り扱うことができること等を定めており、我が国においては豪州国防軍及び英国軍が輸送、保管等を行うこととなります。 ○小西洋之君 では、次の質問、協定第二十一条二は、派遣国の当局が、訪問部隊の構成員又は文民構成員に対して、派遣国の法令によって与えられた全ての刑事裁判権を接受国内で行使する権利を有すること、そして接受国の当局が、訪問部隊の構成員及び文民構成員に対し、接受国内で犯す罪であって接受国内の法令によって罰することができるものについては刑事裁判権を有することを規定します。  つまり、この競合する場合というものがあるわけでございますけれども、質問ですが、派遣国の当局は専ら派遣国の財産若しくは安全のみに対する罪又は公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪については、接受国の当局はその他の罪について、訪問部隊の構成員及び文民構成員に対して裁判権を行使する第一の権利を有することを想定しているところでありますけれども、今申し上げたここで言う公務、続けて聞きますけど、公務執行中ということはこの定義上どうなっているのか、また、その公務執行中を判断するのが誰になっているのか、また、この公務執行中の判断について、この認識についてそごが生じた場合にはどのような手続を経て公務執行中として決定をするのか。ここまで答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(岩本桂一君) ここにあります公務執行中でございますが、これにつきましては、訪問部隊の構成員又は文民構成員として、法令、規則、上官の命令又は軍慣習によって、要求され又は権限付けられる全ての任務又は役務を執行中であることを指しております。こうした考え方については、日豪、日英それぞれの間で一致をしております。  その上で、更にお尋ねのあったこの点について協議が必要な場合には、この協定の第二十七条において、この協定の実施に関して協議を必要とする全ての事項に関する協議機関として合同委員会を設置する旨規定しております。この公務執行中であるか否かをめぐって双方の認識が一致しない場合には、個別の事案ごとにこの合同委員会において協議することになります。 ○小西洋之君 では、重ねて政府参考人に伺いますが、日本側が第一次裁判権を行使するものとされている今のこの公務外で罪を犯した訪問部隊の構成員、また文民構成員の身柄をオーストラリアあるいはイギリス側が確保している場合ですね、この当該被疑者の引渡しはどの時点でなされるのか、起訴前であっても日本側に身柄の引渡しが行われることになっているのか、答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(岩本桂一君) この接受国側が裁判権を行使すべき事案におきましては、御指摘のように、派遣国によって被疑者の身柄が一時的に確保される場合、これは起訴前であっても被疑者の身柄は接受国側に引き渡されることになります。 ○小西洋之君 では、外務大臣にやはり日米地位協定の関係で質問させていただきたいんですが、日米地位協定第十七条の五の(c)は、被疑者の身柄がアメリカに、アメリカ側にあるときは、起訴されるまでの間はアメリカ側が被疑者を拘禁する旨規定をしています。  やはり同僚の先生方には本当に御記憶に、非常に痛切な思いがあるところだと思いますが、かつて沖縄で発生した一九九五年の少女暴行事件を機に、凶悪犯罪については起訴前の身柄引渡しについてアメリカ側が好意的に考慮することとする日米合同委員会合意がなされています。しかし、日本側のこの起訴前身柄引渡要請が拒否された事例もあります。  この度のこのオーストラリア、イギリスの二つの協定の締結を機に、日米地位協定の改正ですね、起訴前であっても身柄を引き渡す、そのような改正をアメリカ側に日本政府として提起すべきであると考えますが、外務大臣の見解をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 委員御指摘の一九九五年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意によりまして、殺人、強姦等の犯罪で我が国として重大な関心を有するものにつきまして起訴前の拘禁移転を可能にする道が開かれまして、実際にこれまで五回、起訴前の拘禁移転が行われるなど、運用上の改善が図られてきておるところでございます。  この起訴前の拘禁移転を可能とする枠組み、委員も御案内かと思いますが、NATO地位協定や米韓地位協定には存在せず、米軍が駐留している国の中で我が国のように米国との合意に基づき起訴前の拘禁移転が行われている国があるということは承知をしていないところでございます。  今御指摘のありましたこの婦女暴行未遂、器物損壊事件の事例、これは拒否されたという件でございますが、米側から当時、米国政府として日本政府の説明を真摯に検討したが、当該事案については起訴前の拘禁移転を行うことに同意できないとの結論を得たと、こういう説明を受けた経緯がございます。当該被疑者、これは起訴後に日本側に身柄が引き渡されたと承知をしておりますが、身柄の引渡しのタイミングにかかわらず、そもそも米軍人等による事件、事故、これは地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものでございまして、今後も米側に対して様々な機会に事件、事故の防止の徹底、求めてまいりたいと思っております。 ○小西洋之君 政府参考人で結構なんですけれども、ちょっとお答えいただけるかどうか。  先ほどのこの事例ですね、冒頭に聞きました検疫に関しては日米安全保障条約という両国間の協定のその性質そのものが違うというようなことだったんですが、この、被疑者を起訴前に日本に引き渡すかどうかについて、日米安保条約であるか、あるいは今回のこの円滑化協定であるか、そうしたその条約の違いというものは本質的な要素としてあり得るんでしょうか。  政府として、外務省として、この違いは一体何なんであるとお考えでしょうか。 ○政府参考人(宮本新吾君) 日米地位協定に関して申し上げれば、今大臣から答弁申し上げたとおりでございまして、これまでの経緯を踏まえて様々な運用の改善が図られてきているところでございまして、それに従いまして、起訴前の拘禁移転に関しましても、特定の場合においては好意的な配慮が払われ、実際に多くのケースにおいてはそれが成立してきているということでございます。 ○小西洋之君 答えになってないんですが。  ちょっと外務省、事実関係だけ教えてもらえればいいんですけれども、なぜこういう違いが、同じ条約といえば同じ条約なんですけれども、条約によって、こういう起訴前の引渡し、あるないが、違いがあるかというのを、そういうことについて検討されたことありますか、外務省として、政府として。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  それぞれの条約につきましては、それぞれの条約の趣旨、目的等を踏まえまして、どのような形の条文が適切かについては真剣に検討しているところでございます。  日米と日豪、日英につきましても、それぞれの条約の趣旨、目的等を鑑みまして適切な文言にしている次第でございます。 ○小西洋之君 多分、さっきの検疫のときも私は違いがあることは合理的な説明が立つのかと、私は難しいような気がするんですが、この犯罪に関しては、起訴の引渡し、これ多分ないと思うんですね、これ安保条約であるかあるいは円滑化協定であるかについて。なので、また改めてこの委員会で質問いたしますので、外務省として、外務大臣の下で、この日米地位協定のこの部分を見直すべきでないかという問題提起をさせていただきますので、その本質的な検討を含めてしっかり検討をお願いをさせていただきたいと思います。  続いて伺いますが、協定の附属書などにおきましては、アメリカあるいはオーストラリア軍の構成員などが公務外で事件を起こし、そしてその被疑者に死刑が科せられる場合があるようなケースにおいては、協定上負っている被疑者の逮捕、引渡しや、あるいはその捜査の実施などについての援助義務ですね、オーストラリアあるいはイギリスが援助義務が免除されることになっていますが、こうした取決めをした経緯、またその趣旨について説明をお願いいたします。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、本協定の下で協力活動を行うに当たりましては、訪問部隊の構成員等により死刑を科され得るようなものを含め犯罪が行われることがあってはならない、このことが大前提でございます。  その上で、協定上の死刑の扱いについては、この協定が、両締約国が互いに部隊を相手国に訪問させることを対象とした双方向的なものであることを踏まえて、日本が死刑存置国、豪州及び英国が死刑廃止国であるというそれぞれの国の法制度の違いを前提に、それぞれの国における法制度の根幹の変更を求めることなく被疑者の逮捕、引渡しや捜査に関する相互援助を行うことを規定をしております。  そして、万一、我が国を訪問して協定上の協力活動を行っている豪州国防軍又は英国軍の構成員等が公務外で事件を起こし、被疑者に死刑が科され得る十分な可能性がある場合には、豪側又は英側が協定上負っている被疑者の逮捕、引渡しについての援助義務を免除されることとしております。他方で、日本国内においては、日本の捜査機関が被疑者の逮捕等の警察権を行使するに当たり、豪側又は英側はそれを妨害してはならない旨が附属書等で確認されております。  したがいまして、日本国内において豪州国防軍又は英国軍の構成員等が死刑が科される可能性がある罪を犯した場合においても、日本の捜査機関は引き続き当該被疑者の逮捕を含む必要な捜査を行うことになります。また、その上で、当該罪が日本が裁判権を行使すべき罪に当たる場合には、日本の裁判所の判決により死刑が科されることは否定されておりません。 ○小西洋之君 次の質問まとめて、防衛省でしょうか、答弁お願いしたいと思うんですが、国家防衛戦略においては、今回のこの協定ですね、円滑化協定について記述があります。具体的には、RAA等の整備を踏まえ、オーストラリアにおける訓練の実施やローテーション展開などを図り、事態生成時には云々々とあるんですが、今私が読み上げたこのオーストラリアにおける訓練の実施というのはどういうものなのか。例えば、反撃能力を始めとするこのスタンドオフミサイルなどの装備をすることになっていますが、そういう訓練なども含まれるのか。あるいは、このローテーション展開というものは何であって、この等もですね、等というものは何か。また、最後の、事態生起時のこの事態とはどのようなものを意味するのか。答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  これまでも、自衛隊と豪軍との間では、豪州における米豪軍との実動訓練サザンジャッカルを始め累次の機会に共同で訓練及び演習を行ってまいりました。現時点で具体的な訓練計画ございませんが、昨年十二月の日豪2プラス2で確認したとおり、豪州への日本のF35による機動展開訓練、水陸両用作戦訓練及び豪州での訓練の際の一二式地対艦誘導弾の実射射撃などについての検討を加速する考えでございます。  豪州の恵まれた訓練環境など生かして日豪両国間やその他の国も含めた訓練を拡大することによりまして、自衛隊の能力向上のみならず、米国も含めた日米豪三国間の相互運用性の向上や連携強化を図りたいと考えているところでございます。  そして、ローテーション展開につきましては、自衛隊の部隊を一定期間豪州国内に展開することを意味しておりまして、今すぐ定期的に一定期間ということではございませんけれども、中長期的な目標としてはそのようなことを念頭に置きながらやっていきたいと考えているところでございます。  また、このローテーション展開等の等でございますけれども、先ほども御説明しました訓練等の中に例えば一二式地対艦誘導弾の実射ということも考えておりますので、そのことを含むものでございます。  いずれにせよ、ローテーション展開等に関する具体的な計画、活動の態様や期間等については今後検討していくこととなりまして、現時点でお答えできることはございませんが、滞在に当たっては豪州国防軍の施設等を利用することを考えているところでございます。  そして、事態生起時の事態ということでございますけれども、豪州との間では日米防衛協力に次ぐ緊密な協力関係を構築することとしておりまして、平素から緊急事態に至るまであらゆる場面において協力関係を深化させたいと考えております。  その上で、事態ということにつきましては、先ほど申し上げました、平素から緊急事態に至るまであらゆる場面ということを考えておるわけでございますけれども、特段の限定はされておりませんで、日豪両国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討した上で決定するものであり、特定の事態を両国間で具体的に想定しているものではございません。  いずれにしましても、あらゆる事態について日豪両国間で緊密に連携いたしまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に努めていきたいと考えております。  以上でございます。 ○小西洋之君 丁寧に答弁していただいたと思うんですが、聞いていると結構すごいことをお話しされていると思うんですが、精査してまた質問重ねさせていただきたいと思います。  外務大臣に次まとめて御質問させていただきたいと思いますが、先ほど福山委員からの御質問もありましたけれども、今回のこの両協定ですね、まあ実施法も含めて同志国との連携強化ということをおっしゃっているんですが、その趣旨について、具体的な趣旨について、意義について答弁いただくとともに、一方で、このオーストラリアと英国においては、イギリスとともにいわゆる安全保障の枠組み、AUKUSを形成をしております。このAUKUSについては、中国あるいはASEAN諸国の一部からも、まあそれぞれの立場があるということだとは思いますけれども、懸念の意思などが表明されているところであります。  今般、我が国がこのオーストラリア軍、イギリス軍とこうした円滑化協定、また実施法の整備を行って、そうした部隊間協力を強化することは、日本がこのAUKUSへの関係、傾斜を強めているというような見られ方をするということもあり得るのだろうというふうにも思います。必ずしもそうなるかどうかというのは、それは分かりませんけれども、まあ一つの見方として。  そうしたときに、やはり日中間は、首脳会談、あと外相会談もされておりますけれども、新しい引き続きの互恵的あるいは新しい建設的な取組を進めていかなければいけないんですが、そういう中国への影響についてどう考えているのか、答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) まず、前段の御質問でございますが、お話があったように、国家防衛戦略においても、自由で開かれた国際秩序の維持強化のために協力する同志国等との連携を強化するというのを明記をしております。今回の本協定も、この連携強化、これを効果的に進めるための取組の一つであります。  豪州との間では、我が国の国家防衛戦略におきまして、日米防衛協力に次ぐ緊密な協力関係を構築し、本協定等の整備をも踏まえ、豪州における訓練の実施やローテーション展開等を図り、日米豪の協力も念頭に連携していくとしております。昨年十月には、長期的な安全保障協力の方向性を明確に示す羅針盤となる、新たな安全保障協力に関する日豪共同宣言、これを発出しておりまして、引き続き、日豪の安全保障、防衛協力を拡大、充実すべく取り組んでまいります。  また、我が国と英国ですが、二〇二一年の空母クイーン・エリザベスの我が国への寄港を始めとする艦艇の派遣、そして各種共同訓練の実施、次期戦闘機の共同開発に係る協力など、安全保障、防衛協力を深化させてきております。本年一月の日英首脳会談では、本協定の署名等の新たな進展を踏まえつつ安全保障協力を一層深化させるということで一致をしておりまして、引き続き、インド太平洋への関与の強化、これを進める英国との安全保障、防衛協力の強化に向けて取り組んでまいります。  そして、後段の御質問でございますが、豪英米三か国は、このAUKUSの取組がインド太平洋地域の平和と安定に貢献するものであるということや、通常兵器搭載型の原子力潜水艦能力に係る計画が、三か国として核不拡散上のコミットメントを実行するもので、引き続きIAEAと関連の協議を行うことを強調しておりまして、ASEAN各国や中国を含む関係諸国に対してこうした説明を繰り返し行ってきているというふうに理解をしております。  このAUKUSの取組、これはインド太平洋の平和と安定に資するものでございまして、日本は一貫して支持をしております。日本は、本協定を含めて、同盟国である米国、安全保障、防衛面で様々な協力が進む同志国である豪州、英国、それぞれとの間での協力を推進してきております。  本件が日中関係に与える影響ということでございましたが、これ予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、中国との間では、昨年十一月の日中首脳会談で得られた前向きなモーメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動、これ強く求めながら、諸懸案を含めて対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力をする、この建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築してまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 ありがとうございました。  残り、安保三文書を質問させていただきます。  政府参考人、本質的なところだけでいいので、すぱっと答えていただきたいと思うんですが、まず一つ目です。  安保三文書は特定の国や地域を対象にしたものではない、繰り返し答弁されているんですが、この趣旨について具体的にお願いいたします。 ○政府参考人(増田和夫君) 我が国の防衛政策や防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではないということを言っているものでございます。  その上で、過去に策定しました防衛計画大綱等と同様に、新たな国家安全保障戦略等においても、先生累次御指摘のとおり、周辺国の軍事動向等について記載しております、これは中国や北朝鮮やロシアなどでございますが。政府としては、我が国の防衛政策や防衛力整備の方針をお示しする前提として、周辺国の軍事動向等を分析した上で、我が国を取り巻く安全保障環境について説明し、国民の皆様に御理解いただけるように努めておりまして、このことは当然のことと考えております。  他方、このような記載があることが、すなわち特定の国や地域を脅威とみなしているということを示すものではございません。防衛省といたしましては、我が国周辺の軍事動向のみならず、将来の技術動向やハイブリッド戦のような新しい戦い方なども加味し想定される各種事態において、我が国に侵攻を試みる部隊に対して自衛隊が対応し得るのか検証していると、これによって防衛上の課題や防衛力の不足を抽出しているということでございます。 ○小西洋之君 済みません、ちょっと冒頭のところが聞き取れなかったので、冒頭のところだけもう一度答弁してください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  我が国の防衛政策や防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではございません。 ○小西洋之君 分かりました。ちょっと前回の答弁が少し分かりにくかったので、明確に答弁いただきました。  じゃ、次ですけど、安保三文書には、自衛隊の基地、施設の強靱化ですね、あるいは抗堪性やあるいは継戦能力などを定めているんですが、これも、極めて現実的なシミュレーションを踏まえて、そうした抗堪性や継戦能力の向上あるいは具備というのが必要だと、それに必要性、合理性があると、そういう結論になったということでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  防衛力の抜本的強化の検討に際しましては、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行いまして、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛費の規模を導き出しておるものでございます。こうした検討の過程で、自衛隊の活動を支える基盤としての自衛隊の施設の強靱化につきましては、既存施設の老朽度や災害に対する強靱性等の様々な観点から自衛隊施設の機能、能力の評価を行い、必要性と合理性を確認してございます。  今後、こうした取組の一環として、各基地、駐屯地ごとにそれぞれのマスタープランを作成し、被害想定が甚大かつ運用上重要な基地、駐屯地等から、津波などの災害対策、既存施設の更新に合わせまして各施設の機能や重要度に応じた防護性能の付与、こういった施策を実施していくことになります。これらの施策の実施に際しましても、既存施設の老朽度や災害に対する強靱性等の様々な観点からその必要性と合理性を十分検討しつつ、必要な施設整備を五年間で、今後五年間で集中して円滑に実施していくこととしてございます。 ○小西洋之君 じゃ、政府参考人に、この極めて現実的なシミュレーション、また防衛大臣は、最も烈度が高い事態、これも検討したということですが、こうした事態においては、あるいはそのシミュレーションにおいては、相手国からの武力攻撃による自衛官やあるいは一般の日本国民が死傷する、そうした死傷者などの被害想定もなされているのでしょうか。明確に答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 自衛隊は、武力攻撃事態におきまして、主たる任務である武力攻撃の排除をする必要があるところ、武力攻撃より十分に先立ちまして住民の迅速な避難を実施する、あるいは、そのための様々な国民保護のための計画がなされておるところでございますが、その上で、今般実施いたしましたシミュレーションについて申し上げれば、自衛隊の能力、これは防衛力整備のために自衛隊の能力を評価し、防衛力が足りているのか足りていないのかといったことを検証するといった内容に焦点を当てて実施したものでございます。  したがいまして、想定される各種事態に対する過程で生じ得る自衛隊員の被害については考慮しておりますけれども、国民の被害そのもの、そういった要素については、検討の中には、シミュレーションの中には入っていないということでございます。 ○小西洋之君 すごい答弁が飛び出しました。  前回、このシミュレーションは補給とかそうしたものについても検討されていないということなので、はっきり言って、軍事的な戦略あるいはその計画としての体を成していないというふうに私は思うところでございます。  また引き続き質疑をさせていただきます。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会 ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、星北斗君及び上田勇君が委員を辞任され、その補欠として田中昌史君及び矢倉克夫君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 休憩前に引き続き、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件外三案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  早速、日豪並びに日英円滑化協定について質問させていただきたいと思います。  まず初めに、午前中の議論とちょっと重複するところもあるかもしれませんが、この安全保障分野における近年の日豪そして日英関係、新聞等でもまさに準同盟関係という表現が非常に多く使われております。公式の言葉ではないということだというふうには承知をしているわけでありますけれども、ただ、ある意味この両国との日本の親密さというか連携の良さというものは当然表されているんだろうと思っております。  このことがなかなか、今回のこの円滑化協定も、恐らくアメリカというところはとても国民の皆さんの認識も強いわけでありますけれども、その次、オーストラリアなんだと、その次、英国なんだということについては、正直言うとほとんど認識のないやはり方も多いんじゃないかと思っております。  改めて、こういうところをちょっと確認させていただく上で、この日本の安全保障における両国の位置付けということ、それから、これまでの協力活動ですね、その実態ということと併せて、今回の円滑化協定の意義ということについて、浜田大臣から御説明いただきたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我が国と豪州及び英国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値と戦略的利益を共有し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力が進んでおります。  両国との間で、物品役務相互提供協定、情報保護協定等の制度的枠組みの整備のほか、外務・防衛閣僚級協議を含む各レベルでの協議や各軍種間の共同訓練を実施するなど、防衛協力・交流を着実に深化をさせてまいりました。  例えば、豪州、英国とはこれまで様々な形で共同訓練を実施してきており、具体的には、日豪海軍種間で日豪トライデント、日英陸軍種間でビジラント・アイルズといった共同訓練を実施してきております。これに加え、円滑化協定の締結、実施することは、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施が円滑化されることとともに、部隊間の相互運用性の向上が期待され、これまでの日豪、日英間の安全保障、防衛協力関係の更なる発展に資するものであると考えます。  我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一か国でも多くの国々との連携を強化することが極めて重要であり、今回、我が国として初めてとなる円滑化協定が豪州及び英国との間で締結されることは大変意義深いものと考えるところであります。 ○平木大作君 大臣から今御説明いただいたとおり、これまでも、例えば安全保障分野においても様々な協定を時間を掛けて積み重ね、そして共同訓練等によって実態として落とし込んできたということ、御説明をいただきました。  そして、協力活動、これも、いわゆる共同訓練だけではなくて、特に災害時の様々な支援活動等を相互にやってきた、こういう歴史も積み重ねもあるんだろうというふうに思っております。こういうものを受けて、今回、円滑化協定ができると。  改めて、もう一問ちょっと大臣にお伺いしておきたいんですが、じゃ、この日豪ですね、具体的にまず日豪からなんですけれども、この日豪の円滑化協定が承認された後、日豪間で更なる連携ってどうなっていくのか。  例えば、これ、当該協定に期待される効果というところでは、よく御説明としては、日豪共同訓練の拡充ということを今も御答弁の中でありました、言われておりますし、昨年発表されました新たな安全保障協力に関する日豪共同宣言、こちらの中では、より洗練された共同訓練という、ちょっとこういう表現も使われているわけです。  なかなかこれどういうものがイメージされているのかということが分かりにくいなと思っておりますので、今後のこの日豪の具体的な連携の在り方について、浜田大臣から御答弁いただきたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) オーストラリアとは基本的に基本的価値と戦略的利益を共有する特別な戦略パートナーであり、平素から緊密に連携を、協力をしているところであります。国家防衛戦略においても、豪州との間では、日米防衛協力に次ぐ緊密な協力関係を構築し、外務・防衛閣僚協議を含む各レベルの協議、共同訓練、防衛装備・技術協力等を深化させることとしております。日豪円滑化協定の締結、実施により、豪州との防衛協力を更に強化していく考えであります。  具体的には、円滑化協定の活用を視野に入れ、オーストラリアへの日本のF35による機動展開訓練、水陸両用作戦演習及び一二式地対艦誘導弾の実射等についての検討を加速するなど、よりオペレーショナルな日豪防衛協力を進めていきたいと考えております。 ○平木大作君 それでは、少し具体的な各論に入っていきたいと思いますが、まず、本協定の中でも一番の争点となりましたこの裁判権の行使と被疑者、犯罪者の引渡しという点について、基本的な立て付けをまず確認をさせていただきたいと思っております。  この一方の国の部隊構成員が他方の国を訪問中に罪を犯した場合における刑事裁判権行使の在り方、そして、被疑者、犯罪人の引渡しについてどのような整理がなされたのかということについて、まず外務省から確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、刑事裁判権につきましては、本協定第二十一条において、両国の裁判権が競合する場合には、派遣国部隊の公務執行中の事案又は専ら派遣国部隊のみに対する事案については、派遣国が裁判権を行使する第一次の権利を有することになっております。それ以外の事案については、接受国が裁判権を行使する第一次の権利を有することが規定されております。  また、両締約国の当局は接受国における訪問部隊の構成員等の逮捕及び裁判権を行使すべき当局へのこれらの引渡しについて相互に援助する義務を負う旨を規定しております。したがいまして、個別の事案に応じて警察官や自衛隊員等が適切な形で援助を行うことになります。 ○平木大作君 今、協定の二十一条の四項とそして五項というところを中心に御説明をいただいたわけであります。  この刑事裁判権の問題ということについては、やはり死刑制度の適用ということが大きな争点になったと。交渉開始から日豪の場合は署名までに七年半掛かっていますけれども、こういった死刑制度回りのところがやはり大分調整に時間が掛かったのかなというふうに思っております。  そこでお伺いしますが、豪州で既に廃止をされている死刑制度の適用ということなんですけれども、仮に豪州からの訪問部隊構成員が日本国内において重大犯罪で検挙された場合、これ、死刑の適用が結局免除されるわけではない、こういう整理になったのかどうか、この理解でいいのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、本協定の下で協力活動を行うに当たりましては、訪問部隊の構成員等により死刑を科され得るようなものも含めて犯罪が行われることがあってはならない、こういう大前提ございます。  その上で、協定上の死刑の扱いにつきましては、この協定が、両締約国がお互いに部隊は相手国に訪問させることを対象とした双方向的なものであることを踏まえて、日本が死刑存置国、豪州及び英国が死刑廃止国であるというそれぞれの国の法制度の違いを前提にしております。  万一、我が国を訪問して協定上の協力活動を行っている豪州国防軍の構成員等が公務外で事件を起こし、被疑者に死刑が科され得る十分な可能性がある場合には、豪側が協定上一般的に負っている被疑者の逮捕、引渡しや捜査の実施等についての援助義務を免除されることとしつつ、日本国内においては、日本の警察が被疑者の逮捕等の警察権を行使するに当たり、豪側はそれを妨害してはならない、こういう旨が附属書等で確認されております。  したがいまして、日本国内において豪州国防軍の構成員等が死刑が科される可能性がある罪を犯した場合においても、日本の警察は引き続き当該被疑者の逮捕を含む必要な捜査を行うことになり、また、その上で、当該罪が日本が裁判権を行使すべき罪に当たる場合には、日本の裁判所の判決により死刑が科されることは否定されておりません。 ○平木大作君 今、大変明快に答弁をしていただいたと思うんですが、改めて、じゃ、ちょっといろいろ条文等に基づいてもう少し確認をさせていただきたいと思うんですけれども、第二十一条関係の附属書がありまして、この二には、協定第二十一条五項の(a)の規定につきまして、この五項の(a)に規定する援助がこの協定の効力発生のときに有効な適用可能な国際協定に基づく自国の義務に反するといずれかの締約国が認める場合には当該締約国の当局は当該援助を提供する義務を負わないことを相互に決定すると、こう定めていると記載があるわけであります。  ちょっと長い文章でぱっと意を取りにくいわけでありますけれども、この、じゃ、自国の義務に反するといずれかの締約国が認める場合というのは具体的にどのような場合を指しているのか。ちょっと先回りして言ってしまうと、実質的に、これ豪州からの訪問部隊構成員には死刑の適用は免除する、あるいは死刑の可能性がある場合には日本側に引渡しが行われない、こういうことを書いてあるんじゃないかというふうにも読めるわけですけれども、この点についていかがでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 御指摘の附属書の二の規定につきましては、豪州が市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書、通常、自由権規約第二選択議定書と呼んでおりますが、この議定書に基づいて、豪州の管轄内にある者に対して死刑が執行されないことを確保する義務及びその管轄内において死刑を廃止するための全ての必要な措置をとる義務を負っていると、こういった豪州の立場を踏まえたものでございます。  具体的には、討議の記録の一において確認されているとおり、被疑者に死刑が科され得る十分な可能性があると認める状況のみにおいて逮捕、引渡しの義務の免除を適用することを意図するものでございます。 ○平木大作君 この部分について更にちょっと、じゃ、文言に基づいていろいろ確認をしておきたいんですけれども、第二十一条の討議の記録というものがありまして、この二のところには、協定第二十一条五の(a)に規定する援助を行うことが国際協定に基づく自国の義務に反するかどうかを一方の締約国が検討する際に、当該一方の締約国が関連する入手可能な情報に考慮を払うことを確認するというふうな記載がございまして、この入手可能な情報というところに(a)、(b)、(c)といろいろ並んでいるわけですが、その情報の一例には、(c)として、他方の締約国が提供する関連する保証というのを挙げております。  この保証というのは具体的にどのようなものを想定しているのか、解釈も含めてお示しいただけたらと思います。 ○政府参考人(岩本桂一君) 今御説明のありました討議の記録の二(c)にあります他方の締約国が提供する関連する保証としましては、討議の記録の三において、関係当局による死刑を求刑しないとの保証が認められることを確認しております。  この関係当局による死刑を求刑しないとの保証は、関連する犯罪の内容や法定刑、裁判例における量刑の傾向等に関する情報等の客観的な状況を踏まえ、日本側から豪側又は英側に対して当該被疑者に死刑が求刑されることはないとの通知を行うものでございます。 ○平木大作君 そういう意味でいきますと、今一連の問い、裁判管轄権の話、そして引渡しの話、いろいろ聞かせていただいたわけでありますが、改めてちょっと確認のみでもう一度御答弁いただきたいと思います。  この討議の記録に記載された内容というのは、結局、先ほど確認をさせていただいたこの本協定で死刑の適用を免除したわけではないという説明と矛盾をしないのかどうか、改めて明快に答弁していただきたいと思います。 ○政府参考人(岩本桂一君) 先ほど御説明したとおり、万が一、我が国を訪問して協定上の協力活動を行っている豪州国防軍又は英国軍の構成員等が公務外で事件を起こし、被疑者に死刑が科され得る十分な可能性がある場合には、豪側又は英側が協定上一般的に負っている被疑者の逮捕、引渡しについての援助義務を免除される、こういうことになっております。一方で、日本国内においては、日本の警察が被疑者の逮捕等の警察権を行使するに当たり、豪側又は英側はそれを妨害してはならないとされております。  こういったこの論点の重要性を踏まえまして、附属書において被疑者の逮捕、引渡しについて義務の免除を規定しつつ、討議の記録においては、被疑者に死刑が科され得る十分な可能性があると認める状況のみにおいて適用することを意図することを確認しまして、そのことで義務の免除の範囲を確定しているものでございます。  したがいまして、討議の記録の記載内容が死刑の適用が免除されることを確認しているわけではございません。 ○平木大作君 改めて、大変難しい調整をしていただいたんだなということがよく分かるわけです。当然、相互に相手国のこの法制度というものを尊重した上でどう折り合いを付けるかという中で、このような形の決着を付けていただいたんだなと思っております。  改めて、冒頭おっしゃっていただいたように、まずは、この相互に訪問している部隊同士である意味犯罪のようなことが絶対に起きてはいけないわけであります。その枠内でまたきちっとした運用をしていただきたいということをお願いしたいと思いますし、また、万が一何かあったときにも、特に裁判管轄権の話あるいは引渡しの話、これは国民感情に直結するところでもありますので明快な運用をしていただきたいとお願いしたいと思います。  関連して一問、日米地位協定との差異というところで確認をさせていただきたいと思います。  この被疑者、犯罪人の引渡しということについて、やはり米軍との間で度々問題になってきております。午前中の質疑にも少しあったわけでありますが、一九九五年のあの事案もそうでありますし、この米軍の構成員が日本国内で重大犯罪の被疑者となった場合でも、米軍基地内に逃げ込んでしまうと日本側に身柄の引渡しが行われないということが実際に起きてきた、度々起きてきたわけであります。  今、運用の改善ということについてはこれまでも取り組んできていただいているのは分かるわけでありますが、今回のこの円滑化協定の締結後、例えばオーストラリアあるいは英国との間で同様の事態になることというのはないんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 日米地位協定は、対日防衛義務を負い我が国に駐留する米軍の円滑な行動の確保を目的としておりまして、そのために日本国内で施設・区域の使用が許されております。一方、この日豪及び日英部隊間協力円滑化協定は、派遣国の部隊が一時的に接受国に滞在する際の共同訓練や災害援助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にすることを目的としております。したがいまして、日本国内に米国が使用しているものと同様の性格を有する施設や区域は持っておりません。  このような違いがあることから、豪州及び英国の派遣国部隊の構成員が我が国において仮に犯罪を行った場合でも、御指摘のありました当該構成員が施設・区域に逃げ込むといったような事態は想定されておりません。 ○平木大作君 ありがとうございます。  もう一問、今度、円滑化協定の第四条三項の規定について少しお伺いしていきたいんですが、これ、当該協定を、一九五四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊として行動する間のオーストラリア国防軍が実施するいかなる活動についても適用しないと定められております。  この規定の趣旨自体は明快かなというふうに思っているわけでありますが、改めて、ここに引用されておりますいわゆる国連軍地位協定、この概要と協定の今日的な意義ということについて御説明をいただけたらと思います。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  いわゆる朝鮮国連軍は、北朝鮮による武力攻撃を撃退し、地域における国際の平和と安全を回復することを目的として一九五〇年に創設され、その後、一九五三年の朝鮮戦争休戦協定の締結を経て、現在は朝鮮における平和と安全の保持を目的として活動しております。  そして、一九五四年に我が国が締結いたしました国連軍地位協定は、朝鮮国連軍の我が国における地位及び我が国において与えられるべき待遇を規定するものでございます。我が国との間で国連軍地位協定を締結している国の軍隊が国連軍として活動する際、同協定に基づいて我が国国内の七つの在日米軍施設・区域を使用することができることになっております。  今日におきましても、例えば我が国との国連軍地位協定の締約国の軍隊は、国連軍として、国連軍地位協定に基づき、在日米軍施設・区域を使用しつつ、瀬取り対処のための警戒監視活動などを行っております。 ○平木大作君 私自身も本当に不勉強で、なかなかこれまで国連軍地位協定についてそもそも学んだことがなかったんですが、なかなか今、朝鮮戦争自体が休戦した状態にあるということをちょっと意識する瞬間ってないなというふうに思っております。  ただ、実際には休戦ということでありまして、この国連軍地位協定、締約国は十二か国、日本、オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、ニュージーランド、フィリピン、南アフリカ、タイ、トルコ、イギリス、アメリカということで、この十二か国によって締約が結ばれておりまして、実際にこの朝鮮国連軍の後方司令部が横田飛行場にあると、あるいは司令官も三名常駐しているみたいなことも含めて、まだ現在進行形で実際に機能しているということであります。また、当初に比べると随分この使用される在日米軍施設等が縮小してきたというか、減ってきた、整理されてきたというふうに伺っておりますけれども、今でも七か所使用することができるとなっているということでありました。  こういう中で、改めてちょっと思い起こしてしまいますのが、例えば先日、四月十三日ですね、この日本の領域内への弾道ミサイルの落下ということが予測をされた戦後初のケース、Jアラートが鳴った件ですね。  弾道ミサイルというのは非常に高度な技術を持ったミサイルだというふうに思っておりますので、想定のところに飛んでいかない、あるいは例えば日本に、あるいは例えば韓国に実際に飛んでいってしまう、落ちてしまう可能性を排除し切れないんだというように思っています。こういう中で、何かのそういったことをきっかけにまたこの朝鮮半島有事ということが突然始まってしまう可能性もやはりあるんだろうと思っております。  また、昨年は、アメリカと韓国に対して、北朝鮮は核実験の再開と併せて第二次朝鮮戦争を警告をしてきたというようなこともあったというふうにお伺いをしております。  そういうことを考えたときに、仮に七十年ぶりにこの朝鮮戦争みたいなことが再開をされた場合、この日本を国連軍の後方支援地域と、後方支援拠点と位置付けているこの国連軍地位協定ですけれども、機能するのか。これまでほとんど改定をされていないということでありますけれども、これ機能するのかどうか改めて確認をさせていただきたいと思いますし、同時に、そもそもそういう意味でいくと改定をしなきゃいけないのかということと同時に、十二の締約国のうち、結局、日本、それから独自の地位協定を結んでいるのは米国ですね、アメリカ、さらには、今回円滑化協定を結ぶことになるのがオーストラリア、そしてイギリス。  そうすると、残っているのが、例えばフランスやイタリア、フィリピン、タイとかいったこの八か国になるわけですけれども、将来的なこの円滑化協定、今のところは交渉している国はない、あるいは今後何か見通しがあるわけではないという答弁は午前中の議論でもあったわけでありますが、例えばこういう八か国をまず最初の検討の俎上にのせるというのは一つの考え方かなと思うわけでありますけれども、この点についての政府の見解をお示しいただけたらと思います。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  仮定の御質問にお答えすることは差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、国連軍地位協定の締約国の軍隊は、我が国において朝鮮における国際連合の軍隊に対して十分な兵たん上の援助を与えるため必要な最小限度に限るものとして提供された施設・区域を使用することができます。  その上で、いわゆる朝鮮国連軍は、現在においても朝鮮における平和と安全の保持を目的として活動しておりまして、瀬取り対処のための警戒監視活動に従事するなど、一定の成果を上げてきているものと考えております。  豪州及び英国以外の国との部隊間協力円滑化協定の交渉につきましては、現時点で何ら決まっておりません。同種の協定の交渉を行っている国はございませんけれども、昨年十二月に定めた国家安全保障戦略では、同志国間のネットワークを重層的に構築、拡大し、抑止力を強化する取組の一つとして部隊間協力円滑化協定を位置付けております。同協定に関しましては、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ締結の要否を検討してきております。  政府といたしましては、同志国等との連携の強化の観点から、安全保障に関する協定の締結を含む様々な取組を進めていく考えでございます。 ○平木大作君 この件についてこれ以上問うことはしないんですけれども、今回の円滑化協定というのは、やはり、例えば船舶ですとか航空機、部隊が入国する際の手続、こういったもの、今ですと様々な手続があるものを省略をできるようになる。活動中に車両を運転するとか、武器を携帯、使用する、こういった一つ一つについてあらかじめ定めておくことによって、いざというときいろいろなことができるようになってくるわけであります。  国連軍地位協定、当然、その六十九年前の状況の中で作られているという意味でいくと、今、本当にこれに基づいて、瀬取りぐらいの話でしたら多分大丈夫なのかもしれませんけれども、何か新たに朝鮮半島有事みたいなことが起きたときに果たして役に立つのかというのは、やはり疑問を持たざるを得ません。その意味で、今後これ当委員会等においても引き続き是非議論させていただきたいなというふうに思っております。  次の質問に行きたいと思います。英国についても幾つかお伺いをしておきたいんですが、林大臣にお伺いをしたいと思います。  英国は、三月十三日、一昨年に策定をした安全保障、防衛、外交政策等に関する統合レビューを刷新をしております。ここで、いわゆる前回の統合レビューの中で打ち出したインド太平洋への傾斜方針というものがあるわけでありますが、ここについては、二年ぶりの改定の中で、昨年からロシアがウクライナに侵略をしているというようなこと、様々な状況の中で関与を弱めるんじゃないかというような指摘があったというふうにもお伺いをしております。  実際にはそうならなかったわけでありますけれども、この今回の統合レビューの刷新について、大臣としてどう評価されているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今御指摘がありましたように、本年の三月ですが、英国政府は、大きく変化する国際情勢を踏まえまして、外交及び国家安全保障政策の重要事項をまとめた安全保障、防衛、開発及び外交政策の統合的見直し、これの刷新を発表いたしました。  今回の統合的見直しの刷新の中では、自由で開かれたインド太平洋のビジョンの支持、そしてインド太平洋地域への関与、これを英国の国際政策の恒久的な柱とするということを明確に打ち出しておりまして、四月十七日に日英外相会談行いましたけれども、私から英国のかかる方針を歓迎する旨述べたところでございます。  英国は、御案内のように、我が国にとって基本的価値を共有するグローバルな戦略パートナーでございます。ロシアによるウクライナ侵略への対応、そして自由で開かれたインド太平洋の実現、こうしたことを含む国際社会の諸課題への対応におきまして、英国と引き続き緊密に連携してまいりたいと考えております。 ○平木大作君 この英国との関係について、浜田大臣にもお伺いをしておきたいと思います。  三月十六日、浜田大臣も英国のウォレス国防大臣と会談をされております。現在、イタリアも含めた三か国で次期戦闘機の共同開発、こういった案件も進んでいるわけでありますけれども、今後期待をされますこの日英の間の具体的な連携の在り方について、大臣の考えをお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 英国との間では、二〇二一年の英空母打撃群によるインド太平洋への展開や、同年以降の英哨戒艦によるインド太平洋への恒常的な展開に加えて、昨年十二月の日英伊三か国による次期戦闘機の共同開発の公表や、本年一月の日英円滑化協定の署名を始め、防衛協力が進展しており、両国関係はかつてなく緊密な、緊密かつ強固となっていると考えております。  三月十六日に行ったウォレス英国防大臣との日英防衛相会談では、共同訓練やアセットの往来が継続していることを歓迎するとともに、日英円滑化協定の発効後の活用を通じた相互運用性の向上につながる更なる協力についても検討を進めていくこと等、更なる日英防衛協力強化の発展で一致いたしました。  防衛省・自衛隊としては、今後も、基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーである英国と様々な取組を通じ連携を一層強化してまいります。 ○平木大作君 改めて今、外務大臣、そして防衛大臣にこの日英の連携の在り方についてお伺いをしたわけであります。  例えば、浜田大臣のこの会見の中でも、この欧州とインド太平洋の安全保障は不可分という、こういう認識で一致したということが発表されていたわけでありますけれども、改めて、こういうある意味連携の中で空母クイーン・エリザベスが横須賀に入港したとか、一つ一つの短編的な例えばこの報道等ですと、なかなかその意義付けですとか位置付けというものが伝わりづらい、国民の皆さんにも御理解いただけていないのかなと思うわけでありますけれども、こういう中で、この英国のインド太平洋に対するコミットメントというものがより強化されてきている、そして具体的に今回の円滑化協定でまたそれが確固なものになるということかと思っております。こういった一つ一つのことを少し長いスパンの文脈の中で是非とも国民の皆様に伝えていただく、そんな御努力もお願いしたいと思っております。  それでは、続いての質問なんですが、このことにちょっと関連してでありますけれども、三月三十一日、英国のCPTPP加盟承認ということが公表をされました。まさに英国によるインド太平洋地域に対するより強固な関与、傾斜の表れであるというふうに思うわけでありますけれども、今回のこの英国のCPTPP加盟の意義について政府の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(道井緑一郎君) お答え申し上げます。  CPTPP、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定でございますけれども、この協定、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくという意義を有する協定であると認識しております。  この協定に対して、今先生からお話ありましたとおり、英国が加入申請を一昨年にいたしまして、加入プロセスが進行してまいりました。そして、先般、三月三十一日、その交渉が実質的に妥結いたしまして、その旨の閣僚共同声明が発表されたところでございます。  そういうことで、加入プロセスはまだ進行しておりまして、今後、条文化交渉等の手続が残っておりますが、こうした英国がCPTPPに加入するということの意義につきましては、英国自身、我が国にとりましてグローバルな戦略パートナーであるとともに、非常に重要な貿易投資相手国でもございます。そうした英国がCPTPPに加入することは、自由貿易、開かれた競争的市場、ルールに基づく貿易システム、それから経済統合の促進に資するものであるというふうに認識しております。  よってもって、我が国、それからひいては、これCPTPPは環太平洋の国で交渉をして立ち上げられたものですけれども、英国の加入によりまして、環太平洋を越えて世界全体の貿易、経済の更なる成長、発展にも寄与することが期待されるというふうに考えておりまして、自由で公正な経済秩序を構築していく上で大きな意義があるというふうに考えております。 ○平木大作君 改めて、まだちょっと加入のプロセスの最中だということでありました。済みません。ただ、改めて、今回、この英国が最初の加盟国になると、追加の加盟国になるということは間違いないんだろうと思っています。  ちょっと思い起こすのが、私も以前、経産省の政務官やらせていただいたときに、ちょうど二〇一八年の九月でしたけれども、G20の貿易・投資大臣会合、アルゼンチンに出席をさせていただきました。その場で、イギリスの当時のフォックス国際貿易大臣から、今後、英国としてTPP加盟に向けて是非取組を進めたいということをおっしゃっていただいて、日本としても歓迎をするというお話をさせていただいたのを思い出しました。  やはりなかなか時間が掛かってきたなとは思いますけれども、改めて今、このTPPというものが一度頓挫しかけて、でも日本が努力をして、この非常にハイスタンダードな形を維持しながら、米国は結局今のところ入れないという形でありますけれども、成立までこぎ着けたこのTPPというもの、いろいろな国から今関心を寄せられているわけですね。  今のところ、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、こういったところも加盟申請をしたいというような希望が寄せられているわけでありまして、これはこのスタンダードに沿った形でしっかり当然審査していただけたらと思うわけでありますが、その中でも、日本とある意味価値観を非常に共有をして、このハイスタンダードな自由貿易の世界というものをしっかり広げていくというこの価値観を持った英国がやはり第一号の追加の加盟国になるというのは非常に歓迎できることであると思いますし、改めて、先ほど来確認をさせていただいているような、外交や安全保障におけるこの日英の連携ということにも、この経済という面からも非常に寄与する極めて大きな成果なのかなというふうに思っております。  もう一問、最後にお伺いをしておきたいと思います。  今、先ほども少し触れましたけれども、日本、イギリス、そしてイタリア、この三か国で進める次期戦闘機の共同開発、GCAPというんですかね、グローバル戦闘航空プログラムというのがあるわけでありますけれども、これについてちょっと気になる報道がありまして、確認をさせていただきたいというふうに思っております。  これ、どういうことかというと、この本社機能を持つ英国が開発の中心を担う可能性が高まっているとして、日本主導の開発が後退をするという、こんな報道ぶりでありました。  これ、新たな防衛力整備計画の中でも、我が国主導の、我が国主導を実現すべく、将来にわたって適時適切な能力向上が可能となる改修の自由や高い即応性等を実現する国内生産、技術基盤を確保すると、こう明記をされているわけでありますけれども、この研究開発における我が国主導というのは具体的にどのようなことを意味するのか、そして、この本プログラム、GCAPですね、これは、この今、防衛力整備計画に記載をされたとおり、この国内生産、技術基盤の確保に資するものになるのかどうか、防衛省に確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  委員御指摘の我が国主導の開発とは、御指摘の防衛力整備計画に明記しているとおり、次期戦闘機の共同開発に当たりまして、まず第一点目としまして我が国が求める主要な要求性能を全て満たすこと、第二点目といたしまして将来にわたって適時適切な改修の自由を確保できること、第三点目といたしまして高い即応性を実現する国内生産、技術基盤を確保することを実現するものでございます。  共同開発に至るまでの日本、イギリス、イタリアの協議を通じまして、我が国主導が実現できるとの確信が得られたことから三か国の共同開発を決定したものでございまして、我が国主導は確保できるものと考えているところでございます。  その上で、防衛省といたしましては、次期戦闘機の国際共同開発を通じまして、他国の英知も取り込みつつ、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や我が国防衛の足腰を支えるサプライチェーンの強化等を図ることで、我が国の防衛生産・技術基盤を維持強化していくこととしているところでございます。  国内生産、技術基盤の確保を含めまして、我が国主導を実現するため、次期戦闘機の共同開発にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。 ○平木大作君 ありがとうございます。  そもそも、この本社機能があるところに何か全部持っていかれるみたいな話ではそもそもないんだろうと思うわけでありますが、こういう形の報道が出てしまうというのもちょっと残念だなと思っております。  今改めて御答弁いただいたように、この三つの目標、適時適切な能力向上、それから改修の自由度、そして国内生産、技術基盤の確保等、やはりこれ三つ一緒に追うというのはやっぱり大変なのは事実なんだろうと思っていますし、もしかすると、三つ全て一〇〇%、百点というわけにはいかないんだろうと思うわけであります。  ただ一方で、そもそもこの次期戦闘機ですね、導入の目的、その必要とされる機能が確保されないんであれば何の意味もないわけでありますので、この中でしっかり、このいわゆる優先順位ということを間違えないで、今御答弁いただいたように、この我が国主導の開発をしっかりと成功に導いていただきたいということ、お願いを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  本日は、冒頭、部隊間協力の円滑化協定について御質問をさせていただきたいと思います。  今回の日豪、日英の部隊間協力円滑化協定、意義としましては、例えばイギリスであれば様々な防衛協力に関する協定が今までもありました。安保・防衛協力であったり情報保護協定であったり、そして装備品の技術移転協定、そして今回は、先ほども議題が上がっていましたけれども、次期戦闘機の共同開発、そのようなものが進む中で更に一層の防衛協力の強化に至る、その協定の意義があると考えております。また、訓練ごとに今まで結んでいた個別の協定を包括的な協定にしていく、その意義もあるかと思います。  ただ、今回、包括的な協定の締結に数年間掛かった。それは、その締結の作業の中で様々な課題が明確化された、それがこの協定に反映されたものだと思っておりますので、その課題について、それほど多い論点ではございません。私は、一点だけ御質問していきたいと思っております。  先ほど平木委員が詳細の説明をされました。私も配付資料の一、今皆さんにお配りしていますが、全く平木先生が読んでいただいたのが文章になっているだけですけれども、これに沿って御質問させていただきたいと思っております。  まず、協定の二十一条、裁判管轄権の競合と調整についてですが、協定の中の二十一条五条の(a)の中には、接受国における訪問部隊の構成員又は文民構成員の逮捕、また裁判権を行使すべき当局へのこれらの者の引渡しについて相互に援助するという規定がございます。つまり、派遣部隊が公務外で犯した犯罪に関しては相互の引渡援助義務が規定されているわけです。  その下の附属書、アネックスの二十一条のところ、二項には、この二十一条五項の規定に関して、この相互援助は、この協定の効力発生のときに有効な適用可能な国際協定に基づく自国の義務に反するといずれかの締約国が認める場合は当該締約国の当局は引渡義務を負わないという、こういう内容がアネックスに書かれているわけですが、ここに定めてある、このアネックスの二に定めてある、公務外で法を犯した派遣国の構成部隊の引渡義務が免除されるケース、これもう既に平木委員の方から指摘があったように、これは死刑が適用されるようなケースということですけれども、済みません、それ以外のケースはないんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 先ほど御答弁申し上げたとおり、その死刑が科され得る場合にこの規定を設けておりますので、それ以外のケースは想定しておりません。 ○金子道仁君 ありがとうございます。ということは、死刑のケースを唯一念頭に置きながら今日の質問はさせていただきたいと思っております。  非常に大変失礼ながら、仮のケースとしまして、オーストラリアが派遣国、我が国が接受国ということで考えていきたいと思いますが、派遣国の部隊、オーストラリアの部隊が仮に我が国の刑法において死刑に該当するような重大な犯罪を犯した可能性があった場合、その場合は、オーストラリアはこの部隊の構成員を引き渡す義務が免除されると。つまり、軽微な犯罪、窃盗等であれば引き渡される、でも重大な犯罪であれば引き渡されないというのは非常にアンバランスな印象を受けるんですけれども、こうした重大な犯罪を犯した被疑者についての裁判管轄権、どのようになるんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 今御質問の点につきましても、ちょっと繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、今回、この協定の下でまず協力活動を行うに当たりましては、訪問部隊の構成員等により死刑を科され得るようなものも含めて犯罪が行われるようなことがあってはならない、これがまず大前提でございます。  その上で、先ほど来御説明申し上げているとおり、今回の協定においては、日本が死刑存置国、そして豪州及び英国が死刑廃止国であるという、それぞれの国の法制度の違いを前提にして関連の規定を設けさせていただいております。  そういった前提の下で、豪側又は英側が協定上負っている被疑者の逮捕、引渡しや捜査の実施等についての援助義務を免除されることとしつつも、日本国内において日本の捜査機関が被疑者の逮捕等の警察権を行使するに当たり、豪側又は英側はそれを妨害してはならない旨、この点も附属書等で確認されているところでございます。  したがいまして、日本国内において豪州国防軍又は英国軍の構成員等が死刑が科される可能性がある罪を犯した場合におきましても、日本の捜査機関は引き続き当該被疑者の逮捕を含む必要な捜査を行うことになります。また、その上で、当該罪が日本が裁判権を行使すべき罪に当たる場合には、日本の裁判所の判決により死刑が科されることは否定されていない、こういう構成になっております。 ○金子道仁君 確認ですけれども、やはり死刑が求刑されるような、そのような重大な犯罪であれば、やはりオーストラリアであれば引渡しをする義務を免除される、引き渡されない場合も十分あり得る。我々日本としてはそういう犯罪に対して捜査をしていく。そして、引き渡されない場合は、その捜査で得た情報をしっかりとオーストラリアに提供していって、オーストラリアの方でしっかりとした訴追手続が持たれるということになるかとは思います。  その場合に、そうありたい、そうあるべきだと思いますけれども、仮に派遣国の方の訴追内容が正当でないと、正当でないという判断をすることは我々がすべきことではないかもしれませんが、国民感情として、えっと思うような訴追内容であったりとか、被害者が我が国の中にある中で、その訴追手続が非常に遅れている、なかなか判決が下らない、プロセスが進まない、そういう事態があった場合には協定上はどういう対応が取られるんでしょうか。若しくは、協定上の義務違反というものはここに発生するんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、この協定におきましては、日本国内で豪州国防軍又は英国軍の構成員等が死刑が科される可能性がある罪を犯した後に本国に帰国した場合には引渡しが実現しないことが考えられます。その場合には、豪州又は英国は、日本側の要請により、それぞれの法令によって認められる範囲内で訴追のため自国の当局に事件を付託する義務を負うことになっております。  その上で、先ほど御指摘のありました点、様々なケースがあると思いますのでなかなか一概には申し上げられないとは思いますが、いずれにしましても、御指摘のような事態が生じた場合には、合同委員会というものがございますので、ここにおける協議を行うことを含めて、個別の事案に即して我が国として最善の方策について判断することになると思います。 ○金子道仁君 包括的に、バスケットクローズとして合同委員会があって、そこで協議する、これは当然だと思うんですが、もう一度確認します、協定上の義務違反は問えないということでよろしいでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げたとおり、豪州又は英国は、日本側の要請によって、訴追のため自国の当局に事件を付託する義務を負っております。ですので、まずはこの義務をしっかりと果たしていただくことが前提となります。  その上で、様々なケースございますけれども、日本側としてその対応について問題があると判断した場合には、先ほど申し上げた合同委員会でしっかりと協議をして、先方との間で最善の方策を追求していく、こういうことになろうかと思います。 ○金子道仁君 難しい交渉の中でこういったものを作っていただいた、その交渉過程、本当に敬意を表したいと思います。  ただ、非常に、最も重大な犯罪に関して引渡しができないというこのアンバランスさというものがやはり存在するということは否定できないのではないかと思います。  この二十一条について続けます。  この討議の記録、さらに議事録のようなものですが、討議の記録の中に、死刑になる可能性があるかどうかというところに関して、最後、関係当局による死刑を求刑しないとの保証が出されるということがこの三ポツのところに書かれているわけです。じゃ、関係当局というのは、我が国の場合は検察庁を指すんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 御指摘の部分につきまして、この関係当局による死刑を求刑しないとの保証、これは日本の場合、地方検察庁の検事正が文書により通知すること等の対応を想定しております。 ○金子道仁君 私は法学部なんですが、刑訴法は余り専門で学んでいないので大変恐縮なんですが、違和感はあるんですね。まだ判決が出ていないのに検察が相手国に死刑求刑しないよなんて言ってそれを保証するということは、刑訴法上、問題ないんでしょうか。 ○政府参考人(保坂和人君) まず、刑事訴訟法におきまして、検察官は事実及び法律の適用について意見を陳述するものとされておりますが、この意見を陳述するに際しまして科すべき具体的な刑についての意見を述べること、これは俗に、俗にといいますか、求刑というふうに呼んでおります。  その上で、検察官が捜査の遂行上必要がある場合に、その職務に属する事項の判断、決定を外国の当局に通知することは、捜査の目的を達するために合理的に必要な措置、これに付随する措置でございますので、検察官の職務を定める検察庁法あるいは捜査について定める刑事訴訟法上、これは許容されるというふうに考えております。  お尋ねの死刑を求刑しないとの通知につきましては、刑罰権の実現という重大な公益に関して他国から被疑者の引渡しを受けるために行われるもので、かつ、関連する犯罪の内容、法定刑、裁判例における量刑の傾向等に関する情報等の客観的な状況に照らして死刑の適用を求める場合に相当しない事案であるときに、その旨の検察官の認識及びその認識に従って措置をとるということを示すものでございまして、問題はないものというふうに考えております。 ○金子道仁君 検察庁は、死刑を求刑しないという意見を出すことは可能だと思うんです。ただ、ここには協定上は保証と書いてあって、相手国は保証したよねと日本に問われる、そういう権限が果たして、まだ裁判、判決が出ていない段階で検察庁に負わせるというのはちょっと問題があるんじゃないか、そのように思うわけです。  仮に、この検察が死刑を求刑しないという保証を出しました、でも、その裁判のプロセスの中で被害者がいろいろと調べる中で余罪が出てきてしまった、刑が増えていって、最終的に裁判官が死刑だと判決するケースもあり得ないとは限らないんじゃないでしょうか。そうした場合に、我が国は協定上の義務違反を問われるんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、御質問の前提といたしまして、その両協定の討議の記録に言う死刑を求刑しないとの保証は、これは先ほど申し上げましたとおり、地方検察庁の検事正による死刑が求刑されることはないという通知を指すものでございます。これは、裁判の結果までも保証するものではございませんので、御指摘のような場合に協定上の義務違反を問われるということはないと考えております。 ○金子道仁君 それであれば、やはりその関係当局による死刑を求刑しないという意見というような表現の方がより適切であったんではないか。保証と言われると、やはり義務が発生するような印象をすごく持ちますので、そこの点に関しては、我が国としては仮に検察の意見と裁判所の判決がずれた場合でも協定義務違反にならないという主張をするというのは分かるんですが、仮にそういうことがあった場合にはもめるんではないかなという危惧も正直ございます。  ただ、この問題というか、こんな議論をしている土台にあるのは、日本には裁判制度があり、ああ、ごめんなさい、死刑制度があり、豪、英には死刑制度がないという国内刑法上の相違があることが大前提にあって、それをどうすり合わせていくかという中で、非常に難しい交渉があってこういう文言になったんではないかということは十分理解できるわけです。  我が国は、これから様々な国際協定結ぶ中で、その国際人道法上のスタンダードと言ったら言い過ぎかもしれませんが、各国が、多数国がしていることを我が国がしていない、そういったところがポイントとなって、様々なこういうそごが起こってしまう危険性もこれからあるかもしれないと危惧しておりますが、我が国における死刑制度の存廃について法務局の所見をまずお聞かせください。 ○政府参考人(保坂和人君) 死刑制度の存廃につきましては、我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題でございまして、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であると認識いたしております。  国民の世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えておるところでございまして、多数の者に対する殺人や強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等に鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対して死刑を科することもやむを得ないのでございまして、死刑を廃止することは適当ではないというふうに考えております。 ○金子道仁君 この場所でその議論が始まるとまた次の大きなテーマになりますので、今日は御意見だけお伺いしています。  ただ、今の話、今の御意見というか、重大犯罪という点では、日本より海外の方が重大な犯罪が多い国もあると思うんですね。我々、国内の世論、もちろん十分に議論しながら、ただ、国際的な人道法の状況も鑑みながらやはりこれからも議論していくテーマではないかということをお伝えして、次の質問に入りたいと思います。  時間が余りありませんので一つ飛ばさせていただいて、G7の軽井沢外相会合について、ウクライナに対する侵略犯罪を訴追する国際法廷について御質問させていただきたいと思います。  昨日も林外務大臣に御質問させていただきましたコミュニケの一のウクライナに対する侵略犯罪を訴追するための国際法廷についてですが、資料の二を御覧ください。  こちらの方に、これは国連広報センターのホームページから過去の特別法廷について挙げたものでございます。これらの法廷があり、今回、ウクライナに関してどのような法廷が出ているか。ごめんなさい、字がめちゃめちゃ細かくて見にくいですけれども、ざっくり言いますと、大きな法廷としては上の二つ、ルワンダ、旧ユーゴスラビア、これらが特別法廷で、これらの知見を携えてICCへと移行していったというわけです。  ただ、このルワンダ、旧ユーゴスラビア、これ、いずれも安保理が設置をしたものであって、今回ウクライナで、安保理がウクライナの特別法廷つくるのは非常に可能性低いと思うんですが、どのような方式で今回国際法廷をつくられる見通しでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) ロシアのウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、断じて認められないと考えております。ロシアによるウクライナ侵略に関連して、侵略犯罪に問われるべき個人を訴追するための特別法廷のあり得べき具体的な態様については、我が国も含む関係国の間で専門的な議論が行われているところでございます。  今触れていただきましたこのG7の外相コミュニケにおいてG7外相がその設置を追求することを支持した法廷でございますが、これは今少し事例を御紹介いただきましたけど、そうした国連安保理決議による管轄権の設定を前提にしたものではなくて、ウクライナの司法制度に基づきつつも国際的な要素を含む法廷、これを念頭に置くものでございます。  いずれにいたしましても、侵略犯罪に関する特別法廷の設置についてはまだ現時点で何ら決まっておらず、引き続き議論されていくこととなると考えております。  我が国としては、今般、G7外相会合で確認したように、責任を有する者の責任を国際法と整合的な形で追及するという考え方の下で、ウクライナを始めG7や同志国との間で引き続き緊密に連携していく考えでございます。 ○金子道仁君 何としてでもこれは放置されずに解決に至るように、そういうスキームをつくる必要があると思います。  ここにあるシエラレオネ、カンボジア、これらは、安保理ではなくて、国連が政府と締結して、条約締結してつくった、まさにウクライナの司法制度内に置かれる国際化された法廷と類似する事例ではないかと思うんですが、このケースは訴追される人たちが国内にいるというケースに見えるわけです。  ウクライナの場合は訴追すべき対象が海外にいるわけで、国内に裁判をつくったとしても、訴追者をどう引っ張ってきて処罰を下すのか、非常に難しいと思うんですが、その点は外務省はどのように考えておられますか。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  今大臣から御答弁申し上げましたけれども、侵略犯罪に問われるべき個人を訴追するための特別法廷のあり得べき具体的な態様でございますけれども、今先生から御質問ありました実効性の確保という観点も含めまして、我が国を含む関係国の間で過去の事例なども参照しながら専門的な議論が行われているということでございます。  いずれにしましても、侵略犯罪に関する特別法廷の設置については現時点で何ら決まっておらず、実効性の確保という点も含めて、引き続き議論をされていくということになります。  我が国としましては、今般G7外相会合で確認しましたように、責任を有する者の責任を国際法と整合的な形で追及するという、こういう考え方の下で、ウクライナ始めG7、同志国との間で緊密に連携して議論していきたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。 ○金子道仁君 まさにこれから検討がなされるというところです。  そして、国際人道法は我が国がイニシアチブを取りやすい、取るべき分野だと思いますので、後に付いていく議論ではなくて、先行しながら提案をしていくような、そのようなことを通して我が国がこの国際法廷を設置するのに貢献したというか、リーダーシップを取った、そのような議論の先導を期待して、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  今回の条約で、イギリス及びオーストラリアとの安全保障、防衛協力がより一層強化されることになります。これに関連して、外交面や経済連携も協力を強化していくことが重要であるという観点から、私からはTPPについて幾つか質問をさせていただきます。  TPPは、自由、公平、個人の尊重という基本的理念、価値観の下、民主主義、法の支配、市場経済の原則を実践している国家同士で二十一世紀型のハイスタンダードなルールを構築する試みです。先月の三十一日に正式にイギリスがこのTPP加盟に正式合意になったことは大変歓迎すべきことであり、両国のみならず、加盟国全体での経済連携がより一層深まり、外交面ひいては安全保障面で重要な役割を果たすと考えます。  そうした通商戦略以上の意義があるTPPについては、同じ価値観を持つ国には広がりを見せるべきです。この点、イギリスは、二〇二一年二月にTPP加盟申請を行いましたが、台湾も同年九月に加盟申請を行っています。これ、同じような見通し、スケジュール感での加盟が認められる可能性があるのかどうか、この点、外務省に見解をお伺いいたします。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  まず、英国とのCPTPP加入交渉でございますが、先月三月、実質的な妥結に至ったところでございまして、現在、今後、加入の条件などを規定する加入議定書の作成作業などを加速させていくこととなっております。現在は、引き続き、まずこれに注力していく考えでございます。  その上で、現時点では、英国以外に中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、この五つのエコノミーがCPTPPへの加入申請を提出しておりますが、その今後のプロセスの詳細、これは決まっておりません。加入手続につきましては、CPTPPの締約国のコンセンサスで意思決定されることとなっておりまして、加入申請を提出した今申し上げたエコノミーの扱いにつきましては、ほかのCPTPP参加国ともよく相談していく必要があると、こういう状況でございます。  いずれにいたしましても、我が国としては、加入申請を提出したエコノミーが協定の高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、この点についてまずはしっかり見極める、この必要があると考えておりまして、戦略的観点、国民の理解も踏まえながら対応していく方針でございます。 ○音喜多駿君 残念ながら詳細決まっていないということなんだと思いますが、加盟へのハードルというのが幾つかあるということはもちろん承知をしております。  一方で、今例に挙げた、私が例に挙げた台湾については、イギリスと同様、法理念や法制度はCPTPP、TPP協定に整合的であって、この加盟国と共通の価値観を有しています。  CPTPP参加には加盟国の了承が必要であり、我が国も重要な役割を持っています。自由主義経済圏を拡大させ、岸田政権肝煎りの経済安全保障の強化を実体化するためにも、この価値観を同じくする台湾、この参加は積極的に後押しをしていくべきと考えますが、林外務大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国にとりまして台湾は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーであります。  台湾は、かねてから、CPTPPへの加入申請に向けた様々な取組、これを公にしてきておると承知しておりまして、そのような台湾が加入申請を提出したことを我が国として歓迎をしております。その上で、加入手続については、CPTPPの締約国のコンセンサスで意思決定されることとなっておりまして、加入申請を提出したエコノミーの扱いについては他のCPTPP参加国ともよく相談する必要があると考えております。  このため、我が国としては、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルール、これを世界に広めていくというCPTPPの意義を参加国と共有しつつ、戦略的観点そして国民の理解も踏まえながら、CPTPPの議論を主導してまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 あらゆる場面を捉まえて政府や大臣からこの歓迎するというメッセージを出していただくということは非常に重要だと思います。ただ、それのみならず、事務レベルでの指南や各国との調整、具体的な支援もしていただいて、台湾への加盟を後押ししていくのも、これは日本の重要な役割の一つかと思います。  同時に、中国も台湾とほぼ同じ時期にCPTPP加入申請を行っておりますが、中国については、政府調達分野で外国製品を締め出す動きを見せたり、国境を越えたデータ移転を厳しく規制したりするなど、このTPPの概念とは相入れない政策が少なくありません。また、新疆ウイグル自治区で住民を強制労働に従事させるなど、自由貿易を支える理念と逆行する人権侵害が横行しているとの多数の指摘もあります。この中国の参加については、一方では慎重に対応するべきであるということを指摘をしておきたいと思います。  次に、オーストラリアで先進的に取り組んでいる人権外交についても関連して質問いたします。  一九四五年十一月に国連に加盟したオーストラリアは、国連憲章及び世界人権宣言の誕生に主要な役割を果たすなど、人権分野において活発な取組を見せてきました。天安門事件の際も、オーストラリアは、人権委員会で中国の人権状況に関する国別決議案を起案し、また、二国間レベルにおいても中国の人権状況を厳しく非難して経済制裁を行っています。  近年においても、多国間のみならず二国間で中国に対して厳しい人権外交戦略を取っており、中国側はあからさまな不満を示しています。加えて、新型コロナウイルスの発生源についてオーストラリアが独立した調査を求めたこと、これに反発した中国がオーストラリア商品への貿易制裁を科したことなどにより、豪中関係は決定的に悪化をしたとも言われているところであります。  この悪化している豪中関係を日本はどのように分析し、どのような見解を持っているのか、特にオーストラリアの取る人権外交についてどのように考えているのか、これ、外務大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 豪州と中国の関係、これ、様々な要因による豪州における対中警戒感の高まり等を背景に近年悪化をしておりまして、その過程で、今少し触れていただきましたが、中国が豪州産品に対する貿易制限措置、これを一方的に講じてきたと承知をしております。  昨年五月の豪州における政権交代以降、豪州は、中国に関し、可能な点では協力し、必要であれば異議を唱え、違いを賢明に扱いながら、何よりも自国の国益を追求し二国間関係の安定化を図る、こうした立場を明確にしております。  その後、豪中両国間の閣僚級、首脳級の対話が再開をされまして、昨年十二月でございますが、ウォン外務大臣が中国を訪問した際には、豪州の発表によりますと、二国間関係、領事、貿易及び経済、気候変動、防衛及び地域的、国際的な課題等について対話を進めていくということで合意をしたということでございます。このことを含めて、安定化に向けた一歩と位置付けているというふうに承知をしております。  我が国にとりまして豪州は特別な戦略的パートナーであり、自由で開かれたインド太平洋の実現のため、引き続き、様々な地域的、国際的課題について緊密に連携をしてまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 私としては、いたずらに中国に強硬姿勢で臨む必要はなく、これ、経済面において互恵的関係の構築に向けて対話を重ねることも重要であると考えますが、一方で、このオーストラリアが展開してきた対中のこの毅然とした人権外交も一定参考にするべきこともあるかと思います。  そして、こうした中、一昨年、オーストラリアは、中国の新疆ウイグル自治区での人権問題を念頭に、欧米各国と足並みをそろえるために、人権侵害などに関与した外国の当局者らに制裁を科す法案を可決をしています。  そこで、まず確認で伺いますが、我が国において、人権侵害を認定して制裁を科すような制度、法制度はあるか、この点、外務省にお伺いいたします。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  我が国におきましては、委員御指摘の人権侵害を認定して制裁を科すような制度はございません。 ○音喜多駿君 今、明確にないという御答弁でありました。  一方で、私も議員外交で、日米欧の国会議員らでつくる対中政策に関する列国議会連盟、IPACなどが共催した国際会議に、昨年、ワシントンに行ってまいりまして、今年はそのIPAC、東京で開催をされましたが、その際必ず話し合われることは、中国の人権侵害事案についてこれ連携して闘っていこうというコンセンサスであります。  この点について国会で伺うと、米国などの同盟国、同志国と緊密に連携してしっかり声を上げるというような御答弁は述べていただきますが、結論として、日本らしい人権外交を進めていくという答弁もセットで述べられます。ただ、そうではなくて、この人権外交においては、やはり諸外国としっかり足並みをそろえるということが更に重要になってくる局面であると思います。  そこで、このオーストラリアのような国とともに同じ価値観を持つ国同士でまずは共通してこの人権侵害を行うような覇権国家に立ち向かうべきと考えますが、この姿勢について大臣の見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 普遍的価値であります自由、そして基本的人権の尊重、これが各国においても保障されるということが重要だと考えております。  日本は、譲ってはならない普遍的価値の部分では決して譲らず、深刻な人権侵害に対しては直接に、また価値観を共有する国々との共同ステートメントといった形も取りつつ、しっかり声を上げて強いメッセージを発出をしております。  引き続き、豪州のようなこの価値観を共有する国々と連携をしていきたいと考えております。 ○音喜多駿君 連携はしっかり取っていくという御答弁いただきました。  であるならばこそ、やはり先ほど、今はないと御答弁されたこの人権侵害というのを認定して一定の制裁を科す法制度、これがなくて、同様の法制度を持っている他国と本当に連携して立ち向かうことができるのかという点について我々は疑問を持っております。  やはり、今日例に挙げてきたオーストラリアなどと連携をするためには、この人権侵害を認定して制裁を科す制度、いわゆるマグニツキー法などとも呼ばれていますが、こうした法制度をしっかり整備をして、他の国と足並みをそろえて毅然としたこの姿勢を示し、そして実効力がある体制をつくっていく必要があるのではないかと考えますが、この点も、このテーマ、最後に林大臣にお伺いをいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、日本は、人権は普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務であると、こうした考えから、これまで、深刻な人権侵害に対してはしっかり声を上げる一方、各国における人権状況、これは歴史的経緯や社会発展の程度、その他の事由によってそれぞれが各国ごとに異なった様相を呈している、これもまた事実でございまして、対話と協力を基本とし、民主化、人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、二国間対話や協力を積み重ねて自主的な取組を促してきているところでございます。  今御指摘のありました、この人権侵害を認定して制裁を科すような制度を日本も導入すべきかにつきましては、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら引き続き検討してまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 今大臣御答弁された各国の歴史とか価値観、文化、こうしたものを踏まえるということも確かに重要であるというふうには認識をしております。昨今、性的マイノリティーであるとか、そういった問題についても諸外国とどのようにということは事あるごとに議論になるわけでありますけれども、確かに欧州諸国に全て果たして合わせられるのか、日本の培ってきた歴史、伝統、文化、そして人々の世論といいますかね、そうしたものとの整合性というのも確かに重要な視点であると思います。  ただ一方で、このジェノサイド条約に批准をしていないことや、いわゆるこのマグニツキー法を制定しないこと、この二つは日本が人権外交を進めていく上でやはり欠けている点であるということはかねてから指摘をされている点でございますので、これ引き続き検討というのは分かるんですけれども、少なくともこれ前向きに検討していくというような状態になることを強く要望したいと思います。  もう一つ、日本語教育について通告していたんですが、ちょうど時間になりましたので、このテーマはまた次の機会に回させていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  私も、冒頭、スーダンの情勢についてお伺いしたいと思うんですが、報道ベースでしか分からないんですけれども、ちょっと確認をさせていただきますけれども。  現地には都合六十三名の邦人がいて、五十八名が国外に、スーダン国外に避難をしたという報道で、二名が仏軍機で脱出し、一部報道によると、トルコのバスでエチオピアに避難された邦人もいるし、韓国軍によって避難された外国人もいるということですが、この詳細について少し説明してほしいと思います。 ○政府参考人(實生泰介君) お答え申し上げます。  四月二十五日の未明に、まず、国連や韓国、UAE等の協力を得て、ポートスーダンに到着した在留邦人とその配偶者、合計四十五名が情勢の悪化しているスーダンからジブチに退避したということがございます。これに先立ち、フランスや国際赤十字の協力を受け、合計四名の邦人の方がジブチやエチオピアに退避をしました。また、その後、ハルツームに最後まで残った大使館員三名が市内の邦人の方々を集めてフランスの協力を受けて脱出し、合計八名の在留邦人及びその家族がジブチに到着したということであります。この過程で、フランス、韓国、UAEを始め、関係各国及び国連などの関係機関の協力を得ているところでございます。  これをもって、約六十名の在留邦人のうち二十四日までにスーダンからの退避を希望していた方のほとんどが退避を終え、同日時点で退避を希望されている在留邦人は、比較的状況が安定しているスーダン南部の国境付近に滞在する一名のみという状況になってございます。  大使館員は、状況が最も厳しい首都ハルツームで二十四日までに退避を希望していた最後の邦人とともにジブチに退避し、これをもって在スーダン日本大使館を閉鎖して、ジブチに臨時事務所を立ち上げたところでございます。  引き続き、臨時事務所において、関係各国とも緊密に連携しつつ、残る退避希望者や新たに退避を希望される方が出てくる可能性も踏まえて、スーダンに残留されている邦人への支援に全力を尽くしていきたいと、このように考えてございます。 ○榛葉賀津也君 細かいことを聞くようですけれども、このトルコのバスに乗ってエチオピアに避難されたという方は何人くらいなんでしょうか。そして、その方はどういう方なんでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 申し訳ございません。ちょっとそこの辺りのこの細かい内訳、詳細について、今ちょっと手元に情報が来てございませんので、ちょっとお答えができない状況にございます。申し訳ございません。 ○榛葉賀津也君 昨日の通告とは大分状況変わっているので、少し細かいことをお伺いして済みませんでしたが、今ございませんが事実関係は把握しているということでよろしいですね、その詳細、内訳について。 ○政府参考人(實生泰介君) 当然のことながら、邦人の方々の現在の居場所であるとか、そういうことについては我々支援をしてございますので、把握というのはしてございます。 ○榛葉賀津也君 ということは、現在スーダンに残っていらっしゃる邦人は、今おっしゃった南部、比較的安全なところに滞在されている一名のみという理解でよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 現時点で退避を希望されている残留邦人として、比較的状況が安定しているスーダン南部の国境付近に滞在する方が一名ということでございまして、邦人の方と今ちょっと何名ということは申し上げづらいところはございますけれども、その他の邦人の方ということはいらっしゃることはいらっしゃると認識してございます。 ○榛葉賀津也君 では、退避を希望しない邦人という方が複数名いらっしゃるという理解でいいと思うんですけれども、そういう方々というのは、もう現地に、実際、現地の方と御結婚されたり、そういう形で住んでいらっしゃるという方々なんでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 個々の方々の事情についてはちょっとその方々のプライバシーみたいなことにも関わることですので、ちょっと言及は差し控えたいと思います。  いずれにしても、政府として邦人の保護、安全に引き続き万全を期していく考えでございます。 ○榛葉賀津也君 是非、引き続き邦人の保護に万全を期していただきたいと思います。  私、二〇〇一年に初当選して、初当選直後に三・一一の、もとい、九・一一の同時多発テロが起こりまして、その直後に実はダルフール紛争、二〇〇三年に起こりました。  当時のことよく思い出したんですけれども、バシール大統領が独裁者でいらっしゃって、いわゆる黒人系とアラブ系がいろいろ紛争があって、いわゆるジャンジャウィードというアラブ系の遊牧民の民兵が、いずれこれがいわゆるRSFになるわけでございますけれども、もう三十年スーダンがこの紛争が続いていて、三十万以上がお亡くなりになっていますし、二百万人以上が避難民になっているということですから、やはりこのスーダン問題の難しさというのを改めて感じるわけでございますけれども。  二回目に当選したのが二〇〇六年で、当選して外交防衛委員会に入ったんですけれども、そのときの外務大臣が高村先生でございまして、このときちょうど、二〇〇七年に高村外務大臣が平和構築の現場で活躍する文民の専門家を育成しようということで平和構築人材育成事業というのを始めまして、このとき外務省が始めた人材育成事業を引き継いで本格的にこれ動かしていったのが今退席されてしまいました中曽根外務大臣でした。日本人三十名と外国の方、アジアの方三十名で、国を構築する、平和構築するための文民つくっていくというすばらしい取組をされて、このとき、やっぱり三つの国がある意味ターゲットというか、照準になったのが当時できたばかりの東ティモールとコソボとスーダンだったんですね。  改めて、もう二十年がたってもなかなかまだまだ難しいなと思いながらも、外務大臣、これちょっと通告していないんですけれども、今後、我が国として、このスーダンの復興支援並びにこの停戦に対する我々日本としてできるアプローチというものはどんなことがあるんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 御案内のように、今回は、いろんなプロセスを経て民政移管ということがスケジュールがほぼ固まりつつある中で、最終的にはそのことについていろんな議論があったのかもしれませんが、この国軍とRSFの将軍内、将軍間、その両団体間の間でこういうことが起きたと、こういうことですので、せっかくその民政移管に進んでいるのにという思いはこの関係者に共有しているというふうに思います。  したがって、復興ということを考えていくに当たっては、過去の経緯等、今申し上げたようなことも含めて、また近くの国でいろんなことで、私も昨日電話をいたしましたけれども、サウジ、UAEといった国が欧米の諸国とも連携しながら対応しておりますので、そういう方々ともしっかり連携をし、この国際社会がどうやってサポートしていくのかと、こういうことをよく検討しながら進めていく必要があるのではないかと、今の時点ではまだそれぐらいのことしか申し上げられることはできないとは思いますが、そういうことは留意すべきだというふうに考えております。 ○榛葉賀津也君 通告もせずに突然お伺いして申し訳ありませんでしたが、ありがとうございます。是非期待申し上げたいと思います。  それでは、日豪、日英のRAAについて議論したいと思いますが、国民民主党は日豪、日英RAA並びにこの実施法に賛成でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  我が国最初の円滑化協定となったこの日豪RAA協議というのは、二〇一四年九月に始まって、七年以上の年月を費やしてやっと締結に至ったわけでございますが、この日豪の経験もあってですね、交渉の、次の日英は二年数か月で締結ということでございますが、この間の両国の外交官を始め関係各位に心から敬意を表したいと思いますが、そこで外務省にお伺いしたいと思いますが、この日豪、日英に次ぐ次の締約予定国若しくは交渉予定国というのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  豪州及び英国以外の国との交渉については現時点では決まっておらず、同種の協定の交渉を行っている国はございません。  その上で申し上げれば、部隊間協力円滑協定を含む安全保障に関する協定に関しては、各国の安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ、締結の要否を検討してきてございます。  この点、フランスとの間では、部隊間の共同運用、演習のための手続を改善するための恒常的な枠組みを構築する可能性について、また、フィリピンとの間では、両国の共同訓練等を強化、円滑にするための更なる枠組みを含む方途につきましてそれぞれ検討を進めてきているところでございますが、今後同種の協定を締結するための交渉を行うか否かを現時点で予断することはできないという状況でございます。 ○榛葉賀津也君 政治的にも地政学的にもフランス、フィリピンと様々なキャッチボール始めているというのは私は正しい政治判断だと思いますし、先ほど、午前中の議論で佐藤筆頭理事がおっしゃったように、このRAAとACSAというのはまさに車の両輪だと思います。佐藤さんもここにいませんけれども、まさに車の両輪だと思います。  日豪、日英、ACSA考えますと、やはり先ほど言ったフランス、そしてカナダ、インドとあるんですけれども、どうなんでしょう、これやっぱりACSA締結国と今後やはりRAAを拡大する方針なのか、その辺の大まかな方針について教えてもらえますでしょうか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げたとおり、この手の部隊間円滑協力化協定、ACSA等を含む安全保障に関する協定に関して特段のその順番等があるわけではございませんが、先ほど申し上げたとおり、相手国との二国間関係、自衛隊との協力の実績、相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ締結の要否を検討してきているところでございます。 ○榛葉賀津也君 今度、フィリピンのみならず、アジア考えると、日・インド等々、様々な交渉を水面下でされることを是非期待をしたいと思います。  次に、基本的な質問で、これまでにも幾つかそれに関連する話が出ておりましたが、あえて私からもお伺いしたいと思いますが、円滑化協定の意義と効果についてお伺いしたいと思います。  円滑化協定は、一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際に、手続を定めて、また同部隊の法的地位を明確にすることによって、協力活動の実施に要する調整を容易にして、予見可能性を高められるということなんですけれども、基本的な質問なんですけれども、これまでそれぞれの部隊が相手国の領域内で活動する際にどんな手続や調整があって、このRAAを締結することによってそれがどれだけ簡素化されるというか、やりやすくなるんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) まず、これまでは、自衛隊と外国部隊との共同訓練等の実施に際しましては、その都度、相手国政府との協議の上、訪問部隊の入国や軍用機領空通過等の所要の事項について、個別の活動内容を踏まえて、両国間で外交ルートを通じた口上書の交換等を通じてあらかじめ確認するなどの方法で対応してきております。  今回この本協定が結ばれることにより、例えばですが、訪問部隊の入国に際しては査証の申請が不要となります。また、派遣国が発給する運転免許証による公用車両の運転等が認められることになります。  したがいまして、こうした簡素化によって協力活動を実施するに当たってこの手続や調整が簡素化され、より頻繁により多くの部隊要員を伴う協力活動の実施が円滑になると考えております。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  次に、協定の適用対象となる活動の範囲についてお伺いしたいと思うんですが、衆議院で議論を見ますと、RAA第二条に規定する互恵的な防衛協力、この互恵的な防衛協力とは、日豪、日英の部隊がそれぞれ相互に訪問して実施する共同訓練や災害救助などの部隊間の協力を意味するというふうになっています。  そして、協定が適用される協力活動の内容は、あらかじめ協定に列挙して定義されるものではなくて、各国が自国の法令、時々の状況や政治判断に基づいて両国で検討して決めるというふうに理解をしていますが、他方で、衆議院の審査の際に委員から、有事を対象としない協定であると理解して間違いないかという質問に対して、林外務大臣が、そのように考えておりますと御答弁されているんですが、私は、有事の際の活用の可能性を残した協定でないと若干意味ないと思いますし、これある意味抑止力ですから、この抑止力のことを考えるとやはりいかがなものかという感じがしたのであえて確認をしたいと思いますが、ただ、その後の答弁で浜田防衛大臣が、本協定が有事における締約国相互の軍事支援を法的に義務付けるものではないという趣旨であり、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害援助といった活動が中心となると考えているが、それ以外の協力活動についてあらかじめ網羅的かつ確定的に答えるのは困難ですと御答弁されて、軌道修正というか、含みを持たせていただきました。  改めて、この協定対象となる活動の範囲について、外務大臣、防衛大臣、それぞれから少し整理をしていただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 本協定が適用されます協力活動につきましては、協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなく、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度両締約国が相互に決定するものであります。  このような意味において述べますと、この武力攻撃事態等の状況において、協力活動、これを実施することとなる可能性、これは協定上排除されているものではないということでございますが、日豪、日英間において基本的にこれまでにも活動実績のある共同訓練、災害救助といった活動が中心となると考えております。  私の衆議院における答弁でございますが、本協定がこの有事における締約国相互の軍事支援を法的に義務付けるものではないという趣旨で申し上げたんですが、ちょっと言葉足らずだったとすれば大変失礼いたしましたけれども、そして、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練、災害救助といった活動が中心となるという一貫した説明に沿ったということで答弁をいたしましたので、改めてそういうふうに申し上げたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今、外務大臣が説明したとおりでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。すっきりしました。ありがとうございました。  我が国周辺の安全保障環境を踏まえれば、いわゆる存立危機事態若しくは武力攻撃事態などの状況によっては、同盟国の米国以外の国々に対して必要な支援を要請することや、また、その逆で、他国から日本が支援を要請されることがあり得るというふうに考えていますし、このRAAの条文上、その適用対象となる活動類型は明示されていないんですけれども、この存立危機事態若しくは武力攻撃事態などに際して、我が国領域に対する欧州軍や米国軍の活動もこのRAAの範囲として、適用としては除外されないという理解でよろしいんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げたとおり、この協定自体はこの協力活動をあらかじめ列挙して規定をしておりませんので、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討して、その都度両締約国が相互に決定するわけでございます。  したがって、この武力攻撃事態等の状況において協力活動を実施することとなる可能性、先ほど申し上げたとおりですが、協定上排除されていないということでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。排除されないということで理解をいたしました。  次に、昨年の十月、日豪首脳会談が行われまして、この際に署名された安全保障に関する日豪共同宣言、これには、日豪の主権及び地域の安全保障上の利益に影響を及ぼし得る緊急事態に関して、相互に協力し、対応措置を検討するというふうになっていますが、ここの日豪の安全保障に関する日豪共同宣言、ここである緊急事態というものはどのような事態を指すんでしょうか。これには存立危機事態であるとか武力攻撃事態を含むという理解でよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 今御指摘の日豪共同宣言の該当部分でございますが、これ具体的には、日豪は、戦略的評価をすり合わせながら、平素から緊急事態に至るまでの状況に応じて、その両国や地域の平和と安定を守っていくためにいかに対応していくかについて議論していく、こういった意味でございます。  対応の内容につきましては、個々の状況によるものではありますが、軍事に限られるものではなくて、外交、経済といった様々な状況を総合的に検討していく、こういう形になろうかと思います。  いずれの場合も、いかなる議論を実施するのか、なかなか事前に予断することは難しいところでございますが、一般論として言えば、例えば我が国の安全保障に影響がある東アジア情勢、こういったものについて議論を行っていく、こういうことになろうかと思います。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  残りあと数分ありますが、連日連投していますので、肩が壊れますのでこの辺で終わりたいと思います。残余の質疑は木曜日にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  日豪及び日英部隊間協力円滑化協定について伺います。  日本の自衛隊がオーストラリアや英国の軍隊と共同訓練などを円滑に行えるようにするためとされ、一方が他方を訪れ活動する際の手続や法的地位を定めるものです。日本にとっていずれも初めての協定です。  外務省は、先ほども答弁ありましたが、従来、外国軍隊が日本で活動する際には、両国間で協議の上、口上書の交換などにより各種調整を行ってきたとし、本協定によって今後はその都度合意することなく活動できるようにすると説明しております。  協定の二十一条は、軍人軍属の公務執行中の犯罪などについて派遣国が刑事裁判権を持つとするものです。  外務省に伺います。  従来、米軍以外の軍人軍属が日本国内で訓練などを行う際、その刑事裁判権はどのように扱ってきたのですか。 ○政府参考人(岩本桂一君) お尋ねの点につきましては、従来、例えばこの豪州、英国との関係でございますが、この協定がない場合には、先ほど申し上げましたとおり、その都度外交上のルートを通じて協議を行って決定をしてきているという具合に承知しております。 ○山添拓君 その都度協議を行った結果として、刑事裁判権の扱いはどのようにしてきたのですか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 御指摘の刑事裁判権を含む所要の事項については、個別の活動内容を踏まえ、両国間で外交ルートを通じた口上書の交換等を通じてあらかじめ確認する、こういった方法で対応してきております。 ○山添拓君 ですから、その結果として刑事裁判権をどちらがどのように行使すると合意をしてきたのかと伺っています。これ通告していますよ。 ○政府参考人(岩本桂一君) このそれぞれのケースの内容の詳細については、相手国との関係もございまして、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが……(発言する者あり)はい。 ○山添拓君 ちょっと待ってください。刑事裁判権をどちらの国がどのように行使するかですよ。これを明らかにできないのですか。  法務省、伺いますけれども、刑事裁判権の放棄を、条約や協定もなく、その都度勝手に合意し、国内にも明らかにしない、これでよいのですか。 ○政府参考人(保坂和人君) ちょっと突然のお尋ねでございますが、まさにどういう合意をして、どういう取決めをするかにつきましては、恐縮でございますが、外務省の方から答弁させていただければと思います。(発言する者あり) ○委員長(阿達雅志君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕 ○委員長(阿達雅志君) 速記を起こしてください。 ○政府参考人(岩本桂一君) 申し訳ございません。  当然ですが、日本としてその刑事裁判権を行使すべき状況におきましては、日本として刑事裁判権を行使する、これは当然のことでございます。 ○山添拓君 そうじゃないですよ。その都度合意をしてきたとおっしゃるので、その都度の合意では、刑事裁判権はどのような場合に日本側が行使し、どのような場合に相手国側が行使するとしてきたのかということですが。 ○政府参考人(岩本桂一君) 済みません、繰り返しになって恐縮でございますが、接受国として当然ながら刑事裁判権を行使する状況、こういったものが生じた場合には日本としてしっかりと裁判権を行使していく、そういう前提の下でこれまで運用してきております。 ○山添拓君 そうすると、これまでのその都度の合意の中でも、日本側は刑事裁判権を行使しない場合があるということを合意してきたわけですか。 ○政府参考人(岩本桂一君) いや、そういうことではございません。 ○山添拓君 いかなる合意をしてきたのか、これは刑事裁判権をどのような場合に主権国家として行使できるかという問題です。そのことについてはっきりしませんので、この委員会に文書で報告していただくようにお願いします。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 本協定は、従来その都度行ってきた合意を一般的な協定に格上げするということにとどまらず、裁判権という主権の放棄を新たにオーストラリア軍や英国軍に対して認めていこうというものであります。  資料の一ページに、協定の二十一条二項を示しております。  軍隊を派遣した国は、自国の軍人軍属に対して自国の法令による刑事裁判権を受入れ国内で行使する権利を有するとしています。オーストラリア軍が日本を訓練で訪問中に犯した罪について、オーストラリア法に基づき日本で裁けるということです。同様の規定は日米地位協定十七条一項(a)号にもあります。同じ趣旨のものですね。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  日米地位協定でございますけれども、こちらは対日防衛義務を負い我が国に駐留する米軍の円滑な行動の確保を目的としている一方、日豪及び日英部隊間協力円滑化協定は、派遣国の部隊が一時的に接受国に滞在する際の共同訓練や災害援助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にすること等を目的としている点で異なる枠組みでございます。  その上で申し上げますと、日豪及び日英部隊間協力円滑化協定における刑事裁判権に関する規定である第二十一条は、刑事裁判権について規定した日米地位協定第十七条とおおむね同様の内容になってございます。  すなわち、両国の裁判権が競合する場合には、派遣国部隊の公務執行中の事案又は専ら派遣国部隊のみに対する事案については派遣国が第一次裁判権を有し、それ以外の事案については接受国が第一次裁判権を有することなどが規定されてございます。  お尋ねの日豪及び日英部隊間協力円滑化協定第二十一条二条(a)の規定は、派遣国の当局は、訪問部隊の構成員等に対して刑事及び懲戒の裁判権を有することを定めております。  一方で、日米地位協定の第十七条一(a)は、合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服する全ての者に対し、合衆国の法令により与えられた全ての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有することを定めております。ここで言う懲戒の裁判権とは、訪問部隊の構成員等による法律、規律違反に対する懲戒に係るものでございまして、派遣国が専属的に有する権限でございます。 ○山添拓君 おおむね同じ内容だということでありました。  本協定も日米地位協定も、刑事裁判権及び懲戒の裁判権、今、懲戒の裁判権について御説明がありました、としています。刑事裁判は一事不再理の原則がありますので、日本かオーストラリアか、いずれかの国のみで訴追されるという調整が必要かと思います。  しかし、刑事裁判と懲戒処分とは法的性質が異なり、両方の処分が必要なケースがあり得ます。例えば、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんへの性暴力に関与した自衛官らは、懲戒免職となった後、検察審査会の議決を経て強制わいせつ罪で起訴されております。  外務省に伺います。  本協定や日米地位協定では、外国軍が懲戒権を行使したものの刑事裁判権を行使しなかった場合、日本が刑事裁判を行うことは可能ですね。 ○政府参考人(宮本新吾君) まず、日米地位協定の方の扱いに関しまして、私の方から回答申し上げようと思います。  日米地位協定でございますけれども、まず、我が国で罪を犯した米国人等に米国が取った処分に対して日米地位協定第十七条八の規定が適用されるか否かは、これは、米国がいかなる根拠に基づいていかなる処分を下すかという点を始めといたしまして、事案に応じて状況が異なるため、個別の事案に応じて判断されることになります。その上で、日米地位協定の下では、米側が懲戒の裁判権を行使した場合に、その場合には、同一の事案について日本側は刑事の裁判権を行使できないこととなっております。  一方、一方、日米地位協定第十七条三の(c)におきまして、裁判権を行使する第一次の権利を有する国に対しまして他方の国が当該権利の放棄を要請する場合が想定されておりまして、要請を受けた国は好意的考慮を払う旨規定されております。  このような要請も含めた日米間のやり取りを通じて、事案に応じた法的な手続が取られるように適切に対応していくということでございます。 ○山添拓君 二〇一一年、米軍属による交通死亡事故では、米側は五年の運転停止処分としましたが、その後、検察審査会の議決を経て起訴され、禁錮一年六月の実刑判決になっている例があるかと思います。  すなわち、米側が何らかの処分を行ったとしても、刑事裁判権を日本側で行使することは排除はされておりませんね。 ○政府参考人(宮本新吾君) こちらは御指摘の事案を受けて行われた運用の改善の例だと思われますが、二〇一一年の日米合同委員会合意によりまして、公務中に罪を犯した米軍属については、仮に米軍が懲戒の裁判権を行使した場合であっても、米軍が刑事訴追しない場合には、日本政府は米政府に対して日本側による裁判権の行使に同意を与えるよう要請することができるようになっております。その場合、米国政府は、当該犯罪が死亡等を引き起こした場合には当該要請に好意的考慮を払うと、そういった枠組みが設けられてございます。 ○山添拓君 つまり、刑事裁判権を米側が行使しなかった場合には日本側が裁判を行うことは可能だということかと思います。  条文は懲戒の裁判権としているのですが、日本法の懲戒処分は、裁判所が関与する司法的な意味での裁判ではありません。  なぜ、懲戒の裁判権という言い方をするんですか。 ○政府参考人(宮本新吾君) ちょっと通告をいただいていない質問なので、正確かどうかちょっと分かりかねますけれども、地位協定上は、裁判管轄権を行使する場合として懲戒の裁判権と刑事の裁判権、その双方が想定されていると承知しております。 ○山添拓君 いや、だから、懲戒処分や免許の停止のような行政処分が行われたとしても、刑事事件として罪に問われる、あるいは罪に問うべきケースというのは十分あり得るわけです。そのことは協定上も本来はっきりさせるべきだと思います。  資料の二ページを御覧ください。  二十一条四項は、派遣国軍隊の軍人や軍属の公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪について、派遣国に裁判権を行使する一次的な権利があると定めています。やはり同様の規定が日米地位協定十七条四項にあります。これも、先ほど御答弁があったとおり、今回の協定二十一条と日米地位協定十七条とはおおむね同じ内容だという御答弁でしたから、同じ趣旨だということかと思います。  そこで、日米地位協定の下での運用の実態について法務省に伺っていきます。  米軍関係者が日本で犯した事件、事故について米側が一次裁判権を行使した場合、その裁判の最終結果を一月ごとに日本に通報することとされ、二〇一四年からは裁判によらない処分についても通報されることになりました。  直近までの件数を御紹介ください。 ○政府参考人(保坂和人君) 二〇一四年、平成二十六年から令和四年六月までの九年間でございますが、日米合同委員会における刑事裁判管轄権に関する合意事項四十六項(b)に基づきまして合衆国軍隊の当局から日本の当局に行われた通報につきまして、まず、裁判が行われたという通報があった件はゼロ件、非司法的処分、懲戒処分が行われた件数は合計で六百六十八件でございました。 ○山添拓君 処分なしもありますね。 ○政府参考人(保坂和人君) 処分なしもございます。  手元の資料によりますと、処分なしというのが、今申し上げたその範囲の中で四件が処分なしでございます。 ○山添拓君 資料の三ページにあります。  ここにある非司法的処分、懲戒処分とは具体的にはどのような処分ですか。 ○政府参考人(保坂和人君) 恐縮でございますが、その非司法的処分、懲戒処分の具体的内容につきましては、統計的に把握しておりませんので個別に申し上げることは困難でございます。 ○山添拓君 いや、非司法的処分というのは先ほど法務省から答弁いただいた中身なんですよ。  非司法的処分とは一般的にどういうものを指して、米側は言ってきているんですか。 ○政府参考人(保坂和人君) 処分の具体的内容は様々かと存じますが、裁判が行われた件数との対比でございますので、裁判を経ないで行われる処分のことだろうという理解をしております。 ○山添拓君 裁判じゃないんですよね。  非司法的な処分というのは軽微な事件に限って行われているようですが、もとより懲戒処分も刑事裁判ではありません。したがって、被害者がけがをしたり亡くなったり、重大な事件、事故について米側が裁判を起こした件数はゼロだというのが今の答弁ということになります。  米側が一次裁判権を行使したケースは過去になかったということですね。 ○政府参考人(保坂和人君) 一次裁判権の行使として、裁判手続によったり、あるいは懲戒によったりということだと私は理解しておりまして、その場合にその処分結果を通知するということではないかと理解をしておりますので、裁判権を行使していないというのが、ちょっと済みません、御質問の趣旨がよく分からなかったので。 ○山添拓君 法務省が先ほど非司法的処分は裁判ではないとおっしゃったんですよ。懲戒処分が裁判でないというのは、これはもう自明です。そして、米側の資料によっても裁判はゼロだと言っているわけですから、要するに裁判はやっていないわけですね。 ○政府参考人(保坂和人君) 裁判の結果として何件であったかということで申し上げますとゼロ件でございましたので、そういう意味での裁判の結果はなかったということでございます。 ○山添拓君 ないんですよ。  先ほど外務省との質疑では、米側が懲戒権を行使したものの刑事裁判権を行使しなかった場合、日本が重ねて刑事裁判を行うことは可能だということでありました。  法務省に伺います。  資料三のとおり、米軍関係者による二〇一四年以降六百七十二件について、米側が刑事裁判権を行使したものは一件もありません。全く処分されなかったケースもあります。  日本側から米側に対して刑事裁判権を行使するよう希望した件数はありますか。 ○政府参考人(保坂和人君) 希望という趣旨は、日本側から米側に対して米側の第一次裁判権を放棄するように要請するというプロセスになると理解をいたしておりますが、法務省として把握している限りにおきましては、そうした要請をした例はございません。 ○山添拓君 ないわけです。米側で刑事裁判が全く行われていない。ところが、日本側は刑事裁判権行使するように求めたこともない、日本側でやると希望したこともないと。  この期間より前のものですが、例えば、二〇〇五年十二月には、東京都八王子市で米海軍の軍人が小学生三人をひき逃げしました。道交法違反、業務上過失致死傷被疑事件として警視庁が緊急逮捕しましたが、海軍から公務証明書が出され、即日釈放されました。米側による裁判はなく、減給などの懲戒処分で終わりました。  二〇一〇年九月、山口県岩国市で、通勤途中の米軍属が被害者を自動車でひいて死亡させる自動車運転過失致死被疑事件がありましたが、山口地検岩国支部が不起訴処分とし、遺族は検察審査会に審査請求をしましたが、不起訴相当とされました。この軍属に対しては、岩国基地内の四か月の運転禁止という処分にとどまりました。  いずれも刑事裁判となってもおかしくない事件ですが、日本側が不起訴としております。そうなるのはなぜなのか。これは米側が公務中の犯罪だと主張するためです。  そもそも、公務中であるかどうか、誰がどう判断するんでしょうか。 ○政府参考人(保坂和人君) 御案内のとおり、日米の地位協定におきましては、両国の裁判権が競合する場合に、公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪につきましては米側が第一次裁判権を行使する権利を有し、それ以外については日本が第一次裁判権を行使する権利を有するというふうに割り振られてございます。  ここで言います公務執行中に言う公務につきましては、地位協定上は、法令、規則、上官の命令又は軍慣習によって、要求され又は権限付けられる全ての任務又は役務を指すものとするとされていると承知をしております。  その上で、公務か、公務中かどうかのその認定のプロセスを若干御説明しますと、まず、米側としてそれが公務中に行われたと考える場合には、米国、米軍当局から検事正、地検の検事正に対して公務証明書が提出される、これに対して検事正として反対の証拠があると考える場合には、その旨を米軍当局に通知をいたします。それでもなお公務執行中であるか否かについて日米間で認識のそごがあるという場合には日米合同委員会において協議が行われるというふうになると考えております。 ○山添拓君 つまり、日本側で公務中かどうかを判断することはできず、疑義があった場合には最終的には合同委員会の協議になると、こういうことですか。 ○政府参考人(保坂和人君) もちろん、反対の証拠があるときに検事正の方でその旨を通知をするわけでございますが、その後のプロセスとしては日米合同委員会において協議が行われるということになってございます。 ○山添拓君 つまり、最終的には米側の意向に従わざるを得ないと、合意に至らなければですね、ということになってしまうと。  四ページを御覧ください。  日米地位協定に関する合意事項四十三項は、米軍の指揮官が公務中であることを記載した証明書を発行した場合、反証のない限り、刑事手続のいかなる段階においてもその事実の十分な証拠資料となるとしています。  ですから、米軍が公務執行中だと言いさえすれば日本は裁判権を失うということになりますね。 ○政府参考人(保坂和人君) 今御指摘の合意議事録におきまして、御指摘のとおり、反証のない限り、刑事手続のいかなる段階においてもその事実の十分な証拠資料となるという規定をされておりますので、反証がある場合も当然想定されるわけです。  加えまして、その合意議事録におきましては、前項の陳述、つまり公務中に行われたという証明書でありますが、いかなる意味においても日本国の刑事訴訟法三百十八条を害するものと解釈してはならないと規定されておりますので、我が国の刑事手続におきましては、公務執行中に当たるかどうかの認定というのは日本の裁判官が最終的な判断を行うものというふうに理解をしております。 ○山添拓君 いや、最終的には裁判官がといっても、公務執行中だったら起訴しないわけですから、裁判官の自由心証にならないですよ。その前の段階を問題にしているわけです。  しかも、検察官が反証するには、直ちに証明書を発行した指揮官に対してその旨を通知し、事件処理を遅らせないために、十日以内に問題が合同委員会に提案されるかどうかについて通知する、かかる提案はいかなる場合においても急速になされるものとするなどとされています。米軍関係者により日本人が被害に遭っているのに、米側に捜査をせかされていると。これは異常だと思います。  米軍関係者が行った罪に対して米側が公務証明書を発行した件数をお示しください。 ○政府参考人(保坂和人君) 法務省といたしまして、今御指摘のその公務証明書を米側が発行した件数としては把握しておりません。  なお、二〇一四年一月以降におきまして第一次裁判権なしとの理由で不起訴処分とされた人員のうち、公務中の犯罪に係る人員数については把握しておりますが、その合計数は七百八十七人でございます。 ○山添拓君 外務省に伺います。  公務証明書を発行しさえすれば、反証のない限り、公務中であることの十分な証拠資料となるという合意は、日米地位協定に基づく合意事項です。日豪、日英間でも同様の確認をするおつもりですか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 日豪、日英の円滑化協定でどういう具合に規定をするか、この点については具体的な事案に応じて判断されるという具合に承知をしておりますので、現時点で予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。 ○山添拓君 公務証明書の発行という形式を取ることにはまだしていないということですね。 ○政府参考人(岩本桂一君) 現時点ではそのような形にはなっておりません。 ○山添拓君 これ、やめるべきです。日米間でも合意事項のこの部分は破棄し、公務証明書で十分な証拠資料とするのではなく、日本の捜査機関と裁判官があらゆる証拠に基づき総合的に判断できる、これ当たり前だと思いますが、そのように改善、改めるべきだと思います。  ただ同時に、これ、やはり日米地位協定並びの日豪、日英にしていこうということ自体に対して私は大変疑義があります。  大臣に最後に伺います。  全国知事会を始め、日米地位協定の改定が強く求められております。運用の問題にとどまらないわけです。こうした中で、日米地位協定並みの内容にとどまる新たな協定を結んでいく、これは不合理ではないでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 日豪、日英部隊間協力円滑化協定、これは、この日豪又は日英の一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じ、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。  この協定の実施によりまして、我が国と豪州及び英国それぞれとの間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることが期待されます。  これに対しまして、今るる御議論いただきましたが、日米地位協定、これは対日防衛義務を負い我が国に駐留する米軍の円滑な行動を確保することを目的としておりまして、両者は前提が異なると考えております。 ○山添拓君 時間ですから終わりますが、前提が異なるにもかかわらず、同様の規定にしていこうとすると。本協定は承認し難いものです。しかし、それにとどまらず、同様の規定である日米地位協定の抜本的改定こそ必要だということを述べて、質問を終わります。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  日英、日豪軍事円滑化相互アクセス協定、RAA四案は、安保三文書に沿って、英豪二か国の軍隊を日本に招き入れ、連携強化の名の下に、有事を想定して、国内での演習などを許すものです。  沖縄県民は、現在も、米軍や自衛隊の軍用機による夜間、早朝の騒音や落下物事故、米兵関連の事件、事故などの過重な基地負担に苦しめられています。多くの県民が、RAAによって基地被害が更にひどくなるのではないかと大変不安に思っています。沖縄にとって認められるものではありません。  関連して、四月十三日に引き続き、陸自石垣駐屯地の排水問題についてお聞きします。  陸自駐屯地からの排水処理の問題については、計画が発表された四年前から、ミサイル配備への賛否の立場を問わず、多くの島民が心配をしていました。前回質疑でも強調しましたが、離島の住民にとって、歴史的に、きれいな水を確保し水源を涵養することは、文字どおり死活問題でした。駐屯地の排水問題の前提として、安全保障政策への意見はともかく、離島の水資源がデリケートな問題であることは、政府、特に防衛省には重く受け止めていただきたいと思います。  今、周辺住民は、駐屯地の浄化槽や油分分離槽で処理された水が民間人所有の田畑に流れ込んで地下に浸透するのではないか、あるいは、宮良川まで流れたとしても、宮良川や下流の地下にある大浜第二地下水源地を汚染するのではないかと心配しています。  現状の方式では、陸自石垣駐屯地の放流水は大量に民間地へ垂れ流されます。しかも、宮良川へ合流する前に流れは途切れ、途中の湿地に入っています。浄化槽法に基づき沖縄県が定める浄化槽取扱要綱で、生活環境保全及び公衆衛生上の支障を生ずるおそれがある、として原則禁止されている地下浸透放流がなされています。このような違法排水の放置は、政府による沖縄差別、離島差別であり、絶対に許されません。  陸自石垣駐屯地が排水を放流している土地について、四月十七日に、私も、住民の方や地元市議の案内で現地調査をしてきました。この辺りは、かつては田畑だったそうです。今駐屯地になっている山裾からの雨水や湧き水が沢を通って流れ込んでいて、その水を使って田んぼで米を作ったり、沖縄特産の里芋の一種であるタイモを栽培していたようです。それが今は特に耕作されないままになっていますが、元々平たんな低地ですから、水が流れ込んで湿地になっています。私も歩いてみましたが、深いところは腰の辺りまで沈むそうで、近くの土地には近隣の農家の方が水牛を休ませに来ることもあるようで、大きなふんがありました。民有地の湿地帯を処理した汚水の放流先にするのは、常識的に考えても不適切です。  七万三千立方メートルの巨大な調整池には、オーバーフロー時の排水口として、約二メートル掛ける二メートルのカルバートを六個設置しているように見えます。ところが、農道下のボックスカルバートは、答弁によれば、二メートル掛ける三メートルの一本だけです。これでは、排水があふれたり、下流域の土地が浸水したりするような水害が発生することが懸念されます。  前回、防衛省の杉山参考人は、「既設の排水路ボックスカルバートの水位痕から許容放流量を算出」と答弁しました。しかし、地表水の条件が違えば、降雨後の雨水流出量の計算に用いる流出係数も変わりますので、雨水流出量は変化します。既設の排水路の水位痕から許容排出量を算出できるわけはなく、答弁は科学的に間違っています。  この陸自駐屯地の場所は、元々森林だったところをゴルフ場として整備し、池などもありましたが、駐屯地の表面はほぼコンクリートやアスファルトで覆われますので、水のほとんどは浸透せず流れていきます。沖縄県の土木工事設計要領によれば、地表面の工種別基礎流出係数は、アスファルト舗装だと〇・七〇から〇・九五、ゴルフ場だと、芝、樹林の多い公園に該当すると思いますので、流出量係数は〇・一〇から〇・二五です。保守的な数値を採用しても、ゴルフ場の〇・二五に対して駐屯地〇・七〇となり、少なくとも三倍の雨水が流出することになります。厳しく見ると、〇・一〇に対して〇・九五で約九倍の雨水量が流出します。その内容は配付資料の五に掲げてございます。  ボックスカルバートの水位痕は過去にゴルフ場から流出した雨水の推移であって、アスファルトで覆われた駐屯地からは、従来の三倍から九倍の雨水が今の調整池に流入します。また、排水区域の面積も、駐屯地の全敷地面積を含むものとなり、以前より広い範囲から雨水を集めて調整池に流入することになります。既存のボックスカルバートの断面では、雨水とともに排水があふれ、周辺や下流域の土地に浸水被害を与えるのではないでしょうか。  駐屯地において設定した地表面の流出係数の値は幾らですか。排水区域面積は駐屯地面積より広いのではないかと思われますが、どのように設定していますか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  石垣駐屯地の雨水排水を計画する上で設定した流域の流出係数は、沖縄県土木建築部建築指導課の都市計画法に基づく開発許可制度に関する運用基準等の種類別流出係数に基づき舗装、屋根、芝地等の種類ごとの値を用いて算出しており、流域面積全体の流出係数は〇・六一であります。  また、流域面積は約七十二ヘクタール、石垣駐屯地の建物や舗装等の整備を行う開発区域の面積は約三十ヘクタールであり、流域面積に対する開発区域の面積の割合は約四一%となります。 ○伊波洋一君 前回答弁のあったボックスカルバートの過去水位痕は、あくまで以前の土地利用を前提にしたものです。  改めて、アスファルト舗装、流水区域面積を前提に、降雨量の雨水流出量や調整池からのオーバーフロー時の排水量と流出先環境への影響について、防衛省として再評価すべきではありませんか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  駐屯地からの雨水排水については、建物や道路等の舗装が整備されることにより、雨水の流出係数が高まり、流出量が増加することとなるため、調節池の計画に当たっては、沖縄県林地開発審査基準の降雨強度式を基に雨水排出量を算出しております。  その上で、既設の排水路ボックスカルバートの水位痕から許容放流量を算出し、下流側の安全確保のために放流量を縮減できる十分な貯水能力を持つ調節池を設置しております。 ○伊波洋一君 防衛省は、沖縄県に届けていると言うばかりで、計画の妥当性を積極的に説明はしません。  委員長、是非、雨水排水計画、汚水排水計画、浄化槽設置計画などを含む石垣駐屯地建設に係る排水の現状が分かる一切の資料を防衛省から委員会に提出いただくようお取り計らいをお願いいたします。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 沖縄防衛局が令和二年十二月七日付けで沖縄県八重山土木事務所に提出した浄化槽設置計画書の添付書類である汚水計画平面図では、浄化槽から放流する処理された水は、駐屯地から民有地などを通って沢へ放流し、沢を通り宮良川へ放流と書かれています。  国土地理院に伺いますが、この汚水計画平面図で青い矢印が書かれた土地には、地理院の地図では河川が描かれていますか。 ○政府参考人(高村裕平君) 委員からお示しいただきました汚水計画平面図の当該箇所につきましては、国土地理院の地理院地図には河川が描かれてはおりません。 ○伊波洋一君 ただいま国土地理院の答弁のあったのは、配付資料六のこの青い太い図のあるところです。  資料六の青い矢印で書かれた土地は、地図上ではどのような土地ですか。 ○政府参考人(高村裕平君) 当該箇所につきましては、地理院地図では荒れ地や畑となっております。 ○伊波洋一君 ですから、防衛局が答弁等で、ああ、防衛省が答弁等で示している、要するに沢という表現で流しているエリアは、地図上でも荒れ地や畑なんですね。私も行ってきました。そして、役所で、この写真の上に地目、地籍を載せた写真、資料ももらってきました。全部それぞれ土地が区画されていて、民有地なんですね、大方が。だから、そのことが完全に無視されているわけです。  それを石垣駐屯地の排水処理の関係の中では沢だと言って、そしてそこから水が流れているということを提起しているわけですけれども、しかし、現実に行ってみるとそうでないということを私は今指摘しているわけです。それは明らかに湿地なんですね、一部はですね、全部ではないですよ。  国土地理院に伺いますけれども、湿地とはどのような土地ですか。 ○政府参考人(高村裕平君) 国土地理院では湿地を定義しているわけではございませんが、地理院地図の表示基準では、常に水を含み、土地が軟弱で湿地性の植生が生育している土地について主要なもの又は地域の状況を表現するために必要なものを表示するとしております。 ○伊波洋一君 もう一つの荒れ地というのは何でしょうか。一般的に、小規模な湿地は荒れ地に含まれると理解していいですか。 ○政府参考人(高村裕平君) 地理院地図の表示基準では、荒れ地は、裸地及び雑草地並びに湿地、沼地等で水草が点々と生えている地域に適用するとしております。 ○伊波洋一君 ありがとうございました。  国土地理院の方は御退席いただいて結構です。 ○委員長(阿達雅志君) では、高村国土地理院長、御退席ください。 ○伊波洋一君 環境省に伺います。  沖縄県浄化槽取扱要綱では、浄化槽からの放水先の放流先はどのような場所と規定されていますか。 ○政府参考人(奥山祐矢君) お答えいたします。  まず、浄化槽法でございますけれども、浄化槽法につきましては、その浄化槽からの放流水質につきまして、公共用水域等の水質汚濁を防止するために必要な水質基準が定められておりまして、放流先について、公共下水道以外に放流する設備である旨の定義付けがされているのみで、それ以外についての特段の規制というのは設けられておりません。  その上で、御質問のあった沖縄県浄化槽取扱要綱第五条の三第一項におきまして、放流水が停滞することなく流れる構造と規定をされておりまして、また、同条の第二項におきまして、放流水の地下浸透放流は、地下水の汚染につながり、生活環境の保全及び公衆衛生上の支障が生じるおそれがあることから、原則として禁止すると規定されているものと承知しております。 ○伊波洋一君 この停滞することなく流れる構造とはどのようなものでしょうか。 ○政府参考人(奥山祐矢君) 御質問の、停滞することなく流れる構造の具体的内容につきましては、要綱を定めました沖縄県におきまして適切に判断されるべきものであると環境省から、ものでございまして、環境省からお答えすることは困難でございます。 ○伊波洋一君 そのカルバートに流していくという一番最初の考え方でやったようですけれども、ただ、カルバートは二十メートルしかないんです、長さが。この先も後ろも、何の、コンクリートもされていないわけでして、いわゆる沢と言っている起点ですからね。ただ、最後の行き先の放流先は湿地なんです。  一般論として、浄化槽から放流する処理された水を、常に水を含むような土地、あるいは地下水が地表に近く、水気の多いじめじめした土地、あるいは水のとどまるような土地に放流することは許されるのでしょうか。もし許されないとすれば、どのような対応がされますか。この対応については既設の浄化槽にも適用されるのでしょうか。 ○政府参考人(奥山祐矢君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたとおり、浄化槽法では、放流先については公共下水道以外に放流すべき旨が規定されているのみでございまして、それ以外に特段の規制等は設けられてはございません。  その上で、御質問の点につきましては、沖縄県浄化槽取扱要綱に基づいて判断されるものと承知しておりまして、繰り返しになりますけれども、個別具体的には当該要綱を定めた沖縄県において適切に判断されるべきものと考えております。 ○伊波洋一君 環境省の方は御退席いただいて結構です。 ○委員長(阿達雅志君) 奥山審議官は御退席ください。 ○伊波洋一君 四月十三日の質疑では、防衛省の杉山参考人は、排水は「沢へ放流し、沢を通り宮良川へ放流と記載している」と、「既設の排水路から宮良川までの流路の長さは約一キロ程度」、「計画段階において既設排水路から宮良川までの間、約一キロの沢の現地踏査を行い、流路があることを確認」と答弁されています。  防衛省に伺いますが、現段階でも防衛省の事実認識としては、今述べたような形で間違いありませんか。答弁を訂正しなくても大丈夫ですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地からの排水が宮良川まで流れることを確認するために、既設の排水路から宮良川までの間の約一キロメートルの現地踏査を行いました。この踏査により、駐屯地側の上流区間には流路があること、次の中流区間には湿地があるものの、湿地の中に小さな流路があり、また、湿地には幾つかの沢が流れ込んでいること、宮良川側の下流区間には湿地から流入する流路があり、その流路は県道八十七号線を横断する既設の排水路ボックスカルバートにつながり、そこから宮良川までの間は流路があることを確認しております。  以上のことから、石垣駐屯地の排水が宮良川まで流れるものと判断いたしました。 ○伊波洋一君 防衛省として、再確認しますが、流路があることを確認しているのですね。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  石垣駐屯地の排水が宮良川まで流れることを、現地踏査により流れることを確認しております。 ○伊波洋一君 配付資料⑨番ですね。これは、四月十三日の答弁を受けて、私が四月十九日に防衛省から提供していただいた、現地踏査を行った際の写真の資料です。写真の説明も防衛省のものです。  最初の方の写真ナンバー二の説明では、「流路がしっかりしている樹林内」となっていますが、次の写真ナンバー三では、「はっきりした流路がなくなり湿地が広がる」という説明になっています。その後、ナンバー四、五、六の説明では湿地という言葉が使われています。  ですから、この報告書を見る限り、実際は流路がなくなっているのではありませんか。このナンバー三というところで、「はっきりした流路がなくなり湿地が広がる」というふうに表現されています。お答えください。 ○政府参考人(杉山真人君) 先ほども答弁申し上げましたけれども、駐屯地側の上流区域には流路があり、その次の中流区間には湿地があるものの小さな流路もあって、その湿地から下流側に流路があって、その下流側の流路に湿地からの水が流入しているというような状況であると確認しているところでございます。 ○伊波洋一君 そうすると、今の話では、一旦流すんだけど、それが湿地に流れて、またその湿地の水も次の流路に行って流れているから、皆さんが流した汚水排水は流れているんだということを言っているということで理解していいんですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 先ほどの答弁で、駐屯地側の上流、中流、それから宮良川側の下流に至る現地踏査の状況を説明しましたけれども、駐屯地から宮良川へ流れているということを、現地踏査の結果、流れるものと判断しているところでございます。 ○伊波洋一君 防衛省が判断をしたと、要するに、そういうことで判断をしたということなんですね。本来は、そういうのは、処理水を湿地に放流しているということを認めたらどうですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 浄化槽設置に係る計画書を沖縄県に提出しておりまして、その中で、そういったルートで宮良川まで流下するというところに放流するということで、浄化槽設置の際、県と調整しているものでございます。 ○伊波洋一君 民間の土地ですよ。民間の土地が湿地になっているから湿地に流して、そして、それが宮良川まで最後は通じているから、これがいわゆる浄化槽法の要綱に沿った流し方で当然なんだという立場で今お話をしているということで私は理解していいんでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) そのように答弁いたしております。 ○伊波洋一君 どういう根拠でそれが許されると思っていますか。つまり、民間の土地ですよ。畑や田んぼ、あれだけ、四十七ヘクタールの九百三十六億円も掛けて駐屯地を造っておいて、そして大きな七万三千立方メートルの調整池も造って、そういう水を流す先に、ずっと四年前から地域住民はちゃんとした排水路を造れと市にも強く求めてきたわけです。  いや、自分たちは、既設の今まで流れていた沢に流せばいいんだと。ただ、農道の下にボックスカルバートが確かに橋を架けるように置かれていますよ。そこへ流せば成り立つんだという考え方が私には分からないんです。本当にそのまま皆さんはそれを主張し続けるつもりですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 浄化槽設置に当たりましては、沖縄県の要綱に基づきまして、沖縄県と調整しているところでありまして、法令に基づいて正しく設置しているものと認識しております。 ○伊波洋一君 責任の転嫁ではないですか。  この写真の説明は、計画段階で現地踏査を行ったコンサルが作成したものだと説明を受けました。これらは一体どのような資料ですか。何かもっと詳細な報告書の一部でしょうか。いつ、誰がどのような目的で作成したものですか。 ○政府参考人(杉山真人君) その資料につきましては、石垣駐屯地からの排水が宮良川まで流れることを確認するために、建設コンサルタントが既設の排水路から宮良川までの間の約一キロメートルに沿って現地踏査を実施した際に撮影した写真を取りまとめたものでございます。 ○伊波洋一君 その報告書が、「はっきりした流路がなくなり湿地が広がる」とちゃんと書いてあるんですね。  ですから、委員長、防衛省において、この現地踏査報告とそれに関連する一切のデータの提出するよう、委員会に提出するようお取り計らいください。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 今の答弁のように、防衛省は、当初から、放流先には「はっきりした流路がなくなり湿地が広がる」ことを把握していました。  湿地は沖縄県浄化槽取扱要綱で放流水が停滞することなく流れる構造でないことは、辞書の定義でも明らかです。辞書では、常に水を含むような湿地は浄化槽の処理水を放流することは、地下水の汚染につながり、生活環境の保全及び公衆衛生上の支障を生じるおそれがあることから、原則として禁止されている地下浸透放流が行われているのと変わりません。違法排水の設置は許されません。処理水を湿地に放流することは、事実上の地下浸透放流です。  一方、雨水や湧き水を駐屯地がせき止めるのは湿地や農地の乾燥を招くことから、環境に対する負荷が大きく、許されません。駐屯地からの違法排水の解決策としては、雨水や湧水は調整池で適切に流量を調整して放流しつつ、浄化槽や油分分離槽からの排水は、施設で蒸発散方式で処理することが必要だと考えます。  防衛省として、開設してしまった後は違法排水だろうと放置するという態度は許されません。防衛省として自主的に改善すべきだと思いますが、防衛大臣、防衛省として、県の行政指導などを待たずに、一旦、自主的に浄化槽や油分分離槽からの放流を止めて、施設内で蒸発散方式で処理すべきではありませんか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地に設置した浄化槽につきましては、沖縄県浄化槽取扱要綱に基づき、浄化槽の処理水の排水先を明記した浄化槽設置計画書を沖縄県に提出し、沖縄県から生活環境の保全及び公衆衛生上の観点からの意見はなく、確認済証を受領しています。  放流先につきましても、沖縄県浄化槽取扱要綱第五条の三の第一項にあります、放流先は放流水が停滞することなく流れる構造という規定を満たしているものと考えておりまして、確認済証をいただいている浄化槽でございますので、蒸発散方式で改めて整備する必要性はないものと考えております。 ○伊波洋一君 あのですね、皆さんが届けたものには沢を通って流れるとちゃんと書いてあるんですよ。ところが、コンサルの報告書は、沢がなくなって湿地に入っていると書いているんですよ。だから、行政手続で防衛省が出す資料に一々これ間違っているんじゃないかって調べますか。ここは入りにくいところなんですよ、中の方はですね、私は行ってきましたけれども。そういうものを調べなかったから、つまり県が見逃しているから、ちゃんともう判こは押されているんだと、今そんなことを言っているような話ですよ。  私は、やはりこの問題は、まさにあのエリアは優良な農地なんです、全体、下が。それで、ずっと最初から水はどうなるんだと。皆さんが駐屯地を造ったあの山裾は豊富な水源地なんですよ。そこから湧き出る水なんですよ。もうちょっと、しっかりすればよく分かると思いますけれども。これらの処理水が湿地帯で浸透しないと仮定しても、まあ浸透していると思いますよ、今はもう。  宮良川への流入そのものが生活環境の保全や公衆衛生上の支障を生じるおそれがある事態であるということも科学的に証明されています。  八重山陸水研究会の理学博士東田盛善氏は、二〇二二年十一月に日本工業用水協会会誌「工業用水」論文集に発表した研究論文で、駐屯地近くにある宮良川本流と宮良川支流のアヤマシ川、この今のところよりもうちょっと西側なんですけれども、下流にある大浜地下第二水源地の地下水を涵養しているとも考えられることを科学的に指摘しています。これは、仮に宮良川に駐屯地の排水が放流されているとすれば、下流の大浜地下第二水源地から取水される飲料用地下水及び農業用水が汚染される危険性があることを示しています。  防衛省は、この論文についてどう受け止めていますか。今後、処理水を宮良川へ放流することをやめるべきではありませんか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  御指摘の論文は、令和四年十一月に一般社団法人日本工業用水協会が発行した「工業用水」という会誌において、「沖縄県石垣島宮良川およびアヤマシ川流域の陸水の水質」というタイトルで掲載されたものと承知しておりますが、防衛省といたしましては、研究者の方々の論文の一つ一つにつきましてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、石垣駐屯地内から生ずる汚水は、汚水量を踏まえた適切な処理能力がある浄化槽を設置し、水質汚濁防止法等の排出基準の規制値等を満たす水質まで処理した上で排水しております。  以上のことから、委員御指摘の宮良川までの排水をやめるべきという趣旨については、あっ、失礼しました、引き続き宮良川までのこの排水を行っていきたいといいますか、排水することが妥当だと思っております。 ○伊波洋一君 ただいま指摘した東田論文については、資料十一から十二、十三というところにありますので、今からまたその説明をします。  私はそもそもミサイル基地の建設に反対ですが、地元住民の中には、国の安全保障政策を考えて、国策である基地は受け入れざるを得ないと容認する声もあります。しかし、飲料水や農業用水には配慮してほしいというのが住民の共通の願いです。先ほどの、東田先生も、資料十一のように、アヤマシ川と宮良川は地下水の心臓部みたいなもので、自衛隊配備の賛否はともかく、水資源の問題を深刻に考える必要がある、とおっしゃっています。  東田論文の配付資料十二の図と十三の黄色いマークの部分では、地点一が、今防衛省が流し込むという大里農道のボックスカルバートの駐屯地側です。地点四がボックスカルバートの下流側のようです。地点一は水たまりとされ、雨が降らないときはほとんど水が流れないが、降水量が多いときには暗渠を越えて地下、下流の地点に流れ出ていると書かれています。つまり、そういう状況なんですね。常に流れているようなところではないんですよ。  私が、四月十七日月曜日に私もその現場を見てきました。そして、資料十の方にその写真があります。皆さんに渡している資料ですけれども、この十の方に、これは基地側からじゃなくて流されるところから見た写真です。ここは水が流れているわけではないんですよ。ただ、流れる先があって、そこにたまっています、いっぱい汚れた水がですね。つまり、いつもここに流れているわけではない。そういうところになっているにもかかわらず、じゃ、それは流れているのを確認しなかった県の責任ですか。皆さん方がそれは流れているといって届け出た責任じゃないですか。つまり、そういうことを考えるべきだと思うんです。  だから、住民の不安を解消するためには、施設外に野方図に放流するのではなく、処理水だけでもせめて蒸発散方式などにして対処するべきだと思いますが、防衛大臣、いかがですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 繰り返し答弁させていただきますけれども、石垣駐屯地の浄化槽につきましては、処理水の放流先を含めて、沖縄県浄化槽取扱要綱に基づき浄化槽設置計画書を沖縄県に提出し、沖縄県からは生活環境の保全及び公衆衛生上の観点からの意見はなく、問題ないと考えております。  それから、沖縄県の審査につきましては、防衛省としてはお答えする立場にはございません。 ○伊波洋一君 いや、とんでもない答弁ですね。私、まさか国が、こんな地域の住民や国民のことを考えず手続でやればいいと。辺野古みたいな感じですよ、今の話だと。しかし、ここ、地域住民が周辺にいて、農産物を作っている良好な農地ですよ。そういったところに平気で汚染水を流して、それで平気ですよということを今言っているようなものなんですよ。  違法排水の解決の問題は、まさに島民との信頼関係をつくり上げる努力ではありませんか。皆さん、四月二日の開設式典のときに大臣は、島民との信頼関係をつくり上げる努力が重要だと発言いたしました。是非、大臣、この問題解決に向けて取り組むということを答弁ください。 ○委員長(阿達雅志君) 時間ですので、答弁は簡潔に願います。 ○国務大臣(浜田靖一君) はい。  我々とすれば、これを造るまでの間、いろいろな役所との交渉もしながらやってきておるわけでございますので、我々とすれば、今委員の御指摘というのは当たらないと思いますが、我々とすれば、更に明確にできるような形を取りたいというふうに思います。 ○伊波洋一君 私は当たると思うから言っているんですよ。つまり、証拠もいっぱいあります、地籍も全部ある、地主もある、写真も今見せております。流れていないんですから。そのことを含めて強く指摘をして、改善を求めてまいりたいと思います。頑張ってください。 ○委員長(阿達雅志君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十分散会