第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 令和5年3月7日 令和五年三月七日(火曜日)    午前十一時四十八分開会     ─────────────    委員の異動  一月二十六日     辞任         補欠選任      神谷 政幸君     吉川ゆうみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 山口那津男君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○外交、防衛等に関する調査  (外交の基本方針に関する件)  (国の防衛の基本方針に関する件)  (派遣委員の報告)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る一月二十六日、神谷政幸君が委員を辞任され、その補欠として吉川ゆうみ君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。  まず、外務大臣から外交の基本方針について所信を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) 外交防衛委員会の開催に当たり、阿達委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、外交政策の所信について申し述べます。  今、世界は歴史の転換期にあります。ポスト冷戦時代の平和と繁栄を支えた法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、重大な挑戦にさらされています。  国際秩序の根幹を揺るがすロシアによるウクライナ侵略は、一年以上たった今も続いています。私は二月にミュンヘンにおいて、本年の日本議長国下で初となるG7外相会合を主催し、法の支配に基づく国際秩序を堅持するというコミットメントを強調するとともに、ウクライナに対する支援を継続する決意を再確認しました。引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推し進めます。また、今般ロシアが新戦略兵器削減条約の履行を停止する旨発表したことを強く懸念しています。  我が国の排他的経済水域内に落下した二月十八日のICBM級弾道ミサイル発射を含め、北朝鮮による核・ミサイル活動も活発化しています。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射等は断じて許されず、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携して対応していきます。  中国は、政治、経済、軍事等様々な面で国際社会への影響力を増し、それに伴い様々な難しい諸問題を提起しています。  このような挑戦に加え、国際社会が価値観の相違、利害の衝突を乗り越えて協力すべき諸課題も一層急迫の度を増しています。  こうした情勢の中で、引き続き、普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安全を守り抜く覚悟、そして、地球規模の課題に向き合い国際社会を主導する覚悟、これら三つの覚悟を持って、対応力の高い、低重心の姿勢で外交を展開していきます。  まず、G7議長国及び安保理非常任理事国として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するための取組を更に推進します。一月に私自身が主催した法の支配に関する国連安保理閣僚級公開討論や、二月のミュンヘンでのG7外相会合でも法の支配の重要性を再確認しました。二月二十四日に岸田総理が主催したG7首脳テレビ会議においても、法の支配に基づく国際秩序を堅持することについて、G7の連帯は決して揺らぐことはないとの認識で一致しました。  日本がG7議長国として開催する広島サミットでは、力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてや、その使用はあってはならないものとして断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の意志を力強く示していきます。同時に、エネルギー・食料安全保障を含む世界経済、ウクライナやインド太平洋を含む地域情勢、核軍縮・不拡散、経済安全保障、また、気候変動、保健、開発などといった地球規模の課題などへの対応を主導していきます。私自身が議長を務めるG7長野県軽井沢外相会合、また、G7大阪・堺貿易大臣会合などを通じ、G7の緊密な連携を推進していきます。G20議長国であるインドとも連携してまいります。  日米豪印での連携も格段に強化してきました。先週末のインドでの外相会合でも確認したとおり、力による一方的な現状変更をいかなる地域においても許さないとの決意を示しながら、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現に向けた幅広い分野の実践的協力を進めていきます。  FOIPの重要性は一層高まっています。日本は、外交的取組を強化する新たなプランの策定を進めるとともに、日米豪印に加え、FOIPの実現に向けたパートナーとの連携を強化します。特に、友好協力五十周年を迎えるASEANとは、十二月をめどに東京で開催する特別首脳会議の機会に、日・ASEAN関係の将来のビジョンを打ち出す考えです。  ロシアによるウクライナ侵略は、食料、エネルギー価格の高騰などにより、中東、アフリカ等にも深刻な影響を与えています。偽情報による分断の試みという課題にも目を向けねばなりません。私自身、東南アジア、太平洋島嶼国、中央アジア、中東、アフリカ、中南米といった様々な地域への訪問も通じ、幅広い国との対話を強化してきました。日本として、あらゆる地域の国々との間で築き上げてきたきめ細やかな地域外交を礎に、法の支配に基づく秩序の重要性を共有し、共に維持強化していくための努力を継続します。  ロシアによるウクライナ侵略は、多国間主義をも脅かしています。安保理を始め国連が試練を迎える中、各国との緊密な対話を通じて安保理が本来の責任を果たせるよう積極的に貢献していきます。さきに述べた一月の国連安保理閣僚級公開討論では、法の支配のための結集という私の呼びかけに多くの国から賛同いただきました。また、二月の国連総会緊急特別会合では、国連憲章の諸原則に基づくウクライナの平和とロシアによる侵略の即時停止を求める決議への支持を求め、全国連加盟国の七割以上を占める百四十一か国の賛成により採択されました。国連自身の機能強化のため、また、安保理改革の早期の進展のため、引き続き努力します。  ルールに基づく自由で公正な経済秩序は、日本はもちろん、世界の成長と繁栄の基盤です。CPTPPのハイスタンダードの維持やRCEP協定の透明性のある履行の確保に取り組むとともに、WTO改革を主導します。デジタル分野でも、国際的なルールづくりで中心的な役割を果たします。IPEFでも、具体的な成果に向けて引き続き建設的に議論に貢献します。日本企業の海外展開支援にも積極的に取り組むとともに、日本産食品に対する輸入規制措置の全廃に向け、政府一丸となって働きかけていきます。また、二〇二五年大阪・関西万博の成功に向け、引き続き力強く取り組みます。  日本は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。  国家安全保障戦略では、日本の安全保障に関わる総合的な国力の要素として、まず外交力を挙げています。外交実施体制の抜本的強化に取り組むとともに、防衛力の抜本的強化に裏打ちされた力強い外交を展開します。また、経済的威圧への対応を含む経済安全保障の推進に積極的に取り組んでいきます。  同時に、日本の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟も更に深化させていきます。米国とは、累次の会談機会を通じ、いかなる地域でも力による一方的な現状変更は決して受け入れられないことを確認してきました。日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域のポテンシャルを、安定と繁栄につなげていかねばなりません。そのため、日米同盟の役割及び任務の進化も踏まえ、同盟の抑止力、対処力の強化に日米で共に取り組んでいきます。さらに、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めるとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。  また、昨年立ち上げた経済版2プラス2を通じて、外交・安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障、ルールに基づく経済秩序の維持強化といった日米共通の課題について一層連携を強化していきます。  ロシアによるウクライナ侵略を受け、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分との認識が広がる中、欧州諸国との防衛分野での協力も進展しています。引き続き、欧州諸国及びEU、NATOによるインド太平洋への関与拡大に向けて具体的協力を進めていきます。  核軍縮・不拡散については、ヒロシマ・アクション・プランを始め、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な取組を進めていきます。国際賢人会議等の取組を進めていくとともに、G7広島サミットで力強いメッセージを発信できるよう、G7メンバー等と議論を深めていきます。  日本及び地域の平和と安全を維持すべく、近隣国等との間の難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。  日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中国による我が国周辺での一連の軍事活動、特に、排他的経済水域を含む日本近海への弾道ミサイルの着弾、また、中国が飛行させたと強く推定される我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、新疆ウイグル自治区の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。同時に、日中両国は地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。中国とは、昨年十一月の日中首脳会談で得られた前向きなモーメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係の構築を日中双方の努力で加速していくことが重要です。  韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。北朝鮮への対応等を念頭に、安全保障面を含め、日韓、日米韓の戦略的連携を強化していくことの重要性は、論をまちません。喫緊の懸案である旧朝鮮半島出身労働者問題について、六日、韓国政府による措置の発表がありました。日本政府としては、これを二〇一八年の大法院判決により非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価します。今回の発表を契機とし、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待しており、韓国側と緊密に意思疎通していきます。竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。  ロシアとの関係については、日本の国益を守る形で対応していきます。日ロ関係は、ロシアによるウクライナ侵略によって厳しい状況にあり、平和条約交渉の展望を語れる状況にはありませんが、日本として、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。また、北方墓参を始めとした北方四島交流等事業の再開は、今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つです。  北朝鮮との間では、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。最重要課題である拉致問題は時間的制約のある人道問題です。拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で果断に取り組みます。  我々の擁護する国際秩序が国際社会の多数を占める開発途上国の人々の信頼に足るものであることを示すためにも、人類共通の課題への対応を主導しなければなりません。これを踏まえ、新たな時代における人間の安全保障の理念に立脚しつつ、最も重要な外交ツールの一つであるODAをより一層拡充し、戦略的、効果的な活用を通じて、SDGsの達成やFOIPの実現に向けた取組を加速します。そのために、開発協力大綱を本年前半をめどに改定します。  食料・エネルギー安全保障、気候変動問題、国際保健等に対する国際社会の対応を主導するとともに、プラスチック汚染、生物多様性の保全、深刻化する人道危機、難民・避難民、テロ、暴力的過激主義、男女共同参画などSDGs達成に向けた諸課題にも積極的に取り組みます。  基本的な価値である人権の擁護のため、日本らしい人権外交を進めていきます。  以上の諸課題について、着実に具体的な成果を上げるため、人的体制、ODAの一層の拡充を含む財政基盤、DX推進を含めた外交・領事実施体制の抜本的強化と戦略的な対外発信に取り組むとともに、国際機関の日本人職員の増加、親日派、知日派育成、日系社会との連携強化に努めます。  また、佐渡島の金山の世界遺産登録に向け、外務省としてもしっかりと役割を果たしていきます。各国の水際措置緩和に伴い国際的な交流が再活性化していることを踏まえ、海外における邦人の安全確保にも、引き続き万全を期します。  阿達委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御理解を心よりお願いを申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 次に、防衛大臣から国の防衛の基本方針について所信を聴取いたします。浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛大臣の浜田靖一です。阿達委員長を始め、理事及び委員の皆様に防衛大臣としての所信を申し上げます。  国際社会は今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。  中国は、軍事力の質、量を急速に強化させるとともに、力による一方的な現状変更やその試みを推進しています。中国の軍事動向等は、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的挑戦です。  また、北朝鮮は、かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射等を繰り返し、急速にその能力を増強しています。北朝鮮の軍事動向は、我が国にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威です。  そして、昨年二月から続くロシアのウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、国連安保理の常任理事国が核兵器による威嚇とも取れる言動を繰り返す前代未聞の事態となっております。また、インド太平洋地域におけるロシアの軍事動向等は、中国との連携と相まって、安全保障上の強い懸念であります。  危機管理の要諦は、最悪を想定することです。今後とも、国民の生命、財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、冷静かつ毅然と対応してまいります。  欧州で起きていることは決して人ごとではありません。昨年十二月、我が国が直面する現実に向き合い、将来にわたり我が国を力強く守り抜くため、新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、国家防衛力整備計画を閣議決定しました。  これはスタートラインにすぎません。防衛省・自衛隊は、日本と日本国民を守る最後のとりでとして、しっかりと国を守るために戦える、そのための努力を引き続き、私が先頭に立って確実に進めてまいります。  また、日米同盟は、我が国の安全保障の基軸です。本年一月の2プラス2でも確認したとおり、引き続き、様々な分野での協力を深め、抑止力、対処力を強化してまいります。  同時に、地元の基地負担の軽減にも引き続き取り組みます。特に沖縄については、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。  また、一か国でも多くの国々との連携を強化すべく、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に資する取組を推進してまいります。  最後に、今国会提出法案について申し上げます。  防衛省設置法の一部を改正する法律案は、自衛官定数の変更及び地方防衛局の所掌事務の追加をするものです。  次に、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案は、装備品等の適確な調達を行うため、装備品製造等事業者による装備品等の安定的な製造等の確保及びこれに資する装備移転を安全保障上の観点から適切なものとするための取組を促進するための措置、契約における秘密の保全措置並びに装備品等の製造等を行う施設の取得及び管理の委託に関する制度を定めるものです。  そして、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの協定の実施に関する法律案及び日本国自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案は、協定の適確な実施を確保するため、協定の実施に伴う道路運送法及び道路運送車両法の適用除外、刑事手続等の特例、国の賠償責任の特例並びに特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置を定めるものです。  委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。  以上、防衛省・自衛隊が直面する課題に対し、全力で取り組んでまいります。  皆様におかれては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で所信の聴取は終了いたしました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  外務大臣及び防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。小西洋之君。 ○小西洋之君 委員派遣について御報告を申し上げます。  本委員会の阿達雅志委員長、佐藤正久理事、岩本剛人理事、平木大作理事、音喜多駿理事、榛葉賀津也委員、山添拓委員、伊波洋一委員及び私、小西洋之の九名は、去る二月十六日及び十七日の二日間、我が国の外交、防衛等に関する実情調査のため、埼玉県、鹿児島県及び宮崎県に派遣されました。  昨年十二月に新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画が策定され、今国会では、防衛力整備の在り方及びこれを裏付ける防衛予算、関連法案の審議及び質疑等を行うこととなります。このため、本委員会は、各県における自衛隊基地、駐屯地等を訪問し、実情調査を行いました。  以下、概要を御報告いたします。  第一日目は、まず、航空自衛隊入間基地を訪問し、基地の概要、所在部隊及び装備品の運用、航空機可動数の向上、新たな装備品の導入、施設整備の現状及び課題、衛生機能の強化、組織の最適化の取組等について説明を聴取しました。  派遣委員からは、中部航空方面隊各地対空誘導弾部隊の運用の現状、基地内の通行整備に係る予算措置等について意見交換が行われました。  調査を終えた後、航空自衛隊の輸送機C2に関する説明を受け、同機に搭乗視察し、海上自衛隊鹿屋航空基地に移動しました。  海上自衛隊鹿屋航空基地においては、基地の概要及び任務、米空軍MQ9の一時展開、自衛官の再就職状況、装備品の可動率の向上、女性自衛官の活用等について説明を聴取しました。  派遣委員からは、自衛官の再就職や定年延長の現状、鹿屋の第一航空群と那覇の第五航空群の役割分担、協力体制、装備品の部品不足の解消により改善が見込まれる事項等について意見交換が行われました。  次に、海上自衛隊の固定翼哨戒機P1を視察した後、MQ9を視察し、米軍関係者より説明を聴取した後、自衛官の生活関連施設を視察しました。  派遣委員からは、MQ9を配備するための施設整備、機体改造の有無、一時展開の延長の見通し等について意見交換が行われました。  次に、陸上自衛隊国分駐屯地を訪問し、駐屯地及び西部方面隊の概要、領域横断作戦能力向上の取組、南西諸島防衛に関連する演習の概要、災害派遣の実績、生活、勤務施設の現状及び課題、第一一三教育大隊の役割、馬毛島における自衛隊施設の整備等について説明を聴取した後、中距離多目的誘導弾を始めとする装備品及び自衛官の生活関連施設を視察しました。  派遣委員からは、南西諸島防衛に関連する演習等に要する運搬費の確保、自衛官の人員不足の傾向、予備自衛官が使用する装備品の仕様、西方国民保護訓練の内容、日米共同の領域横断作戦における訓練、協力体制、有事の際の近隣の離島基地への支援体制、環太平洋合同演習リムパックと陸上自衛隊との関わり、馬毛島における空母艦載機着陸訓練(FCLP)実施の見通し等について意見交換が行われました。  第二日目は、陸上自衛隊国分駐屯地より航空自衛隊の輸送ヘリコプターCH47Jに搭乗し、馬毛島を上空より視察した後、航空自衛隊下甑島分屯基地を訪問し、分屯基地の概要、固定式三次元レーダーFPS5の概要、生活、勤務施設の現状及び課題、陸上自衛隊との共同基地警備等について説明を聴取した後、FPS5を遠望し、自衛官の生活関連施設を視察しました。  派遣委員からは、基地配属の隊員数、陸上自衛隊との共同基地警備の意義、レーダーの情報収集体制、分屯基地に駐在する自衛官の手当、処遇に関する要望、固定式レーダーとイージス艦のレーダーとの役割分担、全国の固定式レーダーの配備状況等について意見交換が行われました。  同分屯基地の視察を終え、再びCH47Jに搭乗し、陸上自衛隊えびの駐屯地を訪問し、駐屯地部隊の概要、災害派遣の活動実績、霧島演習場の概要、即応予備自衛官、予備自衛官の訓練、生活、勤務施設の現状及び課題等について説明を聴取した後、百五十五ミリりゅう弾砲FH70を始めとする装備品を視察しました。  派遣委員からは、駐屯地部隊の生活、勤務施設の充実の必要性、即応予備自衛官、予備自衛官の出頭率の現状及び傾向、駐屯地部隊の編成及び各部隊の特徴、南西諸島防衛に関連する訓練の内容、霧島演習場の整備、管理の現状等について意見交換が行われました。  最後に、海上自衛隊えびの送信所を訪問し、送信所の概要、VLF(超長波)通信の特徴と運用等について説明を聴取した後、送信所構内を視察しました。  派遣委員からは、送信所から潜水艦への通信体制、送信所の警備体制、現送信所の移転による機能の変化、送信所設備の維持管理の状況、同種の送信所を増設する可能性等について意見交換が行われました。  以上が今回の派遣の概要です。  今回の調査により、防衛力整備の在り方と課題等について認識を深めるとともに、さらには国会として果たすべき課題等について認識を深めることができました。  最後に、今回の派遣が極めて有意義なものになったことに対し、御対応いただきました関係者の皆様方に御礼を申し上げ、報告といたします。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会