第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 令和5年4月11日 令和五年四月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      高橋 光男君     山口那津男君  四月三日     辞任         補欠選任      金子 道仁君     柴田  巧君  四月四日     辞任         補欠選任      柴田  巧君     金子 道仁君  四月十日     辞任         補欠選任      猪口 邦子君     小林 一大君      山口那津男君     安江 伸夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 小野田紀美君                 小林 一大君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 安江 伸夫君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    内閣官房副長官        内閣官房副長官  磯崎 仁彦君    副大臣        経済産業副大臣  太田 房江君    大臣政務官        財務大臣政務官  宮本 周司君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       加野 幸司君        内閣官房内閣審        議官       青柳  肇君        内閣官房内閣審        議官       齋藤 秀生君        内閣官房内閣情        報調査室次長   七澤  淳君        警察庁長官官房        審議官      早川 智之君        警察庁刑事局長  渡邊 国佳君        外務省大臣官房        審議官      石月 英雄君        外務省大臣官房        審議官      竹谷  厚君        外務省大臣官房        参事官      林   誠君        外務省大臣官房        参事官      宮本 新吾君        外務省大臣官房        参事官      池上 正喜君        外務省大臣官房        参事官      西永 知史君        外務省大臣官房        参事官      北村 俊博君        外務省大臣官房        参事官      松尾 裕敬君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   海部  篤君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     猪狩 克朗君        国土交通省航空        局次長      新垣 慶太君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君        防衛装備庁長官  土本 英樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○外交、防衛等に関する調査  (防衛装備移転に関する件)  (日中関係に関する件)  (陸上自衛隊ヘリコプターの事故に関する件)  (国民保護措置に関する件)  (日中防衛当局間の海空連絡メカニズムに関す  る件)  (自衛隊による下地島空港の利用に関する件)  (防衛省・自衛隊におけるハラスメントに関す  る件)  (沖縄県金武町の民家で銃弾が発見された事案  に関する件)  (日米地位協定に関する件) ○防衛省設置法の一部を改正する法律案(内閣提  出、衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、高橋光男君及び猪口邦子君が委員を辞任され、その補欠として安江伸夫君及び小林一大君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) この際、浜田防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) 四月六日に発生した陸上自衛隊所属ヘリコプターの事故について御報告いたします。  四月六日十五時五十六分頃、陸上自衛隊第八師団第八飛行隊所属のUH60JA一機が、宮古島周辺空域において飛行中のところ、航空自衛隊のレーダーから航跡が消失しました。  現在、自衛隊の航空機、艦艇による捜索、海上保安庁の航空機、巡視船による捜索、陸上自衛隊による沿岸部の捜索を引き続き懸命に行っているところであります。今までに燃料タンクらしきものを含む機体の部品や航空ヘルメットなどが発見されているものの、現在も機体に搭乗していた第八師団長、坂本陸将ほか九名について発見には至っておりません。  引き続き捜索に全力を尽くすとともに、このような事故が発生したことを重く受け止め、自衛隊の航空機の運航に当たっては、安全管理に万全を期してまいる所存であります。  以上です。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官加野幸司君外二十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  冒頭、今回の自衛隊のヘリの航空事故の件でございますけれども、事故原因等の推測は二の次です。自衛隊と海上保安庁におかれましては、搭乗者全員の捜索救難に全力で当たられ、全員の無事を祈念いたします。  それでは、日本にとって有利な国際環境を創出するための有効なツールについて質問いたします。  国家安保戦略に明記したように、そのツールとしてODAやOSA、防衛装備移転を三本柱として推進していくことは極めて重要です。そのツールの全体の方向性や体制、裏付けとなる財源を確保する上でも、国家安全保障局が省庁間、局間の調整役として大きな役割を果たすべきと考えます。  資料一を見てください。これは新規の枠組み、OSAの実施方針の骨子です。  考え方は崇高ですけれども、ただ、令和五年度のOSA予算は約二十億円です。官房副長官、この額で日本にとって有利な安保環境が創出可能と思われますか。小さく産んで大きく育てるという言葉がありますけれども、これで、二十億円では総理は胸を張れないと思います。外務省に任せ切るのではなく、調整役として、来年度以降更に増額すべきと内閣官房として思われませんか。お考えをお伺いします。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 今、外交ツール、政策手段についてのお話がございました。  ODA、OSA、防衛装備品の海外移転、これにつきましてはそれぞれ異なる政策手段ではございますけれども、いずれも、FOIPであるとか、推進であるとか、インド太平洋における平和と安定に資するものであり、政策目的については一致するところがございます。  したがいまして、このような戦略的な目標と様々な政策手段、これが整合的な形で実施されるよう、国家安全保障戦略も踏まえまして、国家安全保障局を中心に関係省庁で緊密に連携してまいりたいというふうに考えております。 ○佐藤正久君 官房副長官、二十億円じゃやっぱり見劣りします。やっぱり来年度以降、概算要求含めて、しっかり調整役としてNSSが機能することを期待いたします。  次に、三本柱の一つの防衛装備移転について伺います。  装備移転の見直しなどを国家安保戦略でもうたっておりますけれども、現運用指針では五類型、これに限定しているため、通信機材あるいは地雷処理ローラー、T4のような練習機も移転できません。余りにも幅が狭過ぎて、五類型の見直しは必須だと思いますが、そこで、類型見直しの議論の際、殺傷兵器を含めるか含めないか議論がありますが、私は、この区分、線引き議論には慎重な立場です。  そもそも、殺傷兵器、非殺傷兵器の線引きをすることは極めて困難だというふうに思います。政府も多分難しいと思います。例えば、私が持っているこの鉛筆、これだって、もうやろうと思えば、これは殺傷のためのものということも言えます。  防衛省政府参考人に伺います。  例えば、殺傷兵器、非殺傷兵器の線引きをするということは政府として可能なのでしょうか。例えば小型ドローン、これは殺傷兵器と認定できますか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  委員御指摘の非殺傷との用語に関しましては、例えば防衛省が実施するウクライナへの装備品等の提供に関して申し上げれば、本支援は自衛隊法第百十六条の三に基づき実施しているところ、同条におきましては、譲渡の対象から、自衛隊法上、武器というものが除かれております。この点、自衛隊法における武器の定義に関しましては、従来、火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等であると解してきております。これを踏まえまして、ウクライナに提供する装備品等につきまして、これまで分かりやすさの観点という点から非殺傷というものを説明し、報道等でも用いられることが多い用語となっているところでございます。  その上で、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的内容につきましては何ら決まっておりませんが、委員の今の御指摘も受け止めながら今後議論を進めてまいる所存でございます。 ○佐藤正久君 これ、小型ドローンは殺傷兵器でしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) 済みません、今ちょっと聞き取れませんでしたんで、小型……(発言する者あり) ○委員長(阿達雅志君) 佐藤正久君、質問もう一度。(発言する者あり)土本長官。 ○政府参考人(土本英樹君) 大変申し訳ございませんでした。  小型ドローンということでございますが、例えば、その偵察用といいますか、いわゆる、先ほど申しましたような、人を殺傷し物を破壊するようなものが、機能が付いていないものにつきましては非殺傷と整理されると考えているところでございます。 ○佐藤正久君 これは非常に議論があって、偵察して、その情報を基にそこに砲弾等が行くと。まさに今、武力行使の一体化で今まで議論したものとも言えるし、実際に、小型ドローンから実際砲弾を落としているというものもあります。そもそもこれは非常に定義というのが難しいというのが一般的なんで。  じゃ、対空兵器は殺傷兵器ですか。 ○政府参考人(土本英樹君) 対空兵器ということで、例えば航空機、巡航ミサイル等を迎撃するものということであれば、殺傷の定義が物を破壊するというところまで含めれば殺傷ということを言えるとは考えられますが、そもそも、先ほど申しましたように、現在法律上定義しているのは自衛隊法上の武器ということでございますので、そこの点、やはり殺傷兵器か非殺傷兵器かという点につきましては非常に委員御指摘のとおりの点もあると思いますので、先ほど申し上げましたように、委員の御指摘も受け止めながら、今後、装備移転三原則、運用指針を始めとする制度の見直しの議論を進めてまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 長官、混乱していますよ、武器と、武器の定義と殺傷兵器の定義は違いますから。いいですか。殺傷と、無人機を撃ち落とすのは、これは装備を落としたとしても人を殺してませんから、これは殺傷兵器じゃないんですよ。で、対空兵器といっても、今防衛省が入れようとしている、ドローン対処で、マイクロ波とかあるいは電磁波で無人機を落とすという、これは殺傷兵器じゃありませんから。  だから、そもそもこういうことを議論することがかえって幅を狭くするので、武器の定義と殺傷兵器と非殺傷兵器では違いますから、ここはしっかり整理をしてやっていただきたいと思います。  資料二を見てください。これは、外為法に基づく輸出規制の概要です。  ここにありますように、安保理決議とか国際協調に基づく措置、あるいは我が国の平和と安全のために閣議決定した場合などは、あるいは国際的な平和、安全を妨げると認められる場合は政令で定める等、いろんな輸出管理ができるとなってます。  そもそも装備移転の三原則というのは外為法を更に規制を厳しくしたという延長線上にありますから、やはりこの殺傷兵器、非殺傷兵器と極めて曖昧な基準ではなくて、安保理決議など国際的な基準を踏まえつつ、個別の状況に応じて、その時々の国際社会の動向とかあるいは我が国への影響等を含めて総合的な判断を行うということが国益に合致すると思いますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、武器移転三原則につきましては、外為法の運用を行っていく上での一つの、それ自体として運用指針的なものであろうということであろうかと思います。そういうものといたしまして、そもそも外為法で該当する物件は、貨物は何であるのか、技術は何であるのか、そういったものを踏まえた上で、三原則上に何が対象になるのかということが整理をされてきているところでございます。  委員御指摘のような対象になるものの整理というものは大変大切なものであろうかと思っておりますので、よく踏まえながら今後議論を進めてまいりたいというふうに考えます。 ○佐藤正久君 まさに装備移転三原則あるいは指針というのは外為法の中で泳いでいる話なので、その外為法でどういう形で規制をしているかと、つまりネガティブリストとポジティブリスト、その総合的に個別の状況に応じて判断するというのが日本の国益、これに合致すると思いますので、どうぞよく検討をまたよろしくお願いしたいと思います。  さらに、日本有事の際の対応も考慮が必要です。ACSAでは一般弾薬は対象でありますけれども、ミサイル等誘導弾は、装備は対象外となります。ACSAの枠組みでは誘導弾や装備はもらえないということになっておりますけれども、日本有事の際、ミサイル等の誘導弾あるいは装備はもらわないと決めたのでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘の物品役務相互提供協定、これは御案内のとおり、アメリカ、そしてオーストラリア、イギリス、フランス、カナダ、インドとこれまで締結しておりますけれども、この協定の対象となる活動におきましてお互いがどういうニーズがあるかということを踏まえまして、物品や役務の区分を、メニューを掲げているところでございます。  この協定の中では、先生御指摘のとおり、弾薬というものが書かれているわけですけれども、誘導弾等は、それぞれの国の規制等もありまして、一般的なニーズに基づいてこの協定の対象とはしておらないわけでございますし、また武器につきましてもこのACSAの協定上は除外されているところでございます。  ただ、有事のときに、このACSA以外、ACSAに基づいて物品、役務を提供するだけではないのではないかと思っておりますし、国内の、日本の国内法上、仮に日本が有事になった場合に各国から提供を受ける物品について、何かその受取を妨げる、制限されているものはないのではないかというふうに承知しております。 ○佐藤正久君 防衛大臣、外務大臣、実は、このACSA以外でももらえるということを今答弁ありましたけれども、その枠組みがないんですよ。じゃ、どういう枠組みでこういうのを受け入れるかという部分は全くまだ実は議論されていないと。今、どちらかというと、装備移転、制限することはあっても、日本が有事のときにどうやってそれをもらうかという部分の議論というのも、これは実は今回見直しにおいて一つの大事な視点だと思います。  自分はあげないけれども、何かのときは我々は下さいと、これはなかなか国際慣行上も通用しないというふうなこともあります。そういうやっぱり論点も踏まえて今回見直しやるべきだと思いますけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今御指摘の点については、確かに我々も今後検討していくべきというふうに考えておるところでございます。 ○佐藤正久君 やっぱりそういう意味で、今回のこの見直し、非常に日本有事のときにどうしても日本だけでは防衛産業の現状からいって非常に弱い、であれば、やっぱりほかの国からもらうというときに、今のACSAでは装備はもう対象外になっていると、誘導弾は対象外になっていると。だけど、今まさにウクライナでも一週間でミサイルが二千発以上飛ぶという状況ですので、こういう部分についても考えるべきだと思います。  次に、もう一つの柱、開発協力について伺います。  総理は、インドで新たなFOIP推進計画を発表し、二〇三〇年までに七百五十億ドル、約十兆円以上の資金をインド太平洋に導入すると国際約束しました。財務政務官も承知されていると思います。さらに、開発協力大綱の見直しで言及している国際標準GNI比〇・七%目標だと約五兆円になります。ただ、今年度のODA予算は有償、無償等でGNI比〇・三四%の約二・四兆円と、半分です。  財務政務官、どうやってこのODA五兆円あるいはFOIP十兆円を確保していくのか、防衛予算のように外交力強化資金というものをつくっていくお考えなのか、財務省の考えをお聞きしたいと思います。 ○大臣政務官(宮本周司君) お答えをいたします。  今ほど言及ございましたが、開発協力大綱の改定案におきまして、いわゆる国民総所得比でのODAの量を〇・七%とする国際的目標を念頭に置く、このことを、我が国の極めて厳しい財政状況も踏まえつつ、様々な形でODAを拡充し、開発協力の実施基盤の強化のため必要な努力を行うと、これを示されたものと承知をしております。  この改定案におきましては、官民連携の強化であったり、また日本から開発途上国への積極的な提案に基づくオファー型の協力、こういったものを含む戦略性の一層の強化も示されているところでございますので、こういったことも踏まえまして様々な形でODAを拡充していくことが重要と考えておりますし、当然、具体的なこのODAの在り方につきましては、引き続き政府部内で検討してまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 やっぱり政務官、ODAを拡充するという方向性の中で、その民間の資金を投入するとか、あるいはオファー型とありますけれども、やっぱり自らの方も、日本もある程度の姿勢を示さなければ、そんな、相手、言うことを聞いてくれるはずありませんから、しっかり拡充に向けてよろしくお願いしたいと思います。  資料三、これを御覧ください。これは昨年十月七日に米国が決めた輸出規制と先月下旬に日本政府が出した半導体製造装置の輸出管理の方向性、それに対する中国外務大臣の反応です。  中国の外務大臣は、今回の措置、日本の措置というのは米国追従だと反発しておりますけれども、外務大臣、前回の会合においてどのように説明、対応されたのでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 三月の三十一日に経済産業省が公表いたしました半導体製造装置に係る輸出管理措置、これは国際的な平和及び安全の維持の観点から国際ルールと整合的な形で厳格な輸出管理を行うというものでございます。  四月二日の日中外相会談におきまして、中国側から本措置について言及がありましたが、私からは、日本の措置は特定の国を対象したものでないということ、また、日本は、国際的な平和及び安全の維持の観点から国際ルールと整合的な形で厳格な輸出管理を行っており、今後もこの方針の下で適切な対応を行っていく考えであるというふうに申し述べたところでございます。 ○佐藤正久君 もうそもそも中国にこんなの言われる筋合いはなくて、主権国家として輸出管理をやっていくわけです。ただ、アメリカは、中国を対象とした半導体規制を明確にしております。  経産副大臣、幸か不幸か、日本はこの資料三の米国の措置一の規制対象となる最先端の半導体チップは作れません。よって、日本の場合は、米国の措置二の十四ナノ、十六ナノメーター以下のロジック半導体製造装置を輸出管理対象としておりますけれども、将来、ラピダスは二〇二七年までに二ナノメートルの銅の最先端チップを作ると言っておりますけれども、日本でそういうものが作れるようになった場合、米国の措置一に該当するようなチップに関する管理、こういうものが必要になると考えますけれども、経産省のお考えをお伺いします。 ○副大臣(太田房江君) 昨年十月の米国の規制強化につきましては、外務大臣からも御答弁ございましたように、現時点においては日本企業に対し直接的な大きな影響は生じるとの報告は受けておりません。  ラピダスへの言及がございましたけれども、一方、技術の進展やそれを取り巻く各国の輸出管理規制制度についても目まぐるしく変化をしておりますので、今後もその動向に注視いたしますとともに、引き続き国内企業の声によく耳を傾けていきたいと思います。  なお、一般論として、他国政府による法の域外適用等の措置については、我が国企業の事業環境に悪影響を及ぼし得ることから、様々な機会を捉えて予見可能性や公平性の確保が重要であることを申し入れております。 ○佐藤正久君 本来、アメリカの国内法とかアメリカの政策がほかの国の輸出管理を規制するというのはそもそもおかしい話なんですよ、そもそも。ただ、日本の場合、やっぱりアメリカの関係でエンティティーリストに載ってしまうとドル建て決済ができませんから、非常に大きな影響が出ている。  ただ、措置一については、今はいいんですけれども、まさにこの、岩本先生質問されたように、ラピダスが最先端のを作るようになると間違いなく措置一の方にも関係しますので、今御答弁があったように、しっかりその辺りは現状というものを見ながら柔軟にしなやかに機敏に対応しないと、これ相当な影響が出ますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  最後に、資料四を御覧ください。これは、マッカーシー下院議長と蔡英文総統が面談したということを受けて、中国が反発して演習というものを行い、空母まで展開をして百二十機を離発着をしたと。しかも、宮古島の二百三十キロと、相当、戦闘機からすると目と鼻の先でやっています。  前回、昨年の教訓として、地元への説明が遅かったというのがありましたけれども、今回、この中国の軍事演習等について、地元への説明、これは外務省がやったのか、防衛省がやったのか、あるいはやっていないのか、どこが担当でどうやったのか、最後に確認させてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答えを申し上げます。  政府としては、我が国周辺の海空域における中国軍の動向について、平素から警戒監視、情報収集活動を行っているところでございます。  そしてまた、先生御指摘の我が国を取り巻く情勢というのが動いておりますので、国民の皆様が様々御心配をされるということもございまして、個別具体的に判断いたしまして、地元への情報提供ということをやってきているわけでございますが、今回の件につきまして、ちょっと私、事実関係をちょっと承知しておりませんので、確認してここはお答えさせていただきたいと思います。 ○佐藤正久君 終わりますけれども、昨年のことがあったわけですから、しっかり地元への説明、これ防衛省か外務省か分かりませんけれども、よろしくお願いします。  以上です。 ○福山哲郎君 おはようございます。立憲民主党の福山でございます。よろしくお願い申し上げます。  冒頭、浜田大臣から御報告がありました。陸上自衛隊第八師団第八飛行隊のヘリコプターが宮古島北北西洋上において航跡を消失したいわゆる事故について、私も質問させていただきたいと思います。  まずは、連日、捜索救助に当たっていただいている海上保安庁並びに自衛隊員の皆さんに敬意を表したいと思います。それからまた、隊員十人の無事を祈りたいと思っていますが、かなりの時間が経過をいたしました。適切な言葉が見付かりません。一刻も早い発見、救助を願いたいと思います。  さて、なぜ離陸後僅か十分で消息を絶つに至ったのか。それから、六日の十五時四十六分に離陸をし、五十四分まで管制官とのやり取りがあり、その二分後に航跡が消失をすることになりました。この二分間に一体何が起こったのか。機体の点検は三月二十日から二十八日に実施されており、点検後の試験飛行も異常がなかったと聞いております。当日の気象状況は好天で、特段問題がなかったとも聞いております。しかしながら、緊急事態を知らせる電波も発信されておらず、救命ボートも結局使用されていない状況だというふうに、これも報告を聞いております。  三月末に着任したばかりの坂本雄一師団長を始め、十人の幹部が搭乗されていたと。坂本雄一師団長は有能な自衛官で、中枢を担うポストを歴任をされてきたとも聞いております。  また、第八師団は、熊本に司令部を置きまして、九州・沖縄地方を担当する陸上自衛隊西部方面隊の中核、五千人から六千人の部隊で、熊本県と宮崎、鹿児島県の防衛警備や災害派遣の任務などに当たっていると。また、有事が起きたときには機動的に展開する機動師団に位置付けられていて、沖縄県など南西諸島への展開も想定されていると。で、今回はそういう状況の中で事故が起こったということだと思います。  もう報道等でも出ていますが、基本的なこと、ちょっとまず確認させていただきたいと思います。  今回の飛行の目的はどういう目的であったか、大臣でも結構ですし、事務方でも結構ですので、お答えいただければと思います。 ○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。  第八師団長が搭乗していた理由ということで申し上げたいと思います。  委員から御指摘もありましたとおり、第八師団は機動性、即応性を高めて全国的に展開して対処する機動師団でありまして、南西諸島への展開も想定されることから、今回、宮古島においてその地形などを確認するための航空偵察を行ったものでございます。  この航空偵察は、単に第八師団に限らず、師団長の着任後、部隊が展開し得る地域の状況を確認するため、師団長自らが様々な地域で行うのが通例であります。宮古島においてもこうした着任後の航空偵察はこれまでも行われているところでございます。 ○福山哲郎君 これは、今おっしゃられたように、各部隊とも師団長なりが着任をしたら早々にいつも行われる通例のことだというふうにおっしゃいましたが、それはもう各部隊でもそのような形、ことでは行われているという認識でよろしいんですね。 ○政府参考人(大和太郎君) 今委員の御認識で正しいかと思います。  なお、第八師団について申しますと、前の師団長、これは二〇二二年の四月に着任しているんですが、やはりその直後の時期に宮古島での偵察を行っているところであります。 ○福山哲郎君 私、今日、引っかける質問するつもり全くないので、余り警戒されなくても結構です。  ただし、余り、逆に言うと、今おっしゃったように前任者もやったということならいいんですが、本来は、例えばこの僅か五日目にやる、ほかの部隊はやらないようなことをやっていたんだとしたら、そこは正直にお答えいただいた方が有り難いと思っているので、そうではないと、原因究明とか理由が分からなくなると実はいろんなものに影響してきますので、そこは是非よろしくお願いします。  私、何というか、航空偵察することも私は決して否定をするつもりではありません。師団長が乗っていたのも着任直後なので確認をしたいという、私はそういう任務があることも理解をします。一方で、これ、航空偵察を、まあ着任をしました、当然ですけれども、航空偵察するという指示が出て、命令が出て、準備をして乗組員を決めて、そして出発されたと思うんですけれども、この航空偵察をこの六日の午後にやるということを決めたのはいつで、どの時点で決められたのか教えていただけますか。 ○政府参考人(大和太郎君) 済みません、この航空偵察を含む、航空偵察がいつ決定されたのかということについては、今ちょっと手元に資料がありませんでお答えできませんが、着任してから、この時期としてはですね、着任してから各所への挨拶回りなど一連のことが終わってからすぐにかかったと、こういうことでございます。 ○福山哲郎君 いや、私、殊更に中国の、先ほど佐藤委員も言われた海軍艦艇の宮古島周辺の動きとこれを結び付ける気はないんですけれども、いつその航空偵察を決めたかというのは、必ず指示が出てるし、命令が出てるし、命令に対する文書残ってると思うんです。ただ、今、公式な防衛省のいろんな報告を見ても、いつその航空偵察やるのかについての日にちと時間が分からないものですから、直前に決めるということは多分ないと思うので、そこをちょっとお知らせいただきたいと。  防衛大臣、ここも実はすごく大事なことなので、是非、具体的な時間を特定いただいて教えていただければと思います。大臣、いかがですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 調べて御報告させていただきます。 ○福山哲郎君 この航空偵察の意思決定は、そんな大きな意思決定ではなく通常やられているということなので、師団のトップがやられたということでよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 新任の師団長が、任務遂行のために、いろいろな作戦の行われる可能性のある地域で地形、地物を確認するという目的で行ったということでございます。 ○福山哲郎君 これ、幹部が一同に乗っていたというふうにされていますが、一般的に、幹部はこのような形で搭乗しているというのも通例ということで把握してよろしいでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 師団長以下の幹部の自衛官の搭乗ということなんですが、今のところ、これについては、搭乗員の情報の詳細の公表については、御家族を含め様々な要素を勘案して、その都度総合的に判断する必要があります。したがって、今回機体に搭乗していた第八師団長以外の隊員について、いわゆる幹部自衛官を含まれるかを含め、詳細を申し上げることは差し控えたいと思います。  ただ、一般論として申し上げれば、師団長などの指揮官が隷下部隊や部隊が展開し得る地域の視察などを行う際には、その説明などを行うため、幹部自衛官が行動を共にするということはあります。 ○福山哲郎君 その幹部のメンバーを発表を控えるというのも、私も御家族のことも酌んで理解しているんですが、報道にはもう出ているんです、関係者によるとといって、報道出ているんですね。  つまり、国会では今言われたように控えると言いながら、もう関係者が報道にしゃべって出ているということについては、いささか遺憾です。本当に出さないんだったら徹底的に出さないことを、何というか、確認してそこをやらないと、報道には出ていますので、ここで答えないと言われてもなかなか納得しにくいですが、私は一定理解はしていますが、それならば防衛省内の発表しないということについては徹底してもらいたいと思いますが、いかがですか。 ○政府参考人(大和太郎君) 今、防衛省としてお話をすることができないというのは事実であります。一方で、報道でいろいろなことが出ていることは承知しております。  委員の御指摘をしっかりと受け止めたいと思います。 ○福山哲郎君 加えて、先ほど佐藤委員からもお話があった、四月の五日に、午後六時頃、波照間島で、中国の、いわゆる初めて山東という空母を始め三隻を確認していると。太平洋上にこの山東が航行を確認したのは初めてだと。これが五日の六時頃です。先ほどの佐藤委員の質疑によれば、中国艦艇のいわゆる演習が七日の午後八時頃ですので、多分この演習をしにここを航行したのかもしれません、私は専門家ではないのでよく分からないんですが。  一方で、やはり五日の午後十一時頃、これはもう六日の手前ですね、日が変わるところですが、久米島の西約六十キロで中国海軍ドンディアオ級情報収集艦一隻を確認と。それから次が、五日十時ですね、これも十時ですが、与那国島の南約八十キロでジャンカイⅡ級フリゲート艦を確認と。そして、その後、当該艦艇が与那国島と台湾との間の海域を北上した後、六日ですね、六日に魚釣島の西約八十キロの海域を北上したことを確認したと。いろんな方面からこのときには中国海軍の艦艇が周辺海域動いているわけです。  実は、これ、六日の何時なのかというのは、このジャンカイⅡ級と言うのかな、フリゲート艦、それからこのドンディアオ級情報収集艦、六日にどのような形で動いたか、何時ぐらいだったかは分からない、防衛省の報告では分からないんです。この六日の三時過ぎにヘリが出発しているんですね。  つまり、こういう、ある意味七日からはこれ演習も始まっていますので、非常にこの周辺がある意味でいうと緊迫をしている状況の中で、坂本師団長を始めヘリがその先ほど言われた航空偵察で動いていると。これは中国のこの五日、六日、七日の動きとは関係ないものなのか。  僕は、決して、中国側から何かされたとか、よく言われているように、攻撃されたんじゃないかとか、電波障害があったんじゃないかとかいうことを申し上げているのではありません。なぜ、先ほど僕がいつ意思決定をしたのかと聞いたのは、着任早々もうそもそもこれをやる予定だったので出発したのか、実はこういう動きがあるので航空偵察に出られたのかって全然違うので、質がですね、ですから、いつ意思決定をされたのかということをお伺いをしました。  私は、直接の関係があるかどうか分かりませんけど、このことについて、大臣なり事務方なり、もし明確な何らかの答えがあればお願いします。 ○政府参考人(大和太郎君) まず、中国軍艦艇の動き、あるいはそれをめぐる発表等について申します。  御指摘のとおり、四月六日には、自衛隊として、中国海軍の情報収集艦一隻が沖縄本島と宮古島の間の海域を航行する、またフリゲート艦一隻が魚釣島西側の海域を航行するということを確認してございます。公表資料上はこういった動きの最初の時間を書いてあるんですが、これらの六日の艦艇の活動はいずれも六日の未明に起こっております。したがって、事故発生の時間とは大きく離れるという時間だということであります。  こういったものも含め、我が国の周辺の海空域における中国軍の動向については、我々は二十四時間体制で警戒監視をしております。その中で、今回の事故に関連するような動向というのは今のところ確認していないというところであります。  それから、この八師団長の偵察飛行でありますが、先ほど申しましたが、先月三十日に着任いたしまして、いろいろ着任挨拶など初めにやることを、いろいろやることを終えてから六日に実施したということでありまして、何かこの特段の意図を持ってこの実施日を設定したということではございません。 ○福山哲郎君 これ、六日の未明と言われましたね、その六日なんですね。時間が離れているからいいとおっしゃったけど、六日の未明に中国の艦船がこういう状況の動きがあったときの午後に航空偵察を行かれる、それも幹部を乗せて行かれる。これ、僕、よく分からないんです。軍事的には僕は専門ではないので、これは危機管理上、本当に幹部乗せて航空偵察に行くことが、本当に六日の未明にこういう状況で、初めて空母までが動いているし、当時は林大臣も中国との会談行かれた直後だというふうに思いますし、この状況でその航空偵察に行くということの意思決定、まあ時間、結局言われていないので分からないんだけど、例えば、この航空偵察は一旦やめて、この中国の艦船の動きに対して注意を払うということもあり得たかもしれないし、結果としてこういう不幸な状況になっているので、本当に無事を願いたいところですし、私、別に、中国のこの艦船とこのことの、事故の結び付きを無理やりくっつけようとしているわけではありませんが、そこは、大臣、私なりの問題意識としてはちょっとありまして、大臣、いかがですかね。 ○国務大臣(浜田靖一君) この件に関しましては、いろいろなことが考えられるというか、はっきりするものがないという状況の中で、我々とすれば、部隊行動の中の今回の航空偵察というのは、これはよく行っていた。そしてまた、そこに幹部と言われる方がいるというのは、これは、その地域のトップの人間が一緒だったり、いろんな要件があると思うわけでありますが、この点に関しては、我々とすれば通常の偵察航空だというふうに思って、航空偵察だというふうに思っておりますが、その後の件に、中国との関連等々についてはもう少し我々詳しく調べてみたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 もう事故調査委員会立ち上がっていると言われていますが、私、別に、別に批判をしたくて言っているのではなくて、お手元の資料見ていただければと思いますが、二〇一六年飛行点検機墜落、二〇一七年は実は三件ありまして浜松は三人死亡で一人行方不明、それから二〇一八年もお二人亡くなっていて、二〇一九年が二件、まあ二〇一九年は二人が救助されていますが、二〇二二年も一件、これ、私、一般論でこれが多いか少ないかも分からないんだけれども、どう見ても毎年起こっていると。  やっぱりこれは自衛隊員の皆さんの士気にも関わるし、今、同機種のヘリコプターの運用は止めていると伺っていますが、じゃ、いつこれ再開するのか、これ多分なし崩しに再開されているんだと思いますけど、これ原因究明をしっかりやって安全対策取らないと、今回みたいに師団長まで含めて幹部が、仮の話です、もし万が一のことがあった場合には、やっぱりちょっと、これ一般論で言ってもちょっと事故が多いのではないかというふうに言わざるを得ない。それぞれの自衛隊員、僕は頑張っていただいていると思いますよ。しかし、これは少し指摘をしておかなきゃいけないんじゃないかなと私思ったんですね。  これ、大臣、どう思われますか。 ○国務大臣(浜田靖一君) こういう事故が起きていることは事実でありますし、今委員から御指摘のありましたように、この数の多さではなく、やはりこの事故があったということが大変問題だというふうに私ども思っているわけでありますが、しかしながら、やはりこういうことに絶対大丈夫ということはないわけでありますので、今おっしゃられたように、今後、我々とすれば、隊員は一生懸命やっているということは、それはもう委員のおっしゃったようによく御存じだと思うわけでありますが、その中においても、しっかりと整備等も含めて、我々とすればまたいろいろな指導をしながら前に進めていきたいなというふうに思っておりますので、やや重く受け止めております。 ○福山哲郎君 どうぞ、手挙げられたので、事務方。 ○政府参考人(大和太郎君) 今回の事故の対象機であったUH60JAのお話がありましたので。  御指摘のように、今、任務飛行以外の訓練飛行は控えているというところであります。  まず、今回の事故の原因の調査を可能な限り早急に進めるということと、それから機体の健全性を確認するための入念な点検であるとか、あるいは必要な教育を行っていく考えであります。  いつこの今控えている訓練飛行を再開するかについては、こういった点検や教育を終えた後に判断することになりますので、今、いつということは申し上げられないんですが、いずれにせよ、そういった措置をちゃんと進めてまいりたいと考えております。 ○福山哲郎君 先ほど申し上げたように、今回の機体はちゃんと点検もできてたし、試験飛行も異常がなかったわけです。  ですから、何の不測の事態があったのかについてはつまびらかではないので、原因究明と、やはり本当にどういう安全対策が必要なのか、これ隊員の命も懸かっているわけですので、そしてなおかつ、今の南西諸島沖の緊迫した状況、中国の挑発行為のようなものも含めて、隊員の緊張ある、何ていうかな、部隊の緊張ある運用されてるわけですから、それぞれの隊員もかなり精神的にもきついところだと思いますので、そこも含めて、大臣、できればそこは指導をしっかりしていただければと思いますし、まだこれ原因究明はっきりしないので、残念ながら、今日の新聞等はもうほとんどこの記事が出てないということは、新しい情報がないと。ですから、捜索救助、次の状況を、やっぱり、無事を祈りながらですけれども、お願いしたいと思います。  大臣、じゃ、一言言ってください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 本当にそういう意味では、今懸命の捜索活動をやっているところでありますので、しっかりとこの捜索をし、いろいろな事故究明も含めて、我々の材料というか、今ある機体等の回収等がしっかりできて初めてまたなぜ起きたのかということが分かると思いますので、しっかりとやっていきたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  言っても仕方ないことですから、この四月の六日の三時五十六分に、消息消えたときの直後に、総理は、安全第一で救助に尽くせという指示を出したんですが、この日の夕刻にはどうも酒席に参加をされていると、これは極めて遺憾です。みんなが救援捜索活動に当たられて、御家族も大変な心配をされている中で、一国の総理が、まあ確かに総理は何もやらないのかもしれない、このことについては。  しかし、人命優先ということで指示を出した後、直後に酒席に参加をされていたというのはいささか遺憾に思いますし、強く抗議したいと思いますし、防衛大臣、これは総理に一言言われた方がいいと思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今御指摘の点については、また私の方で引き取らせていただいて、また動きたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 この事故の状況はまだ刻々動いておりますので注視をしていきたいと思いますし、実は今日は外務大臣に、アステラス製薬の邦人拘束の問題について、日中の外相会談もされてこられましたので、ちょっと状況についてお伺いしたいと思ったんですが、もう時間がなくなりましたので、今日のところはこれで質問を終わりたいと思いますが、是非、懸命な救難捜索活動を頑張っていただきますようにお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  まず、浜田防衛大臣からも御発言がありましたし、ただいま福山先生からも詳しく質疑がございましたが、私の方からも、陸自ヘリの事故について質問をさせていただけたらと思います。  事故当日、まだローターの破片ですとか救命ボートですとか、幾つかの浮遊物しか発見されていない比較的早い段階かなと思ったんですが、事故という判断に至った理由について教えていただければと思います。 ○政府参考人(大和太郎君) お答えを申し上げます。  防衛省におきましては、航空機の墜落、衝突、火災、その他の原因に起因する航空機の損壊などを航空事故と定義しております。このように、航空事故は、基本的には航空機の損壊といった発生した事象に注目した言葉でありまして、その原因などについては、今後、陸上幕僚監部に設置した事故調査委員会で調査を進めていくことになります。そして、今回の事案においては、対象機の燃料の持続可能な時間に加え、現場海域で発見された機材らしきものの状況などから、この航空事故の定義に当たる航空機の損壊などが発生した可能性が高いと総合的に判断して、当日の十九時四十六分、航空事故と概定したというところであります。  現在も捜索を続けております。引き続き、捜索に全力を尽くしてまいります。 ○羽田次郎君 ネット上等ではかなり攻撃の可能性とか事件の可能性とかについて出回っているようなところもありましたし、今の福山先生の御質問からしても、中国の演習との関係性とかというのを疑いたくなる気持ちも分からないでもないなとは思いますが、それらを排除して事故と判断する十分な情況証拠がそろったという理解でよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。  今、私どもは、これ航空事故と概定しているということでありまして、この概定というのは、航空事故が発生した可能性が高いということを意味する言葉であります。今後、事故調査委員会において、実際にどういった状況の下でなぜレーダーロストに至ったのか、原因などについてきちっと調査していくということになります。 ○羽田次郎君 先ほど佐藤委員からも、原因究明よりも人命救助という御発言もありましたし、私もその優先順位についてはもう全く同意します。ただ、同時に、先ほど御説明もありましたが、現在も任務としては運用中の機体、機種ということでございますので、やはり人命救助に加えて原因究明も必要だという観点から質問を続けさせていただきます。  今の段階でもちろん事故の原因というのは判断しようがないとは思いますが、考えられる事故の原因というのはどのようなものがあるのか、教えていただければと思います。 ○政府参考人(大和太郎君) 今般の事故の原因については、現在、陸上幕僚監部に設置した事故調査委員会で調査中でありまして、現時点で確定的にお答えすることは困難であります。また、推測を私がここで申し述べることも適当ではないと思います。  その上で、一般論として申し上げれば、例えば現場海域において機体に搭載されていた救命いかだが展開されていない状況で発見されていることなどを踏まえれば、状況の急変により事故につながった可能性も考えられます。これは一般論でありますけれども。  ただ、いずれにせよ、そういった点も含め、今後調査を進めてまいります。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  先ほど福山先生からも過去の自衛隊機の主な墜落事故についての言及がございましたが、やはり昨年一月に発生した小松基地での戦闘機の事故というのもどうしても頭をよぎってしまいますが、その際も離陸後間もなくの事故で、その事故原因というのが、パイロットの空間識失調に陥ったことが事故原因だったとされていますが、ヘリコプターでもそういった空間識失調ということは起こり得るんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) これは起こり得ます。  二〇一七年十月に発生した空自の浜松基地所属のUH60Jの墜落事故については、事故調査の結果、空間識失調が原因とされております。したがって、空間識失調が発生しないということは言い切れないということであります。 ○羽田次郎君 それでは、不明となっているこのUH60JAの運用開始時期というのはいつ頃で、この機種の耐用年数というのがあるのであれば何年ぐらいなんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  今般、航空事故が発生した陸自UH60JAの機体は、一九九八年度、平成十年度に納入されたものでございます。また、自衛隊機の耐用命数につきましては、機体の疲労状況といった技術的安全性や改修に係る経費といった経済性の観点を踏まえ、適切な時期に設定することとなっております。  陸自UH60JAにつきましては、飛行時間が暫定的に設定した耐用命数に到達するまで時間的猶予があることから、現時点で耐用命数は設定されておりません。今後、必要な調査検討を経て、陸自UH60JAの耐用命数を確定させてまいる所存でございます。 ○羽田次郎君 今のお話ですと、一九九八年ということですから運用から二十五年ぐらいになるかと思うんですけど、もちろん物は全然違いますけど自家用車で考えたらすごく長い期間ですけど、航空機は三十年とか四十年というのが当たり前のようなので十分活用できる年数だったということで理解いたしました。  同じ機種で過去に事故が発生した事例というのはあるのでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 陸上自衛隊が保有するUH60JAについては、これまでに事故は発生しておりません。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。そういう意味では相当安定した性能を持つヘリコプターということなので、今後の安全性を考えてもやはり事故の原因の早期究明というのも望まれるんではないかと思います。  続いて、人的な側面でも質問させていただきたいと思うんですが、師団長がそうした、着任して管轄の地域を偵察するということに関しては福山先生御質問くださいまして、その件については省略しますが、坂本師団長、三月三十日の着任式で、先頭に立って新たなことに挑戦していくとおっしゃっていたそうなので、そうした現場を大切にするリーダーが事故に見舞われてしまったということは本当に残念だと思っております。  今回の事故機に搭乗していた十名のうち、先ほども福山先生からも御指摘ありましたが、八名が幹部だったということはもうかなり報道されておりますが、各その人員の詳しいことはさておきとして、やはり各部隊の任務への影響ですとか、今後そうした影響をどのように対応していくのかということを、防衛大臣、お答えいただければと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 一般に、事故が発生した場合における搭乗員の情報の詳細な公表については、御家族の皆様の意向を含め様々な要素を勘案し、その都度総合的に判断する必要があります。  このため、今回の機体に搭乗していた第一師団長以外の隊員について、いわゆる幹部自衛官が含まれるかを含め詳細に申し上げることは差し控えますが、その上で、一般論として、部隊においては、指揮官などが不在となる場合でも、次席の者が指揮統制するなどにより各種事態に対応できるような体制を取っています。第八師団においても、副師団長である浜田剛陸将補が指揮を執るなど、必要な体制を維持しております。  また、UHJAについては、現在も災害派遣や緊急患者輸送などの任務飛行については継続することとしており、防衛省として国民の皆様の生命、財産を守るという任務に支障が生じないようにしているところであります。  いずれにせよ、現在も十名の隊員が行方不明となっていることに変わりはありません。防衛省としては、まずその捜索に全力を挙げてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  今回、ちょっと具体的に通告はしていなかったんですが、今回のように海上を飛行する場合というのは救命胴衣を着用するというようなお話をお聞きしたことがあるんですが、今回も着用していたということでよろしいでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 着用していたかどうかということを今ちょっとここで確定的に申し上げることはできませんが、救命胴衣はこのヘリコプターの中に搭載されておりました。 ○羽田次郎君 規則みたいなのはあるんですかね。 ○政府参考人(大和太郎君) 具体的な規則をここで申し上げることはちょっと今手元にないのでできませんが、基本的には洋上を飛ぶ際には救命胴衣を着けるというのがもう決まりであります。 ○羽田次郎君 本当、そういう意味では、過去にも海で数十日漂流した後に生還したというケースも聞いたことがございますし、希望を捨てずに全隊員の御無事をお祈りしたいと思いますし、一刻も早い発見を願っております。  次に、衆参両院で繰り返し議論されていると思いますが、有事の際の国民の保護についてお伺いしたいと思います。  国家安全保障戦略でも書かれていますが、近隣国と突発的な軍事衝突が発生した場合、中国、韓国、台湾等に在留中、旅行中の在留邦人保護の計画というのはどのようになっているのかということと、また、コロナ禍で多少、数%だと思いますけど、在留人数は減少していると承知していますが、それでも十数万人合わせればいると思いますので、いざというときに備えてかなり綿密な計画というのが必要だと思いますけど、そういった避難シミュレーションの実施等は行われているのかということについてお答えください。 ○政府参考人(松尾裕敬君) お答え申し上げます。  海外に渡航、滞在する邦人の保護は政府の最も重要な責務の一つであり、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要となる準備、検討を行っております。  在外邦人の保護や退避を含め、有事における我が国の個々の対応や計画について個別具体的にお答えすることは差し控えたいと思いますが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としていかなる事態にも対応できるよう、今後とも万全を期してまいります。 ○羽田次郎君 おととしでしたか、アフガニスタン撤退するときのことを思い出すと、かなり混乱したような状況を何となく記憶に残っているんですが、そういう意味では、そうした状況も考えると、本当にしっかりと計画を立てられているのかどうか、若干不安が残るところはあるんですが、そこはしっかりと御対応いただくしかないと思いますので、ここで終わりますが。  避難施設の指定と装備状況についても伺います。  ミサイル攻撃や核攻撃を想定して国内の避難施設、シェルターについても議論されていると思いますが、避難施設として指定される要件というのは国として定めておりますでしょうか。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するためには、コンクリート造りの堅牢な建物や地下施設に避難することが有効でありますことから、こうした施設を都道府県知事等が緊急一時避難施設として指定することといたしております。  政府におきましては、令和三年度からの五年間を集中的な取組期間としてこれらの施設の指定の促進に取り組んでおり、令和四年四月現在、緊急一時避難施設としては全国で五万二千四百九十か所、うち地下施設としては千五百九十一か所が指定されるなど、着実に成果が現れているところでございます。 ○羽田次郎君 今のは令和四年のデータですかね。まあそれはそれで結構ですが、いずれにしましても、特に私の地元の長野県の村とかになりますと、近隣に爆風から直接被害を軽減するためのそのコンクリート造りの一時的な避難施設のようなものが、役場とか学校以外ではほとんど思い浮かばないんですが、そうした要件を満たす施設を設置するための補助金みたいなものというのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(齋藤秀生君) 緊急一時避難施設につきましては、既存の建物や施設を避難施設として指定することとなっており、そこに設置者の設置に係る費用負担が生じるものではないことから、設置に対する補助は設けていないところであります。 ○羽田次郎君 そうしたその実際に緊急避難するような場所がない場合には、設置しようと思ったら補助がないのかというような質問のつもりだったんですが。  特に地下施設が少ないような地方とのその格差を是正するために、やっぱり今後、何らかのその対策というか、地方都市なり村とかそういう場所に対しての何か措置というのは今後お考えなのかどうか、お聞かせください。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  政府におきましては、令和三年度からの五年間を集中的な取組期間として指定の促進を進めております。その中で、より安全性が高いと考えられる地下駅舎や地下街、地下道などの地下施設の指定の促進を重点的な取組事項の一つとして都道府県等に対し働きかけを強めているところであります。これにより、地下鉄がない地方部におきましても、地下道、地下駐車場などの地下施設の指定やコンクリート造りの堅牢な建物の指定が着実に進んでいるところであります。  政府としては、引き続き、地方公共団体と緊密に連携をいたしまして、地下施設を含めた対象となり得る施設の総点検を進めることなどにより、避難施設の指定の促進に向け、しっかりと取組を進めてまいります。 ○羽田次郎君 参考人の方が田舎に行ったことがないような御答弁に聞こえてしまうんですが。  全くそうした思い当たるような場所がないところはどうするのかなと考えると、本当に、そうはいっても、皆さんテレビ等はお持ちなので、弾道ミサイルの発射の一報を受けても何もできないで茫然とするしかないような住民がたくさんいらっしゃるということを是非とも御承知いただいて、今後、そうした地域でミサイル攻撃、もちろん直接そこが受けるかどうかは別にしても、そうしたJアラート等が鳴ったときに逃げるべき場所があるような状況を、この重点的な五年間でしっかりとつくり上げていただきたいなと思います。  次に、国家防衛戦略について伺いたいと思いますが、現行憲法が施行されたその一九四七年はまだ日本は連合国の統治下にあったと思いますが、サンフランシスコ講和条約で主権を回復し、それと同時に旧日米安保条約が締結されました。一九六〇年に新安保が締結されたんですが、その辺はもちろん皆さん御承知のとおりだと思います。そうした歴史的な背景もあって、日本にとっても、これまでもですし、今現在も最大の抑止力というのは米国軍であるということは間違いないと思います。  それを考えると、他国からの、これがあって他国からの侵略というのも今まで免れてきたんだと思いますが、この日米同盟を踏まえた上で、他に適当な手段がない状況というのが起こり得るのかどうかという、そのそもそもの前提について御説明いただければと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  戦後、日本は、憲法と日米安保条約、そして自衛隊の防衛力整備とを合わせまして我が国を守ってきたということでございまして、そういうようなその戦後の歴史の中で安全保障環境が大きく変わってきているということも、先生、御理解いただけるかと思います。  特に、近年、我が国周辺ではミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上しておりまして、質、量共にミサイル戦力が著しく増強されております。そして、周辺国は、このミサイルの発射というものもたくさんしているということも事実でございます。そういう中で、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつあるという現実がありまして、日本だけではなくて、アメリカも、これに対処するためには日米同盟の共同の能力を向上させる必要性があると、これを強く認識しているところでございます。  このような中で、政府といたしましては、米国が日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いておりますが、ミサイルの脅威というものが現実になっている中で、ミサイル攻撃から我が国を自ら守っていくためには、我が国としても反撃能力を保有しまして、国民の命や平和な暮らしを自らの力で守り抜く努力が必要と、こういうふうに考えているところでございます。このようなことによりまして、日本が反撃能力を保有することで、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させて、弾道ミサイル攻撃等に対応することが不可欠と考えております。  このように、ミサイル攻撃の脅威が過去とは異なる状況に至っているとの問題意識の下、日米両国が共に我が国防衛のために可能な限りの努力を行い、協力して対応していく必要があると考えているところでございます。 ○羽田次郎君 ミサイルの脅威というのは多分冷戦下でもあったような気がしますし、あと、米軍が保有する兵器ですとか海兵隊の機動力とか考えた場合に、日本が独自にその巡航ミサイルを持つ理由というのはなかなか理解しかねますし、また、ミサイル攻撃に対しては、やっぱりそのミサイルの防衛網で防ぐことは日本が独自でやって、やはり攻撃に関しては米軍にお任せするというのがいいんじゃないかなという気がしますが。  まあ、いずれにしましても、そこはそれとして、国家防衛戦略の中で、同志国について改めてお聞きしたいと思いますが、同志国と呼ぶ要件と、あと、日本が同志国と認定している国は何か国あるのでしょうか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  同志国という用語は、一般に、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知しております。いずれの国が同志国に当たるかについては、それぞれの外交課題について日本と目的を共にするかという観点から個別に判断しているところでございます。 ○羽田次郎君 今、何か国、その日本が同志国というふうに言っているかというのは。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  いずれの国が同志国に当たるかということについては、それぞれの外交課題において目的を、日本と目的を共にするかという観点から個別に判断しておりまして、それぞれの外交課題について変わってきますので、一概に網羅的にお答えすることは困難でございます。 ○羽田次郎君 そうすると、じゃ、その時々で同志国と言った国が同志国で、今、過去に同志国と発言した国のそのリストみたいなのもお持ちじゃないということでよろしいですか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  同志国の定義については、先ほど申し上げたとおり、一般には、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知しておりまして、いずれの国が同志国に当たるかについては、それぞれの外交課題について日本と目的を共にするかという観点から個別に判断してきているところでございます。 ○羽田次郎君 具体的な国名が挙げられないということなのか分かりませんが、いずれにしましても、この国家防衛戦略の中には幾つか国、国名が羅列されていて、その中の一番トップにはオーストラリアが来ておるんですが、そのオーストラリアなどが今後同志国から格上げをして同盟関係を結ぶような、そうした方針というのはあるのかどうか、外務大臣に最後にお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) 今お尋ねのありました点に関して、今後、将来、どういう可能性があるのかということを今ここでお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、現在、日本の同盟国は米国のみでございます。今まさに戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に我が国が置かれる中で、我が国として、現在唯一の同盟国である米国と同盟の抑止力、対処力の一層の強化に向けて緊密に連携をしております。  同時に、我が国としては、各国との二国間及び多国間の安全保障協力の強化、これに積極的に取り組むことで、地域における安全保障環境、これを我が国にとって望ましいものとしていく取組、これを続けてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 時間となりましたのでここで終わりますが、同志国も含めて様々な用語で不明な点が多いので、また三文書について質問させていただけたらと思います。よろしくお願いします。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  委員会の冒頭、浜田大臣から陸上自衛隊第八飛行隊所属のUH60JAヘリの航空事故について御説明をいただきました。もう既にこの捜索救難、懸命に取り組まれているということでありますので、私も、搭乗されていた全ての隊員の皆様の無事の救命祈り、そして報告を待ちたいというふうに思っております。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず、私の方からは、日中防衛当局間のホットライン開設についてお伺いをしていきたいと思っております。  これ、三月の三十一日、日中両国の防衛当局間に専用の連絡回線を引くホットラインということで開設がされたというふうにお伺いをしました。これ、船舶ですとか航空機等による不測の衝突を回避するために構築をしてきたいわゆる海空連絡メカニズムの柱の一つというふうにお伺いをしております。  これ、改めて、党としても再三にわたって推進を政府にも要望してきたものでありますし、開設を喜びたいと思うんですけれども、よくよく聞いてみますと、この海空連絡メカニズム、二〇〇八年から協議を開始したということで、十五年掛かってようやくここまで来たということもあるわけであります。  これ、三本柱ということでお伺いをしました。一つが、これ、自衛隊と中国軍の艦船などが連絡を取りやすいように無線の周波数あるいは使用言語などを事前に決めておくということ、二つ目が、防衛当局間で局長級の年次会合を開いていく、で、三つ目が、この今のいわゆる専用回線、ホットラインということなわけですね。さきに述べた二つの柱については二〇一八年から運用を開始したということでありますので、これでようやく最後の一本がそろって無事に連絡メカニズムができたということなんですが、改めて、十五年掛かっているというところも含めてちょっと事実関係も確認をしておきたいと思うんです。  例えば、二〇一八年、二つのこの柱が先に走り始めたときに、何でホットラインだけ遅れるんだというところについては、当時のいろいろ報道等を見てみますと、これ、例えばホットラインについては電話の設置場所とか台数が詰め切れなかったみたいな何かちょっと説明がありました。そういうものなのかなと、その台数とか設置場所みたいなことが影響するのかなということもちょっと疑問があります。これまで再三にわたって、じゃ、何でまだ最近できないんだということについては、新型コロナの影響で協議が停滞したという説明もありましたし、そのほか、盗聴対策や器材の選定に時間が掛かっている、こういう説明があったときもあるわけです。  こういう何か技術的なところで非常に時間が掛かるのかなということもお伺いしてきたんですが、同時に、今回は、協議が進展するきっかけになったのは昨年十一月の首脳会談だったということもあります。政治的なやはり環境が整って今回ホットラインとしても開通したというふうに受け止めるわけですが、改めてちょっとこの十五年掛かった経緯等含めて御説明をいただきたいと思っております。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  日中の防衛当局間の連絡メカニズムにつきましては、委員御指摘のとおり、二〇〇七年の日中首脳会談、ここで整備することが決まりました。そこから始まったということでございます。  その後、防衛当局間で議論を重ねまして、二〇一二年、五年後の二〇一二年の三回目の協議におきまして、連絡メカニズムの基本的な目的や構成などについて一致いたしました。そして、その後も協議を行いまして、防衛当局間だけではなく外交当局も交えた形で交渉が進められまして、最初の二〇〇七年から十一年後の二〇一八年に、首脳会談におきまして日中防衛当局間で海空連絡メカニズムに関する覚書の署名が行われまして、二〇一八年の六月八日、同メカニズムの運用が開始されました。この際に、発表文の中でホットラインを開設するということも明記されたわけでございます。  その後、その時点においては、ホットラインの技術的な調整を行っておりまして、可能な限り早期に開設することとしておったわけでございますけれども、委員御指摘のとおり、ホットラインというのは安全保障上重要なものでございますので、日中間での通信を完全かつ円滑に行うことが不可欠であると、これは日中双方もそう認識しておりまして、このために保全を含めた回線の細部について綿密な調整が必要であるということで、日中間でこうした回線を構築するために一定の時間を要したということは不可避であったと思っております。  加えまして、先ほど御指摘もありました新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、具体的な調整がなかなか進まなかったところもあり、調整に時間を要しておりましたが、今般、日中双方において器材の設置及び回線の敷設が完了いたしまして、ホットラインが設置されたわけでございます。  必ずしもその台数とか設置場所ということだけではなくて、きちんとした保全も含めた回線の細部について綿密な調整をしてきたということでございます。 ○平木大作君 ありがとうございます。  完全かつ円滑な通信ということを確保するために様々なことを詰めていただきながら、同時に政治的な環境も含めて詰めてきて、今ようやくここに至ったんだなということが理解できました。  その上で、ちょっと参考までにこれも確認をしておきたいんですが、ホットライン自体は、これ日本は既に米国、韓国、それからオーストラリア、ASEANと、こことの間で防衛当局間の専用回線をもう持っているということであります。  基本的には今述べた、いわゆる同盟国とか、先ほども少し話題になりましたが同志国と言われる国が多いのかなと思うわけですが、そういう意味でいくと、日本との不測の事態自体は、何かを頻繁に発生するようなそういうイメージはちょっと持たないわけですけれども、これらの国々とのホットライン、どういう経緯で開設をして、今どう活用されているのかというところも含めて、少し教えていただけたらと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、防衛当局間の専用回線は、中国以外にも、アメリカ、韓国、豪州及びASEANとの間で設置されております。  例えば、韓国との間では、平成二十八年六月の日韓防衛相会談におきまして、北朝鮮の核・ミサイル問題を含む安全保障上の緊急事案が起きた際の連絡調整をするために、両防衛当局間の緊急連絡体制を強化することで一致したと。このことを踏まえまして、平成三十年三月に日韓防衛相間直通電話回線を構築いたしまして、同年九月に運用を開始しているところでございます。  各国との防衛当局間の専用回線につきましては、個別の状況に応じ、使用する場面は様々でございますが、平素からのコミュニケーション、これを含めまして、防衛当局間の連携を緊密にするものとして活用されております。 ○平木大作君 国ごとに当然関係性が違う中で、不測の衝突ということだけではなくて、そういう意味でいきますと、今回の日中間のこのホットラインの開設というのも、時間がたつにつれて、恐らくいろんな使い方も含めて応用の仕方があるんだろうというふうに思っております。  改めて、これまで協議を詰めてきていただいた皆さんの御尽力に感謝したいと思いますが、浜田大臣にここでお伺いしたいんですが、今回ようやく完成したこの海空連絡メカニズムの意義と今後具体的に想定をされるこの活用の場面について、是非お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 日中防衛当局間のホットラインの設置は、日中防衛当局間における海空連絡メカニズムの目的である防衛当局間における信頼醸成や不測事態の回避などを図る上で極めて大きな意義を有するものと考えております。ホットラインは秘匿された専用回線であり、日中防衛当局間での確実かつ円滑な通話を可能とするものであります。  今後、防衛当局間における信頼醸成や不測事態の回避などの海空連絡メカニズムの目的に資する場合に使用することと想定しておるところであります。 ○平木大作君 残念ながら、今、中国との間には、尖閣諸島周辺海域において、中国船籍が我が国の接続水域あるいは領海に侵入するということがもう日常化しているわけであります。そういう意味でいくと、もしかしたらこのホットラインは、鳴るとどきっとするというか、取りたくないと思うようなもしかしたらものかもしれないわけでありますが、改めて今、浜田大臣からも御答弁いただいたとおり、今後のこの信頼醸成という観点からも連携を密にする上で極めて重要なものだというふうに思っておりますので、今後そういったより信頼醸成に資するような使い方も含めてやっていただけたらというように思っております。  ちょっと時間も押しておりますので次のテーマに移っていきたいんですが、三月三十一日にこのホットラインが開通をしまして、その翌日、今月の一日、二日にわたりまして林外務大臣が中国を訪問されております。この二日間で大変過密にスケジュールをこなされたというふうにもお伺いしております。李強国務院総理、あるいは中国共産党の外交のトップである王毅主任、また秦剛外交部長等々、要人等の会談も精力的にこなされたというふうにお伺いをしました。  今、どうしても、邦人拘束案件も含めて、もうとにかく日中の間、なかなか懸案事項、課題がたくさんあるわけでありますけれども、あえてここはお伺いしたいのは、今回の訪中を通じて、テーマとしては建設的かつ安定的な日中関係の構築ということが掲げられたわけでありますが、まあ先方からもいろいろ難しいことを投げられたり、なかなか厳しいやり取りもあったりということだったと思っておりますけれども、何か少しでも明るい兆しみたいなもの、端緒みたいなものというのは見出すことができたんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 四月一日と二日、外務大臣としては約三年ぶりになりましたが、中国を訪問いたしました。今お話があったように、秦剛国務委員兼外交部長、王毅外事工作委員会弁公室主任との間で会談を実施をいたしまして、また李強国務院総理への表敬を行っております。特に、秦剛部長との初の対面での日中外相会談、これ、諸懸案を含めて長時間にわたって率直な議論を行ったということは有意義であったと考えております。  そして、今お話のあった日中間で協力すべき分野につきましてですが、特に環境、省エネルギーを含むグリーン経済、それから医療、介護、ヘルスケア分野において既に日中間で様々なビジネス活動が展開されておりまして、今後とも、日中双方にそれぞれ利益をもたらすような形での更なる協力、これが可能だと考えております。こうした具体的分野を含めて、経済分野での日中間の交流を適切な形で後押しをしていきたいと考えております。  また、今回の外相会談で私から中国側に対して、こうした協力を進めていくためにはやはり適切な環境を整える必要があるということを申し上げて、現地日本企業が強く要望をしております透明、予見可能かつ公平なビジネス環境が確保されるということ、そして安全面とともに正当な経済活動が保障されるということを強く求めるとともに、技術の開示、移転を強制しようとする動きが強まっているということに対しては強い懸念を改めて表明したところでございます。  また、国民交流の必要性について、私から秦剛部長に対して、日中双方が新型コロナの防疫措置を緩和した本年、これは本来は国民交流を再活性化していくべき年でありますが、そのためにも日本人が安心して訪中できる環境が必要であるという旨を指摘をいたしました。  加えて、この首脳、外相レベルを含む日中韓、三国間のプロセス、これを再稼働させていくということでも一致したところでございます。  今後とも、首脳、外相レベルを含めたあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行って、今触れていただいた建設的かつ安定的な関係、この構築を双方の努力で進めてまいりたいと考えております。 ○平木大作君 改めて、今大臣の答弁をお伺いしても、この二十年ぐらいって、よくカップリングとかデカップリングという議論を、何か、何度も行ったり来たり行ったり来たりしていたなということを改めて思い返すんですが、やはりもうちょっと、そういう短絡的なというか、分かりやすいことじゃないんだなということを改めて今思いました。  結局、今、例えば米中対立みたいなことも非常に言われているわけですね。先ほども少しテーマにありましたけれども、輸出管理規制みたいなことを米中の間でやり取りしていて、応酬をし合っている中で、でも一方で、昨年の米中貿易、私、ジェトロのレポート見てみましたけれど、これ貿易額が七千五百九十二億ドルということで、おおよそ百兆円、過去最高をずっと更新をし続けているということで、やはり経済安全保障が非常に重視される環境の中にあっても、やはり経済の中にも幾つもレイヤーがあって、すごくその協力をし合っていくところと、ある意味そこはしっかり警戒をして付き合っていかなければいけないところと、米国はそういう意味でいくと非常に巧みに使い分けているんだなということも感じるわけであります。  改めて、日本としてもこの中国とどうやって、共に協力をするところは協力をして日本経済の成長につなげていくのか、そういった戦略的な取組というのは当然必要だと思っております。大臣から、しっかりと言うべきことを言いながら、建設的な関係の構築に向けて訪中やっていただいたことに改めて感謝申し上げたいと思います。  それでは続いて、今月の四日、五日、両日にわたりまして、核兵器のない世界に向けた国際賢人会議の第二回の会合も開催をされました。  これ、ちょうど私も議連のメンバーの一人として、四日には実はこの賢人会議の代表メンバーの方と意見交換もさせていただいて、大変貴重な経験をさせていただいたんですが、その場でも、これメンバーの皆さんも発言の前に必ず、このタイミングに来たんだけど、我々はG7サミットに提言するためじゃなくて、七月末に行われる第十一回のNPT運用検討会議の準備委員会に緊急声明を出すことが我々のゴールなんだよということを前置きで何度も何度も強調されていたのが非常に印象に残っているんですけれども。  一方で、この会合、林大臣、ビデオメッセージを寄せられておりまして、そこでは、この賢人会議の御議論も参考にしつつ、来月のG7広島サミットにおいて核兵器のない世界の実現に向けた力強いメッセージを発信したいと、こういうふうに大臣の方からもビデオメッセージを寄せていただいているわけであります。  まだこれ賢人会議二回目でありますけれども、改めてここまでのこの賢人会議の成果も踏まえて、G7サミットそして外相会合を通じて、日本としてどのようなメッセージを国際社会に発信をしていくのか、大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、二〇二六年に開催予定の次回NPT運用検討会議、これも見据えて設置をされました核兵器のない世界に向けた国際賢人会議につきましては、今お話ししていただきましたように、先週東京で第二回会合が開催されたところであります。  同会合においては、現下の非常に厳しい安全保障環境を踏まえたNPT体制の維持強化の重要性、そして新戦略兵器削減条約をめぐる状況等について率直かつ突っ込んだ議論が行われたと承知をしております。  私自身のビデオメッセージについてもお触れいただきましたが、この核軍縮をめぐる状況は一層厳しさを増している中だからこそ、この歩みを止めてはならないということを強調させていただきました。核兵器のない世界に向けて、現実的かつ実践的な取組を着実に進め、核軍縮のための国際的な機運、これを高めるということが重要であると考えております。  G7広島サミットにおいては、広島と長崎に原爆が投下されてから七十七年間核兵器が使用されていないという歴史をないがしろにすることは決して許されないというこのメッセージ、力強く世界に発信したいと考えておりまして、先般の国際賢人会議の議論も参考にしながら、今月のG7外相会合の機会も生かしながら、G7メンバーとの間で議論を深めていきたいと、そういうふうに考えております。 ○平木大作君 もう十六日から外相会合ということでありますので、是非大臣からの力強いメッセージの発出、期待したいと思います。  もう一問用意していたんですが、ちょっと時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  冒頭、自衛隊機の事件、事故につきましては、私も一刻も早い発見と、そして全員の御無事を心から祈念いたしたいと思います。  さて、本日は、日中関係及び日韓関係について、我が国の安全保障環境に関連して質問をさせていただきます。  政府は、二月末に帰国をされた中国の孔鉉佑前駐日大使からの岸田総理への離任挨拶の面会をこれされなかったと承知をしております。この点は、中国の現在のウイグル族などに対する人権侵害の状況や我が国固有の領土である尖閣諸島近辺の領海への侵入など様々な与件があり、総合的に妥当な判断だったと考えます。覇権国家に対しては慎重かつ戦略的に対峙をしていくべきです。  今回、政府がこの判断に至った理由にはもちろん様々な点での考慮があったかと思いますが、一つの理由として、日本の前駐中国大使、前中国大使の離任時に習近平国家主席と面会しなかったという経緯、すなわち、外交関係における相互主義的な対応を取ったということも理由の一つとして含まれるのではないかとも考えるのですが、この点、外務大臣に判断の理由をまずお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 孔鉉佑前駐日大使の離任に当たりまして、岸田総理への表敬依頼がございましたが、日程の都合上、同表敬は実現しなかったところでございます。  なお、駐日大使の離任に当たって総理表敬が行われること、これ慣例になっているわけではなくて、近年、我が方中国大使の離任時にも中国国家主席や国務院総理への表敬は行われていないところでございます。 ○音喜多駿君 日程の都合、そして慣例にはなっていないという御答弁でございました。  これ、外形的には相互主義的な対応、向こうがやらないのであればこちらもやらない、向こうがやるんであればこちらもやると、外交における相互主義的な対応を取られたということは一定の評価をしております。覇権国家的な性格を持つ国に対しては、いわゆるこうした相互主義に基づいた対応を厳格に積み重ねることで、結果として相手国が行動を変えて、望ましい形で落ち着き、良い均衡を生み出すのではないかという指摘もあるところであります。  そこで、もう少しこの相互主義の考え方に基づいた議論をしたいと思うんですが、やはり見過ごせないのが、中国当局が先月、アステラス製薬の現地法人の日本人男性を拘束した邦人拘束の事件であります。  何も、我が国も恣意的で不透明な理由で相手国の方を拘束しろとか、そういうことを言いたいわけでは全くありませんが、これ中国に今一方的にやられ過ぎているのではないかというような指摘、論点としても存在するところであります。というのも、中国がこうした対応を取る一方で、我が国では産業スパイ行為が横行し、取締りも十分にできていないことが明らかになっています。  今月に入っても、スマート農業情報の不正流出事案において、捜査後にこの被疑者が出国をしたと、まあ容疑者ともいいますし、相手の方が出国をしたという報道がありましたが、この点のまず事実関係について警察庁にお伺いをいたします。 ○政府参考人(早川智之君) お答えいたします。  警察が国内の電子機器メーカーに勤めておりました中国人技術者に対し、不正競争防止法違反の疑いで捜査を行ったとの報道につきましては承知しておりますが、個別具体の事案につきましては、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがあることからお答えは差し控えさせていただきます。 ○音喜多駿君 捜査に支障を来すのでお答えできないということではありますが、私は、何もこれ、警察を責め立てようという意図はなくて、人員体制やこの制度そのものに今欠陥があるんじゃないかという問題意識を持っております。産業スパイでは不正競争防止法が適用されていますが、これやっぱり更に踏み込んで、国家機密等に関するスパイの取締りについても、これ同様の機能不全があるのではないかとも考えています。  そこで、産業スパイではなく、仮に国家機密に関する件でこの不正競争防止法等で検挙した実績、こうしたものがあるのかどうかということを警察庁にお伺いいたします。 ○政府参考人(早川智之君) お答えいたします。  警察におきましては、諸外国の機関等による違法な情報収集等の対日有害活動に関しまして、情報収集、分析に努めるとともに、違法行為に対しては厳正な取締りを行っているところであります。  例えば、平成二十七年十二月、元陸上自衛隊幹部が情報機関員と見られる元在日ロシア大使館武官に対して陸上自衛隊の部内資料を渡したことにつきまして、同人らを自衛隊法違反で検挙した事例などがございます。 ○音喜多駿君 自衛隊法での適用事例を御答弁いただきましたが、この法律は国家の秘密を保護することや外国のスパイを取り締まることを直接の目的とはしていません。  適用法令について何とかいろいろ御苦労をされて、個別法を適用してそれぞれ取り締まっている、これが今の実態だと私は理解をしております。強力なインテリジェンス機関も必要ですし、スパイを取り締まるための統括的な、総括的な法律も必要ではないでしょうか。  警察庁にもう一問伺いますが、我が国にはこの強力な諸外国に匹敵するようなインテリジェンス機関がありません。例えば、インテリジェンス機関にいわゆるスパイであるかどうかを照会するという制度や仕組みがないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、スパイ防止法のような法律がないがゆえに、いわゆるスパイの取締りが困難になっている局面があるとも考えますが、警察庁の現時点の所見をお伺いいたします。 ○政府参考人(早川智之君) 先ほどもお答えいたしましたが、警察におきましては、諸外国の機関等による違法な情報収集等の対日有害活動に関しまして、情報収集、分析に努めるとともに、違法行為に対しては厳正な取締りを行っているところであります。  いわゆるスパイかどうかを照会するという制度についてのお尋ねでありますが、関係省庁間で様々な連携を行っているところでありますが、その具体的内容につきましては、今後の捜査等に支障が生じるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきます。  他方、取締りに当たりましては、刑法、国家公務員法、不正競争防止法などの法令を適用して、違法行為の検挙に努めているところであります。  警察といたしましては、今後とも我が国の国益が損なわれることのないよう、対日有害活動に関する情報収集、分析に努めるとともに、あらゆる法令を駆使し、違法行為に対して厳正な取締りを行ってまいりたいと考えております。 ○音喜多駿君 なかなか、安全保障上、こういう平場ではお話しできないことはあるというのは理解しておりますが、なかなか議論は深まらないのでね。  ただ、最後に、あらゆる法令に基づいてということをおっしゃっていただきましたが、これ重要で、やっぱりこういう法令に基づいて、今個別法でやっぱり頑張っているというのが実情だと思うんですね。ですから、やっぱり総括的な法律というものの必要性というのを一番感じられているのは現場の皆さんじゃないかというふうに思いますので、是非、これは政府内で、関係各所と連携してということですから、これは積極的に議論をしていっていただきたいというふうに思います。  この相互主義の話に戻しますと、我が国でも諸外国並みのスパイ防止法を制定し、諸外国が行うのと同じ仕組みで情報安全保障を強化することが必要だと考えます。  そこで、内閣情報調査室に伺いますが、日本において中国の反スパイ法に当たる法律、これはまずあるという認識でしょうか。また、各国のスパイ法の状況について調査研究などを行っているか、この点をお伺いいたします。 ○政府参考人(七澤淳君) 委員御指摘の点につきまして、個別の国の法制度につきまして言及をすることは差し控えますが、政府としましては、我が国において外国情報機関による情報収集活動等が行われているとの認識に立って必要な対策を講じてきているところでございます。国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要でございまして、各国の動向などにも関心を持ちつつ必要な取組を進めてきたところでございます。  引き続き、その充実強化に努めてまいりたいと思います。 ○音喜多駿君 各国のスパイを取り締まる法律に当たるものは我が国にはないというのが現状だと思います。  情報安全保障の強化に取り組んでいる防衛省・自衛隊にとっても、これ、スパイ防止法と、いわゆるスパイ防止法は、本心では必要と、制定したい法律の一つではないかというふうに私は思います。  これ、安全保障上も、日本においてスパイ防止法の制定、これは急務ではないかと考えますが、何がネックになっていて、これがハードルがあるのか、こうした課題についても含めて、防衛大臣に最後にこの点、見解を伺いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) いわゆるスパイ防止法の制定の必要性については様々な御議論があると承知をしております。また、この種の立法は政府全体として多角的な観点から慎重に検討されるべきものであり、国民の十分な理解を得られることが望ましいものと考えております。  その上で、防衛省としては、安全保障に関する情報を始め、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要と考えており、引き続き、カウンターインテリジェンスを始め、情報保全に関わる取組を徹底してまいります。さらに、関係行政機関と連携して、我が国の重要な情報等を保護するための取組の充実強化に努めていく考えでございます。  以上です。 ○音喜多駿君 国民理解が必要というのはごもっともかと思いますけれども、そうした環境も大分整ってきていると思いますので、是非この点、早急な検討として議論を前に進めていただきたいと要望させていただきたいと思います。  残された時間で、ちょっと問題提起だけになってしまうかもしれませんが、日韓関係についてもお伺いしたいと思います。  ロシアや中国、北朝鮮という核保有国、覇権主義国家による脅威が以前と比較にならないほど高まる中、日米韓による連携と信頼関係、これ決定的に重要です。日韓関係が改善に向かっていることは一定の評価をいたします。  一方で、主権国家として、自分の国のルールに関してはこれは自分で決める、こうした毅然とした対応は守る必要があります。そして、輸出管理をどう運用するかは、これは主権国家として日本が自ら判断すべき問題であります。  一方で、徴用工問題の解決の道筋が見えた日韓首脳会談の直前に、政府は、半導体三品目の輸出管理について二〇一九年以前に戻すことを発表されました。このタイミングにやはり少し疑問があります。  そこで、前段として伺いますが、二〇一九年に対韓輸出管理の厳格措置を行った理由として、元徴用工問題との関連はあるのかどうか、これ経産省に確認します。 ○政府参考人(猪狩克朗君) お答え申し上げます。  韓国向け輸出管理の運用見直しは、軍事転用の可能性がある貨物の貿易や技術の移転を適切に管理するための措置でございまして、これは労働者問題とは全く別の問題でございます。我が国としてこれは判断していくものでございます。  フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの三品目につきましては、二〇一九年七月当時、韓国の輸出管理の体制や運用面での懸念があったことから、包括許可から個別許可にしたというのが経緯でございます。 ○音喜多駿君 明確にないというお答えでありました。  では、三月の十六日の日韓首脳会談直前の三月六日に半導体三品目の輸出管理について二〇一九年以前に戻すことを発表した理由について、これを改めて経産省にお伺いいたします。 ○政府参考人(猪狩克朗君) お答え申し上げます。  三月六日の韓国によるWTO紛争処理手続の中断の発表を受けまして、三月十四日から十六日に日韓輸出管理政策対話を開催し、双方の輸出管理制度及び運用状況などについて意見交換を実施しました。  その上で、三品目に関しまして、個別許可を行ってきた中で健全な輸出実績の積み上げがありました。また、我が国として、三品目について、韓国側の体制、運用の拡充等を慎重に入念に検討し、検証しました結果、その取組や実効性の改善が認められました。また、韓国側から三月二十三日付けで、WTO事務局に対し、日本の輸出管理措置に関するWTO紛争解決手続を取り下げる旨の通知がなされました。  こうした状況を踏まえ、我が国の判断としまして、三月二十三日に三品目の輸出管理の運用見直しに係る通達改正を行ったということでございます。 ○音喜多駿君 外部からはやっぱりこの議論の経過が見えづらいということもありまして、最後、大臣に、やっぱりこのタイミングになってしまったということについて、この輸出管理見直しを行ったことが、元徴用工問題と輸出管理がリンクしていると思われても当然ではないかというふうな指摘がございます。外交戦略上のタイミング、不適切じゃないかという指摘もあるところ、これ、外務大臣の見解を最後にお伺いいたしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今お聞きいただいたように、この韓国向けの安全保障に係る輸出管理の運用の見直し、これは輸出管理を適正に執行するために行ったものと承知しておりまして、旧朝鮮半島労働者問題とは別の議論であります。 ○音喜多駿君 時間ですので、また続きは別の場でやらせてください。  終わります。ありがとうございました。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  最初に、陸上自衛隊のヘリのことについて、冒頭、一言だけお話しさせていただきたいと思います。  大変遺憾な事故であり、今原因究明をされているということで、早急な原因究明、そしてまた我々委員会への報告の方、是非お待ちしておりますので、よろしくお願い申し上げます。  限られた時間ですので、今日は一点のみ、国民保護に関して防衛省また内閣官房中心にお伺いさせていただきたいと思っております。  先月三月十七日、沖縄県庁主催で沖縄県国民保護訓練が開催される、その前に、私、前回質問させていただいたんですが、今回、その訓練を踏まえていろいろと御質問させていただきたいと思っております。  防衛大臣も前回御答弁いただきました。最悪の事態を想定して平素より連携を高めていく必要が重要であると、そのようにおっしゃられましたが、今回の図上訓練に対して大臣の評価をまずお聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 三月十七日、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力して武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施し、防衛省・自衛隊からも所要の職員がこの訓練に参加をいたしました。この訓練においては、避難のための輸送手段の確保や先島諸島の五市町村における避難の手順等について一定程度具体化が図られたところであると承知しております。  防衛省・自衛隊としては、住民の避難をできる限り迅速に行うためには、平素から関係機関が連携して検討、訓練を繰り返すことが重要であると認識しており、こうした訓練に引き続き積極的に参加し、関係省庁や地方自治体との連携の強化に取り組んでまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  平素より連携を高めていくことが重要だということは非常に心強く思っております。  今大臣の答弁にもありました、武力攻撃予測事態の認定を想定にした今回は訓練であったと。武力攻撃予測事態ということは、国民避難もありますけれども、同時に、空港や港湾施設では自衛隊の部隊輸送も同時に行われることが十分予想されるわけですが、今回、住民避難と自衛隊の部隊輸送のすみ分けについては検討はなされたんでしょうか。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  今回実施した訓練におきましては、先島諸島から県外への住民避難について、まずは指定公共機関等の民間の輸送力を活用することを前提とし、また、空港、港湾等のインフラ施設の基本的に住民避難に活用することとして検討を行ったものであり、自衛隊の部隊輸送等との調整については検討しておりません。  なお、今回の訓練、検討を生かし、今年度以降も、関係省庁、沖縄県、関係市町村、指定公共機関等が連携し、今回の訓練において判明した課題や更に検討が必要な点について継続して検討及び訓練に取り組んでいく予定であり、住民避難に係る自衛隊等のアセットの活用の可能性についても検討していくことといたしております。  御指摘の空港、港湾施設に係る住民避難と自衛隊の部隊輸送との調整につきましても、どのような検討を行っていくか、今後、関係機関と相談してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  図上訓練として、第一歩として、その民間のアセットのみを考え、民間のみのオペレーションで検討する、これは分かります。ただ、それが決してゴールではない、これがスタートであって、今後、自衛隊とのそのすみ分けであったり、様々なレベルでの調整が必要だと考えます。  ただ、自衛隊と自治体が連携を深めていく際に、自衛隊の有事に係る動きは特定秘密に該当する可能性があって、そのゆえに連携が、調整が十分進まない危険性があるんじゃないか、そのことを非常に危惧しております。  自衛隊と防衛省が連携して必要な住民避難等の訓練を行う際に、国民保護の分野に関しては自衛隊の情報もしっかりと自治体と共有していく、そのようなことを進めるべきではないかと思いますが、防衛省の見解をお聞かせください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、国民保護を適切に実施していくためには地方公共団体との連携は欠かせません。  防衛省・自衛隊におきましては、防災のための既存の連携協力体制を活用しつつ、平素から連携協力体制の確保に努めるとともに、地方公共団体における国民保護に関する様々な取組について協力してきております。  また、事態が発生した場合におきましては、都道府県対策本部の会議への隊員の参加などを行うほか、必要に応じて連絡官その他必要な隊員の派遣を行い、情報保全に留意をいたしますけれども、地方公共団体が行う国民保護措置の円滑な実施に資する情報の提供に努めることとなります。  提供する情報につきましては個別具体的な状況によりますので一概に申し上げることはできませんが、防衛省・自衛隊におきましては、国と地方公共団体等が共同で実施する国民保護共同訓練に参加するとともに、陸上自衛隊の各方面総監部の計画におきまして国民保護に係る訓練や意見交換会を地方公共団体の参加を得て実施してきておりますので、こうした取組を通じまして、地方公共団体と密に意見交換を行い、情報共有に万全を期したいと考えているところでございます。 ○金子道仁君 長い答弁で、まとめて言えば、今後は情報共有しっかりしていただけるという理解で進みたいと思いますが、是非、自治体の方から少し防衛省との連携について不安の声のようなものも私伺っておりますので、是非、難しいところあると思いますが、必要な連携進めていただきたいと思います。  国民避難、今回は武力攻撃予測事態を想定しているということでしたが、これが当然、武力攻撃事態に事態が悪化する、移行するケースというのは十分考えられるわけです。仮に武力攻撃が発生したその場合に、避難できなかった住民が残留している、そしてその場合に、相手国との部分的な停戦合意交渉であったり人道回廊の設定であったり、その間どのような場所に避難するのか、そのシェルター、避難場所の確保であったり様々なまた追加の検討事項が出てくるかと思います。  こうした検討は今回行われたんでしょうか、また今後どのように行っていく予定でしょうか、お聞かせください。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  今回実施した訓練は、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が連携して、武力攻撃予測事態を想定し、先島諸島から県外への避難の手順を確認、具体化するための図上訓練を行ったものであり、武力攻撃予測事態から武力攻撃事態へ事態が移行する場合については取り扱っておりません。これは、今回の訓練については、沖縄県及び先島諸島の五市町村と協議をした上で、まずは武力攻撃予測事態を想定した訓練、検討としたことによるものであります。  今回の訓練で判明した課題や検討が更に必要な点については、今年度以降も、関係省庁、沖縄県、関係市町村等が連携し、継続して検討及び訓練に取り組んでいく予定であり、今後実施する訓練、検討の想定等についても関係者とよく相談してまいりたいと考えております。  また、御指摘のような仮定の状況への対応について具体的にお答えすることは差し控えさせていただきますが、昨年末に策定された国家安全保障戦略におきましても、様々な種類の避難施設の確保や国際機関との連携等について記述がなされたところであり、関係省庁が連携し、しっかりと検討してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  時間が限られていますので、幾つかまた追加で質問したいんですが、先島諸島の隣、台湾では、非常に国民避難の準備が進んでいるというふうに伺っております。日台間、国交がない、そのような関係でございます。制約がありますが、日台交流協会の通常業務の一環としてこの台湾における国民避難のノウハウ等を共有していく、そういった可能性はないんでしょうか。外務大臣、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要でございます。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来から一貫した立場であります。  その上で、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、政府としていかなる事態に対しても対応できるよう、平素からの体制の整備を含め、万全を期していくことは当然でございます。  台湾との間では、日本台湾交流協会を通じて邦人保護を含めて平時から様々なやり取りを行っておりまして、今、金子委員から御指摘があった点についても、我が国の基本的立場を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 是非、人道分野ということで、交流しっかり進めていただきたいと思います。  今回の訓練は武力攻撃予測事態下で、これは平時であるという整理の中で、民間指定公共機関、交通事業者が中心の移送を想定していたわけです。ただ、武力攻撃予測事態であっても非常に危険な環境下での輸送を依頼することになるので、そういう民間の団体に対して、危険手当であったり万一事故が起こった場合の保険等、こういったことはどのような協議がなされているんでしょうか、お聞かせください。 ○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。  国民保護法におきましては、国又は都道府県等は、指定公共機関や指定地方公共機関が実施する国民保護措置について、その内容に応じ、安全の確保に配慮しなければならないとされており、運送事業者である指定公共機関等に対し避難住民の運送の求め又は指示を行う場合は、安全が確保されていることが前提となっております。このため、御指摘の安全が確保されていない危険な環境下で運送の求めや指示を行うことは想定されておらず、御質問の危険手当や保険について政府として協議を行ったことはございません。  なお、国民保護法におきましては、指定公共機関等に対し運送の指示を行った場合において、指示に基づく措置の実施に当たって指定公共機関等が損失を受けたときは、指定公共機関等の責めに帰すべき事由により損失が生じたときを除き、国等はその損失を補填しなければならないとされており、仮に指示に従って措置を実施し損失が生じた場合には国等がその損失を補填することになるものと考えております。  国及び地方公共団体は、運送事業者である指定公共機関等に運送の求め又は指示を行う場合には、関係機関及びその職員に危険が及ぶことのないように、運送を的確かつ安全に実施するために必要な情報を十分に提供すること等とされており、業務に従事する職員の安全の確保には十分に配慮してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 時間が参りましたので質問は以上としたいと思いますが、想定していないということです。もちろん、十分先立ってこの武力攻撃予測事態が発令されればいいですけれども、その辺りのタイミングの問題もありますし、実際に船はあっても乗組員が怖くて動かしたくないと、そのような人たちをどのようにして協力を要請していくかということであれば、やはり想定をして訓練をしていく、検討していく、様々なことを検討、幅を広げていく必要があると思います。  今回の三月十七日の訓練、非常に有意義だったと思いますが、繰り返しですが、これが決してゴールではなくスタートだと思いますので、引き続きしっかり訓練積み重ねて、国民の生命、また財産を守る、そのようなことを実現していただきたいと思います。  質問終わります。ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  私も、冒頭、陸自第八飛行隊所属のUH60JAヘリの航跡失消事案について、一日も早く、一刻も早く安否が確認されること、そして全員が無事でいることを心から祈っている次第でございます。  この問題について先ほど理事会で少し説明聞いて、何か新しい事案が出てくるかなと思ったら、報道以上のものはお伺いできなかったんですが、幾つかお伺いしたいと思います。  答弁は大和さんで結構なのでお願いしたいと思いますが、まだ機体、フライトレコーダー等々、一切見付かっていないということなんですが、どのような捜索方法で探しているんですか。 ○政府参考人(大和太郎君) これは、海上からの目視による捜索、あるいは陸岸への漂着物の点検とか、あるいは水中の捜索もしているところであります。 ○榛葉賀津也君 基本、目視ということですか。 ○政府参考人(大和太郎君) 水中の捜索については、音波を出してそれの反射波を分析する等のことをやっているところであります。 ○榛葉賀津也君 先ほどの理事会での大和さんの説明では、原因もまだ全く分からないと。これ、人為的ミスなのか機体の不具合なのかその他なのかということですが、報道で見たところによると、ジャミングもないし救難信号も出ていないということで間違いないでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 救難信号は出ておりません。  また、ちょっとジャミングというお話がありましたけれども、当然私ども警戒監視をずっとしているところであります。ただ、その中で、外国の軍隊の動きの中で、今回の事件、今回の事故、事案に関係するような動きというのは確認されていないということであります。 ○榛葉賀津也君 レーダー航跡が消失してから防衛大臣指示まで、ここに資料あるんですが、消失したのが十五時五十六分、で、大臣指示が十七時一分ですから、一時間以上ここに時間があるわけですよね。この時間というのは、少し時間が経過しているのかなという思いがするんですが、この時間帯は何があったんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 一般に、航空機がレーダーロストした場合に、直ちに遭難と認定されるわけではございません。レーダーロストがあった後、複数の関係機関が情報共有しながら通信による呼びかけを継続する中で、捜索救難を要する状況かの判断を行うことになります。今回、こういった手続を踏んだ上でいろいろな活動をやっているところであります。  なお、自衛隊の航空事故に関する救難活動については、その緊急性に鑑みまして、あらかじめ防衛大臣が定めるところによって、活動区域を担当する指揮官の権限の下、捜索救難活動が行われます。今回も、今のこの問題となる区域を担当する南西航空方面隊司令官、これは航空自衛隊の司令官でありますが、彼の下で十六時四十分に捜索救難活動が開始されているところであります。  したがって、大臣の指示いただく前にあらかじめの手順に従って活動を始めているということであります。 ○榛葉賀津也君 誤解のないように。私は、一時間たっているからけしからぬとかそういうことでは全くなくて、現場の防衛省・自衛隊諸官並びに幕の皆さん、シビルの皆さんも懸命に職務に遂行されていることはよく分かっていますので。  相当突発的というか不可抗力的な事故なのではないかなと思うんですね。というのは、この時間、ちょうど衆の安保委員会やっていまして、増田防政局長も大和統括官も大臣も当然委員会室にいらっしゃって、慌てた様子なかったので、恐らく、突然あり得ない事故、ローターが根こそぎ折れているという情報もありますから、相当な圧が掛かった何かがあったんではないかなと推察をするわけでございます。  私の地元浜松でも何年か前に事件ありまして、このときは空間識失調症だという推定がされていたわけでございますが、私素人なので大和さんにお伺いしたいんですが、天候の良い昼間でも空間識失調症に陥る可能性というのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(大和太郎君) 御指摘のとおり、二〇一七年の航空自衛隊のUH60の事故の際は、調査の結果、空間識失調ということが強く推定されるに至りました。ただ、あれは月のない暗夜のことでございました。そういったことも踏まえて今回の事故の調査はやるべきだと思います。  ただ、現時点で特定の原因は絶対あり得ないというようなことは予断をせずに、いろいろ調査を進めていくということになろうかと思います。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  事故直後に防衛大臣が沈痛な面持ちで会見されている姿を見て本当に万感胸に迫るものがありまして、多くの国民も恐らく大臣と同じ気持ちだろうと思います。極めて優秀な自衛官とその家族の皆様のためにも、一刻も早い真相究明と安否の確認をお願いしたいというふうに思います。  次に、下地島空港の利用についてお伺いしたいと思いますが、下地島空港はパイロット訓練飛行場として建設された空港でございます。供用開始に先立つ一九七一年、当時の日本政府と琉球政府、現在沖縄県でございますが、との間に、いわゆる屋良覚書が交わされました。皆様方にはお釈迦様に説法でございますが、屋良覚書のポイントというのは二つありまして、使用方法は沖縄県が決める、民間以外の目的に使用させる意思はないと、この二点でございます。  防衛省にお伺いしますが、自衛隊の下地島空港の利用実績、これをお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(大和太郎君) まず、今般の陸自のヘリコプターのレーダーの航跡消失事案について、今、航空自衛隊の回転翼機UH60J、それから固定翼機のU125Aが捜索救難のための燃料補給の拠点として下地島空港を使用させていただいております。  また、現在確認できる限りにおいては、平成二十六年度、平成二十八年度、それから令和元年度の沖縄県の防災訓練に参加した際に、陸上自衛隊の回転翼機、航空自衛隊の回転翼機及び固定翼機が下地島空港を使用しております。 ○榛葉賀津也君 ということは、過去に四回と、今回の事案入れて四回ということだと思いますが。  それでは、空港を所管する国土交通省にお伺いしますが、米軍の使用実績についてお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(新垣慶太君) お答えいたします。  下地島空港の米軍による利用実績につきまして、国土交通省において過去十年分を確認いたしましたところ、平成二十五年、二〇一三年以降でございますけれども、この先週八日に米軍機が緊急着陸いたしました一連の事案のみということになっております。 ○榛葉賀津也君 いや、私、復帰後ですよ、沖縄復帰後、屋良覚書が締結されてから、交わされてから、復帰後何回使われていますか。 ○政府参考人(新垣慶太君) 申し訳ございません。空港の着陸に関する行政文書の保存期間が十年となっておりまして、それ以前の利用実績が確認できない状況になっております。 ○榛葉賀津也君 いや、安全保障に関わる大変重要な問題なので、そういうつれない答弁しないでくださいよ。それは十年かもしれませんが、それ承知していないとまずいと思いますよ。米軍が何回くらい使われたのか、答えられませんか。 ○政府参考人(新垣慶太君) 繰り返しで恐縮ですが、ちょっと今確認できるものがございませんので、今お答えできない状況でございます。 ○榛葉賀津也君 私が野党第一党なら答えてくれるかもしれないのに、国民民主党は小さいから、済みませんね。  調べたところによると、復帰後、六十二日間で三百二十三回使われているという報道もございました。事実関係については、記録がないということだから調べられないんだけど、やっぱり記録取っておかないと調べられないでしょう。記録は大事ですよ、悪いですけど。  米軍が下地島空港を利用できる根拠というのは日米地位協定の五条でございまして、日本国内の空港、港の利用に関する条項でございます。合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課さないで出入りすることができるということでございますが、この屋良覚書があるにもかかわらず、六十二日間、三百二十三回米軍が使用されたということは、これ官房副長官にお伺いしますが、地位協定五条が屋良覚書よりも優先されるという解釈でしょうか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 政府としまして、お尋ねのいわゆる屋良覚書の存在は承知をしております。その上で、米軍機は、今御指摘ありましたとおり、日米地位協定第五条に基づきまして、民間空港を含む我が国の飛行場に出入りすることができます。  いずれにしましても、米軍機の運用に際しましては、公共の安全に妥当な考慮を払って安全性が最大限確保されるべきことは言うまでもありませんので、また民間機の運航を含む地元への影響に最小限にとどめることが必要であるというふうに考えております。 ○榛葉賀津也君 ですから、日米地位協定五条は屋良覚書よりも優先されるという解釈ですね。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 屋良覚書がある中で、日米地位協定の下で飛行場に出入りすることができるという解釈でございます。 ○榛葉賀津也君 まあ言うまでもなく、屋良覚書では、法令ではございません。沖縄県との、県と国との約束でございまして、防衛省・自衛隊はこれしっかりと遵守して、防災訓練や今回の救難等々、過去四回使っていたということでございますが、先ほど金子委員も御指摘されたように、先島諸島で国民保護の図上訓練が行われましたが、有事に備えた公共施設の有効利用というのを私は真剣に考えるときに来ているんだろうと思っています。  沖縄地域は、やはり南西は離島が多うございますので、港と空港というのが国民保護の観点でもとても重要になると思います。輸送機や戦闘機もそうですけれども、やっぱり少なくとも三千メートルの滑走路があった方がこれ極めていいわけでございますが、別にクイズやるつもりないんですが、官房副長官、この沖縄地域ですね、先島含めた、三千メートル滑走路って何本くらいあるか御存じですか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 航空会社におりましたが、十分承知をしておりません。 ○榛葉賀津也君 立派な航空会社だと思いますが。  実は二本しかないんですね。一本が那覇空港で、もう一本が下地島空港だけなんです。ですから、国民保護の観点で、三千メートルの滑走路というのは極めて重要なんですね。  私は、屋良覚書をないがしろなんてことは毛頭ございませんが、屋良覚書の確認から半世紀以上過ぎまして、我が国を取り巻く安全保障環境というのは当時と比べ物にならないぐらい複雑かつ緊迫化しているわけでございまして、沖縄地域の国民の皆さんの生命と財産を守るため、かつ、我が国と平和と安全を維持するためにも、やっぱりこの三千メートルの滑走路を有する下地島空港の有効活用というのは、我が国の国防の在り方を考えた場合極めて重要で、これを真正面から私は議論するときに来ているんだろうと思います。  一点、官房副長官にもう一点お伺いしますが、やっぱり約束は大事です。沖縄の皆さんと琉球政府、当時の琉球政府と日本政府、沖縄の皆さんと国との約束は大事ですから、これは守らなければなりません。ですから、有事になってなし崩し的に下地島空港を自衛隊や米軍が使うということではなくて、平時のうちからしっかりと、この公共施設の活用の在り方というのを真正面から真摯に私は話合いをするべきだと思うんですが、今日まで、日本政府と沖縄県で屋良覚書の見直し等について率直な意見交換をされたことはあるんでしょうか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) このいわゆる屋良覚書、昭和四十六年当時、下地島のパイロット訓練飛行場の建設計画が固まってきたことを踏まえて、当該飛行場の設置管理者となる琉球政府からその運用等について照会があって、当時の総理府、運輸省が回答したものでございます。  その後、沖縄県との間において当該文書の見直しに関する協議が行われたかということでございますが、そのこと、その事実はありません。 ○榛葉賀津也君 私は、国が上から目線ではなくて、地域の皆さんの生命、財産を守る、この国の平和を守るという観点から、真正面から沖縄の皆さんとこの下地島空港の有効活用というものを私はもう議論するときに来ているんではないかと思います。あくまでも御地元の皆様の理解と御協力を得て、この与那国、石垣、宮古といった南西の島々、ここに自衛隊の施設を造る、造ってまいりました。これ、とても大事です。ただ、それと同様に、国民保護というものを私はもっと真剣に考えなければならないと思いますし、この国民保護は平時から、そして正直時間がないと思うんです。  私、スピード感を持ってやっぱりやらなければならないと思いますし、先ほど金子委員の御指摘のように、今回の図上訓練においては民間会社のみの人的輸送ということでございますが、これ六日掛かるんですね。六日、掛け過ぎですよ。じゃ、障害を持った方、入院されている方、介護されている方、そういう方々どうするのかとか、様々な問題を考えると、やはり自衛隊による輸送というものも考慮した現実的な訓練というものをやっぱり今後考えていく必要があると思っています。  ロシアによるウクライナ侵攻というのは、本会議でも申し上げましたが、私は対岸の火事ではないと思っています。今回も、鹿児島、大阪、京都、兵庫の各都道府県で訓練が行われましたし、一部では実動訓練も行われました。  最後に官房副長官にお伺いしたいんですが、この沖縄県ですね、自衛隊や米軍による国民保護を目的とした訓練、こういう訓練であっても下地島空港を利用しては駄目と、特に米軍が仮に参加した場合認めないという方針という解釈でよろしいんでしょうか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) この委員会でも、国民保護については、非常にその重要性、議論されてきたというふうに思っております。  屋良覚書、その後、西銘確認書があろうかと思いますけれども、緊急事態等についてという例外はございますけれども、そのほかについては、基本的には今、先ほどの御指摘のとおりの使用に基づくということかと存じます。 ○榛葉賀津也君 やはり、あらかじめ訓練というのはとても大事ですから、そういったことを含めて沖縄の皆さんと真摯に議論されることを要望して、質問終わります。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  冒頭、大臣、防衛大臣から発言のありました陸自ヘリの事故については、早期の救助、原因究明を求めたいと思います。  その上で、本日の質問ですが、安保三文書の一つ、国家防衛戦略は、ハラスメントは人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすものである、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築するとしています。元自衛官の五ノ井里奈さんが実名で告発した性暴力事件などを受けてのものですが、岸田政権が大軍拡を進める一方で、深刻なハラスメントがあることを示していると思います。  大臣に伺います。  自衛隊におけるハラスメントの申出件数をお示しください。なぜ被害申告が増え続けているとお考えでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 令和三年度における防衛省内部部局のホットラインへの各種ハラスメントの相談件数は千八百十一件であり、また、各機関等相談窓口への各種ハラスメントの相談件数は五百件の、合計二千三百十一件の相談がありました。  ハラスメント相談件数の増加については、教育、ポスター、教育やポスター等による周知、幹部職員に就任した者に対するハラスメント教育の義務化などの一連の取組や、社会においても、相次ぐハラスメント事案に対する注目、非難の高まりを通じ、ハラスメントは相談、通報し厳格に対処されるべきものとの意識が浸透していることによるものと考えております。  いずれにしても、ハラスメントは、人の組織である自衛隊において自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものであります。現在進められているハラスメント防止対策に関する有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたいと考えております。 ○山添拓君 教育、周知啓発の結果、増えてきているという話でした。  そうすると、この先どこまで増えていくかは見通し持てない、まだまだ増えていくだろうということですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今現在、我々とすればそれを防止すべく努力をしているところ、最中でございますが、この数がどこまで行くかというのは、我々としては今のところ確実なものを持っているわけではございません。 ○山添拓君 資料の二を御覧ください。  ハラスメント対策の取組をこれまでにも行ってきたんですね。例えば、二〇一六年には大臣訓令が出され、事例集やパンフレット、相談員の手引も発行されました。その後、減るどころか増えているというのが実態です。  防衛省に伺いますが、二〇二一年度のハラスメント相談は、窓口に対しては千八百十一件と大臣から答弁がありました。ホットラインの窓口で対応したのは千六百九十八件、各自治体、機関で対応したのが百十三件とされます。対応の結果、被害者が納得する形で是正が図られたのは何件ですか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  ハラスメントの相談窓口は、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築するためにも非常に重要な役割を担っており、全ての相談に対して誠実に対応を行っているところです。  令和三年度の自衛隊におけるハラスメント相談二千三百十一件についても誠実に対応を行っているところですが、現在も相談が継続している案件などもあるため、御指摘の是正につながった件数について明示的にお答えすることは困難な状況でございます。 ○山添拓君 いや、継続しているものはもちろんですけど、終わったものについても確認はされてないということなんですね。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  相談者との相談が継続中のものや、相談者に是正や解決につながったかを確認しているものなどがございます。これらによりまして時間を要しているものでございます。 ○山添拓君 要するに、確認されてないわけですよ。これは、被害の申出を受けるだけでは解決にはならないと思うんですね。  昨年放送されたTBSの「報道特集」で元自衛官が証言しています。上官から絶対退職しろよと、雑魚だよなど暴言を繰り返され休職、部隊内で調査を求めても進まず、ハラスメントの相談窓口に助けを求めたが、担当者はあくびをしたり、目を半分つぶったり、早く終わってほしいという雰囲気で相手にされていないと感じたとお話しでした。体調が更に悪化し、母親が電話しても調査中という程度の回答しかない。結局、退職に追い込まれました。  これは部隊任せでは解決できないことを防衛省としても十分承知をしているはずです。相談窓口は聞くだけなんですか、あくびをしながら。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省ハラスメントホットラインに相談がなされた場合には、まず相談員から詳細な事実関係等の聴取を実施します。その後、相談者の了解を得た上で、確認した事実関係を基に加害者とされる者や第三者からの聞き取り調査等を実施し、ハラスメントの事実が確認された場合には、被害拡大防止の観点から、上司等から加害者に対し指導を行うなどの具体的措置を講じつつ、人事部署へ速やかに報告し、懲戒処分等の調査を開始することとしております。 ○山添拓君 その窓口での対応が内部の調査につながるものではとても信用できないという声が出されているわけです。これは、是正のために機能しているとは言えない実態があるんじゃないでしょうか。  自衛官の中途退職者が後を絶ちません。資料の三ページを御覧ください。二〇二一年度、前年度比で三五%増加し、直近十五年で二番目に多い五千七百四十二人。毎年の新規採用者の四割近い数です。  二〇二〇年の調査によれば、任官後早期、四年以内の退職者が七割近くを占め、退職原因で最も多かったのは就職だったとしています。しかし、退職するから次の就職が必要になるのであって、退職を決意する直接の原因とは限らないと思います。  大臣に伺います。  中途退職の背景として、いじめやハラスメントの影響について把握していますか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今委員から御指摘のあった点、令和三年度の自衛官の中途退職者については約五千七百名となっており、中途退職者が五千名を上回るのは平成二十年度以来でございます。中途退職者が述べた退職理由の集計によると、令和三年度においては民間企業への就職が約半数近くを占めて最も多く、続いて進学、家庭の事情、性格不適合となっております。  防衛力の中核である自衛隊員の人材流出の防止に向けて中途退職者の抑制は急務であり、今後、防衛力整備計画に基づき、中途退職者に関する自衛隊員の意識等の調査を実施し、効果的な施策を講じてまいりたいと考えております。  今御指摘のこのハラスメントについての調査というのは、我々とすれば、今現在行っている最中でありますし、今お話にあったように、そういったことが原因で就職ということもあるかもしれません。その点についても、またこれからしっかりと調査をしていきたいというふうに思っているところであります。 ○山添拓君 まだよく分かっていないということでした。  自衛官の人権弁護団北海道によれば、昨年から今年にかけて百三十五件の相談のうち半分以上が、退職を申し出ても認めない、言わば退職妨害のハラスメントだったといいます。自衛官が退職を申し出た際、退職理由としてハラスメントや自衛隊への不満を記すと書き直しを命じられるというんですね。  防衛省に伺いますが、退職理由の提出というのは、これは法的根拠に基づくものではないですね。 ○政府参考人(町田一仁君) 自衛官が退職するに当たっては、どういった方向、就職、それから事情があるのかということを把握し、我々の中途退職防止につなげているものでございます。(発言する者あり)あっ、法的根拠は特段あるものではございません。 ○山添拓君 この職業選択の自由がありますから、退職はもちろん自由です。  防衛省は退職に至る経緯をきちんと把握すべきですが、根拠もなく退職理由書を求め、その書き直しまで命じる、これはやめるべきじゃないですか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省としては、防衛力の基礎、根幹が自衛隊員にありますことから、そのような書き直しや、それから強要するようなことがあってはならないと考えております。  いずれにいたしましても、きちんとした人事施策、これは退職時の指導、聴取も含めて行ってまいりたいと、そのように考えております。 ○山添拓君 現に起こっているから問題になっているんですよね。  防衛省は、二〇一九年度、懲戒の処分事由にハラスメントを新設し、二〇二〇年一月にはその厳罰化のためとして、暴行等を伴う違反行為に関する懲戒処分などの基準を策定しました。違反行為の態様とその適用基準が事細かに区分されています。例えば、パワハラで違反態様が極めて重大な場合とは、刃物等を用いた場合、被害者の自殺の主たる原因となった場合、身体機能等に深刻な後遺障害が残る程度の傷害を負わせた場合などとされます。重大な場合とは、全治一週間以上一か月未満の傷害など、さらに、比較的重大な場合、軽微な場合、比較的軽微な場合、極めて軽微な場合と、六段階もに分かれているんですね。  防衛省に伺います。  こうして細分化をし、まあ防衛省の言葉では厳罰化ですが、その結果、懲戒処分は減ったんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 厳罰化により懲戒処分のそのものの件数が減ったかということについて明示的にお答えすることは困難でございますが、現在ハラスメントを理由に懲戒処分を受けた自衛隊員は、令和元年中に八十二人、令和二年度中に百十七人、令和三年度中に百七十三人でございました。 ○山添拓君 ですから、むしろ増えているんですね。これだけ細分化して処分基準を設けなければならないこと自体、自衛隊内でいかにハラスメント、まあハラスメントというより暴力行為だと思いますが、これが横行しているか、蔓延しているかを示していると言わなければなりません。  それだけではありません。同時に出された人事教育局長が定める考慮事項等についての細部についてという通知があります。ここでは、懲戒処分の軽減事由が規定され、パワハラであっても被害者が挑発した場合、重傷を負わせた場合であっても被害者が反抗的な態度を取った場合など、被害者の態度次第で加害行為、暴行行為をした側を擁護する定めになっています。  なぜこんな軽減規定が必要なんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 懲戒処分を行うに当たっては、それが生じた、どのような形態で起こって生じたものか、それらをきちんと把握する必要があるということから、起こったことをつまびらかにするために明らかにすると、そういう必要性からこの規定を置いているものでございます。 ○山添拓君 起こったことを明らかにするということと、それによってハラスメントを行った加害者に対する懲戒処分を軽減する理由になるかどうかということは別だと思うんですね。つまびらかにするべきですよ。しかし、だからといって懲戒処分を軽減する理由にはならないんじゃありませんか。 ○政府参考人(町田一仁君) 調べた結果をもって、それが軽減事由に当たるかどうかというのも含めて懲戒処分を決定しているというところでございます。  それと、申し訳ございません。もう一点、先ほど、退職理由につきまして、規則、法律で定めたものはないというふうに御答弁申し上げましたが、例えば、陸上自衛隊でございますと、陸上自衛官人事業務規則、これは陸上自衛隊の達といいます。陸上自衛隊の中での規則でございますが、そこの退職願には退職理由を記載する様式として規定がございます。  したがいまして、法律ではございませんけれども、自衛隊の中の規則で退職理由を書くということになっておりますので、それを付言させていただきます。申し訳ございません。 ○山添拓君 法的根拠はないとお話しでしたし、また、それが規則としてあったとしても、書き直しを命じるようなことはこれはやはりあってはならないわけですね。書いてきたもののとおり受け取ればよい話だと思うんです。  先ほど、軽減規定の話については、調査をした上で軽減事由の有無を調べるんだとお話しでしたが、これは厳罰化の抜け道にほかならないと思います。これは防衛省・自衛隊の姿勢自体が問われていると思うんです。  資料の四ページを御覧ください。  二月二十七日、航空自衛隊那覇基地でのセクハラ被害を訴えたにもかかわらず、空自が適切に対応しないばかりか、不利益な扱いを受けたとして、現役自衛官が国に損害賠償を求め提訴しました。  二〇一〇年に那覇基地に着任、挨拶回りの際、既に年齢をやゆするような言葉を投げられ、こんな発言が許される職場なのかと驚いたといいます。他の女性自衛官に対しても、更年期、生理中かなどと発言していました。まあ言わば下ネタを日常的に発して、原告に対しても胸や尻について冗談を言っていましたが、二〇一三年には交際相手との性行為についても言及するようになりました。交際相手とばっかりやってんじゃねえよ、やりまくってるからって業務をおろそかにするんじゃねえよなどと言葉を浴びせたといいます。上司や相談員に相談したものの対応されず、男性隊員や同僚らは被害を否定しました。  やむを得ず、二〇一六年、この男性隊員を相手に損害賠償訴訟を提起しました。判決は、違法なセクハラ発言に当たる可能性は十分にあるとしましたが、国家賠償法に基づき、公務員個人の責任は問われないとする最高裁判例に従って請求を認めませんでした。原告はこのとき部隊の法務班にも相談していましたが、個人の問題には関与しないとして拒まれたといいます。ところが、裁判になってみると、加害者側が反訴を提起してきた。その加害者の上司や部下がセクハラはなかったという陳述書を提出、法務班がそのひな形を作っていたというんですね。  一般論として伺いますが、自衛隊の法務部門というのは、被害者側からの提訴の相談には応じず、加害者側の応訴や反訴には対応しているんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 今委員から一般論というふうにお話がございましたが、この航空自衛隊那覇基地でセクハラ被害を訴えた女性自衛官の対応に係ることでありまして、係属中の裁判に関することであり、今後の裁判に影響を与えかねないことから、お答えできないことを御理解ください。 ○山添拓君 一般論が答えられないというのはおかしいですよ。自衛官からの個別の法律相談に法務部門がどのように応じているのか、法的根拠を含めて当委員会に報告されたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 判決後も原告の苦しみは続きました。二〇一三年に相談した後も、一五年まで男性隊員と同じ勤務地で日常的に顔を合わせる状態が続いたといいます。  これも一般論で聞きます。セクハラがあったと十分考えられるケースでも、加害者と被害者を別の部署にするような対応すら取らないんですか。 ○政府参考人(町田一仁君) セクハラがあったという訴えを受けまして、相談者からの対応につきましては先ほどお答えをいたしましたが、個々、懲戒処分に至りますには、規律違反の動機や原因、状況や程度、それから規律違反者の職責などを考えて行っております。その手続を進めるに当たって加害者と被害者を別々の部署で勤務させるということも、それは行っているところでございます。 ○山添拓君 このケースでは取られておりませんでした。  那覇基地ではセクハラ教育が実施され、女性の被害が題材にされました。使われた資料では、男性隊員は匿名でしたが、女性は実名が記載され、女性に非があるかのような説明がされ、その後、基地内でも好奇の目にさらされたといいます。教育のやり直しを求めたが受け入れられなかったといいます。事実ですか。 ○政府参考人(町田一仁君) 先ほどもお答え申し上げましたが、この航空自衛隊那覇基地でセクハラ被害を訴えた女性自衛官に対する件につきましては、係属中の裁判に関することであり、今後の裁判に影響を与えかねないことから、お答えできないことを御理解ください。  いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊としては、現在進められているハラスメント防止対策に関する有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいります。 ○山添拓君 那覇基地で使われた資料の当委員会への提出を求めます。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、原告は今も睡眠障害やフラッシュバックに苦しんでいるというんですね。今度の提訴に当たって、上司から過去を掘り返すなと言われたといいます。しかし、被害者にとっては、過去ではなく、長年続く、現在も続いている被害なわけです。組織が隠蔽し、被害を申告した側を悪者のように扱ってきたと、こういう告発がされていますよ。個人の尊厳をないがしろにする、その組織性や悪質性が著しいです。  大軍拡どころか足下で組織の在り方が問われているということを厳しく指摘し、質問を終わります。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  宮古島での陸自ヘリ事故については、隊員の安否、人命に関わることであり、一日も早い救助、発見を求めます。  同時に、今回の飛行は戦争の際の部隊展開をも想定した偵察飛行という報道もあり、仮に墜落事故が住宅地上空であれば、住民にも被害が及んだ可能性もあります。また、陸自ミサイル基地建設がなければ起こらなかったものであり、基地建設に反対する県民や宮古島市民には、墜落事故等への懸念を強く持っています。事故原因の究明とともに、同型ヘリの飛行停止と整備、点検の検討を強く求めます。  昨年十月十三日の本委員会でも質疑した、二〇二二年七月七日、米海兵隊キャンプ・ハンセンに隣接する沖縄県金武町伊芸区の民家で銃弾が発見された事件について伺います。  前回の質疑では、銃弾がジャケットのない弾芯で、成分に鉄が含まれていること、大きさは全長約五センチ、直径約一センチであったこと、全体的にさびが見られるという鑑定であったとの警察庁からの答弁でした。その後も、資料二、三のように、沖縄県警による捜査が続いています。  前回質疑以降の捜査の進捗について伺います。 ○政府参考人(渡邊国佳君) お答えいたします。  昨年十月十三日以降の捜査の進捗状況について御説明します。  沖縄県警察におきましては、弾芯様の物の発射実験を行い、どのような場合に現場の状況と同様の状況が出現するかを確認する作業を行っておりますほか、本年二月十六日には、米軍の協力を得て、キャンプ・ハンセン内のレンジ7への立入りを実施し、標的等の位置関係を確認したり、訓練概要について米軍関係者から説明を受けたりしているものと承知しております。  引き続き、様々な可能性を視野に入れて捜査を進めているものと承知しております。 ○伊波洋一君 報道では、破損した網戸の部分に、見た目で溶けたような形があり、発射された銃弾の熱による焼け跡の可能性も調べているとされております。  前回の質疑で、本件では、七月七日の午後四時十分頃から午後六時二十分頃まで、沖縄県警が現場に臨場して捜査を行い、銃弾も押収しています。また、その際には沖縄防衛局職員は現場にいなかったということでした。もし沖縄防衛局職員が現場で銃弾を目視したとしたら、写真が残っていることから、県警の捜査員が臨場する前に家屋の外側から網戸越しに銃弾を目視したということだろうと思います。また、翌日の八日には、沖縄県警が現場の実況見分、関係者からの事情聴取や現場付近の検索を行い、実況見分中に米軍関係者が現場に来たということでした。  事実経過については上記のとおりで間違いありませんか。 ○政府参考人(渡邊国佳君) 委員から御紹介いただきましたけれども、内容は、昨年十月十三日、参議院外交防衛委員会におきまして警察庁から答弁申し上げた内容でありまして、誤りはございません。  なお、補足させていただきますと、同日押収した銃弾様の物について、七月七日に米軍等に提示したことはないという旨の答弁をしておりますけれども、沖縄県警からは、七月八日には米軍関係者に見せているという報告を受けております。 ○伊波洋一君 七月八日には米軍にも証拠物である銃弾を提示したということですが、あくまで目視させただけですね。  前回、警察庁は、七日に現場で捜査に当たった沖縄県警の捜査員は、沖縄防衛局の職員に銃弾を提示したことはないと答弁しています。つまり、沖縄防衛局の職員はせいぜい網戸越しに銃弾を目視しただけなのです。それにもかかわらず、県警からの発表が行われる前に、沖縄防衛局は、当日の二十一時十分頃、「銃弾には錆のようなものがみてとれる」と報道発表しました。  資料一に提示していますけれども、この銃弾を網戸越しで見て、さびのようなものが見て取れると言えますか。防衛大臣、お答えください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 沖縄防衛局の公表については、本事案に対する県民の方々の御心配、御懸念、御関心の高さを踏まえたものであり、その内容はあくまで防衛省が確認した事実関係です。  いずれにせよ、本事案につきましては、様々な可能性を視野に、予断を持たず、警察当局において捜査を継続しているものと承知をしております。 ○伊波洋一君 七日には県警が銃弾を押収し、米軍は、証拠物の銃弾を県警に提示されただけで、七月八日に「古く腐食した銃弾」だったと報道発表し、だから米軍の由来ではないと主張していました。  県警の発表前に防衛局が網戸越しに銃弾を目視しただけで「錆のようなものがみてとれる」と報道発表したり、押収された銃弾を提示されて目視しただけの米軍が「古く腐食した銃弾」などと米軍の関与を否定する報道発表を行ったことは、防衛局による警察の捜査妨害であり、不適切だったのではありませんか。お答えください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今お話ししたとおりでありますけれども、我々とすれば、本事案に対する沖縄の皆様、県民の皆様の御心配、御懸念を、御関心の高さを踏まえたものであり、その内容はあくまで防衛省が確認した事実関係であります。  様々な可能性を視野に、予断を持たず、警察当局において捜査を継続しているものと承知をしております。 ○伊波洋一君 米海兵隊は、プレスリリースとして「古く腐食した銃弾」などと言ったんですよ。それを調査した上でというふうに変えたわけですね。つまり、そういうものがまかり通っているわけです。  本件はまだ結論が固まっていないとはいえ、レンジ7からの跳弾の可能性が高いと考えられます。だからこそ調査をしているわけです。伊芸区では、二〇〇八年にも車のナンバープレートにレンジ7からの可能性が高い流弾が当たる事故が起きています。  キャンプ・ハンセンの実弾射撃訓練で使用される重機関銃の射程は約六キロメートルですが、レンジ7から伊芸区は直線距離で三キロぐらいしかありません。現状は極めて危険です。重機関銃など、銃器も長射程化しています。  そもそも、キャンプ・ハンセンでの実弾射撃訓練、とりわけ跳弾の可能性が二度も起こったレンジ7での実弾射撃はやめるべきではありませんか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 本事案については、様々な可能性を視野に、警察当局において捜査を継続しているものと承知をしております。また、防衛省として、常日頃から米軍の運用に関する安全対策について申入れを行っており、防衛省としては、捜査の結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 この間、キャンプ・ハンセンからの流弾が幾つも出ているわけですけれども、それが特定されて米軍の責任となった事例はないわけです。そういう意味では不十分だと思います。現実に毎日のように実弾射撃訓練をしていながら、そして、このレンジ7は恩納村側にあるんですね。恩納村とこの伊芸区の間には山はありますけれども、上からすれば通ってくるし、それから横からすれば跳弾が来ると、こういう状況がやはり放置されてはいけないんだろうと思います。  そして、今回、また科捜研でのこの鑑定ですが、「錆のようなものがみてとれる」と発表したわけですよね。だから、そういう意味で、科捜研での検体の取り違えなどを含めて、この間、過去の警察の捜査の中では冤罪事件や誤認逮捕なども起きています。今回、沖縄防衛局が網戸越しの目視のみで「錆のようなものがみてとれる」と発表し、米海兵隊が、銃弾を見てもいないのに、調査もしていないのに「古く腐食した銃弾」と公式発表したため、鑑定結果がそちらに引きずられて、科捜研が検体を取り違えてさびのある銃弾と鑑定してしまった可能性も否定し切れません。本当に科学的な鑑定が行われているのか、疑問を禁じ得ません。  前回もお願いしましたが、鑑定書そのもの、ないしは可能な限り鑑定の結果の情報提供を求めたいと思います。委員長、お取り計らいをお願いいたします。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。 ○伊波洋一君 かつて私は沖縄県議会におりまして、キャンプ・シュワブから、その重機関銃で射撃訓練をする場所があるんですけれども、そこから山を越えて、この農地で作業している方の手前にどんどん撃ち込まれた事件があるわけです。それを私、横田の米軍の司令部に行って、当時沖縄県議会として行って、そして抗議をしたんですが、そのときに米軍からは、写真をみんなに渡されて、これは古い銃弾なんだということを示していました。ところが、前から我々調査をしておりますので、この銃弾は県警にあって、そして県警はそれはさびていないという鑑定をきちっと出していたんですよ。そういうことを言ったら、さっさとまたこの写真を回収をすると、こういうことが当たり前のように行われているわけです。  私たちはやはり、今のこの事例もそうなんですけれども、しっかりと本当の原因を究明して、いつ起こるかもしれないような重大事故につながらないように、防衛省としてしっかり監督をしてもらいたい、そして米軍にも申し入れてもらいたいと、このことを是非強く求めていきたいと思います。真相の究明をお願いをして、防衛省としても米軍に対してもしっかり申し入れていただくようお願いをして、この場での質問を終わります。  ありがとうございました。 ○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  今日は、地位協定についてまずお聞きしたいと思います。  私の手元でちょっとお見せしますけれども、沖縄からのメッセージといって、これ、復帰後大体二十五年ぐらいのときにできました。(資料提示)当時、一九九五年の少女レイプ事件がありました、米兵による。これを受けて、地位協定というのがその頃から随分日本のマスコミに出てきたんですけれども、その後まだまだこの地位協定の問題というのがなかなか解明されない、あるいは問題点というのがなかなか進展していかない、改善にですね、そういうのがあります。  そこで、今日、さらにレイプ事件で、やっぱり刑事手続もそうですけれども、地位協定の中で米軍に特権というような形で免除、あるいはいろんなものがありますけれども、まだまだ見直す部分というのがたくさんあって、今日は、当事者でジェーンさんという方が、二〇〇二年に横須賀でレイプされまして、もう実名を自分で出してこれ訴えなきゃいけないと。しかし地位協定が阻んだというようなこともあるし、さらに、この取調べも、非常に、さっきもありましたけれども、まるで尋問して取調べをしているかのように、加害者に当たるようなすごい尋問の仕方をすると。これは取調べといって、逆に、被害の状況を聞くわけですけど、そういうものになっているということですね。米国まで行って、これも訴えて、その犯人といいますかね、それ捜したと。  もう大変な努力をして、これ非常に深刻な問題だということをまず申し上げて、この日米地位協定の見直しというのが沖縄県でも決議をされましたけれども、沖縄県以外の地方議会でも決議されていると思いますが、外務省が把握されている決議した都道府県議会及び政令都市の名前と市町村議会の数を教えてください。 ○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。  二〇二二年度の一年間についてでございますけれども、外務省に接到いたしました日米地位協定見直しに関する地方議会発、それから外務大臣宛ての意見書などは合計三十三件ございます。その内訳に関しましては、都道府県議会は京都府、沖縄県の二件、それから政令指定都市の市議会は横浜市が一件、その他の市町村議会が三十件ございました。  以上でございます。 ○高良鉄美君 一年間ということですけれども、でも三十三件あるということですから、これ実はもうそれ以前の頃から比べるともっともっとあると思うんです。それで、さらに、この政令都市の名前もありましたけれども、県議会、市町村というような形ですが、実は全国自治体もやっているということなんですよ、この決議を。だから、そういった面で、この受け止め方、この地方議会の意見書の受け止めについて、外務大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 在日米軍の安定的駐留、これには地元の御理解が不可欠でございまして、地方自治体からの決議に基づく意見書、これは各地方自治体の住民から選出された議員が議会の意見として決議したものであり、真摯に受け止めております。  日米地位協定に関しては、政府としてはこれまでも、米側と様々なやり取りを行いながら、事案に応じて効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。今後もそのような取組を積み上げていく考えでございます。 ○高良鉄美君 是非、法の支配の問題と、それから人権を尊重するということからすると、やっぱり地位協定どうあるべきなのかということを含めて検討いただきたいと思います。  次に、セーフ・スクール・デクラレーションと、学校保護宣言についてお伺いをします。  今、ウクライナを始め世界各地で学校や大学が爆撃や砲撃をされて燃やされているというようなことが状況としてあります。そして、子供たちや教師が殺害されたり、あるいは負傷したり、拉致されたり、恣意的に拘禁されたりもしています。教育施設は、武力紛争の当事者によって、特に軍事拠点とか、あるいは兵舎又は拘禁場所というような形で使用されてきました。このような行動は、生徒、学生や教育関係者の仕事、あるいは教育界そのものを危機にさらし、多くの子供たちの教育を受ける権利を拒否し、地域社会から未来を築く礎を奪うものです。  学校保障宣言は、武力紛争下でも学校や大学は軍事目的で使用されるべきではないということを明示した国際的な指針ですが、現在、百十七か国が学校保護宣言の支持を表明し、今年三月にはオーストラリアも支持表明国となりました。G7の中で支持を表明していないのは、日本のほかには、他国から干渉を嫌う、そして子どもの権利条約や女性差別撤廃条約といった条約そのものを批准していないアメリカのみです。日本はこういった条約を批准していますが。  二〇二一年の国連安保理事会決議二六〇一は、学校保護宣言に言及しつつ、武力紛争下における学校の保護を国連加盟国に対して求めました。また、児童と武力紛争に関する国連事務総長特別代表は、二〇二二年五月十三日の声明において、全ての国に対し、学校保護宣言を支持し、履行するよう奨励しています。国連子供関係の専門家、例えばこれは、国連子どもの権利委員会や児童と武力紛争に関する国連事務総長特別代表、児童に対する暴力に関する国連事務総長特別代表、ユニセフ、国連薬物犯罪事務所等は、二〇二二年十月六日の共同声明において学校保護宣言への支持を求めています。  日本は、今年一月から国連安保理の非常任理事国になりました。五月には、日本がホスト国としてG7の開催もします。学校保護宣言は、法的な拘束力のある条約ではなくて、武力紛争下における学校の保護、教育の継続を国際社会全体で守るということを目指す政治宣言であり、子供の権利の観点から、より多くの国がこの宣言への支持を表明することは重要な意義があり、日本は国際社会のリーダーとして支持表明すべきであると考えますが、林大臣の御見解を伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国は、全ての紛争当事者による国際人道法を遵守し、国連、G7等の国際的な取組に積極的に貢献しておりまして、武力紛争下においても、紛争当事者は学校、学生の安全と教育を保護すべきであるという安全な学校宣言、学校保護宣言の目的自体、基本的に評価をしております。  他方で、この宣言が支持するとしております武力紛争下で学校や大学を軍事目的利用から守るためのガイドラインは、既存の国際人道法の義務を超える内容について言及をしておりまして、用語の意味についても不明確な部分があります。例えば、当該ガイドラインでは、武力紛争の当事者は開校中の学校や大学を軍事上の努力を支援するためにいかなる形でも使用してはならないとしておりますが、国際人道法上、かかる義務は一般的に課されていないところでございます。また、自衛隊の部隊運用への影響等も踏まえますと、同ガイドラインには必ずしも我が国の実態にそぐわない内容も含まれていると考えております。  こうした理由から、我が国として同宣言への支持は表明しないということにしておるところでございます。 ○高良鉄美君 これは、安保理、理事会の決議として二六〇一でこういうことを言っているわけですね。で、安保理事会の非常任理事国になっているということからすると、その問題を支持しませんと表明しているわけですね、今の答えだと。だから、賛同はしても支持しないというのはどういうメッセージになるかと。  G7のときにも、今度のサミットのときにも、結局、アメリカは条約そのものを批准していない、国際社会の中でそういう立場ですけれども、日本は、議長国がそういうことをやるということのメッセージは私もう非常に問題だろうと、もう法の支配や人権に対して後ろ向きだというようなメッセージにならないかということを指摘しまして、次の問題に入りたいと思います、時間ありませんので。  次、国際情勢の分析について伺います。  今日は資料を持ってきておりますけれども、三月十七日の本委員会で私は、民主主義陣営の一員として権威主義国家と対峙するんだと熱くなっているように見えるが、世界を少し見渡すだけで、そんなに単純化した物の見方で大丈夫かと心配になるというお話をして、アメリカや台湾などを例に議論をしました。  また、今月七日のODA・沖北特別委員会では、民主主義対権威主義の構図で世界を見るとして、米国を中心とする側が世界で主流となる見込みをきちんと情勢分析しているのかという議論をしました。この日、大臣から、単一の価値観に収れんすることが困難であると、それから、日本らしい多様性と包摂性を重視する外交という御答弁をいただいたことは、これとても良かったと思います。  本日も少し、資料にあるのは、日本の主流メディアがなかなか載せないものの、実は大切だと思うような視点を紹介してみます。  まず、米ドルの基軸通貨としての地位、あるいはペトロダラー体制を突き崩そうという動きについてです。  米国が大きな対外赤字を続けながら米ドルが価値を失わない大きな理由の一つとして、米ドルが世界に主要な決済通貨であり、特に原油の輸出入の決済が原則米ドルでしか使えないと、行えなかった体制があります。これをペトロダラー体制といったりするわけですけれども、この基軸通貨国は、他国から貿易や借入れで決済通貨を入手しなくても自国で通貨を発行して相手国に渡すだけで決済ができるとても大きな特権を持っています。  ペトロダラー体制に挑戦する動きは以前からもありましたけれども、最近急速にその動きが大きくなっているように思います。その中でも、中東最大の産油国であるサウジアラビアに関する動きは非常に重要だと思います。  昨年十月に、バイデン政権の要請をOPECプラスが断って減産したということがあります。また、昨年十二月の習近平主席のサウジアラビア訪問、そして今年三月の中国の仲介によるサウジアラビアとイランの国交正常化。日本の新聞、テレビには余り載りませんけれども、最近も重要な出来事が起こっています。例えばサウジアラビアがアメリカから離れて中国と接近するということは、当然、ペトロダラー、オイルの関係が、そういった体制が根底から覆る可能性も考えてみないといけないと思います。  また、軍事的な色彩が強い上海協力機構にサウジアラビアが入る意味は重く考えた方がいいと思い、資料を今日は用意したわけです。  サウジアラビア、オマーン、クウェート、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーンから成る湾岸協力会議という組織があります。こういった中でもリーダー格のサウジアラビア、そのサウジアラビアがアメリカから離れて、統一しながら中国に付くというような状況になってしまうと。そうすると、日本は、こういった場合に戦争を中国とできるのか、争えるのかという問題とか、石油はどこから持ってくるのかというと、アメリカからではなくて、もちろん中東からでもないことになるわけですね。  こういったものがあって、今の状況というのは、中国を支持する国がこれから現れてくるんじゃないかと思うと、そこを心配しなきゃいけない面もあるかと思います。特に、サウジアラビアと中国の関係が緊密化したことで、米ドル基軸通貨体制には大きな影響があると思いますけれども、このサウジアラビアの上海協力機構に入る日本への影響をどう分析しているか、ちょっとお伺いをしたいと思います。 ○政府参考人(西永知史君) お答え申し上げます。  本年三月二十九日でございますけれども、サウジアラビアは、上海協力機構に対話パートナーとして参加することを閣僚会議において承認したと承知してございます。上海協力機構は、ロシア、中国、中央アジア四か国、インド、パキスタンの計八か国が加盟いたしておりまして、そのほか計十三か国がオブザーバー及び対話パートナーの資格で参加している機構であります。加盟国間の相互信頼の強化、政治、経済、防衛などの分野における協力推進を目的として掲げているものと承知しております。  この機構の活動を含めて、中国は、近年、中東地域におきましても、二国間、多国間の双方において幅広い活動を、幅広い分野で活発な活動を展開していると承知しております。このような中国の動きにつきましては、日本としても高い関心を持って注視をしているところでございます。  いずれにせよ、中東地域の大国でございますサウジアラビアでございますけれども、エネルギー安全保障の観点からも重要でございます。サウジアラビアとの関係におきましては、日本は戦略的パートナーを結びまして、両国間の包括的な協力枠組みである日・サウジ・ビジョン二〇三〇の下で、伝統的なエネルギー分野での協力のみならず、水素、アンモニアなどのクリーンエネルギーや産業多角化といった分野を含む幅広い協力を進めてきているところでございます。  今後も日・サウジアラビアの関係を一層強化していく所存でございます。 ○委員長(阿達雅志君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。 ○高良鉄美君 はい、時間来ました。  是非、林大臣のおっしゃられた単一の価値観では困難であるということで、包摂性、多様性を入れるということ、本当に大事だと思っていますので、今後も頑張っていただきたいと思います。  終わります。 ○委員長(阿達雅志君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  外務大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 防衛省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) ただいま議題となりました防衛省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更を行うとともに、地方防衛局の所掌事務に国際協力に関する事務を追加するものであります。  以上が、この法律案の提案の理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の拡充を始めとする防衛省・自衛隊の体制の整備のため、陸上自衛隊の自衛官の定数を百二十一人、自衛官の定数を百二十一人増加し、陸海空共同の部隊に所属する自衛官定数を百四十四人増加し、ああ、失礼いたしました、海上自衛隊の自衛官の定数を百二十一人増加し、陸海空の共同の部隊に所属する自衛官の定数を百四十四人増加し、統合幕僚監部に所属する自衛官の定数を八人増加する一方、陸上自衛隊の自衛官の定数を二百五十五人、航空自衛隊の自衛官の定数を十八人、各々削減するものであります。なお、自衛官の定数の総計二十四万七千百五十四人に変更はありません。  第二に、防衛装備品等の調達に係る品質管理業務を日米相互に無償で提供し合う米国国防省との枠組みに基づき行う業務を実施するため、地方防衛局の所掌事務について所要の規定の整備を行うものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十分散会