第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第8号 令和5年4月13日 令和五年四月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十一日     辞任         補欠選任      小林 一大君     猪口 邦子君      安江 伸夫君     山口那津男君  四月十二日     辞任         補欠選任      山口那津男君     新妻 秀規君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 新妻 秀規君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    内閣官房副長官        内閣官房副長官  磯崎 仁彦君    副大臣        文部科学副大臣  簗  和生君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       室田 幸靖君        内閣官房内閣審        議官       小柳 誠二君        内閣官房内閣審        議官       林   学君        内閣官房内閣審        議官       吉川 徹志君        外務省大臣官房        審議官      石月 英雄君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        審議官      日下部英紀君        外務省大臣官房        参事官      中村 仁威君        文部科学省大臣        官房学習基盤審        議官       寺門 成真君        文部科学省大臣        官房審議官    西條 正明君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省大臣官房        施設監      杉山 真人君        防衛省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      上田 幸司君        防衛省大臣官房        審議官      茂木  陽君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君        防衛装備庁長官  土本 英樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○防衛省設置法の一部を改正する法律案(内閣提  出、衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、安江伸夫君及び小林一大君が委員を辞任され、その補欠として猪口邦子君及び新妻秀規君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛省設置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官室田幸靖君外十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 防衛省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○岩本剛人君 おはようございます。自由民主党の岩本剛人でございます。  質疑に入る前に、冒頭、七時二十二分にICBM級の可能性のある弾道ミサイルが発射されたということで私の地元の北海道でJアラートが鳴ったということで、誠に遺憾でありますし、強く抗議をしたいというふうに思います。  また機会がありましたら、御案内のとおり、南西シフトというのはよく理解はするんですけれども、北海道、青森の上空を飛ぶ弾道ミサイルはもう既に四回、五回と飛んでおりますので、今後機会がありましたら、ミサイル防衛能力の強化等について、北の方の議論をさせていただければ有り難いなというふうに思っております。  それでは、質疑に入らさせていただきます。  防衛省設置法の一部を改正する法律案についてでありますけれども、まず自衛官の定数の変更についてなんですが、防衛力整備計画におきましては、二〇二七年度をめどに自衛隊サイバー防衛隊等のサイバー関連部隊を四千人に拡充、システム調達や維持運営等のサイバー関連業務に従事する隊員に対する教育を実施、さらにはサイバー関連部隊の要員と合わせてサイバー要員を約二万人体制というようなことであります。  この規模のサイバー要員の拡充のためには、やはりサイバー人材の早急な育成と、また並行して、やはり早急に体制整備するには民間の知見、活力を生かしていくのが極めて重要だというふうに思います。この点について防衛省の認識を伺いたいと思います。 ○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、防衛力整備計画にございますサイバー防衛能力の抜本的な強化に当たりましては、民間の知見の積極的な活用、例えば部外の教育機関との協力ですとか専門的知見を持つ外部人材の活用、こういったものも重要な手法だと認識してございます。  防衛省といたしましては、これまでも、部内教育における部外講師の活用、部外の教育機関の活用、部外の機関と協力したサイバー演習に参加、こういった部外との連携の強化に努めてきたところでございます。また、外部人材の活用という観点では、委員が防衛大臣政務官を務められた令和三年度よりセキュリティ統括アドバイザーを活用することといたしておりますし、あるいは外部人材の中途採用、官民人事交流制度の活用、予備自衛官の採用など、これまでも行ってきたところです。  今後は、更にこうした外部人材の活用の施策を促進すべく、柔軟な働き方が可能となる自衛官の人事制度の整備、こういったものも検討しております。  委員の御指摘も踏まえまして、今後とも、専門的知見を持つ部外の機関との連携を深めるなど様々な手段を進めて、サイバー防衛能力の強化に努めてまいりたいと思います。 ○岩本剛人君 中国でサイバーの攻撃部隊が約三万人、北朝鮮で六千八百人、米で六千二百人ということで、アメリカでですね、ありますので、これはもう早急に体制をしっかり整備をしていただきたいというふうに思います。  このサイバー部隊でありますけれども、我々、防衛省・自衛隊というのは、やはり体力自慢というか、体力に自信のある若者が務めるというイメージがあるんですけれども、このサイバー分野の人材というのは、一方で、体力だとか筋力だとか、そういうことが求められているわけではないというふうに思います。また、大変高度化、複雑化、このサイバー分野についてはされておりますので、やはり優秀な人材をきちんと確保するためには、一般部隊の隊員の採用方法ではなくて、特別な採用を検討すべきではないかというふうに思います。  更に言うと、新卒で自衛官を採用してサイバー人材を育てるということは将来的に非常に大切なことだと思いますけれども、今この現状を考えると、やはり中途採用でも優秀なサイバー人材を民間から活用する、採用するということは非常に重要だというふうに思います。それでないと対応できないというふうに思います。  さらに、いわゆるホワイトハッカーみたいな存在が、防衛省・自衛隊で選んでもらうには、やはりそれ相応の待遇、給与も含めて考えていかなければならないというふうに考えます。そうでないと中途採用はなかなか厳しいと思います。  そうしたことを考えると、優秀な人材をある程度の相当数確保していくことを考えると、その採用方法ですとか処遇の改善ですとか、そういったことを取り組んでいく必要があると思うんですけれども、この点について大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省・自衛隊としては、サイバー要員の大幅な拡充に伴う人材の確保に当たっては、陸海空自衛隊の学校における課程教育、部外の教育機関の活用、そして外部人材の活用などの取り得る手段を全て取ることとしておるところであります。  そして、最近の取組としては、専門的知見を備えた優秀な人材の発掘を目的とした防衛省サイバーコンテストの開催や、国内各地から有為なサイバー人材を採用するため自衛隊地方協力本部等で人材確保の要員を増員するなど、幅広く人材を求める取組に努めておるところであります。  また、外部人材の活用に促進のついては、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備を検討しており、その際、体力面に関しては緩和することも視野に検討を進めてまいります。  国家安全保障戦略を始めとする三文書に踏まえ、引き続きサイバー人材の確保、育成を実効的に強化できるように検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ○岩本剛人君 いろいろ検討していただくということでありますので、是非大臣の下でお願いしたいというふうに思います。  この二点ほど質問させていただいたんですけれども、いわゆる今の防衛省の計画だと、二〇二七年に二万人の関連部隊をつくるということでありますけれども、これは普通の隊員の採用を考えると、物理的にも非常に、約二十四万人の隊員の中から二万人をサイバー関連にというのは非常に難しいというふうに単純に考えるわけでありますけれども、ただ、今回のウクライナの件でありますけれども、民間の、ウクライナの場合、民間の専門家やハッカー、いわゆる、募ってロシアのサイバー攻撃に対抗したというのはもう皆さん御承知のとおりかと思います。是非そういったことも、やはり我々はこういうことを考えていかなければならないんではないかというふうに個人的に思っているところです。  さらに、その中途採用を増やしてやはりサイバー対処能力をしっかり確保しなければならないというふうに思います。  ただ、いきなり民間の人間を採用して防衛省・自衛隊の日常訓練にというのはまたなかなか難しい部分も想定されるわけでありますけれども、そうしたことを考えると、直接の隊員ではなくて、予備自衛官ですとか、さらには、民間から優秀な教員を引っ張ってくるですとか、本当にそこはしっかりと民間活用を考えていく必要があるのではないかなというふうに思います。  そういうことを考えますと、もう大きく世界も変わりましたので、やはり大臣の強いリーダーシップの下で固定概念、固定観念を変えて、積極的に是非サイバー人材の確保に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、今回、御案内のとおり、日豪、日英のRAAということで結ばれたことでありますけれども、これからの安全保障上の連携については本当に重要なことだというふうに自分は認識をしております。  この諸外国との防衛協力・交流については、今防衛省内ではいわゆる国際課が対応しているわけですけれども、米国との関係は同盟関係もありまして日米課がありますけれども、それ以外の、米国以外との関係というのは国際政策課と防衛政策局が担当しているわけであります。  今回のようにRAAが日豪、日英で結ばれるということになりますと、やはりより緊密な関係を対応していかなければならないというふうに思います。ただ、そうした中で、米国以外は、いわゆる両国については一くくりで、二つの課で、三十人程度の課で対応するというのはどうなのかなというふうに個人的に思っているところであります。  そういうことを考えますと、やはりEUですとか東アジアですとかインドですとか様々重要な国がありますので、専門的な課というか、対応する課を設置すべきではないかと、増やしていくべきではないかというふうに思うんですけれども、これについて見解を伺いたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  防衛省におきましては、近年、諸外国との安全保障協力の重要性が高まっておりまして、米国以外の諸外国との大臣級会談、次官級、各幕僚長級協議のハイレベル交流の実績だけを見ましても、二〇一二年度は六十六件でございましたが、二〇二一年度、令和三年度までの数年間を見ますと、六十六件と比較しまして一・五倍を超える百十件程度で推移してございます。  こういった業務が増える状況の中で、米国以外の全ての国・地域との防衛協力・交流を防衛政策局、国際政策課及び二〇二〇年度に設置した防衛政策局の参事官が所掌していると。大変大変であるということは御指摘のとおりでございまして、防衛省としましても、各国との防衛協力・交流に業務が増えている中で、体制が十分なのかと、どういう体制をつくるのが一番良いのかという問題意識を有しているところでございます。  自由で開かれたインド太平洋の実現のためには、御指摘のとおり、豪州や英国を始め各国との更なる防衛協力・交流の推進が不可欠でございます。そのため、今年度、防衛省では、豪州との防衛協力・交流に係る体制の強化を図るべく、新たに、日豪防衛協力推進室、仮称でございますけれども、これを設置する予定でございまして、引き続き必要な体制の整備に努めてまいりたいと思います。 ○岩本剛人君 ちょっと時間もなくなってきましたのでちょっと一つ飛ばすんですけど、今、検討していただけるということであります。  先ほどサイバーのお話も聞かせていただきました。施設整備も今後進めていかなければならないと。そういう中で、五年間で御案内のとおり四十三兆円という膨大な予算を執行しなければならない状況であります。  もちろん、その定数、いわゆる自衛隊を、隊員を増やすということになると様々なルールがあるんですけれども、やはり今の状況を考えますと、もちろん隊員を今後の適正な数字に持っていくということはありますけれども、いわゆる事務官、技官、そういった方々もやはり全く物理的に足りないというふうに自分は感じておりますし、今後の装備品ですとか施設整備等々、サイバーを考えると、そういった事務官を増やすということをやはり考えていかなければならないと思うんですけれども、この点について大臣の見解を伺いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省の事務官、技官等に求められている役割も委員おっしゃるように増大しており、令和五年度においては、防衛力の抜本的強化のために必要となる三百五十五人の事務官等の増員、七十五人の純増となりますが、を行うこととしております。  今般策定された国家防衛戦略等においては、自衛官とともに防衛力の中核を担う存在である事務官等の確保も人的基盤の強化の不可欠な一部であることを新たに明記をしておるところであります。  防衛省としては、御指摘の施設整備等も含めて、令和九年度まで防衛力整備計画を着実に実施するために必要な定員の確保をしっかりと進めていく考えであります。 ○岩本剛人君 是非お願いします。  最後に一問だけ。FMSなんですけれども、御案内のとおり、今議論がされておりまして、五年間の経費だけでも最大二十億円、今、日米とのやり取りで縮減されるということであります。この点について、やはりもう速やかに米国との協定を締結する必要があると思うんですけれども、この点を最後に伺いまして終わりたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  今委員御指摘のこの枠組みに関しましては、昨年十二月に日米間におきまして基本的な合意に至っております。現在、署名に向けた最終調整の段階でございまして、今月内に、四月中に防衛装備庁長官とアメリカの国防省取得・維持担当次官との間で署名を行う予定でございます。 ○岩本剛人君 終わります。ありがとうございました。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  先ほど岩本委員も触れられましたが、私としても、今朝の北朝鮮によるICBM級の弾道ミサイル発射について、極めて遺憾であるということと、あと断固非難するということ、そして繰り返される北朝鮮のミサイル発射は断じて容認できず、政府においてはしっかりと御対応いただきたいということをまず申し上げたいと思います。  その上で、我々としては報道を見るしかない立場ではございますが、結果的にJアラートは情報訂正されたという報道を見ております。政府は、七時五十五分頃、Jアラートを発出し、ミサイルが、同八時頃、北海道周辺に落下すると見られるとして避難を呼びかけました。そして、海上保安庁も、八時頃、北海道周辺に落下するという情報を流されました。八時二十分頃、その可能性はなくなったと訂正されたということです。  防衛省は、八時五十分頃に、我が国領域に落下する可能性があるものとして探知し、北海道に落下する可能性のあったミサイルについては我が国領域への落下の可能性はなくなったことが確認されたという、そんなような内容でしたが、誤報自体を責める気はありませんが、こうしたこと、Jアラートの、何というか、間違った発出が繰り返されると信頼性が低下するというおそれがあると思うんですが、そこはしっかりと検証しなきゃならないと思います。  可能であれば、今回の政府の対応の概要を御説明いただいた上で、この情報訂正の原因等について、また、どの地域に落下したか、着弾したかということ、現時点で説明できることがあればお願いしたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) 北朝鮮は、本日七時二十二分頃、北朝鮮内陸部から、少なくとも一発のICBM級弾道ミサイルの可能性がある弾道ミサイルを高い角度で東の方向に向けて発射したと見られます。発射されました弾道ミサイルは我が国領域へは落下していないことを確認いたしました。我が国EEZへの飛来も確認されておりません。これ以上の詳細は現在分析中であることを御理解いただきたいと思います。  そして、発射直後の情報に基づきますと、発射後、弾道ミサイルが我が国に落下することが予想されたことから、政府といたしまして、Jアラート及びエムネットにてその旨公表させていただきました。その後、当該情報を確認したところ、当該ミサイルは北海道及びその周辺への落下の可能性がなくなったことが確認されましたので、改めて国民の皆様に情報を提供したところでございます。  今回の発射につきまして、防衛省から政府内及び関係機関に対して速やかに情報共有を行わさせていただきました。現在までのところ、航空機や船舶からの被害報告等の情報は確認されておりません。  北朝鮮は、昨年から立て続けにミサイル発射を繰り返しまして、朝鮮半島そして地域の緊張を著しく高めております。国際社会全体への挑発をエスカレートさせる暴挙であり、こうした一連の行動は我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすもので、断じて容認できるものではありません。関連する安保理決議に違反するものであり、我が国として北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し、強く非難いたしました。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、今般の北朝鮮のミサイルの発射につきましては詳細を現在分析中でありまして、詳細が分かりましたら改めて御説明させていただきたいと思っております。 ○羽田次郎君 我が国の上空を通過したということは間違いないということでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  我が国の上空を通過したということは確認をしておりません。 ○羽田次郎君 しておりませんということなので、また、そういう意味では、Jアラートの発出というのがどういう、何というんですかね、仕組みでなされるのか、前に詳しく質問された先生もいらっしゃったのである程度は理解しておるんですが、やはりこうしたことを繰り返されないようにしっかりとした検証をよろしくお願いいたします。  それでは、防衛省設置法の改正案について質問させていただきます。  今回の改正案は、総計としての自衛官定数に変更はないものの、統合幕僚監部の人員を八名増員し、米軍との連携、調整の円滑化に関する取組等を推進するとされています。国家防衛戦略や防衛力整備計画では、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設することが掲げられています。  この統合司令部が発足することで、専任の司令官が統合運用の指揮を担うことになり、米国のインド太平洋軍司令部と緊密に連携することになると思われます。自衛隊が米軍の指揮下に置かれるのではないかとの指摘も国会ではなされていますが、政府は一貫して、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動すると述べられています。  しかし、自衛隊の統合運用体制の強化が進むにつれて米軍の影響力が高まっていくことは否定できないと考えますが、この点について大臣の御認識を伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今回の防衛力の抜本的強化に向けた検討に当たっては、統合的な運用構想により我が国の防衛上必要な機能、能力を導いており、この観点から、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を速やかに創設することなどを通じ統合運用体制を強化することとしております。  御審議いただいている防衛省設置法の一部を改正する法律案においても、米軍との連絡調整機能を整備するほか、サイバー分野における連携強化のために、サイバー国際訓練、演習機能を整備するなど、統合幕僚監部の体制強化を図ることとしております。  こうした取組は日米間の連携を一層強化させるものですが、もとより自衛隊の全ての活動は米軍と独立した指揮系統により主体的に判断の下行われるものであり、御懸念には及ばないと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  主権を有する独立国ですので当然の御答弁だとは思いますが、いざというときに米軍主導での運用にはなってしまうんじゃないかというふうにどうしても考えてしまいます。有事に前線で防衛に当たる自衛官の命を預かる防衛大臣として、是非責任ある御対応をお願いしたいと思います。  本改正案では、イージスシステム搭載艦の導入に係る要員を確保するために、海上自衛官を百二十一人増員するとされています。  このイージスシステム搭載艦は、二〇二〇年十二月の国家安全保障会議と閣議決定によって、陸上配備型であるイージス・アショアに替えて整備することが決定されました。イージス・アショアは、ブースター問題を解決するためのシステム改修に多大なコストと改修期間が長期にわたることを理由に配備断念に至ったこともあり、政府として反省すべき点も多かったとの認識を示されています。  こうした経緯を踏まえて、政府は、イージス・アショアの配備プロセスの反省点に立ち返りながら、慎重な判断を行うべきだと考えます。しかし、政府は、相変わらず、イージス・アショア関連経費との比較は困難との御答弁を繰り返しています。  本年度の防衛関係費には既に関連経費二千二百八億円が計上されていて、イージスシステム搭載艦は、二〇二七年度に一隻目、二〇二八年度に二隻目を導入するとされており、今後どれだけ経費が掛かるのか全く不透明です。見積段階であっても現時点での総経費を示すべきだと考えますが、政府としていかがお考えでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  イージスシステム搭載艦の総経費につきましては、令和五年度に実施する設計を通じまして今後船体の建造費が精緻化されること、令和五年度に調達する防空機能、水上レーダーなどです、や通信システム等のFMS装備品につきまして、システムインテグレーションに係る内容、経費に関しまして米国政府等と協議中でございまして、今後精緻化されること、こういった様々な要素を踏まえまして積算する必要があるということで、現時点で具体的な経費をお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。  いずれにせよ、イージスシステム搭載艦は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国を弾道ミサイルの脅威から保護することを主眼とするものでございまして、情勢に応じまして常時持続的に我が国全域を防護し得る体制の構築により一層貢献をするものでありまして、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底を図りつつ、イージスシステム搭載艦の整備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。 ○羽田次郎君 今の、今朝の状況とかも考えても、当然そのミサイル防衛システムというのが必要だということは十分理解できますが、ただ、先ほど申し上げたとおり、イージス・アショアの反省を踏まえれば、早い段階で総経費を示していただいて、国会での議論の中で問題点などを洗い出すべきだと考えますが、全く見通しが立たないのが現状という理解でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 五年度の予算の中に、先ほど申しました細部設計費用というものを積んでございます。五年度がもう始まっておりますけれども、これで今後業者さんと、企業さんと契約をいたしまして、また防衛省にも、海上幕僚監部あるいは装備庁に造船設計の専門家がおります。企業さんの力も借りながら、双方の力を合わせて細部の立派な設計をしていくということを志してございます。  これは五年度の予算でございますので、六年度には、まさにこの五年度の細部設計に基づきまして、艦船建造のための、船そのものの建造のための予算を求めていくという段取りになろうかと思われますので、したがって、そのときまでにはきちんとした形で費用の話をお話しできるようにする必要があるというふうに考えてございますので、ちょっとそのときまではなかなかお話し申し上げることができないんですが、まさに六年度予算を要求するに当たりましてはきちんとした数字を整えて対応してまいりたいというふうに考えてございます。 ○羽田次郎君 システム設計等で二千億円以上というのはなかなか大きな金額だなとは思いますが、いずれにしましても、細部が決まりましたら早急に国会にお示しいただけたらと思います。  本改正案によって、米国が日本国内で装備品の調達や機体の定期整備等のため日本企業と契約するような場合に、地方防衛局が品質管理業務を実施できるようになります。これに伴う日米間の相互政府品質管理の枠組みにおいて、日本が米国からFMS調達する際に、品質管理に係る契約管理費の〇・四五%の減免を受けられると試算されておりまして、我が国の負担が減る仕組みについては推進すべきじゃないかと考えております。  他方で、FMS調達そのものの予算額は増加傾向にありまして、今年度は、前年度の三千七百九十七億円に比べて一兆円以上増額となる一兆四千七百六十八億円に達しました。品質管理費が低減したとしても、FMS調達額が高止まりしてしまっては、引き続き我が国の財政を圧迫することになります。  地方防衛局の新たな任務追加に伴い、増加傾向にあるFMS調達そのものの削減も必要と考えますが、浜田防衛大臣の御見解をお願いします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛力の抜本的強化に際しては、国民の命を守り抜けるのか極めて現実的なシミュレーションを行い、必要となる防衛力の内容を積み上げました。積み上げに当たっては、米国製であれ国内製であれ、今後の我が国の防衛に必要な装備品を個別に検討し、我が国の主体的な判断の下に決定をしております。  厳しい安全保障環境を受け、高性能な装備品について早期導入を求められる傾向にあり、結果としてFMS調達が増加しておりますが、これは、我が国を守るために必要不可欠な装備品の中にはFMSでしか調達することができないものがあるためであります。  FMS調達については、防衛大臣レベルでの米国への働きかけも含め、価格上昇の抑制に向けた取組の推進など、FMS調達の合理化に向けて積極的に取り組んでいるところであり、引き続き、米国としっかりと交渉をし、必要な装備品を適正な価格で調達できるよう努めてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 是非、そうした取組、しっかりと進めていただきたいと思います。  次に、先日の委員会で申し上げたとおり、引き続き安保三文書について質問させていただきます。  私、今国会、当委員会ですとか決算委員会で、先ほどもありましたが、北朝鮮の核・ミサイル問題を質問してきました。この間、北朝鮮は多くの種類のミサイルを多数発射しておりまして、国家安全保障戦略でも、かつてない高い頻度で、新たな態様で繰り返し発射し、その能力を増強していると記されています。  北朝鮮は現在どのような種類のミサイルを持ち、それがどのように我が国にとっての脅威になっているか、防衛省に伺います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  北朝鮮は、短射程のものから、米国全土を射程に収める長射程のものまで、様々な射程の弾道ミサイルを開発、保有しているほか、発射台付車両、TELと称しておりますけれども、そのほかにも、潜水艦、鉄道といった様々なプラットフォームから弾道ミサイルを発射する能力を有しております。また、北朝鮮は、技術的には、我が国を射程に収める弾道ミサイルに核兵器を搭載し、我が国を攻撃する能力を既に保有しているものと見られます。  金正恩氏の父親である金正日氏が最高権力者であった間に発射した弾道ミサイルの数は十七年間で十六発でございましたが、北朝鮮は、金正恩氏の下、これまで、その可能性があるものを含め、これまでの十一年間で少なくとも、本日のもの含めまして百六十二発の弾道ミサイルの発射を強行してございます。  こうした北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものと認識してございます。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  本当に繰り返し繰り返しミサイル発射行われていますし、核実験の懸念もございますので、私としても今後もこうした状況を注視してまいりたいと思います。  政府は、四月七日の閣議決定で、北朝鮮に対する日本の独自制裁、すなわち、北朝鮮籍の船舶等の入港禁止ですとか、日朝間の輸出入禁止などの措置を二年間延長すると決定いたしました。この対北朝鮮制裁措置を延長した理由というのは、北朝鮮の核・ミサイル開発への対抗措置としての判断なのか、若しくは、拉致問題という最重要課題もありますが、拉致問題に対する北朝鮮の不誠実な対応への制裁でもあるということでしょうか、お答えください。 ○政府参考人(岩本桂一君) お答えいたします。  先ほど来御議論いただいていますこの北朝鮮の弾道ミサイルの発射、これは我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威でございます。北朝鮮は、累次の安保理決議が求めている完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を行っておりません。また、先ほど委員が御指摘のありました拉致問題につきましても、北朝鮮からは解決に向けた具体的な動きが示されていないところでございます。  こうした諸般の情勢を総合的に勘案いたしまして、また安保理決議の履行を担保するという観点も踏まえまして、今般、対北朝鮮措置として実施している入港禁止措置そして輸出入の禁止措置の期限を二年間延長することとさせていただいたものであります。 ○羽田次郎君 総合的な判断の下でということだと思いますが、制裁と同時に、やっぱり被害者救済のために対話のチャンネルを開いておくことも重要ですので、引き続きそうした姿勢を定期的に示すこともお願いいたします。  四月七日に韓国ソウルにて、北朝鮮に関する日米韓協議が実施されました。協議の終了後、北朝鮮に関する日米韓三か国共同声明が発出されましたが、共同声明を発出した意義を林大臣にお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) 四月の七日でございますが、韓国ソウルにおきまして、北朝鮮に関する日米韓協議が実施され、我が方から船越アジア大洋州局長、それからソン・キム米国北朝鮮担当特別代表及び金健韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長がそれぞれ出席いたしまして、日米韓三か国共同声明が発出されたところでございます。  この共同声明におきまして、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、日米韓の安全保障協力を含む地域の抑止力強化、安保理における対応や同志国との協力を含む国際連携、サイバー分野における対応等につきまして、日米、日韓、日米韓の緊密な連携、これを確認できたことは大変意義のあることだと考えております。また、拉致問題の即時解決を実現するために協働していくことについても一致したところでございます。  我が国としては、今後とも、日米、日韓、日米韓を含む国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進めて北朝鮮の非核化を目指してまいります。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  日本単独では、残念ですが、なかなか拉致問題についての進展が見られませんでしたので、この多国間の枠組みで何らかの進展があることを期待しております。  三月十六日の日韓首脳会談では、国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、関係を更に発展していくことで一致し、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくこととなりました。日韓の安全保障協力について、国家安全保障戦略で、北朝鮮への対応等を念頭に、安全保障面を含め、日韓、日米韓の戦略的連携を強化していくと明記されておりまして、日米韓の枠組みについて、これまで、北朝鮮によるミサイル発射への対応を念頭に、様々なレベルで協議が開催されていると承知しております。  日韓の枠組みについて、先般の首脳会談で、日韓安全保障対話、それと日韓次官戦略対話を早期に再開することで一致しておりますが、日韓の戦略的連携がどのように強化されるのか、外務省の見解を伺います。 ○政府参考人(岩本桂一君) ただいま委員御指摘のとおり、韓国は、国際社会における様々な課題への対応で協力していくべき重要な隣国でございます。特に、北朝鮮への対応を含めて現下の戦略環境を踏まえれば、日韓、日米韓三か国で緊密に連携していくこと、これは大変重要でございます。  今御指摘の先般の日韓首脳会談において両首脳は、両国が共に裨益するような協力を進めるべく、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくことで一致しております。  まさにその一環としまして、この安保対話、そして次官戦略対話の再開などを進めていくこととしておりまして、現在、対話の早期実施に向け調整を加速しているところでございます。また、安全保障分野を含め、様々な政策分野における各省庁による日韓両国の間の対話、これも積極的に後押ししていく考えでございます。  こうした取組によって具体的な協力に向けた環境を醸成し、日韓関係の前向きな機運を確かなものにしていきたいと考えております。 ○羽田次郎君 本当に隣国とのしっかりした共通意識を持って今後国際社会の様々な問題に取り組んでいくということは非常に大切だと思うんですが、ただ、旧朝鮮半島出身労働者の訴訟問題をめぐりましては、今月三日に韓国地裁が三菱重工業の特許権四件の差押えを認める決定を出して、今後現金化の手続を進めると報じられております。  日本企業の資産差押えの動きに関しても韓国政府に対して適切に対処するよう働きかける必要があると考えますが、林大臣の御見解を伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 今御指摘のあった報道、これは承知しておりますが、その一つ一つにコメントをすることは差し控えたいと思います。  その上で申し上げますと、旧朝鮮半島出身労働者問題につきましては、三月に韓国政府による措置が発表されました。政府としては、今後、韓国政府が国内のプロセスを行い、同措置を着実に実施していくことを期待をするところでございます。  また、この措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流、これが力強く拡大していくことを期待をするところでございます。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  今月二日の日中外相会談で林外務大臣は、秦剛外交部長に対して、台湾海峡の平和と安定の重要性について述べるとともに、南シナ海の状況に対する深刻な懸念を改めて表明されました。  しかし、三月末から四月五日にかけて台湾の蔡英文総統が中米二か国の首脳や米国のマッカーシー下院議長などと会談を行った後、今月八日から十日にかけて、中国軍が台湾海峡と台湾の北部、南部、東部の海域や空域でパトロールと軍事演習を行い、台湾海峡の中間線を越える戦闘機や台湾南西沖の防空識別圏に進入する戦闘機もあったと確認されております。  国家安全保障戦略に、中国は、台湾について平和的統一の方針は堅持しつつも、武力行使の可能性を否定していないとの記載があり、国家防衛戦略では、中国は、台湾周辺での一連の活動を通じ、中国軍が常態的に活動している状況の既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を企図していると見られるとの記載がありますが、今回の中国の動きをどのように分析して評価されているのか、林大臣に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 御指摘の中国による軍事演習については、政府として、一貫して大きな関心を持って注視をしております。その分析、評価についてつまびらかにすることは差し控えたいと思います。  その上で、この台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であります。今お触れいただきましたように、こうした立場から、先般の私の訪中の際も、私から秦剛部長に対して台湾海峡の平和と安定の重要性について述べたところでございます。  また、この先般行われた日中高級事務レベル海洋協議におきましても、本件も含めて、日本側から中国側に対し、我が国周辺海域における中国の活発化する軍事活動に対し深刻な懸念、これを改めて表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性について改めて提起をしたところでございます。  我が国としては、今後とも、関連の動向を注視してまいります。 ○羽田次郎君 防衛省として何か分析とか評価ありましたら、お願いします。 ○政府参考人(増田和夫君) 中国は、四月八日から十日までの間、台湾周辺の海空域において、台湾を囲む形で軍事演習を実施した旨発表していると承知しております。当該演習について、中国は、空母山東や多数の艦艇、空母艦載機や中国本土からの大量の戦闘機などを参加させたと見られ、また、制海権、制空権の獲得を奪取する検証を行い、台湾を全方位から取り囲んで威嚇、制圧の態勢をつくり上げたなどと主張しており、威圧的な訓練であったと認識しております。  中国は、今回の活動について、訓練につきまして、台湾独立分離主義勢力が外部勢力と結託して挑発することに対する重大な警告である旨述べていると承知しておりまして、中国は台湾問題で妥協をしない姿勢を示したものと考えられます。  防衛省・自衛隊としては、引き続き関連の動向を注視するとともに、我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期してまいりたいと思います。 ○羽田次郎君 しっかりと分析そして監視を行っていただきたいと思います。  次に、政府安全保障能力強化支援、OSAについて、昨年八月末の令和五年度予算概算要求の時点で事項要求にとどまって、具体的な内容、金額は示されませんでした。ただ、昨年末の予算決定の時点で、同志国の安全保障能力強化を支援するための経費として二十億円が計上されていることは、先日、佐藤先生からもお話あったと思います。  そして、報道によれば、非軍事に限られるODAでは、途上国の軍が担う沿岸警備や軍民共用の湾港、空港に対する支援ができず、日本政府には途上国のニーズに十分に応えられていないとの声が根強くあったとされていますが、これまで途上国からどのようなニーズが伝えられていたのか、また、何かきっかけとなるような出来事があったのかを含めて、OSA創設の経緯について伺います。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれている中で、力による一方的な現状変更を抑止して、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の安全保障能力の向上、抑止力の向上をさせることが不可欠でございます。  こうした観点から、軍等に対する資機材供与、インフラ整備等を通じて同志国の安全保障上の能力、抑止力の強化に貢献することにより、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際的な平和と安全の維持強化に寄与することを目的として、ODAとは別に、新たな無償による資金協力の枠組みを導入したものでございます。  この支援枠組みにつきましては、昨年十二月十六日に閣議決定された国家安全保障戦略に盛り込まれ、令和五年度予算、外務省予算に二十億円が計上されているところでございます。また、本年四月五日にOSAの実施方針を国家安全保障会議で決定し、公表したところでございます。  本件支援枠組みはこのような経緯で創設したものでございます。特定の事象が契機となったということではございません。 ○羽田次郎君 このOSAの対象国や案件の検討に当たって、政府は、今後、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ及びフィジーを対象として、警戒監視等の海上安全保障分野の能力向上に資する機材供与を想定した専門的な調査を外部事業者に委託して行うことを考えているということですが、委託調査の対象国としてこの四か国が考えられている理由について伺います。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、令和五年度につきましては、まずはフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーを対象とした調査から開始することとしております。  これらの調査対象国の選定は、まず、OSAの目的に照らした支援実施の意義、日本として把握している各国のニーズ、各国の経済社会状況等を総合的に勘案して判断したものでございます。特に、日本のシーレーンの要衝に位置するなど、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出の観点からの重要性、また地域の安全保障にとっての重要性、さらに我が国との安全保障協力関係強化の重要性等を考慮いたしました。  その過程におきましては、国家安全保障局や防衛省を始めとする関係省庁とも協議を行いつつ、支援対象国、分野を一定程度絞り込んだ上で相手国政府とも協議を行ったところでございます。  今後、御指摘の四か国に対し、専門的な調査を外部事業者に委託して行った上で、調査の結果を受けて、相手国とも更に調整を行った上で最終的に対象国を決定することとなります。 ○羽田次郎君 じゃ、まだ確定はしていないという理解でよろしいんですかね。  この防衛装備品の海外移転については、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援等のための重要な政策的な手段となるとした上で、三つの原則そのものは維持しつつ、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討すると記載されています。  どのような防衛装備品の輸出が、どのように我が国にとって望ましい安全保障環境の創出のための政策手段となるのでしょうか。それから、我が国がウクライナに対し実施した非殺傷の防衛装備品等の供与では、国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援等のための政策的な手段として不十分との認識でしょうか。防衛省に伺います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かすものであり、断じて認められず、我が国としても、平和秩序を守り抜くため、国際社会と結束し、断固たる決意で対応してきており、防衛省といたしましてはこれまで、自衛隊法に基づき、防衛装備移転三原則の下、防弾チョッキを始めとする装備品等を提供してきております。  その上で、国家安全保障戦略に記載しているとおり、防衛装備品の海外への移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段となります。  委員御指摘の、どのような防衛装備品の輸出が政策的な手段となるのかといった点や、ウクライナに対して実施した防衛装備品等の供与では政策的な手段として不十分かといった点に関しましては、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの内容に関わるものであり、現在検討中の段階であることからお答えすることが困難であることは御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、先ほど申し上げた点を踏まえ、引き続き関係省庁とともにしっかりと議論してまいる所存でございます。 ○羽田次郎君 まだお答えすることが難しいというお話ですが、与党には、五月のG7広島サミットに向けて、防衛装備移転三原則や運用指針の見直しを図って、G7各国と友好国、そしてウクライナに対して我が国の意思を示すべきであるという意見があると承知しておりますが、政府として、サミットまでに防衛装備移転三原則に係る制度の見直しをするおつもりでしょうか。また、同制度見直しについては、我が国の平和国家としての在り方を踏まえると、国会における議論も含めた形で慎重に議論することが求められるのだと考えますが、浜田大臣の御見解を伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛装備品移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的なスケジュールについては現時点では決まっておりませんが、防衛省としては、引き続き、関係省庁とともにしっかりと議論してまいりたいと思います。  その上で、御指摘の点について、防衛装備移転三原則や運用指針を含め、我が国の政策については国際社会や国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、国会における質疑などを通じて適切に説明してまいりたいと考えておるところでございます。 ○羽田次郎君 まさに国民の理解が得ることは非常に大切だと思いますので、是非とも今後とも国会での議論をお願いしたいと思います。  国家安全保障戦略にある防衛力の抜本的強化を補完する取組について伺いたいと思いますが、資料一の一、一の二、一の三のとおり、三月三十一日の本委員会で小西理事の質疑に対して、補完する取組の内容と金額に関する答弁がありましたが、海上保安庁予算やPKO関連経費などで〇・九兆円程度という御答弁でした。  この補完する、関連経費などの、このなどにはどのような経費が含まれているのか。例えば、かつてNATOを参考にした防衛費の試算においては恩給費も含まれていたものと思われますが、網羅的に個々の内容と金額をお示しいただければと思います。 ○政府参考人(室田幸靖君) お答えを申し上げます。  お尋ねの二〇二七年度における防衛力の抜本的強化を補完する取組の経費の内訳についてでございますけれども、もとよりこれは五年後のことでございますので、現時点での確定的なことをお答えすることについてはもとより困難ではございます。  また、補完的取組に関しては、具体的にどのような経費が我が国防衛に資するかについて様々な御議論があるとも承知をしておりますけれども、その中におきまして、前回の答弁におきまして、歴代の政権でこれまでのNATO定義を参考にしつつ、安全保障に関する経費として仮に試算をしてきた項目があるということを申し上げた上で、これが、海上保安庁予算、PKO関連費などが〇・九兆円という答弁をさせていただいたところでございます。  御質問はこのなどの内訳ということかと思いますけれども、まず〇・九兆円の根拠につきまして申し上げますと、こういった先ほど申し上げた項目の令和五年度における予算が〇・八兆円となっておること、また、このうち海上保安庁予算については令和九年度までに現在の水準からおおむね〇・一兆円程度の増額が決定されていると、こういったことを踏まえての数字となっております。  さらに、このなどの内訳でございますけれども、先ほど申し上げたような条件があるという前提で歴代の政権でこれまで仮に試算してきた項目を申し上げますと、例えば、恩給費、弾薬の処分等関連経費など旧軍人軍属等や旧軍兵器に関するもの、国連PKO分担金などのPKO関連経費、海上保安庁、内閣衛星情報センターなどの安全保障関連組織の関する経費、防衛駐在官人件費などの自衛隊関連経費、基地交付金などの在日米軍の駐留に関する経費などが念頭に置かれた試算となっているということを申し上げさせていただきます。 ○羽田次郎君 いずれにしましても、まずこうした、今後も安保三文書に記載された施策を実施するために様々な法案が審議されていきますが、しっかりと内訳などもお示しいただいて、今後しっかり我々が判断できるような情報も提供していただくことをお願いいたします。  残り時間の関係上、少し飛ばしまして、トルコ共和国における国際緊急援助活動について質問させていただきます。  防衛省・自衛隊は、今年二月六日に発生したトルコ南東部を震源とする地震による被害を受け、まず特別輸送機一機により国際緊急援助隊医療チームの活動に必要な機材等を輸送したと承知しております。さらに、三月には、トルコ政府とNATOからの協力要請を踏まえ、空中給油・輸送機一機によりパキスタンにある緊急援助物資をトルコに輸送しました。  トルコ政府とNATOから協力要請が来たのはいつ頃で、そしてトルコ政府に加えてNATOから協力要請がなされた背景について伺います。 ○政府参考人(中村仁威君) お答えいたします。  今回実施いたしましたトルコへの自衛隊機による災害救援物資の輸送支援につきまして、具体的な要請は、二月の二十四日にNATOから、翌二十五日にトルコ政府から、それぞれ書面をもって行われたところでございます。  日本とNATOは信頼できる必然的な、必然のパートナーでございまして、本年一月のストルテンベルグ事務総長が来日した際にも、岸田総理や林外務大臣との間で日・NATO間の協力を更に強化する必要性を改めて確認したところでございますが、日・NATO間では国別パートナーシップ協力計画という文書がございます。そこにおきましても、人道支援、災害救援などの分野で実務的協力を深めていくことが記載されているところでございます。 ○羽田次郎君 自衛隊の実運用に関して、NATOと協力を実施するのは今回が初めてというふうに理解しておりますが、NATOの要請に応じて緊急援助物資を輸送することについて、パートナー国というような話もありましたが、パートナー国というのはそもそもどのような立場なのか、一言御説明いただければと思いますが、いかがでしょう。 ○国務大臣(浜田靖一君) 自衛隊の実運用に関し、NATOとの協力を行ったのは今回のトルコにおける国際緊急援助活動が初めてであります。  日本とNATOは信頼できる必然のパートナーであり、本年一月のストルテンベルグ事務総長の訪日の際にも、岸田総理と日・NATO間の協力を更に強化する必要性を改めて確認しております。また、日・NATOの間の国別パートナーシップ協力計画においても、人道支援、災害救援等での実務的協力を深めていくこととされております。  今回、自衛隊は、その経験や能力を生かし、NATOとの連携して、トルコの人々に対して迅速かつ確実に緊急援助物資の輸送活動を実施することができました。今回の活動に対してはトルコ政府及びNATOから高い評価と謝意が示されており、トルコとの関係のみならず、日・NATOのパートナーシップの一層の深化につながったと考えております。 ○羽田次郎君 時間となりましたのでこれで終わりますが、残りの質問、またさせていただきます。  ありがとうございました。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  防衛省設置法改正案に関連しまして早速質問させていただきたいと思います。  まず初めは、防衛省・自衛隊の人的基盤強化というテーマについてお伺いします。  このテーマに関しましては、本年二月に浜田防衛大臣の下に有識者の検討会が設置をされたところでございます。先般の大臣の会見の中でも、今、自衛隊員の確保が難しくなっているという、こういう厳しい認識も示されたところであります。人的基盤強化でありますから、当然、量というか、人員を確保するということと同時に、質を引き上げなければいけない。サイバーですとか、様々専門性の高さということも求められているわけであります。非常に重要な検討会だと思っているんですが、この検討会、六月頃をめどに中間報告の骨子を出されるということでございます。  大臣に、この検討会設置の趣旨と提言の取りまとめに向けたお考えをお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省・自衛隊の人的基盤の強化について施策の具現化を図っていくところ、自衛隊員の人材確保が厳しくなる中で、これまで以上に民間の労働市場の動向や働き方に対する意識の変化といった社会全体の動きを踏まえて検討を進める必要があると考えます。  このため、各界で活躍されている有識者の方々をお招きし、その知見を取り入れるため、本年二月に防衛省・自衛隊の人的基盤強化に関する検討会を立ち上げさせていただきました。これまでも計二回の検討会を開催したほか、現場部隊も御視察をいただきながら、自衛隊員の処遇向上や特に募集状況が厳しい任期制自衛官といった課題について様々な観点から活発な御議論をいただいているところであります。  本年六月に中間報告の骨子を御議論いただく予定と承知しておりますが、いただいた提言も踏まえながら、自衛隊員の人的基盤の強化に取り組んでまいりたいと考えております。 ○平木大作君 メンバーも拝見しまして、今、民間企業の例えば働き方改革ですとか持続可能な人事政策みたいなことを研究されている方も入っていらっしゃいますし、是非とも、一旦、この自衛隊・防衛省、人事政策というものを見直していただいて、有意義な御報告に是非していただきたいと思いますし、現場を見ていただいているというのもとてもすばらしい取組だと思いますので、期待したいと思います。  今般の改正におきまして、昨年十二月に策定をされました防衛力整備計画に基づいて自衛官定数の変更が行われます。これまで、自衛官の定数に対しまして、定数ということに対して、いわゆる実際に配置をされる予算上の人員、これは実員と呼ばれるわけですけれども、この定数と実員、乖離が大分大きいわけですね。定数に比べて一万人以上この実員の方は少ないということであります。  今年度予算の中では、この実員については千七百六十九人増員ということが盛り込まれているわけですが、中長期の、この防衛力整備計画の中ではこの実員について言及というものがございません。今後、この実員と定数、近づけていくためのこの見通しというのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  自衛官の定数は、自衛隊の任務の遂行に必要な部隊等においてあるべき自衛官の人員数を積み上げたものでございます。現在、二十四万七千百五十四名でございます。自衛隊の実員の増員により自衛官の充足率を一〇〇%に近づけていくことが望ましいと考えてございます。  防衛力を発揮するに当たりましては必要な人材を確保することが不可欠でございまして、国家防衛戦略等に基づきまして、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じまして、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊員の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えております。  先ほど大臣から御発言がありましたように、検討会立ち上がって、その提言も出るということであると聞いておりますので、その提言もいただきながら、取組を具体化してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。 ○平木大作君 今御答弁あったように、この検討会の成果というものをしっかり充足率の向上に生かしていただきたいと思います。  これにもう一つ関連して、この防衛力整備計画の中で、定員については、二〇二七年度末までは自衛官の定数の総計を増やさず、所要の施策を講じることで必要な人員を確保すると、こう書かれているわけであります。今回の法改正の中でも、総定員は維持するんですけれども、ただ、その中で、サイバー防衛隊の拡充あるいはイージスシステム搭載艦の整備等々のために、陸上自衛隊の定数は二百五十五名削減すると、で、その人数を海上自衛隊、共同の部隊、統合幕僚監部に定数を振り替えるということが行われるわけであります。  こういう中でやはりちょっと懸念としてありますのは、今、南西諸島地域の防衛体制の強化ということが政府の方針としてもしっかり示されている中で、この陸上自衛隊の定数減というのは影響しないのか、これどう対処していくのかについてお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、自衛隊部隊の増強等により南西地域の防衛体制を強化する必要がございます。そのような中でも、防衛力整備計画期間中においては、全自衛官の定数の総数は増やすことなく、所要の施策を講じることで必要な人員を確保することとしてございます。  そのため、統合運用体制の強化に必要な部隊を各自衛隊から振り替えるとともに、共同の部隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の増員所要に対応するため、必要な定数を陸上自衛隊からそれぞれ振り替えるということを考えてございます。  同時に、陸上自衛隊におきましては、既存部隊の見直し、即応予備自衛官の体制見直し、無人化、省人化の促進、部外力の一層の活用といった最適化を徹底することで、南西地域の防衛体制の強化を図っていくことが可能であると考えてございます。  以上でございます。 ○平木大作君 ちょっと今のですと、最適化がどの程度できるのか、本当に大丈夫なのかというところをまだ確信持てないところもありますが、また今後の施策についていろいろ当委員会でもお伺いしていきたいと思います。  ちょっと時間の関係ありますので次に行きますが、今回、国家安全保障戦略の中で、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させるということが明記をされました。これ、例えば防衛力整備計画の中ででも、具体策として、陸上自衛隊通信学校を陸上自衛隊システム通信・サイバー学校に改編すると、こういうふうに書いてあるわけでありますが、ちょっと基本的なところかもしれませんが、確認をさせてください。  こういったことを書いてある一方で、防衛大学校については特に具体的な言及、ここは私は見出せなかったんですけれども、例えば、報道等では、防衛大学校にもこのサイバー学科の新設みたいなことも含めて結構いろいろ今出てきていると思うんですが、このサイバー領域ですね、人材強化という観点で防衛大学校の果たすべき役割について、是非ともこれは大臣から御答弁いただきたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) サイバー領域における脅威は日々高度化、巧妙化しております。サイバー防衛体制を抜本的に強化するためには、サイバー人材の育成が喫緊の課題であると認識しております。こうした中、幹部自衛官の育成を担う防衛大学校においてもサイバー教育を強化していくことが重要であると認識をしております。  現在、防衛大学校では、文系、理系問わず、本科学生全員に対し、学生がサイバーに関する素養を身に付けるためのリテラシー教育や領域横断作戦に関する教育を実施をしておるほか、特に理系の学生に対しては、情報システムやサイバーセキュリティーに係るより高度な教育も行っております。  今後、防衛省としては、防衛力整備計画期間中に、防衛大学校においてこうしたリテラシー教育やサイバー専門教育の拡充等を行い、サイバー安全保障分野を含めて重要な役割を担う幹部自衛官を育成する機能を強化してまいりたいと考えております。 ○平木大作君 今の問いに関連しまして、この防衛大学校って基本的に幹部自衛官の育成というところでありますので、また全体のパイというところとはまた違うところもあるということは分かっておるわけですが、この防衛力整備計画でやはり示されたこの二〇二七年度を目途に自衛隊サイバー防衛隊等のサイバー関連部隊約四千人に拡充というのは、やっぱり相当ハードルは高いんだろうと思っております。現在の規模の四倍以上ということですね。  かなりこれはいろいろな手を打っていかなければいけないですし、何よりも、先ほども少し質問ありましたけれども、やはり民間人材の登用ということをどうしてもやっていかなければいけない。民間の分野でも、まさにこういった人材というのは今取り合いになってる人たちでありますから、当然、この待遇面ですとかそういったところも含めて、これ相当今のものを見直していただかなければいけないんじゃないかと思っております。  この民間からの高度サイバー人材の確保、どう取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊としては、二〇二七年度をめどにサイバー関連部隊を約四千人に拡充することに加え、システムの調達や維持運営等、システムのライフサイクルを通じてサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務に従事する隊員約一万六千人以上に対し必要な教育等を行い、合計二万人の体制をすることを目指しています。その際、必要な人材の確保に当たっては、陸海空自衛隊の学校における課程教育、部外の教育機関の活用、外部人材の活用などの取り得る手段を全て取ることとしております。  また、専門的知見を備えた優秀な人材の発掘を目的とし、二〇二〇年と二〇二二年に防衛省サイバーコンテストを開催し、二〇二二年にはコンテスト参加者に対する採用案内やサイバー関連業務に関する説明会を開催したところでございます。また、国内各地から有為なサイバー人材を採用するため、自衛隊地方協力本部等で人材確保の要員を増員、こういった幅広く人材を求める取組に努めておるところでございます。  今後は、更に外部人材の活用を促進すべく、例えば、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備を検討しており、その際、体力面に関しては緩和することも視野に検討を進めてまいります。  国家安全保障戦略を始めとする三文書を踏まえ、引き続き、サイバー人材の確保、育成を実効的に強化できるよう検討をしっかりと進めてまいります。 ○平木大作君 時間の関係で、済みません、駆け足でここまでお伺いしてきました。  最後の問いですけれども、今般の法改正で、地方防衛局の所掌事務に国際協力を追加し、防衛装備品及び役務に係る品質管理業務を日米相互に無償で提供し合う仕組みというのが追加されます。この取組自体は、これまで参議院が内閣に対して警告決議を行ってきましたFMS調達改善策の一環であるということもありますので、これは高く評価したいと思います。  その上で、同調達につきましては、例えば令和三年度、これ、未納入額、未精算額、それぞれまだ百二十三億円、四百億円とありまして、引き続きこれ課題も残っているんだろうと思っております。今回は、これまでもろもろ、いろいろな課題が指摘をされてきました。それこそ、価格の透明性ということから、この計算書と受領検査調書の不整合とか、いろいろいろいろある中で、今回この契約管理費の減免というところについては大きな前進だと思っておりますが、これ以外の課題について、現状の取組、進捗、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、FMSに関しまして、未納入、未精算の課題を含め、様々な課題があるところでございます。これらの課題の解決に向けまして、防衛装備庁と米国におきましてFMS制度を所管する国防安全保障協力庁との間で、FMS調達の諸課題について協議するSCCM本会議を行っており、直近では本年一月に実施しているところでございます。  具体的な取組といたしまして、まず、委員御指摘の未納入、未精算に関しましては、まず体制面の強化ということで、防衛装備庁における履行管理体制強化のために、平成二年度に、米国現地に米国政府との調整等を担う有償援助調達調整班を新設しております。また、令和三年度に、調達実施部門、部署に履行状況を管理する履行管理・促進班を新設してきているところでございます。  さらに、先ほど申しましたSCCM本会議におきまして、全ての未納入、未精算のケースの個々の品目ごとの履行状況の管理を継続、強化することといたしまして、米側に個別具体的に働きかけを行っておるところでございます。その結果、近年、未納入額につきましては減少傾向にあるところでございます。  また、価格の透明性という課題に関しましては、米国の各軍省等に対しまして、必要な価格情報を日本側へ十分に提供するということに加えまして、価格上昇理由、どういう理由で価格上昇したかと、こういう情報につきましても日本側に提供するよう指導監督するよう、先ほど申しました米国の国防安全保障協力庁に要請しているところでございます。  さらに、FMS調達物品の価格の透明性の確保に関しまして、日米間で連携して取り組み、必要な方策、検討の推進に当たり、最善の努力を行っていくこととしております。  引き続き、様々な取組を進め、米側に個別具体的に働きかけを行いまして、FMS調達の適正化に努めてまいる所存でございます。 ○平木大作君 SCCMはもうしっかり動かして、今後も取り組みいただきたいと思います。  時間参りましたので終わります。ありがとうございました。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  本日は、まず、防衛省の設置法の一部を改正する法律案に関して二点、最初に、地方防衛局の所掌事務の追加に関して御質問させていただきたいと思います。  有償援助、FMS調達、累次の会計検査院の指摘があり、また、私はまだこのときはおりませんでしたが、二〇二〇年六月の参議院決算委員会で、二〇一八年の決算に関しての警告決議、FMS調達について改善すべき課題が山積していることを遺憾として政府に改善を求めるべきであるという内容が決議がなされていると承知しております。  今回の地方防衛局の所掌事務の追加、先ほど平木理事からも御指摘がありましたけれども、これはその課題の一つである契約管理料の減免に係る協定等が未締結、無駄な経費の支出があるんではないかということに対応するものだと理解しております。  まず、今回、契約管理料の減免に係る協定、このような交渉プロセス、そして今回の所掌事務の追加に至った経緯について、防衛省からお答えいただければと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  日米間の相互政府品質管理に係る枠組みにつきましては、令和元年十月の会計検査院及び令和二年六月の参議院決算委員会の警告決議におきまして本枠組みを検討するよう指摘があり、本格的な検討を、当時の防衛大臣の指示を受け、二〇一九年十月から開始しているところでございます。  検討開始後は、米側が求める品質管理の内容とか日本側が負担すべき役務の内容等についてアメリカ側と協議といいますか、意見交換を重ねてきたこと、我が国でアメリカの国防省による品質管理を受けている日本企業からのヒアリングというものを実施しております。また、米側による日本の品質管理体制に関する現地調査への協力といったことについて実施してまいり、昨年十二月に日米間において基本合意に至っているところでございます。  本枠組みに基づき、防衛省が国防省に代わり実施する品質管理業務につきましては、現在、各地方防衛局が実施している監督、検査業務と類似性がある業務のため、地方防衛局が実施することが効率的であり、本改正により、地方防衛局が品質管理業務を実施できるようになるものでございます。 ○金子道仁君 御回答ありがとうございます。  まず一点目は、こうした無駄を省くそのような行為というのは、会計検査院に指摘されたからするというよりも、むしろ防衛省の中で情報収集して自発的にしていただきたいということがまず一つのお願いです。  もう一つは、指摘から約二年掛かって今回に至った。これは時間的には掛かり過ぎたんでしょうか、それとも最短の努力でこの二年でこれが実現したんでしょうか、お答えください。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、本枠組みの検討を開始するに当たりまして、米国政府から、検討を開始して実際の合意に至るまで、協議内容や実地調査等に関し、過去の他国との締結時の経験から数年程度は掛かるという説明をまず受けておるところでございます。  さらに、本枠組みを合意するに当たりまして、検討過程の一環といたしまして、防衛省が行う品質管理体制につきまして、アメリカの国防省担当者が実際に日本に訪日し、地方防衛局が各企業で実施している監督、検査業務を実地調査する過程というものが必要になると、なっておるところでございます。  しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、日本へのこの実地検査のための往来というものができなかったといいますか、遅れたため、実地調査が実施できなかったことが検討に要する時間に、掛かった要因の一つと認識しているところでございます。 ○金子道仁君 実際、他国であれば二年強掛かるところ、コロナ禍の中で二年でまとめたという防衛省の御努力、本当に感謝申し上げます。  ちょっとこれ、追加というか、通告になかった内容ですが、今年度、このFMS調達が、先ほども御指摘にあった、跳ね上がるわけですね、一兆四千億。で、それの〇・四五%ですと、ざっくり言って七十億ぐらいの管理契約料があるんですが、今年度の調達分から品質管理料の減免が図られるんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  先ほど岩本委員の方からも御質問がございましたが、実際に、この枠組みにつきましては、日米間の署名、これが実際に、日本側は防衛装備庁長官、アメリカ側は担当次官でございますが、その署名以降、発効するとなります。今現在、アメリカ側とは今月中の署名ということに向けて今最終調整をしている段階でございまして、この署名以降のFMSの契約につきましては、今委員御指摘の〇・四五%の減額が図られるということになるということでございます。 ○金子道仁君 是非、早急な署名をお願いします。  防衛費、今回大幅に増額をしていく。ただ、それは増額ありきではなくて、必要な経費を積み重ねた結果の増額であると理解していますので、そこに無駄が入らないように御努力いただければと思います。  今回、FMS調達の一つの課題について無事解決できたことは歓迎すべきです。  また、会計検査院のこの警告決議の中では残り二つの課題が指摘されています。一つは、先ほど平木委員からも、理事からもあったように、その未納入、未精算問題。またもう一つは、計算書と受領書の調書が不整合であると、つまり、納品するよといったものと実際に納品されたものの紙の内容が不整合であるという、契約の中で余りあり得ないようなことがあったという指摘がありました。  この二つ目の計算書と受領検査書の調書の不整合に関しては、二〇一八年度末で三十億だったのが、一年後、二〇一九年度末には一億円に削減された。ここにも防衛省のしっかりした対応が表されていると思っております。  他方で、資料の一を御覧いただきたいんですが、未納入、未精算問題に関しては、ちょっとこちらに関してはいかがなものかと私自身思っております。前払金、大きな前払金を払ったにもかかわらず出荷予定時期を過ぎても未納入のケースが、二〇一九年度の場合で百六十六億円、また、納入しました、そして実際の前払金と差額があった、その未精算の部分が三百三十二億円あったとあります。  現状はこれは削減されているんでしょうか、防衛省、お答えください。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  FMSは、米国政府の安全保障政策の一環として、米国政府が同盟国、同盟諸国等に関して装備品を有償で提供するものとされております。このため、価格が見積りで納期が確定しないことや、原則前払で納期後に精算を行うなどの特色があり、未納入や未精算といった問題が生じる場合がございます。  先ほど、この未納入、未精算を改善する取組ということで平木委員の方からも御質問があり、先ほどちょっと防衛省の体制整備とか実際のアメリカとの具体的なやり取りの概要について御説明したところでございますが、そういう結果、二〇二一年度末時点におきまして、未納入額につきましては約百二十三億円、未精算額につきましては約四百億円という結果になっております。未納入額につきましては、三年連続の減少となり、成果が出ておりますが、未精算額につきましては、近年のFMS調達額増加傾向の中、横ばいか若干の増加傾向にございます。  今後とも、特に未精算の解消に向けまして、未精算品目の中で優先順位をしっかり明確化しまして、個別具体的に米側にも働きかけを行いまして、未精算の解消にも取り組んでまいる所存でございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  御努力いただいているのは確かだと思うんですが、数字を見ると若干微妙だなと言わざるを得ないと思います。  先ほど申し上げたとおり、令和五年度になるとFMS調達額が跳ね上がるわけですね。この額が跳ね上がって問題も跳ね上がってしまうと、これは国民の理解をいただけないと思うんですが、調達額が大幅に増額される中で適正な予算の執行は確保できるんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  FMS調達におきましては未納入、未精算といった課題がございまして、防衛省といたしましては、改善に向け、先ほど申しましたように様々な取組を進めております。  本年一月に実施しました防衛装備庁とFMSの制度を所管する米国の国防安全保障協力庁との間でFMS調達の諸課題について協議するSCCM本会議におきまして、昨年末に作成した戦略三文書の概要について説明を行い、我が国を取り巻く安全保障環境について共有を図ったところでございます。  その上で、今後FMSで調達する装備品が増加する中、全ての未納入、未精算のケースの個々の品目ごとの履行状況を管理を継続、強化し、米側に、先ほど申しましたように、個別具体的に働きかけを行うなど、これまで以上にFMS調達の合理化の取組について日米双方が取組を推進し、最善の努力を行うことを一月の会議で確認したところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、FMS予算の効果的、効率的な執行に努めるとともに、未納入、未精算を含めたFMS調達の適正化のため、米国に継続して様々なレベル、装備庁長官のレベルから担当レベルまで、様々なレベルで働きかけをしっかり行ってまいる所存でございます。 ○金子道仁君 是非よろしくお願いいたします。  繰り返しですが、防衛費の大幅な増額を目指す中で、このような無駄な経費がいつまでも出続ける、若しくはこれが問題が大きくなってしまうということは、国民の理解を全く得られない難しい課題になると思います。  まさに今財源を確保するために政府全体で歳出削減、一生懸命図っている中で、防衛省が率先して無駄を、無駄な歳出削減図っていくべきだと思います。防衛大臣の是非強いリーダーシップをお願いしたいと思いますが、お聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今般の防衛力整備計画ではFMS予算を含む防衛予算の相当な増額を見込んでおりますけれども、この予算を的確に執行してこそ防衛力の抜本的強化が達成されると考えております。  このような問題意識から、防衛省が一丸となって防衛力の抜本的強化を着実に推進していくため、四月五日、私の下に防衛力抜本的強化実現推進本部を立ち上げたところであります。この体制の下、各事業の進捗管理を徹底し、防衛省一丸となって効果的、効率的な予算の執行に努めてまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 是非、増額して問題が大きくならないかどうか、監視というか見させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  もう一点、自衛官の定数変更の部分に関しても御質問させていただきたいと思います。  既に平木理事、岩本委員の方から同様の内容がありましたが、今回、サイバー能力の強化の中で、内容面ではなく人員面での手当てをするための定員変更だと考えております。このような人員増を図るという中で、外部人材の登用、内部人材の育成、どのようなバランスを防衛省として考えておられるんでしょうか。 ○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。  まさに委員御指摘のとおり、国家防衛戦略で重視しております領域横断作戦能力、その中のサイバー領域に関しましても抜本的な能力の強化を図ることとしております。  防衛省・自衛隊といたしましては、まず、陸海空自衛隊の部内の学校におけます課程教育ですとか、あるいは部内の要員を部外の教育機関を活用して教育するといった、部内での育成に加えまして外部人材の活用などを組み合わせることによりましてこういった抜本的な強化を行うこととしております。その際、部内人材の育成と外部人材の活用を共に推し進めることが重要だと考えてございまして、部内人材の育成に関しましては、専門教育等の養成者数、内容、こういったものを拡充したいと考えております。  また、御指摘のとおり、専門的知見を持つ外部人材の活用、これも促進したいと考えておりまして、現在、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備、これを検討しているところでございます。  こうした様々な手法を取りましてこのサイバー防衛の能力の抜本的な強化に努めてまいりたいと考えてございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  今の答弁にもありましたように、五年後に四千人というコアの人材を迎えるために新たな自衛官の採用制度の構築ということを考えておられるというんですが、どれくらいのスピードでどういう内容のものを今検討されているんでしょうか。従来の自衛官の採用試験と異なる採用基準等を設けて考えておられるんでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) 国家防衛戦略にも記述いたしておりますように、サイバー要員を大幅に増強するとともに、特に高度なスキルを有する外部人材を活用することにより高度なサイバーセキュリティーを実現することは喫緊の課題と認識しております。  今後は、外部人材の活用を促進すべく、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備を検討しています。制度の詳細については検討中ですが、その際、体力面に関しては緩和することも視野に検討を進めてまいります。 ○金子道仁君 是非早急な制度設計をお待ちしたいと思います。  現在の採用でも、サイバーの人材を採用するという募集欄はありますけれども、確認したところ、毎年一桁ぐらいしか外部人材は入ってこないと。であれば、例えば一年後、今年度末に二千二百三十人まで約千百人ぐらいの増員を図ろうとすると、外部人材は新しい制度がない、従来の制度では僅かしか入らない、ということは、ほぼほぼ全て内部人材の活用というか流用によってこのサイバー部隊を強めていくということになるかと思うんですが、実際、今まで一切サイバーに深く関わっていなかった、そのような自衛官等の方々がどのような研修をすることによってサイバー部隊、専門部隊というような方に育成されていくのか、その期間、内容、また養成数等はどのように考えているか、お聞かせください。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  陸海空自衛隊の部内の課程教育については、要員のレベルと役割に応じて、システム運用の基礎的な事項から高度なサイバー専門教育まで様々な課程教育を行っています。このような部隊の課程教育を通じまして、陸上自衛隊においては年間約三百名、海上自衛隊においては年間約百名、航空自衛隊においては年間約三百五十名、合わせて陸海空自衛隊で年間七百五十名を養成することが可能であり、今後、部内の課程教育を更に拡充していきます。  なお、部内のこの課程教育の期間については約一か月程度のものから十か月程度のものまで様々ございますが、複数の課程に入校する者がおります。  また、こうした部内の課程教育に加え、自衛隊の課程教育より高いレベルを備える要員につきましては、専門分野が確立している人材とみなされるため、自衛隊内のOJT、企業研修、国内外の教育機関への留学などを通じて養成することとしております。  これらの部内外の教育等を通じて、令和四年度末時点の約八百九十人から、二〇二七年度、令和九年度をめどに約四千人体制を実現する予定としております。 ○金子道仁君 この内部研修、本当に重要だと思うんですね。難しいミッションだと思うんですけれども、是非優れた人材の育成、図っていただきたいと思います。  先ほどの羽田次郎先生の資料に、使われなかった中にサイバーの話もあって、これ私も見て、そうだなと。大変失礼ながら、日本のサイバー防衛体制は、中国を高校生とすれば日本は幼稚園児であるなんていう失礼な記述がここの新聞記事も書いてありますが、そのような御意見というのは私も耳にしたことがございます。  大変申し訳ないんですが、この四千人という人ありきではなくて、実効的なサイバー部隊ができるかどうかがまさに肝要なポイントだと思うんですね。  四千人となることが目標ではなくて、そのサイバー部隊が必要な能力を有するものになるかどうか、例えば同盟国との軍事交流であったり実践的なサイバー演習であったり、この四千人のチームが果たして優れたサイバー自衛能力を持つものなのかどうか確認する必要があると思うんですが、そのような計画はお持ちでしょうか。 ○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。  まさに我々がこのようなサイバー能力を高めていく過程におきまして、委員御指摘のとおり、我が国自身の強化のみならず、同盟国である米国、あるいは多国間の機関と効果的に連携していく、そういったところから更に学んでいく、そういったことは非常に重要だと考えてございます。  これまでもサイバーの関連の協議というのを米国を始め関係国と活発に行ってきたところですが、近年は、これに加えまして、我々の方のサイバー部隊も能力を上げてまいりましたので、米国、イギリス、オーストラリア、あるいはNATOが行いますサイバー演習、こういったものにも参加してございます。特にNATOが主催しますロックド・シールズという演習につきましては、昨年度、一昨年度と二年連続して参加してございますが、参加者からは、極めて実践的な演習だということで評価を得ております。こういった実践的な演習などを通じまして、我々の能力、こういったものを積極的に吸収するとともに、部隊の能力の向上、こういったものを目指していきたいと考えてございます。 ○金子道仁君 是非、五年後にでき上がってくるこの四千人の部隊がしっかりしたものである、その実を取れるような検証をお願いしたいと思います。  もう時間になりました。最後の質問とさせていただきます。  開発協力大綱に関しては、申し訳ございませんが、また次回させていただきたいと思いますが、先ほどの、自衛官の定数変更に関して最初に説明をいただいたときに、非常に根本的なことで、先ほども平木理事も御指摘されましたが、サイバー部隊をつくるためにほかの部隊を減員しても、これは定員を減らしても実員がそこに至っていないので実質的な人員減にならないから大丈夫ですという説明を受けたとき、ちっとも大丈夫じゃないなと思ったんですね。まさにこの実員が定員に至っていないというこの状況を看過すべきではないと思っております。  自衛官の志望者増やす、離職者を減らす、待遇改善、そのような速やかな定員の充足を目指した施策を、是非、防衛大臣、しっかり取っていただきたいと思うんですが、決意をお聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛力を発揮するに当たっては必要な人材を確保することが不可欠であり、国家防衛戦略等に基づき、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じ、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊員の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えます。  今後、私の下に設置した防衛省・自衛隊の人的基盤強化に関する有識者検討会の提言もいただきながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところであります。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  開発協力大綱、一問だけ、大臣に是非お聞かせいただきたいと思います。  今、開発協力大綱原案が出されてパブリックコメントが出されておりますけれども、抜本的な外交の強化という中で、今回の大綱における新しいポイントを大臣の方からお聞かせいただけますでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この新たな開発協力大綱案におきましては、重点政策の一つとして、平和、安全、安定な社会の実現、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化を掲げておりまして、その中で、自由で開かれたインド太平洋のビジョンの下での取組を進めていくということについて言及をしております。  具体的には、ガバナンス強化、人道支援、平和構築、海上保安能力強化等を行うことを通じて、FOIPのビジョンの下で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化に取り組むとともに、開発途上国がそれに主体的に関与してその果実を享受できるようにするための協力、これを行っていくということでございます。 ○金子道仁君 時間が参りましたので、開発協力大綱に関しては是非次回しっかりと御質問させていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  私も、冒頭、今朝、ICBMらしきものを発射した北朝鮮に強く抗議をしたいと思います。  他方、先ほど同僚委員から、政府の出したJアラート、誤報であったと、是非精度を上げてほしいという話がありましたが、私は若干違いまして、やはり可能性があったらすぐJアラート出すべきだと思います。空振ってもいいです。ミサイル発射されて、防衛省から内閣官房の事態室、消防庁の通信システムから各市町村のJアラート通信機まで、もう一分一秒を争いますから、可能性があったらすぐ出すと。大事なのは、そういうとんでもない国に我々が隣接して、いつミサイルが飛んでくるか分からないという常に緊張感を我々が持つということ。是非失敗を恐れずに、決してこれは失敗でもないです、Jアラートを早く出してほしいと思いますが、むしろ変えた方がいいのは政府の発表の仕方なんですね。  政府はこういう発表をしているんです。当該情報を確認したところ、北海道及びその周辺への落下の可能性がなくなったことが確認されたので訂正するというんですね。これ、訂正するは要らないと思います。落下の可能性がなくなったことが確認されたでいいと思うんです。そうすると、何かあったら政府はすぐJアラート出してくれるんだという安心感が出ますので、空振りは失敗ではないので、Jアラートってそういうものだと思いますので、避難する時間を考えると、必ず早めに出していただきたいと思います。  それでは、本題についてお伺いしたいと思います。サイバーについてでございます。  二〇二一年にイギリスの国際戦略研究所、IISSが主要十五か国のサイバー能力の分析調査を行いました。その結果、あらゆる分野で世界をリードする能力を持つという第一レベルが、実はアメリカだけだったんですね。第二レベル、二番目のカテゴリーの、一部の分野で世界をリードする能力のある国々というのが、何と中国、オーストラリア、カナダ、フランス、イギリス、ロシア、イスラエルだったんです。そして、一番低い第三レベル、一部を除けば重大な弱点を抱える国というのがイラン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、北朝鮮、そして日本なんです。  愕然とするんですけれども、官房副長官、なぜ我が国はこんなサイバー弱いんでしょうか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 我が国におきましては、これまで、政府機関や重要インフラ事業者を始めとしまして、多様な主体が緊密に連絡しながらセキュリティー対策に取り組むことによってサイバー攻撃からの防御を努めてまいりました。また、例えば東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会では、事前の準備、期間内の対応を万全に行うことで大会に影響を与えるようなサイバー攻撃を防ぎ、無事に大会を開催をしてまいりました。こういう取組をしてまいりました。  また一方で、昨今のサイバー空間におきましては、国家の関与が疑われる攻撃者グループによる攻撃など、サイバー攻撃の攻撃方法の深刻化、巧妙化などが進展をしており、また多様な分野でのデジタル技術の利用拡大や中小企業も含めたサプライチェーンの複雑化が進行しておりますので、こういったことによりサイバー空間上の脅威が高まってきているというふうに思っております。  こうした状況を踏まえて、サイバーセキュリティー対策の強化について引き続き検討する必要があるというふうに考えております。 ○榛葉賀津也君 引き続いてお伺いしますが、今サイバー攻撃を最も受けている国、そしてサイバー攻撃を最もやっている国、どこでしょうか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) お尋ねの件につきまして、政府においては統計的なデータは持ち合わせおりません。  ただ、例えば、ある国の、ある米国のシンクタンクにおいては、サイバー攻撃事案のリストを取りまとめておりまして、これを基に各、十五年で最もサイバー攻撃を受けたのは米国である、このような調査結果が報告をされております。(発言する者あり)はい、あと攻撃ですか。  お尋ねの件につきまして、例えば令和三年九月に閣議決定をしましたサイバーセキュリティ戦略においては、特に国家の関与が疑われるサイバー活動としましては、中国は軍事関連企業、先端技術保有企業等の情報窃取のため、また、ロシアは軍事的及び政治的目的の達成に向けて影響力を行使するためサイバー攻撃等を行っていると見られていると、また、北朝鮮においても政治目標の達成や外貨獲得のためサイバー攻撃等を行っていると見られておりますと記述しておりますので、こういった国が該当するというふうに思っております。 ○榛葉賀津也君 カナダのブラックベリーという会社の調査によっても、二〇二二年の九月から十一月の三か月で、やっぱり最もサイバー攻撃をされているのがアメリカで、次に攻撃受けているのが日本なんですね。これは、アメリカがサイバー攻撃受けるというのはよく分かるんです。世界の情報と技術が最も集積していますから、最大の標的になる。他方、日本が標的になっているというのはやっぱり脆弱からなんですね。なかなか報道されませんが、日本の金融機関や中小企業、政府も、DDoSであるとかランサムウエアとかいろんな攻撃を受けています。  先ほど来ずっと数字出ていますが、中国の人民解放軍のサイバー部隊というのは、先ほど三万人という数字がありましたが、実は十七万五千人なんです。この三万人というのは攻撃部隊が三万人で、サイバー全体は十七万人以上おりますから。人口二千六百万人の北朝鮮ですら六千八百人、人口九百五十万人のイスラエルは数千人のサイバー部隊持っていると。これ、ほとんどが攻撃中心、つまり攻撃は最大の防御ですから。  他方、日本は僅か八百九十人で、それを今後コア要員四千人、全体では二万人に持っていくというのが今回の肝だと思います。  大臣、数も大事なんですが、質の向上ですね、先ほど来話がありますが、ここを是非徹底してやってほしいと思います。どうでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) サイバー領域における脅威が日々高度化、巧妙化する中、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の向上は喫緊の課題と認識をしております。  そのための取組の一つとして、今般審議いただいている防衛省設置法改正案においては、サイバー領域の強化として、共同部隊である自衛隊サイバー防衛隊について、陸海空自衛隊から所要の定員を振り替えることによって約百四十名の自衛官を増員をいたしております、いたすところであります。この自衛隊サイバー防衛隊の増員も含め、防衛力整備計画の下、サイバー専門部隊を、令和四年末時点での約八百九十人から、二〇二七年度を目途に約四千人体制の拡充を図ることとしております。  また、サイバー専門部隊の体制強化に加えて、常時継続的にリスクを管理する枠組みの導入、自衛隊の装備品や施設インフラを含む情報システムの防護体制の強化、各種学校における教育の拡充や部外力の活用等による教育機能の強化、サイバー政策の企画立案機能の強化などの施策を着実に進め、防衛省・自衛隊のサイバー能力の抜本的強化に取り組んでまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 大臣、ありがとうございます。  二十数年前、私が初めて当選したときですね、二〇〇一年、もうその直後に九・一一が起こるわけでございますが、そのとき、自民党の安保の専門の先輩方から、近代戦の入口はまずは空からだというふうに教わりました。今、空ではなくて、もう完全にサイバーだと思っています。ドンパチが始まる前に、もう既に戦争始まっているんですね。  今回のウクライナも、実は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったのが二月二十四日というふうに言われていますが、実際はそのもう数十日前から攻撃始まっているということで、一月の十三日にウクライナの七十の政府機関のサイトがロシアにのっとられまして、最悪の事態を覚悟せよと一斉にメッセージが書き換えられているんですね。一か月後の二月十五日、ウクライナの国防省や民間銀行がロシアからのDDoS攻撃を受けていますし、その一か月後の、侵攻前夜の二月二十三日には、政府機関や軍関連だけではなく、金融、航空、通信、官民のインフラほとんどが攻撃を受けています。  つまりは、近代戦というのはほとんどが非軍事なんですね。非軍事が極めて重要で、ある幕僚監部の話では、非戦闘能力こそが本当の防衛力だと、おおむね非軍事的手段と軍事的手段の割合が四対一と言うんですね。つまりは、八割が非軍事のサイバー等となっているんです。  かつて私が、十年前、オーストラリアのASISという諜報機関のニック・ワーナーという責任者や当時のボブ・カー外相と話をした際に、日本のこのサイバーやこの分野がいかに弱いか、したがって、機微に触れる情報交換がなかなかやりづらいと辛辣なことを言われた記憶があります。  多分、日米間で最も格差があるのはここだと思うんですね。日米安全保障の一番の弱点はサイバーだと思っています。  是非これは強化したいと思うんですが、これもう防衛省だけの問題ではないと思うんですね。裾野をしっかりと広げなければなりませんし、不正アクセス禁止法であるとかウイルス作成罪であるとか、我々、様々な法律がこのサイバーを強くする国になるための手段を妨害していますので、これをしっかりとやっぱり政府で研究をして修正をしていく必要がある、あろうかと思いますので、官房副長官には是非このサイバーに強くなるための法整備を早急に対応していただきたいと思いますし、憲法二十一条の通信の秘密の問題もあると思いますけれども、これはやっぱり、サイバーというのは領海や領空のように境界がはっきりしていないんで、専守防衛の概念というのはそぐわないと思うんですね。  新しい環境でしっかりとこの問題対応してほしいと思いますが、今日は文科副大臣にもお越しになってもらっていますけれども、一番の大事は、サイバー人材の裾野を広げること、つまりは教育だと思っています。もうサイバーの分野どんどん変わるので来年のことなんてもう分からないんですよ、数か月でどんどん変わっていくんで。若い人材育成って極めて大事なんですね。  今の文科省におけるサイバー教育と、更に強くするために今後どういう教育を考えているでしょうか。 ○副大臣(簗和生君) まず、初等中等教育段階と、それから高等教育段階ということで、分けてお答えをしたいと思います。  この初等中等教育段階においては、主に情報活用能力という観点から、安全、安心なインターネット利用ですとか、情報セキュリティー等に関するリテラシーという観点で政策を進めております。  具体的には、ID、パスワードを適切に取り扱う、そしてまた、不適切なサイトにアクセスをしない、ネット上のファイルをむやみにダウンロードしない等の基本的な行動の徹底を求めるとともに、安全なインターネットの使い方を考える動画教材や指導者用の手引を作成するなどの取組を進めております。また、GIGAスクール構想下で児童生徒の端末を配付したことを受け、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改訂を行いまして、学校設置者に対して不正インストール防止やセキュリティー設定の一元管理等を求めるなど、学校のICT環境のセキュリティー対策に向けた取組も実施しているところでございます。  引き続き、児童生徒が安心して学習することができる環境の充実に努めるとともに、情報セキュリティー等に関するリテラシーなど情報活用能力を身に付けた人材の育成を図ってまいりたいと思います。  そして、もう一方の高等教育段階でございます。  サイバーセキュリティー分野を含め、デジタル人材の育成、確保は喫緊の課題であり、大学の人材育成機能を強化していくことが重要と認識をしております。  文部科学省においては、大学、高等専門学校の数理、データサイエンス、AIについての教育プログラムを認定する制度や、大学、高専が全国九ブロックで協議会を形成し、情報セキュリティーを含め、モデルとなるカリキュラムや教材等を普及、展開する取組を実施しています。これらの取組に加えまして、高等専門学校においては、サイバーセキュリティ人材育成事業として産業界と連携した高度な実践教育を実施し、サイバーセキュリティーの専門人材育成を行っています。  文部科学省としましては、こうした取組も生かしつつ、質の高い情報技術人材の育成を全国に広げていくことが重要と考えており、モデルカリキュラムを活用した教材や教育リソースの整備を進めるなど、今後とも質の高い人材を育成する取組を支援してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 二十年、十年前、決してサイバー先進国ではなかったある国が、今やサイバーの先進国になっている国があります。イスラエルです。  実は、イスラエルでは、小学校、中学校からもうサイバーの基礎を教えていまして、全ての高校でサイバーの教育課程を受けて、卒業試験の必修科目になっています。イスラエルは徴兵制で、十八歳から、男性三年間、女性二年間、軍隊に入りますから、高校でサイバーの優秀な人間はイスラエル軍のサイバー部隊に入っていきます。徴兵が終わった後、更に軍の専門分野に行くか、大学のカリキュラムに入るか、サイバーの民間の企業に入って更に修練していくと。イスラエルの大学は、全ての大学にサイバーの専門的なセンターが用意されていまして、全ての大学でサイバーの専攻があります。  こういったことを、私、まねした方がいいと思います。これをまねしたのが韓国で、韓国は、イスラエルのモデルを参考にして、幾つかの学校で、サイバーを専攻する学生の学費は免除しています。  今、全世界は人づくり競争をやっているんですね、人づくりこそ国づくりですから。これ、特にサイバーの問題は、各国が人をどうやってつくるかという競争を物すごくやっているので、是非この人づくり競争に負けないようにしていただきたいと思います。弾薬などの物量で勝てないからこそこのサイバーでは負けないんだというところを是非お願いしたいと思いますし、この分野において政府を挙げて力を入れていただきますように心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  防衛省設置法改正案は、安保三文書に基づき、自衛隊のサイバー攻撃対処や統合防空ミサイル防衛能力を強化する体制づくりを進め、米国の軍事戦略に日本を一層深く組み込むものであり、反対です。北朝鮮の弾道ミサイル発射はもちろん許されませんが、軍事的対抗を強めるのでは悪循環に陥ります。平和外交の努力こそ求められます。  そこで、外務大臣に伺います。  政府のODA、開発協力大綱は、非軍事的協力による開発協力を掲げ、それが平和国家としての我が国に最もふさわしい国際貢献の一つであるとしてきました。非軍事的協力が最もふさわしいとしてきたのはなぜですか。 ○国務大臣(林芳正君) ODAは、開発途上国の経済社会開発、これを目的とするものでございます。現行の開発協力大綱において、軍事的用途への使用を回避するいわゆる非軍事原則を定めておりまして、今回の新たな開発協力大綱案においても本原則を堅持する方針を明らかにしたところでございます。 ○山添拓君 いや、これまでなぜそれが最もふさわしいとしてきたのかということを伺っています。 ○国務大臣(林芳正君) 少しちょっと簡単に申し上げ過ぎたかもしれませんが、ODAは、開発途上国の経済社会開発、これを目的とするものでございます。まさにそういったものであるという趣旨に鑑みて、先ほど申し上げましたように、非軍事原則を定めておるところでございます。 ○山添拓君 余りはっきりしませんけれども、平和国家としての我が国に最もふさわしいと、こういう言い方しているわけですから、やはりそれが我が国らしい国際貢献だという位置付けだったかと思うんですね。  その国際協力の在り方を大きく変えるのが、ODAと全く別に進めようとしているOSA、政府安全保障能力強化支援です。  資料もお配りしておりますが、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献し、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出を目指すといい、開発途上国の軍等が裨益者、まあ受益者となる協力だとしています。軍事支援ですね。  同志国の定義はないのだと政府自身が認めておりますが、今年度の援助国はフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーの四か国だと先ほどもお話がありました。なぜこの四か国なのかという先ほどの羽田議員の質問に対しては、総合的に考慮したという答弁がありました。この実施方針を見ますと、国際紛争との直接の関連が想定し難い場合に行うとされています。  しかし、フィリピンとマレーシアは、南シナ海で中国と領土紛争を抱えています。軍事支援はこの紛争を助長するのではありませんか。 ○政府参考人(石月英雄君) 本件支援におきましては、平和国家としての歩みを引き続き堅持するとの観点から、我が国の安全及び平和、地域の、我が国及び地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に積極的に関与し、平和貢献、国際協力の積極的な推進を進めるという観点から定められてある防衛装備移転三原則及び同運用指針に基づいて行うものでございます。 ○山添拓君 軍事支援が、フィリピンやマレーシアで既に抱えている中国との領土紛争を助長することになりませんかと伺っています。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  本件支援につきましては、国際紛争と直接関連が想定されない分野に限定して行うということを考えておりまして、具体的には海上監視ですとか、そういった分野を想定して行うことを考えているところでございます。 ○山添拓君 直接関連しないということは、間接的には関連し得るということですか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  本件支援につきましては、先ほどから申し上げているとおり、平和国家としての歩みを引き続き堅持するという観点から、防衛装備移転三原則及び同運用指針の枠内で行うこと、また、先ほど申し上げました国際紛争と直接関連が想定されない分野について支援を行うということ、さらに、国連憲章等の規定を守った形で行うこと、こういったことを定めてその枠内で行うことを想定しております。 ○山添拓君 お答えがありません。  バングラデシュは一帯一路構想の一つの焦点であります。中国が潜水艦や戦車、戦闘機など兵器を供給してきました。フィジーのある南太平洋は、中国が軍民両用の港湾や飛行場の開発に関心を示し、二〇一七年には中国軍系の企業がバヌアツに埠頭を建設しています。  政府が検討する四か国への軍事支援は、いずれも対中国への緊張関係を高めることになりかねません。それは、中国に対して外交上あれこれ物を言うのとは全く異なるメッセージを与えることになると思うんですね。  今お話があったように、いろいろ手だてを取るんだと、実施方針にもそのように書いています。提供した資機材や整備するインフラについて、相手国に目的外使用や第三者移転に係る適正管理の確保を義務付ける、国連憲章の目的及び原則に適合した形で使用することを義務付けるなどとしています。  これはどうやって義務付けるんでしょうか。義務違反を認めた場合にはどうするんですか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  OSAの実施に際しては、実施方針に定めた事項が遵守されるよう、支援実施の際に締結する国際約束において、目的外使用、第三者移転に係る適正管理や国連憲章の目的及び原則に適合した形での使用等を相手国に義務付ける考えでございます。その上で、在外公館とも連携しつつ、適切なモニタリングを行っていく考えでございます。 ○山添拓君 OSAは無償の資金協力とされますので、一旦実施すれば、レーダーであれ警戒艇であれ、その管理と運用は相手国に委ねることになるでしょう。仮に義務違反の使用を確認できたとしても、その兵器を返せですとか、あるいは整備したインフラを取り壊してくれなどということにはならないんじゃありませんか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  支援の実施に際しては、相手国に必要な協力を義務付ける等の対応を行った上で、在外公館とも連携しつつ、適切なモニタリングを行っていく考えであるところでございます。  例えば、在外公館職員が現地視察に行く等して、供与した機材の使用状況等を確認することを想定しております。その上で、違反が判明した場合には、是正の要求を行った上で、場合によっては以後の支援を停止することも含め、個々の事例に応じて厳正に対処する考えでございます。 ○山添拓君 今、以後の支援を停止するというお話がありましたが、つまり、既に行った支援については、その後仮に義務違反があったとしても何らかの対処をすることは難しいだろうということを既におっしゃっているんだと思うんですね。  日本政府は、ミャンマー政府に対して、二〇一七年から一九年にかけてODAで旅客船三隻を供与しました。ところが、二一年二月、軍事クーデターが起きました。二二年九月十三日、ラカイン州政府の運輸大臣が、内陸水運公社の当州の部署に、日本政府が供与した旅客船、キサパナディ1とキサパナディ3をシットウェ―ブティーダウン間の航行に向け準備するよう指示し、翌十四日、この二隻を使って百人以上の軍人と物資を移送したといいます。  開発協力大綱の軍事的用途への使用の回避原則、非軍事原則ですね、これに反する軍事利用がされたのではありませんか。 ○政府参考人(日下部英紀君) 御指摘の案件でございますけれども、ミャンマーの水上交通輸送の能力向上のため、ミャンマー内陸水運公社に対して旅客船を供与したという案件でございます。二〇一六年に日・ミャンマー政府間で交換公文を締結し、二〇一七年に二隻の中古船、二〇一九年に一隻の新造船がミャンマー側に引き渡され、ミャンマー国民の通勤等の交通に利用されてきたものであります。  昨年九月、当該船舶がミャンマー国軍により兵士や武器の輸送に利用されているとの報道があったことを受けて、直ちに在ミャンマー大使館からミャンマー側に事実確認と仮に事実であった場合の対応、すなわち即時利用停止や再発防止の申入れを行うとともに、その後も累次にわたる事実確認等を現在行っているところでございます。 ○山添拓君 ラカイン州の警察長と運輸大臣が同州の首相代理として運輸・通信大臣に送った文書で、二隻の旅客船が軍事目的に利用されたということを報告しております。  NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチが外務省に問い合わせたのが昨年九月ですね。確認をしておりますという答弁でしたが、半年たってまだ確認できていないんですか。 ○政府参考人(日下部英紀君) 昨年九月の現地報道を受けまして、在ミャンマー大使館からミャンマー側に繰り返し事実確認を行っているところでございますけれども、事案発生の場所が大使館所在地のヤンゴンから離れており、治安状況が悪化していたラカイン州であったこともあり、事実関係の確認に時間を要しているところでございます。できる限り早期の事実確認に努めてまいりたいと考えております。 ○山添拓君 ですから、確認できていないわけですよね。ODAですらこれですよ。非軍事の、交通の利便性、航行安全の向上を目的としたODAによる旅客船です。既にこうした事態が起きているわけですね。  OSAでも目的外利用や国連憲章違反、そういう使われ方を、その可能性を否定はできないんじゃありませんか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げたとおり、OSAの実施に際しては、実施方針に定めた事項が遵守されるよう、実施方針、支援実施の際に締結する国際約束において、目的外使用、第三者移転に係る適正管理、国連憲章の目的及び原則に適合した形での使用等を相手国に義務付ける考えでございます。その上で、在外公館とも連携しつつ、適切なモニタリングを行っていきたいと考えております。 ○山添拓君 これはにわかには到底信じ難いですね。OSAの実施方針は、防衛装備移転三原則とその運用指針の枠内で実施するとしています。二〇一四年に、武器輸出禁止三原則を投げ捨て、解禁した兵器輸出であり、これ自体容認ができません。  しかも、この間政府は、ウクライナ侵略を受け、運用指針を変え、紛争当事国をも支援対象に加えました。自民党と公明党は、統一地方選挙の後、殺傷力のある武器輸出まで可能にするための更なる変更の議論まで計画しているといいます。  三原則の枠内と、こうされていますが、三原則と運用指針が変われば、OSAの内容もどんどん拡大する。おととい、与党議員からは、小さく産んで大きく育てるというような発言までありましたが、外務省もそういうお考えなんですか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  本件支援に当たりましては、平和国家としての歩みは引き続き堅持するという観点から、防衛装備移転三原則及び同運用指針の枠内で行うこととしているところでございます。 ○山添拓君 ですから、その枠内が変われば当然広がり得るわけでしょう。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  防衛装備移転三原則及び同運用指針の改定については今後議論がなされるところであり、現段階で予断を持って申し上げることは困難でございます。 ○山添拓君 これはつまり、OSAの対象も無限定になっていく、護衛艦や戦闘機、弾薬まで可能ということになりかねないです。殺傷力のあるなしで線引きは困難だという発言もありましたから。  日本のODAは、長年軍事支援から距離を置くことで多くの国で中立的と見られ信頼を築いてきた。だからこそ、日本のNGOは欧米各国が入れないような地域でも活動を許される、そういうケースがあった。OSAで日本のイメージが変質し、NGOの活動にも影響を及ぼしかねないと、これは日本国際ボランティアセンターの今井高樹代表理事の発言です。  外務大臣に伺いますが、この実施方針を決めるに当たって、NGOや学識経験者など専門家の意見を聞かれたんですか。 ○国務大臣(林芳正君) この同志国の安全保障能力、抑止力の強化を目的とする本支援につきましては、我が国の平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、同志国の安全保障上のニーズに応えていくことを大前提としており、今般、そのための実施方針を定めたものでございます。  この目的が達成されますように、OSAの主管官庁である外務省で原案を作成いたしまして、国家安全保障局や防衛省を始めとする関係省庁とも協議を行った上で、国家安全保障会議で決定に至ったものでございます。 ○山添拓君 専門家の意見を聞いたかどうかなどについては御答弁がありませんでした。  このOSA実施方針の決定過程については、極めて不透明だと思います。その記録を当委員会に提出するよう求めたいと思います。委員長。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 我が国にとって望ましい安全保障環境の創出といい、国際協力まで軍事一辺倒で進めることは許されないと考えます。  OSAの実施方針は撤回すべきだということを申し上げて、質問を終わります。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  防衛省設置法等改正案については、安保三文書に基づく岸田軍拡の一環であり、反対です。  関連して、沖縄石垣島に、地元住民の反対を押し切って二〇一九年から四年かけて建設工事を行い、今年三月に開設された陸上自衛隊石垣駐屯地について伺います。  配付資料一、二、四が石垣駐屯地開設説明会の資料であり、三が開設を伝える地元新聞紙の記事です。  石垣島でのミサイル基地建設については、陸自ミサイル部隊の配備により、台湾有事において敵の標的となるという不安の声以外にも、予定地が絶滅危惧種の特別天然記念物カンムリワシの生息域であり、基地建設により湿地帯などの生息環境が破壊されるとの指摘、周辺環境への騒音被害、工事中及び完成後の交通量の増大、新基地建設による排水処理の行方の問題などが指摘されてきました。  陸上自衛隊石垣駐屯地の概要、面積、部隊、人員、車両、建物等、今後の建設計画などはどのようなものでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答え申し上げます。  本年三月十六日に開設しました石垣駐屯地には、災害を含む各種事態が生起した際に迅速に初動を担う八重山警備隊、一二式地対艦誘導弾を有し、島嶼部に対する侵攻を洋上において阻止するための地対艦誘導弾部隊、〇三式中距離地対空誘導弾を有し、作戦部隊及び重要地域の防空を担う地対空誘導弾部隊等を配備するとともに、常備自衛官約五百七十名及び車両約二百両を配置しております。  また、同駐屯地の総面積は約四十七ヘクタール、主な建物は現在十五棟でありまして、今後、令和五年度予算において倉庫及び車両整備場等を整備する計画でございます。 ○伊波洋一君 石垣駐屯地の建設総予算は幾らぐらいでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  石垣島への陸自部隊配備に係る施設整備等につきまして、用地取得、調査、設計、建物等工事の経費として、平成三十年度から令和五年度までに計上した予算額は契約ベースで約九百三十六億円でございます。 ○伊波洋一君 人口五万人の石垣市に自衛隊員五百七十人が活動する基地が造られたわけです。地域住民の生活環境にも大きな影響が予想されます。中でも特に問題とされてきたのが水処理の問題です。離島は、歴史的に水資源の確保に苦労してきました。浄化槽の処理後の排水については、駐屯地の開設後に初めて明確な説明をいただけるようになりました。そういう中で、資料四の施設内で設営される浄化槽や雨水をためる調整池が極めて大規模であることも分かり、周辺環境に大きな影響をいかに与えるか、徐々に明らかになってきています。  排水処理は開設されて既に運用が始まっているのでしょうか。どのような状況でしょうか。一日当たりそれで何人分、どのくらい汚水量を処理し、どのくらいの排水量を予定していますか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地は令和五年三月十六日に開設し、運用を開始しております。石垣駐屯地におけます一日当たりの汚水量につきましては、季節や自衛隊の活動内容によって大きく変動することから一概には申し上げられません。  いずれにしましても、駐屯地で排出された汚水につきましては、排水量を踏まえた適切な処理能力がある浄化槽を設置し、水質汚濁防止法、県条例、市条例の排出基準の規制値等を満たす水質まで処理した上で排水しているところであります。 ○伊波洋一君 一概に言えないといっても、どのくらいの排水量なのかというのは、当然計画段階で分かっているはずですよ。ちゃんと答えてください。 ○政府参考人(杉山真人君) 自衛隊施設の設計諸元につきましては、施設の様々な能力が推察されるおそれがあることから、その詳細な数値の一つ一つをお示しすることは差し控えているところでございます。  その上で、繰り返しになりますけれども、石垣駐屯地の浄化槽につきましては、定員五百七十名の部隊の汚水が適切に処理できるように設計しております。 ○伊波洋一君 いや、これは大事なことですよ。どのくらいの、浄化槽からどのくらい日量、水が排出されるのかという最大数をしっかり答えてください。これは生活排水と汚水だけですからね。そのことをしっかり答えてください。そうしなければ先が進まないじゃないですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 繰り返しになりますけれども、自衛隊施設の設計諸元につきましては、施設の様々な能力が推察されるおそれがあることから、その詳細な数値の一つ一つをお示しすることは差し控えているところでございます。 ○伊波洋一君 この建設に当たっては、浄化槽設置計画書というのが提出されています。国で許可を、県にもらっております。是非、この資料を提出するよう、委員会に提出するよう求めたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 排水量は調整池の貯留能力の何%ぐらいでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地におけます一日当たりの汚水量につきましては、季節や自衛隊の活動内容によって大きく変動することから一概には申し上げられませんが、その上で、調節池の容量は雨水量と汚水量等を踏まえ設定するものでありまして、一般的に申し上げますと、雨水量は他の排水量に比べて圧倒的に多いものでございますので、汚水量は調節池の貯留能力に対して一%にも満たない水量になるものと考えております。 ○伊波洋一君 調整池の貯留能力は七万三千立方メートルですよね。これぐらいは言えるでしょう。 ○政府参考人(杉山真人君) はい。住民への説明会資料に記載させていただいております。 ○伊波洋一君 ほかの、宮古島も含めてですけれども、ほかのミサイル基地でこれほどの貯水量を持つような調整池を造った経過がありますか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  石垣駐屯地につきましては、既設の排水路に調節池を介して排出しておりますけれども、その調節量につきましては、既設の排水路ボックスカルバートの水位痕から許容放流量を算出しまして、下流側の安全確保のために調節池で放流量を縮減しているものでございます。 ○伊波洋一君 浄化槽や油水分離装置では、どのように汚水から有害物質を除去するんですか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  浄化槽は、便所と連結して、し尿及びこれと併せて雑排水を処理する施設であります。また、油水分離装置は、車両整備場などから排水に混入する油分等を除去するものでございます。  自衛隊施設におきましては、水質汚濁防止法等の関連法令に従い排水を行っているところでありまして、施設の用途を踏まえて必要な排水処理施設を整備しているところでございます。 ○伊波洋一君 排出計画はどのようになっていますか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地内の雨水及び汚水などの処理水につきましては、調節池で排水量を調整した上で大里農道の既設排水路へ排出されることとなっております。 ○伊波洋一君 浄化槽を通った汚水、あるいは油水分離装置を通った油分と雨水が合流して全ての調整池に入る構造になっていますが、水処理の上で問題はないんですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地内から生じる汚水は、浄化槽を設置し、水質汚濁防止法、県条例、市条例の排出基準を、規制値等を満たす水質まで処理した上で排水しております。また、車両整備場などの油脂類を取り扱う施設からの排水につきましては、一般のガソリンスタンド等と同様に、油脂類が流出しないよう油分離槽を設置し、油脂類を取り除き、雨水と同様に調節池を通じて排水しております。  このように、調節池にはそれぞれ浄化された水が流入することから、問題があるとは考えておりません。 ○伊波洋一君 宮古島、石垣島を含む南西諸島では、歴史的に水資源の確保は島民の生存に直結する極めて深刻な問題であり続けています。  二〇一九年に宮古島市に開設された陸自宮古島駐屯地では、排水は施設外の公共用水に放流するのではなく、駐屯地内の施設で蒸発散方式で処理していると聞いています。  宮古島駐屯地で採用した蒸発散方式とは、どのような処理方式でしょうか。なぜ宮古島では蒸発散方式を採用したんですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 蒸発散方式は、浄化槽の処理水を処理する方式の一つでありまして、周辺に放流先となる水路、河川等がない場合に、浄化槽の処理水を敷地内において広範囲に分散し、地表面から蒸発させて処理するものであります。  沖縄県浄化槽取扱要綱におきましては、浄化槽の処理水について、適当な放流先がない場合には蒸発散方式により処理することとされておりまして、宮古島駐屯地においては、周辺に放流先となる水路、河川等がないことから、宮古島市と調整し、蒸発散方式で処理することとしました。  なお、宮古島駐屯地における雨水排水につきましても、周辺に放流先となる水路及び河川等がないことから、雨水浸透施設を敷地内に設置し、地下へ浸透させているところでございます。 ○伊波洋一君 石垣駐屯地でも蒸発散方式にすべきです。宮古島駐屯地では既に実施され実績もあるのに、なぜ石垣駐屯地では蒸発散方式の処理をしないのですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 浄化槽の処理水につきましては、石垣駐屯地の周辺には、宮古島駐屯地とは異なり、放流先となり得る既設の排水路が存在していることから、石垣市と調整し、駐屯地内の雨水排水等の流量調整を行う調節池に流下させた上で、既設の排水路に放流することとしたものであります。 ○伊波洋一君 沖縄県浄化槽取扱要綱の第五条の三では、第一項では、「放流先は、放流水が停滞することなく流れる構造」とすると規定しています。さらに第二項では、「放流水の地下浸透放流は、地下水の汚染につながり、生活環境の保全及び公衆衛生上の支障を生じるおそれがあることから、原則として禁止とする。」と定めています。  防衛省は、石垣駐屯地でもこの沖縄県の浄化槽取扱要領を遵守しているという認識でよろしいですね。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地の浄化槽の設置に当たりましては、沖縄県浄化槽取扱要綱に基づき、浄化槽の処理水の排出先を明記した浄化槽設置計画書を、計画通知書に添付の上、沖縄県に提出しており、沖縄県からは、生活環境の保全及び公衆衛生の観点からの意見はなく、確認済証を受領しておりますので、沖縄県、防衛省としましては、沖縄県浄化槽取扱要綱を遵守しているところでございます。 ○伊波洋一君 石垣駐屯地の浄化槽から排水の放流先はどこにつながっていますか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地の浄化槽の処理水につきましては、浄化槽設置計画書に添付している図面に、沢へ放流し、沢を通り宮良川へ放流すると記載しているところでございます。 ○伊波洋一君 宮良川まではどういった場所を流れていますか。水路、経路の長さはどのくらいですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 石垣駐屯地の浄化槽の処理水につきましては、浄化槽設置計画書に添付した図面に、沢へ放流し、沢を通り宮良川へ放流と記載しているところでございますが、既設の排水路から宮良川までの流路の長さは約一キロ程度であると承知しております。 ○伊波洋一君 流れているのは、公共施設ですか、民間の施設ですか。防衛省として排水路を整備したのでしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) 既設の排水路から宮良川に至る約一キロの間の土地については、個人、団体、石垣市及び沖縄県が所有しているものと承知しておりますが、防衛省が整備した水路はございません。 ○伊波洋一君 石垣駐屯地の開設後の三月十七日に石垣市議会で排水問題に関する質疑が行われました。市当局から、おおむね、防衛局は当初、大里農道開南交差点西側に位置する排水路施設を改築し放流を行う計画を進めていた。三月九日に石垣市むらづくり課から農業施設の占有許可申請の提出時期について問合せを行った際、防衛局から工法変更する旨の回答があった。理由は不明。変更前は、ボックスカルバートを改築し直接排水を流し込む計画だったが、ボックスカルバートの手前の六メートルのところで放流することに変更したと。排水流量や排水方法が変更されるものではないことから、防衛局は新たな申請は不要と判断した。現在は仮設の排水管二本で対応しているが、五月末には大口径の排水管一本に取り替える、というような答弁がありました。  防衛省も同様な事実認識で間違いありませんか。 ○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。  当初の排水計画では、調節池からの排水を既存の排水路ボックスカルバートを改修して排水することにしておりましたけれども、本年三月に既設の排水路付近の未取得であった土地を取得することができましたことから、既設の排水路を改修せずに排水することが可能な排水計画に変更したところでございます。また、調節池からの排水を流すため、当該土地には仮設の排水管を設置しておりますが、当該土地を取得することができたことから、本年五月末までに本設の排水管を設置する予定にしております。こうした変更につきましては、本年三月に沖縄防衛局から石垣市に対して説明を行っているところでございます。  排水に係る申請を要しないことにつきましては、既設の排水路の管理者であります石垣市と調整した結果決まったものでありまして、沖縄防衛局が単独で判断したものではございません。 ○伊波洋一君 住民説明会の資料にも明記されている、浄化槽から放流する、処理をされた水の放流先である大里農道の既設排水路とは、どこにあり、どのような構造でしょうか。 ○政府参考人(杉山真人君) 大里農道を横断している既設排水路の構造は、コンクリート造で、開口部の高さは二メートル、幅は三メートル、長さは約二十メートルと承知しております。 ○伊波洋一君 防衛省の言うボックスカルバートというのは、そういう今の長さなんですね。このボックスカルバートというのは、二十メートルの長さで、暗渠にも使われますけど、道路の下に埋まっているわけですね。その先も後ろも何かありますか。構造物がありますか。それとも、ただそれだけですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 放流先として既設のボックスカルバートにつなげておりますが、その下流部については沢状を成していると承知しております。 ○伊波洋一君 防衛省から、浄化槽からの放水路の、宮良川までの排水路が分かる資料として、配付資料の六と七の汚水計画平面図の提供を受けました。この平面図の七のこの青い太線の水色は何ですか。川ですか。 ○政府参考人(杉山真人君) 沖縄県浄化槽取扱要綱に基づきまして沖縄県に提出した浄化槽設置計画書に添付した汚水計画平面図に示している水色の矢印につきましては、既設排水路の下流部の沢を示しておりまして、計画段階において既設排水路から宮良川までの間、約一キロの沢の現地踏査を行い、流路があることを確認しております。  現在、平面図に記載されているとおり排水しているものと承知しております。 ○伊波洋一君 二つ入っているんですよ。沢というのが書いてある直線のものと、それと広がりがあるもの。これは二つとも提出したんですか、県に対して。 ○政府参考人(杉山真人君) 先ほど申し上げました取扱要綱に基づき申請した添付図面でございます。 ○伊波洋一君 この矢印が書かれている排水路の放水経路の土地はどのような土地ですか。所有者や地目を把握していますか。 ○政府参考人(杉山真人君) 沖縄県浄化槽取扱要綱に基づき沖縄県に提出した浄化槽設置計画書に添付している汚水計画平面図に示した矢印付近の土地につきましては、個人、団体、石垣市、沖縄県が所有しております。地目につきましては、原野や田などと承知しているところでございます。 ○伊波洋一君 資料八を見てください。これは国土地理院の資料です。  実は、今、ボックスカルバートという手前までは小川があります。でも、その先は何もないんですね。どうしてかというと、そのまま、先は畑です、その次は田んぼです。その先は河川ではないんですよ。小川でもない。水の、湿地なんです、湿地帯。ですから、皆さんが言っている、何か、国土地理院の地図では、小川は青でされておりますので、そういうところに皆さん放流していることになるんです。  資料の、まあ引き続きしますけど、あと、十の資料を見てください。  これが広大な調整池です、調整池。この調整池の先にあるのがこの湿地帯ですよ。これは個人所有地の畑や田んぼなんです、今は耕作されていませんけどね。ここには沢はないんです。そもそも、浄化槽法で許されない排出先なんです。こういうことを四年間私たちはずっと言い続けてきたんですよ。 ○委員長(阿達雅志君) 申合せの時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。 ○伊波洋一君 はい。  そのことを含めて次回にも質問しますけれども、決して許されないですよ、こういったことは。  以上です。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 ○山添拓君 日本共産党を代表し、防衛省設置法改正案に反対の討論を行います。  自衛官の定数変更は、岸田政権が閣議決定した安保三文書に基づき、自衛隊のサイバー攻撃対処や統合防空ミサイル防衛能力、IAMDを強化するものです。  まず、自衛隊サイバー防衛隊を約百五十人増員する計画は、兵器のネットワーク化が進められる下で、自衛隊が米軍と共同軍事行動を取るための基盤の維持強化を図るものです。  次に、イージスシステム搭載艦の導入に向けた海上自衛隊百四十人の定員化は、破綻したイージス・アショア配備計画の反省もなく、巨額の費用を掛け転用するための体制整備です。米国のIAMD計画の一翼を担い、ミサイル防衛と敵基地攻撃を一体に米軍の軍事作戦を補完するものです。  いずれも、米中の覇権争いが激化し、軍事的対立を強めようとする中、米軍が圧倒的優位を維持強化しようとする軍事戦略に日本を一層深く組み込むものにほかなりません。  地方防衛局の所掌事務の追加は、二〇二二年十二月に合意された日米間の相互政府品質管理に係る取組に基づき、米国からの有償軍事援助、FMS調達で日本が品質管理費用の減免を受ける代償として、従来は米国防総省が職員を派遣して実施していた在日米軍の装備品等の調達に係る品質管理業務を肩代わりするものです。  これによりFMS調達額を年間二十億円程度削減できるといいますが、安保三文書に基づく二三年度予算は、FMS調達額を前年度の四倍以上となる一兆四千七百六十八億円も計上しています。空前の大軍拡こそ中止すべきです。  平和な東アジアのために今行うべきは、軍事的対抗を強め対立をあおることではなく、緊張緩和のための平和外交の実践であることを強調し、討論といたします。 ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  会派を代表して、防衛省設置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論します。  本法案は、自衛隊サイバー防衛隊の体制強化とイージスシステム搭載艦導入に伴う海自百二十一名増を含む自衛隊定数の変更と、トマホークなどの大量購入に伴うFMSの増加に対応して、地方防衛局が装備品の品質管理を掌握できるようにするものです。  本法案は、安保三文書に基づく岸田政権の軍拡の一環です。安保三文書、岸田軍拡は、米国バイデン政権の中国封じ込めを目的とする統合抑止戦略と自ら軌を一にすると称してはばからないものです。台頭する中国を軍事的、経済的、国際政治的に封じ込めることは、後退する米国の国益にはなっても、中国とは地理的、歴史的にも不可分な関係を有し、経済的に密接な日本の国益には必ずしも合致するものではありません。このまま安保三文書、岸田軍拡に突き進めば、日本は台湾有事においてウクライナ型の代理戦争を戦う羽目になりかねません。  中国軍と米軍の西太平洋地域で保有するミサイルの数の差、いわゆるミサイルギャップを埋めるためにトマホークの大量購入を始めとする自衛隊のスタンドオフミサイル装備を正当化するのが、安保三文書に言う反撃能力の保有という論理です。反撃能力の保有、トマホークの横須賀、舞鶴、佐世保のイージス艦への配備、今後進められる南西諸島への自衛隊スタンドオフミサイルの配備、米軍、自衛隊の基地共同使用と、民間港、空港の軍事利用促進は、米軍戦略に沿って日本列島中に中国のミサイルの標的を分散させ、日本を戦場にして、日本の国土で被害を受け止め、自衛隊や一般市民など日本国民の死を受け入れるもので、絶対に容認できるものではありません。  フランスのマクロン大統領は、四月九日の報道で、最悪なのは、台湾の問題について、アメリカの歩調や中国の過剰な反応に合わせてヨーロッパの国々が追随しなければならないと考えることだと述べました。日本は、この姿勢を参考に、少なくとも日本と米国の国益は一致しない点があることを前提にした日本独自の外交・安全保障政策を追求すべきです。  安保三文書に基づく岸田軍拡による米国へ追従する政策の再考、特に、抑止力一辺倒の安全保障政策ではなく、外交中心の安全保障への政策転換を求めて、本法案への反対討論といたします。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小西君から発言を求められておりますので、これを許します。小西洋之君。 ○小西洋之君 私は、ただいま可決されました防衛省設置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     防衛省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。  一、隊舎・宿舎の老朽化対策及び女性用区画の整備、市街地から離れた遠隔地に勤務する自衛官の利便性向上を含む生活関連施設及び備品・日用品等の整備、予備自衛官等の充足率向上のための採用条件・訓練等制度の見直しの検討といった取組によって自衛隊員の処遇及び生活・勤務環境の一層の改善を図ること。  二、令和四年九月から実施されている特別防衛監察において、千四百十四件ものハラスメント被害の申出があったこと等を重く受け止め、セクシャルハラスメントを含むハラスメントの根絶のため、早急に戦略性及び実効性のある計画的取組を策定すること。また、その際には、ロジックモデル等のツールを活用した実効性のある施策の策定など、ハラスメントの根絶のPDCAサイクルの実効性の確保に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) ただいま小西君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、小西君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、浜田防衛大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力をしてまいりたい、このように考えております。 ○委員長(阿達雅志君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会