第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第9号 令和5年4月20日 令和五年四月二十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      新妻 秀規君     山口那津男君  四月十七日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     北村 経夫君      金子 道仁君     室井 邦彦君  四月十八日     辞任         補欠選任      岩本 剛人君     衛藤 晟一君      北村 経夫君     堀井  巌君      室井 邦彦君     金子 道仁君  四月十九日     辞任         補欠選任      衛藤 晟一君     岩本 剛人君      山口那津男君     下野 六太君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 下野 六太君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        防衛副大臣    井野 俊郎君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       本田 顕子君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       青柳  肇君        内閣官房内閣審        議官       齋藤 秀生君        内閣府国際平和        協力本部事務局        長        加納 雄大君        外務省大臣官房        審議官      實生 泰介君        外務省大臣官房        審議官      中村 和彦君        外務省大臣官房        審議官      竹谷  厚君        外務省大臣官房        審議官      日下部英紀君        外務省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        参事官      大槻耕太郎君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      池上 正喜君        外務省大臣官房        参事官      松尾 裕敬君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   海部  篤君        外務省国際法局        長        御巫 智洋君        外務省領事局長  安藤 俊英君        厚生労働省大臣        官房審議官    鳥井 陽一君        国土交通省大臣        官房技術審議官  菊池 雅彦君        防衛省大臣官房        施設監      杉山 真人君        防衛省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      上田 幸司君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君        防衛装備庁長官  土本 英樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○外交、防衛等に関する調査  (陸上自衛隊ヘリコプターの事故に関する件)  (G7長野県軽井沢外相会合に関する件)  (弾道ミサイル防衛に関する件)  (防衛力の整備に関する件)  (政府安全保障能力強化支援に関する件)  (人権外交に関する件)  (多国間外交に関する件) ○日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間  における相互のアクセス及び協力の円滑化に関  する日本国とオーストラリアとの間の協定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付) ○日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイ  ルランド連合王国の軍隊との間における相互の  アクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグ  レートブリテン及び北アイルランド連合王国と  の間の協定の締結について承認を求めるの件(  内閣提出、衆議院送付) ○日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間  における相互のアクセス及び協力の円滑化に関  する日本国とオーストラリアとの間の協定の実  施に関する法律案(内閣提出、衆議院送付) ○日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイ  ルランド連合王国の軍隊との間における相互の  アクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグ  レートブリテン及び北アイルランド連合王国と  の間の協定の実施に関する法律案(内閣提出、  衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、新妻秀規君が委員を辞任され、その補欠として下野六太君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に岩本剛人君を指名いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官青柳肇君外二十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○堀井巌君 自由民主党の堀井巌でございます。早速質問に入らせていただきます。  まず、陸上自衛隊ヘリコプターの事故から今日で二週間となりました。殉職された隊員の方々に心より哀悼の誠をささげたいと存じます。そして、十名全ての隊員の方々が御家族の元に一日も早く戻れることをただただ願っております。  これまでの捜索の状況、また事故原因等々について、現在までに分かっていることを教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。  本件事故に関しましては、これまで、自衛隊として、海上保安庁とも連携し、懸命の捜索活動を継続してまいりました。まだこの捜索活動は続いております。  この中で、これまでの水中捜索によって、要救助者六名と損壊したヘリコプターの一部を水中で発見いたしました。その後、五名を引き揚げ、亡くなっていたことを確認いたしました。昼夜を問わずこれまで懸命な捜索活動を行ってきたわけですが、その中でこういった報に接して、残念でなりません。済みません。ごめんなさい。仲間たちを一日も早く家族の元に戻すよう、捜索を続けてまいります。  あと、事故原因の究明というのが非常に重要でありまして、今、陸上幕僚監部に設置した調査委員会において調査中であります。事故原因の究明のためにも、機体の引揚げや現場の捜索が必要でありまして、これにつきましては、自衛隊と海上保安庁に加えて、民間力の活用も視野に入れて進めてまいります。  ごめんなさい。 ○堀井巌君 ありがとうございます。  厳しい安全保障環境の中で、我が国の平和を守るため、そして国民の身体、生命、財産を守るために、身を賭して国防という崇高な任に当たってこられたこの十名の隊員の皆さんに、心より敬意と感謝を申し上げたいと存じます。  そしてまた、今、上司や同僚の事故に遭われた中で、多くの隊員の方々が御家族のケア、そしてまた捜索、また海上保安庁の方々も含めて様々な活動に一生懸命従事されていると思います。そういった隊員の方々に対して、大臣の方から一言お願いしたいと存じます。 ○国務大臣(浜田靖一君) 長らく安否を案じてこられた御家族のため、まずは、国民のため、日本に、防衛に全身全霊をささげてきた十名の隊員がその元に一日でも早く帰ることができるよう最優先で取り組んでいかなくてはなりません。そして同時に、昼夜を分かたず現場で仲間の捜索に懸命に当たっている隊員にも感謝したいと思っております。引き続き、発見された全員の引揚げ、そして、いまだ不明のままの四名の捜索のために全力を尽くしてもらいたいと思います。  そして、今回の事故に関し、国民の皆様には大変御心配をお掛けしております。国民の皆様の安心につながるよう、防衛省として事故調査にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところであります。 ○堀井巌君 是非頑張っていただきたいと存じます。  次に、手当について、自衛隊員の方々の手当について質問したいと存じます。  私、先日の質問で地域手当について質問させていただきました。茨城県土浦市にある霞ケ浦の駐屯地に勤務する方は一〇%の地域手当が出る、しかし、その隣の阿見町にある土浦駐屯地に勤務する方はゼロ%であると、こういうことになっていました。ちなみに、茨城県職員の方は茨城県内どこで勤務していても六%というふうになっているわけでございます。この辺について、是非、何らかの工夫なり改善ができないかということを申し上げました。  それに併せて、今日はいわゆる異動の際の手当について質問したいと思います。  これは、国家公務員も含めて、まあ自衛隊員の方もそうですけれども、異動する場合にはこの地域手当の異動保障というのが二年間にわたって行われます。それと、広域異動手当というものがあるというふうに、これが三年間あるというふうに承知をいたしております。  しかしながら、現行制度でありますと、端的に言えば、市ケ谷に勤務していた方がやっぱり遠くに、例えば沖縄方面に行ったときにはどんどん金額が下がっていくというのが今のこの異動の実態で、手当の現行の仕組みでございます。  これは、やっぱり国防の任に当たる方というのは、むしろ本当に重要な地域に派遣をされてそこで活躍することが求められておりますので、一般職の国家公務員のこの広域の異動に対する手当の考え方をもちろん原則としながらも、自衛官に即したこの手当の考え方というのがやはり重要ではないかと思うんですけれども、その点について防衛省の見解をお聞かせいただきたいと思います。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  国家公務員に支給される手当のうち、都市部に所在する官署が多い一般職の国家公務員は地域手当の支給対象者が多く、他方、非常に不便な生活となるいわゆるへき地に所在する官署が多い自衛隊員は特地勤務手当の支給対象者が多いという特性がございます。  こうした観点から、防衛省では、主にへき地に勤務する隊員に着目し、その中でも、例えば一般職の国家公務員の官署が所在しない離島の更に先にある離島、いわゆる二重離島や、島に中心的な地区がなく島内での生活が著しく不便な離島のような、より過酷な勤務環境にある部隊には、そうした厳しい勤務環境にふさわしい水準となるよう、特地勤務手当の級別区分を上位の級に格付するなど、適切な処遇を確保しております。  今後は、特に南西地域において増大する任務に対応するため、委員が御指摘されました広域的な異動が、広域的な人事異動を余儀なくされる自衛官が増加することが予想されます。その任務や勤務環境の特殊性を踏まえ、適切な処遇となるよう不断の検討を進めてまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 ありがとうございます。  大臣、是非、これは事務ベースだけではなかなか解決しないかもしれません。しかし、隊員の、現場で頑張っている隊員の方々の声聞くと、やっぱりこの手当に対する声が大きい。私も直接伺いました。大臣、是非この点御留意いただきたいと存じます。一言だけお願いできませんでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) ただいま政府参考人からお答えしたとおりに、自衛隊の人的基盤の強化を図る上で処遇の向上が重要と考えております。私の下に設置した防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会の提言に加え、委員御指摘の点も参考にさせていただきながら、検討を進めてまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 ありがとうございました。  次に、外務省の方に質問させていただきます。  まず、外務大臣に伺います。  G7長野県軽井沢外相会合が私は成功裏に終わったというふうに存じておりますけれども、その会合の成果についてお聞かせいただきたいと思います。特に中国等との関係について、G7、どのような結束も確認できたのかということも併せて教えていただければと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 四月の十六日から三日間にわたりまして、このG7長野県軽井沢外相会合を開催いたしました。国際社会が歴史的な転換期を迎える中でG7外相間で率直かつ踏み込んだ議論を行いまして、会合の成果としてG7外相コミュニケを発出することができました。  今回、今年二回目となる対面でのG7外相会合でありまして、セッション全体を通じてこの五月のG7広島サミットに向けたG7外相間の連携を確認いたしました。また、今年のサミットが広島で開催されるということも念頭に、核軍縮・不拡散についても詳細に議論を行ったところであります。  さらに、G7として初めて、日本が重視をいたします法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これへのコミットメントや、世界のどこであれ一方的な現状変更の試みに強く反対すること、これを文書の形で確認をすることができました。  また、中国に関しましては、G7として、中国と率直な対話を行い懸念を直接伝える重要性、またグローバルな課題や共通の関心分野では中国と協力する必要性、これを確認いたしました。その上で、G7として、中国に国際社会の責任あるメンバーとして行動するよう呼びかけるとともに、対話を通じて中国と建設的かつ安定的な関係を築く用意があるということを確認をいたしました。  また、G7として、東シナ海、南シナ海情勢について引き続き深刻な懸念を表明するとともに、力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対することで一致をいたしました。さらに、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認をいたしました。  インド太平洋地域において開催するG7外相会合にふさわしい充実した意見交換を行うことができたというふうに考えております。 ○堀井巌君 五月のG7サミットにつながっていくことを期待しております。  次に、海面上昇について伺います。  太平洋島嶼国は、気候変動によって海面上昇、大変危惧をしています。そのことによっていわゆる領海の基線が変更されてしまうことも危惧をしている。そのことについては、やはり日本もそういった国々の国際法上における主張についてもしっかり深い理解を示しているというふうに私は承知しておりますけれども、このことはそういった国々との関係においても非常に重要なことだというふうに思います。  こういった海面上昇に伴うこの基線の考え方について日本としてどのように取り組んでいかれるのか、伺いたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この海面上昇は、四方を海に囲まれた我が国にとっても重要な問題であります。また、我が国として、本件が太平洋島嶼国等にとっていかに切迫した問題であるか、十分に認識をしております。  先般、我が国は、気候変動に起因する海面上昇について、太平洋諸島フォーラム、PIFによる海域維持に関する宣言等を踏まえまして、気候変動により海岸線が後退した場合も、国連海洋法条約に従い設定された既存の基線の維持は許容されるという立場を取ることといたしました。この立場は本年二月のPIF代表団の訪日の際等にも私から先方に伝達をしまして、歓迎の意が示されたところでございます。  国連においても、同月の海面上昇に関する安保理の公開討論におきまして、我が国からかかる立場を改めて表明をいたしました。また、御指摘のG7外相コミュニケにおいても、G7として多くの国々の懸念を共有する旨の一致したメッセージを発出したところでございます。  今後も、国連等の会合及び各国との会談等の機会を捉えまして、我が国の立場を伝達しつつ、我が国として、国際社会における議論に積極的に関与し、引き続き、海洋秩序の維持発展、これに貢献していきたいと考えております。 ○堀井巌君 時間の関係で、あと二問続けて質問したいと思います。  日本のこの外交戦略上、二つ質問したいんですが、一つは、やっぱり情報戦、偽情報対策を含めてですね、しっかりとこの情報戦、情報収集、分析、そして発信能力の強化、AI等を活用して抜本的に行っていくことが重要ではないかと。特に外務省の場合は様々な言語に通暁していられますので、外務省としてもしっかりとした強化のための予算を確保していく必要があるんではないかというふうに思います。  もう一点は、中南米諸国で日系人の方々の存在というのは、これ、私も中南米諸国に訪れたときには、本当にこれは日本外交の財産だというふうに思います。こういった日系人とのつながりというのも外交戦略上極めて重要ではないかというふうに思いますけれども、この二問、併せて質問したいと思います。 ○政府参考人(大槻耕太郎君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、国家間の戦いにおいて情報戦がますます重要な意味を持つようになってきております。我が国として情報戦に効果的に対応するためには、情報空間における各国の動向や、その意図、帰結を的確に分析し、その結果を踏まえた効果的な戦略的発信を行っていくことは待ったなしの課題であると考えております。かかる認識の下、次の五点の取組を強力に推進してまいりたいと考えております。  第一に、AIを始めとする新興技術を導入し、情報収集・分析能力を強化すること。第二に、公電情報も含め、外務省が収集、管理するあらゆる情報を組み合わせるとともに、情報、政策、発信の各部門が有機的に連携し、情報収集、分析の結果を効果的な戦略的発信につなげること。第三に、同盟国、同志国との更なる情報共有のためにも、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米諸国と同等以上に向上させること。第四に、情報戦を戦う上での基礎能力であるカウンターインテリジェンス能力を強化すること、第五に、本省、在外公館双方において、民間部門の更なる活用も含め、情報収集、分析、発信能力強化のための体制を整備すること。  以上の取組を通じまして、外務省としまして、令和六年以降も情報収集、分析、発信能力の戦略的強化に着実に図っていく考えでございます。 ○委員長(阿達雅志君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。 ○政府参考人(中村和彦君) はい。  中南米の日系社会についてのお尋ね、簡潔にお答えいたします。  御案内のとおり、中南米には世界の各地域で最も多い約二百三十万人の日系人が在住しておりまして、この日系社会は、現地で尊敬と信頼を集め、各国で親日感情の基礎となり、日本との懸け橋として中南米との関係強化に大きく貢献していただいていると認識しております。政府としては、これらの方々の支援し、共に歩んでいくべく、しっかり取り組んでいくという方針でございます。  その一方で、世代交代の進展といった理由で、既存の日系社会、あるいは日系人としての意識にも変化が現れつつありまして、この日系社会との連携、再強化する必要があるとも認識しております。  このような状況を踏まえまして、そうした取組を総合的に立案、実施すべく、今年一月、外務省内に中南米日系社会連携推進室というものを設置いたしました。政府といたしましては、この新設された室を中心にして、次世代を担う若手の日系社会の指導者やSNSで発信力のある日系人の方々の招聘、現地における日系社会同士のネットワークづくりの支援、JICAなどと連携いたしまして現地の日系人団体の活動施設等に対する各種支援、こうした取組を推進していく所存でございます。  以上でございます。 ○堀井巌君 終わります。 ○福山哲郎君 おはようございます。立憲民主党の福山でございます。  先ほども堀井委員からもありましたけれども、陸上自衛隊のヘリの事故について幾つかお伺いをしたいと思います。  日々状況が明らかにされ、先ほども御報告ありました。現在、六名の隊員が発見され、五名が引き揚げられて、死亡が確認されたということです。機体の一部も発見され、四名が実はいまだに発見されていないと。  お亡くなりになられた隊員の御霊に心から哀悼の意を表するとともに、隊員の御家族にお悔やみを申し上げたいと思います。  また、懸命な救助活動を行っている海上自衛隊艦艇、海空自衛隊航空機、陸上自衛隊の部隊及び海上保安庁の皆様にも敬意と感謝を申し上げたいと思います。  また、地元のいろんな漁船等、漁業関係者の方も救助活動に応援をいただいていると聞いておりまして、このことも感謝を申し上げたいと思います。  水深百メートルを超える海底での作業というのは過酷を極めると察しておりますが、大臣におかれましては、もう十分に、この救助に当たっている隊員の疲労や厳しい作業ということもあり、そのことについても御留意いただきながら作業を進めていただければというふうに思っておりますが、大臣から一言まずいただければと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 委員から大変温かいお言葉をいただきました。本当に、そういう意味では我々としても大変残念であるわけでありますけれども、しかし、今、一生懸命全員の帰還を目指して頑張っているところでございますので、今後ともしっかりとこれに対応していきたいというふうに思っておるところでございます。 ○福山哲郎君 よろしくお願いします。  幾つか事実関係だけ確認をさせていただきます。  調査委員会立ち上がっていると思いますけれども、現実には、レーダーが消失した地点から北北東に約四・二キロ離れた水深百六メーターの海底で機体は発見されています。その四・二キロメートル離れたところまで移動しているにもかかわらず、レーダーには捕捉されずに、これだけ離れたところで見付かったということでございまして、まだ原因等は調査中ということだと思いますが、どういう原因が考えられるのか、現状でよろしいのでお答えいただけますでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 今回の事故発生前後の状況につきましては、事実関係の詳細について、現在、事故調査委員会において調査する中で確認、精査を行っているところです。こうした中、お尋ねについても、確定的な答えや予断を与えかねないようなお答えをすることは差し控えたいと思います。  その上で、一般論として申し上げれば、ごく低高度を飛行する航空機についてはレーダーに映らない可能性もあり得ます。また、現場海域において機体に搭載されていた救命いかだが展開されていない状況で発見されたということはこの間申しました。これを踏まえると、非常なその状況の急変によって事故につながった可能性も考えられるところであります。  フライト・データ・レコーダーはまだ回収していないんですが、こういった状況の詳細を把握するためにも、この回収も含めて捜索に全力を傾注していきたいと存じます。 ○福山哲郎君 まあ一定の距離がありますから、時間があったというふうに見ようと思えば見れると。で、救命具の装着がない、使用がないということも含めて、脱出もなかなかしにくい状況だったというのがどういう状況かは、私も全く専門家ではないので分からないんですけれども、少し、そこについては調査委員会で原因究明をしていただきたいと思いますし、二問目、フライトレコーダー発見されているのかと聞こうと思いましたが、今お答えあったように、まだだということですので、フライトレコーダーが発見され次第、いろんな解析をお願いしたいと思います。  前回の質疑でお願いしたんですが、四月の六日午後に実施されたこの航空偵察は一体いつどの時点で意思決定がされたのかお伺いしたら、委員会ではそこは後でお知らせしますということだったので、お答えいただけますでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) この航空偵察につきましては、三月二十九日に第八師団司令部において計画をして、最終的に行くというふうになったのは四月三日でございまして、坂本第八師団長がこの計画の実施を決定したということであります。 ○福山哲郎君 そうなんですね。お答えいただいたのでよく分かったんですけれども、二十九日に、師団長着任の前の日に計画を、師団の中で計画をして、着任して、翌日着任されて、三十一日着任式と。で、三日に師団長がこの計画でいこうということを決められたということでございます。  この間も申し上げましたように、五日、六日、その後中国の艦船がこの周辺で非常に活発な動きがあったものですから、この計画をそのまま実施したのがよかったのかどうかということも含めて、調査委員会で御議論いただければというふうに思います。  このときの我が国周辺海域における中国軍の動向について、新しいことが分かれば御報告しますということを大臣に前回の質疑で言っていただいたんですけれども、中国との関連等々、大臣、何か新しいことが分かれば、確認できたことがあれば、お答えください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 前回、委員から御指摘をいただいたような、我が国周辺海空域における中国軍の動向について警戒監視、情報収集に万全を期す中で、今回の事故に関連するような動向は確認をされておりません。このことは前回も申し上げたとおりでありますが、そして、前回の質疑後、一連の捜索活動の中で様々な部品を回収してきていますが、中国との関連を示すような痕跡は現在のところ確認されておりません。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。明確なお答えをいただきました。  一方で、実は十日から十五、十六日にかけて中国海軍の宮古島や沖ノ鳥島等での活動は極めて活発に行われておりまして、このことについては多少ちょっと気にはなるなというのが思いますので、ここも、防衛大臣としては、この初めて来た空母の山東を始めとして非常に活発に動きが十日から十六日まであったということについては、大臣はどのように今お考えなのかをお知らせいただけますか。 ○国務大臣(浜田靖一君) この内容については、我々とすれば確たるもの、ことを申し上げる情報はございませんけれども、しかしながら、山東からの離着艦訓練等々をしているというような情報は入っておるところでありまして、その意味では、訓練、空母のいわゆる運用の向上を図っているということは分かりますし、そしてまた、そういった空母を中心とするいろいろな運用についてのまた確認もしておったのではないかなということは考えられます。 ○政府参考人(大和太郎君) 中国軍の活動とこの坂本師団長による航空偵察の関係についてちょっと御示唆があったものですから、ちょっと申し上げます。  御案内のとおり、近年、中国軍の我が国周辺における活動は拡大、活発化しております。以前も申しましたとおり、六日には中国海軍の情報収集艦の一隻が沖縄本島と宮古島との海域を航行しているということは確認されております。  ただ一方、こういった航行は決して珍しいものではありません。中国軍、本当様々な活動を我が国周辺でしております。そして、こういった動向について把握するために、自衛隊は艦艇、航空機などによって警戒監視、情報収集をしていくと。一般論で申しますけれども、演習があればそこに、その近くに艦艇、航空機を派遣してその様子を見ると。実際、山東からの航空機の発着などは写真も撮って公表などさせていただいているところであります。  こういう中で、自衛隊として、我が国周辺において中国軍の活動が行っていることを理由に今回のその経路偵察のような我が国領域内での活動を見合わせるというようなことは、基本的にはないということであります。  今回の航空偵察は、南西諸島への展開も予想され、想定される第八師団を指揮する坂本陸将が、今、非常に厳しい安全保障環境に対峙していく中で、南西地域の防衛に万全を期していくということから行ったものであるということを申し上げておきたいと思います。  以上です。 ○福山哲郎君 全く私はそのことは前回の委員会からも否定をしておりませんので、殊更に中国の艦船の演習とこの事故を結び付けるということも私はこの間から余りしておりませんので、そこは今の御説明を理解しているつもりでございます。ただ、頻繁にこういう演習が行われると、やっぱり緊迫した緊張感ある任務が多くなりますので、そこも含めて御留意いただければと思います。  航空事故調査委員会、今の現状の開催状況についてお答えください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 第一回の事故調査委員会は、事故当日の四月六日に実施をしております。  その上で、二回目以降の委員会については、事故の原因を調査するために必要な機体の回収の結果を踏まえつつ実施していく考えであります。 ○福山哲郎君 これ、済みません、メンバーは発表されているんでしたっけ。 ○政府参考人(大和太郎君) この事故調査委員会でありますが、委員長は陸上幕僚副長でありまして、委員は陸上幕僚監部の各課長、それから、部隊等委員というんですが、西部方面隊の隊員などで構成されているところでございます。 ○福山哲郎君 機体の回収等がありますから余り慌てることはできないと思いますが、速やかに原因究明をお願いしたいというふうに思います。そうでないと、この機体、全国で今運用止まっているはずですので、そのことも含めて御留意いただければと思います。  続きまして、四月の十三日、北朝鮮から弾道ミサイルが発表されました。私は、Jアラートのことは前回の委員会で榛葉委員が言われたとおりだと思っておりまして、我が国領土内に、特に北海道に着弾する可能性がある限りはJアラートは鳴らしておかなければいけないことだと思いますので、それはそのとおりだと思います。  ちょっと別の観点からお伺いをしたいと思います。  まずは、日本の領土内に北朝鮮からのミサイルが着弾する軌道であった、予測がされるようなミサイルが発射されたのは、過去にはありましたでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) これまで、北朝鮮の弾道ミサイルの発射については様々対応してきております。そのそれぞれについてどんな情報を得ていたということを逐一申し上げることは避けたいと思いますが、ただ、いずれにせよ、我が国の領土に着弾する可能性があるということで国民の皆様に警報を発したのは初めてと理解しております。 ○福山哲郎君 そうなんですね。初めてなんですね。これ、結構重たいことだと思っております。  それから、北朝鮮の報道というか、相手側は、新型の固体燃料を使用した三段式の長距離弾道ミサイルだと言っていますし、火星18と新しい名前のミサイルを言われています。この火星18、それから三段式のICBMの発射も、この二つの点についても初めてということでよろしいですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先週十三日に発射されたミサイルにつきましては、固体燃料推進方式の新型のICBM級弾道ミサイルであった可能性ということを含めて、詳細を分析しているところでございます。 ○福山哲郎君 我が国の領土内に着弾するかもしれないと予測されたのも初めて、それからこの火星18とか固体燃料、さらには三段式も初めて、非常に懸念をせざるを得ない状況だというふうに思っております。  そうすると、大臣、これ途中でレーダーから消失しましたけれども、一方では、日本の領土に着弾するかもしれないということでJアラートを出された、それは僕は先ほど申し上げたように理解はしているんですが、これ本来なら迎撃態勢を取る可能性もあるということですか。 ○政府参考人(大和太郎君) 委員御示唆されている、お話しされたように、我が国に弾道ミサイルが実際に飛来するおそれがあるという場合には、自衛隊として迎撃を含む必要な措置を行うことは当然でありまして、十三日においても必要な態勢を構築していたところであります。  この航跡は一回生成されましたが、その後消えています。ただ、その後もずっと監視をしておりまして、その結果、飛来するものがないということを確認して、また国民の皆様にもその旨お知らせしたということであります。  迎撃の機会が生じた場合には迎撃ができるように必要な態勢は取っていたということを申し上げたいと思います。 ○福山哲郎君 これ、落下地点について政府から正式に発表が出ていませんが、落下地点についての把握はされているというふうに思っていいんでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  今月十三日に発射されました弾道ミサイルについては、既に発表しましたとおり、我が国領域内への落下や我が国EEZへの飛来は確認されておりません。  その上で、飛翔の距離や飛翔の態様、そして落下地点などの詳細につきましては、このとき発射されました弾道ミサイルの軌道が飛翔中に変わった可能性も含めまして引き続き分析を進めているところでございまして、分析の結果を取りまとめ次第、速やかに公表させていただきたいと考えているところでございます。 ○福山哲郎君 ということは、まだ今は分析をしている最中で、落下地点については特定、日本政府はしていないということですね。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  現在、様々な情報を基に飛翔距離や落下地点などの詳細について分析をしているところでございまして、この分析の結果を取りまとめ次第、速やかに公表する考えでございます。  現時点で公表できるものはございません。 ○福山哲郎君 韓国の軍の方では落下地点はこの辺だということを発表しているようですので、このずれというか、日にちのずれも含めて分析をしていただいて発表いただければと思いますし、その発表いただければ、日本の領土内に着弾するはずだったのがここに落下していると、そのギャップについてのいろんな解析等もできると思いますので、そこについては、これ実はJアラートを出されて一旦国民に避難をお願いしている限りは、こういったことについてもしっかり説明をしていただかないと不安が広がるので、そこはよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) 委員御指摘のとおりでございまして、我々としてはしっかりとして分析いたしまして、国民の皆様に、先般政府の方で公表いたしました、発信いたしました情報がどうだったということにつきまして、またJアラートの体制も含めまして、御説明をしたいと考えております。 ○福山哲郎君 よろしくお願いします。  もう一点、破壊措置命令は自衛隊法の八十二条の三に基づいて現状は出されているという認識なんです。大臣の記者会見も一応そのようには言っているんですが、若干曖昧な表現をされていまして、破壊措置命令は二〇一六年から常時発令されている状況だということでよろしいですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) この件につきましては、我々とすれば、この破壊措置命令についてはお示しをすることを控えさせていただいておるところであります。 ○福山哲郎君 そして、加えて言うと、二〇一八年の時点で、当時はその破壊措置命令による常時展開を解除したという報道も出ているんですね。これは事実かどうか分かりません。  先ほど、迎撃態勢は取れる状況だったというふうに統括官はおっしゃっておられるんですが、これ、本当に我が国の領土に着弾をしなかったので良かったと僕は思っていますけれども、もし我が国の領土に着弾をされるような事態になると、相手からの攻撃を受けたことになります。そうすると、なぜ迎撃しなかったのかという議論が出てきて、加えて、態勢は本当に取れていたのかと。  二〇一八年の時点で一旦常時展開を解除しているという報道も出ていますので、若干そのことの事実関係を確認したくて今御質問したんですが、お答えになられないと思いますけれども、私の問題意識について、大臣、何かあればおっしゃっていただければと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の点については、我々も常に迎撃できる態勢というのは今回も取らせていただいておりますし、その意味では、あらゆることを想定しながら対応していくということだと思っております。 ○福山哲郎君 これもう衆議院でも議論あったと思いますが、仮の話で恐縮ですけれども、北海道に防衛省の予測どおり着弾をしていたとされたら、これは武力攻撃事態になるということでよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(青柳肇君) 御指摘の北海道に着弾していた場合といったようなその仮定の御質問についてはお答えできないことは御理解いただきたいと思いますけれども、その上で申し上げますれば、いかなる事態が武力攻撃事態に該当するかにつきましては、その時点における国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等を踏まえて、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府としてその持ち得る全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになるため、一概に申し上げることは困難でございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、厳しさを増す安全保障環境の中で、いかなる事態におきましても我が国領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を守り抜いていくため、引き続き様々な努力をしてまいりたいと考えております。 ○福山哲郎君 まあまあそれは当然のことだと思います。よろしくお願いします。  これ、着弾しなかったから良かったんですが、着弾していたら多分大騒ぎです。  先ほど、迎撃の準備の態勢は整っていたと統括官おっしゃったんですが、じゃ、そのときに誰が意思決定をして迎撃をしているのかどうか、意思決定どうしているのか、総理までに上げて意思決定していただく時間があったのか、Jアラートの発出の時間から見てもなかなか厳しいなというふうに率直に思いますので、今回のこのことも含めて、対応については国民に信頼足るように御説明いただきたいと思いますが、どうぞ、統括官。 ○政府参考人(大和太郎君) かねてより申し上げているとおり、命令が出ているか否か、あるいはそういった命令に基づいて具体的に弾道ミサイルの迎撃に鑑みどういった態勢を取っているかということについてはお答えを差し控えたいと思いますが、これは一般論でありますが、弾道ミサイルの破壊措置命令が出ている際には、迎撃の判断というのはBMD統合任務部隊司令官、これは具体的には航空自衛隊の航空総隊司令官でありますが、彼が行うことになります。  繰り返しになりますが、四月十三日の際にどうなっていたかということについては、我が国の、我が方の手のうちということになりますので、ちょっとお答えできないことを御理解いただければと存じます。 ○福山哲郎君 別に正直に言っていただいたから、僕、別に責める気はないんですけど、レーダーから消失した、訂正しますという発表したことでも実は手のうちをさらしたことになるのではないかというふうに実は懸念をしておりまして、そこも含めて、今統括官が言われたことを僕は理解しているつもりですけれども、よろしくお願いしたいと思います。  いろんなことがあって、今日はほかのことを実は用意していたんですが、ちょっと今のこと、気になったので、質問させていただきました。  最後に、外務大臣、日中の外相会談で中国に行かれ、また、先般、ついこの間ですが、G7の外相会談と、本当に日々外交努力をしていただいていることに心から敬意を表したいと思います。また、外相のコミュニケも非常に大部な、詳細なものを発表していただいたことにも御苦労いただいているというふうに思います。  一方で、スーダンの状況もありますので、これも防衛大臣と連携を取っていただいて、邦人保護についても御努力をいただきたいというふうに思っております。  本来、今日実は私聞きたかったのは、今度の質問の機会にやりますが、お手元に資料を配らせていただいているんですが、アステラスの日本人が拘束されていることも含めて、二〇一五年だけでも中国による邦人拘束事案というのはこんなにあるわけです。で、現実の問題として言うと、懲役五年とか六年とか実刑を食らっている場合もあって、今回のアステラスの社員の方について言えば非常に懸念をしておりまして、大臣が中国に行かれて、向こうでこの邦人を返せと、邦人を釈放しろということを強く言われたと思いますが、そのときの中国の対応とか様子とか、これだけ邦人が拘束されると、やはり日本企業も中国に出すに当たって非常にリスクを背負うことになりますし、このそれぞれ拘束されている方々がどれほど法的に根拠があって中国が拘束しているのかどうか等も含めて少し大臣とやり取りをさせていただきたいと思ったんですが、今日はもう時間が来ましたので次回に譲りますが、今後とも是非、まずはアステラスの社員の方の釈放に向けて御努力をいただきたいと申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  先ほど、堀井先生と福山先生からも言及ありましたが、私も、まず、宮古島の陸自ヘリの事故について、任務を果たす中で亡くなられた五名の隊員の方の御冥福をお祈りすると同時に、突然愛する家族を失った御遺族に心よりお悔やみを申し上げます。ほかにも隊員と見られる一名の姿が確認されたということですが、一日も早く全ての隊員が御家族の元に帰られることを私も切に祈っております。  先ほど、大和総括官からフライトレコーダーについての言及ございましたが、報道で私見ただけなんですが、海自ヘリの場合はその防水加工がされているということですけど、陸上の場合は任務が、陸自の場合は任務が主に陸上ということで、その陸自のヘリのフライトレコーダーは防水ではないというようなものも読んだんですが、実際、今回はいかがだったんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。  フライト・データ・レコーダーというのは、音声や飛行に関する各種の情報をデジタルデータとして記録、保存する機材であります。  今般の事故に係るUH60JAという陸自のヘリのフライト・データ・レコーダーというのは、機体内部の後方に設置されております。これは、海上自衛隊、それから航空自衛隊が保有する救難ヘリコプターのUH60JAのフライト・データ・レコーダーとは異なりまして、機体が水没した際に自動で機体から分離して浮遊する、浮上する機能も持っておりません。また、したがって、フライト・データ・レコーダー自身がビーコンなどを発信して自分の位置を知らせるという機能も有していないというところであります。 ○羽田次郎君 そうすると、その防水という面においてはいかがなんでしょうか。例えば、水につかってそのデータが失われてしまうようなことというのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 今私が申し上げたのは、水没した際に機体から分離する機能がないということでありました。  一方で、このUH60JAに搭載されているフライト・データ・レコーダーは、耐衝撃性、それから耐高温耐火性、あるいは耐深海圧性ですね、大きな水圧に耐える機能は有しているところであります。 ○羽田次郎君 本当にフライト・データ・レコーダーがこの事故の原因等を解明する一番の鍵となると思うので、それが何とか早く見付け出されることを祈っております。  それでは質疑に移りますが、林外務大臣、本当、G7長野県軽井沢外相会合、本当にお疲れさまでした。食材ですとかお酒ですとかお菓子に至るまで、ふんだんに地元食材を活用していただいたことを本当に、信州名産の木曽漆器や七味唐辛子をお土産にしていただいたり、食材からお土産まで本当に信州のいい宣伝になったと思います。地元を代表して感謝を申し上げます。ありがとうございました。外務省のウェブサイトには産地やメーカーなどの詳細な情報も掲載してくださっているので、それを見た多くの方が信州各地を訪れていただければ幸いと思っております。  ただ、残念なことに、ジョン・レノンの「イマジン」の演奏というのがされなかったというふうに報道で見ておりますが、ただ、ブリンケン国務長官とフランスのコロナ外相の誕生日祝いをディナーでした際は、万平ホテルのアップルパイ、これジョン・レノンが好きだったということで出していただいたと思うんですが、その万平ホテルにはたしかピアノがあったと思うので、そこで是非弾いていただきたかったなということはあるんですが、それはそれとしてですね。  十八日に発表された共同声明、G7外相コミュニケの中でロシアに対する制裁を強化するというふうにありますが、考えられる制裁強化の内容がどのようなものなのかということと、また、ロシアを支援する第三者に対しても深刻なコストに直面するとありますが、第三者ですとかその深刻なコストというのは何を意味しているのか、御説明いただけたらと思います。 ○政府参考人(池上正喜君) お答え申し上げます。  ロシアによるウクライナの侵略というものは、これまで繰り返しここで御説明申し上げてきているとおり、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を脅かす暴挙であります。この侵略は、主権、領土一体性の侵害でありまして、国連憲章を始めとする国際法の諸原則の違反であるとともに、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦であります。  現在、侵略が長期化する中で、一日も早くロシアによる侵略を終わらせるために重要なことというのは、G7と同志国が結束を維持し、まさに対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していくことであるというふうに認識しております。こういった考え方に基づきまして、今後の制裁措置につきましては、G7メンバーとの間でしっかりと議論をしていく考えでございます。  また、今般のG7外相コミュニケにおきましては、第三者に対してロシアの戦争への支援を停止するよう求め、そうしなければ深刻なコストに直面することとなるということを改めて表明したところでございます。  ここにいう第三者、あるいは深刻なコストといった用語の具体的な内容については、これ明らかにすることは今後の対応に支障を来すおそれがあるため差し控えたいと思います。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、引き続き、関連情報の収集、分析を行うとともに、G7を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、適切に対応していく考えでございます。 ○羽田次郎君 この第三者を明かせないというのは分かるんですけど、この深刻なコストというのは、むしろ抑止の意味でははっきり表明された方がいいような気もするんですが、いずれにしても、まだその広島のG7サミットに向けて詳細は詰めているということですので、またその際の発表というのをお待ちしたいと思います。  共同声明の中にジェンダー平等についても盛り込まれていましたが、G7で唯一LGBTQに基づく差別を禁ずる法令がないこの議長国日本に対して各国から様々な要請があったのではないかと推察しております。  今後、どのように御対応されるお考えか、林大臣に伺いたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) まずは、外相会合に際しまして、知事、そして町長を始め、大変なおもてなしをいただいたことを改めて感謝申し上げたいと思います。  特に、子供たちの絵を表示していただいたり、自分たちで描かれた絵、そしてバイオリンの演奏でお出迎えをいただきました。大変、各国の外相喜んで、子供たちとも、これは予定にはなかったんですが、いろいろと会話を交わしていたのが大変印象的でございまして、信州のおいしいものや、食べ物やお酒に加えて、おもてなしに改めて感謝をいたしたいと思っております。  この外相会合の議論の中身、詳細については差し控えたいと思いますが、我が国としては、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないと考えておりまして、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権、尊厳、これを大切にして、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けまして、引き続き様々な国民の声を受け止めてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  今年、G7議長国を務める日本政府として、こうしたことを改めて国の内外に対して丁寧に説明していく努力、これを続けてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。人権感覚を疑われることがないように早急にお願いしたいということは決算委員会でも岸田総理に申し上げたところですが、是非、林大臣のリーダーシップも期待したいと思います。  次に、先ほど福山先生からも質問ありましたが、私も、四月十三日の朝、北朝鮮から発射された弾道ミサイルについて伺いたいと思います。  同日の当委員会でも関連質問させていただいておるんですが、その後の分析の結果、ミサイルが固体燃料型であったか、又は一段目のエンジンは標準の軌道で、二、三段目がロフテッド軌道であったかという確認はまだ分析中だという御答弁あったと思います。そういう意味では、浜田防衛大臣が十四日の記者会見で、現在分析中でもう少し時間が欲しいというふうにおっしゃっていたんですが、まだその分析結果が出るまで相当な時間が掛かるということなんでしょうか。その辺、時間的な部分ではどうでしょう。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  現在、十三日に発射されましたミサイルにつきましては、詳細につきまして分析しておるところでございます。  今般発射されました弾道ミサイルが固体燃料推進方式の新型のICBM級弾道ミサイルであった可能性、そして複数弾で構成され分離した可能性、そして分離して飛翔中に軌道が変わった可能性含めて、引き続き分析を進めているところでございます。  この詳細な分析につきましては、所要の情報を基に総合的、専門的な分析を行っているところでございまして、一定の時間を要することを御理解いただきたいと思いますが、分析の結果を取りまとめ次第、速やかに公表させていただきたいと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。その分析結果をお待ちしております。  先ほど、Jアラート、エムネットでの直ちに避難、午前八時頃に北海道周辺に落下するものと見られるという発信があって、これらのミサイルについて、三十分以上発信するまでに時間を要しているんですが、その理由については、どうしてこんなに時間が掛かったのかということを教えていただければと思います。 ○政府参考人(大和太郎君) 今般の弾道ミサイル発射事案に関して、防衛省としては、ミサイルの関連情報、これはもう様々なものがございます。これを入手次第、内閣官房に対して直ちに伝達をしているということであります。これは、半ば自動化されたプロセスの中で伝達をしております。また一方で、いろいろな確認も行うということであります。  四月十三日においても、我が国の領域に落下する可能性のあるものを探知であるとか、あるいはこれがまた消失したことなどについて、情報を入手次第、刻々と内閣官房に伝達をしているところであります。  そして、このような様々な情報がもたらされ、いろんな確認が行われる中で、可能な限り速やかにJアラートが発出、送信されたというふうに理解しております。結果として、実際に送信が行われたのは七時五十五分になったということであります。  今後とも、ミサイルによる落下物等の危険性を速やかに国民に知らせるというJアラートの役割を十分に踏まえながら、国民の皆様に迅速かつ正確に情報発信をしていくということについて、防衛省、それから政府全体で不断に検討してまいります。 ○羽田次郎君 是非ともしっかりとした分析もしていただきたいですし、少しでも早いその発出というのを是非ともお願いしたいと思います。  落下地点もまだ分析中というお話でしたし、あと、そもそも最初に、北海道に落下するおそれがあるという、その落下地点についても当然詳細は明かせないというお話で、陸上なのか、海上なのか、若しくはどの地域なのか、せめてその辺だけでも教えていただければなと思ったんですけど、そこもやはり難しいというお話でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) ちょっと補足をいたします。  我が国に飛来する可能性のある航跡というのが生成されたという話をしました。それから、それが後に消失したということであります。  で、言わば非常に限られた情報の中で、こういった我が国に落下するかもしれないというその時点での見積りがありました。  その確度についてはいろいろあり得るんですが、とにかくやはりまず国民の皆様の安全を確保するということを第一義として、いろいろ情報の伝達であるとかの確認等をしたところであります。  全体的な分析の結果については、先ほど増田局長から申し上げたように、今鋭意取り組んでいるところであります。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  十七日に韓国ソウルで五年ぶりとなる局長級の日韓安全保障対話が開かれたと承知しておりますが、これ、ミサイルの発射を受けて開かれたのか、それとも、事前に予定されていた会合で、たまたま新型ミサイルが発射された四日後になったということでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 御指摘の日韓安全保障対話、先月の日韓首脳会談において日韓両首脳が安全保障対話を早期に再開することで一致したということを受けて、四月の十七日に約五年ぶりに実施されたものであります。  この安保対話における北朝鮮情勢の議論というのは、内容というのは、外交上のやり取りであって、いろいろお答えすることは差し控えたいとは思いますけど、議論はしてございます。ICBM級弾道ミサイルの発射を含めて、北朝鮮によるこうした前例のない頻度や態様での弾道ミサイル発射を強く非難した上で、こうした挑発行為は地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威である、かつ国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとの認識を改めて共有したところでございます。 ○羽田次郎君 ミサイルの追尾の情報共有等にそごを来して、そのことを修正する意味も兼ねて開かれたのかなというふうに思いましたけど、そういうわけではないということで承知いたしました。  当初の軌道どおりにもしも北海道周辺に落下することがあったとしたら、本当に大惨事を起こしかねない極めて危険な行為だったと思いますが、政府は北京の大使館ルートを通じたいつもどおりの抗議だったと思いますが、そのレベルを一段上げて、例えば、我が国の国連大使が北朝鮮大使に抗議するとか、国民や国際社会が分かる形でその厳しい抗議を行う必要があったと考えますが、林大臣の御見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) この北朝鮮の弾道ミサイル発射に際しましては、北京の大使館ルートを通じ、そのたびごとに厳重に抗議をしてきております。十三日の発射に際しても、直ちに北朝鮮に対して厳重に抗議をいたしまして、強く非難をしたところでございます。  抗議の形式を含めて、これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、差し控えさせていただきたいと思っております。 ○羽田次郎君 その大使館ルートの抗議については以前も質問させていただいて、ファクスを送っている説もありますし、電話を掛けても出てもらえないという話もありますが、ただ、そうしたことではなくて、やはり、国際社会に訴えるという意味でも、開かれた場所で北朝鮮の関係者に対してしっかりと抗議するという姿勢を見せるべきであったんではないかと思いますが、改めて、大臣、いかがでしょう。 ○国務大臣(林芳正君) 当然、この抗議は、先ほど申し上げたように、厳重に抗議をして強く非難をしているわけでございます。そして、改めてでございますが、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を継続しているということは大変遺憾であります。  この抗議の効果について一概に申し上げることは困難であると考えますが、いずれにしても、今後とも、この北京の大使館ルートによる厳重な抗議、これを適切に実施しながら、米国や韓国を始め国際社会ともやはり協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めまして、北朝鮮の非核化、これを目指してまいりたいと思っております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  十一日の当委員会で、ミサイル攻撃を想定した国内の避難施設やシェルターについて質問をさせていただきました。これに対して、政府から、コンクリート造りの堅牢な建物や地下施設に避難することが有効との御答弁があり、再度私からは、全く思い当たる場所がないような田舎では、ミサイル発射の一報を受けても何もできず、ただ茫然するしかない方がたくさんいらっしゃるんじゃないかという趣旨の発言をさせていただきました。  このことに関連するか気になったんですが、先日、国土交通省が令和四年度特殊地下壕実態調査結果というものを発表されております。令和五年三月時点の全国に現存する地下ごうについて一覧形式で取りまとめたものなんですが、私の地元の長野県にも十八の地下ごうが現存しておって、そのうち危険な地下ごうが三つあったということです。  この調査を行った目的について御説明いただければと思います。 ○政府参考人(菊池雅彦君) お答えいたします。  令和四年度特殊地下壕実態調査は、国土交通省、農林水産省及び林野庁が共同で地下ごうの現況を把握し、災害を未然に防止し、安全対策を推進するため、地方公共団体の協力を得て調査を行ったものです。  戦後約八十年を経て、土地利用の変化や経年劣化等に伴う危険度の上昇、陥没、落盤やその兆候により新たに対策が必要となる特殊地下ごうが確認されるおそれがあるため、おおむね五年ごとに調査を実施しております。  この調査に基づき、国土交通省では、確認された特殊地下ごうについて、陥没等が顕著で危険度が高く放置し難い場合、当該特殊地下ごうの崩壊等による市街地の災害を防止するため、地方公共団体が実施する埋め戻しなどの防災対策に係る費用の一部を補助しております。  以上でございます。 ○羽田次郎君 私としては、長野県で確認された危険なものを除く十五の地下ごうでは、それでどれほどの住民をカバーできるか分かりませんが、それでも現存する地下ごうを強靱化してシェルター化することで近隣住民にとって選択肢の一つとして利用できる可能性がないのかなというふうに考えたんですが、地下ごうがシェルターとして利用できる可能性についての御見解というのがあれば教えてください。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  政府におきましては、令和三年度からの五年間を集中的な取組期間として、緊急一時避難施設の指定に向けた働きかけを行っております。その中で、より安全性が高いと考えられる地下の駅舎や地下街、地下道等の地下施設の指定の促進を重点的な取組事項の一つとして都道府県等に対し働きかけを強めているところであります。  その上で、政府におきましては、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、より過酷な攻撃を想定し、一定期間滞在可能な施設とする場合に必要な機能や課題等について検討を進めているところであります。  議員御指摘の地下ごうにつきましては、安全面での課題が指摘されることもありますが、既存の施設の活用により、より低いコストで求められる効果が得られる場合もあり得ると考えますので、そういった視点も持ちつつ、関係省庁とも連携し、必要な機能や課題の検討を進めてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 本当、全国にある安全が確認されたその地下ごうというのを有効活用できればコスト削減とか住民の安心にもつながると思いますので、是非研究をしていただきたいと思います。  今まさにスーダンからの邦人避難している最中ですが、もしも台湾での情勢が緊迫したときに、邦人のみならず、台湾に在住する多くの外国人の避難も予想されまして、これまで日本政府も各国に対して日本人の避難のときにお願いしてきたという経緯も考えますと、その他国の政府から自国民の輸送とか一時避難を要請されることも想定されますが、日本における外国人の一時避難、一時退避受入れに関して政府としてどのような準備、検討をしておられるのか、教えてください。 ○政府参考人(實生泰介君) お答えいたします。  まず、台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来から一貫した立場でございます。  その上で、あくまで一般論として申し上げれば、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としていかなる事態に対しても対応できるよう、平素からの体制の整備を含め、万全を期していくことは当然でございます。  御指摘の海外からの避難民の我が国への受入れの方針や受入れに際しての具体的な対応ということについては、個別の状況を踏まえつつ、外交的側面のみならず、関係省庁間で連携した様々な観点からの判断が必要な問題であるというふうに考えております。  いずれにしましても、海外から我が国に避難してこられる方々に対しては、その国、地域の情勢等を踏まえて、個々の置かれた状況等にも配慮しながら、関係省庁間で連携して適時適切に対応することが必要であると、このように考えてございます。 ○羽田次郎君 時間となりましたのでここで終わりますが、アフガン撤退のときもかなり混乱した状況になっていましたので、命からがら逃げてくる人は少しでも救助できるようにお願いいたします。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私からも、まず冒頭、陸上自衛隊第八飛行隊のヘリの事故でお亡くなりになりました隊員の皆様に心からの哀悼をささげたいと思います。また、御遺族の皆様にもお見舞いを申し上げたいと思います。  まだ要救助者四名が発見に至らないという御報告を先ほどお伺いしました。一日も早い発見、探索に努めていただきますよう、政府にお願いを申し上げたいと思います。  それでは、早速質問に移らせていただきます。  まずは、十八日まで行われましたG7の軽井沢外相会合、林大臣、大変にお疲れさまでございました。  幾つか質問まずさせていただきたいんですが、開催前から、この軽井沢という場所でなぜやるのかとか、あるいは今回サイドイベントを例えば最小限に抑える、あるいは招待国、広島のサミットの場合ですと、韓国やオーストラリア、ウクライナ、こう拡大した枠でやるという形が今言われているわけでありますが、今回はG7とEUと、欧州という形の限った開催になったというふうにお伺いをしております。  改めて、先ほど羽田委員の方からもありましたけれども、この軽井沢でやった、そしてこの限られたメンバーで濃密に議論したということ、そういったことの今回のこの会合の狙いと、実際にやってみてそれが達成できたのか。コミュニケ読ませていただくと、この文字になったところは我々も追うことができるわけでありますが、その文字にならなかった部分も含めて是非成果を御披露いただけたらと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この四月十六日から三日間にわたりましてG7長野県軽井沢外相会合を開催いたしました。国際社会が歴史的な転換期を迎える中でG7外相間で率直かつ踏み込んだ議論を行いまして、会合の成果として、ちょっと今触れていただきましたが、G7外相コミュニケ発出することができたわけであります。  今回、軽井沢町の豊かな自然の中でG7外相だけで率直な議論を行うということにより、外相同士のきずなを強めることができたわけでございます。こうした豊かな自然の中で外相間の個人的な信頼関係、これをやはり深めるということも軽井沢を選んだ理由の一つでございました。  これ、前にも申し上げたかもしれませんが、去年のドイツのバイセンハウスでも非常に似たような環境で、我々だけで自然に囲まれてということも私も経験いたしましたので、そういう経験からもこういう形が望ましいということで進めさせていただいてきたところでございます。  今回、この二月にミュンヘンで一度会合を行っておりますが、二回目となる対面でのG7外相会合でありました。セッション全体を通じまして、この五月にG7の広島サミットございますので、ここへ向けての我々の間の連携と、こういうものを確認させていただいたところでございます。そして、まさに広島でサミットが開催されるということを念頭に置きまして、核軍縮や不拡散について詳細な議論を行ったところでございます。  さらに、G7として初めて、この日本が重視をしております法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これへのコミットメント、そして世界のどこであれ一方的な現状変更の試みに強く反対するということ、これは文書の形で確認をすることができましたので、こういうことを含めて充実した意見交換行うことができたと考えております。 ○平木大作君 各種会合、今開かれているわけでありますが、とりわけこの外相会合というのは広島サミットに直結する大事なテーマを扱っていただいたというふうに思っております。  そして、ちょっと個々具体の、では、話に移っていきたいと思うんですが、一つは、これ、初日の十六日にはインド太平洋に関するワーキングディナーということで開いていただいて、また、翌日十七日午前にもインド太平洋セッションということで開催をされております。改めて、G7唯一のアジアの国としてこのインド太平洋ということをしっかりテーマに掲げていただいて、また、このG7の中での理解醸成と、そして何よりも、今世界のまさに基軸というか中心になっているG7としてのこの結束をつくっていただくというのはとても大事なことだというふうに思っております。  こういう中で、ただ、いろいろこれまで事前に報道も出てきたわけですけれども、G7、本当は一枚岩じゃないんじゃないかという声を上げるところもあるわけですね。例えば、特に台湾情勢をめぐりましては、さきのフランスのマクロン大統領が訪中された際にちょっと距離を置くような発言をされたということも報道されておりますし、あるいは北朝鮮というところを見たときにも、我々からすると、北朝鮮はとにかく、この二十年ぐらい、もう核の開発、ミサイルの発射も含めて、安保理決議違反をとにかくもうひたすら繰り返している常連の国なわけですけれども、そこの、ただ、付き合い方というのは、恐らく欧州の国、距離が遠いということもあると思いますけど、やはり一様ではない。外交関係がある国もあればない国もあるという中で、どの程度このインド太平洋ということにしっかり関心を持って、かつこれからコミットしていくのか、このことがやはり今回問われているんだろうというふうに思っております。  この点について、大臣から成果ということをお聞きしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 我々、アジアで唯一のG7のメンバーでございますので、このG7の間でインド太平洋についてしっかりと意見交換を行うということが重要だと考えておりまして、今委員からもお話がありましたように、今回の外相会合でも十分に時間を取って議論をしたところでございます。  その際に、私から、FOIP、自由で開かれたインド太平洋、そしてその新プランに関しての日本の考え方についてG7メンバーからの支持を確認をいたすとともに、G7メンバーのそれぞれのインド太平洋地域への関与強化、これも再確認をいたしました。そして、各国外相とは、G7の枠組みにおいてインド太平洋に関する議論を定例化して連携を強化していくと、これでも一致をできたところでございます。  また、台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全と繁栄にとっても不可欠な要素でございます。我が国の従来からの一貫した立場、これはもう台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するということでございますが、今回のG7会合において、改めてG7外相間で、国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性、これを再確認すると、それとともに両岸問題の平和的解決を求めることで完全に一致することができたと考えております。  そして、北朝鮮に関しましては、私から、北朝鮮は十三日のものを含めて前例のない頻度と態様で弾道ミサイルの発射等を行っており、深刻に懸念すると、こういうふうな旨述べたところで、述べまして、G7として北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射を強く非難をしたところでございます。また、G7各国から拉致問題の即時解決に向けた支持、これを改めて表明をされたところでございます。  こうした成果も踏まえて、引き続き、G7や同志国と緊密に連携しながら、インド太平洋地域の課題に適切に対処していきたいと考えております。 ○平木大作君 ありがとうございます。  なかなか、このコミュニケになったもの、文字を読むと、認識で一致したとか、支持が表明されましたとか、重要性について一致したとか、そうなのかもしれないけれども、今後、じゃ、G7としてどう事に当たっていくのかということがなかなかやっぱり伝わりづらいんだろうと思っております。こういう中で、今、このテーマで御議論を定例化していくことも含めて大臣に今リーダーシップを発揮していただいているというふうに御答弁いただきましたので、今後また引き続きよろしくお願いしたいと思います。  もう一問、外相会談について、先ほど林大臣の方からも触れていただきました核軍縮・不拡散に向けてのテーマでございます。  今回、議論に上げていただきまして、この会談の中で一致点、G7としてどういったところを確認できたのかということと、あわせて、この核の問題を扱う上ではどうしてもこのG7の関係国だけでは収まらないわけですね。一つは、やはりこの核による今威嚇を行っているロシアということがありますし、もう一つは、この透明性向上の議論にどうしても背を向けている中国をどう我々の議論にのせていくのかということが、巻き込んでいくのかということがやはりこれからの核管理においても極めて重要だというふうに思っております。  この会合の成果ということとともに、ロシア、中国とどうこの核に向けて、まあある意味話合いを進めていくのか、林大臣の見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国といたしましては、従来から、アメリカ、そしてロシアと中国、ここを含む関係国をしっかり巻き込んだ形で軍備管理・軍縮を取り組んでいくと、これが重要であると考えてきております。  こうした考え方の下で、中国も参加しているASEAN地域フォーラム閣僚会合の機会、こういったところも活用して、地域における核戦力の透明性の向上、これに向けまして、中国が核兵器国として、また地域の重要なプレーヤーとして積極的な役割を果たすことを期待するという立場、そして核軍縮を進展させるアレンジメントに貢献するようにという呼びかけ、これを累次の機会に明らかにしてきております。  このG7外相会合後に出したコミュニケにも、核兵器のない世界に向けたG7としてのコミットメントを改めて確認した上で、ロシアによる新STARTの履行停止決定への深い遺憾の意、そして中国の核戦力の拡大に対する懸念、これを共有して、中国の核兵器の更なる透明性を通じた安定性の促進、これを強く求めるということをしております。  核兵器のない世界を実現するためにはやはり核兵器国を巻き込んでいくと、これが非常に不可欠でございまして、我が国は唯一の戦争被爆国として核兵器国を実質的な核軍縮に一層関与させるように努力をしていかなければならないと思っております。  引き続き、唯一の同盟国である米国との信頼関係、これを基礎としながら、現実的かつ実践的な取組を進めていくとともに、委員からもお話があったように、中ロ、これを巻き込む形で軍備管理そして軍縮に係る取組、これを進めていきたいと考えております。 ○平木大作君 関連して一問、これ外務省にお伺いしたいんですけれども、これまで核を語るときに必ず、世界の核弾頭の九割以上は米ロで持っているんだと、だからこの米ロ二国をしっかりまず議論に巻き込まなきゃいけないんだということがよく言われてきました。今これに中国が加わりつつあるわけでありますけれども、今々の時点でいきますと、この中国が核弾頭の数増やしてきたこともあって、今、核弾頭九割をどうも米ロは切っているんじゃないかとかということが一つ言われているわけですね。  これ、実は中国だけの話ではありませんで、今回もG7の外相会合参加された国の中にはアメリカ、フランス、イギリスと核保有国が入っているわけでありますけれども、ちょっと私気になっているのは、イギリスが実は一昨年、この核の核弾頭の数を、上限を二百二十五発から二百六十発に引き上げるということを表明しています。  これ、理由は中国やロシアの脅威に対処するためということなんですが、ある意味、この核保有国の間にしっかりと日本が働きかけながらこの核軍縮の在り方リードしていかなければいけないということもあるわけですけれども、同時に、核を持たない国、非核兵器国の理解も得ながらこれ当然やっていかなければいけないわけであります。こういう中にあって、この英国が核保有国として、今、ある意味、安全保障上のリスクは高まっているから自分の国は増やしますというのは、端的に言うとNPTの第六条違反を言われても仕方ないような状況なんだろうと思っております。  こういうところも含めて、しっかりと国際社会の理解を得られるような取組、これ日本がリードしていただきたいと思っているんですが、この点、外務省の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  今回のG7の外相会合、当然のことながらイギリス、フランスの代表者も含めて外務大臣同士で率直な意見交換を、率直な突っ込んだ議論をさせていただいております。そのようなアメリカ、イギリス、フランスを含むG7メンバーと議論を行った上で、先ほど大臣の方から御答弁申し上げたとおり、核兵器のない世界に向けたコミットメントを改めて確認をしたというのがこの外相会談後のコミュニケのメッセージでございます。その中で、先ほど、ロシア、それから中国についての牽制、非難のメッセージも併せて含んであるということでございます。  それから、委員も御案内のとおり、イギリス、フランスとの関係では、昨年の十二月に、去年については昨年の十二月に、国連総会の本会議において、日本が毎年提出をしておりますいわゆる核廃絶決議、核兵器のない世界に向けた共通のロードマップ構築のための取組と題する決議案、これについては、アメリカ、それからイギリス、フランスについても同意、賛成を得て、様々な立場の国々の支持を得て採択をされてきているということがございます。  こういった取組を通じまして、引き続き、同盟国であるアメリカとの信頼関係を基礎として、イギリス、フランスとも連携して、現実的かつ実践的な取組を進めていくということで頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。  以上です。 ○平木大作君 これ、イギリスも、いわゆる上限の数を引き上げるということでありますから、純粋に実はそのまま増やしたということではないということも私も理解をしております。  その中で、やはりこれは、今の国際賢人会議の前の賢人会議ですね、あそこでもやはりありましたけれども、核抑止は危険な基盤だということを、まさにある意味危機が高まっている中で、結局その抑止をし合うために増やさなければいけないという逆の方向に今働きつつあるということだと思っています。これを、やはりしっかりと国際社会にも理解を得られるような形で議論、日本がリードしていただきたいというふうに思っております。  もうちょっと質問用意しておりましたが、時間になりましたので終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○金子道仁君 おはようございます。日本維新の会、金子道仁です。  冒頭、両大臣に御質問いたします。  今般、防衛費の大幅な増額のため、政府は今後、その財源の一部を増税によって国民負担をお願いする、そのことを視野に入れていると理解しております。  先般の財務省の報告では、国民負担率、現在が四六・八%、これに財政赤字を加えた潜在的な負担率は五割を超え、五三・九%です。このような状況の中で、国民に負担をお願いする前に、我が党としてはまず徹底した歳出削減を図るべきだと訴えております。そして、行政に対して徹底した歳出削減を求める前に、まず我々立法府の人間が自ら歳費削減等無駄を省く努力、姿勢をしっかりと打ち出すことが必要だと考えます。  我が党は、昨年、旧文通費の改革を提案し、昨年の国会中に案がまとまり、そして昨年の国会中に結論を得るとの与野党合意がなされました。そのように承知しております。ただ、その後、この約束が果たされていないまま現在に至っている。これでは、歳出削減の努力をしますと言いながら、我々の立法府の人間としての覚悟を示せない、そして、やるやると言いながらやらないという、政治不信を増長させてしまうんではないでしょうか。  岸田内閣の中で責任ある、また与党の重鎮である両大臣に、この問題を放置したままでよいかどうか御意見を賜りたいと思います。お願いします。 ○国務大臣(林芳正君) 御指摘の調査研究広報滞在費につきましては、議会政治や議員活動の在り方に関わる重要な課題でございまして、各党会派において御議論いただくべき事柄だと考えております。  是非、国民の皆様から御理解いただける合意に至るように、議論が進むことを期待をするところでございます。 ○国務大臣(浜田靖一君) 同じくでございますが、御指摘の調査研究広報滞在費については議論が今行われていることと思っております。この点については各党各会派において御議論いただくべき事柄であると認識をしております。  国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、議論が更に進むことを期待をしているところであります。 ○金子道仁君 私は昨年当選したばかりで、その過去の経緯ということはよく、そこの場所にいたわけではないんですけれども、もう議論は経て合意が得られたというふうに理解しておりますので、是非それを前に進める、約束したことはしっかり行うということが我々立法府がその政治不信を国民から取り除く大事な姿勢だと思いますので、是非両大臣の、与党の議員としての立場として、是非前向きにこちら取り組んでいただきたいということを冒頭にお願い申し上げます。  最初に、防衛装備品の開発、生産基盤の強化法案、まだ法案審議に入っておりませんが、防衛産業の強化のための法案として非常に重要であると思いまして、今回質問させていただいております。  今回の様々な要素の中の一つとして、防衛装備品等の契約における秘密の保全措置が今回変わるということで、二十七条、二十八条で、こちらについて、今までは契約上の守秘義務しか掛かってこなかった、これを法律上の守秘義務に変えるというふうに説明をいただきました。  これは、もう既にある特定秘密保護法との関係はどのような位置付けになるんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  特定秘密保護法が対象とする特定秘密は、我が国の安全保障に関する情報のうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿する必要がある情報を対象にしており、これを漏えいした場合には十年以下の懲役などが科せられるほか、各府省職員や契約事業者など幅広い対象範囲を前提にした政府共通の保全措置として設けられているものでございます。  これに対しまして、今般の装備品等契約における秘密の保全措置でございますが、これにつきましては、特定秘密に比べて秘匿性の低いいわゆる省秘レベルの情報でございまして、これを漏えいした場合は一年以下の懲役などが科せられるというほか、装備品等に限定された情報を対象にすることとしております。  したがいまして、本法律案が装備品等の開発及び生産の基盤を強化する趣旨であることを踏まえつつ、装備品等秘密に係る保全の強化が契約事業者の基盤の強化にもつながることから、本法律案において措置することとしたものでございます。 ○金子道仁君 御説明ありがとうございます。  配付資料のところに今の説明の内容、書いてあるかと思います。まさにこの省秘の部分で今回措置というところ、これが今回の法案で手当てされる部分で、特定秘密、特定防衛秘密については既に手当て済みで、省秘の部分、保秘のランクの低いものについても今回手当てをすると。  しっかり手当てをすること自体は良い方向性ではないかと思います。ただ、安全保障上最も重要と思える防衛装備品に関して、今まで措置をしていなかったものを今回措置をとるということについての立法事実は何なんでしょうか。従来の契約上の保秘義務では不都合な事案が生じたから今回措置をとるのか、それとも、国際的なスタンダードとしてこれが常識的な法体系だから我が国もそれに合わせたものなのか、その辺りの背景をお聞かせください。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  近年、安全保障環境が厳しさを増し、防衛産業においてもサイバー攻撃の脅威などのリスクの増大が見られ、また、諸外国からの装備品等の導入や共同開発の進展に伴いまして、これまで以上に契約事業者が取り扱う装備品等に関する情報管理の徹底が必要となっております。特に、防衛省から提供した秘密情報を含む装備品等の情報が万が一契約事業者を通じて漏えいした場合、我が国の安全保障上の影響や諸外国からの信頼喪失につながり、その後の装備品等の開発や調達に多大な支障が生じることとなります。  このため、防衛産業の保全制度の一層の強化のため、契約事業者に提供する装備品等秘密に関しまして、これを取り扱う従業者に対する守秘義務を法定化した上で、これを漏えいした場合の罰則を設け、保全の強化を図ることとしたものでございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。今御説明の中にあった万が一ということで、実際に問題が起こったわけではなく、転ばぬ先のつえとして措置をとっているものだと理解しております。  今回の防衛装備品等の基盤強化の法案、全て新しい試みだと思いますので、全てのこういう施策についてもPDCAサイクルをしっかりやりながら、これで決まり、これで固まったということではなく、より良い体制を目指していくということで、私たちも見守らせていただきたいと思っております。  サプライチェーンの調査について、第八条で書かれています。非常に重要な情報を防衛省として徴取したいという意図は分かるんですが、今回の企業の回答は法的義務ではなくて努力義務となっています。一段ちょっと義務の力が弱いわけですが、法的義務でない努力義務にしたその意図を御説明ください。 ○政府参考人(土本英樹君) サプライチェーン調査に関する御質問でございますが、サプライチェーン調査を努力義務としたことに関しまして、まず、調査の根拠というものが法律に明記されることで、企業の方がこれに応じるべきと考えることが期待されるということにまずなるところでございます。  さらに、防衛省の職員による自衛隊法第五十九条第一項に規定する通常の秘密の漏えいの場合の法定刑が一年以下の懲役又は五十万以下の罰金であることと比較して、本法律に規定するサプライチェーン調査の結果の漏えいは、法定刑がより重い二年以下の懲役又は百万円以下の罰金としておるところでございます。このため、自衛隊法上の規定よりも厳しい罰則の下で回答結果が管理されることになりまして、企業が安心して回答できる環境が整い、企業側の協力を促進することとなると考えているところでございます。  さらに、サプライチェーン調査に応じた企業が装備品安定製造等確保計画の認定を防衛省から受ける際に、この調査への回答内容から判明した様々なリスクの存在とかそのリスクの重大性を防衛省として考慮することが可能となります。そのため、企業側としましてサプライチェーン調査へ回答する動機付けとなり、この点からも調査の実効性は確保されることとなると考えているところでございます。 ○金子道仁君 防衛産業の強化のために、今回の法案では、サプライチェーンの強靱化のために防衛省がお金を出してしっかりと安定したサプライチェーンを守っていくということ、この方向性は非常に優れていると思います。  ただ、もう既に今、現時点で行っているサプライチェーンの調査に関しては、先般のレクでも二割から三割ぐらいの回答しかないと。防衛省として十分に把握ができていない中で、今回そのサプライチェーンを強靱化するためにお金を出す、その計画を認定するというのは少しまだハードルが高いのかなと思うんですね。  防衛大臣が、今後、民間企業の方から装備品安定製造等確保計画を認定してほしいと認定の申請が出された際に、実際どういうサプライチェーンがそこにあるのかが分からなければ、認定すべきかどうか判断は難しいと思うんです。そのサプライチェーンについての情報は非常に重要な判断材料になりますけれども、例えばこの計画を提出する事業者が、サプライチェーンの回答に関しては、努力義務ではなくて前提条件というか法的な義務にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  本法律案におきましては、サプライチェーン調査というものは、制度上、装備品安定製造等確保計画の認定の前提条件とはしていないところでございますが、サプライチェーン調査の結果により判明した先ほど御説明しましたようなリスク等が防衛省による計画認定の際に考慮されることになります。  したがいまして、この点につきまして、防衛産業側にしっかり周知いたしまして、調査の実効性が確保できるように努めてまいる所存でございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  この点に関しても、やはりPDCAが必要だと思います。  今は想定されてないと思いますが、これ質問ではありませんけれども、そのサプライチェーンの調査を粉飾したと、民間側が、そんなことがあって、それを防衛省の方が見抜けないでそのまま認定したりしたらえらいことになりますので、やはり私としては、このサプライチェーンの報告、これ情報漏えいが、防衛省の方は罰則があるけど、民間の方は罰則がないというのが今の時点の現状だと思います。もちろん、協力を広げていくという点では少しずつステップ、ステップを踏んでいくということではあるとは思うんですけれども、同じ条件でしっかりとしたサプライチェーンの情報を確保した上で、それを防衛省としてしっかりと支援していくという体制は今後必要なんではないかと私の方は考えております。  続いて、今度は、防衛装備の移転の円滑化に関しての基金の創出の部分、これもこの法案の中、入っております。いろんな内容がたくさん入っていて、すごい難しいなと思いながら勉強させていただいておりますが、今回の基金の設立に関しては、どのような法人がこの指定支援法人になることを想定しているのか、まず第一点、お聞かせいただきたいのと、今回の基金の設立の目的というのは、防衛装備品を海外に移転する際に、防衛省の方が、そのまま移転してはいけないと、この重要な情報に関しては仕様を変えたり性能を変えたりして重要な情報が外に出ないように防衛省の要請で装備を修正していく、そのための費用を民間ではなくて防衛省の方で、防衛省というかこの基金の方で手当てをするというのが今回の基金の設立の趣旨だと思っております。  この設立趣旨はよく分かります。これを通して民間の企業が装備移転をもっと円滑にしていく、海外に売り込みやすくしていく、そして基盤を強化していく、この趣旨はよく分かるんです。  ただ、将来的には、この民間企業が補助金を受けなくても自主的に持続可能な経営を目指すべきだと考えております。こうした基金が未来永劫続く、補助金がいつまでも入るということが前提となった企業運営をすると、依存が出たりとか、イノベーション、企業努力がそがれたりする危険性もあるんではないかと思うんです。  企業の予測可能性、予見可能性、将来の防衛産業の将来像というものを見たときに、補助金を逐次こつこつと投入して永劫続けていくのか、短期的に集中して入れて、そして将来的にはもう補助金なしで動けるような、そのような民間企業、防衛産業をつくっていくのか。そういう姿を防衛省としてどういうことを考えているのかがこういう基金の運営に関わる方針ではないかと思っております。  今回の基金について、政策目標が達成されたら解散する、そういったことも視野に入れておられるんでしょうか。お聞かせください。 ○政府参考人(土本英樹君) 委員御指摘のまず第一点目、指定法人の関係でございますが、この指定法人につきましては、本法律案をお認めいただいた場合には、その施行後、装備移転支援業務を行うことができる法人を公募により募集いたしまして、その中から、必要な経理的、技術的能力を有するなどの要件を満たしており、当該業務を適正かつ確実に実施できる法人を防衛省において指定すると、こうなっているところでございます。  また、第二点目の基金の関係でございますが、基金が費用を助成することとなる仕様等調整とは、装備移転に当たりまして、防衛大臣の求めにより相手国との防衛協力の内容に応じまして安全保障上の観点から適切なものとするために講じられる措置でございまして、装備品の円滑な海外移転の実施に必要なものと考えているところでございます。  御指摘の基金の必要性などに関しましては、まず本法律案におきましては、毎事業年度、基金に係る業務に関する報告書を指定法人が作成いたしまして、これを防衛大臣に提出すると。防衛大臣はこれを国会に報告するということになっております。このほか、行政事業レビューの枠組みの下においても、基金シートを公表し、行政改革推進会議で検証することとされております。  防衛省といたしましては、まず、こうした枠組みの下、基金の透明性の向上や検証、評価に取り組み、基金の効果的かつ効率的な活用につなげていくことが重要と考えているところでございます。その上で、装備移転に係る官民連携の在り方については不断に検討してまいる所存でございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  基金をつくる、防衛省として大事な一歩だと思うんですけれども、政府全体からすれば、やはり基金がどんどん増えていく、そして政策目的が達成しても基金が残り続けるというのは財政の肥大化にもつながっていくと思いますので、やはり我々としては、つくって、そして目的が達成されたらその後どうするのかということもしっかりと念頭に入れて、また防衛産業をどういう姿にするかということも考えながら基金の運用を是非お願いしたいと思います。  続いて、いつもさせていただいていますが、開発協力大綱について質問をさせていただきたいと思います。たくさん聞きたいことあるんですが、今日、また来週の決算委員会でも続けて御質問したいと思っております。  今日はオファー型の協力の推進についてお伺いしたいと思います。  今回の大綱案の中でこのような記載が入りました。共創の中で、共創というのは共に創るの共創ですね、の中で生み出された新たな社会的価値や解決策も活用しつつ、ODA、OOF等様々なスキームを有機的に組み合わせて相乗効果を高め、日本の強みを生かした魅力的なメニューを作り、積極的に提案していくオファー型協力を強化するという内容です。  今回、このオファー型協力というのが大綱に初めて入ってきたと思いますけれども、大綱にこの記載を盛り込んだ問題意識について、まず大臣にお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 新たな開発協力大綱案では、このODAとその他公的資金等様々なスキームを有機的に組み合わせていわゆる相乗効果を高めて、日本の強みを生かした協力メニューを積極的に提示するオファー型協力、これを打ち出しておるところでございます。  このオファー型協力でございますが、我が国の外交の最も重要なツールの一つであるこのODA、開発協力を一層戦略的に活用するために、我が国の強み、これを生かした能動的な協力、これを展開するための取組として盛り込まさせていただいたところでございます。  こうした取組を含めて、新たな大綱の下でこれまで以上に付加価値のある開発協力を進めてまいりたいと思っております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  大臣が今おっしゃられた能動的な協力、これ非常に大事だと思います。我々が、限られた大事な予算で付けていただいたODAを戦略的に実施していくためには、受け身ではなくて積極的に、能動的に提案をしていく。  ただ、それをするためには、相手国との対話、協議、これをしっかり行うこと、そして、相手国がどんなニーズを持っているのか、一方的な押し付けのようなオファーではなくて、本当に喜ばれる、意義のある、そのような提案をしていくための情報収集能力が欠かせないと考えます。そのための人や組織を広げていくことが重要なんではないかと思うんです。そういう点についても、民間企業、またNGO等の市民社会、CSOと連携していく、得意分野に特化して役割分担をしていくことが重要だと考えます。  案件情報を集めたりオファー内容を作成したりすることについて、将来的に外務省、JICAというのはどのような役割を果たすべきなのか、政府の見解、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) この今回の案におきましては、この共通の目標の下で、民間企業、また市民社会、今お触れになっていただきましたような様々な主体がまさに各々の強みを持ち寄って、対話と協働によってこの解決策を共に創り出す、共創、共に創るですね、共創を掲げております。  このオファー型協力は、こうした共創の中で生み出された新たな社会的価値、解決策、こういったものを活用しつつ、ODAとOOF等様々なスキームを有機的に組み合わせるものでございます。民間企業や市民社会のそれぞれの強み、これを活用することによって、より効果的かつ効率的な支援の実施が可能になると考えております。  このオファー型協力の具体的な実施の在り方については、現在、政府、JICA内で調整を行っているところでありますが、今委員からも大事な御指摘をいただきましたので、それぞれの強み、これを最大限に生かせるそうした具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。 ○金子道仁君 これからオファー型協力の実施体制については検討が進むということですが、官民の連携でとどまらないで、官民の分担という具体的な実施方法について役割を明確にしていく、それを分掌化していくことが今後の運用の大事な指針になっていくと思います。是非御検討いただければと思います。  開発協力大綱にはない話ですけれども、このOSA、政府安全保障能力強化支援についても少しお伺いしたいと思います。  今年度、二十億円の予算措置がなされ、初めてこういったものが執行されるわけですけれども、今まで、非軍事原則に基づいて、軍等が裨益者となるODA無償協力は限定的でしか行われてこなかった。そうした中で、今回二十億円の予算執行を見込めるだけ案件要請というのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  OSAは、これは我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することによって、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際的な平和と安全の維持強化に寄与することを目的とする、新たな無償による資金協力の枠組みとして導入したものでございます。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  昨年末閣議決定された国家安全保障戦略においてOSAの創設の方針が示されて以降、各国の軍、政府からOSAによる支援の可能性について照会、要請が寄せられておりまして、一定のニーズがあるものと考えております。  今年度につきましては、まずはフィリピン、マレーシア、バングラデシュ及びフィジーを対象として、警戒監視等の海洋安全保障分野の能力向上に資する機材供与、これを想定した専門的な調査を外部事業者に委託して行うこととしております。 ○金子道仁君 御説明ありがとうございます。今のような話で、案件は既にある程度想定はされているということは理解しました。  ただ、今後、こういったOSA、これもまさに始まったばかりで、質の高い良い案件をしっかりとつくっていく、これも将来的にはオファー型が必要なのかと思うんですが、果たして、今までこういう案件について取り扱ってこなかった、ODAしか扱ってこなかった大使館体制、JICAの体制でこういう案件をしっかり状況を把握したりすることは可能なのかどうか。今挙げられた四つの箇所に防衛駐在官がおられるかどうか、その辺りはここではお伺いしませんが、そういう防衛駐在官がいる大使館であればまだいいかもしれない。でも、そういった大使館員もいない中で、どうやって特にこの太平洋諸国でOSAを実施していくのか、少し不安を感じております。  果たして、そのような相手国との連携、調整というのは可能なんでしょうか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  外務省といたしましては、先ほど申し上げたOSAの目的、これを達成するために、相手国政府と協議を行いつつ、我が国の安全保障にとって意義のある案件を形成し着実に実施していくこと、これが非常に重要と考えております。そのために、委員御指摘のとおり、適切な体制整備を努めていく考えでございます。  特に、相手国との調整の最前線となる在外公館におきましても、安全保障協力に関する専門的知識を有する防衛駐在官を始め関係職員が連携し、各国と緊密に協議を行っていく考えでございます。  外務省といたしましては、関係省庁とも緊密な情報共有や協議等を行いつつ、適切な体制整備に努めてまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 時間がもうすぐなので、次のモニタリングのところはまた次回に回したいと思いますけれども、現在、ODAですらモニタリングが年に一回ぐらいの頻度というふうに理解をしております。年に一回というのが、連携として、対話として本当に十分な頻度なのか。私、キリスト教会の牧師をしていますが、月に一回会って話をしないと関係が切れると言われるんですね。人と人とのつながりをぎりぎり保つのが一か月に一回会うという頻度だそうで、それは、問題があったら会うんじゃなくて問題がなくても会うというのが連携だと思うんです。対話というものだと思うんです。今の体制で、既にもう対話がかなり厳しいほど大使館員が業務過多になっている中で、さらに新しいOSAというものをしっかりやっていくことについて、また次回議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  私からも、陸上自衛隊第八師団第八飛行隊ヘリの航跡失消事案について、お亡くなりになられた隊員に心から哀悼の誠をささげ、御家族の皆様方に御冥福、お見舞いを申し上げたいと思いますし、いまだ発見に至っていない隊員の一日も早く御家族の元に帰れることを祈念しております。関係各位に心から感謝申し上げて、質問に入りたいと思います。  大臣、G7の外相会談、お疲れさまでございました。G7が協力して中国抑止への関与を強化するとともに、インドなどの新興国との連携を強化することが確認されたこのG7外相サミットは、極めて意味のあるものだったと思います。大臣は記者会見で法の支配を強調されまして、法の支配がグローバルサウスに働きかけるキーワードと説明をされました。全くの同感でございます。  他方、私は、この法の支配という言葉に並ぶもう一つのキーワードが人権だと思います。この我々にとって重要な価値観である人権をやはり大事にするということでございますが、外務大臣には、一番最後に、今日の質疑を聞いていただいて、この人権外交並びに私が問題提起する問題についての御答弁、御所見をお伺いできればと思うので、少し議論を聞いていていただきたいと思います。  ロシアによるウクライナ民間人への攻撃や北朝鮮の様々な諸問題、そして中国による香港、ウイグル、チベットにおける人権侵害、大変ゆゆしき問題がございますが、我々こそ、様々な人権問題を対岸の火事ではなくて、我々国内の人権問題もしっかりと対応することによって、日本の外交に対する見識の高さ、日本の人権外交のレベルの高さをしっかりと示していく必要があろうかと思います。  今日御質問させていただきたいのは、ハンセン病の問題でございます。  今日は、本田政務官、厚生労働省から来ていただきましたが、実は現在、私は熊本の金子恭之先生が会長をされているハンセン病対策議員懇談会の副会長をさせていただいておりまして、加えて、かねて鹿児島の森山裕先生が会長をお務めになっているハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会の事務局長をそれぞれ仰せ付かっております。  それぞれ、我々議員の地元にはハンセン病患者の国立の療養所がございまして、改めて我々が、日本国政府のみならず、我々立法府を含めた全ての関係者が国の過ちを真摯に反省して、ハンセン病とその家族の皆様の人権、そして人間としての尊厳を少しでも回復させたい、その一念で我々議員懇は活動しているところでございます。  私の地元静岡にも二つの療養所がございまして、両方とも御殿場市にあるんですけれども、一つは国立駿河療養所、もう一つは民間なんですが、神山復生病院というのがございます。  国立の駿河療養所は、一九四四年、昭和十九年に設立されましたが、その起源は、旧陸軍、海軍での軍隊内での発症したらい病患者のための施設でございまして、軍人専用の傷痍軍人駿河療養所がその前身でございました。  もう一つの民間の神山復生病院は、一八八九年、何と明治二十二年に静岡県御殿場市の神山という地区に設立された、日本に現存する最古のハンセン病療養所でございます。これは、カトリック男子宣教会でありますパリ外国宣教会の牧師でいらっしゃるテストウィード氏によって設立されたんですけれども、神山復生病院の復生というのは、再び生きるという意味でございます。  これら二つの療養所の話をたくさんしたいんですが、私に与えられた時間はいつも十五分で、今日ちょっと長くて十八分でありますので、少し省きたいと思いますが、何度も繰り返しますけれども、ハンセン病とですね、その家族の皆様がどれだけの人権じゅうりんに遭って、筆舌に尽くし難い苦難の人生を歩み、そして今なお歩んでいると。それを我々政治家は決して忘れてはなりませんし、大臣を始めとする行政府の皆様方も、絶対に過去の過ちを今のこととして受け止めていただきたいと思います。  二度と同じ過ちを繰り返さないということは言うまでもないんですけれども、当事者の皆さんからしたら一度しかない人生でございます。もう取り返しの付かないことになっておりますから、我々がしっかりとこの問題に真摯に向き合っていきたいというふうに思います。自分自身の戒めとして、これはいつも思っていることでございます。  そこで、厚生労働省にお伺いしますが、ハンセン病家族訴訟勝訴判決と家族に対する補償支給金について説明を願えますでしょうか。 ○政府参考人(鳥井陽一君) お答えいたします。  御指摘の熊本ハンセン国家賠償請求事件における令和元年の熊本地裁判決で、国の隔離政策がハンセン病元患者家族に対する差別被害を発生させたこと等を理由に、厚生大臣において隔離政策等の廃止義務違反や偏見、差別の除去義務違反があったこと、法務大臣及び文部科学大臣において、平成八年から平成十三年末まで、患者家族に関する偏見、差別を除去するための人権啓発活動、教育等を実施するための相当な措置を行う義務に違反があったことなどを認め、原告らが差別を受ける地位に置かれ、また家族関係の形成を阻害されたとして、原告の損害賠償請求権が一部認容され、国の一部敗訴判決で確定したものでございます。  政府といたしましては、この熊本地裁判決に対し控訴を行わない旨の決定をし、訴訟への参加、不参加を問わず、家族を対象とした新たな補償措置を講ずるための検討を早急に開始する旨を盛り込んだ総理大臣談話を発表したところでございます。  その後、御承知のとおり、超党派の議員懇談会における補償措置の内容の検討を経まして、令和元年十一月十五日、議員立法によりハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律が成立をいたしまして、同法に基づく補償金支給制度を同年十一月二十二日から施行しているところでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  それでは、ハンセン病元患者の家族の総数と、家族補償金の申請件数並びにその認定件数を教えてください。できれば割合もお願いします。 ○政府参考人(鳥井陽一君) 御指摘の元患者家族の総数でございますけれども、かつては入所者を中心に把握を行ってはいましたけれども、元患者一人一人の家族構成やその年齢構成の把握までは行っておりませんでした。このため、現在生存されている元患者家族の総数は不明でありますので、それは御理解をいただきたいと思います。  補償金の支給状況でございますが、本年、令和五年四月十日現在の請求件数は七千九百五十八件、そのうち認定件数は七千六百九十七件でございます。創設時、補償金の創設時に見込んでいた認定件数は約二万四千件でございまして、したがいまして、現時点における認定件数はその約三割程度となってございます。 ○榛葉賀津也君 申請が出ているのがやっぱり三割程度なんですね。当初の予想を大幅に下回っているわけでございます。  実は、静岡にあるこの二つの療養所を定期的に犬や猫を連れて慰問に行ったり、静岡県内外でハンセン病に対する絵画展であるとか療養所の皆さんが望郷の念で描いた絵を展示するような様々なイベントを行っているNPO動物介護活動ぷらすという団体がありまして、実は私もそのメンバーの末席に加わっているわけでございますが、御高齢になった施設の入所者のおじいちゃん、おばあちゃん、入居者が御高齢ですから、そのわんちゃんたちに会うのをとても楽しみにされているんですね。  その代表が伊東郁乃さんという方なんですが、伊東さんが施設にいる九十二歳の元家族の方と会ったんですが、申請を拒否されるんですね。なぜですかと言うと、今更要らないと。そして、それ以上に理由が、世間に知られたら困るというんですね。御自身や家族の秘密は絶対に守るからと、代わりに弁護士がやるんでと何度も何度も説得して、やっと申請に応じてくれました。  この経験から、ホームページでどれだけ掲載、広報しても、やっぱり駄目なんです、御高齢ですから。私、誰かのために本気になってやるということは、その想像力と当事者意識をしっかり持つことが大事だと思いまして、私自身が大変情けなく思いました。  そして、申請しないもう一つの大きな理由が、加害者意識なんですね。御自身たちが圧倒的な被害者であり犠牲者にあるにもかかわらず、自分たちのせいで一族郎党、家族に迷惑掛けてしまった、これ以上掛けられないという、犠牲者意識であると同時に加害者意識。私、これを知ったときに、いたたまれなくなりました。  それで、伊東さんたち代表がたどり着いた方法が、極めてアナログなんですが、各市町村の広報紙なんです。今日、鳥取県の広報紙、県の広報は厚生労働省も頑張ってくださって、県は、鳥取県や各県、こういうふうに載せてくれているんですけれども、是非、本田政務官、県の広報紙、やっぱり遠いので、各基礎自治体、市町村の広報紙に是非これを載っけるなどの啓発活動を是非お願いできないでしょうか。  実は、我々、全国四十七都道府県に全てアンケート調査行いまして、返信が四十都道府県からありました。埼玉、香川、熊本県は知事御自身が御回答してくださって本当に頭の下がる思いでしたが、他方、残念ながら、療養所のある東京と群馬からは回答がありませんでした、ちょっと残念でしたが。鳥取県は、制度の認知不足による不利益が生じないようにすることが大事だというごもっともな御意見を賜りまして、誰一人取り残さないようにという行政の基本姿勢が鳥取県の回答から感じられました。一番多かったのが、厚生労働省からの協力依頼に基づきたいというものなんですね。これ、決して消極的に言っているんじゃなくて、国からの指示があったらもっとやりやすいという意味だと思うんです。  政務官、是非、一歩踏み込んで、市町の自治体、基礎自治体で広報紙を掲載していただくような技術的助言であるとか通達というのは出せないんでしょうか。 ○大臣政務官(本田顕子君) 榛葉先生にお答え申し上げます。  先生が今おっしゃったように、これまで厚生労働省でも広報活動を行ってまいりました。それは、ホームページであるとか、四十七都道府県、そうしたハンセン病療養所所在の自治体における広報紙への広報掲載、新聞や公共交通機関、ウェブ等による広報も行ってまいりました。  しかしながら、先ほど先生が御指摘あったように、例えば新聞の広報に掲載を、公共交通機関に載せていると、立ち止まって見ていると自分がそういう家族であると分かってしまうために、立ち止まって見れないというような声もございました。  ですから、情報にしっかり皆様にたどり着いていただくように、まずは電話をしてほしいということで、電話番号も掲載して広報活動をこれまで行ってまいりましたけれども、更なる周知、広報として、事務連絡等により、榛葉先生御指摘のように、市町村の広報紙への掲載も含め、周知、広報をより一層推進していただくように自治体に対して促してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 そうなんです。本田政務官の御地元の熊本にも菊池恵楓園というものがございますし、御尊父も一生懸命この問題に取り組んでおられました。  私自身、先ほど、想像力と当事者意識が自分自身がなかったというのは、今おっしゃったポスターなんかも、いろいろポスターが貼ってあるんですけど、家族や患者の皆さん、そこの前で立ち止まって見ていられないというんですね。見ていると、あの人ハンセン病の関係者かと、これだけつらい思いしてですね。ですから、我々がポスター貼ればいいじゃないかと言うけど、当事者からするとそうじゃないんですね。市町の広報紙に載っければ、家でゆっくりとプライバシーを守りながら見ることができますから、是非そういった思いをお願いしたいと思いますが、大臣、最後に、いずれ総理になられる大臣だと思いますので、この人権問題含めて我が国の人権外交、そしてこのハンセン病問題について、御所見があったらお願いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) まずは、榛葉委員におかれまして、この活動を通してこのハンセンの問題、ハンセン病の問題について真摯に取り組まれておられることに敬意を表したいと思います。相手の立場に立って考えるということがいかに大事かというのを今、質疑を通じて聞かせていただきました。  我が国は、過去のハンセン病政策を踏まえて、国際社会におけるハンセン病患者、回復者及びその家族に対するまさに偏見、差別の解消に向けた取組として、二〇〇八年以降、過去六回、国連人権理事会にハンセン病差別撤廃決議、これを主提案国として提出し、いずれも無投票、コンセンサスで採択をされております。  こうした取組を通じて、引き続き、国際社会におけるハンセン病に係る差別、偏見、こうしたものの解消に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。 ○榛葉賀津也君 心から感謝申し上げまして、質問を終わります。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  四月二十三日号のしんぶん赤旗日曜版が井野防衛副大臣の新たな疑惑を報じております。二〇一七年の衆院選前、選挙区内でお中元を配っていたという疑惑です。  編集部が入手したのは、副大臣の事務所が作成をした、平成二十九年夏、季節の御挨拶というリストで、表題に伊勢崎とあります。副大臣の選挙区である群馬県伊勢崎市を示すものと思われます。相手先欄には、伊勢崎市選出の県議や市議、女性部など、所属や肩書とともに名前が記され、JとかBという記号もあります。Jはジュース、Bはビールということのようです。そして、贈物欄には、六月から七月にかけての日付と、ビール、ジュースといった品物の記載もありました。  防衛副大臣に伺います。井野事務所でこうしたリストを作っていたのですね。 ○副大臣(井野俊郎君) 赤旗の記事については私も確認をさせていただきました。しかしながら、いずれにしても、全て黒塗りというところもありますし、まあ出所不明で、私にとっては出所不明でございますので、このリストが事務所で作成されたものかどうかということは確認が取れません。  以上です。 ○山添拓君 確認していただけますか。 ○副大臣(井野俊郎君) 黒塗りでございますので、これ以上確認はしようがないかと思います。 ○山添拓君 日曜版の編集部は、同時期の井野事務所のスケジュールも入手しました。  リストと照合しますと、贈物を届けたとされる相手先の名前と日付の多くが、スケジュールにある訪問日程に書かれた人物名、日付と一致しました。例えば、一七年六月二十五日のスケジュール表は、群馬での行動予定欄に、A会長、B副会長、これ実際には実名です、場所はA会長宅とあります。贈物リストの同じ日の欄にはA氏とB氏の名前があり、品物はジュースとなっておりました。  選挙区内の有権者にお中元を渡していたというのは事実ですか。 ○副大臣(井野俊郎君) 事実ではございません。 ○山添拓君 リストやスケジュールに記載された有権者を取材しますと、一七年七月、井野さん本人から箱に入ったジュースの詰め合わせをもらった、当時は井野さんの後援会の役員をしていたからだと思う、あるいは、井野さんから贈物を受け取ったことがあると複数の方が証言しております。  副大臣の答弁と矛盾しますけれども。 ○副大臣(井野俊郎君) どなたがどうおっしゃられたのかはちょっと私も確認のしようがございませんけれども、まあ、その方がどうお話しされているかも含めてコメントしようがございません。 ○山添拓君 証言をされた方の中には後援会の役員を退任した頃から贈物はなくなったという方もおられて、これはかなりリアルな証言だと思います。ビールは詰め合わせのギフトで三千円ほど、ジュースは缶の詰め合わせで約二千円、井野議員が自分の車に積み、秘書に運転させて地域を回っていたという関係者の証言もあります。  もう一度伺います。事実ではないんですか。 ○副大臣(井野俊郎君) 事実ではございません。 ○山添拓君 関係者によりますと、井野事務所では、後援会幹部や地方議員にお中元を渡すことが慣例となっていた、組織的に行われていたのは明らかだといいます。  公選法百九十九条の二で、現職の政治家や候補者が選挙区内の有権者に寄附をすることは禁止されます。刑が確定すれば当選無効となり、原則として五年間公民権停止です。しかも、当時、副大臣は法務政務官の在任中でもありました。  このリストは、編集部がデータとして入手したものです。プロパティーを見ますと、作成者は衆議院、前回保存者は井野俊郎事務所となっておりました。副大臣の国会議員会館の事務所の官物パソコンで作成されたと考えられます。確認いただけませんか。 ○副大臣(井野俊郎君) いずれにしろ、出所不明でございますので、確認しようがございません。 ○山添拓君 いや、事務所のパソコンを副大臣御自身が、過去のデータですから、まだ残っているものあるかと思いますので、確認いただけませんか。 ○副大臣(井野俊郎君) 出所不明でございますので、確認しようがございません。 ○山添拓君 いや、出所不明ではなく、私、今述べましたように、プロパティーを見ると、衆議院で作成、前回保存者は井野俊郎事務所と、こういうふうになっているんですね。  ですから、そういうものがあるかどうかということを、副大臣御自身が事務所のパソコンを、まあ秘書の方に頼まれてもいいと思いますけれども、確認されたらいかがですか。それを否定されるのはなぜですか。 ○副大臣(井野俊郎君) 何の文書かよく分かりませんので、こちらとしては確認しようがございません。 ○山添拓君 それでは、私どもが入手しているものについて副大臣のところにお届けをしましたら、それを基に確認いただくことはできますか。 ○副大臣(井野俊郎君) いずれにしても、出所不明の文書については確認しようがございません。 ○山添拓君 いや、ですから、るる御説明をしましたように、証言もあるんですね。そして、リストがあり、スケジュールとの一致があり、有権者からの証言があり、事務所関係者と思われますが、関係する方からの証言もあるんですね。出所不明どころか、十分その疑惑があると思うんですよ。  御自身で確認をされるおつもりはないですか。それでもなお拒否をされますか。 ○副大臣(井野俊郎君) 確認しようがございません。 ○山添拓君 確認する気がないというだけでしょう。  委員長、副大臣においてリストを確認の上、当委員会に提出するよう求めたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 井野副大臣については、昨年、統一協会の関係者に後援会をつくらせていたことが明らかとなりましたが、そのことを党の調査では報告せず、副大臣任命後も存続をさせておられました。また、秘書や親族が選挙区内の有権者に香典を配っていた公選法違反の疑惑も指摘いたしましたが、選挙区外だという言い逃れに終始されました。そして、今度は、直接選挙区内の有権者にお中元を渡していたという公選法違反の疑惑です。  防衛大臣に伺います。  副大臣は、大臣が申し出て内閣が任命する立場にあります。この疑惑にまみれた井野氏を今後も副大臣に据えておかれるおつもりですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の点については、個々の政治活動に関わる問題でありますので、それぞれの政治家がしっかりとこの責任において説明すべきものと考えております。  いずれにしても、井野副大臣には引き続き副大臣としての職務に励んでいただきたいと思います。 ○山添拓君 いや、大臣、しかし、今、私が指摘をしたような、あるいは昨年来この委員会でも指摘をしてきたようなことが事実だとはっきりしていれば、大臣自身、井野氏を副大臣に申し出るということはなかったんじゃありませんか、そうした過去が明らかであったとすれば。ですから、過去の政治活動のことだからといって、そのままにしておくことはできないんじゃないでしょうか、大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今申し上げたとおり、本人の政治活動についてのことでありますので、その点についてはしっかりと説明をしていただきたいと思いますし、我々とすれば、今後もこの副大臣には職務に励んでいただきたいと考えております。 ○山添拓君 井野副大臣、大臣から、しっかりと説明していただきたいという答弁でしたよ。出所不明だといって調査もしないということではいけないんじゃないですか。 ○副大臣(井野俊郎君) いずれにしても、こちらが今把握している中での御回答といいましょうか、御答弁申し上げているところでございます。  この出所不明のリストについては、こちらも確認しようがないということでございます。 ○山添拓君 副大臣としての資格が問われるような疑惑を幾つも抱えながら、御本人はまともに説明もされず、責任を取ろうともされない。これを岸田政権がこのまま放置することは許されない問題だと考えます。その点を指摘しておきたいと思います。  それでは、残りの時間で、安保三文書の一つ、防衛力整備計画に基づいて進めようとしている自衛隊施設の強靱化について伺います。  資料をお配りしております。四枚、冒頭の四枚ですね。今年度予算における具体的な箇所付けと事業内容、事業額をリスト化した防衛省の資料です。その総額は五千四十九億円分と伺いました。  資料の五枚目になりますが、②という資料があります。施設の強靱化の内容として、武力攻撃などへの抗堪性の向上を含むとされています。  防衛省に伺いますが、今年度の予算で抗堪性の向上のために整備するのはどの施設になるでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  防衛力整備計画におきましては、施設の強靱化事業費として五年間で四兆円を見込んでおり、五年間集中して実施していくこととしております。  抗堪性の向上のために司令部の地下化等に必要な経費として〇・二兆円を見込んでいるところでございます。 ○山添拓君 その今指摘をされた抗堪性の向上のために予算を付けていくという施設は具体的にどこの施設かということを、今年度予算で行っていこうとするところですね、これをお示しいただけますか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 令和五年度予算においては、施設の強靱化として五千四十九億円を計上しております。このうち主な事業として申し上げれば、陸上自衛隊における佐賀駐屯地に係る、これは新設でありますが、施設整備として千六十八億円、海上自衛隊における佐世保崎辺東地区の、仮称でありますが、の施設整備として四十一億円、約四十一億円、航空自衛隊におけるF35A、B受入れ整備費、施設整備費として約百五十二億円を計上しておるところであります。 ○山添拓君 大臣が今答弁されたのが抗堪性の向上を目的とした整備の内容ということですか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  令和五年度予算におきましては、自衛隊施設の抗堪性向上に係る施設整備に要する経費として約三百六十四億円を計上しているところでございます。 ○山添拓君 先ほどからお尋ねしているのは、金額ももちろん大事ですが、それをどの施設で進めていこうとされているのかということです。 ○政府参考人(杉山真人君) 令和五年度予算で計上している抗堪性の向上を図る施設整備の中で、主要な司令部の地下化に係る経費について申し上げますと、健軍駐屯地、那覇駐屯地、那覇病院、新田原基地、築城基地、那覇基地の整備予算を計上しているところでございます。 ○山添拓君 この配付資料の②を見ますと、抗堪性向上の内容には、CBRNEに対する防護性能の付与が挙げられております。CBRNE攻撃とは、化学、生物、核、爆発物等による攻撃のことだと伺っています。  CBRNEに対する防護性能の付与を行うその対象施設はどこですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 安全保障環境が急激に厳しさを増す中で、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる自衛隊施設の必要な機能を確保することは重要だと認識をしておるところであります。  昨年十二月に定められた防衛力整備計画においても、主要な装備品や司令部などを防護した上で、粘り強く戦う態勢を確保し、爆発物、核、生物、化学兵器などに対する防護性能を付与することとされております。  このため、自衛隊が保有する施設について、施設の機能や重要度に応じ、化学、生物、放射線物質、核など、いわゆるCBRNEを含む各種脅威に対する防護性能を付与することとしているところであります。 ○山添拓君 ですから、その機能や重要度に応じて、CBRNE攻撃に対する防護性能を付与していこうとする対象となる施設はどこかと伺います。 ○政府参考人(杉山真人君) 先ほど答弁が大臣からもございましたが、あくまで施設の機能や重要度に応じて個別に判断していくということでございます。 ○山添拓君 いや、その個別の判断の結果として、CBRNE攻撃への対応が必要と判断し、整備をしていこうとしている施設はどこになるんでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) 具体的にどの施設にどういった能力を付与するかということをお示しするとその施設の能力というものが明らかになるので、従来から差し控えさせていただいております。 ○山添拓君 いや、これは、これから多額の予算を付けて強化していくというわけですね。さっき軍拡財源についてのお話もありましたけれども、その使い道の問題であり、また、こういう対応が必要だということは書いているわけですから、例えば、壁を厚くする、地下化する、フィルターを設置するなど強靱化を図るということを言われています。  どの施設でCBRNE攻撃への対応を想定した工事を行うのか。これは委員会に提出を求めたいと思います、委員長。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 大臣に伺いますが、CBRNE攻撃への対応のために強靱化を進めていくということは、化学兵器や生物兵器、核兵器による攻撃がされる、そのようなシミュレーションも行っているということなんですね。 ○国務大臣(浜田靖一君) 国家防衛戦略においては、国民の命と平和な暮らし、そして我が国領土、領海、領空を断固として守り抜くことを我が国の安全保障の根幹としております。  そして、防衛力整備計画では、国家防衛戦略に従い、自衛隊施設の強靱化等によって、我が国への侵攻が生起する場合には、これを阻止、排除できるよう防衛力を強化し、粘り強く戦う姿勢を確保していくこととしております。  こうした防衛力の抜本的強化に向けた取組の目的は、あくまで力による現状変更やその試みを許さず、我が国への侵攻を抑止することにあり、防衛力の抜本的強化により武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えており、施設近辺住民を含む我が国国民の安全につながるものと考えております。 ○山添拓君 いや、全然お答えいただいていないんですよ。  大臣は、極めて現実的なシミュレーションを行ったと繰り返し答弁されてきております。そして、シミュレーションを行った結果としてこのような整備が必要だとされているわけですから、CBRNE攻撃も想定したシミュレーションを行ってきたのだと、こういうことでしょうか。 ○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。  国家防衛戦略におきまして、まさに委員御指摘のように、必要な防衛力の規模、能力、それを見極めますために様々シミュレーション等を繰り返して行ってきたところでございます。  そういった中で、自衛隊の活動、これを支える基盤としての施設、これの抗堪性、強靱性、これが必要であるというふうに認識しているところでございます。  委員御指摘のようないわゆるCBRNE攻撃、核、生物、化学兵器など、様々な攻撃の態様がございますけれども、そういったもの様々含めましてどのような自衛隊の対応が必要か、これに基づきまして、自衛隊の施設の基盤の強化、これを今回七つの柱の一つとして規定させていただいたところでございます。  その上で、委員が御指摘の、どの施設がどのような防護機能を持っているかということにつきましては、まさに我が方のこの性能、対処のための能力を明かすことになりますので、これについては控えさせていただきたいと考えております。 ○山添拓君 敵基地攻撃能力の保有を始めとして大軍拡と一体に行われる強靱化です。日本が軍備を拡張し、緊張関係を更に高めるからこそ、攻撃される危険も高め、そうした事態を想定しなければならないということになっているんだと思うんですね。  資料の③、お配りしております。先日、今度の強靱化の対象施設の一つともされている北区の十条駐屯地の周辺を訪れました。戦前、北区は軍の施設が密集し、区の面積の一割を占めるまさに軍都でした。米軍の標的となり、十二回の空襲で五百四十五人が亡くなり、三万二千棟が被災したといいます。戦後は、米軍に接収されたものの解放され、都営住宅や特別支援学校、図書館やスポーツ施設も造られました。本来全て解放されるべきでしたが、一九五八年に自衛隊が入り、陸海空自衛隊の補給統制本部や補給本部が置かれています。兵器調達など、全国の自衛隊の兵たんの中枢と言ってもよいところです。市ケ谷と同じ通信施設もあります。  日本がミサイル攻撃を行えば、報復の対象となることも十分考えられる場所です。核攻撃への対処などと言いますが、そこに住む人のことは考えられていないと地域の皆さんから不安の声が上げられるのも当然だと思います。  大軍拡そのものをやめるべきだということを改めて指摘をし、質問といたします。 ○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  一九九六年、九五年ですね、九月の少女暴行事件に対して沖縄県民の怒りが爆発し、八万五千人が結集した一〇・二一県民総決起大会が開かれました。翌十一月には、沖縄に関する特別行動委員会、SACOが日米両政府によって設置されています。その設置から五か月後、九六年四月十二日、橋本総理とモンデール駐日大使により、普天間飛行場の五年ないし七年以内の全面返還の合意が発表されました。それがその年の十二月にSACOの最終報告として取りまとめられました。  七年というのは二〇〇三年ですが、その翌年の二〇〇四年、普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落しました。二〇〇三年に全面返還されていれば起きなかった事故です。  最終報告から十年後の二〇〇六年には、普天間飛行場を二〇一四年に返還するとした米軍再編ロードマップが合意されました。ところが、返還するとした二〇一四年二月に、安倍総理が、普天間飛行場の五年以内、つまり二〇一九年の運用停止を約束しました。しかし、これもほごにされ、現在まで全て実現していません。期限を付けては延びて、期限を付けては延びているわけです。  九六年から二十七年間、沖縄県民は普天間の危険性にさらされ続けています。危険性の除去どころか、二〇一九年以降、沖縄県内の米軍と自衛隊を合わせた基地面積は増加しています。  今般の自衛隊機墜落事故、これはもう非常にその隊員の安否、そして亡くなられた方の冥福を祈るわけですけれども、沖縄県民はやはり墜落の危険といういろんな危険性、それにさらされていると言っていいと思います。  九六年四月、この日米両政府の普天間飛行場の全面返還合意に沖縄県民は本当に大喜びしたんです。しかし、その約束は果たされず、県民は大変失望しました。他国との約束を破れば外交問題となり、信頼を失ってしまいます。信義則というのは法律でつくっているわけではなくて、これは法の支配です。米国追従の日本が他国から信頼されるだろうかと懸念しています。  そこで、前回に続き、米国追従にはリスクがあるということを踏まえ、国際情勢の分析について伺います。  今月十一日に、米ドルの基軸通貨としての地位、あるいはペトロダラー体制を突き崩そうという動きについて、サウジアラビアを例にお話ししました。引き続き、世界の脱ドルの動きについて質問します。  お配りした資料は、前回紹介しました筑波大学名誉教授の遠藤さんが四月六日にインターネットに公開された記事です。遠藤さんは、中国共産党に対しネガティブな見方をされる方です。ちなみに、遠藤さんは、安倍総理の事件の後、昨年の月刊誌Hanadaで本来だと安倍元総理と対談することになっていたということを明らかにしています。  資料の図表の三を御覧ください。  中国、ブラジル、インド、ASEANなど様々な国に脱ドルの動きが見られます。三月二十八日のASEANの部分では、図表三ではドルなどと書かれていますが、詳しく言いますと、米ドルのほか、ユーロ、円、イギリス・ポンドの依存度を下げるということが話し合われたわけです。  三月三十日のロシアの下院副議長の部分が分かりにくいと思いますので少し説明しますと、その発言は、BRICSがダーバンで開催される組織のサミットで発表される新通貨の開発に取り組んでいるというものでした。新通貨ができるということは、これ注視しなければならないと思います。  日本の新聞、テレビは、英米系の情報源に頼るためか、リベラル系と言われるものも含め、英米に都合の悪い情報は余り載りません。英米でもいろんな意見があるわけですが、日本の新聞では、あるいはテレビでは、バイデン政権に都合の悪い情報は余り流れてきません。  ドルの動きにしても、例えば、トランプ前大統領は、今月初め、我々の通貨が暴落し、遅かれ早かれ世界標準でなくなることは、率直に言ってこの二百年における我々の最大の敗北になるでしょう、我々をグレートパワーでなくならせるような、これほどまでに大きな敗北はありませんでしたと述べています。ですから、米ドルの崩壊の可能性は相当高いと考えているんだと思います。  世界でもアメリカ国内でも、全然違った物の見方、考え方があります。前々回、衆議院予算委員会での川上参考人の、本当に日本は大丈夫か、アメリカの戦略に乗って、いや、バイデン政権の戦略に乗って政策は展開しているが、もしトランプが現れた場合どうするんだ、真逆になるんじゃないか、我が国ははしごを外された段階でどうするんだというふうな声が実は民主党政権の研究員から上がっているとの発言を紹介しました。  今お話ししている脱ドルの動きは、結果によってはアメリカの政権交代よりはるかに大きな影響を及ぼすものです。米国内では、CNNやFOXもこの件を取り上げ、日本語に翻訳されているものがSNSで流されています。今、日本の主流の議論が世界からもアメリカからも懸け離れた余り単純なものになっている、こんな議論の状況は危ないのではないかと私は思っています。  世界におけるいろんな物の見方、考え方を紹介しますけれども、資料の図表一には、二ページ目ですね、サウジとイランの和解後の中東における和解外交雪崩現象が書かれています。これらを見ても、中東の親米産油国といった見方は見直すべきであることが分かると思います。図表一の下の方、二行、下の二行ですけれども、あるいは最後のページの遠藤さんの解説も示唆があると思います。  ちなみに、この中東でも対ロ制裁に参加した国はありません。親米のイスラエルすら対ロ制裁には加わっていません。  また、その次のページの図表の二ですが、各国、地域、組織の要人が訪中ラッシュの中身が書かれています。四月二日には林外相も訪中をされておりますけれども、非常に重要なことだと思います。前回、この委員会では、対米貿易と対中貿易、いずれが多いのか、国ごとに塗り分けた図をお配りしましたが、世界における中国の地位の高さが想像できると思います。図表三、これは訪問者のことですけれども、そのほかですけれども、国の問題ですね。  図表三の動きの後の動きですけれども、マクロン大統領の訪中があります。先日の訪中後、ドル依存を減らす必要があると述べたことが重要です。これは、平木委員もちょっと言及しましたけれども、G7の中でフランスのマクロン大統領が言ったことです。  そこで、脱ドル化について質問します。  政府は、世界における脱米ドルの動きはどこまで広がっていると分析されていますか。中ロにとどまらず、BRICSにもとどまらず、相当拡大しているのではありませんか。外務省に伺います。 ○政府参考人(竹谷厚君) お答え申し上げます。  決済通貨に関しまして国際的に様々な動きがあるということは私ども承知をしております。一般的に申し上げまして、特定の通貨が広く利用されていくためには、流動性、安全性の観点から通貨としての高い利便性を有する必要がございます。この点、米ドルは、こうした通貨としての高い利便性を有することから、引き続き国際的に広く利用され、いわゆる基軸通貨とされていると認識しております。  委員から脱米ドルの動きという御指摘ございましたが、仮に米ドルに代わる基軸通貨や代替資産が出現するとすれば、こうした流動性、安全性の観点から米ドルと同様の利便性を有するかという点を踏まえて見ていく必要があるというふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、日本としては、国際経済や金融システムの安定などが重要であると考えており、決済通貨をめぐる各国の動向、これが国際的な資金や物の流れに及ぼす影響なども含めまして引き続き情勢を注視してまいりたいと考えております。 ○高良鉄美君 情勢を注視するということですけれども、もっと注視をしないといけないこの脱ドル化の動き、BRICSについても脱ドル化を含めて重要な出来事が多いですが、これらも日本の新聞、テレビでは余り報道されていません。  購買力平価、平たい価格ですね、購買力平価GDPというものがあります。各国の物価水準の差を修正し、より実質的な比較ができるものです。  先日、購買力平価GDPにおいてBRICSがG7を抜いたとインターネットで話題になっていました。私が知る限り、日本のマスコミで当初これを取り上げたものはなかったと思います。確認のため、私のところでIMFのホームページの各国の購買力平価GDPのページにアクセスし、そこにある各国のデータを基に計算してみました。  四月七日午後アクセスした二〇二三年のデータで、G7は、カナダ一・三七、フランス二・二四、ドイツ三・一九、イタリア一・八二、日本三・七四、イギリス二・二八、アメリカ一五・二三で、合計二九・八七です。七か国ですね。BRICSは、ブラジル二・三、ロシア二・七四、インド七・四五、中国一八・九一、南アフリカ〇・五八で、五か国で合計三一・九八となりました。インターネットで出回っているものと若干数字が異なりましたが、G7とBRICSがそれぞれ世界の約三割を占め、BRICSのそれの方がやや多いという点では出回っている情報と同じでした。経済成長率はG7よりもBRICSの方が高いので、今後は差が開く一方だと思います。  BRICSは参加国自体にも拡大の動きがあります。昨年はイランとアルゼンチンが加盟申請をしました。昨年六月のBRICS拡大会議には、イランとアルゼンチンのほか、アルジェリア、エジプト、インドネシア、カザフスタン、セネガル、ウズベキスタン、カンボジア、エチオピア、フィジー、マレーシア、タイが参加したそうです。  また、南アフリカの外務大臣が先月、サウジアラビア、UAE、エジプト、アルゼンチン、メキシコ、ナイジェリアなどがBRICS同盟への加盟を希望していると、そういった旨の発言をされたと承知しています。そのほかにも、BRICS加盟を望む国についてはいろんな情報があります。  林大臣に伺いますが、BRICSに参加を希望する国、少なくともBRICSとの協力関係を希望する国が多数存在するということをどう評価していますか。今後、世界の秩序と我が国の国益に照らしながら説明していただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この第三国間の動きにつきまして日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、昨年、アルゼンチン、イラン及びサウジアラビアがBRICSへの加盟を要請し、一方で、BRICSにおいては新規加盟の手続、基準等の明確化のための議論が行われているということを承知しております。  その上で申し上げますと、現在、世界では、現実問題として様々な特色を持った国々の力、これが相対的に増してきているところでございますが、一方で、ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性、これが一層高まっていると考えております。  国家間の紛争が領域をめぐるものであれ、経済的利益をめぐるものであれ、力ではなく法やルールによって解決をされる、この秩序によって国際社会に公平性、透明性、予見可能性、これが保障されるのでありまして、これは価値観の相違を超えた全ての国にとっての平和と繁栄の基盤であり、日本の国益でもあると認識しております。  こうした観点から、我が国としては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これを維持強化すべく、多様性と包摂性を重視するきめ細やかな外交を通じて、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々を含む国際社会の幅広い支持と関与を得るための外交を引き続き推進してまいりたいと思っております。 ○高良鉄美君 やはり法の支配ということを強調されるのであれば、是非とも法の支配を広げていくための努力をそれらの国々に対して、今、もしかするとBRICSとか今明確化をするというような話がありましたけれども、そこは、そういうことまで十分に知っていないかもしれないです。あるいは、そういうことに慣れていないといいますかね。  是非、法整備支援も含めて、日本が法の支配を、英米とその間に入ると。G7の中での唯一のアジアの国、やっぱりこういった役割が私はあると思います。是非ともそういう努力も併せていただきたいと思います。  次に、BRICS、あるいは先日言及した上海協力機構に加盟しようとする国には、民主主義国家や、これまで親米あるいは親日側と言われていた国も多く含まれています。このような国々が中国やロシアの加盟する組織に加わろうとする理由をどういうふうに分析していますでしょうか、大臣に伺いたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この第三国間の動きについて日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、先ほどお触れになっていただきましたBRICSに加えて、この上海協力機構においても、イランの加盟に向けた動き、またサウジアラビアの対話パートナー入りといった拡大の動きがあるというふうに承知をしております。  まさに今委員から御指摘がありましたけれども、このロシアによるウクライナ侵略を受けて厳しさを増す国際社会において、先ほど申し上げましたこの法の支配というものをしっかりと確立していく、そのためにも、日本らしい多様性と包摂性を重視するきめ細やかな外交、各国との間で展開をしてまいりたいというふうに思っております。 ○高良鉄美君 今大臣のおっしゃった多様性と包摂性、本当に日本らしいということ強調されましたので、それを私は期待しております。  先日のマクロン、先ほどお話がありました、平木委員からありましたマクロン大統領の訪中の際の発言について、欧州ではマクロン発言に好意的な意見もあると聞いています。欧州理事会議長やフランス財務相、スペイン経済相の発言もあります。  これは日本の新聞にも載っていたので、御存じの方も多いと思います。ヨーロッパの戦略的自律性、ヨーロッパが三つ目の超大国になる。ヨーロッパについて、大きなリスクは、我々のものでない危機に引き込まれ、戦略的自律性の構築を妨げられることだ。矛盾は、我々が自身のことをただのアメリカの追従者と信じることだ。台湾危機を加速させることにヨーロッパ人の利益はない。ヨーロッパは米ドルへの依存を減らすべきだといったことが語られています。  マクロン大統領の発想としては、ヨーロッパはアメリカの追従者となるのではなく、米中と並び立つ極となろうということで、しかも、それについて中国の支持を受けたとも取れます。台湾をめぐる米中対立からヨーロッパは距離を置くべきとも考えているようです。このマクロン発言に対する欧州理事会議長の発言ですが、マクロン大統領の発言に好意的なヨーロッパの指導者はかなりいると思われますと言っているわけですね。  委員の皆さん、この台湾有事に仮に日米が介入したとして、ヨーロッパが助けてくれる、あるいは支持をしてくれると思われるでしょうか。マクロン大統領のような考え方は、ヨーロッパの指導者の中でどの程度共有されていると思われるでしょうか。西側の結束は、特に対中関係においてはかなり危ういと言えるのではないでしょうか。外務省に伺います。 ○政府参考人(實生泰介君) お答えいたします。  議員御指摘の台湾海峡の平和と安定の問題です。これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全と繁栄にとっても不可欠な要素であると認識しております。我が国の従来からの一貫した立場は、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというものであり、この点、これまでも米国やG7との間で台湾海峡の平和と安定の重要性について一致してきているところでございます。  今般ございましたG7の外相会合においても、改めてG7の外相間で、国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認するとともに、両岸関係の平和的解決を求めるということで完全に一致することができたというふうに考えてございます。  付け加えて申し上げれば、先般、林大臣が訪中した際にも、秦剛国務委員兼外交部長に対しても台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調したところでございます。  台湾海峡の平和と安定を確保するため、我が国としては、こうした立場を中国側に首脳レベルを含め直接しっかり伝えるとともに、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信していくことが重要であり、今後ともこのような外交努力を続けていく所存でございます。 ○高良鉄美君 やはり、今の日本の状況、特に南西諸島を含めたミサイル配備、これ中国がどういうふうに見ているかということは、これから先いろいろ聞きますけれども、次回以降ですね、日本がこう思っているではなくて、相手がどう思っているかということ、とても大事だと思います。  安心を与えるというためには、対話はもちろん必要ですし、それ以上に、日本の意思がどうなんだということは、やっぱり今回、林大臣が訪中されたということは僕は大きいと思いますし、今後もこのような対話を、あるいは防衛大臣も一緒に、2プラス2じゃありませんけれども、中国との間を取り持つということは、これは日本らしい外交だと私は思います。是非とも、そういう形も実現していただきたいなと思います。  今度は、アフリカと、失礼しました、アメリカとカナダ以外の南北アメリカ大陸諸国についてお伺いします。  これらの国で対ロ制裁に加わっている国はありません。アメリカとカナダだけです。これらの国のアメリカからの距離について印象に残るのは、昨年六月、ロサンゼルスで開催された米州首脳会議に三十五か国中二十三か国しか首脳が参加しなかったことです。  昨年五月初旬、民主主義が欠如しているとして、米政権は、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアをサミットに招待しない方針を示しました。これに対して、メキシコのロペス・オブラドール大統領は、自身の参加と引換えに、中南米全ての国を招待することを米国に要求しました。これが米側に受け入れられなかったため、メキシコ大統領は米州サミットに欠席。これに多くの国が同調し、先ほど述べた結果になったわけです。かつて米国の裏庭と言われた地域ですが、この認識も変わったと思います。  ロペス・オブラドール大統領の演説に日本語字幕を付けたものがありました。今年三月四日にツイッター上で公開された大統領の演説の日本語字幕を、ここでそのまま読み上げます。  この機会に、米国政府の国務省に反論したいと思います。米国務省が何をしていて、どういった悪い習慣を持っているかについて。米国務省は、自分たちと関係ない事柄に常に介入しています。これは、常に対等な立場、平等を語るバイデン大統領の言葉とは全く逆の姿勢です。二世紀前のモンロー主義は形式上捨てていないのですが、自分たちが世界の政府であるかのように考え、振る舞っています。  米国務省のブリンケン氏に対して何が言いたいかといいますと、現在はメキシコの方がアメリカよりも民主主義であるということです。私たちメキシコの問題に干渉し、押し付けがましく行動するのではなく、ペルーで起きている問題に対応してください、もしそういった干渉方針を続けたいのであればということです。  ペルーでは、米国大使がクーデター計画のアドバイザーであり、民主的に選ばれた大統領を不当に解任して、その国の民主主義と自由を踏みにじっています。大統領を投獄して、バイデン大統領の言うことに従うように要求しています。こういった問題は国務省だけの問題ではなく、米政府とそのエリートたちの本性、少なくとも習性であり、何世紀にもわたって続いています。  なぜ私がここメキシコの方がアメリカより民主主義であるかというと、メキシコでは国民が支配しているのに対して、アメリカでは、オリガルヒ、寡頭制が支配しているからです。それだけです。  私たちの見解、反論を明確にしておきましたということですね。日本の首相が仮にこんなことを言ったらどうなるか、想像すると、とても勇気のある発言だと思います。しかし、別の見方をすると、アメリカの南隣の国の大統領がこのような発言をする世界情勢になっているとも言えます。  そこで、外務省に伺いますが、アメリカとカナダ以外の南北アメリカ大陸諸国のアメリカ離れについて、外務省がどのように分析されているかを伺います。 ○政府参考人(松尾裕敬君) 第三国間の関係について日本政府としてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと考えますが、その上で申し上げると、例えば委員御指摘の昨年六月の米州サミットにおいては、閣僚級も含めれば米州三十五か国中三十一か国が参加し、保健やデジタルトランスフォーメーション、気候変動などの分野で、米国及び中南米諸国を含む米州諸国の行動計画が発表されるとともに、食料安全保障や保健などの分野における米国による中南米地域への支援策などが発表されたと承知しております。また、中南米諸国と米国との間では様々な協力が進んでおり、要人往来も活発であると承知しております。  いずれにいたしましても、我が国としては、委員御指摘の中南米情勢を引き続き注視しつつ、基本的価値や原則を共有する米国及び中南米諸国とともに様々な国際課題について緊密に連携するべく、今後とも積極的に対中南米外交を推進してまいりたいと考えております。 ○高良鉄美君 是非とも注視していただきたいと思います。カナダとアメリカはG7のメンバーですけれども、残りはそうじゃないということも含めて、注視を続けていただきたいと思います。  時間が来ましたので、終わります。 ○委員長(阿達雅志君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案、以上四案件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) ただいま議題となりました二件につきまして、提案理由を御説明いたします。  まず、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和四年一月六日に協定の署名が行われました。  この協定は、一方の締約国の部隊が他方の締約国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定めるものです。  この協定の締結により、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることとなります。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和五年一月十一日に協定の署名が行われました。  この協定は、一方の締約国の部隊が他方の締約国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定めるものです。  この協定の締結により、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることとなります。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。 ○委員長(阿達雅志君) 浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) ただいま議題となりました二法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  まず、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案について申し上げます。  日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定が、昨年一月に署名されました。  この協定は、両締約国間における互恵的な防衛協力を実施するための枠組みを設け、並びに訪問部隊及び文民構成員の地位を定めることにより、二国間の防衛協力を円滑にすることを目的とするものであります。  この協定の適確な実施を確保するため、協定の実施に伴う道路運送法及び道路運送車両法の適用除外、刑事手続等の特例、国の賠償責任の特例並びに特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置を定める必要があります。  以上が、この法律案の提案理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  第一は、道路運送法及び道路運送車両法の適用除外であります。  オーストラリア軍隊の公用車両には、道路運送法の報告徴収等に関する規定及び道路運送車両法の登録、車検等に関する規定は適用しないこととしております。  第二は、刑事手続等の特例であります。  日本国内において逮捕されたオーストラリア軍隊の構成員等の我が国当局への引渡しや、オーストラリア軍隊の財産の差押え、捜索等を実施するための刑事手続等の特例に関する規定等を設けることとしているところであります。  第三は、国の賠償責任の特例及び特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置であります。  オーストラリア軍隊の構成員等が公務執行中に日本国内において第三者に損害を与えた場合には、国がその損害を賠償する責任を負うことを定めるとともに、特殊海事損害に関し、政府が必要な援助を行うこととしております。  次に、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案について申し上げます。  日本の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定が、本年一月に署名をされました。  この協定は、両締約国間における互恵的な防衛協力を実施するための枠組みを設け、並びに訪問部隊及び文民構成員の地位を定めることにより、二国間の防衛協力を円滑にすることを目的とするものであります。  この協定の適確な実施を確保するため、協定の実施に伴う道路運送法及び道路運送車両法の適用除外、刑事手続等の特例、国の賠償責任の特例並びに特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置を定める必要があります。  以上が、この法律案の提案理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  第一は、道路運送法及び道路運送車両法の適用除外であります。  英国軍隊の公用車両には、道路運送法の報告徴収等に関する規定及び道路運送車両法の登録、車検等に関する規定は適用しないこととしております。  第二は、刑事手続等の特例であります。  日本国内において逮捕された英国軍隊の構成員等の我が国当局への引渡しや、英国軍隊の財産の差押え、捜索等を実施するための刑事手続等の特例に関する規定を設けることとしております。  第三は、国の賠償責任の特例及び特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置であります。  英国軍隊の構成員等が公務執行中に日本国内において第三者に損害を与えた場合には、国がその損害を賠償する責任を負うことを定めるとともに、特殊海事損害に関し、政府が必要な援助を行うこととしております。  以上が、これら法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  四案件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会